【SS注意】影纏う者

  • 1二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 23:21:06

    "光"と"影"は表裏一体
    切り離すことなど出来はしない
    輝く"光"に真正面から向き合えば
    必ず背後に"影"が現れる
    そして今、多くの者が"光"を目指す
    "光"へ…輝く栄光目掛けて駆け抜ける
    誰もがその輝きをこの手に掴もうと
    その輝きを誰にも渡さまいと
    各々の想いを、走りをぶつけ合う
    背後にある"影"など気にも止めずに
    周囲のすぐ側にいる"幻影"が
    月光を水晶に閉じ込めたような瞳で
    それを眺めている事など知らずに———

  • 2二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 23:21:36

    多くの者達は今も走り続ける
    全ては駆け抜けた先に輝く栄光の為
    先陣を切って先を行く者
    後方からその時を待つ者
    それぞれの走りが栄光を求める
    激しく火花を散らす集団の中
    "影"と"幻影"がそこにあった

    周囲の様子を眺めていた"幻影"
    周囲を逃さず背後を捉えていた"影"
    そこにいても周囲が気付く事がなかった
    いや、気付けなかった二つの存在
    その二つが一つに重なり合った瞬間———

  • 3二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 23:21:55

    捉エタ———

    "影"を纏った"幻影"が駆け出した
    静から動へ、虚構から実像へ
    その"幻影"が1人のウマ娘へと姿を変える
    そして"彼女"は纏った"影"と共に駆け出した

    その瞬間、周囲に寒気が走る
    静かな空間に駆け抜ける足音が響き渡る
    同時に周囲が"影"に飲み込まれていく
    暗闇は生きる者に不安と恐怖を与えるモノ
    それが今、周りの者を飲み込もうとしている
    飲み込まれたが最後、暗闇に取り残される
    目指す栄光の"光"が掻き消えて
    手を伸ばせど絶対に届かなくなる
    故に飲み込まれたくないと必死に足掻く

  • 4二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 23:22:15

    だがその恐怖は、焦りは、足掻きは
    自らの呼吸を乱し
    自らの走りを崩し
    自らを無駄に消耗させる
    そうして力尽きた者が一人、また一人と
    その"影"に飲み込まれていく

    マダ足リナイ———

    それでも尚、その"影"は加速する事を止まない
    日が沈み、夜という闇が一気に空を包むように
    血に飢えた猟犬がその目をぎらつかせ
    満ち足りるまで獲物を求めるように

  • 5二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 23:22:34

    その光景を見た者
    背後の"それ"を感じ取った者
    飲み込まれる瞬間に"それ"を見た者
    それぞれが確信した

    無敗を謳う覇王の演劇(せかい)に幕を下ろし
    覇王を追う者の怒濤の勢いを堰き止め
    頂点を目指し続ける者の道を阻んだ

    ———あの"影"(かのじょ)だ と

    "彼女"の事は皆が知っていた
    だが、彼女が纏うその"影"は
    俯瞰して見るそれとは違った
    そして彼女が纏うその"影"が
    全てを飲み込み塗り潰すものだとは
    今を走る誰もが予測できなかった———

    いや、全ての者がそうでは無かった
    その"影"が現れるのを
    望んだ者がいた
    その"影"に…"彼女"に挑む事を
    望んだ者がいた

  • 6二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 23:22:55

    だが望まれたとしてもその"影"は
    彼女の走りは止まらない
    漆黒の髪から覗く月の様な瞳で
    目指す先を、終点を睨みつけながら
    一歩、また一歩とその脚で大地を踏み締める
    そして彼女のその加速は止まらない

    モット…モット速ク、"影"ヨリ先ヘ!———

    その走りは遂にその"影"をも置き去りにする
    まるで自らが通った道を、彼女の後ろを
    後から追いかける漆黒の"影"で塗り潰すように
    だが、それで終わらない
    後ろから迫る"咆哮"
    眼前を駆ける"素粒子"
    二人が彼女に挑み掛かる
    だが———

  • 7二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 23:23:16

    届カセハシナイ———

    彼女が更に突き放す
    そして"影"は密林から響く"咆哮"を掻き消す

    逃サナイ———

    彼女が追い抜く
    そして"影"は光速を超える"素粒子"を飲み込む

    勝ツノハ私ダ———

    終点へと辿り着き駆け抜ける
    そして全てを迫る"影"で塗り潰し
    彼女は栄光を掴み取る

  • 8二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 23:23:38

    その瞬間"影"が消えていく
    先ほどの光景が何も無かったかのように
    何気ない風景がコースが広がっていた
    駆け抜けた彼女が振り向くと
    先程まで栄光を望んでいた者達が
    自らが一番で通り抜ける筈だった終点に辿り着く
    辿り着き崩れる者、悔恨の声を上げる者
    打ちひしがれる者が数多く居た
    だがその中でも"二人"は違った

    片やその悔しさを天に向けてぶつける
    だがその瞳には諦めなどなく
    逆に闘志を更に燃え上がらせ
    "影"(かのじょ)をも退けると叫びながら誓う

    片やその結果に一瞬唖然としたものの
    今日の"負け"という方程式の解を導き出し
    そして"勝つ"ための数式を組み立て
    "影"(かのじょ)を超える速さを証明せんと誓う

  • 9二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 23:24:23

    そんな二人の決意と誓いを受け取りながら
    彼女は観客側の方を向く
    声援を送ってくれた人に手を振り
    自らを導いてくれた人に微笑む
    そして自身を見ていた好敵手達の方を向くと
    闇夜を閉じ込めた漆黒の髪から覗き込むように


    次ハ、アナタ達ダ———


    そう語るように月光の如く輝く瞳が
    好敵手達を冷ややかに睨み付ける

    周囲を包み込む"影"のような威圧感
    そして突き抜けるようなその眼光が
    何より彼女に纏う"何か"が
    眼前の好敵手達を威圧する
    得体の知れない"それ"を感じ取った者達は
    身をすくめ、顔を青ざめさせる

    だがそれでも
    臆する事なく彼女を見据える者がいた
    超えてみせると闘志を燃やす者がいた
    負けないと強く思う者達がそこにいた

    その意思を目の当たりにした彼女
    絶対に負けないという意思の表れなのか
    それとも更なる好敵手達に胸躍らせているのか
    大胆不敵に笑みを浮かべていた

  • 10二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 23:24:53

    闇夜を表したかのような長髪
    夜に光輝く月のような瞳
    摩天楼の名を冠する"漆黒の幻影"
    そのウマ娘の名は———


    ———マンハッタンカフェ


    "影"と共に彼女が駆けるは長距離
    それは摩天楼が広がる月夜の迷路
    その場所に一度迷い込んだら最後
    "幻影"に惑わされ、闇を彷徨い、
    "光"に届かぬ者は"影"に飲み込まれる
    そして彼女がこの迷路を駆け抜けるその時まで
    摩天楼の月夜が明けることはない———

  • 11二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 23:25:42

    画像のカフェを見た瞬間浮かんだ怪文書を一つ
    以上、駄文失礼しました

  • 12二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 23:26:34

    良いぞ

  • 13二次元好きの匿名さん24/01/14(日) 01:46:22

    >>12

    ありがとう

  • 14二次元好きの匿名さん24/01/14(日) 11:27:47

    スレ画の映画楽しみだなぁ

オススメ

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