生徒曇らせ概念ではなく｜あにまん掲示板

しかし、あの生塩とかいう小娘もこれにて懲りたでしょう。
うむ、偽の文をしたため奴が可愛がっておるユウカとかいう小娘に下男どもを送った。無事では済まぬだろう。
ははは、今頃下男共の慰み者にされて犬の餌にでもされているでしょうなぁ。
いや、それでは警告にならんからな、下男には丁重にもてなしたあと送りつけるように言っておる。
それはそれは、かわいそうに。
ふふん、ワシは丁重に送りつけろと言って金を渡しただけ、それで何をしようと知ったことか
“その企みは既に露見した”
何やつ！？
“お前達が送った下郎共はC&CとミレニアムのARMSの前に為す術もなく今頃、留置場かな”
貴様、ゴシップ記者の…！
“カイザーインダストリー開発部長、私の顔を見忘れたのかな？”
……？　……ハッ！　貴様は出奔した連邦生徒会長がキヴォトスの外から呼びつけたシャーレの先生！！
“もう、打つ手は無いと思うけど……投降してくれるかな？”
ええい！　先生といえど所詮は一人の人よ！　亡き者にしたあとに誤魔化す手段などいくらでもあるわい！　であえであえ！
“そうか、じゃあよろしく！　頼れる生徒のみんな”

こんな感じ？

9二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 21:23:18

零れ落ちた空洞に吹く風のような感覚。生塩ノアにとって初めてのものだった。
完全記憶能力者。それが彼女のアイデンティティでもあり、最も頼れる武器でもあった。
秒単位で出来事を記憶できる彼女にとって、これまでの人生は途切れないテープのようなものだ。いつでも閲覧ができるし、その検索にも手間取らない。

そんな生塩ノアにとっての当たり前が消失した。

わからない。わからない。思い出せない。なんなの、これは。
この数ヶ月の記憶が抜け落ちている。いや、違う。この一年の記憶だ。
誤認した理由は簡単だ。最近になるほど記憶の欠損が多い。
原因は不明。そんな病名聞いた事は無いし、普通は逆だろう。

ただし。もし、その欠損に法則性があるのなら？
（私は……それほどまでに”何か”または”誰か”と多くの時を過ごしたかった？）
その結論に生塩ノアが至るまで、然程の時間はかからなかった。そして、彼女は絶望した。
それほどの存在を、よりにもよって自分は『忘れてしまった』という事実に。
（じゃあ、みんなも……？）
予感は的中した。大小あれど、みな一様に思い出せない事があると。特に、親友である早瀬ユウカはその数が比較的多いようだった。

──私達は、大切な誰かを忘れた。

>>10

10二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 21:23:40

>>9

それから、数ヶ月の時が流れたある曇り空の日。

相も変わらずなキヴォトスに、ある一人の大人がやってきた。

誰にも、何も告げていない。ただ、キヴォトスの地に再びやってきた。それだけの事。だというのに、その瞬間。ある者は顔を上げ、ある者は部屋を飛び出し、ある者は泣きじゃくった。

生塩ノアは……ユウカの制止をも聞かず、一心不乱に走り出した。

そうだ、私はあの日約束した。

貴方が帰ってきたら、必ずここで出迎えると。

何があっても、この約束だけは忘れないと。

ごめんなさい。忘れてはしまったけれど、ついさっきまで違和感のままだったけど。

初めて『約束を思い出せた』のだから、許してください。