黄金千界樹を背負い挑む聖杯戦争 終局

  • 1二次元好きの匿名さん24/01/18(木) 19:06:46

    聖杯戦争の終結
    その最後に全てのちゃぶ台を返してみせた聖杯戦争の主催者にして、かつての帝国の魔術師イザーク・ゴットハルト……奴の望みはかつて聖杯戦争を戦い散ったと言うサーヴァント・天草四郎から継承した「全人類に天の杯」をと言うものだった
    その為に様々な細工を施し今正にその願いのために全てを利用して王手をかけた

    しかし、その時思いもよらぬ方向から刺客が訪れるーーー

    聖杯を賭けた戦い……俺の黄金樹の復活を賭けたその戦いの全てに、決着をつける時だ……!

  • 2二次元好きの匿名さん24/01/18(木) 19:08:22

    建ておつ

  • 3二次元好きの匿名さん24/01/18(木) 19:09:15

    建て乙

  • 4スレ主24/01/18(木) 19:09:49

    過去スレ一覧

    【悲報】どうして……|あにまん掲示板俺は幸運にも最優のセイバーを引き当てた。さらに幸運な事にとても強力なサーヴァントだ。けれど聖杯戦争で油断は出来ない。まずは他のサーヴァントと戦って各陣営の戦力を測った。真名迄は把握し切れていないけど戦…bbs.animanch.com
    千年樹を継いで挑む聖杯戦争代2局|あにまん掲示板俺はユグドミレニア再興を賭けて聖杯戦争に挑んだが、特に悪いことをして……して……ないのにいきなりアーチャー、ランサー、ライダー、キャスター、バーサーカーの5陣営に同盟を組まれてしまい、一気に四面楚歌に…bbs.animanch.com
    黄金千界樹の未来を背負い挑む聖杯戦争 大3局|あにまん掲示板ユグドミレニア復興を目指して10年の月日を費やし、この聖杯戦争に挑むセイバーのマスターだ。戦いは過酷で、アサシンを墜としたばかりに他の陣営全てからロックオンされてしまう。何度も死にかけるが、キャスター…bbs.animanch.com
    黄金千界樹の未来を背負い挑む聖杯戦争 第3.5局|あにまん掲示板ユグドミレニア復興を目指して10年の月日を費やし、この聖杯戦争に挑むセイバーのマスターだ戦いの中、突如各陣営を襲撃した正体不明の魔獣共俺達は辛くもそれを退き、その正体と黒幕の調査を行うこととなるーーーbbs.animanch.com
    黄金千界樹の未来を背負い挑む聖杯戦争第4局|あにまん掲示板キャスターのマスターが仕掛けたイレギュラー。屍神ゴルゴーンをアーチャー、ライダー陣営と手を結び何とか退けたセイバーのマスターだしかし、聖杯戦争なら訪れた脅威を排除したところで俺達なら置かれた状況は変わ…bbs.animanch.com
    黄金千界樹の未来を背負い挑む聖杯戦争第4.5局|あにまん掲示板あ、ありのまま起こったことを話すぜ突然スマホが異常を吐くわ仕事で変なところに飛ばされるわで更新が途絶えてしまいました突然の事で俺も何がなんだかわからなかったが申し訳ない漸く更新出来るようになった様なの…bbs.animanch.com
    黄金千界樹の未来を背負い挑む聖杯戦争第5局|あにまん掲示板ランサー陣営を斃し、残るはアーチャーとライダー。あの2人は恐らく協力して此方と戦うつもりだろうランサーとの戦いで受けたダメージは回復しきってはいないが、これ以上の猶予を与えてくれるほど向こうも甘くない…bbs.animanch.com
    黄金千界樹を背負い挑む聖杯戦争 第六局|あにまん掲示板あの女、容赦無く殺しに来やがった予めセイバーの用意した蘇生のルーンが無ければ死んでいたアイツはこの程度は織り込み済み何だろうがな!だが、終わるわけにはいかない。俺には一族の未来が掛かっている!半ば勝手…bbs.animanch.com
    黄金千界樹を背負い挑む聖杯戦争 第七局|あにまん掲示板聖杯戦争はここに決着となったセイバー……シグルドでなければ勝ち残る事は叶わなかっただろう。セイバーには感謝しているそして、まもなく聖杯を手にするわけだが……元々勝つ事が目的。大した願いは持ちわせていな…bbs.animanch.com
  • 5スレ主24/01/18(木) 19:11:44

    なんとかやっております
    まだ本文はお待ちを……
    コレから仕事が……永い夜になりそうだ……

  • 6二次元好きの匿名さん24/01/18(木) 19:12:34

    お仕事頑張って下さい!

  • 7二次元好きの匿名さん24/01/18(木) 19:12:56

    頑張れ!

  • 8二次元好きの匿名さん24/01/18(木) 19:18:39

    取り敢えず埋め
    待ってます!

  • 9二次元好きの匿名さん24/01/18(木) 19:19:59

    10まで

  • 10二次元好きの匿名さん24/01/18(木) 19:20:22

    保守完了

  • 11二次元好きの匿名さん24/01/18(木) 22:59:51

    夜保守

  • 12千界樹の記録24/01/18(木) 23:58:04

    血が滴り、心臓が鼓動を止める中、イザークの中にはつきぬ疑問が螺旋を描き巡り続けている
    自身に油断は無く、付け入る隙もなかった筈ーーー

    そう、イザークに油断も慢心も存在しない。だからこそ、その意識を彼等に割きすぎていた
    彼等だけを見過ぎていた
    油断しなかったからこその見落とし
    自身の背後にも、敵対する可能性があった事を見逃していたのだーーー
    「済まない。どうも背中がガラ空きだったのでね。つい手癖で心臓を抜いてしまったよ」
    悪びれる様子をかけらも見せることのない、それでいて誠意に満ちた謝罪の言葉を述べる男の声
    イザークの背後に立ち、その背中を貫いた人間ーーー言峰神父はあの鉄面皮から、微かに口角を上げた表情で、まるでこの状況そのものを愉しんでいるかの様な雰囲気を滲み出させている
    「言峰……!貴様ッ、何故!?」
    「こうも背中と隙を魅せられては、つい手が軽くなってしまうのも致し方あるまい」
    術者に異常が生じたことにより、動きが乱れる騎士と魔獣。戦いの中でそれは余りにも致命的な隙となり、至極当然の帰結として、魔獣はシグルドの魔剣に斬り刻まれ、4体の騎士はルーナと凌我によって討ち果たされる
    聖杯の鼓動と駆動音のみが暗い洞の中に響く
    「言峰神父……」
    ルーナの小さい呟きが、嫌に良く届く。明らかな慮外の自体。凌我も、マルグリットも、シグルドさえこの状況に驚きを隠すことのできない中、彼女だけは表情に驚きの色はない。彼女はこの中で誰よりも「言峰神父」と言う人物のことを知っていたが故
    「何故だ……ッ、私との約定は……」
    「『聖杯戦争の間、互いに如何なる敵対行為を禁ずる』確かにその約定故、私はお前に手が出せなかった」
    幾ら個人的なつながりがあろうとも、魔術師と聖職者は仇同士の間柄。例え個人的な親交があっても次の瞬間には殺しあってもおかしくは無い。その為にイザークは言峰神父との間に「敵対しない」と言う約定を設けたのだ
    だがーーー
    「魔術師に対して耳に説法だろうが、言の葉には気をつけ賜え」
    「な、に……?」
    言峰神父は重々しい口調の中に、堪えきれない愉悦の色が滲んで溶け出している
    「他ならぬお前が口にした言葉だ『聖杯戦争は終結した』ーーー覚えておくといい。日本には、「口は災の元」と言う言葉もある」
    最後の方には、もはや堪えきれぬのか嗤いの息遣いが乗り出していた

  • 13二次元好きの匿名さん24/01/19(金) 00:11:26

    なんというか言峰らしい

  • 14二次元好きの匿名さん24/01/19(金) 07:38:38

    保守

  • 15二次元好きの匿名さん24/01/19(金) 17:00:51

    夕方保守

  • 16二次元好きの匿名さん24/01/20(土) 03:31:00

    保守

  • 17千界樹の記録24/01/20(土) 09:57:25

    自身の望みに王手を賭けたその直後ーーー自身が口にした言葉が原因でアッサリと望みを砕かれる
    満貫成就を目の前にしてそれを砕かれると言うのは、成程
    「人の……悪い神父、だな」
    文字通り胸を貫く様な痛みを感じながら、イザークは言葉を紡ぐ。感嘆するほど鮮やかに、綺麗に心臓を貫かれ破壊された。此処まで完璧にやられては最早如何なる魔術も、及ぶまい
    芸術的とすら言えるほどに綺麗な不意打ちで、確実にターゲットを抹殺する。実に代行者に相応しい手際と手腕。これ程の芸当、同じ代行者であるルーナには到底真似できない領域の技だろう
    「本来ならば、裏方に徹するべきなのだがねーーー今回は例外と言うものだ」
    言峰神父は、実に愉しそうな笑顔を浮かべていたが、例外と言う言葉を口にした瞬間、その笑顔はなりを潜め、どこか遠くを見る様な目をして語る
    「天草四郎ーーー我が義兄の遺しモノであれば、例え仮だとしても、身内の私が出張らなければならないだろう」
    一度は目を背け、逃げる様に距離を置いた身としては、特にーーー。呟く様に、懐かしむ様に語る言峰神父。そして、その語りを終えると共にイザークの胸を貫く手を抜き去る。拳大の穴が空いた胸は、栓を失った事で多量血が一気に流れ出る
    「……なるほど……なぁ」
    イザークは糸の切れた人形の様に力無く崩れ落ちる。意識があるのは偏に魔術刻印が強制的に彼を生かしている故だろう。肉体は既に死んでいるも同然。ただ魔術師として、コットハルト家が積み重ねられた歴史が、彼を死なせてくれないだけだ
    それも、もう長くは保たないだろうが……
    「……だが、ゴホッ……それでも勝ったのは私だ」
    仰向けに横たわり、胸元は同然、口元からも多量の血が溢れて頬を伝い地面を赤く染める
    咳き込むのは溢れる血が気道に入り込むからだらうか。最早死に体の身で尚、勝ち誇る様に言葉を放つイザーク
    「聖杯は既に私の願いを聞き届けた……ゴフッ……ッ、間も無く、天の杯は起動し……新たな世界が拓かれる……」
    「……」
    「我が友……シロウ……私は……」
    手を上に伸ばし、何かを掴もうと虚空を握りしめるイザーク。あの嘗て大戦を越え、聖杯大戦を見届け、その上で友の意志を継いで駆け続けた半生。その最期に、彼はその願いに手を届かせることが出来たのだろうかーーー
    それは、誰にも分からない

  • 18二次元好きの匿名さん24/01/20(土) 15:31:26

    昼保守ー

  • 19二次元好きの匿名さん24/01/20(土) 22:02:59

    保守

  • 20二次元好きの匿名さん24/01/21(日) 07:37:10

    朝保守

  • 21二次元好きの匿名さん24/01/21(日) 17:54:20

  • 22二次元好きの匿名さん24/01/22(月) 00:03:48

    保守

  • 23二次元好きの匿名さん24/01/22(月) 08:07:48

    保守

  • 24二次元好きの匿名さん24/01/22(月) 18:34:29

    保守

  • 25千界樹の記録24/01/22(月) 21:49:58

    「珍しいわね。貴方が態々出てくるなんて」
    ルーナが言峰神父へと声をかける。言峰は先程までの愉悦を滲ませた表情から一点して、普段の鉄面皮を再び被った様に元に戻っている
    「勿論、普段の私はあくまで裏方の存在だ。しかし、今回は特別でね」
    フッ、と少しだけ自嘲するような笑顔を見せた神父は、ルーナ達4人へと向き直る
    「今回の聖杯戦争、主催者の依頼で私が派遣されたが、嘗ての聖杯大戦で大聖杯に「天の杯」を、願ったのは天草四郎時貞……私にとっては義兄に当たる人物だった」
    「ハ?サーヴァントが、兄弟?」
    極自然に流された情報にマルグリットが反応した。それはそうだサーヴァントは主に過去の人間。偉業を成したか、祀られた事によって召喚された人を越える存在なのだから、言峰の言葉は明らかに異常であるのだが……何の事はない
    「そう思うのは至極最もだ。嘗て冬木で行われた最後の聖杯戦争……第3次聖杯戦争において、彼は父……璃正の養子となった」
    過去を回想する様に語る言峰神父。その表情は懐かしそうなものではなく、もっと淡白に昔の事を思い出しているように見えた
    「仮にも英霊になるほどの人物だ。養子に迎えた父の想いは分からなかったが、私と顔を合わせるのは何度もするべきでは無かった」
    言峰の内側に秘めたモノ……。その中に存在する感情を言峰は知りながら秘めたままその中に答えを求める事を辞めていた
    だが、英霊である天草四郎。その観察眼は言峰の内側を暴きかねなかった
    そして、彼自身は知らなかった事だが、天草自身も言峰の内にあるモノを察して、関わりを避けていた
    それもあって2人は殆ど関わりを持つ事は無かった。言峰は世界へと旅立ち、天草は計画の為に暗躍を始めていた。そして、聖杯大戦が始まった時も、言峰は冬木にはおらずイタリアの片田舎で、ある少女と出会っていた
    「そして、聖杯大戦の結末を聴き、一度は終わったと、思っていたのだがな」
    「イザークが、まさか天草四郎と繋がっていたなんて夢にも無かったがな」
    「私自身、彼に出会う迄はそんな事は梅雨ほどとも思っていなかったよ……」
    天草の写っていたナチの集合写真。その中に写り込んでいた顔写真の人物と瓜二つであった。それを思い出して内心の警戒度を引き上げた。そして、彼が聖杯戦争における監督役を引き受けてほしいという具申が教会に入った時に、私が敢えて立候補したのだ

  • 26スレ主24/01/22(月) 21:51:55

    これまで保守してくれていた皆様、有難うございます
    最近仕事で徹夜続きで執筆が遅くなりました
    三徹は辛すぎる……

  • 27二次元好きの匿名さん24/01/23(火) 02:08:32

    夜保守。三徹お疲れ様でした………

  • 28二次元好きの匿名さん24/01/23(火) 08:14:56

    >>26

    お疲れ様です

  • 29千界樹の記録24/01/23(火) 13:47:51

    「父の遺した仕事の後始末の為であったが、よもやこの様な結末を迎えるとはな」 
    「全く……初めから全部知ってて私を放り込んだのね?」
    「君の力ならば勝ち残るとまでは行かずとも生き残る事は十分に可能であると思っていたよ、ルーナ」
    軽口を交わすルーナと言峰神父。その間に、凌我は斃れたイザークへと近づく
    「ふむ……死体漁りは感心しないな」
    「吐かせ。用があるのはこいつだけだ」
    イザークの骸。その胸元から例の十字勲章を取り出す。恐らく、コレがなければあの聖杯にアクセスすることができないのだろう。全く、厄介な事をしてくれた
    「それで……どうするの?先輩」
    「決まっている。この聖杯は破壊する他はない」
    そう、イザークの言葉が真実ならばもう時をおかずに天の杯が起動し、第三魔法が世界を満たす。それを止めるためには、完全起動前にこの聖杯を破壊してしまうより手段はない
    しかしーーー
    「ただ破壊するだけでは意味がない。せっかくだ。多少でも活用できるならするさ」
    と、聖杯近づきもう一度接続を試みる。聖杯を如何とするのは、まずは今一度聖杯の状態を確かめてからだろう
    「やれるの?」 
    「気をつけてね」
    「ああ」
    聖杯の前に立ち、今一度接続するのだ
    「……ーーー」
    意識が、聖杯へと引っ張られる。ほんの僅かの瞬間、意識が途絶えーーー
    「ーーーふぅ」
    気がつくと、先ほどと同じ何も無い空間へと辿り着いていた。その視界の先には、変わらずあの女神像も存在している。随分な回り道をしたような感覚と共に、歩みを進めて女神像の前に今一度立つ
    手を伸ばし、聖杯との接続を試みる。今度は前と違って、あの十字勲章が握られていた
    『アクセスーーー認証』
    気味の悪い機械的な女性の声が響く。聖杯への接続を成した瞬間、一気に視界が開けたような感覚と共に、聖杯の全てを確認することができるようになった
    「……やはり、願いの変更は不可能か」

  • 30千界樹の記録24/01/23(火) 20:38:33

    既にイザークによって入力され、必要な演算が進んでいる。此処まで来てしまっていては入力された願いの変更はまず不可能と見て間違いない
    その証拠に、幾ら願いを弄ろうとしてもすべて弾かれてしまうっている
    最早直接願いを止める術は、この聖杯の破壊以外に存在しない。だが、それは同時に意図的に大事故を引き起こす事を意味する
    (聖杯は霊脈に繋がっている。このまま破壊すれば確実に膨大な魔力が逆流してーーー)
    この土地そのものが吹き飛びかねない。そうなっては未曾有の大災害を引き起こしかねず、神秘の隠匿にも致命的な支障が生じてしまうだろう
    残された時間はわずか。その間にーーー
    (願いそのものを弄れないなら、魔力経路をどうにかする!)
    聖杯と繋がる霊脈、その経路を変える。とは言っても言葉程簡単な作業では無い。人体に例えるなら心臓から動脈へ流れる血を止めずに他の動脈へ血流を移すようなモノだ
    素早さと精密さが求められる。幾ら精密な魔力操作を得意とする凌我出会っても、至難の業なのは自明
    さらに、時間も残されておらず、一つのミスが文字通り何もかも吹き飛ばしかねない。聖杯の回路と霊脈が、火がついた導火線の様に見える。聖杯を通して近くの霊脈から可能な限り遠くまでの霊脈を悉く逆流しない様に繋いでいく。とんだ迷惑行為だが、今回ばかりは許して欲しい
    (だが、コレでも賭けな事には変わりないがなーーー!)
    この場にあるのは半ば意識のみの存在だと言うのに、嫌な汗がとめどなく流れていく。刻々と進む時間の中で、焦らず、あくまでも冷静に魔力の流れを操縦していく
    そしてーーー時間はもう限界点を越えたーーー
    「ここまでかーーー!」
    最早天の杯が起動する秒読みに入り、完全にあらゆる操作が遮断されてしまう。最早できる事は全てなくなった。後は祈るしか無いだろう
    操作が全てできなくなると同時に、この空間に意識を繋ぎ止めることも出来なくなっていく。あっという間に女神像から意識が遠ざかっていき、真っ白い空間に、黒い影が侵食し出すーーー
    「ーーーハァッ!」
    意識が現実へ引き戻される。どうやら精神だけでなく、肉体にも相当な負担が掛かっていたらしく、魔術回路をなぞる様に体が弾けて血が吹き出しているらしい。意識が復帰した途端に全身を駆け巡る激痛が此処が現実の世界であると強制的に自覚させた
    「凌我君!」
    「先輩!!」

  • 31二次元好きの匿名さん24/01/24(水) 00:03:57

    ほっしゅ

  • 32二次元好きの匿名さん24/01/24(水) 09:17:07

    保守

  • 33千界樹の記録24/01/24(水) 15:00:21

    膝が崩れて地面に突くのを、両脇から怖い女2人に抱えられて、持ち直す。そしてすぐ側にはセイバーがやって来ていた
    「マスター。守備の方は?」
    「なん、とか、な……最低限、できる事、は……やったさ」
    息を切らしながらもセイバーの問いかけに応える。後は、何もかもを彼に託すしか無い
    「相わかった。では此処からは当方の仕事だな」
    セイバーは3人を庇うように聖杯の前へ立つ。聖杯の輝きはどんどん増していき、鼓動の様に明滅を繰り返していた。間も無く、天の盃が起動するだろう  
    それを防ぐ為には、普通に攻撃しただけでは足りないだろう。特にこの聖杯には自立防衛機能が存在している。少なくとも、この場にいる魔術師が総攻撃したとしても聖杯を機能停止にするまで破壊し尽くすには攻撃力も時間も足りないだらう。それこそサーヴァントの、更に高位ランクの宝具を用いなければならない
    それこそ、セイバー。シグルドの有する「壊劫の天輪」ならば聖杯を完全に破壊するには申し分ない威力となるだろう
    しかし、それだけの破壊力の宝具を膨大な魔力を内包する聖杯に叩き込めばどうなるか等、最早いうまでも無い。確実に爆発的な魔力の奔流が炸裂し、この場ーーー地下洞所か直上に存在する教会すらも吹き飛ばし、その中にいる存在は何もかも消滅してしまうだろう
    それは、この場に残るセイバーも含めて……
    「……済まない、セイバー……っ」
    そして、それはセイバーに死を命じるのと同義。魔術師である彼にとって、それ自体は特別躊躇う様なことではないが、それでもこれまで共に運命共同体として戦って来た存在であることには違いない。堂々と、セイバーにそれを告げるのは憚られるというもの
    「気にするな、マスター。貴殿のお陰で、当方はほんの刹那ではあるが、望みを叶えることが出来たのだから」
    この戦いの報酬としては十分だと、セイバーは3人に背中を向けたまま、そう語る。その背には言葉の強さを裏付ける様に一切の迷いも悔もない、清々しさすら感じられた
    「当方にこれ以上の望みがあるとするならば。マスター、貴殿のこれからに多くの幸がある事を望むだけだ……マスターを頼む」

  • 34二次元好きの匿名さん24/01/24(水) 23:58:47

    保守

  • 35二次元好きの匿名さん24/01/25(木) 08:04:15

    朝の保守

  • 36二次元好きの匿名さん24/01/25(木) 19:07:52

    夜保守

  • 37二次元好きの匿名さん24/01/25(木) 23:58:38

    保守

  • 38二次元好きの匿名さん24/01/26(金) 10:26:37

  • 39千界樹の記録24/01/26(金) 13:34:35

    「ええ、任されたわ。ありがとう、セイバー」
    「先輩!急いで!」
    2人に支えられながら、重い足取りで地下洞を後にする凌我達3人。長い階段を登り、協会の外へ出る。それでもまだ距離をとった方が良いと、更に教会からも離れ行く
    「此処まで……来れば、問題ない、だろう」
    ルーナとマルグリット。2人に支えられながら此処まで来た凌我であるが、既に体力も魔力も其処を突き、肉体を駆動させる傀儡の術もとうにその力を失い、今の彼は瀕死の肉袋も同然である。先程からルーナが治癒の秘蹟を用いているものの、防衛装置との死闘に加え、イザークとの戦闘に聖杯への介入
    既に限界を超えていた
    重傷の身で更に魔力すらも使い果たしたのだ。普通ならば死んでいても何ら不思議ではない。当主として受け継いだ神水流の魔術刻印が無ければ、とうに力尽きていただろう
    「……もう、大丈夫だ」
    「凌我君」
    「まだフラフラなのに何言ってーーー」
    2人の言葉を振り切る様に一歩前に進む凌我。マルグリットの言う通り、足元が覚束ずフラついている
    当然だ。血も体力も魔力も、何もかもが今の凌我には不足している。辛うじて魔術刻印がその力で強制的に生かしているだけの身体。いつ崩れてもおかしくはない
    しかし、それでも尚1人で立ち、真っすぐに教会を見据えている。その瞳には、一体何が映っているのだろうか
    凌我は徐に右手を持ち上げる。最後の令呪、それが刻まれた手の甲を前に向けて高く、頭上へ伸ばす。これはケジメだ
    最後まで戦い抜いたからこそ、後は濁さず、何一つ遺す事なく綺麗に終わらせる。全てに決着をつけるために、いざーーー
    「令呪を以て、告げるーーー!」
    最後の一画、雪の結晶を模った様な令呪の一欠片が紅く煌めき、その魔力を解き放った
    「此処に厄災を、聖人の願いを焼き尽くせ!!」
    これが、最後の命令。その意図するところを、セイバーならば確と捉えてくれるだろう。厄災を以て、聖杯を破壊する。これで何もかもが終わる
    長い様で短かった戦いの幕が、降りる
    (……なあ、セイバー)
    ーーー俺は、お前に相応しいマスターだったか?

  • 40二次元好きの匿名さん24/01/27(土) 00:42:11

    保守

  • 41二次元好きの匿名さん24/01/27(土) 11:21:06

  • 42千界樹の記録24/01/27(土) 21:46:12

    マスター達3人がこの場を後にしてから幾許か。シグルドは聖杯を目の前にして1人魔剣を片手に瞑想していた
    亜種聖杯戦争。嘗て失われたと言う真なる万能の願望器たる大聖杯。そのシステムが流出した事によりそれを模した劣化品による「亜種」聖杯戦争が頻発する様になった当世において、よもやそのオリジナルに限りなく近しい、模造の聖杯を使った聖杯戦争に自信が招ばれたとは、正に望外の幸運であっただろう
    そして、己を召喚せしめたマスターもまた、話に聞く魔術師とは似つかわしくない人物であった
    『力を貸して欲しい。俺は、この聖杯戦争に勝つ』
    開口一番に告げたその言葉に込められた熱意には、一瞬とはいえ圧倒されたことは記憶に新しい
    そこから始まった長い様で短い戦いの日々。マスターとその方針は徹底して王道に、正面から敵を叩きにいくスタイルで、各陣営に挑み確実に情報を得てからの撤収
    サーヴァントたる己の力に任せた力押しではあるが同時に自身の力をもってすれば最も効率の良い戦法なだけにマスターは間違ってはいなかった
    ただ、マスターの未熟だろう。大分後のことを考えなかったのか。戦術的に優先すべきだとアサシンを斃した時点でこちらの戦力が他全ての陣営に知れ渡ることとなり、残りの5陣営が全て同盟を結んだと知った時にはそれはそれはすごい表情を浮かべていた
    『俺何も悪いことしてないよな!?』
    『当方が思うに、各陣営に対する威力偵察とアサシン陣営の打倒、3日の内に成し遂げればこうなるのも致し方ないと思うのだが』
    あの時のやりとりも今は懐かしい
    バーサーカー、キャスター、ランサー、ライダーにアーチャー。皆得難い敵ばかりであったこの聖杯戦争。マスターが彼だったからこそ、自身は此処まで戦い抜くことが出来ただろう
    サーヴァントとマスター。この短い期間の中で、我らはある種理想的な関係を築く事が出来たと思っている
    「ーーー来たか」
    マスターも安全圏に避難できたのだろう。令呪を通して莫大な魔力と命令が自己に入力されたのを感じた
    『厄災を以て、聖人の願いを焼き尽くす』
    即ち、我が全霊の宝具を以て、この模造の聖杯を撃ち砕く
    憂は無い。逡巡も無い。聖杯を破壊すれば内部に貯蔵された莫大な魔力の逆流を一身に浴びる事になるだろうが、そんなことはもはや瑣末事。どの道宝具を全霊で放てば既に限界を迎えているこの霊基。反動で今度こそ確実に消滅するだろう

  • 43二次元好きの匿名さん24/01/28(日) 08:40:49

    保守

  • 44二次元好きの匿名さん24/01/28(日) 16:58:40

    このレスは削除されています

  • 45千界樹の記録24/01/28(日) 20:54:23

    魔剣が脈動し、内包する魔力が溢れ出す
    莫大な魔力が碧刃より引き摺り出され、太陽の魔剣、その本領が顕になる。莫大な魔力が文字通り太陽の如き灼熱を放ち、その輻射熱で洞窟の床や壁面にまで熱が伝わり、融解を始める。模造聖杯から放たれる魔力には遥かに及ばないものの、1人のサーヴァントが持つ魔剣が放つ魔力としては余りにも破格に過ぎるものである。魔剣を中心に密閉空間であるはずの洞内に灼熱の風が吹き荒る、
    サーヴァント、シグルドの有する宝具は対城宝具。純粋な破壊力で言うならば最上級クラス、その中でもさらに上澄みに入るだろう威力に該当する。それこそ、眼前の聖杯を粉々に撃ち砕かんとする程の力を発揮するだろう
    同時に、膨大な魔力を制御する為にシグルドの霊基が崩れ出す。灼熱の魔力流が吹き荒れる中、足元から徐々に消滅が始まっていた
    しかし、シグルドはそんな事には頓着ていない。そもそも、本来ならばとうに消滅している筈のダメージを受けていたシグルドをここまで繋ぎ止めていたのはシグルドの根性と意志の力によるものだ。エーテルの肉体を繋ぎ止める意志を全て宝具の発動に費やせば、肉体の維持が出来なくなるのも当然の事
    しかしそれも、この刹那に全て使い切って仕舞えば何もかも問題はないのだからーーー
    「太陽の魔剣、選定と栄光を司る王の剣よ、智慧の大神、災いの力、その身で破壊を巻き起こせ!!」
    魔剣の柄を握り締め、文字通り太陽の如き輝きを放ち、それは聖杯の光にも負けることは無い光芒を放つ。大神の知恵、炎、戦士の王、竜殺し
    大英雄シグルドの全身全霊、その力を一身に受け止め、その真名が示す通り破壊と災いの化身となって解き放たれる力ーーー
    「ーーー『壊劫の天輪』!!」
    解き放たれた一撃は、正に破滅と厄災の渦。宝具発動の余波でシグルドの足下、その周囲迄も赤熱化、石造りの洞窟が溶け出す程の灼熱を放つ魔剣がその真価を発揮する
    太陽の魔剣。溢れ出す極大の魔力の奔流が荒れ狂う炎の嵐となって聖杯に叩き込まれる。その暴威に対して聖杯が自動的に防衛装置が働き、外部からの攻撃に対する防御壁が展開される
    その防御性能は非常に高く、現代魔術師がいかなる手段を用いても破壊することは困難を極め、サーヴァントの攻撃であろうとそう容易く破壊することは出来ないだろうがーーー

  • 46二次元好きの匿名さん24/01/28(日) 21:26:27

    シグルドの魔剣はいくら聖杯の防御壁と言ってもそれらを容易く打ち破り模造の聖杯を壊すだろうな。

  • 47二次元好きの匿名さん24/01/29(月) 08:04:32

    朝保守

  • 48二次元好きの匿名さん24/01/29(月) 11:18:30

    シグルドのアサシン打倒に対する冷静な評価がじわじわくる
    昼保守

  • 49千界樹の記録24/01/29(月) 12:26:42

    放たれた魔剣が突き刺さる。如何に聖杯の力による防壁だろうが、此処にいるのは北欧最大最強の大英雄シグルド。その膂力から放たれる宝具の力は防壁程度、何枚であろうとも粉砕するだろう
    魔力の壁が砕け散る。魔剣の威容に押し負けた聖杯の壁は無惨にもガラスの様に粉々に砕けて四散する。壁は1枚のみではない。次々と多重に重なり展開される防壁の数は7枚。しかし、そのどれもが厄災の名を冠する灼熱の焔には及ばず太陽の前には皆等しく灼け朽ちるが運命
    その証に見よ、太陽の魔剣は今正に壁を悉く破壊し尽くし、聖杯へと届かせて見せたのだ
    「フゥン……」
    シグルドは今一度拳を握る。宝具の発動に全霊を尽くした今、最早この霊基の消滅もすぐそこに迫っており、肉体の崩壊を止める術も無く、加速度的に身体がほつれ消えていく感覚を覚えているが、意に介さない
    半ば消滅した両足で赫く灼けた地を蹴る。金の光に身を包まれ、身体が粒子となって消えていく最中。戦士の王は己の役目に殉ずるのみ
    「オオオオオオオオオオオ!!」
    飛翔し一度撃ち放った魔剣へと迫る。シグルドの宝具ーーー対城宝具の真価は此処からが本番。聖杯に穿たれた魔剣はシグルドによって引き摺り出された魔力を炸裂させて未曾有の破壊を引き起こすだろう。それ故の対城宝具
    しかし、大英雄シグルドの宝具はそれに留まらない。爆裂する太陽の魔力。普通なら魔剣を中心に広がる灼熱の魔力が、神々の盾すら無き物であるかの様に消滅させる爆縮となるが、シグルドは更にその大破壊に指向性を持たせることができる
    即ち、無差別に大規模破壊を引き起こすだけでなく、単一の目標に、その魔力の全てを一点特化させるのだ。その拳を魔剣に撃ち込むことで成し遂げる宝具の第二開放。これを以てこの聖杯戦争の幕を引こうーーー既に全身の大半が消滅しているシグルドは、尚も拳に力を込める。握った拳の骨が砕け散らんとする程に握り込むが、戦士の王、その肉体の強度はびくともしない
    その膂力と耐久力こそ、シグルドを大英雄垂らしてる骨子の一つ。故にシグルドはこの様な無法とも言える宝具の使い方を断行でき得るのだ
    「ーーーヌゥン!!」 
    黄昏に煌めく拳が、碧く輝く魔剣へ突き刺さる
    光が、閃光と灼熱が世界を包み込む
    何もかもが白き闇へ包まれる刹那。シグルドは想う
    (マスター。此度の戦、貴方がマスターで良かったと、心からの感謝を告げようーーー)

  • 50二次元好きの匿名さん24/01/29(月) 22:28:03

    夜保守

  • 51二次元好きの匿名さん24/01/30(火) 08:40:15

    朝保守

  • 52二次元好きの匿名さん24/01/30(火) 19:26:00

    夜保守

  • 53千界樹の記録24/01/30(火) 22:54:02

    光が、空洞を埋め尽くす。爆縮する灼熱と閃光が模造の聖杯を焼き溶かし、破砕してゆく
    爆光が肥大化し空洞の壁面や天井をも灼熱を孕んだ魔力の奔流が砕いていく
    加速する破壊の波は洞穴を破壊し、直上ーーー教会へと向かう
    洞窟の天蓋を焼き溶かし、教会の床を砕き天井さえ粉砕して行った
    「セイバー……」
    「これで、終わりね」
    安全圏に避難した凌我達マスターだった3人は聖杯が消滅する景色を見届ける形となった
    令呪の跡も何もかもが消えていく。聖杯の消滅は聖杯戦争の完全終結を意味する
    セイバーも宝具の真名解放の反動で消滅するか、または聖杯の消滅に巻き込まれての消滅かは分からないが、セイバーとのレイラインーーー契約の繋がりも消えた
    聖杯戦争の勝者、最後に残された英霊が現世を去り、この戦いが終わる
    「あーあ、これで全部終しまいか」
    マルグリットは大して残念そうな様子は無いが、どこか名残惜しそうに凌我の隣へ歩み寄る
    「聖杯戦争は終結、その結果は俺の勝ち。それは揺るがない結末だ。残念だったなマルグリット」
    「むぅぅ……」
    勝ち誇る凌我に対して悔しそうに唇を尖らせるマルグリット。そこへルーナも歩いて来る
    「それで?こんなに大規模な魔力の逆流や暴走が起きてるけど、大丈夫なの?」
    ルーナの問いも当然だが、それに対して凌我は不敵に笑って口を開く
    「余剰魔力はすべて上に飛んで行く。霊脈や龍脈を通して逆流……いや、流れ込む魔力は無色の魔力じゃ無い」
    「と、言うと?」
    ルーナは得心がいった様に微笑みながら、あえて凌我へと問いかけてみた。凌我もまた、微かに口角を上げてみせた
    「聖杯を使って世界中の霊脈を通る様にした上で、流れる魔力は「天の杯」と言う色に染まった魔力だ」
    詰まるところ、彼ーーーイザークの「全人類の救済」と言う願いに染まった魔力が霊脈を伝い世界中を駆け巡る。その結果ーーーごく短い期間、凡そ一週間の間、大元たる聖杯が無くなった為に不完全であるが第三魔法、天の杯の力を持った魔力。小さな奇跡を起こすくらいの事は可能だろう
    不治の病が治るーーー瀕死の傷を負ったものが生き返る。人々の意識が僅かに良い方向へと向かわせるーーーその程度の奇跡なら起きても不思議では無い

  • 54二次元好きの匿名さん24/01/31(水) 08:05:40

    世界中にささやかな幸福が訪れるようにしたのか。

  • 55二次元好きの匿名さん24/01/31(水) 19:41:08

    保守

  • 56二次元好きの匿名さん24/01/31(水) 19:51:15

    良い終わりだ…ただ、ひたすらにそれしか出ない…

  • 57千界樹の記録24/01/31(水) 20:38:39

    「そんな事……可能なの?」
    「どうかな?実際の所何処までの奇跡になるのかは分からない」
    だけれど、奇跡を求める誰かには、その程度の奇跡は舞い降りてもいいだろう
    奇跡に代償は必要ない。支払うべき物を払って初めて起きるのだから
    払う物べきはーーーとうに支払われている
    「ただ……あの男の願いは正しいものだ。人類の救済……方向性はどうあれ、その願う事を否定する事はできない」
    俺は実際大した人間では無い。あの想い、半世紀以上の時を走り続けた聖人と、その友が夢見た世界を否定出来るだけの想いも意思も持ち合わせてはいない。俺は平凡なな術師でしか無いのだ
    単純に俺の目的に沿わないから叩き潰した。しかし、やはりあの願いは正しい願いだ。ならば、破壊するだけでは実に勿体無い。聖杯を破壊してはいおしまいとするには、余りにも惜しい。だからこう言う使い方をした
    使えるなら、有効に使わせて貰うだけだ。何しろ魔術師なんでな
    彼らの願いの形とは異なるだろうが、それでも流れ出す魔力の恩恵は多くの人を助けるだろう。それで溜飲の一つでも下げて欲しい
    そう語る凌我の身体は、いつのまにか傷が塞がり始めていた。これも、霊脈に流れ込んだ魔力の恩恵だろうか
    「……聖杯戦争は終わった。もうここに居る理由もない」
    と、言葉では言うものの、彼の瞳は碧き焔に包まれた光の柱を捉えて離さない。聖杯戦争の最後、セイバーとの別れを惜しんでいるのだろうか。その真意は彼女達には分からない
    「そう……」
    「以外にロマンチストなんだ、先輩」
    2人は凌我の側に寄り添う様に頭を傾ける。凌我も成されるがままにそれを受け入れ、光の柱を見つめ続けていた
    やがて、天から雪の様に舞い降りる魔力の残滓。ゆらゆらと光の粒子の様に地面へと落ちては消えていく
    振り続ける煌めきの雪景色の中、彼等は何時迄も、昇る光を眺めていた

    夜が明け、太陽が中天を過ぎた頃ーーー
    彼等は最後の身支度を整えて空港に居た
    「じゃ、此処でお別れだな」
    凌我は一つに纏めたキャリーケースを片手にルーナの方へ振り向いた。他の荷物は既に血族の手によって日本へと送られている。ケースの中にある物は魔術礼装や、霊筒作製のための道具が主であった

  • 58二次元好きの匿名さん24/02/01(木) 08:15:05

    保守

  • 59千界樹の記録24/02/01(木) 08:21:26

    「ええ。私は一旦ローマに戻らないといけないから、ね」
    「私も、時計塔に戻らないと」
    マルグリットはリュックサック、ルーナは紙袋と対照的な格好をしている。マルグリットは基本的に着の身着のまま現地調達を主軸にしていた為、手持ちの荷物は少なく、ルーナは元々手荷物を持っていなかったが、空港でお土産を買っていた為に紙袋を手にしていた
    「凌我君はルーマニアだっけ?」
    「ああ。血族の本拠地に凱旋にな」
    そう、過去最大規模と言って良い此度の亜種聖杯戦争。最後の最後でとんだイレギュラーが起きたものの、戦いの結果その者はユグドミレニアの魔術師、神水流凌我の勝利と言うものだ。今頃時計塔でもまた騒ぎになっているだろう
    勝ち誇る様な表情の凌我をマルグリットは無言で睨みつけている。ルーナはそれを面白そうに眺めていた
    「っと、私の便が先か」
    空港のアナウンスを聞いたルーナが電光掲示板に顔を向ける。もうすぐイタリア行きの飛行機が出る様だ
    「それじゃ、名残惜しいけどお別れね」
    「ああ、じゃあなルーナ」
    「もう会うこともありませんので」
    軽く手を振って応える凌我にそっぽを向いてぶっきらぼうに言うマルグリット。「素直じゃ無いんだから〜♡」とマルグリットの頭を撫でるルーナ
    「や、やめてください!」
    「あらん」
    手でルーナを振り払うマルグリット。顔を赤くしてルーナを睨みつけるが、そんな物は彼女には効果はない
    「戯れてると時間なくなるぞ」
    「あ、まずっ」
    ルーナはくるりと踵を返して飛行機の元へ向かおうとして、凌我の前で一度足を止める。彼女の表情は以前別れた時と同じ、優しく涼やかな笑顔を浮かべていた
    「またね、凌我君」
    「ああ、またーーー」
    「ーーーんっ」
    フワリ、と風の様な動きで凌我の頬へ唇を付けるルーナ。突然のキスに固まる凌我とマルグリット。特にマルグリットは「な、な、な……」と目の前で起きた事に対してついて来れなくなっていた
    「フフン。油断大敵よ?」
    「……別に、油断もクソも無いだろう」
    「い、イタリア人め……っ」

  • 60二次元好きの匿名さん24/02/01(木) 08:35:30

    やっぱ爆ぜねぇかな凌駕…

  • 61二次元好きの匿名さん24/02/01(木) 17:53:26

    >>60

    爆ぜる代わりに酷い目には遭ってるから…

  • 62二次元好きの匿名さん24/02/01(木) 22:15:10

    >>60

    サーヴァントは爆ぜたぞ

  • 63二次元好きの匿名さん24/02/02(金) 08:14:35

    朝の保守

  • 64二次元好きの匿名さん24/02/02(金) 18:00:04

    保守

  • 65千界樹の記録24/02/02(金) 22:46:44

    ぐぬぬ、と歯噛みするしか無いマルグリットに対してウインクを返すルーナ。やめろ煽るんじゃ無い
    「それじゃ、またね」
    手を振ってゲートへと歩いていくルーナ。そんな彼女をたっぷり十数秒、ガッツリ睨み付けながら見送るマルグリットだが、ルーナには特に効果は無い。最終的にマルグリットは盛大な溜息を吐いてからゆっくりと向き直る。その表情は普段の3割増しで不機嫌なもの。あーあ、眉間に皺も寄っちゃって
    「……何ですか」
    「……そんな俺を睨むな。穴開くだろ」
    文字通り刺す様な視線を叩きつけてくるマルグリットに肩をすくめて見せる
    いくら俺を睨み付けても暖簾に腕押し。特に意味もない事を悟ったか、普段通りの不機嫌顔に戻っていく
    「……先輩は、これからどうするんですか?」
    と、そんな問いを投げられるが、これから……と言うのは先程の言ったルーマニア云々の事ではなく、もっと本質的な事だろう
    「……ま、ユグドミレニアの復興、その狼煙は上がった。今後は緩やかに勢力が伸びていくだろうし、取り敢えずの目的は達成できたな」
    そう、この聖杯戦争を仕組んだ目的は、ユグドミレニア、千界樹の復興の為に「過去最大規模の亜種聖杯戦争に勝利した」と言う実績を立てる為だ。亜種聖杯戦争の多くは願望器足り得る性能もなく、英霊の魂を集積するだけの容量も無く無惨な失敗に終わることが多い。そんな中行われた今回の聖杯戦争は、それなりに多くの注目を浴びていた筈だ。その戦いに勝利した。最終的な結末は何であれ、その事実が残った以上、血族の魔術師は躍起になってそれを喧伝する
    その効果は時計塔内部でも大きい筈だ
    権力争いに負けた魔術師や、勢力拡大を狙う魔術師、野心と力はあっても人脈やパイプの乏しい魔術師達の受け皿となり探究の大樹となる……そんな未来も、もう遠くない
    血族の再起を掛けて走り続けた十余年。確かに望む物は掴み取ってみせた
    なら……一度立ち止まって、振り切ったモノへ目を向けるのも悪くはないだろう
    「そうだな……少しゆっくりしてから、俺個人の目的の為に動くとするさ」
    雲を掴む様な、それこそこの聖杯戦争の様に終わりの見える物じゃない、果てのない旅路になるかもしれないが
    「果たすべきものもある。これからは俺自身の為の戦いになるな」
    「そう……」

  • 66二次元好きの匿名さん24/02/03(土) 08:38:13

  • 67二次元好きの匿名さん24/02/03(土) 08:39:28

    ああ、妹さんを死徒にしたやつとかそこら辺か…

  • 68二次元好きの匿名さん24/02/03(土) 13:27:23

    >>67

    本編の前に妹と親友亡くしてると言うね…しかもどっちも自分で殺してるみたいだし

  • 69二次元好きの匿名さん24/02/03(土) 22:45:00

    保守

  • 70千界樹の記録24/02/03(土) 23:53:54

    空港の窓の外、遥彼方を見据えている凌我。その視線の先に何を見ているのか、マルグリットには聖杯戦争で知った情報から想像する事しかできないが、その凌我の回答にマルグリットは少し逡巡する様子をみせた。まるで次に放つ言葉を口にするかどうか、迷っている様に
    そして、十数秒程してから……決心がついた様に軽く深呼吸をして、躊躇い気味に口を開いた
    「その先輩の戦いに……ボクは邪魔?」
    彼女が口にしたのは凌我とっては思わぬ言葉。好意を持たれている事は理解しているし、ルーナと妙に張り合ってる節はあったものの、此処まで直球に踏み込んでくるとは流石に予想してなかった。マルグリットの性格的上、此処まで直球に言うのは珍しい。普段の彼女なら気恥ずかがってもっと遠回しな言葉になると思うが……まあその辺は置いておいて
    「……邪魔とは云わないさ」
    真っ直ぐにマルグリットと目を合わせる。今までは、血族の復興、再起の為にと目を背けてきたモノ。聖杯戦争が終わった以上は、もう背けるわけにはいかないだろう
    彼女の想いにはしっかりと向き合ってこちらも言葉を尽くさなくてはならい
    「来たいなら、いつでも待っている。だけど、俺と一緒に生くのなら覚悟をして来い」
    これからの俺の道はいつ終わるともしれない闇の中。雲を掴む様な旅になる
    「ルーナもそうだけどな。お前達の気持ちは嬉しいよ」
    「先、輩……」
    「近いうちにもう一度会うだろう。お前の覚悟と気持ちをもう一度、聞かせてくれ」
    飛行機のアナウンスが聞こえ、俺ももう行かなくてはならない。マルグリットに背を向けてゲートへと歩いていく。背中越しに、マルグリットの声が聞こえてきた
    「ーーー覚悟するのは、先輩だから」
    その言葉を背に、手を振って彼女と別れる。次に会う時が、楽しみだ
    最後の戦いの直前、セイバーと交わしたやりとりを思い出す

    『マスターは彼女達が同時に窮地に陥った た時、どちらか片方のみしか助けられないなら、どちらを助ける?』
    あの時の問いに、俺はこう答えた
    『手が届く方だ。俺は、大した人間じゃないから、その程度でしか誰かを守る事はできない』
    だからこそ、手が届くのならば必ず助ける。これから先、アイツもルーナも、俺の手の届く所に居てくれるなら必ず応える。必ず護る
    嘗ては誰も守れなかった俺だが、次こそはやってみせるさ、セイバー

  • 71二次元好きの匿名さん24/02/04(日) 10:14:38

    保守

  • 72二次元好きの匿名さん24/02/04(日) 20:16:08

    保守

  • 73千界樹の記録24/02/04(日) 20:24:45

    飛行機の中、教会から手配されたチケットではなく、自腹で購入したファーストクラスの座席にてルーナは購入した雑誌を読みながら物思いに耽っていた
    「……フフ」
    (凌我君はこれでユグドミレニアの再起という目的を達成…仕掛けるならこれからって所ね)
    座席のリクライニングを利かせながら、今回の聖杯戦争とその前の戦いの事を思い返していた。神水流凌我と言う人間は目的に対して脇目も振らずに真っ直ぐに突き進む事ができる。更に、ユグドミレニアの再起ーーーそれは彼だけでなく一族の未来を背負っていたから、他のことに目を向ける余裕は無かった
    (でも、その戦いも終わった……)
    千界樹ユグドミレニアとしての戦いが終わり、此処から始まるのは凌我君だけの戦い。ならば、彼にアタックするのなら此処からが本番だ
    凌我君も馬鹿じゃない。私やマリィちゃんの気持ちは当然知っている。ただ、彼自身の気持ちはまだ定まっていない。これからの私達次第でどうとでも転ぶペンデュラムの様なもの
    (今後の神秘の行く末……時計塔と聖堂教会が組織と思想の垣根を越えて協働しなければ喪われるだけ)
    現代は高度な情報化社会。あらゆる場所、人の行動がインターネットを通して世界中に拡散していく。そんな時制において古い考え、古いやり方ではあっという間に神秘は情報の名の下に拡散してその力を落としていくのみ
    故に、個人的な繋がりから組織間へと規模を広げていかなければならない
    「ま、私の私情と情勢の必要性が重なったのも、運命かしら?」
    コレからの時代に必要な事と個人的感情の両立……凌我君は時計塔との繋がりは薄いけど、コレから勢力を拡大していくであろうユグドミレニアとのパイプは有用になるだろうし、今後次第では時計塔の魔術師のマリィちゃんともお付き合で、時計塔とのパイプも確保できる
    一石二鳥とは、凌我君の国の言葉である
    「楽しくなってきたわ……」
    言いながら、足元に置いたバッグから取り出した箱。厳重な封印式の施された箱の封を解除して開ける。その中に入っているものはーーー鉛のコップの様なもの
    「凌我君は薄々気づいていたかもだけど、私の目的はあくまで聖遺物の回収……」
    箱から取り出した物は、模造聖杯の核にして彼女が今回の聖杯戦争に参戦した本来の目的ーーーそう、特級聖遺物「主の口付けられたカップ」である

  • 74千界樹の記録24/02/04(日) 23:07:28

    いつの間に回収したのか、セイバーの宝具によって消滅した残骸の中に残されていたコレを彼女はこっそりと回収していたのだ
    「凌我君には悪いけど、聖堂教会として仕事はしっかりさせてもらったわ」
    軽くカップを指でなぞる。指紋はつかない様にしているが、あまり表に出して良い物でもない。それに、コレはこれて現代では異常な強さの神秘を有している。もし他者の目に入ったら変な面倒事を起こしかね無い。ものに宿る魔力とは馬鹿にはできないのだ
    カップを箱に戻して封をする。ローマにある第八秘蹟会の重鎮達にこのこの聖遺物を渡せば晴れて任務完了。その後はフリーの身の上だ。此処までの大物の聖遺物なんてそうそうは無いし、日本に暫く駐留しようっと
    「うーん。青春って楽しいっ」
    コレからの事を思い描く。この先に待つのは長く、険しい道のり。しかもいつ終わるともしれない、若しくは終わる事はないのかもしれない
    けれど……
    「ま、面倒な男に引っ掛かちゃった」
    コレばかりは仕方ない。惚れた弱みでもあるし、何よりコレからの彼の行く道には私の力は必要だろうし、私も同じ
    「お互いに、私情と状況が重なってるものね」
    だからこそ、この縁は大事に掴み取る。コレからの未来に想いを馳せ、瞳を閉じた

    「……」
    飛行機の中でいつも通り不機嫌そうな表情を浮かべながら映画を見ているマルグリット。聖杯戦争が終わり、時計塔へ戻った彼女は降霊科内でも一目置かれる存在になるだろう
    ある程度自分で望んだ結果とはいえ、面倒なことになるのは間違い無い
    ベタなラブロマンス映画を観ながら、考えているのは今後の事。聖杯戦争で最後の戦いまで残った……少なくとも、時計塔の一級講師よりも脱落が遅いと言うだけでそれなりの評価はされる筈だし、あの憑依術式の事も既に時計塔の知るところになるだろう
    「このまま、少なくても典位は手に入れてみせる」
    そうすれば時計塔でも動き易くなるだろうし、一般学生では閲覧出来ない資料も見れる様になる。そうすればもっと知識を深めて魔術師として力を付けていけば……いずれは先輩をギャフンと言わせられるし、私の家ももっと大きくなる。先輩の隣にもついて行ける
    「本当に、覚悟していてね先輩」
    必ず、いつか必ず吠え面をかかせてみせる

  • 75二次元好きの匿名さん24/02/04(日) 23:10:38

    典位とはまた大きく出たわね、一体どれだけかかるのやら…

  • 76二次元好きの匿名さん24/02/05(月) 10:30:49

    保守

  • 77二次元好きの匿名さん24/02/05(月) 16:21:13

    保守

  • 78千界樹の記録24/02/05(月) 22:28:32

    血族の手回しでファーストクラスに乗れた俺は、快適な空の旅を楽しめた
    ルーマニアの空港を降りて陽の光を浴びる。我らがルーマニアは雲ひとつない快晴の空。太陽が眩しく照らしつけ、眩し過ぎて右手をかざして光を遮る
    陽光の中、翳した手には令呪は、その名残りすら残っておらず、あの戦いが終わった事を嫌でも思い知る
    ーーーまるで、夏に明かされた様な短い日々。夏の夜の夢のようなーーー
    「それでも、人生は続く、か……」
    聖杯戦争に発つ前、時計塔での恩師が呟いた言葉が蘇る
    そうだ、俺の戦いはコレから漸く始まるのだと、自身に言い聞かせるように空港を後にした
    ルーマニアは、イタリアに程近い国ではあるが、流石にあの女の姿は無い
    恐らくもう少し後にはイギリス行きの飛行機が上空を通過するだろうが、その頃には俺はトゥリファスに入っているだろう。血族の主要な人間は集まっていると言う話だったが……おっさんにはなんて言い訳したものか……
    「さて、迎えの方はーーー」
    待つ必要は無かったらしい。目の前に停車する黒い高級車。ドアが開き、中から燻んだ銀色の髪をした女性と男性の一組が降りる。人形の様な造形と無機質な表情をしたコイツらはユグドミレニアの血族、ムジーク家の鋳造したホムンクルスだ
    「どうぞ」
    「ご苦労さん」
    まるで要人の送迎のような扱いだが、コレでもユグドミレニアの中ではそれなりの立場にある神水流家。さらに聖杯戦争優勝者ともなればトゥリファスへ移動中、万が一のの事があってはならないと言う事だ。とはいえ人員は限られている。その為に戦闘用に調整されたホムンクルスを迎えに寄越したのだろう
    人が創り出した人口の生命。人の形をした人ならざる、人の為の生命
    同じ金型を用いて鋳造される人形である故に、皆同じ姿形をし、基本的に自発意識はない
    無い、のだが……
    聖杯大戦の中、何があったのかムジーク家はホムンクルスの叛逆に遭いその立場が一時逆転したらしい
    ホムンクルスが魔術師家系の頂点に立つなんてトンだ面白おかしい出来事もあったものだ
    朝に空港を降り、車に揺られる事半日、漸く目的地のトゥリファスが見えてきた
    ルーマニアの観光地トゥリファス。中世の街並みが殆どそのままの状態で残っている
    「ーーーのが、表向きの街」
    本当の顔は、魔術師が魔術師の為に作り上げた街。何もかもが魔術を利用する事を前提とした千界樹ユグドミレニアの地

  • 79二次元好きの匿名さん24/02/06(火) 08:14:55

    保守

  • 80千界樹の記録24/02/06(火) 12:33:07

    「ーーー凱旋だな」
    車が停車し、ドアが開く。車を降りて勝利の報告と共に、トゥリファスの地を踏みしめる
    目の前に広がる大きな館は、今のユグドミレニアの本拠地。ミレニア城塞に変わる珠玉の魔術要塞である
    「お帰りなさい。凌我君」
    「時計塔から戻って来てたんですね、カウレスさん」
    ユグドミレニアの館の執務室に赴き、ユグドミレニア現当主、カウレス・フォルウェッジ・ユグドミレニアと対面していた。聖杯大戦を生き残った「黒」のマスター。前当主にしてユグドミレニアの創始者、ダーニック・プレストーン・ユグドミレニア亡き後、彼がユグドミレニアを継いで、時計塔に人質として編入する事となっていたが……アレからもう10年の月日が経っているのだ。この人も自由というわけでは無いが、そこまで強く拘束されてる訳でもないらしい
    「アハハ……まあ君が無事でよかったよ。聖杯戦争勝利、まずはおめでとう」
    「ありがとうございます」
    労いの言葉に素直に礼を返す。魔術師としては一流とは言い難い人ではあるが、同時に魔術師らしい人物で、此処までユグドミレニアが存続したのは、この人の時計塔内での立ち回りが大きかっただろう
    「血族内ではもう君の勝利の話が出回っているよ。此処に集まった皆んなも、君の帰りを待っていた」
    「苦労しましたよ。特にオッサンには苦労をかけました」
    「あ、アハハハ……」
    凌我の言葉に苦笑いを浮かべるカウレス。凌我の言うオッサン……先のホムンクルスを作ったユグドミレニアの錬金術師、ムジーク家の現当主とその内情についてはカウレスもよく知っている。だからこそ、今回の聖杯戦争に於ける、聖杯の復元作業の苦労も知っていた
    そして幾つかの事務的なやり取りを交わした後、カウレスはメガネを掛け直す
    「挨拶はこの辺で良いだろう。大広間では宴の準備も始まっているから、主役の君も行ってやってくれ」
    「ありがとうございます。ではーーー」
    一度お辞儀をして、執務室を後にする。あの人には頭が上がらないな
    階段を降り大ホールへ続く扉を開ける。流石にユグドミレニア本拠地なだけはあって扉自体もかなり大きい。魔術で開かなければ苦労するだろうな
    扉の奥は、まさに小さな宴の様な様相であった長いテーブルに様々な料理が置かれ、今もなおホムンクルス達が次々と料理を運んでいた

  • 81千界樹の記録24/02/06(火) 23:14:15

    一同に集ったユグドミレニアの血族。時計塔のお歴々とは比べるべくも無く零落した、又は歴史のない魔術師達の寄せ集め。されど尚根源を夢見るもの、時計塔を見返したいと思うもの、誰1人俯く事なくこの場に集った千界樹の枝
    彼らは既に今回の聖杯戦争勝利を祝した席を始めていたらしい。グラスを片手に談笑するもの。或いは料理を口に運ぶもの。或いは隣の誰かに自らの武勇伝を語り聞かせている阿保もいる
    黄金を目指す面々が思い思いに会を楽しむ中、視線を一身に開いたドアへと向ける
    ドアが開いた向こうに立つ1人の男。それは紛れもなくこの祝いの主役であり、話題の中心人物
    「既に始まってやがる」 
    初めからわかっていた事だが、敢えて口にする。ドアが開いた事でそこに皆の意識が集まり、一瞬静かになった部屋に、凌我の声を皮切りにして歓喜の声が上がった
    模造の聖杯戦争の勝者。黄金樹復興の兆しとなる大きな一歩を踏み込んだ立役者の登場だ。湧かないはずが無い
    「優勝おめでとう!」
    「流石はユグドミレニアきっての秀才。やってくれた!」
    「ああ、見事な戦績だとも。何しろ優勝なのだから」
    皆が口々に称賛の言葉を紡凌我の勝利を祝福する。伊達に血族の期待や願いを背負っていたわけでは無いが、流石にこそばゆい
    「あーあー、その辺にしてくれ。流石にーーー」
    気恥ずかしい。そう言おうとした時、背中にドン、と軽い衝撃が奔る
    ああ、言わなくてもわかる。こんないきなり後ろからハグしてくる様な真似をする人間は血族の中にはあの子しかいない
    「おめでとうございます。お義兄様!」
    「……後ろからは辞めろと言ったろうレミナ。後、俺はお前の兄じゃない」
    腕で軽く振り解こうとすると、それをするりと抜けて目の前に立った、燻んだ銀髪をたなびかせ金色の瞳をもつ、血族の中でも数少ない同年代の少女ーーわレミナ・エルトフロム・ユグドミレニアは満面の笑顔を浮かべていた
    「辞めろと言われても、私達は同じユグドミレニアの家族なのですから、お義兄様は私にとってはお義兄様です!」
    「……はぁ」
    レミナの年齢は18。……生きていれば凪よりも一つ年下の娘であるが、血族の中では歳が近いせいもあって俺を義兄と呼んで慕っている
    本来はもう少し落ち着いた娘なのだが……如何せん聖杯戦争優勝という華々しい功績を持って来た為にだいぶ興奮気味に近づいてきている
    てか近い

  • 82二次元好きの匿名さん24/02/06(火) 23:16:40

    …時系列的にはアスラウグの前日譚になるのかな、…もしかしてこの世界線でのラグナルとアスラウグの触媒って凌駕くんが使ったやつか…!?

  • 83二次元好きの匿名さん24/02/07(水) 09:22:13

    >>82

    それはあるかもね

  • 84千界樹の記録24/02/07(水) 12:19:54

    「それでお義兄様。お義兄様が召喚したサーヴァントは一体どんな英霊なんですか!?」
    グイグイと、ともすればこちらが仰け反らせる様な勢いで矢継ぎに質問を投げてくるレミナ。質問に答える度に目を輝かせて更にズイ、と寄ってくるから始末におけん
    「それでお義兄様ーーー」
    「凌我君!!!」
    興奮気味にずい、とこちらへにじり寄ってくるレミナの声を掻き消す様に響く男の声。それを聞いたレミナはつまらなさそうに一本こちらから距離を置く。ふぅ、レミナは無駄に良い身体してるからああも近寄られると色々大変だ
    ……マルグリットとは合わせられないな
    声のした方向へ振り返ると恰幅の良い、髭を蓄えた紳士然とした男が、如何にも御立腹という表情で此方へと歩いて来ていた
    「どうもごルドルフの旦那。どうしたよ」
    「どうしたもこうしたも無いわ!」
    レミナとは別の意味で興奮している様子の男は、ゴルドルフ・ムジーク・ユグドミレニア。嘗ては錬金術師として名を馳せたが、魔術回路や刻印の限界、聚落の様子を見せていた。だが、それを上手く保たせているのがそこのゴルドルフだ
    「聖杯を吹き飛ばしたとはどういう事かね!?」
    「ああー……」
    やっぱりその話かー。来るだろうなとは思っていたけれどやはり来たか
    「ああー……では無い!アレの復元に私がどれっだけ!苦労したと思っているのかね!?」
    まあ、はい。そりゃ大きさで言えば嘗ての大聖杯に並ぶ模造の聖杯。バラバラに解体されたあの聖杯を復元するのに随分とムジーク家のホムンクルスや、ゴルドルフ本人の力を借りた。特にゴルドルフは……
    「ホムンクルス達に任せようとすれば首根っこ掴まれて解体された部品の前で「御主人が造り、私たちが手伝うのだ」と言われて……わたっしが、どれだけ大変な目にあったか理解しているのかね!?」
    「それは済まないと思ってるよ。ただあの場ではああするしかなかったんだって」
    そうして言い合う事数十秒、流石に御立腹のゴルドルフも事情は把握しているし、祝いの席をこれ以上壊す様な無粋はしたくは無いのだろう。一旦は落ち着いた様子で咳払いをした
    「まあ、とにかくだ。聖杯の消失というイレギュラーを除けば、概ね理想的な勝利だったと言える。うむ、よくやってくれた!」
    ワハハ、と笑いながらの言葉には気持ちいい程に裏のない感情が乗っている。こんな調子で時計塔にいた頃は法政科にいたと言うのだから驚きだ

  • 85二次元好きの匿名さん24/02/07(水) 22:13:32

    >>83

    レミナが使った触媒って判明してたっけ?アスラウグ持ってないんだよな

  • 86二次元好きの匿名さん24/02/07(水) 22:16:19

    >>85

    いや判明してない、だからこの世界線で譲られるor借りて召喚したって言う妄想が捗るんじゃないか

  • 87千界樹の記録24/02/07(水) 23:39:17

    「ま、代償はそれなりに高く付いたけどな」
    そう言って左腕を上げる。羽織ったコートで見え辛いが左腕の肘から先を失った為、腕を上げた事でだらん、とコートの裾が垂れ下がる。それを見たレミナは目を丸くし、ムジークは難しそうな表情を浮かべた
    「え、お義兄様、左腕……」
    「全く、報告を受けた時には耳を疑ったがな」
    ゆらゆらと上げた腕を揺らすと、振り子のように垂れ下がった裾も揺れる
    「最後の最後でとんでもないサプライズがあってな。左腕一本で済んだのが寧ろ奇跡だ」
    「お義兄様、大丈夫なんですか!?」
    再び距離を急激に詰めるレミナ。距離感が近すぎるこの娘は
    「心配するな。傷はもう塞いであるしどうせ明日には手配した義手が届く」
    何せ神水流は日本でも数少ないあの人形師と直接コンタクトを取れるのだから。でなければ「俺と全く同じ性能の人形」なんてあっさり用意することは到底無理だ
    義手が届けば接続用の術式を用いて腕と結合させればそれで終わり。腕を失う前と全く同じパフォーマンスを発揮できる
    「全く、斬られた腕が残っていれば繋げる事など朝飯前だというのに」
    「仕方ない。斬られた瞬間には見切りつけて爆弾にしたからな」
    「いきなり怖いことを言わないでくれるかな!?」
    表情が百面相の様に変わるゴルドルフ。斬られた腕が爆発する瞬間を想像したのか真っ青になっていく彼とは対照的に、何故かまた目をキラキラさせているレミナ
    血液を触媒とした呪詛を浴びせる為に即断した結果だ。悔いは無い
    「魔術師でも、いいえ魔術師ならば寧ろ自分の身体は大切な物。それを即座に捨てる判断のできる人はそうはいません!」
    「持ち上げすぎだレミナ」
    そう目を輝かせるな
    「まあ、ともあれ。無事に帰ってきた事実は喜ばしいことだ。主役が来て漸く祝いも本番なのだからな」
    「では、こっちですお義兄様!」
    「ああ、今行くよ」
    右手をレミナに引かれながら奥の方へと案内される。久しぶりに集った血族達の顔ぶれを見て、漸く実感がわいてきた
    (……ああ、終わったんだな)
    俺の血族の復権とその未来を賭けた戦いが

  • 88二次元好きの匿名さん24/02/08(木) 07:30:39

    保守

  • 89千界樹の記録24/02/08(木) 12:46:51

    聖杯戦争勝利を祝した宴は盛大な盛り上がりを見せた
    レミナを筆頭に多くの血族の魔術師が聖杯戦争の話をこぞって聞きに来るものだから、此方も酒が入った事もあって経験した限りを話していった
    北欧の大英雄との出会い。アサシン、ギャスター、バーサーカー、ランサー、アーチャーにライダー。其々のサーヴァントとの戦いと、5対1という窮状に大してどうやって立ち回ったか。キャスター陣営の切り札である屍神に大してアーチャー、ライダー陣営との共闘、ランサー陣営との戦い。そして、アーチャー陣営とライダー陣営との決戦までを可能な限りを話した
    英霊7騎による亜種聖杯戦争。それは10年前の聖杯大戦。大聖杯が失われて初めての規模の戦いとなった。故に誰もがその話を聞きたいのは当然なのだが、レミナに至っては目を子供の様に輝かせている
    「私も、亜種聖杯戦争に参加したらお義兄様の活躍に恥じない様頑張ります!」 
    「ああ、その時が来たらな」
    ーーー後に、俺はこの時の言葉が、大きな意味を持つことになるとは、想像していなかった
    祝いの席も盛り上がりを見せる中、だいぶ長い事話し込んでいた様に感じる
    今日の主役の身の上では特にいろんな人に話したりと、忙しいと言うほどでは無いが、息をつく暇はほぼ無かった
    漸く一息つける様になり、外の空気を吸いにワイングラスを片手に裏手の庭園へと赴く扉を開けて外へ出ると、涼しい風が心地いく吹いてきている
    見上げれば空は暗く、星がいつものルーマニアの夜空のそれよりも一際瞬いている。そう言えば、今宵ルーマニアは新月か
    空を見渡しても月は見えない。暗いのは当然のことであった
    涼やかな風に吹かれながらワインを呑む
    「……美味いな」
    別にワインや酒の良し悪しがわかるわけでは無いし普段は殆ど酒は呑まない。ただ、やはりこういう場にて飲む勝利の美酒は旨く感じるものだ
    「月が見れないのは残念だけど」
    まあ、代わりに星空が輝いていざ見えるから、それで満足しよう
    暫く夜風に浸りながらワインを愉しみ、そろそろ戻らないと周りが煩いだろうからホールは戻ろうと踵を返した時、一際強い風が背中から吹き抜けた

  • 90二次元好きの匿名さん24/02/08(木) 22:05:00

    保守

  • 91千界樹の記録24/02/08(木) 23:28:48

    「……これはまた、随分な客だ」
    風が吹き抜けたと同時に感じ取れる気配。隠すでもなく、かと言って喧伝するでも無い。ごく自然体でそこに立つ何者か
    しかし、この館はユグドミレニアの血族が、魔術師の集う場である
    当然結界の一つや二つ、厳重に貼り詰められている。例え時計塔のロードが総がかりで挑もうともこの結界に全く感知されずに侵入するのは困難だろう
    それを単独で、最も容易く行ってみせる。更に感じ取れるこの魔力量は、最早人間のそれでは無い
    圧倒的な質量の魂を持ち、およそ人には不可能とも思える芸当をこなしてみせる存在。そんなものは極めて限られた存在である。そう、たとえばーーー
    「サーヴァントか」
    「あったりー!」
    此方の考えを正解だと伝えて来るその声は、酷く明るく、天真爛漫な雰囲気をこれでもかと演出していた。しかし、だからこそ油断はできない。相手はサーヴァント。聖杯の寄る辺に応じて召喚される人智を超える抑止の側の存在。伝承、歴史が人々の信仰やその逸話から昇華され、座に刻まれた英霊、その分け御霊であるのだ
    「……一体、こんな夜更けに何の様で?ここに聖杯は無いが」
    ともすれば振り返り様に貫かれてもおかしく無い状況、相手の出方を探る様に質問を投げると、帰ってきた答えはーーー
    「ユグドミレニアの魔術師が、聖杯戦争に参加したって聞いたからさ、話をしにきたんだ!」
    ーーー此方の想像の斜め上の回答が帰ってきた。だが、その答えを聞いて此方も腑に落ちた。此方の想像通りなら、警戒の必要は無い
    本来サーヴァントはマスターからの魔力供給無しではこの世に留まれない存在。例えスキル「単独行動」を持っていたとしても、聖杯無しでは現界の寄る辺が無い以上は消滅を免れないだろう
    マスターを連れず、聖杯の力も無しに1人ここに立つサーヴァント。通常ならあり得ない存在だが、凌我は一つだけ思い当たる存在がいる
    嘗て、聖杯大戦においてユグドミレニアーーー黒の陣営が召喚したサーヴァントの1騎。紆余曲折あり召喚したマスターが死に、新たなマスターを得て黒のサーヴァントとして大戦を駆け抜け、召喚された14騎の中、ただ1騎生き残ったサーヴァントがいた
    そのサーヴァントは、今もなお世界の裏へ消えた聖杯と、契約したマスターの魔力供給を得てこの世界に存在し続けているという

  • 92二次元好きの匿名さん24/02/09(金) 07:29:10

    アストルフォか

  • 93二次元好きの匿名さん24/02/09(金) 12:09:50

    そういやアストルフォはアポ本編後もサーヴァントのままで残ってるんだったな

  • 94二次元好きの匿名さん24/02/09(金) 21:03:14

    保守

  • 95千界樹の記録24/02/09(金) 23:15:26

    そのサーヴァントはーーー
    「『黒』のライダー」 
    「ピンポーン!」
    後ろを振り返る。相手はこちらに敵対するような存在では無いと分かった以上は、警戒も意味はない。振り返った先に居たのは、ピンク色の髪と現代衣装に身を包んだ1人の少年……いや、少女?
    ミニスカートにタイツ、ヘソを出したチケの短いシャツにパーカーと、明らかに性別を間違えたような格好だが、性別は「彼」で間違いないはずだ。うん
    今なおこの世に存在するただ1人の境界記録帯。受肉では無い真実のサーヴァントとして彼は此処に立っていた
    「丁度時期も良かったしさ。君が聖杯戦争をら勝ち抜いたユグドミレニアの魔術師だろう?」
    「ああ、その通りだよ」
    空のワイングラスを黒のライダーへと向けてその問いに答える。その答えに満足した様に笑顔を浮かべて一歩二歩と、此方に歩み寄ってきた
    「君の戦った聖杯戦争の話を聞きたいんだ」
    黒のライダーは此方のすぐ目の前にまで歩み寄る身長で言えば160より少し高いくらいか。丁度俺の頭ひとつ分くらい低い位置から此方を満面の笑顔で見上げて、夜の闇を照らすかのような明るい声で告げる
    「君の召喚した英霊はどんな奴だった?君が戦った英霊達はどんな奴だった?君が駆け抜けた聖杯戦争で、彼等が君に見せた物語を聞かせて欲しいんだ!」
    「……ハッ」
    思わず笑ってしまう。さっきのレミナもそうだけれど、こうも明るくグイグイ来られるのには些か己は弱いらしい
    さっきまで散々に語り尽くした気がするのだけれど、もう一度くらいは話しても良いかと言う気になってきた
    「ああ。ユグドミレニアがかつて召喚した黒のライダー。君にならあの戦いの全てを話してやるさ」
    血族に語ったものは違う、文字通りあの戦いの全て。世界の救済、嘗てその夢を分かち合い、受け継いだ男の最期までを語るとしよう
    「決まりだね!ホラお土産も持ってきてたんだ!」
    等と言いながら黒のライダーはその格好のどこに隠し持っていたのか、上質そうな酒の瓶を取り出した
    「ツイカか。良いね」
    「でしょー!せっかくルーマニアに来たんだから!」
    言いながら瓶を片手に庭の横手にあるテーブルへと駆け寄っていく黒のライダー
    だが、肝心な事を忘れている

  • 96千界樹の記録24/02/09(金) 23:17:53

    「話す前に、ひとついいか?」
    「ん?なーにー?」
    キョトンとした表情で振り返る黒のライダー。その惚けた顔に軽く溜息をついて、一言
    「俺達は初対面だ。名前くらいは名乗ったらどうだ?」
    そう、まだ互いに名前を名乗っていない。此方の方はすでに知ってはいるものの、彼は俺の名前を知らないだろうし。こう言う初めましては重要なものだ
    「あー!ゴメンゴメン。うっかりしてたよ」
    てへへー、と再び此方へ駆け寄って来るライダーと再び目の前に対面する
    「俺は神水流凌我。君は?」
    「リョーガだね?うん、覚えたよ!」
    発音が若干怪しいが、まあ良いか
    「じゃあ僕の番だね!」



    「僕の名前はーーー」
     



  • 97スレ主24/02/09(金) 23:22:00

    お、終わった……

    7月から足掛け半年、漸く書き切った!
    割とライブ感満載でスレが落ちたりもしたけどこうやって何とか終わりを迎えられて楽しかったです!

    これまで応援してくれた方や保守等でスレを保ってくれた皆様に感謝します

    ありがとうございました!!

  • 98スレ主24/02/09(金) 23:26:05

    半ば以上自己満足の世界だったのですけど、意外にも見てくれる人がいたので頑張ってやってきました

    後はこのスレは余裕があればマスター達のマテリアルでもとは思っています

  • 99二次元好きの匿名さん24/02/10(土) 01:00:11

    スレ主様完結おめでとうございます〜!貴方の紡ぐ物語が大好きです!凪と凌我の関係がとても好きでストーリーが更新されるたびに夢中で文字を追っていました
    このスレがきっかけでシグルドが好きになりました!このスレに出会えて良かったです
    お疲れ様でした!

  • 100二次元好きの匿名さん24/02/10(土) 08:14:45

    乙!!!

  • 101二次元好きの匿名さん24/02/10(土) 11:13:14

    お疲れ様でした

  • 102二次元好きの匿名さん24/02/10(土) 12:42:10

    スレ主、お疲れ様です!マスターやサーヴァント達の戦いの駆け引きとか面白かったです。

  • 103二次元好きの匿名さん24/02/10(土) 20:23:43

    完結乙です!

  • 104二次元好きの匿名さん24/02/10(土) 20:50:38

    完結おつかれさまです!

  • 105二次元好きの匿名さん24/02/11(日) 00:00:44

    最初から最後まで読ませて頂きました
    完結お疲れ様です!最強格の主従だからこそ強いられる苦戦の数々には驚かされました
    とても面白かったです!

  • 106二次元好きの匿名さん24/02/11(日) 00:03:28

    完結お疲れ様&おめでとうございます!
    剣陣営のさっぱりとした相棒の関係性が好きでいつも楽しく読んでいました!ありがとうございました!

  • 107二次元好きの匿名さん24/02/11(日) 11:18:57

  • 108二次元好きの匿名さん24/02/11(日) 11:20:19

    乙でした

  • 109スレ主24/02/11(日) 20:29:35
  • 110二次元好きの匿名さん24/02/11(日) 23:58:43

    マテリアルありがてえ

  • 111二次元好きの匿名さん24/02/12(月) 08:56:06

    マテ来たか

  • 112二次元好きの匿名さん24/02/12(月) 17:52:03

    保守

  • 113スレ主24/02/12(月) 20:03:55

    マテリアル2

    マルグリット

    マルグリット【名前】マルグリット・ザックス

    【性別】女

    【年齢】15

    【出身】イギリス

    【身長・体重】162cm・57kg

    【スリーサイズ】B79・W58・H83

    【外見・容姿】ブロンドのミディアムヘアと青色の瞳を持つ少女

    【属性】中立・中庸・人

    【魔術系統】降霊・憑依術、その他基本的な魔術師

    【魔術属性】地

    【魔術回路】

     ⚫︎質:B

     ⚫︎量:B

     ⚫︎編成:正常

    【特技】菓子作り

    【好きなもの】スコーン、ハーブティー

    【嫌いなもの】偉そうな人

    【天敵】ルーナ

    ⬛︎来歴

    イギリスの小さい街で生まれた魔術師。ザックス家の歴史は200年に満たないが、その短さの中では非常に高い才能を持って生まれた

    降霊術師、その中でも特に憑依に特化した魔術師で、その腕前は歴史が短い割には優秀、といったレベル。14の頃に時計塔への招待を受けて入学。その後は生来の負けん気の強さも相まってそれなり以上に優秀な成績を収めるが、負けん気の強さが祟り敵を作ることも少なからずある

    過去の一件以来、無意識に凌我に惹かれていたが、聖杯戦争の際にルーナに指摘されて自身の想いを自覚した。以降は凌我に変わらず生意気な態度を取りつつアプローチを掛けているが、凌我がヘタレなのであまり進展はない…
    telegra.ph
  • 114スレ主24/02/12(月) 22:30:19
  • 115二次元好きの匿名さん24/02/13(火) 08:33:41

    マルグリットとルーナのマテリアルだぁ

  • 116二次元好きの匿名さん24/02/13(火) 18:39:27

    ルーナちゃん半分人外化してんの!?

  • 117二次元好きの匿名さん24/02/13(火) 23:57:15

    >>116

    まぁ、あの儀式で姿も変わっているしね

  • 118二次元好きの匿名さん24/02/14(水) 00:00:20

    このレスは削除されています

  • 119二次元好きの匿名さん24/02/14(水) 00:36:50

    やっと追いついた…最後までお疲れ様でした!
    Apocrypha好きの私にとって大変素晴らしい作品に巡り会えた

  • 120スレ主24/02/14(水) 00:40:32
  • 121二次元好きの匿名さん24/02/14(水) 08:35:10

    あら、他の参加者のマテリアルまで出てる

  • 122二次元好きの匿名さん24/02/14(水) 20:19:33

    改めてレベル高い聖杯戦争だったな

  • 123二次元好きの匿名さん24/02/14(水) 23:36:56

    >>122

    サーヴァントだけじゃ無くてマスターの平均値が高めだよね

  • 124二次元好きの匿名さん24/02/15(木) 00:23:26

    このスレを覗く時間はただ純粋に楽しい時間だった…
    それはそれとして凌我は爆ぜろ!

  • 125二次元好きの匿名さん24/02/15(木) 10:35:13

    保守

  • 126スレ主24/02/15(木) 12:34:03
  • 127二次元好きの匿名さん24/02/15(木) 20:29:57

    キャスターのマスターも来たな
    薄々分かってはいたけど重い…

  • 128二次元好きの匿名さん24/02/15(木) 23:44:31

    キャスターのマスター重いぜ

  • 129二次元好きの匿名さん24/02/16(金) 08:32:37

    ほしゅ

  • 130二次元好きの匿名さん24/02/16(金) 17:56:42

    保守

  • 131スレ主24/02/16(金) 22:45:20

    マテリアル6

    アイザック

    アイザック【名前】アイザック・アディソン

    【性別】男

    【年齢】34

    【出身】ニカラグア

    【身長・体重】194cm・92kg

    【外見・容姿】浅黒い肌と茶色の髪、ライトブルーの目に無精髭が特徴的な男

    【属性】混沌・中庸・人

    【魔術系統】呪詛、その他基本的な魔術

    【魔術属性】火

    【魔術回路】

     ⚫︎質:C

     ⚫︎量:C+

     ⚫︎編成:正常

    【特技】サバイバル、アウトドア料理

    【好きなもの】日本文化、和食

    【嫌いなもの】ギャンブル

    【天敵】小さい子供

    ⬛︎来歴

    バーサーカーのマスター

    元々はイギリスで呪いを嗜み、求める魔術師の家系だったが、時計塔内での勢力争いの中で、敵対していた魔術師に敗北、呪詛返しを受けた事で彼の家系は凋落を始める

    呪いの影響で魔術回路の衰えを感じ始めた何代か前の当主が、アメリカ、ニカラグアへと移住していった結果、土地と魔術刻印の相性が比較的良かった為、今日まで魔術師として息を繋いできた

    時計塔での勢力争いを行っていた当代の当主はアディソン家の歴代でも随一の呪詛使いであり、その彼が仕掛けた大儀式による呪詛は彼自身でさえも解呪が叶わず、ある程度呪いの影響を軽減するに留まり、以降何代にも渡ってアディソンの魔術師を蝕む事になる…
    telegra.ph
  • 132二次元好きの匿名さん24/02/16(金) 22:59:24

    そう言えばバーサーカーのマスターも強敵だったな……

  • 133二次元好きの匿名さん24/02/17(土) 05:09:31

    シグルドをクエストに連れて行きたくなる物語だった……
    ただただ完結まで続けてくれて感謝

  • 134二次元好きの匿名さん24/02/17(土) 05:36:34

    すご

  • 135二次元好きの匿名さん24/02/17(土) 09:30:58

    キャスターとバーサーカーのマスター
    死亡した側の方が聖杯戦争に参戦した理由が重いのは皮肉なのか…

  • 136二次元好きの匿名さん24/02/17(土) 16:55:31

    ルーナちゃんの鎧の防御力、何気にカルヴァリア防げるって書いてある!?

  • 137二次元好きの匿名さん24/02/17(土) 23:57:55

    夜保守

  • 138スレ主24/02/18(日) 00:47:29

    マテリアル7

    ウォーレン

    ウォーレン【名前】ウォーレン・アークライト

    【性別】男

    【年齢】28

    【出身】アメリカ

    【身長・体重】186cm・82kg

    【外見・容姿】ブロンドのオールバックに灰色の瞳を持った男

    【属性】秩序・中庸・人

    【魔術系統】全体的な基礎魔術

    【魔術属性】火

    【魔術回路】

     ⚫︎質:D

     ⚫︎量:C

     ⚫︎編成:正常

    【特技】対呪い、対毒魔術

    【好きなもの】栄光

    【嫌いなもの】時計塔の魔術師

    【天敵】セイバーのマスター

    ⬛︎来歴

    嘗ては時計塔に在籍していたが、実力も才能も大した事はなく当然評価もされなかった為に時計塔を離れ、アメリカに戻り魔術を使ってマフィアに取り入り、やがてマフィの幹部となり一つの勢力を築き上げる

    性格は傲慢かつ尊大であり、自身の能力に大きな自信を持っているが、その才能は平均的なものでしか無い

    才能は大した事はなくても勤勉に魔術を学び取り組んだ結果にそれなりに魔術を使えるが、それでも付け焼き刃であるものも多いが、彼はマフィアに取り入り、幹部にの仕上がったこと、更に当局によってマフィアが壊滅した時もうまく逃げおおせた為自分の力を過信し始め、聖杯戦争の噂を聞きつけてマスターとして立候補、聖杯に選ばれた

    自身の力…
    telegra.ph
  • 139二次元好きの匿名さん24/02/18(日) 09:42:31

    アサシンのマスターも来たのか
    おお…もう…

  • 140スレ主24/02/18(日) 16:49:56
  • 141二次元好きの匿名さん24/02/18(日) 21:40:43

    凪ちゃんの特技がヒデェ

  • 142二次元好きの匿名さん24/02/19(月) 08:42:01

  • 143二次元好きの匿名さん24/02/19(月) 17:51:57

    夜保守

  • 144スレ主24/02/19(月) 23:21:00
  • 145スレ主24/02/19(月) 23:31:56

    マテリアルはとりあえずこれで全部ですかね

    改めて、これまで応援してくれた方や保守等してくれた人達に感謝します
    何度かスレを落としたりしてしまったけれどお陰様でここまでやってこれました
    やりたい事は取り敢えずやり切った、と思ってますので
    後はひっそりと落ちるのみですかね

    此処で話したい事や聞きたい事がありましたらご自由にお使いください
    質問にも可能な限りお答えしようと思います
    ではノシ

  • 146二次元好きの匿名さん24/02/19(月) 23:32:43

    乙でした!

  • 147二次元好きの匿名さん24/02/20(火) 00:10:05

    お疲れ様です
    完結まで続けられたモチベーションはなんでしょうか?

  • 148スレ主24/02/20(火) 07:28:59

    >>147

    返事が遅れました

    モチベーションはそうですね

    やっぱりレスが付いたりすると嬉しいですし

    自分のキャラをどう動かすか、どうやって話を構築するかを考えるのかを楽しめるとモチベーションは結構保ちますね

  • 149二次元好きの匿名さん24/02/20(火) 10:59:36

    どこかへ投稿する予定などあるのでしょうか?

  • 150スレ主24/02/20(火) 18:00:27

    >>149

    返信が遅くなりました

    今の所は特に何処かに投稿する予定は無いですね…

    最初の方から一度書き直してブラッシュアップしないと…

  • 151二次元好きの匿名さん24/02/20(火) 23:09:29

    凌駕って実際魔術師的にはどれくらいなんでしょうか?
    具体的には原作キャラで考えるならどれくらいの立ち位置になると思いますか?

  • 152スレ主24/02/21(水) 00:39:36

    >>151

    難しいですね…

    凌我の素質は一流の魔術師として十分にやっていける程度ですけど、それでも能力的にはロードは愚か凛やルヴィアよりも下になります

    本編時点での魔術師としての完成度はフィオレと同程度だと思ってもらえれば良いかなと思ってます

    つまりユグドミレニアの中だとトップランカークラスですけど時計塔内だと上には上が山ほどいる。そんな感じのイメージかなと

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