メジロマックイーン×♀トレSS 『一心同体』

  • 1マックちゃんの夢女子22/01/13(木) 00:21:54

    マックイーンの夢女子になりたい衝動を抑えられずにSSになりました。
    ちょっと長いかもです。

  • 2マックちゃんの夢女子22/01/13(木) 00:22:30

     眠い。とてつもなく眠い。
     回らない頭を叱るようにコメカミをグリグリと指で押す。当然鈍痛が走るが、眠気はさっぱり消えてくれない。
     ここ最近、眠れない夜が続いていた。ベッドに横たわっても妙に頭が覚醒して寝付けない。明け方あたりに少しだけまどろめたかと思うと、アラームの音で叩き起される。
     日中は日中で重く鉛のようなぼんやりとした眠気がまとわりつき、思考と行動を邪魔する。
     ノートパソコンの画面では表計算ソフトが一時間前から全く変わっていないことが、事務作業が捗っていないことを雄弁に物語っていた。

  • 3マックちゃんの夢女子22/01/13(木) 00:22:52

     「ああ、ダメだ。珈琲でもいれよう」
     マグカップにインスタントコーヒーの粉をいれる、スプーンに山盛りで三杯。お湯を注いで出来上がったものはただただ苦いだけの黒い液体だった。
     少しでも頭を覚醒させようと、顔をしかめながらそれを啜る。
     マックイーンが来るまでに少しでも煩雑な事務作業を進めておかないと。彼女のトレーニングにこちらの不調が影響することがあってはならない。彼女の使命のため、彼女の隣に並び立つためにも頑張らなければ。
     結局、彼女がトレーナー室にやってきた時点でも仕事は大して進んではいなかった。

  • 4マックちゃんの夢女子22/01/13(木) 00:23:51

     「──ということで、第4コーナーの手前からロングスパートをかけていくことを特に意識しながら次のレースまでトレーニングしていこうと思う」
     トレーニング前の事前ミーティング、昨晩眠れない時間を使って仕上げたトレーニングメニューをマックイーンとともに確認していく。
     「なので、今週マシントレーニングの割合を多くしていこうと……、マックイーン?」
     メニューが表示されているタブレットではなく、こちらをじっと見つめる視線に気づき顔を上げる。そこにはマックイーンの不安そうな顔があった。
     トレーニングメニューになにか不備でもあっただろうか?

  • 5マックちゃんの夢女子22/01/13(木) 00:24:18

     「どうかした?」
     「トレーナーさん、大丈夫ですか?ずいぶんとお疲れのようですが、それに……」
     マックイーンが私の目を覗き込むように顔を近づける。アメジストのような綺麗な瞳、白磁のような美しい肌、ビロードのようなたおやかな髪。それらが全て眼前にある。同性でありながらも彼女の美しさにはドキドキする。
     「お化粧で隠していますが、目の下にクマがありますわね?」
     マックイーンの指が私の頬を撫でた。私は平静を装いながら肩をすくめる。
     「最近ちょっとだけ寝不足気味で……。でも心配しないで、指導には影響ないから」
     「しかし……」
     「大丈夫だって、っと、もうこんな時間だ。今日も練習がんばろうね」
     無理に笑顔を作って言葉を遮る。この程度の不調で彼女に迷惑をかけるわけにはいかない。
     ジャージに着替えに行くマックイーンの背中を見送ってから、デスクに残った冷めきったコーヒーを飲み干した。
     冷たく、苦く、渋く、黒い液体に私は再び顔をしかめた。

  • 6マックちゃんの夢女子22/01/13(木) 00:24:47

     「そこからスパート!コーナーで速度を落とさないように気をつけて!!」
     多少の眠気はあるものの、今は変に頭が覚醒している感じだ。立ったままうたた寝する。なんて醜態は見せたくない。
     マックイーンがゴール板を駆け抜けると同時に手元のストップウォッチを止める。悪くないタイムだ。手元のタブレットを操作して直近のタイムと見比べる。このまま調整していけば次のレースも問題なさそうだ。
     まだ余裕がありそうだから坂路ダッシュを数本してもらったあとにもう一度タイムを計ってみよう。そう伝えようとマックイーンに駆け寄る。
     数歩歩いたところで、右足がめくれた芝に引っかかった。
     普段なら体勢を立て直すのだろうけど、今の私にはそんな判断力はなく、前へと身体が傾いていくのを他人事のように受け入れていた。
     (手を出す?間に合わない?左足を前に、もう遅い、肩から倒れる?痛いかな?)

  • 7マックちゃんの夢女子22/01/13(木) 00:25:30

     そんな思考と重力に任せて倒れていく身体が途中で止まった。
     思わずつむっていた目を開けると、目の前には、さっきと同じようにマックイーンの姿があった。倒れる寸前に前から抱きかかえる格好で抑えてくれたのだろう。私の脇の下に背中に手を回して抱きしめられていた。
     あの一瞬で駆け寄ってくれたのか。スパートをかけさせた後だというのに、手間をかけさせてしまった。
     ウマ娘のフィジカルの強さに驚きつつお礼を言おうと顔を上げる。

  • 8マックちゃんの夢女子22/01/13(木) 00:25:56

     「マックイーン……さん?」
     そこにあったのはミーティング中に見せた不安げでこちらを慮るような表情……、ではなく、彼女としては珍しい怒った表情だった。
     「ご、ごめんね。ちょっと芝の凹みに足を取られちゃって」
     マックイーンはその表情のまま私をじっと見つめる。
     顔が近い。思わず目をそらす。鼻をマックイーンの汗と髪の心地よい香りがくすぐる。
     「お怪我は?」
     「えっ?ない、かな?大丈夫」
     「そうですか、それでは本当のトレーニングはここまでにしまょう」
     と仏頂面のまま、マックイーンは私の膝裏へと手を入れて抱き上げた。
     いわゆるお姫様抱っこである。

  • 9マックちゃんの夢女子22/01/13(木) 00:26:25

     「マッ、マックイーン!?」
     コースには他にトレーナーもウマ娘たちもいる。衆目の中、そんなもの関係ないとばかりに私をお姫様抱っこしたままマックイーンはコースの外へと歩き出す。
     「待って!?何で?もう大丈夫だよ?私?」
     「いえ、正しく言うならば。本日はもうトレーニングはしたくありません」
     「!?」
     しまった。彼女を怒らせてしまった。体調管理の出来ないトレーナーだと失望させてしまっただろうか。それとも他になにか気に障ることでもあっただろうか。
     どうしよう、どうすれば、どうしたら。
     頭の中をぐるぐると後悔の念が渦巻く。
     なにか言おうと口を開くよりも前に、マックイーンが言葉を発した。

  • 10マックちゃんの夢女子22/01/13(木) 00:26:52

     「トレーナーさん、前に申し上げましたわよね?私たちは『一心同体』だと」
     「う、うん」
     確かに彼女は私に『一心同体』になる覚悟はあるか?共にメジロの名を背負う覚悟はあるかと問うて、私は受け入れた。それはあの時から今までも一度取りとも忘れたことはないし、これから先翻すつもりもない。
     「『一心同体』であるならば、今のように自分のことをかえりみずに無理をなさるのは、すなわち、私にも同じことをしている。そうは思いませんか?」
     そこまで言って、マックイーンは子供をあやすような優しい顔をした。
     「トレーナーさん、もっと私に気をかけてくださるように、ご自愛なさってください」
     お姫様抱っこされた状態で見上げる彼女は、いつもよりも凛々しくてかっこよくて美してくて。
     私は恥ずかしさと嬉しさと申し訳なさで泣きそうになった顔を見られないように、タブレットで顔を隠した。

  • 11マックちゃんの夢女子22/01/13(木) 00:27:19

     「ごめんね……」
     「謝るところではありませんわ」
     「うん、ありがとう、ね」
     「ふふ、今日はトレーナー室でゆっくり致しましょう」
     「ところで、マックイーン」
     「はい、なんでしょうか?」
     「お姫様抱っこ、恥ずかしいから、降ろしてほしい、な?」
     マックイーンは足を止め、私をまたじっと見つめた。数秒見つめあったまま無言の時間が流れる。
     「お断りしますわ。私に心配をかけさせた罰です。このままトレーナー室まで運びますわ」
     あえてゆっくりと、イタズラっぽい笑みを浮かべながらまた歩き出す。
     「待って、マックちゃん。年下の女の子にお姫様抱っこされるのって結構恥ずかしいの。周りの目もあるし」
     「いーえ、やめませんわ。今日は思う存分、私がトレーナーさんを労わってさしあげますわ」
     私の白バの王子様は、そう言ってまた私に微笑みかけてくれるのだった。

  • 12マックちゃんの夢女子22/01/13(木) 00:28:48

    以上です。

    昨晩は大荒れの天気でしたが皆さまいかがお過ごしでしょうか?

    私は誰がなんと言おうとも書きたい物を書いていく所存ですゆえ、これからもよろしくお願いいたしますね。

  • 13二次元好きの匿名さん22/01/13(木) 00:30:38

    ええぞ!ええぞ!昨日何があったか知らんがどうでもいい!
    マックちゃんは永久にトレーナーとイッチャイッチャするんだよ!!

  • 14マックちゃんの夢女子22/01/13(木) 00:33:31
  • 15二次元好きの匿名さん22/01/13(木) 06:26:54

    朝っぱらからとんでもない威力のスパダリマックちゃん急所に食らっちまった…
    どハマりしそうで怖いけどまたゆっくり読み直しに来るわ

  • 16二次元好きの匿名さん22/01/13(木) 07:11:56

    マックイーン×♀トレの火を絶やすな

  • 17二次元好きの匿名さん22/01/13(木) 11:57:33

    マックイーン×♀トレは健康にいい

  • 18二次元好きの匿名さん22/01/13(木) 19:41:37

  • 19二次元好きの匿名さん22/01/13(木) 20:00:45

    スパダリマックイーンはもっと流行らせろ

  • 20二次元好きの匿名さん22/01/14(金) 00:39:31

    某所で改善点がほしいと書かれていたので書かせてもらいます

    (邪魔なら消してもらってOKです)


    内容は好きです

    ただ、印象としては1~4までの導入で躓いてて、>>5以降を見てもらえない可能性があって、その点でもったいなく思いました

    読者側の頭の中でシーンが再生されるまで時間がかかりそうな感じです


    ・1レス目のインパクトが弱い

     どんな概念やシチュエーションを語っていくかをここに書いても良い

    ・最初の文(2)で誰視点か分からない

     眠いのが誰なのか、少し読まないと分からない

     タイトルを見ていても、マックなのかトレーナーなのかで2択までしか絞れない

     いっそ3の「ああ、ダメだ。珈琲でもいれよう」を2の文頭に持ってくるとかして、誰の話かをすぐ分かるようにしてもいいかも

    ・4のセリフ内で読点がもっと欲しい

    ・4でセリフが誰のものなのかが分かりづらい。最初のセリフ直後にある地の部分が長いせいで、誰が主語なのかが分かりづらい。

    (改案)

    「~(トレーナーのセリフ)」

    トレーニング前、マックイーンとトレーニングメニューを確認していく。昨晩仕上げたメニューを見ながら、寝ぼけた頭を振り絞る。※とりあえず短文2つに分けて、動作の主体を明らかにする。

    「~マックイーン?(トレーナーのセリフ)」


    5以降はスラスラ読めていい話だと思いました

  • 21二次元好きの匿名さん22/01/14(金) 00:40:43

    素晴らしい

  • 22二次元好きの匿名さん22/01/14(金) 00:41:31

    >>20

    深夜なのに的確なアドバイスありがとう

    もう少しがんばってみるよ

  • 23二次元好きの匿名さん22/01/14(金) 00:42:45

    マックイーンにお姫様だっこさせるのに10レスは長い
    唯それだけ、それが全て

  • 24二次元好きの匿名さん22/01/14(金) 00:44:13

    読み応えある

  • 25二次元好きの匿名さん22/01/14(金) 00:53:17

    このレスは削除されています

  • 26二次元好きの匿名さん22/01/14(金) 01:15:08

    シチュや後半の展開好き、マックちゃんカッコいいよね。

    某スレでアドバイス欲しいと言ってたので上のと被らないように言うと前半部分ほとんど削れると思う。
    理由は、トレーナーの体調不良の描写に使うよりも短くまとめたほうが読者は読みやすいし、6から読んでも違和感がない。極端な言い方だけど違和感がないってことは無くても関係ない
    見せたい部分がお姫様抱っこならなおさら前半部分はもっと削って見せたい部分を盛るほうが良いと思う。

  • 27二次元好きの匿名さん22/01/14(金) 10:01:27

    個人的にはもうちょっと空白、少なくとも地の文とセリフの間は開いてるともっと見やすく感じるかな?
    上の人も書いてるように導入へ時間をかけててそこが取っ付きにくいんだけど、間隔を整えるだけで段違いにするする読めるようになるよ

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