【閲覧注意】二次創作ヤマトタケルSS【オリ設定供養】

  • 1スレ主24/01/10(水) 19:08:55
  • 2スレ主24/01/10(水) 19:11:19

    それでは
    ツッコミどころも満載でしょうし、此処は違うという解釈違いも多々あるでしょう。
    それでもという方だけ読んでいただけると幸いです。

  • 3スレ主24/01/10(水) 19:13:36

    声が、聞こえる
    この身を喚ぶ声が聞こえる
    祝福すると賛辞が ─── 呪詛を吐く言の葉が
    待望すると期待が ─── 怨嗟を上げる呻きが
    焦燥に駆られた声が
    それぞれ別々の、されど全く同様の威を感じさせる声が聞こえる

    ───産まれよ、天地を別つもの───

    その身は三千世界の遍くを踏破し、天地陰陽の理を別つ身である

    ───産まれよ、天地を継くもの───

    その身は天津に連なる高貴なりし身でありながら、土着に結われし呪われた身である
     
    ───産まれよ、天地を統べるもの───
     
    その身は数多の英傑修羅神仏を征する最たる優を示し、我等が神の血筋である

    そして───〝 |人《神》 〟となりなさい

  • 4スレ主24/01/10(水) 19:13:55

    そして|己《おのれ》は生まれたのだ。
     この身が母の腹に未だ身ごもっていたその時から己の記憶は始まった。
     母より出でて、まず感じたものは寒さであった。
     当然か。母の中とは違い、此処はこの身に寒さを運ぶ風を遮るものなどないのだから。

     その後に感じたのは温かさであった。
     この身を包む、初めて触れる───母のぬくもりであった。
     己はこの身を包む母の手が温かかったが故か、意識とは別に本能が母のぬくもりを求めた。
     たとえ、それが、母の死ぬ間際に触れる最期の瞬間だっだとしても。

     やがて、己に触れる母の手の温かさがゆっくり、ゆっくりと冷めていった。
     それが己にとって、始まりの喪失であり、ただ一つの愛情というものを失った日であった。

  • 5スレ主24/01/10(水) 19:14:22

    それから時は流れ、己は歳の程が七つとなった。
     率直に言って己は凡庸とは無縁の子供であったのだろう。
     見たもの聞いたものは記憶に刻まれ忘れられず、剣を握れば誰もが地に伏せ己を見上げた。
     駆け出す足は疲れを知らず、魔性の物ノ怪を思わせる無類の怪力は、この身に仕える臣下を畏れさせた。
     だが、その常軌を逸した我が身を何より恐れたのは父と、血を別けた双子の兄だった。いや、兄は兎も角、父は初めから己を畏れていたのだろう。

     かつて父は母をそれは大層愛していたようだ。
     しかし、二児の出産という大難事が己の生母を、父の愛する人を殺した。
     人一人の出産でさえ世の母となる女たちにとって命懸けであるというのに、一児を産んだ後に続くように二児を産んだ母はきっと筆舌に尽くしがたい苦しみを味わったことだろう。
     それでも母は成し遂げた。成し遂げて、そうして、亡くなった。

  • 6スレ主24/01/10(水) 19:14:48

    父は母を愛していた。それはそれは愛していた。
     帝として失格であると知った上で父は妾や後妻をとることはしなかった。尤も、立場上形の上ではいるにはいるのだが。
     きっと父は我等母の子も愛したかったに違いない。だが愛する女を奪った子たちをすぐにそのまま愛せるほど父は器用でなかった。

     そんな折に生まれた己がこれだ。
     泣かず、わめかず、ただじいっと周りを観察していた己がどれだけ不気味であったことか。
     子を愛したい。憎むことなどしたくない。気味悪がるなどもっての他だ。
     そう思い、そう思ったから、父は私を見ないことにした。見てしまえばきっと子を憎んでしまうから。愛に溢れる父だからこそ私を無視したのである。
     だが、己はそれでいいと思った。寧ろそうするべきだと己は考えた。
     そこには罪悪感などない。自死の衝動もない。それどころか身内であるはずの兄や父にこれといった情動は持ち合わせてはいなかった。  

  • 7スレ主24/01/10(水) 19:15:54

     他者から見ればこの身は罪深いのであろう。
     兄から見ればこの身は気味の悪い片割れでしかないのであろう。
     父から見ればこの身には侮蔑や、怒りや、哀しみや、畏れしかないのであろう。
     けれど己はそれらを理解はしても共感することはできなかった。

     何故なら、己に己というすべてを与えてくれたのは、我が母上と、天上におわす神々であって、そこには父という存在は欠片も含まれてはいなかったのだから。
     神々が己に施したのは四つの祝福。
     純粋であれとはそのままの意味でもあり、なにより俗世に染まるなという意味でもある。
     聡明であれとは最たる知識を身に着け、最たる知恵を生み出せということ。
     豪傑であれとは数多の益荒男達すら超す英傑たれという願いであること。
     勇猛であれとは言うまでもなく。その力に見合う精神であれ遠いこと。
     結論から言えば、天上の神々は己に勇者になることを望んでいる。
     
     ああ、成れるだろう。

     漠然と己はそう考えた。
     確実に、己は彼らが望んだ勇者と成れてしまうのだろう。
     何せ、それになるための試練はもうすでにある。それになるための才覚もある。そして、己にはそれをなせるだけの全てがあったのだから。

  • 8スレ主24/01/10(水) 19:16:16

    けれど、まだ駄目なのだ。
     己は、まだ勇者になるわけにはいかない。
     簡単になってしまってもいいのだが………それではなんとも味気ない。淡々とした作業なぞ、己が二十の時には完遂してしまうだろう。
     折角産み落とされたのだ。人生を二十余りで終わってしまうのは何とも勿体ないではないか。

     それに己には、もう一つなさなければならないものがある。
     それこそが、母が命を賭してまで願った────己への願いなのだから。

  • 9スレ主24/01/10(水) 19:16:35

     母は己に〝生きろ〟と告げた。
     強くあれとも、賢しくあれとも言わず、ただ生きろと。
     それがどういうことなのか、母が最期に籠めた言葉の意味は分からずとも、己にはその言葉が全てなのだと感じた。
     だが、どう生きろというのだろう。
     己には天津の神々によって祝福が与えられた。
     母によってこの地に生まれることが出来た。
     けれど、母が言った生きるということだけは己にはどうすればいいのかわからない。既知のものではないことは分かる。だが、抑々己に適したものが分からん。
     だから、まずは己の片割れである兄の背中を視た。

  • 10スレ主24/01/10(水) 19:16:56

     兄は、己とは違いよく泣く子供だった。
     修練のおりにも疲れたといって臣を困らせ、食事の時も遅れたり、我儘が目立った。
     為すべきを為さず、為したいが事を為すような身勝手極まりない者だ。当然、臣下からの評価は散々足るものになった。
     けれど兄は笑っていた。どんな時にも最後は笑みを浮かべていた。
     己にはそれが奇妙なものだと感じえた。

     何故、為せば成ることを為さない。
     何故、そこまで全てに笑えるのか。
     何故、これを見て己は僅かでも震えるのか。


     ───その疑問は尽きぬまま己は兄を殺した。

  • 11スレ主24/01/10(水) 19:17:40

     父からの命だった。
     はじめは聞き間違いかと思った。
     父は言い間違いをしてしまったのだと。
     だが違った。己が顔を上げ、父と眼を合わせると───そこに父はいなかった。
     父の姿をした|ナニカ《神》がいた。瞬間───己の時は止まった。意識とは別に、身体が全く動かなくなったのだ。
     そして理解する。これは……これこそが恐怖だと。今まで一度も感じたことのない悪寒ともいうべきモノ。それによって起こった感情の発露が、己が身体を硬直させていたのだ。
     己は父であろう存在の顔を見た。その顔が怒りに濡れていたわけでも、悲嘆に溺れていたわけでもない。
     ただ〝無〟だけがそこにはあった。
     なのに、父の姿をしたナニカ《神》は己に強烈な感情を向けていた。

  • 12スレ主24/01/10(水) 19:18:05

    ── 愛している ──

  • 13二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 19:18:07
  • 14スレ主24/01/10(水) 19:19:07

    >>13

    ありがとうございます

    じゃあ此処からはこのサイト使わせていただきます

  • 15スレ主24/01/10(水) 19:31:44
    人に焦がれた神の子よ言葉なくそう告げられた己。

    恐怖に支配され、言われるがまま兄を殺した己。

    どうしようもなく胸が張り裂けそうなほどの衝動が駆け巡る己。


    その全てを〝愛している〟と|ナニカ《神》は己に言葉と感情を刺し続けた。

    正気に戻った父は己に激昂した。殺してやると感情をむき出しにして吠えた。


    そんな父に己は初めて心の底からの笑みを浮かべた。

    父ははじめて己が見せる笑みに唖然とした。それはそうだろう。

    生まれたての赤子の時ですら涙を流さなかった己が、兄の死をきっかけにようやく情動が駆け巡ったのだから。

    自身でも何が起こったのかが分からない。それほどまでに唐突に、そして急激に己の根幹を揺るがされた。

    己の胸の内は高鳴り続け、その音色を響かせるもやむ気配はない。それどころか目まぐるしい程に音色を変えながらぐるぐると廻る感情という渦が溢れ出して止まらないのだ。

    そうしてようやく、己は悟った。



    〝ああ………これこそが“生きる”ということなのだ〟────と。




    父は己を抱きしめた。その身に怒りと悲しみを募らせて、この身をどうにかしてしまいたいという激情を胸に秘めたまま、己を抱きしめたのだ。

    叫びだしたいだろう。侮蔑したいだ…
    telegra.ph

    続きの前編載せます

  • 16スレ主24/01/10(水) 19:40:41
    まほろばを謡う〝 オマエ、強ぇえなぁ……あぁ痛ぇ、痛ぇなぁ………剣が刺さるってこんなに痛ぇのかぁ……知らなかったぜ………ハハッ……じゃあな、倭の─── 〟

    まつろわぬ者───熊襲の兄弟を殺したよもや剣が通らないとは思わなかったおかげで正面からでは勝てない者もいると知り、同時に大概のものは隙を晒せば死ぬのだと理解した

    少々手こずったが、まあこれで熊襲は征伐となった


    〝 カカカッ!!なんという面をしている………己は負け、汝が勝った。ただそれだけの事よ………いやはや、二十も生きていないにもかかわらず、これ程の技の冴えとは、恐れ入る………完敗だ、倭の───。そら、天命を果たすがいい………願わくば、〝本当の形〟としての汝とも語り合おうて見たかったがなぁ~いやはや………未練だ─── 〟


    まつろわぬ者───否………我が友、出雲建を殺した

    これは心底驚いた なんせ、敵だと理解していながらそれでも尚、友という関係になったのだから

    まあ、それはそれとして殺さねばならぬから殺したが……なんともいえぬ重しが胸にたまったような気がした



    〝 は、初めまして………|弟橘《おとたちばな》と申します、どうぞよ、よろしくもうし───ん?あれ?御子…
    telegra.ph

    後編です。

    もう独自解釈のオンパレードです。

    でも型月ならこうやるかなとか妄想してみたら丁度直球のストレート出されたのでね……うん、供養します

  • 17スレ主24/01/10(水) 19:53:56

    なんか今振り返ると人間性を獲得した景虎さんみたいなことになってんなと思いました。
    後なにげに人間性の獲得及び感情の理解が全部死別によって獲得してるなって。

    質問や感想も受け付けてますのでどうぞご自由に。

  • 18二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 19:58:43

    巡り合わせがよかった景虎ちゃんかな?
    とも思ったけどわりと人外メンタルしてる描写っぽいから違うかも

  • 19二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 20:02:32

    う~ん、表現が割と好きかも

  • 20二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 20:05:40

    好き

  • 21二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 20:05:50

    思ったより良かったけど感想誰も言って無くて笑うわ

  • 22二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 20:09:31

    どっかの聖杯戦争でマスターになったらこの視点で描かれた夢見そうな描写
    一人称のSSだったわけね

  • 23二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 20:13:41

    これがサムレムセイバーの代わりにきたらどうなんだ?

  • 24二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 20:16:16

    俺も公式から出された奴まだ心の中で受け入れられなかったから気持ちはわかる(血涙)
    感想ですがビターエンド的な感じで凄くいいですね 
    最後まで報われなかった公式より救いがある気がする やっぱ英雄の最期はハッピーエンドより今までの因果や託された宿命を背負って死ぬ感じが相応しいと思います

  • 25スレ主24/01/10(水) 20:18:35

    >>24

    感想ありがとうございます。

    因みにこのヤマトタケルは召喚されたら宝具はやっぱり剣なんですけど基本的には素手でぶん殴ったり投げてきたりします。割と知られていない逸話で合気柔術の太祖とされてるので其処を拾う感じで

  • 26二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 20:29:14

    投げセイバーとか今まで出てたっけ?公式で

  • 27>>2424/01/10(水) 20:31:14

    >>25

    おお・・これだよ!俺が求めていたのは!対人戦はステゴロでボコボコにして強敵の時だけ切り札を抜くんだよ!

    俺の中のヤマトタケルは!

  • 28スレ主24/01/10(水) 20:36:35

    なんなら宝具使用時のも剣を薙いだ時四方三キロ薙いだってあったから神話フィジカルと和鯖特有のトンチキ技の融合した宝具じゃないよ通常攻撃だよってならないかなと妄想したりしてました。
    まさか公式でお出ししてくるとは……()

  • 29二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 20:42:13

    吉備武彦採用してるんだ?
    お供の中で一番弓が上手いんだっけ?

  • 30二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 20:52:54

    >>29

    それは弟彦公じゃなかったっけ

  • 31二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 21:03:53

    自分もこういうSSとか設定とか作ったりネットで発表したいけど、公式から正解が出てる以上受け入れられないんじゃないかと不安になって行動できないんですよね・・・

  • 32二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 21:09:50

    吉備武彦と熊襲兄弟のこともっと知りたくなった
    このヤマトタケルとの旅を吉備武彦目線でも読んでみたい

  • 33二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 21:13:29

    因みに>>1のヤマトタケルはどんな感じの見た目なの?

  • 34スレ主24/01/10(水) 21:17:20

    >>33

    えーっと、自分あんまし絵を描くのが得意な方ではないのでAIで書いてもらった中で一番イメージが近かったのはこれですかね

    黒と赤の和装だったらいいなと思ったら

    白の和装だったら……つくづく外れるな~って()

  • 35二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 21:21:26

    >>34

    おお、メカクレ属性だわ

  • 36二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 21:33:25

    悪くないな、このヤマタケ
    この際だからスレ主が妄想するこのヤマタケと伊織君の絡みとかも見てみたいわ

  • 37二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 21:52:48

    因みにだけどアルトリアとアーサーみたいに別世界線のヤマトタケルが存在する可能性もあるよね?型月的には

  • 38二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 21:53:55

    ああ、やっぱり伊吹山の神だから伊吹大明神って考えてたのね
    それで見事に公式様もやってぶち当たったと
    このスレ主のヤマタケの設定も割と公式と被る部分あるから大体予言の子()

  • 39スレ主24/01/10(水) 21:55:59

    >>37

    そうだといいですね

    自分もその可能性を妄想して色々設定だけは考えてるんですよね

    別世界線のヤマタケについてはそもそもヤマトタケルを名乗っているのが小碓命じゃないとか

  • 40二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 22:08:25

    ヤマタケ益荒男勢としてやっぱ諦めきれないからローマみたいに違うverが欲しいよね

  • 41二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 22:30:11

    なんだこの人間を理解するのに成功した景虎ちゃんみたいなヤマタケは

    ………いいじゃないか

  • 42二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 22:49:08

    >>41

    人間を理解した景虎ちゃんとかいうパワーワード

  • 43二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 22:54:06

    このスレ見てやっぱり公式と解釈違い起こしても二次創作で希望を紡げばいいって希望が湧いてきました
    ありがとうございました いつか自分も理想のヤマトタケルを文におこしてみます

  • 44二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 23:04:06

    保守

  • 45二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 23:22:33

    保守

  • 46二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 23:45:58

    保守

  • 47二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 23:51:26

    面白かった
    続きはない?そう……

  • 48二次元好きの匿名さん24/01/11(木) 00:05:31

    このヤマトタケルは間違えて人として生まれてきたってあるけど
    つまりはアルトリア・ランサーみたいな神の眼ならぬ神の心臓を持って生まれたって感じ?
    だから神性とは関係なくそういった破格の強さを持ってた感じかな

  • 49二次元好きの匿名さん24/01/11(木) 07:16:14

    保守

  • 50二次元好きの匿名さん24/01/11(木) 11:30:24

    保守

  • 51二次元好きの匿名さん24/01/11(木) 17:12:08

    保守

  • 52二次元好きの匿名さん24/01/11(木) 20:42:46

    どうしよう、普通に格好いいしサムレムのIFとして書いて欲しい

  • 53二次元好きの匿名さん24/01/11(木) 22:37:00

    ハーメルンとかで書いて欲しいよね

  • 54二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 10:14:06

    でもスレ主的にはこれ供養するためのSSなんだよな

  • 55二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 10:57:30

    英霊になった後の続きが読みたくなった

  • 56二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 19:44:19

    保守

  • 57二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 22:31:21

    背景が分かったけど
    このヤマタケの宝具が知りたいと思ったわ
    スレ主的にはサムレムお出しされる前に宝具とかも用意してたんだろうか?

オススメ

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