【ネタバレ有り】ゲゲゲの謎 庚子に片思いし続けたモブ裏鬼道がいたら Part2

  • 1二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 19:48:05

    モブの裏鬼道の1人が護衛としてなんとか庚子さんを幸せにするために書いた妄想の続き

    前スレではスレ打ち時間間に合わなくて諦めてハーメルンで小説にしたけどなんか前スレが途中までの状態なのに動画にされてたんで悔しく再開です

  • 2二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 19:48:35
  • 3二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 19:50:30

    乙米「もうあれの限界まで猶予はありません。庚子、早く時弥を連れてきなさい」

    来て早々乙米様は反論は許さないとばかりの剣幕で庚子様へと迫る。先日以上の雰囲気にいつもの庚子様ならたじろぎ頷いてしまっていたかもしれない

    庚子「お断りしますわ、お姉さま」
    乙米「なっ!?」
    長田「!」

  • 4二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 19:53:22

    いつも気弱な庚子様ではないような平時の乙米様にも負けぬ凛とした佇まい。まっすぐに乙米様の目を見て異を唱えたその姿には子を護る母親としての姿が見える

    庚子「あの子は私の子、あの子が当主となるからといってむざむざそちらへ渡すつもりはありません。管理不足と言うのなら尚更に私は私の手で行います!」

    庚子「私が当主の母となるのなら、立場をわきまえてくださいますよね、お姉さま」

  • 5二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 20:04:21

    まさか庚子様がここまで反論し自分の立場を強く見せるようになるとはこの場にいた全員が予想外だった。故に乙米様も長田様も動けず呆気にとられ俺もその姿に見惚れるばかりだった

    モブ裏「がっ!?」
    庚子「モブ裏!?」
    乙米「そのまま取り押さえてなさい長田。まさか庚子がここまで反抗的になるなんて……。一体何を吹き込んだのかしら」

    俺は一瞬で長田様に床に転がされ取り押さえられていた。見下してくる乙米様の視線には侮蔑の色が、そして長田様の顔には余計な事をしてくれたなという苛立ちが見えている

  • 6二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 20:10:59

    モブ裏くん…名前とりあえず付けない?割とキャラ立ってて好きだから

  • 7二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 20:15:33

    >>6

    彼に名前付けた小説は既にハーメルンで投稿してるんでこっちにはダイジェストだしいいかなって……

    とりあえず次から小説と同じ名前でいきますね

  • 8二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 20:16:23

    恐らく俺が庚子様を唆しこうまで変えた原因だとでも思っているのだろう。とんだ勘違いだ、彼女が変わったのは彼女自身の意思と母親としての想い、つまり本人の力だ
    俺などという話術も得意ではない使用人風情が変えられるわけが無い

  • 9二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 20:23:02

    庚子「待ってください!端場は関係ありません!私が私の意思でこうしたのです!」
    乙米「この男が唆していない証拠などどこにもありません!しばらくこの男には謹慎を命じます。長田、きちんと躾け直しなさい」
    長田「はっ、申し訳ありません」

    先程までの庚子様の凛とした様子は見る影もなく取り乱している。大丈夫です、庚子様。すぐに戻りますから、それまで、少しの間だけ時弥様の看病をよろしくお願いします

  • 10二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 20:31:17

    庚子「待って!彼を連れていかないで!端場!端場ぁ!」
    だからそんな泣きそうな顔をなさらないでください
    端場「申し訳ありません、庚子様」
    貴女にそんな顔をさせてしまって
    庚子「端場ぁ!」
    俺は必ずまたすぐ戻ってきますから

    長田様に連れていかれた俺は本邸にある罪人を入れる為の牢の中へと入れられた
    そうして牢の中で縛られた俺は庚子様を唆した罪という形で飯も水も与えられず躾という名の暴力を同僚達から受けることとなる

  • 11二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 20:40:09

    長田「お前ならもう少し上手くやると思っていたんだがな」
    端場「げほっ、おさだ、さま……」

    俺を見下ろす長田様の目は冷ややかだ
    けれどどこか同情染みた憐れみの色も入っているように感じるそれに気をとられていた俺の腹に長田様の容赦ない蹴りが突き刺さる

  • 12二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 20:49:00

    端場「がっ!?」
    長田「この大事な時に余計な事をしてくれたな!ただの村人だったならMの材料にでもしていたがお前にはまだ裏鬼道としての仕事が残っているんだぞ!」
    端場「ぐっ!?ぁっ!?も゛うじわ、げっ!?あり、ま、ぜん……」

    時麿様、丙江様を亡くした乙米様に余計な心労を負わせた苛立ちもあるのか、何発も蹴りを入れられ血を吐きながら芋虫のようにのたうちまわり謝罪をする俺に周りの同僚達も笑いまたしばらく躾は続けられた

  • 13二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 20:57:27

    どうにかして庚子と時ちゃんと3人で逃げてくれ

  • 14二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 20:58:50

    いつの間にか意識を失っていた俺は辺りを見回すと既に長田様や同僚達は牢からいなくなっていた
    他に仕事もあるうえこの緊急時、俺なんぞに構ってる暇もあまり無いのだろう。いつもより長田様の蹴りに力に入っていたのも頷ける

    端場「庚子様も時弥様もご無事だろうか……」

    自分の事なぞよりも今はお二人の事だけが心配だ……

  • 15二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 21:00:50

    そこから恐らく丸一日以上、正確な時間はわからないが牢の中で放置されていた俺の下に近づく気配を感じ身を起こすと屋敷でもよく見かけたねずみ顔の雇われ小僧が牢の中を覗きこんでいた

    ねずみ「探しましたぜ端場の旦那。さ、どうぞ出てくだせえ」
    端場「お前は……。誰の差し金だ?」
    ねずみ「庚子様でさぁ。今は乙米様も村長様らもいねえんで今のうちにと」
    端場「わかった、恩に着る。こいつは俺からも駄賃だ。くれぐれも他に漏らさないでくれ」
    ねずみ「うひょ〜!ありがとうごぜぇます!」

    錠を開けてくれた小僧に懐の財布から紙幣を数枚手渡すと小躍りする小僧に庚子様の場所も聞くと身体に走る痛みも無視して庚子様の下へと急いだ

  • 16二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 21:03:14

    因みにこの時洋館ではゲゲ郎vs裏鬼道のバトル中
    ねずみ男はその日の朝に水木に沙代からの考三との面会場所の手紙を届けに来た所を庚子さんに見つけられました

  • 17二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 21:19:17

    端場「庚子様!」
    庚子「端場!良かった、生きてて、本当に……!ああ、でもこんなにも傷が」

    長田家に軟禁されていた庚子様の下に辿り着くと彼女は目に涙を浮かべて俺に抱きついてきた
    傷が痛むがそんなのは関係無い。彼女の身体を受け止めて抱きしめその無事を確認する

  • 18二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 21:32:24

    端場「私の事はいいのです。それより庚子様も時弥様もご無事で?」
    庚子「私は大丈夫、貴方に誑かされて一時的に乱心していただけと家で謹慎させられていただけだから。それよりも時弥が!時弥が屋敷に連れていかれてしまって!」
    端場「! 俺が煎じた薬は昨夜は飲ませていただけましたか?」
    庚子「いいえ、何を仕込まれているかわからないと貴方の作ってくれた薬は捨てられてしまったわ。やっぱりあの薬でないと不味いの?」
    端場「……俺が与えていた薬は一時的に霊力を高める裏鬼道にも伝わる薬でした。ここ数日の時弥様の不調は術かなにかによるものと考えそれへ対抗する為に飲ませていたのです。ですが、それが無いとなると少々不味いかと」

    ※薬についてはオリジナルです。近場に河童やら妖怪はいるからそいつらの一部を材料にする薬とか裏鬼道なら持ってそうなので

  • 19二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 21:48:26

    薬の効果と俺の考えを聞いた庚子様の顔が青くなる
    俺も一体何者がどういった術をかけているのかはわからないがこのままでは時弥様の命そのものが危ない
    呪詛返しを行うことも、既に呪詛返しを行っているからこそ追加で行うことの難しい長田様に頼むことも出来なかった俺が出来た苦肉の策が薬だったが今から用意して間に合うかどうかもわからない

    庚子「そうだわ、時麿兄様の部屋!お父さまから直接教えを受けてたあの人の部屋なら何か解決策があるかもしれないわ!」

  • 20二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 21:51:05

    端場「……確かに。私の知らない術が書かれた物があるかもしれません。では急ぎましょう、いつ幻治様達が屋敷へ戻るかもわかりません。では、失礼を」
    庚子「え、きゃっ!?」

    庚子様と共に屋敷へ向かうと決めた俺は庚子様を横抱きで抱きかかえ太陽が落ち始めた道を駆ける
    逸る気持ちを速度に変えそれでも庚子様が苦しくないよう細心の注意を払いながら俺は屋敷に急ぐ

  • 21二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 21:58:35

    続きを期待

  • 22二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 22:00:30

    庚子「止まって、端場。時麿兄様の部屋、誰かいるわ」
    端場「この気配は……沙代様でしょうか」

    いつもよりだいぶ人の少なくなった屋敷に忍びこみ時麿様の部屋まで進むが中に人の気配を感じ注意しながら襖を開き中を確認する

    沙代「庚子叔母様!?なんでここに……」
    庚子「沙代さんこそ、ここで何をしているんです?ここは時麿兄様の部屋ですよ」

    謹慎させられていることも知っていたのだろう。予想外の人物が来たことに驚いてる沙代様だが彼女もここで何か調べていたのだろうか

  • 23二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 22:06:53

    沙代「……お母様には内密にしていただけませんか」
    庚子「私達もここに調べ物があって来たのです。沙代さん、あなたも探していたのなら知りませんか?時麿兄様の記した本に「庚子様!」え……?」

    庚子様を抱きしめ庇った背中が熱い
    沙代様から出てきたあれは狂骨なのか?
    とにかく今は逃げないと間違いなく殺される!

    沙代「お母様から命じられてきたんですね……。あなたも、私の邪魔をするなら!」
    端場「ぐ、ぅっ……!庚子様一旦退きます!」

  • 24二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 22:18:41

    突然の沙代様の暴走に呆然としている庚子様を再び横抱きにし煙玉で煙幕を放ち沙代様が怯んだ隙に屋敷の奥へと逃走する。あれに追いつかれたのならまず間違いなく俺は勝てない。庚子様も殺されてしまう。それだけは避けなければいけない
    傷から流れ出る血も囮としてどの道を通ったかもわからぬようにいくつもの床や壁に垂らしなんとか撒いたであろうと判断した所で手近な部屋に入りそこでようやく庚子様を降ろした
     
    端場「はぁ……はぁ……ここまで来れば、ひとまずは、大丈夫かと……」
    庚子「と、とにかく貴方の血を止めないと!包帯、包帯を探して、いえこの着物を割けば……」
    端場「大丈夫ですよ、念の為、薬と共に持ってきておりますので……。ですが、巻くのを、手伝っていただいても……」
    庚子「わ、わかったわ!」

  • 25二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 22:28:58

    上の服を脱いで庚子様に手伝ってもらいながら傷口へと止血薬を塗り包帯を巻いていく

    庚子「端場!貴方こんな馬鹿な事をして!こんなにも血を流して……私を庇って、貴方が死んだらどうするのよ……」
    端場「はは、申し訳、ありません……。ですが、それならそれで本望かと……」
    庚子「馬鹿!私は貴方も時弥もいない世界なんて嫌よ!」

  • 26二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 22:33:32

    なんとか沙代から逃げられたか…でも一度見られたからには隙あらば殺そうとするんだろうな…

  • 27二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 22:37:03

    応急処置でしかないが痛み止めの丸薬も呑み少しは動けるようになったと判断すると傷だらけになった上着を着直し庚子様へと頭を下げる

    庚子「それで、どうするのこれから。お姉様どころか沙代さんにも出会すわけにはいかなくなったのなら時麿兄様の部屋にまた行くのも危険になってしまったわ」
    端場「………私としては、今は一種の好機ではないかと思っております」
    庚子「まさか、この村から逃げるつもりなの……?」

  • 28二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 22:39:33

    端場「結界が破られても、張り直された後でも逃げるのは遅いのです。この混乱の最中、裏鬼道も出張り監視の目が少なくなっている今ならたとえ逃げても見つかる可能性は絶対ではありません。時弥様は私が助けに向かいますので貴女1人だけでも」

    破られれば狂骨に、張り直された後なら裏鬼道に、どちらにせよ今を逃せばこの村を脱し逃げ切れる道はない

  • 29二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 22:50:02

    庚子「……私も逃げ出せるならこんな場所からは逃げ出したいわ。でも、それは時弥も貴方も一緒でなければ嫌。あの子を取り戻して貴方と、3人で逃げるの」

    ああ、わかっていた。彼女がこういう人だとは
    だがだからこそ俺は命を賭ける価値がある

    端場「承知しました。時弥様を取り戻し共に出ましょう、この村を」

  • 30二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 22:54:36

    庚子「窖の底、時弥はそこにいると?」
    端場「予測ですが、一番可能性は高いかと。結界を張り直すにも術に慣れていない者ならば直接その場に行く必要がありますので」
    庚子「でもそこにはお姉様や……あの人も」
    端場「ええ、ですから先に降りていったと見えるよそ者、水木ともう一人の男を味方に引き入れます。時弥様には心を許していたあの2人なら事情を話せば聞き入れてくれるかと」
    庚子「沙代さんは……?」
    端場「……賭けになってしまいますが、時弥様を救う、これをわかってもらえるように説得する他ないですね」

  • 31二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 22:57:15

    気がつけばもう外は夜の帳が降りていた
    結界の限界も近い筈なのに夕刻を最後に止んだ龍哭きの揺れに怪訝に思いながらも辺りを慎重に伺い庚子様と共に窖に続く道のある工場の入口へと入っていく

    すぐに降りるつもりだったが地下で何か強大な気配を感じそれが無くなりしばらくしてから降りてみればそこはむせ返るような血の匂いの中、地獄絵図が広がっていた

  • 32二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 23:00:38

    庚子「お、お姉様……幻治さんも……」
    端場「…………」

    乙米様も、長田様も、裏鬼道も、ここに務めていた村人達も、全てが血の海に沈み事切れた死体となっていた
    死体にはどれも幾つもの噛み跡が見られその歯型は人間、いや屍人にされたMの材料達のものによく似ていた

    俺は死体達を一瞥しそのうちの1つを別の死体のすぐ側に移動させると庚子様の方へと振り返る

    端場「行きましょう、庚子様」

  • 33二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 23:08:10

    庚子「で、でもお姉様達は……」
    端場「ここでは全員を埋葬する時間も場所もありません。時弥様の事を考えるなら急ぐべきです」
    庚子「そう、そうよね……ごめんなさい、お姉様」

    震える庚子様は顔を青く今にも吐きそうになっていた
    ここに着くまでよりも弱々しくなった足取りでも一歩踏み出したその身体を抱き寄せて支え開かれたままの扉の先へと進む
    長田様、せめて今は乙米様と共にお眠りください
    俺もそのうちそちらに行きますから

  • 34二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 23:16:51

    長い長い鳥居の続く道を行く
    少しでも早く着くためにと今日何度目かもわからぬ横抱きで庚子様を運び駆けるが通常時ならともかく疲労困憊の怪我人である今の状態では思うように速度も出ない
    支え続ける腕も力が入りづらくなってきた
    痛み止めも切れてきたのか身体中の傷が痛む
    けれどこの方を、あの子の下へ届けなくてはと、俺などどうなってもいい、それでも庚子様と時弥様を会わせるまではと走り続ける

  • 35二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 23:19:48

    そうして走り続けようやく窖の底へと入る為の門が視界に入ったその時 鏡の割れるような音と共に魂にまで響く息の根も止めるような凄まじい咆哮が響き思わず脚を止めてしまっていた

    庚子「は、端場……い、今のは……端場?」
    端場「お逃げください、庚子様」
    庚子「え……」

  • 36二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 23:22:23

    庚子様を降ろし元来た道の方へと促す
    俺はその場で門の方へと向き直る。さっきまでの熱に浮かされたような頭から熱が抜けるように冷静な思考が戻って来る

    端場「もう時間切れです。結界が破られた以上ここにも狂骨は来ます。さぁ、お早く」

    薄々わかってはいたことだ
    工場のあの凄惨な跡、幼い時弥様が結界を張り直せる可能性、よそ者2人が結界の維持なぞ手伝ってくれるわけもないこと
    本当に庚子様の事を思うならばあの提案をした時に無理やりにでも外へ連れ出してしまえば良かった
    けれど俺は連れてきてしまった
    時弥様という希望を捨てきれさせず騙すようにここまで連れてきてしまった

  • 37二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 23:25:43

    端場(庚子様と共にいられる時間を少しでも伸ばしたいと浅はかな欲望が出てしまっていたか。主想い人を死地に連れてくるなんて本当に愚かな男だな俺は)

    端場「約束も守れぬ不忠者で申し訳ありません。どうか貴女1人でも生き延び──庚子様?」

    パシンと乾いた音が響く
    庚子様の顔を見れば泣いている。けれどその怒りも怯えも混じった表情はお側に侍るようになって初めて見た顔だった

    庚子「馬鹿言わないで!今さら私1人で逃げられるわけがないでしょう!私1人、生き延びたところで……なんの意味があるっていうのよ……」
    端場「庚子様……」

  • 38二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 23:37:04

    因みに今さらだけど端場のイメージはFGOの一ちゃんの第二再臨
    他の裏鬼道はうぉほうぉほ言ったりそもそも長田以外人語喋ってるシーンが少なすぎてああいうタイプの想像が出来なかったんや

  • 39二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 23:40:30

    庚子「私の味方であり続けるって言ってくれたじゃない……なら、最期まで一緒にいなさいよ……」

    何も言えなかった
    俺を抱きしめ泣く彼女の幸せを祈りながらも俺は彼女の心を汲もうともしなかった
    やはり俺では彼女を幸せにすることは出来ないのだろう
    それでも俺は──

    端場「申し訳ありません、庚子様」
    庚子「端場──」

    俺を抱きしめる彼女の身体を抱きしめた

  • 40二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 23:44:03

    本当の忠臣ならそれでも生き延びてほしいのだと彼女の心を拒みここで彼女を突き離すのだろう
    彼女に未来を残すのが正解なのだろう
    それでも俺は最期まで共にいてほしいという彼女の願いを手にとってしまった
    これも俺の浅ましい欲望のせいだろう
    ずっと共にいたいと思っていた、ずっと一緒になりたいと思っていた、ずっと──愛を告げ結ばれたいと思った人の言葉を無下に出来る筈もなかった

  • 41二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 23:47:33

    端場「共に逝きましょう、庚子様。死した後は亡霊となってでも時弥様を見つけ出してみせます。ですが私は元より地獄に落ちる身、見つけ出したその後も貴女と共に行くことは出来ないでしょう」
    庚子「大丈夫、私も龍賀の娘でありあの子の母。探すのも地獄へ行くのも一緒よ」

  • 42二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 23:49:09

    自分の頬にも涙が伝う
    死後も貴女と共にいれる
    そんな救いをこんな外道に堕ちた自分に与えてくれるというのか
    夢ならばこの時間を覚まさず永遠に過ごしていたい
    けれどもう終わりが近づいている
    聞こえるのだ、門の向こうから怨みのこもった狂骨達の声が
    ならば夢の終わりにせめて最期にこれだけは伝えねば

    端場「庚子様、長年あなたをお慕いしておりました。私──いえ、俺はあなたを愛しています」
    庚子「ええ、私も。あなたを愛しています、薬人」

    あの日見た見惚れるような美しい笑みを浮かべ俺と庚子様の唇は重なり──

     

     

    怨嗟の声の中俺の意識は闇に途切れた

  • 43二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 23:50:10

    こっからは明日ハーメルンで予約投稿してる分の文章を乗せてきます

  • 44二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 23:51:19

    やっと庚子も愛し愛されたんだこれ以上の幸福があるか…この村の中では十分だなって思う

  • 45二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 23:51:57

    庚子「端場……もう眠ってしまったの……?」

    冷たくなった彼の身体を狂骨達に奪われないよう抱きしめ続ける
    口付けをしてくれた時の体温はもう彼には残っていない
    彼の喉笛から流れた血が私を汚しその冷たさが彼の死を物語っていた

  • 46二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 23:52:35

    どうして主従愛であり悲恋ってこんなにいいんだろうな

  • 47二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 23:54:59

    私の身体にも狂骨達が群がるけれど龍賀の一族だからだろうけど霊力により殺されてはいない
    それでも影響はもちろんあり先程まで走馬灯のように思い出していた彼との思い出が少しずつ失くなっていく感覚がある

    庚子「孝三兄さんみたいにする気なのね……。でも、私はいや。彼との思い出は、薬人の事は忘れたくない!」

    彼の重くなった身体を引きずるように崖まで運んでいく
    共に死のうと約束したことまで忘れる前に、なにもかも失う前に私は逝くしかなかった

  • 48二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 23:56:13

    そんな時に1体の狂骨が私にまとわりついていた狂骨達を追い払い私の身体に恐る恐る触れて涙を流しはじめた

    狂骨「カア……サマ……」
    庚子「時弥?時弥なの?」

    こくりと頷く狂骨に右手を伸ばし抱きしめた
    死んでこんな姿になってそれでも私を助けようとしてくれた我が子に涙が止まらなかった

  • 49二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 23:59:23

    庚子「ごめんね!お母さん貴方を守れなくて!迎えに来るのが遅くなって、本当に……ごめんね……!」
    時弥狂骨「ウウ……ウアアアア……!」

    共に涙を流し謝りながら抱きしめる
    けれどそんな状態でも他の狂骨達はまた集まってきてしまっている
    私は時弥から離れると端場の身体を抱きしめたまま崖の淵に立つ

    庚子「時弥、私もすぐに逝くから待っててね」
    時弥狂骨「カアサマ……!」

    最期に笑って私の身体は彼を抱きしめたまま深い深い谷底へと落ちていく
    そんな落ちる中でも愛する彼とあの子との記憶を思い出せるだけ思い出しながら

    ぐしゃりという音と共に私の意識は闇に途切れた

  • 50二次元好きの匿名さん24/01/16(火) 00:05:05

    これにて昭和31年の哭倉村でのお話はおしまい

    水木ともゲゲ郎ともほぼ会わず歴史の流れには殆ど影響もしない

    ただ1人の女を救いたいだけの物語、お聞きくださりありがとうございました


    今回最後に書いた庚子視点の哭倉村での端場との生活等はこちらのページの小説で明日公開させていただきます

    明後日には現代視点を少しと設定やもしああしていたらどうなっていたか等も公開しますのでご興味があればどうぞ

    https://syosetu.org/novel/335089/

  • 51二次元好きの匿名さん24/01/16(火) 00:08:45

    >>50

    乙です!素晴らしい作品をありがとうございました。龍賀の中では三女推しだったのでとても嬉しかったです!

  • 52二次元好きの匿名さん24/01/16(火) 00:14:34

    >>51

    最後までお聞きありがとうございました

    ここの掲示板初めてでちょっとした妄想程度のあれで始めたんですがなんとか書ききれて良かったです

    結界や狂骨の事を知ってる共犯だったとしてももう少しましな最期にしてあげたかったですからね

  • 53二次元好きの匿名さん24/01/16(火) 00:15:26

    >>50

    過去ログから前スレ見て「庚子さんこれからどうなるんだ…」思ってたので

    まさかの続きが読めて嬉しかったです!

    とても良かった。

    乙でした

  • 54二次元好きの匿名さん24/01/16(火) 00:21:33

    >>53

    過去ログの方だと自分の執筆スピードが間に合わなくて続きを掲示板で書く気になれなくて小説だけ書いて放置しておりました。申し訳ありません

    こちらこそ読んでいただき感謝です

    庚子さん視点での幸せだった日常シーンも明日ハーメルンで17時に投稿するので良ければ是非

オススメ

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