料理長ランサーと料理クソ雑魚マスターの聖杯戦争 5

  • 1二次元好きの匿名さん24/01/19(金) 23:41:31

    いっけなーい!突入突入ぅ!
    俺、ウマス・ギカレーダ!
    パンダーバって名前のカレー屋やってたんだ!聖杯戦争のせいでぶっ壊れたけど、新築になるからむしろお得だね!

    ちなみについさっき、街にやべー魔術ガスを撒きまくったりランサーのライバルことドゥリリンをフリー素材にしたり何だりと悪逆の限りを尽くす魔術師野郎の屋敷に空き巣に入ってきたとこ!
    ついでに高そうな花瓶を叩き割ってやったぜざまあみろ!
    そんで今はそいつが管理してた観光地に向かってるぜ!
    何でもその野郎、そこの地下でまた魔術ガスの用意をしてるとかで…?
    全く懲りないやつめ、正当なる暴力のパワーを思い知れ!ランサーだけじゃなく、純粋な数の暴力もあるよ!

    ってことで、次回!

    ……

    えーーーと…

    未来のことなんか誰にもわからないぜ!
    題名なんかあるわけないだろ!常識的に考えて!!

  • 2二次元好きの匿名さん24/01/19(金) 23:45:00

    初代スレ

    聖杯戦争か…すごいことに巻き込まれちゃったな…|あにまん掲示板成り行きで教会で色々説明してもらったけどよく分かんなかったし俺の店ぶっ壊れてるし建て直す金なんかねえよってギャン泣きしたらガス爆発が起きたって名目でその分の金出してくれることになったけどさでもガス爆発…bbs.animanch.com

    2スレ

    聖杯戦争か…すごいことに巻き込まれちゃったな…2|あにまん掲示板俺の名はウマス・ギカレーダ!親から継いだカレー屋パンダーバを営む一般人!ある日店を聖杯戦争で破壊されちゃって、しかもランサーとかいうやつを召喚しちゃって大変!事情を説明してくれた教会さんから店を建て直…bbs.animanch.com

    3スレ

    料理長ランサーと料理クソ雑魚マスターの聖杯戦争 3|あにまん掲示板いっけなーい!倒産倒産!俺の名はウマス・ギカレーダ!親から継いだカレー屋パンダーバを苦しい懐事情で営む一般人!ある日店を聖杯戦争で破壊されちゃって、しかもビーマとかいうやつを召喚しちゃって大飽きた!毎…bbs.animanch.com

    4スレ

    料理長ランサーと料理クソ雑魚マスターの聖杯戦争 4|あにまん掲示板——もはやこの街は、街としての体を成さなくなった。大男の形をした影に覆われ、人々は虚ろな顔で彷徨う。彼らは正気を保っている人間を襲い、狂気に堕とし、更なる犠牲者を求めて彷徨い続ける。見知った顔がある。…bbs.animanch.com

    内容まとめ

    スレ内容まとめ【1スレ目】

    幕間

    https://telegra.ph/%E5%B9%95%E9%96%93-11-23


    幕間/序章

    「馬肉鹿肉は使いようって聞いたけど下準備がクッソめんどいからボツ!!」

    https://telegra.ph/%E9%A6%AC%E8%82%89%E9%B9%BF%E8%82%89%E3%81%AF%E4%BD%BF%E3%81%84%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%A3%E3%81%A6%E8%81%9E%E3%81%84%E3%81%9F%E3%81%91%E3%81%A9%E4%B8%8B%E6%BA%96%E5%82%99%E3%81%8C%E3%82%AF%E3%83%83%E3%82%BD%E3%82%81%E3%82%93%E3%81%A9%E3%81%84%E3%81%8B%E3%82%89%E3%83%9C%E3%83%84-11-25



    一日目

    召喚、教会の説明、ホテルに移動


    二日目

    「店の宣伝しかない!」「味磨けよ」

    ウワーッッ宮本武蔵と遭遇した!!宣伝の声デカすぎて教会に叱られた!

    「もうラッコ鍋しかないな!」「何でだよ」


    三日目

    「丸一…
    telegra.ph
  • 3二次元好きの匿名さん24/01/19(金) 23:53:08

    【参戦陣営】
    槍 ビーマ
    主 ウマス・ギカレーダ

    剣 デオン
    主 マルグリット・アデール

    弓 トリスタン
    主 バイオリニストの老爺

    騎 赤兎馬
    主 アデール社に勤める社畜

    術 パラケルスス
    主 グレイユル・アデール

    殺 静謐のハサン
    主 ???(死亡済み)

    狂 宮本武蔵
    主 写真家見習いの青年

    【前・聖杯戦争参加者】

    狂 ドゥリーヨダナ
    主 ラジアータ・アデール

    ? ???(幻霊もどきであったため省略)
    主 グレイユル・アデール

  • 4二次元好きの匿名さん24/01/20(土) 00:03:31
  • 5二次元好きの匿名さん24/01/20(土) 00:08:14

    ウマス・ギカレーダ 性別 女
    なお、上記は偽名。
    パンダーバなる店名のカレー屋を経営していたが、何者かによる襲撃で倒壊した。
    魔力の多さは79と多め。許可なくの宝具発動も問題なし。
    料理の実力は16+27+5+7=55(数値が低いほど微妙)
    料理に対しての感情は39。(低いほど面倒だと思っている)
    剣術は12+13=25
    特技はギャン泣き。最近はクソ度胸な立ち回りも多い。
    恐らくは混沌・悪。相棒も彼女が「悪人」なことを否定しない。
    相手の策を先読みして対応したり、小細工を弄しまくったり、舐められがちなアホ一般人としての偏見をフル活用。意外な活躍をしたりしなかったりしている。なんだこいつ。

    幼い頃、両親を雪山での遭難で亡くしている。
    両親の身を挺した愛に命を救われたものの、一度も振り返らずにその場を立ち去り…無事保護された。それが彼女である。

    ランサー(ビーマ)
    性別 男
    ギカレーダのサーヴァント。
    散々彼女に振り回されているが、それを不快とは感じていない。
    ギカレーダへの好意は脅威の95。彼女から目を離せない(ろくでもないので監視的な意味)ということを加味しても、随分な面倒見の良さ。たぶん相性召喚。
    長らく真名を伏せてきたことすらも、マスターのためという徹底ぶり。
    「実力は圧倒的に足りず、料理の楽しみや誇りすらも持っていない」という料理人半人前ですらないギカレーダを、一人前くらいには育ててやりたいと考えている。
    マスターのせいでずーっとツッコミをやらされていたが、最近ボケも嗜みはじめた。とにかく面倒見がいい。(二度目)
    まさかの形での宿敵の参戦に動揺もしたが、普段の調子を取り戻してきた。
    最近はずっと風バリアを張っている。つよい。
    というか彼がいなかったら、花の香りが漂い始めた時点で脱落者がすごいことになっていた。
    毒は無効だし香りも防げる! すごいぞランサー! 大変そうだけど!
    それとも、風はオート操縦なんだろうか?

    マハーバーラタいわく、死期を悟った五兄弟とその妻はヒマラヤに登り、そのまま死んだとされる。
    一度も振り返らぬ兄と共に歩き、倒れた妻や弟たちを置いていき、そのまま兄を見送った。それが彼である。

  • 6二次元好きの匿名さん24/01/20(土) 00:13:03

    ルグリット・アデール 性別 女
    セイバーのマスター。十歳前後の花魔術の使い手。
    グレイユルという名の兄がいるが、特に面識はない。
    一般人の犠牲者が出ないように道を封鎖したり、そのために令呪を一画使ったりと善性かつアクティブ。神秘の秘匿の観点からは勿論、無関係の人物を巻き込むことは許せない。
    自らの魔力量には自信があり、もう一騎くらいなら養える自負がある。
    でも ひとの サーヴァントを とったら どろぼう!
    その膨大な魔力は宝具連発に使おう。
    セイバーが自分のために頑張りすぎていないか心配で、休んで欲しいと伝えたりもしているが…主人の心従者知らずというか、なんというか。

    花魔術で周囲の構造把握や索敵、果ては相手の視線誘導などもこなすが、直接的な攻撃は苦手な模様。
    時々言葉が足りず、意図せず爆弾発言のようになる。
    名前の由来はマーガレットから。

    セイバー (シュヴァリエ・デオン ) 性別 ???
    幼い少女をマスターに持つ、中性的な外見の騎士。
    自己暗示の極致として好きに姿形を変える能力や、対象を幻惑する能力を持つ。が、どれも魔力を多く消耗する。
    ランサー陣営に「ある魂胆」から同盟を持ちかけたものの、振り回されまくっている。まあ、マスターが楽しそうだからいいか…!
    なお、セイバーの出す策が「追い詰められたやり方になって来ている」とはランサーの談。

    屋敷へ潜入した情報を共有しなかったり、そもそも自分が勝ち残れるとは考えていなかったり、一人で行動したり。
    マルグリットを第一に考える従者として振る舞うセイバーだが、何やら思うところがある様子…?

    このパーティにおける、情報整理や考察役の要。
    ギカレーダには「プロ」と呼ばれているが、実際そう。

  • 7二次元好きの匿名さん24/01/20(土) 00:13:12

    立て乙です!

  • 8二次元好きの匿名さん24/01/20(土) 00:22:49

    グレイユル・アデール 性別 男
    キャスターのマスターにして、マルグリットの兄。
    花魔術の使い手だが、扱うものは花よりも虫型の使い魔が多め。
    前聖杯戦争の数合わせで参加させられる。英霊ドゥリーヨダナと、彼との関わりから異常さを開花させた父への恐怖から逃走。
    今まではこの街に寄り付くこともなかったが、再度開催されると聞き、慌てて参加。父の計画を完膚なきまでに破壊したい。
    名前も知らなかった妹のこともそりゃ守りたいが、計画阻止の方が比重が大きい模様。おい。
    聖杯にかける望みは特にない。強いて言うのであれば、「父を聖杯戦争前の状態に戻す」ことだろうか?
    …街を巻き込むまでに暴走している彼を思うと、無理な気もする。
    名前の由来はグラジオラスから。
    何でもかんでも疑うわりに、一度思い込むと止まらないタイプ。現在はギカレーダに通信をかけまくっている。

    キャスター(???) 性別 男
    長い黒髪に白い長衣を纏い、女性的な気配を感じさせる術師。
    マスターのことを「我が友」とも呼び、穏やかな師のように接している。ただ、ある程度の一線は引いている模様。
    基本的にはマスターの方針に従うようで、突っ走りがちな主人を諌め、補佐に回り……というように過ごしている。
    聖杯にかける望みは「根源への到達」。実に魔術師らしい願いである。

    アーチャーのマスター 性別 男
    十年前に事故(聖杯戦争絡み)でソプラノ歌手の妻を亡くした、そこそこ有名だったバイオリニスト。妻を失う遠因となった楽器は殆ど手放し、完全に老人の隠居生活。
    妻の遺体から香っていた「とても甘い香りの香水」が、彼女の仇の使ってきた魔術媒体と知り、聖杯戦争勝利への固執を完全に放棄。
    どのような手を使ってでも、仇であるラジアータの願望を打ち砕くことを決意した。最早彼に、聖杯にかける望みは無く。


    アーチャー(???) 性別 男
    赤毛の竪琴使い。不可視の刃を操る。
    主人から下された(不本意な)命令を遂行しては「悲しい」と竪琴を爪弾く嘆いていた。
    その割には多くの命を救い、騎士として中々燻し銀なポジションに。
    自らのマスターのことが好き。彼の奥方のことも好き。意外にいい空気吸ってるぞこのトリ!
    聖杯にかける望みは、特筆するほどのものではない。
    マスターの願いが叶えばいいな、と思っていた。

  • 9二次元好きの匿名さん24/01/20(土) 00:32:51

    ライダーのマスター
    アデール・フラワー社に勤め、土いじりをしている哀れな社畜兼巻き込まれマスター。最近いい声のUMAに付き纏われている。
    自棄な発言を乱世の器と称され気に入られてしまった社畜の運命やいかに……? 目も嗅覚も顔色も死んでる。
    この状況においては、「既に死んでるのでゾンビにならない」的な逆方向の強さを獲得している。
    惨状を気にも留めず睡眠を取り、今もライダーの背に揺られている。何だこいつ。
    もし法廷に許されるのであれば、職場を爆破したいのは本心。

    ライダー (赤兎馬)
    ある社畜に付きまとう、いい声の謎のUMA。私その待遇どうかと思います!謀反しようぜ謀反!
    よくマスターの横についているが、これに付き纏われているマスターを哀れむべきか、お陰で孤独死は避けられそうなことを喜ぶべきか悩みどころである。
    バーサーカーより写真家の青年を託され、その面倒も請け負ってくれた頼れる僕らの呂布。
    空中戦も水中戦も何でもござれ、もう出来ないことなんて無いんじゃなかろうか? 呂布さんはどう思う?

    バーサーカー(宮本武蔵) 性別 女
    初日にギカレーダ一行を追いかけ回したサーヴァント。カレー屋の宣伝を聞きつけ、カレーうどんを所望しつつも鯉口チャキチャキ。
    外に出ないマスターの代わりと言っては何だが、かなり現代をエンジョイしていた。
    心残りはそんなにないけど、あの子にカレーうどん食べさせたかったなあ。食べさせるの、約束してくれてありがとう!
    地下室にて、「無数の影」を生成する概念を斬り捨てると同時に別世界へ漂流。事実上の聖杯戦争敗退となった。

    バーサーカーのマスター
    並より目が良く、自分の景色を他人にも伝えられることから、写真を撮るのが好き。18〜19くらい?
    十年前、まだ幼い頃に「顔が同じ男」を何十人も遠方から目撃した経験を持つ。それを興奮気味に学校で披露したところ、盛大に嘘つき呼ばわりされてしまい…
    その後も「嘘つき」のレッテルが響き、色々あっての転落人生。結局、部屋から出られなくなってしまった…が、バーサーカーによって無理やり連れ出され、他者との関わりを得た。
    相棒は居なくなってしまったが、持ち前の視力は衰えない。
    ほんの少しだけ持てるようになった勇気と共に、聖杯戦争に関わり続ける。

  • 10二次元好きの匿名さん24/01/20(土) 00:35:03

    (10レス行きましたね!ひとまず、すぐに落ちる心配はなしということで!
    終わりが見えてきて嬉しいやらなんだか寂しいやら不安やらで変な感じです
    明日は早いので、残りのキャラ紹介は昼以降にさせていただきます…!)

  • 11二次元好きの匿名さん24/01/20(土) 01:56:04

    立て乙!こっちでも楽しみに待ちます

  • 12二次元好きの匿名さん24/01/20(土) 02:23:01

    立て乙です
    フリー素材ドゥリリンでだめだった

  • 13二次元好きの匿名さん24/01/20(土) 07:42:52

    立て乙です!アーチャーとバーサーカーの紹介欄の願いが過去形になってて私は悲しい…

  • 14二次元好きの匿名さん24/01/20(土) 11:01:33

    >>13

    こういうさりげない差分に弱いんだ

    弱いんだ…

  • 15二次元好きの匿名さん24/01/20(土) 20:01:36

    応援保守

  • 16二次元好きの匿名さん24/01/20(土) 22:58:45

    保守

  • 17二次元好きの匿名さん24/01/21(日) 07:33:30

    保守

  • 18二次元好きの匿名さん24/01/21(日) 14:39:46

  • 19二次元好きの匿名さん24/01/21(日) 21:00:47

    ラジアータ・アデール 性別 男
    前・聖杯戦争の主催者にして、ドゥリーヨダナを召喚した優勝者。主催の権限を存分に使ったイカサマ試合であったが、そこは割愛。
    花魔術の使い手であり、特に「人の魅了」、転じては「支配」なども得意とする。そもそも、素の人心掌握も得意らしいが…

    本聖杯戦争では誰も召喚していないはずだ、とセイバー談。
    街に無数に溢れる百王子らしき「謎の影」や、人々を操り参加者へとけしかける「甘い花の香」など、様々な出来事を引き起こしては参加者を追い詰めた。
    現在は術式を再起動すべく、花畑の地下にいるようだ。
    彼の「計画」はマルグリットの命を奪うもののようだが…?

    アデール家は「無駄な争いはしない主義」らしい。
    マルグリットは争いを好まないし、グレイユルは争いが始まる前に無理やり元凶を断とうとする。
    ラジアータは「事態がどう転んでも自分が有利になるように」盤上を整え、相手を圧倒してから交渉を始めるらしい。

    サーヴァントも伴わず、洗脳術式も解除されようとしている今現在。他の陣営と敵対し切った彼は、一体どのように立ち回るつもりなのだろうか……?
    名前の由来は彼岸花から。

    前・バーサーカー(ドゥリーヨダナ) 性別 男
    十年前の聖杯戦争で、ラジアータのサーヴァントをしていた。戦争時に使われた矢尻で召喚されたそうで、どうやら相性召喚のようである。
    イカサマどころの話ではない聖杯戦争を悠々と勝ち抜いたものの、最後の最後でラジアータに裏切られ自我を剥奪。
    十年余り、彼が有する「一より生まれし百」の概念を利用されていた。
    バーサーカー・宮本武蔵によって概念ごと両断され、今度こそ、現世より正式に消滅。

    ……したのだろうか?

    【現在の諸々】
    ・バーサーカーの活躍によって、影はもう召喚されない!花の香りも止める方法が見つかった!後はラジアータをぶん殴れば終わりと見た!
    ・今からラジアータが術式を再起動させようとしている花畑に突っ込むぞ!
    ・こっちは退場したバーサーカーとアーチャー以外のサーヴァントが四騎もいる!こりゃ勝ったな!風呂入ってくる!

  • 20二次元好きの匿名さん24/01/21(日) 21:07:34

    「なあ、キャスター」
    「どうしました?」
    「……いや何。始める前に一つ、確認しておこうと思ってなぁ!」
    「確認?」
    「この計画を起動させれば、間違いなくクソ親父の道を阻める。その代わり、確実に聖杯は使えなくなる。……それでも、構わないか?」
    「……そうしたことを口頭で聞くのは、どうかと」
    「真剣に聞いているんだ、キャスター。いや、パラケルスス」
    「……我が友よ、私の結界に信頼を置きすぎです。この街にいる時点で、我々は他者の工房の中にいるようなものだというのに……その中で真名まで口にするなど」
    「お前を信頼しているからだ。……違うな、信用したいからだ。だから、本当のことを教えてほしいんだが」
    「……」
    「親父と、望みは同じなんだろう? どんな手を使ってでも根源を、と思ったことがあるんじゃないのか?」
    「……」
    「魔術師失格なオレでは、根源にそこまで固執する意味が分からないが。あの父が狂うのだし、それだけ魅力的なのモノなのだろうと思ってしまう時もある。だから……そのぉ……も、もし貴様も、根源に魅了されていると言うなら……?」
    「……貴方は一度考えが固まると、ずっとそれに囚われてしまう悪癖がありますね」
    「ぐっ……ああそうだ! 悪癖だよ! 未熟で悪かったな! オレはずっと疑い続けるのは嫌だ。オレを友だと言うなら教えてくれ、パラケルスス。このオレのために」
    「…………私は……」

  • 21二次元好きの匿名さん24/01/21(日) 23:57:08

    グレ君もしかして地雷原にわかっててアクセル全開で突っ込むタイプ??

  • 22二次元好きの匿名さん24/01/22(月) 07:41:08

    グレくん性格悪いのに魔術師向いてなくてすごい

  • 23前幕24/01/22(月) 13:53:33

    「魔術師に友などいないのだよ、バーサーカー。一つしかないゴールを追い求め、他を蹴落とし合うのが我々だ」
    「何ともつまらん言い草だな! それはあれだ。一人として信を置く相手に恵まれなかった、弱者の戯言というやつであろう?」
    「……自分は違うと?」
    「当たり前であろうが」
    「……だがな、バーサーカー。誰も信じないというのも、中々気楽なものだよ。一人一人を疑う必要もないからね」
    「世界丸ごとを疑い続ける方が面倒な気もするが……あー、まあ、あれだな? 愛すべき民の中に一人だけ逆賊がいるのを相手取るよりは、敵国を薙ぎ払う方が楽みたいなもんか?」
    「他国を薙ぎ払う方が楽なのか……」
    「なんせわし様は類稀なる王の器な上に、強大なる愛すべき友に恵まれた男だからな。国一つを手中に収めるくらい屁でもない。世界征服だって、わし様にとってみれば夢物語ではなかった!」
    「……というか、していたな」
    「うむ、カルナが超張り切ってな。早かったぞあれは! ……だからな、お前も良い友を持つといいぞ。今ならわし様がなってやってもいいが〜?」
    「……ハ。魅力的な申し出だな。考えておこう」

  • 24二次元好きの匿名さん24/01/22(月) 14:01:49

    >>19

    更新きてるー!!!と喜んで読み始めたら


    >こりゃ勝ったな!風呂入ってくる!

  • 25二次元好きの匿名さん24/01/22(月) 14:10:21

    わし様みたいに家族にも友人にも愛し愛されまくってきた敵ボスって珍しい気がする
    ああいうポジションのキャラって天涯孤独だったり友人がいてもすれ違って終わったり、唯一の友人に倒されて終わったり、「家族から愛されたが私に愛を理解することはできなかった…」みたいなこと言うイメージ

  • 26二次元好きの匿名さん24/01/22(月) 21:19:53

    パッパちゃんとマハバ読んでんのな
    そう考えたら聖杯戦争参加する魔術師って触媒用意するなら
    どんなに原典長くても読まなきゃいけないのか…

  • 27二次元好きの匿名さん24/01/23(火) 07:40:21

    ほしゅ

  • 28二次元好きの匿名さん24/01/23(火) 12:14:05
  • 29二次元好きの匿名さん24/01/23(火) 12:28:49

    うお~~幕間!
    そういえば昼だった、良かった人払いできてて…
    社畜の人お労しや…きっとぐるぐるおめめだ

  • 30二次元好きの匿名さん24/01/23(火) 13:44:12

    起った!
    社蓄が起った!

    夜背景の聖杯戦争を見慣れてるから、そうか昼かこれ!って瞠目した
    「僕からの人参は迷惑ですかね……」って人参あげたいのか優しいなバーサーカーのひと
    やっちゃえバーサーカーのひと!

  • 31二次元好きの匿名さん24/01/23(火) 20:08:56

    バーサーカーの人はそういえば魔眼なのか生物学的な目の異常なのか...魔術にも応用できるってなると魔眼より?

  • 32二次元好きの匿名さん24/01/24(水) 00:12:46

    これは反骨の相

  • 33二次元好きの匿名さん24/01/24(水) 07:42:57

  • 34二次元好きの匿名さん24/01/24(水) 11:35:00

    社畜くんの挨拶「呂布? のマスター?」ってとこで笑った
    はてながつきっぱなしで草

  • 35二次元好きの匿名さん24/01/24(水) 11:36:25

    アーチャーを思い出してしんみりしてしまうシーンでこちらもしんみりしてしまった
    愉快なやつらの内の一人が脱落してしまった

  • 36二次元好きの匿名さん24/01/24(水) 14:30:10

    いやあ!地下への入り口はミニ倉庫の影に隠されていたとはな…!
    分かりやすく倉庫の中のタンスの下とかじゃなくて倉庫の近くの地面ってのが嫌らしいな!?
    「何がどう嫌らしいのかは置いておくが…」
    「それじゃ、入ろうか。…誰かライター持ってない?」
    「どうぞ!!! 自分などの使い古しで良ければ喜んで捧げさせていただきます!!!」
    「あ、ど、どうも…すまないけど、声をもう少し抑えることは出来ないかな…?」
    「……………。……わかり…ました……」
    「うーん、これはこれで困るね」

    ライターなんか持ってどうすんのさ?
    「ほら、地下だろう。そもそも酸素が無いとか、毒性の何かが満たしてあるかもしれないってことを考慮したくて」
    「火が消えたら酸素が無い、ってやつか。そんで毒については…」
    「まあ、私のことは炭鉱のカナリヤとでも思ってくれ。毒性のものだったら、ランサーに対応させればいいからね」
    「むう…!またセイバー、あぶないことしてる…」
    「私は毒にもある程度の知識があるからね、少しの毒で倒れることはないよ」
    「な、なるほど…っ。あっ!こ、ここにある縄とか燃やしていいと思います…!すみません僕の独断ですけど!」
    「ここに勤務してる………自分が許可します…。ここも後で爆破するので関係ないですよ…」
    「ば、爆破するんですか…!?」
    「倉庫の引き出しに蝋燭もありますよ…」
    「あ、じゃあそれ借りてもいいですか…?」

    かちっかちっ!
    ぼっ……!

    「それじゃあ降りるよ。…よっと」
    どうだー?地下入ってみてなんか息苦しいとかあるー!?倒れそうとかないー!?
    「蝋燭の火は消えていないし…息苦しさもないよ。香りも今の所はしない…無臭のガスだったらどうしようもないけどね」
    「気体については俺が対応出来るから安心しろ。そんじゃ、いよいよ突入するか」
    おう!ゴーゴーゴーっ!

  • 37二次元好きの匿名さん24/01/24(水) 23:15:10

  • 38二次元好きの匿名さん24/01/25(木) 08:02:48

    保守

  • 39二次元好きの匿名さん24/01/25(木) 18:42:40

    …ってことで降りてきたけど…すっごくこう…土のかほりが…する…!
    「壁も床も掘り出した時のままだね…土壁が剥き出しだ」

    つまり種植え放題だ!やったね!
    マルちゃんもなんか埋めこんどいたら?
    「え?ええと…じゃあコレ、うえとこうかな…」
    あ、マジで種持ち歩いてるんだ…すごいね…ちょっと引く…

    「植えて大丈夫か?よく分からんが、向こうにバレるんじゃねえの」
    いやそれは今更だろランサー
    「…それもそうか。もうバレてるか、向こうに。それならバレてる前提で暴れてやった方がいいな!よし、マルグリット。山ほど植えとけ!」
    「わかった師匠!」

    「向こうの花に全方位を囲まれているかもしれないなんて、想像しただけでも恐ろしいよ。どんな対応をすればいいのやら、だ」
    「セイバーの憂いも、もっともかと。これは即突破するしかありません。道案内などは可能ですか、主人よ」
    「こ、この先は…自分も、入ったことは…ない、ので…ほ、ホント役立たずで…。連勤も出来ないのに生きててすみません…」
    しゃ、社畜ちゃん…!

    「早いですよ謝るのが!まだ誰も責めてませんから!役立たずさで言ったら僕の方がサーヴァントもいないし役立たずですからっ!」
    「若さが………ある……!徹夜しても、なんとかなる、若さが…!」
    「そ、それはそうですけど…っ!そんなこといったら、サーヴァントもいないし若さもないアーチャーのマスターさんは…!?」
    おっ もしかしてバサマスちゃんも結構毒舌か?

    「え!?ち、ちがっ…!?」
    同類同士仲良くしようやァ…ねっ、肩組んでいい?
    「ひっ、ちょっと無理です!ごめんなさいぃ!」

  • 40二次元好きの匿名さん24/01/25(木) 23:36:38

    社畜~!情緒不安定すぎて心配になるよお前!
    会社爆破したらマシな職場見つけろよな

  • 41二次元好きの匿名さん24/01/26(金) 07:55:07

    おは保守

  • 42二次元好きの匿名さん24/01/26(金) 17:56:27

    保守

  • 43二次元好きの匿名さん24/01/26(金) 22:08:10

    保守

  • 44二次元好きの匿名さん24/01/27(土) 08:09:19

    保守

  • 45二次元好きの匿名さん24/01/27(土) 19:29:22

    保守

  • 46二次元好きの匿名さん24/01/27(土) 23:43:02

    (試験期間なので更新がかなりまちまちになります 本当に申し訳ない…!!)

  • 47二次元好きの匿名さん24/01/27(土) 23:43:47

    そうですか。頑張って下さい!

  • 48二次元好きの匿名さん24/01/27(土) 23:45:34

    >>46

    試験お疲れ様

    報告してくれただけでもとてもありがたい

    気長に待つから無理しないでね

  • 49二次元好きの匿名さん24/01/28(日) 10:02:25

    保守

  • 50二次元好きの匿名さん24/01/28(日) 19:23:17

    保守

  • 51二次元好きの匿名さん24/01/28(日) 23:55:00

    保守

  • 52二次元好きの匿名さん24/01/29(月) 08:04:09

    保守

  • 53二次元好きの匿名さん24/01/29(月) 18:31:23

    保守

  • 54二次元好きの匿名さん24/01/30(火) 04:56:33

    保守がてら
    ギカレーダの腕前ちょっとは上がったけど料理への気持ちが上がらないとビーマ帰ったあと戻るような気がする

  • 55二次元好きの匿名さん24/01/30(火) 13:03:33

    そうして大所帯な一行は地下道を進み……

    困ったことに、分かれ道にぶち当たってしまったのだった!

  • 56二次元好きの匿名さん24/01/30(火) 13:06:13

    「…分かれみち、あったねえ…三つもある…」
    まあ…ダンジョンが一本道ってことはないもんなあ…仕方ないよマルちゃん

    「ここでバラけるとなると、俺の風で守ってやれなくなるのが不安だが」
    「私としてはバラけたいけど、問題は非魔術師が多いことだ。魔術的な干渉に弱すぎるんだよ、このメンバー」
    プロの言う通り!
    俺は魔術からきしで、アーチャーライダーバーサーカーのマスターも洗脳とかよわよわそうだもんね…
    マルちゃんはさあ、全体バリアとか貼れないの?

    「わたしはバリアしてる!ほかの人には…えっと…手をつないでたら行けるかも!」
    なるほど〜 最高でも二人かー…
    やっぱ時代はランサーだわ!!よっ!頼れるっ!
    「そこで勝ってもあんま嬉しくねえな…」

    「その話、少し待った!私の主人は花魔術とやらに関しましては無類の強さを誇りますよ。そもそも揺れる心の余裕がありませんから」
    「どうも…。余裕が……ありません……。香りも…花の美しさも…とくにわかりません…」
    「成程、それならライダーが自害させられる恐れもないし…動きやすいね」
    この人あまりにも可哀想が過ぎるだろ…!この人に連休をやってやってくれよ…!つかうちに来ない?

    「なあ、味覚もダメなのか?そんなあんたにこそ、俺の飯を食って元気になってもらいたいんだが」
    「えっ…?じ、自分に話してますか…?え、えっと、み、味覚もちょっと…?」
    「そうか…。ちょっと鈍い程度ならやりようはあるな!何も問題ない!」
    問題ないんだ!?味めっちゃ濃くすんの?
    「いや、体調が終わってる時に濃い味は避けたほうがいい。ここ最近でろくに飯を食ってないなら尚更だ」
    じゃあどうする気なの…
    あ、スパイス?スパイスめっちゃ使うの?どうなの?

  • 57二次元好きの匿名さん24/01/30(火) 13:09:46

    「さて、話を戻すよ。一つの道だけ進むのは探索の面からしても非効率的だし、固まって動くのは全滅のリスクも懸念される。ちょうど三つに分かれているし、サーヴァントが一人ずつ進むのは決定でいいだろう」
    「で、そのマスターも一緒に動くだろ?魔術師でないマスターばかりだ、互いの距離は近いに越したことねえし」
    「ランサーに同意だ。残るアーチャーとバーサーカーのマスターの割り振りをどうするかって感じだね」

    「…あ、あの!ぼ、僕はマルグリットちゃんと一緒に行ってもいいですか」
    「理由は…ああ、そうだね。キミが彼女と一緒にいてくれるのが一番いいかもだ」
    「わたしとバーサーカーさん、一応パスがつながったから…こう…近いほうがあんしん!だね!」
    「そ、その分、僕の目は貸します…!」
    「二人でまわりを探しまくる!敵も見つける!」
    んじゃ、まだ寝てるアーチャーの方は…ウマちゃんの背中に任せよっか
    ランサーの腕が塞がるのもアレだし
    「ヒヒン(肯定の意)」
    「が、頑張ります…死んでもノルマはこなしますので…」
    「二人きりで進むランサー陣営が、一番暴れやすいだろうね。キミたちには、比較的足跡の多い道を通ってもらおうか」
    この真ん中のやつだな!オッケー!

    ……てことは、先の方が行き止まりだったらみんなこの真ん中に集う感じか…?
    ゲーッしまった、うかつにサボれないじゃん…
    「ぼ、僕は!その道自体が行き止まりの可能性も無くはないと思ってます!マルグリットちゃんと一緒に地上で見た時から、地下の方は絡まりすぎてて…道が全部、ちゃんと見えたらよかったんですけど…」

    「総員、何かあったら派手に音を立ててくれれば良いよ。私もライダーも耳は良い方だろうし。ランサーも風の動きを察知するのは得意だろう?それぞれの道の確認を終え次第、臨機応変に対応だ」
    つまりはノープラン特攻だね!
    連絡用に携帯使えたら良かったんだけど、さっきから電波通じないんだよなあ…

    ねね、携帯といえばみんなLI○Eやってる?どこ住み?このあとヒマ?全部終わったら俺の店でお茶しない?
    勿論俺の奢りにはならないけど
    「全員ここ在住だろうがどう考えても」
    「さりげなく宣伝を挟むのは後にしてくれると助かるなあ!」

  • 58二次元好きの匿名さん24/01/30(火) 13:14:01

    「きょ、恐縮ですが質問の許可をいただきたく存じます…」
    おっ、何だね社畜くん

    「しゃ、社畜……あ、いえ。もし、何も見つからなかった場合はどうすべきでしょうか…? あっ違っ、業務上の責任逃れとかそういう訳ではないのですが、断じて…そう言う無責任な質問ではないんですが…っ」
    「実にいい質問だね、ライダーのマスター。何も見つからなかったらここに集合だ。そして作戦を練り直す!以上!解散!私たちは右に行く!」
    「かいさーん!行こ、バーサーカーさん!」
    「助かります、広めな左の道でないと私のたてがみが引っかかってしまいそうなので。もう少し道を広くしていただきたいですね、これは」

    ………

    っしゃ!やっと周り静かになったな!聖徳太子も疲れるわ〜〜

    ってことでど真ん中を行くか、ランサー!
    どうせならワイワイ喋りながら行こうぜ!日常会話で敵を撹乱する作戦だ!
    「お前は黙ってても顔が煩えから安心しな」
    さ、流石にそれは悪口では!?ギャン!!

  • 59二次元好きの匿名さん24/01/30(火) 13:34:53

    忙しい中乙です!
    単独行動久々だね

  • 60二次元好きの匿名さん24/01/30(火) 14:12:31

    受験生の身空でこの文才とは…恐ろしいな

  • 61二次元好きの匿名さん24/01/30(火) 23:52:04

    保守

  • 62二次元好きの匿名さん24/01/31(水) 01:57:52

    【中央の道 ランサー陣営】
    「走るー! 走るー! おれーたーち! まあランサーしか走ってねえけどな! 抱えて貰えるの、超快適で助かる!」
    「そういうこと言うと降ろすぞ」
    「もう降ろしてるじゃーん。脅しになってないじゃーん。……。……にしても、この道結構進んだけど何も無いねえ?」
    「……だからって油断はすんなよ? いつ奇襲されるか分からんし、足場だって悪——」

    \フッ/

    「うわっ、急に照明落ちたっ!? 道が真っ暗なんですけど! 敵の攻撃かあ〜!? たすけて! 何も見えなぁい! やだあー!」
    「ギカレーダ!? 早く俺の後ろに」
    「あっやべ最悪転けた! いたーい! 足場悪すぎ! 普段使う道はちゃんとコンクリで舗装しろ!」
    「お前なあ!?」
    「ランサーが先にサクサク歩くのが悪い! えーっと……そうだ! こういう時こそ平静を装うんだ!」
    「今更すぎるだろ!!??」
    「『日常会話で敵を撹乱する作戦だ!』」
    「まぁた言ってるのかお前! 流石に二番煎じはウケな——」
    「——『さ、流石にそれは悪口では!? ギャン!!』」
    「ちょっと早いんだよ返しが!!」


    【右の道 セイバー陣営&バーサーカーのマスター】
    「どうだい、この道の先の様子は!」
    「んん……わたし、よく分かんない! バーサーカーさんは!?」
    「すみません、あんまりに眩しくって……! ただ、進むにつれて魔力の光が強くなってる感じはします……! これって、奥に何かあるってことですよね!?」
    「私としては何もないと嬉しいんだけどなあ!」
    「そ、そうですよね! 僕がいると戦うことになったら足手まとい、ですよね……!」
    「いや、そういう訳ではないんだけど……正確にはキミがいるからというより、」

    「……! セイバーさんっ、止まって! 急に次の角の向こう側に……」
    「人が! いるみたい! ……あれ? こ、このかんじ……もしかして……」

  • 63二次元好きの匿名さん24/01/31(水) 02:00:07

    【左の道 ライダー陣営&アーチャーのマスター】
    「これ、倉庫ですね」
    「はい、倉庫ですね……」
    「にしても随分と巨大な」
    「壁が見えない……」
    「薄暗いのもありますが、それにしたって広い!」
    「はい……」
    「空気の澱み具合的に、ここで行き止まりのようなのが無念です。一応探索はしますが! 道中の引き摺ったような跡はここの物資を外に運び出した時の物でしょうか……魔術的なものと思しき奇妙な物から、市販の肥料なども積み上げてありますよ」
    「……」
    「貴方は休むのはどうでしょう。この場に危険な気配はありませんし……私が迅速に確認を済ませ、そのまま引き返しましょう」
    「……」
    「先程からいくつか棚を見ていますが……?」
    「その……」
    「はい?」
    「これ(肥料その1)とこれ(肥料その2)とこれ(持参の粉)があるなら……簡易爆弾が作れるなと思って……」
    「ははあ、なるほど。爆弾ですか……」

    「——まさか、自爆志望で……?」
    「じ、自爆はしません……!?」

    …………。
    ………。
    …。

  • 64二次元好きの匿名さん24/01/31(水) 02:02:28

    (保守&感想ありがとうございました!

    やはりバラバラに行動をして貰えると文が書きやすいですね…大人数の会話が発生しないので…


    あと、誤解させかねない書き方でしたが私は受験生ではないです!単なる定期試験です!学生(飲酒可能)です!

    それはそれとして褒め言葉をありがとうございます とても励みになります)


    (久しぶりにランサーとギカレーダが二人きりで動いてくれる気がします なんか新鮮ですね

    今までの積み重ねで頼もしくなった二人の活躍を期待…したいですね…!!


    >>54

    店の改装が終わった後の繁盛具合などはわかりませんが、ギカレーダは(以前に比べれば)料理を楽しめるようになっているんじゃないかと思います

    大勢で食卓を囲むのも、友人に何かを食べさせるのも何回か経験できましたし!「楽しみも何も分からん!」状態は脱せていそうです

    ただ、面倒がってるうちに腕前が戻ってそうというのは同意です

    そうならないようにパンダーバ店の常連になってデラックスセットを頼んでやる必要があるんじゃないか、って店主のウマスさんが言っていた気がします ご参考までに!)

     

  • 65二次元好きの匿名さん24/01/31(水) 07:33:39

    更新おつです


    >>54だけど店主がそう言うなら通うのも已む無し

  • 66二次元好きの匿名さん24/01/31(水) 17:42:36

    保守

  • 67二次元好きの匿名さん24/01/31(水) 21:03:42

    …………。
    ………。

    「ゔ……ここは……? つ、土壁……? 何故……まさか、死んだのか……僕は……?」

    「おや、アーチャーのマスター。お目覚めですか」
    「うわあ! 喋る馬!? ……馬だったな、ライダーは」
    「私は呂布なのですが……背中の乗り心地はいかがですか?」

  • 68二次元好きの匿名さん24/01/31(水) 21:12:51

    「漸く目が覚めましたね、おはようございます。現在、我々一行は騒動の元凶の本拠地へと侵入し、散開」
    「は?? 侵入??」
    「倉庫に辿り着いた私達二人は、爆弾を作成しているところです」
    「爆弾を作成しているところ??? 何だって???」

    「彼は今まで計画を練ることで心の平安を保ってきたそうで……実行に移せるとなって、我が主人も喜んでいます。倉庫の奥の方で」
    「は……はあ……!?」

    「……いや、そんなことを言っている場合ではない! 呑気にも程がある、どうしてそう危機感がないんだお前は!?」
    「え? どうしてと言われましても……私のマスターに洗脳は効きませんし。敵対している相手は人間であり、今は気配もありませんし……」
    「っ……! アレに気配がないのは当たり前だろう!? 今すぐ皆を背に乗せ、道を引き返すべきだ! 爆弾なんぞをぬくぬく作っている場合ではない!」
    「む、ムム……? その並々ならぬ気迫、何かご存じの様子。良いでしょう、話は道すがら——」

  • 69二次元好きの匿名さん24/01/31(水) 22:16:11

    ——話は、少しだけ時を遡る。

    それは、かの屋敷前にて。
    ライダーと、バーサーカーのマスターと共に、人の波を捌き切った後。
    主従ではなく、戦友として語らったほんの数分の出来事だ。

    聖杯戦争を勝ち抜く気ならば、油断し切っているライダーを不意打ちで落とすべきでは?
    そう進言したアーチャーに対し、そのマスターたる老人は首を横に振る。
    非道に手を染めてでも勝ち抜くのはやめ、妻のためにバイオリンを練習し直そうと考えたのだ、と語る。

    「では、聖杯には腕前上達でも願われますか?」
    アーチャーは更に言葉を続けた。口元には微笑を浮かべつつ。
    一仕事終えたこともあって、楽しげに冗談を口にする。
    「いやあ……それも無しだな……。そもそも! アーチャーには望みはないのかね」
    「私は……特には。主人に願いを叶えてほしい、というのがねが——」
    アーチャーが不自然に言葉を切る。
    「?」
    老人はそれを疑問に思わなくもなかったが、何せ彼は居眠り男だ。
    信じられないタイミングで眠ってしまったのかもしれない(何せ前例もある)、と思うと、真面目に心配するのも馬鹿馬鹿しくなると言うか。

    目の前に広がるのは、花の支配から解放され、その場に倒れる人間ばかり。周囲に脅威は見られない。
    少しくらい気を抜いてもいいだろう。何せ、我々は勝ったのだから。

    「随分ささやかなヤツめ。もっとこう——」

    ——ポロロン。
    そうして、指先一つ。一音が奏でられる。
    指先で放たれた刃は、何もない空間を切り裂き……

    ……「何もない」はずの空間から、ばしゃり、と鮮血が舞ったのだった。

  • 70二次元好きの匿名さん24/01/31(水) 22:24:05

    不可視の弓VS不可視の敵

  • 71二次元好きの匿名さん24/01/31(水) 22:34:27

    理解不能な公開に絶句する主人を押し除け、その返り血を浴びながらもアーチャーは二度三度と刃を放つ。
    「姿を表せ、賊め! 気配は断てても、心拍を消せなかったのが貴様の敗因だ!」
    ばしゃ、ばしゃ。刃が命中するたび、派手に鮮血が飛ぶ。
    そう何度も叩きつけられてはたまらない、と血を滲ませている透明な何者かは言葉通り姿を見せた。

    「な、ぜ……お前は、確か……! 消えた、と報告を……アーチャー!? これはどうなっている!?」
    おかしい。いる筈のない存在がそこにいる。
    「……誰でもいい。より多くを殺せれば、それで」
    そう語り目を伏せるのは、褐色の娘。……今回の聖杯戦争のアサシンとも呼ばれるべき存在が、そこに立っていた。
    マスターを殺してしまった彼女では、敗退の未来しかなかった筈だ。供給もなしに、あの傷を治せるわけがないのに!

    「ま、さか、ここの人々を!? 仕留める、痛哭の——」
    「隙!」
    遠くから飛び掛かるのと、指を一つ動かすのと。
    どちらが速いか、と言ったら後者のはずだ。
    だというのに、アーチャーはあっさりとアサシンに距離を詰められる。

    両頬を血みどろの手のひらで挟み込まれてしまうと、まるで麻痺したかのように身動きが取れなくなる。そもそも、間合いに入られた時点で、弓兵としては……!

    「——ッ、……!?」
    嫌に指が強張る。喉が固まって、うまく声が出ない。
    あと一弾きが、あと一声が、奇妙にもどうにも遠い!
    「アーチャー!? どうした……!?」
    簡単な反撃すらも行えない有様のアーチャーに、老人は動揺を隠せない。今までの彼は、どんな窮地であっても飄々としていなかったか……!?

    「……私の体は、全てが毒。脳天から爪先まで。体液も余すところなく……無論、血液も」
    老人の彼を置き去りに、アサシンは悠々と言葉を紡ぐ。
    「どうやら貴方は、毒が回るのが早い……? とても悲しいけれど、今は好都合……」
    「マ、スター……令、呪を……ッ」
    「……! れ、令呪をもって……!」

  • 72「ただ奏でろ、トリスタン…!」24/01/31(水) 22:38:22

    「さようなら。妄想毒身〈ザバーニーヤ〉」

    「っ、痛哭の、幻奏〈フェイルノート〉……!」

  • 73二次元好きの匿名さん24/01/31(水) 22:41:23

    ああ返り血を浴びたから弓主従は…
    あれ?これ地下道にいるのヤバくね?

  • 74二次元好きの匿名さん24/01/31(水) 22:45:35

    かくして、円卓の騎士は敗退する。聖杯に注がれた魂は一つ。

    アーチャーの消滅を確認した毒の娘は、陶酔し切った表情を浮かべる。
    そこには幸福があった。
    爪の先まで毒と死に満ち、在るだけで忌まれるべき彼女が、「愛されるもの」としての存在を許されている。

    それは花のような在り方だ。
    望まれた場に咲き、望まれた場で散るのだとしても、愛を得た彼女にとってみれば全く苦でない。
    だって、毒があろうと、美しければ愛の対象になるのだと「あの方」が言って下さいましたから!
    いくらでも花のように舞いますし、花のように散りましょう!

    「まさか、反撃される、とは……。でも、サーヴァントは殺した。だから……」

    「命令通り、帰還します。さようなら、アーチャーのマスター。『あの方』が寛大で助かりましたね」

    「サーヴァント、アサシン。私に触れてくれる『あの方』のため、私は幾らでも身を捧げる覚悟です————」

    それが彼女自身の抱く強い意思なのか、重ねられた令呪が故の思考なのか、もはや花/彼女には判断がつかない。
    つける必要も、その気もない。

    ただ愛玩される存在の思考なんて、ない方が素敵だし。
    とにかく、命じられたままに全てのマスターを殺戮せねば!

    立ち去るアサシンを呼び止めようにも、英霊をも蝕む毒を受けて人間が無事でいられるわけもない。
    アーチャーのマスターはあえなく意識を手放し、数分後にライダーとバーサーカーのマスターによって保護された。

    かくして、盤面はひっくり返る。現時点での敗退者は二名。
    別世界へと漂流したバーサーカー、アサシンによって討たれたアーチャー。

    アサシンの語る「あの方」とは……誰なのだろう?

  • 75二次元好きの匿名さん24/01/31(水) 23:01:13

    アサシンはランサーにボコられた後にラジアータと契約結んだのか。

  • 76二次元好きの匿名さん24/01/31(水) 23:52:28

    おつです
    消滅してなかったんかい

  • 77二次元好きの匿名さん24/02/01(木) 09:08:13

    保守

  • 78二次元好きの匿名さん24/02/01(木) 20:07:15

    アサシン (静謐のハサン) 性別 女
    マスターを既に毒殺しており、現界のために魂喰いを行っていた。毒を効かない誰かを探し求めていたが、該当者にぶん殴られてしまう。
    マスターのいない状態での致命傷ともなれば、人知れず消滅したのでは? と思われていたが……

    現在は、自らのあり方を肯定してくれた「あの方」の指示に従っている。
    が、そもそも令呪を重ねられているようで、どこまでが彼女自身の意思なのかは明確でない。
    毒に弱い逸話を持つアーチャーを不意打ちで下し、他のマスターの命を狙う。

  • 79二次元好きの匿名さん24/02/01(木) 23:15:56

    静謐ちゃん生きとったんか

  • 80二次元好きの匿名さん24/02/02(金) 08:14:54

    朝保守

  • 81二次元好きの匿名さん24/02/02(金) 18:27:23

    保守

  • 82二次元好きの匿名さん24/02/03(土) 01:52:41

    「つまり……話をまとめますと、アサシンはまだ生きている。その上、マスターの始末を狙っていると」
    「そうだ! それにしてもライダー、お前は良いな……人じゃ追いつかんからな、この足は。走る限りは狙われようがないのか」
    「待ち伏せされたら普通に危ないですけどね? まあ、私はその程度は察知しますが。強いので」
    「強いか」
    「それなりには。無論、貴方のアーチャーもなかなかの強さでしたが」
    「アーチャー……いや、もういいか。あれが強いのは当然だ、ライダー。何せアーサー王に仕える円卓の騎士の一人、トリスタンとかいう男だからな」
    「ああ、道理で。あれだけの武勇も頷けます」


    「……ム。左の道で壁の砕ける音……?」
    「アサシンか!?」
    「がっつき過ぎです、アーチャーのマスター。断言は出来ません。とはいえ、人間で土壁破壊は無理に近く……敵対サーヴァントもいないのに、壁を破壊する理由もない。最有力候補かと」
    「……ぐぅ……」
    「マスター、マスター。私の背が温かく眠りを誘うのは分かりますが、ここはご決断を。このままアサシンの確認に向かうという事で宜しいですね?」
    「………………? ………ば……爆弾の……火力を試す、良い機会……かもしれない……?」
    「では、行先は壁が砕かれた方の道へ。一直線で参りましょう!」
    「お、おい! どう見ても話を聞いていないぞお前の主人とやらは!?」

  • 83二次元好きの匿名さん24/02/03(土) 09:27:53

    アーチャーマスターはライダー主従にも振り回されてて草

  • 84二次元好きの匿名さん24/02/03(土) 18:51:25

    保守

  • 85二次元好きの匿名さん24/02/03(土) 23:52:43

  • 86二次元好きの匿名さん24/02/04(日) 10:12:00

    保守

  • 87二次元好きの匿名さん24/02/04(日) 11:34:58

    「……! 地下の照明が落とされた……仕掛けてきたか! だが、私のそれはその程度で鈍る武勇ではないぞ!」
    「スマホのライトで……よければ……」
    「おや、助かります。そのまま前の方へ照らしてください。まあ、嗅覚聴覚でわりと何とかなるんですけど」
    「そういえば、アーチャーも聴覚で色々やっていたな……あれか? 視覚が使えずとも戦えるのは戦士の通常技能なのか?」
    「そこは人によると思いますよ」


    「敵の気配はどうだ? 何か聞こえるか?」
    「今のところは何も。このまま進みます、セイバー達が心配ですね」
    「はい……合流しないことには……やみくもに爆弾も使えませんし……」
    「……(ドン引き)。そんな大切に両手で抱えるものか? そこまで爆破したいのか? 犯罪者になるくらいならば、辞めてしまえそんな職場! 環境を変えようとしないそれもまた怠慢だろうに!」
    「そう、環境を変えるべく彼が選んだのが蜂起の道なのです。つまり、現代における乱世の器というわけですね」
    「くっ……ヤケクソだろうそんなもの! やるとしてもせめて僕を巻き込まないでくれないか!!」
    「ではここで降りていただいて……」
    「それは困る!!」


    「パカラッ、パカラッ。……先ほどの音の位置から逆算するに、もう間も無く着くかと!」
    「そうか。……おい!! 居るならば返事をしろ!! あの会社員の爆弾で吹き飛ばされたくないだろう!! 僕も嫌だ、早急に返事をしてくれ!!」
    「……さん!? ……が、……で!」
    「ええい声を張れ!! 三人とも若いだろう!! 喉を痛めた僕より小さいとは根性が足りないぞ!!!」
    「耳に来ますね、腹式発声。キーンってなります」
    「……にちはーーっ!! こんにちはっ!! います!! マルグリットいます! バーサーカーさんもいまぁす!」
    「よし!! 何があった!!」
    「なんか急に色々あって……! き、来てくれてありがとうございます! 僕じゃ、絶対にマルグリットちゃんを守れないので……!」
    「そりゃ無理だろう。セイバーはどうしたのかね」
    「え、えっと! セイバーさんは多分、ランサーさんの方へ!」
    「まず、いろいろ説明しないとだから……! だから、えっと……わたし、なんて話せばいいかな!?」
    「落ち着いて最初から……こうして照明が落ちる前、僕達は、曲がり角の向こうから出てきたラジアータさんと鉢合わせたんですけど——」

  • 88二次元好きの匿名さん24/02/04(日) 11:43:28

    (三ルートに分かれるとか自分でもややこしいと感じるので画像でまとめました
    水色+線で塗られてる部分は「既に描写を終えた」箇所です
    逆を言えば、塗られていないところは「回想やら何やらで書かれる可能性がある」「まだ詳細が分からないところ」となります)

    (この辺よくわかんない…と言うのがありましたら、お気軽に書いていただけると
    いやほんと 自分でもややこしいなと思ってるので!!
    複数人で会話させる必要がないのは助かりますが、時系列をしっかりリンクさせていくのも難しいですね…)

  • 89二次元好きの匿名さん24/02/04(日) 11:57:42

    図解が本当にわかりやすくてちょっと笑っちゃった
    ラジアータと鉢合わせがかなり怖いな…

  • 90二次元好きの匿名さん24/02/04(日) 17:55:06

    バーサーカーのマスターとアーチャーのマスター大変だな...常識的だからツッコミに回りざるをえないもんなぁ
    すまねぇ頑張ってくれ、君らがいないとまともに読者は状況がわからん

  • 91二次元好きの匿名さん24/02/04(日) 19:45:31

    マスター7人に対して常識的ツッコミ人が2人かぁ
    戦力的にトリスタンと武蔵ちゃん居ないのは痛いけどボケツッコミ比率的には負荷かからなくていいのかもと思ってしまい草

  • 92二次元好きの匿名さん24/02/04(日) 23:45:32

    ラジアータと遭遇が不穏だな

  • 93二次元好きの匿名さん24/02/05(月) 09:55:33

  • 94二次元好きの匿名さん24/02/05(月) 17:12:10

    視点は変わって、不意に照明の落ちた中央道。
    突然のことにぎゃあぎゃあ喚くマスター、それに呆れるサーヴァント。
    そこに潜む死があるとも知らずに呑気なことだ。

    わざとらしく残された足跡に釣られた勇者……無謀な彼らを待ち受けるは、誰もに消滅したと思われていたアサシン。高ランクの気配遮断の前には、戦士の勘も届かない。
    「ランサーが先にサクサク歩くのが悪い! えーっと……そうだ! こういう時こそ平静を装うんだ!」
    「今更すぎるだろ!!??」
    そして奇襲の後押しをする、地下道に反響しまくる二人の大声。こんな中では、吐息や足音を殺す意味すらない気がする。

    アサシンの扱う短刀は手の内によく馴染み、簡単に隠せてしまう。
    対するランサーの武器は巨大で、この閉塞空間中では風の攻撃だってリスクが伴う。
    果たしてこの暗闇の中で、躊躇なく槍を振るえるだろうか? 答えは否。
    ……もし反撃が来たとしても、既に確保した「マスターの身体」を盾にすれば良いだけ。マスターにトドメを刺すのが自らのサーヴァントというのも、それはそれで。

    「『日常会話で敵を撹乱する作戦だ!』」
    「まぁた言ってるのかお前!!! 流石に二番煎じはウケな——」

    しかも、この二人の声の距離は十メートルを優に離れているではないか。いかなサーヴァントとはいえ、脱力した状態から視界の助けもなく咄嗟に助けに飛び出せる距離ではない。
    なんなら、余りに早く動き過ぎれば、「助ける対象/マスター」を巻き込んでしまう可能性すらある。

    暗殺者たる彼女にしてみれば、これは余りに簡単な仕事。
    暗闇に慣らすために閉じていた目を開く価値すらもない。余りにも簡単で、浮き足立ってしまうくらい。

    「——『さ、流石にそれは悪口では!? ギャン!!』」
    「ちょっと早いんだよ返しが!!」

    ランサーのマスターは、転んだまま起き上がっていないらしい。
    ぎゃんぎゃんと泣き喚いている足元に躍りかかる。一足飛び。
    彼女はそのまま、容赦なく短刀を突き立てた。
    狙うは喉笛。この騒がしいマスターを、一刀で黙らせ————

  • 95二次元好きの匿名さん24/02/05(月) 17:14:00

    …………がちん!

    短刀は地面に吸い込まれ、嫌な音を立てる。同時に血の気が引く。

    失敗した!
    失敗した? ……どうして?
    でも確かに、声はここから……!

    「『——ってことで日常会話リターンズなんだけどさ』」
    (足の間から、また声が……!?)
    刃を突き立てたほんの数センチ……いや、数ミリ横から。

    「『グレちゃんって今、何してるんだろうね?』」

  • 96二次元好きの匿名さん24/02/05(月) 17:51:41

    おつです
    時系列把握大丈夫だよ

  • 97二次元好きの匿名さん24/02/05(月) 23:29:10

    暗殺者の視点、描写かっこいいな…

  • 98二次元好きの匿名さん24/02/06(火) 08:49:19

    かっこよ...

  • 99二次元好きの匿名さん24/02/06(火) 09:22:47
    幕間苦味や酸味は本来、「食用ではないもの」「腐ったもの」を判別し、危険を知らせるための味覚であったとも言われる。

    だがいつの間にやら、人類はそれらを娯楽として認識している。

    危険のシグナルを、危険だと認識しないでいることが出来る。

    それどころか認識を捻じ曲げ、望んで楽しんでいるではないか。


    ならば、例えば。

    幼い頃に毒への耐性を獲得し、毒を危険なモノとして認識しなくなっていた「彼」はどうだろう。目の前の更に毒があると知りながら、自ら口にしたこともあった彼は?

    それは致死故に未知の味であったろうし、そもそも美味な毒物もあると聞く。

    彼の毒への認識が、他者とズレていてもなんらおかしくない……のかもしれない。


    だからだろうか。

    英霊をも蝕む毒に触れても、首を傾げる程度で済ませてしまったのは。





    姿を隠すように外套を羽織る細剣使いの太刀筋は、時を重ねるごとに鈍くなっていく。

    対して、軽やかに舞う短刀使いには毒に耐性が……いや、彼女こそが毒そのものなのか。


    短刀使いの女はこう語った。毒霧。風に乗ったものを一息でも吸えば……と。

    声が風に乗るならば、毒だって風に乗るだろう。その中で風向きを弄る選択をしたのは、他ならぬランサー自身であり。…
    telegra.ph

    【回想/空き地にて】


    「超・風神鎧! ……限定着装!」


    風を纏った英霊ビーマの拳は、剣士と相対していた毒の娘の腹をあっさりと抉り取る。

    毒に気絶しているギカレーダを抱え、片手が塞がっていたとしても、だ。

    それを差し引いても、意識外からの神話の一撃を躱せるわけもない。

    「……っ、……あぐ……!?」

    そうして散る毒血を振り払うこともせず、そのまま浴びるランサー。

    揺らぐ視界の中、アサシンはその行いを「なんて軽率な」と笑った。


    今での戦いを見ていなかったんだろうか。彼は、それほどまでに愚かなのだろうか?

    自らに触れたのなら、血を浴びたのなら、毒に侵されるはず。例外なく死んでしまうはず。

    そもそもマスターに毒が入れば、サーヴァントは楔を失って……単独行動スキルを、持たない、限り、は……


    いや、よく見れば、マスターには一滴も降りかかっていない。掛からないようにしっかりと、なんらかの対策を講じていたらしい。

    え? じゃあ、どうして? 自分にだけに、血か降りかかることを許した理由は?


    相変わらず、目の前の男は呼吸を乱す素振りすらなく。毒が効いた様子もない。

    空っぽの腹を抱えて地面に転がるしかない彼女は、不動の彼を見上げ混乱する。

    「な、……? 毒っ……ふれ……っ、のに…!」

    「……随分と毒に自信があるようだが。生憎、ソレは効かねえ身でな」

    「な……」

    あっさりと、そんな。

  • 100二次元好きの匿名さん24/02/06(火) 09:23:14

    ただ、毒が効かないとパフォーマンスするためだけに! 毒使いの矜持を折るためだけに。

    ……通常であるならば、彼もこうはしなかっただろう。ただ、相手が相手だ。
    自らのマスターを失い、消滅を回避するために魂食いを繰り返した外道。ソイツの鼻っぱしを折るくらい、別に良いだろ、というワケだ。
    ……だとしてもアサシンは、毒が効かない相手がいると知って、絶望するような精神回路をしていなかった。

    むしろ、それを幸福と感じるような娘だった。

    ——こんな身である私に触れることが出来ると、彼は。
    血に濡れた拳のまま、血に濡れた姿のまま、証明して、しまった!
    額に付着したそれを手の甲で拭って、「仮にこのまま舐めたって、何の影響もねえぞ」なんて——!

    それに続く「だから諦めてとっとと消えろ」というような冷淡な言葉は、消滅を前に朦朧とするアサシンの耳には届かない。
    もう酸素を納めておく部分も抉れてしまっているから、去っていく背に声を掛けることもできない。
    最早彼女に出来るのは、もし、どうにかして消滅を免れることが出来るなら……そうした、夢物語に浸るだけ。

    『アサシンを重点的に観察していて助かったよ。やはり、盤面をひっくり返すには暗殺者がいい。もうマスターもいないとなれば、さらに好都合だ』

    『君はあのランサーを追いたいんだね。わたしならば、それに手を貸すことが出来る。聖杯を望むわたしに、少しばかり手を貸してくれないかな?』

    『……よし。再契約を行うと令呪が三画補填されるというのは、本当に良いシステムだね』

    『これにて、契約は完了だ。すぐに君の傷を癒そう。ん、毒? そんなもの効かないさ。君は先ほど、それを見たばかりだろう?』

    だったはずなのに。

  • 101二次元好きの匿名さん24/02/06(火) 10:09:49

    このレスは削除されています

  • 102二次元好きの匿名さん24/02/06(火) 11:54:04

    更新おつです
    かっこいいな…

  • 103二次元好きの匿名さん24/02/06(火) 14:13:31

    幸運にも毒が効かない勇者に出会っちゃったなあ…静謐ちゃん…

  • 104二次元好きの匿名さん24/02/06(火) 14:30:24

    ビーマはさあ…そういうとこやぞ(誉めてる)

  • 105二次元好きの匿名さん24/02/06(火) 22:11:47

    保守

  • 106二次元好きの匿名さん24/02/07(水) 06:15:59

  • 107二次元好きの匿名さん24/02/07(水) 12:00:13

    (……って感じで行けばイケると思うんだわ! か弱き一般人としましては、「もうこれ勝ったろ風呂入ってくるわ!」「縛りプレイでも余裕だわ〜!」って相手に調子乗らせるのが一番強い手な!)

    (……。……毎度思うんだが、お前はアレか? 毎秒こういう対処を考えて生きてるのか?)

    (そ、そんな……誰しも学校にテロリストとかが乗り込んでくる妄想はするじゃない……? なのにまるで俺が変みたいな言い方良くなくない……? ランサーだって戦い方を考えたりするでしょ……? ふえぇ……俺悪くないよぉ……)

    (いや、常在戦場って言うんなら良いんだが……。いや、良いのか……? 良いのかコレ……?)

    (へーん! ムキムキのつよつよランサーには分かんねーんだ! 俺がどんだけ怖い思いをして囮をやってるかとか! ……正直すげえゾクゾクして楽し〜〜い! スリルサイコー!! こんな思いまでして戦う俺をもっと評価しても良いと思うんだけどぉ!!)

    (やっぱ楽しんでんじゃねーか!!)

    (ランサーの声、念話でもクッソうるせえ〜〜〜!)


    戦闘/毒花-1視点は変わって、不意に照明の落ちた中央道。

    突然のことにぎゃあぎゃあ喚くマスター、それに呆れるサーヴァント。

    そこに潜む死があるとも知らずに呑気なことだ。


    わざとらしく残された足跡に釣られた勇者……無謀な彼らを待ち受けるは、誰もに消滅したと思われていたアサシン。高ランクの気配遮断の前には、戦士の勘も届かない。

    「ランサーが先にサクサク歩くのが悪い! えーっと……そうだ! こういう時こそ平静を装うんだ!」

    「今更すぎるだろ!!??」

    そして奇襲の後押しをする、地下道に反響しまくる二人の大声。こんな中では、吐息や足音を殺す意味すらない気がする。


    アサシンの扱う短刀は手の内によく馴染み、簡単に隠せてしまう。

    対するランサーの武器は巨大で、この閉塞空間中では風の攻撃だってリスクが伴う。

    果たしてこの暗闇の中で、躊躇なく槍を振るえるだろうか? 答えは否。

    ……もし反撃が来たとしても、既に確保した「マスターの身体」を盾にすれば良いだけ。マスターにトドメを刺すのが自らのサーヴァントというのも、それはそれで。


    「『日常会話で敵を撹乱する作戦だ!』」

    「まぁた言ってるのかお前!!! 流石に二番煎じはウケな——」


    しか…
    telegra.ph
  • 108二次元好きの匿名さん24/02/07(水) 13:12:28

    せいひつ は こんらんしている!
    二重の意味で相手が悪かった

  • 109二次元好きの匿名さん24/02/07(水) 23:52:50

    記憶操作しれて本当に憐れとしか言いようがない

  • 110二次元好きの匿名さん24/02/08(木) 07:27:41

    ラジアータも怖いが静謐というガチ暗殺者を騙し切ったギカレーダis何

  • 111二次元好きの匿名さん24/02/08(木) 13:22:43

    毒の効かない敵対者に心踊らされ、それを上書きされて利用されてるの普通に可哀想

  • 112二次元好きの匿名さん24/02/08(木) 22:52:22
    落花/毒花-2「————ぁ、?」

    ばしゃり。鮮血がランサーの頬を彩る。

    「アサシン。花の毒で頭をやられたか? やらかした事を擁護する気は微塵もないが、そこまで駄目んなっちまうのは同情する。縋る相手を間違えたな」


    深く、深く、抉られた。

    内臓が引きちぎれて、立てなくて、ああ、この痛みには覚えがある。

    ぼんやりとしていた記憶の箱が、腹の穴が、ぱかっと開く。


    ああ、そうだ私は……!

    彼の拳に大きく抉られて、そのまま敗退するはずだったんじゃ……?

    腹部に旗槍が刺さっている。どうして今、私は槍が刺さっているんだろう。拳じゃなくて?

    あの時、彼が私に触れてくれて。私の返り血を浴びて。じゃあ、この人も死んでしまうんだと思った私に「毒は効かねえ身でな」なんて言って……。


    「……そうだ、それで……私、彼こそが、と思っ……」


    …………何で忘れていたんだろう。あんなにも切望していたことを、あっさりと忘却しているなんて……?

    よろよろ、数歩後ずさったアサシンはその場に崩れ落ちる。自らの血の上に横たわりながら、か細く呟いた。

    「……わた、し……前に、あなた、に……?」

    「ああ、ちゃんと殺してやらなかったのを後悔してるよ。少なくとも、そうい…
    telegra.ph
  • 113二次元好きの匿名さん24/02/08(木) 23:05:00

    ビーマの冷たい線引きと義理堅さ格好良すぎるなあ…
    最後の最後とはいえ、静謐ちゃんの切実な願いが顧みられてよかったよ

  • 114二次元好きの匿名さん24/02/08(木) 23:11:57

    このレスは削除されています

  • 115二次元好きの匿名さん24/02/08(木) 23:21:21

    このレスは削除されています

  • 116二次元好きの匿名さん24/02/09(金) 00:17:06

    おつです
    ビーマめっちゃ格好いいしこういう事しそうってエミュがうまい

  • 117二次元好きの匿名さん24/02/09(金) 10:22:44

    保守

  • 118二次元好きの匿名さん24/02/09(金) 19:09:18

    …な、なあランサー
    今度こそ倒したってことで良いのか?これ?
    「いいだろ、流石に。手応えはあったぞ」
    そりゃ素手でいけばね?手応えなかったら逆に怖いもんね?

    えーと?これでバーサーカー、アーチャー、アサシンが退場かー!…やっと折り返しか…めんど…
    「面倒ってお前なあ…」

    なあなあ改めて聞くけどさ、ここまで来たセイバー的にはどこまで同盟なのよ
    「そうだね、ここまで来たなら最後までかな」
    ご、強欲〜〜!?急に欲が深い!欲深で良いことなんかないよ?俺に勝ち譲る気とかない?
    「最後の二騎になったら私のマスターと相談してくれ、私はどちらでもいいから」
    勝ったな…マルちゃん相手なら丸めこめる自信あるわ…
    「勝って何願うんだよお前」
    なんか適当にいろいろ!

    「ほら、ギカレーダ。落ちてた携帯。ちゃんと持ってないとダメだよ」
    あ!ありがと!流石はセイバー、見えてるね…暗闇でも…
    「仕事柄、夜目も利かないとね」
    「俺だって落ちてた場所は分かる。ただ…俺が拾うわけにも行かんだろう」
    …?その心は…?ランサーったらどんな見た目なんです…?(スマホのライトぺカー)

  • 119二次元好きの匿名さん24/02/09(金) 19:09:59

    …ウッッッワ猟奇的殺人犯!
    「言い方!!」
    だって両手が血まみれなんだもん!全体的に返り血なんだもん!お巡りさんに通報案件だよ!表に出る前には水浴びしてね!この寒い中でね!
    「それは構わねえが…まあいい。今後はどうする。前に進むって方針でいいか? ギカレーダ」
    おう!とっととラジアータをぶっ飛ばしてやろうぜ!サーヴァント二騎もいれば、人間相手なんざ楽勝さ!
    ってフラグを立てていくことで、結末を不穏な感じにしていこっかな!

    「やめろマジで…」

  • 120二次元好きの匿名さん24/02/09(金) 19:12:15

    猟奇殺人鬼になること自体が義理立てみたいなもんだから!その辺を語らないのもまたビーマっぽいんだけども

  • 121二次元好きの匿名さん24/02/09(金) 19:21:35

    (ビーマがわからない!!状態になり筆が止まりつつあったので、好意的な感想をいくつか頂けて自信に繋がりました……!ありがとうございます!
    頼れる兄貴かつ冷徹なところもあり、でもやっぱり善性、みたいな…上手く言えませんね!未だに彼がよく分かりません)
    (果たして静謐ちゃんを活躍させたいという思いは上手く書けたのか…
    毒関係でトリスタンと、と思ったり… 蒼銀の方とはあまり絡められませんでしたが、まあ回収しすぎも際限ないということで)
    (最近は書き込みがいくつか消えてしまってますね、掲示板のバグとかなんでしょうか 単に書き損じとかで消してらっしゃるとかなら要らない心配なんですが!)

  • 122二次元好きの匿名さん24/02/09(金) 19:36:44

    おつです

    >>114 >>115は送信ミスで消しました

    無駄にレス消費して申し訳ない


    ビーマ格好いいよ!

    頼られるのが好きな兄貴で敵には一切容赦しないけど恩に報いるの良い

    静謐ちゃんについてはチョロいオタクだから、おのれラジアータ!ってなってる

  • 123二次元好きの匿名さん24/02/09(金) 19:54:30

    >>122

    なるほどです! スレ消費については次を立てれば良いだけですのでお気になさらず!

    せっかく書いていただいたものが消えていたとしたら、何だかな…!と思っていたので…!


    ヴワーーーッ本当にありがとうございます

    亀進行ではありますが頑張ります!)

  • 124二次元好きの匿名さん24/02/10(土) 06:02:02

    保守

  • 125二次元好きの匿名さん24/02/10(土) 16:39:01

    保守

  • 126二次元好きの匿名さん24/02/10(土) 23:24:35

  • 127二次元好きの匿名さん24/02/11(日) 09:12:28

    保守

  • 128二次元好きの匿名さん24/02/11(日) 19:40:20

    保守がてら
    最初から読み直したけどノープランで開始してこれだけ面白いのすごいと思う

  • 129二次元好きの匿名さん24/02/11(日) 23:58:00

  • 130二次元好きの匿名さん24/02/11(日) 23:58:25

    一応星
    こんな凄いもんタダで読ませてくれるスレ主に感謝

  • 131二次元好きの匿名さん24/02/12(月) 08:20:26

    保守

  • 132二次元好きの匿名さん24/02/12(月) 18:46:01

    保守

  • 133二次元好きの匿名さん24/02/12(月) 22:39:03

    (アイツにはサーヴァントがまだ居そう?)
    (ああ、アサシンはそう言っていた)
    (はーん…嘘か?)
    (そうは見えなかったな。アサシンとしての結論はそう、という話だろう)
    (つってもなあ…裏切り者がいるってことじゃないの?それ?)
    (残るはセイバー、ライダー、キャスター…一番素性が知れないのはライダーか?)
    (ウマちゃんが向こう側だったらなんかやだな…キャスターは?)
    (お前の方にグレイユルが連絡してきてるんじゃねえの?)
    (いやそれがさ、暫く静かなんだよね…楽でいいんだけどさ。喋りつつ念話しつつグレちゃんの相手とかキツいし…)
    (お前そういうのは早く言えよ…!?)
    (言えるわけないだろあの状況でぇ!)
    (そうだな、確かに言う暇もないか…)
    (分かればいいんだよ、あとで誠心誠意謝ってくれれば。さて話を戻すぜ!じゃあ八人目のサーヴァントがいるって線はどうだろ)
    (は?まだあのトンチキ王子が退去してないなんて線もあるかも、って?)
    (は?別にドゥリリンに限った話じゃないけど?ほら、マスターがちゃんと健在なのにあっちに寝返るのってなんか納得行かんし…?)
    (新たに召喚したんじゃないかって言いたいのか?召喚出来るのは、大抵七人までと決まってる。更に召喚ってのは最後の案にしとこうぜ。ドゥリーヨダナを残してるなら、一応は八人目にはなるかも知れねえが…あれは確かに武蔵が…)
    (でもさ、その現場俺たちは見てないじゃん)
    (あの後からドゥリーヨダナの気配は消えたぞ)
    (それはぶっちゃけランサーの勘じゃん?)
    (俺の勘は当たるぞ、わりと)
    (…ん?待てよ?そもそもの話だけどさ。サムライバーサーカーの消滅だってこっちは確認できてなくね?)

  • 134二次元好きの匿名さん24/02/12(月) 22:44:28

    (…もしかして俺らってぇ…アサシン以外の消滅を確認できてない?バーサーカーは地下に置いてったし、アーチャーは知らん間に消えてたし…)
    (言われてみれば…?あの野郎が召喚されたサーヴァントを確保してる以上、完全に消滅したのを確認してないと安心出来ないのか…?)
    (ま、まだまだ情報が足りねえ〜!ひとまずは警戒しつつも前進ってことでいっか…)
    (アーチャーのマスターが起きてくれれば、アーチャーの件は聞けそうだったがな…)

    「キミたち、そろそろ歩かない?」
    「わり、色々悩んでた!じゃあ前に進もっか!」
    「何でアサシンが向こうに着いてたのかとか、な。どう考えたもんかな、これは」
    「…そうだね、これは確かに奇妙だ……」
    「奇妙だわー」
    「そうだな」
    「………。…とにかく!前に!進んでさ!何もなかったらなかったで即引き返そうぜー、マルちゃんの様子も気になるし。警戒態勢だ!静かに忍び足で!」
    「周りに花があるだろうから、あまり効果ないと思うけどなあ…」

  • 135二次元好きの匿名さん24/02/12(月) 22:44:56

    (え〜ん!プロ!ここは言わずとも何か考察言ってくれよ!俺はプロの考察がないとなんも考えられないんだ!)
    (そうか…?わりと色々考えてないか…?…それにしても、少し見直したよ。やっぱ気になるか、アイツのこと)
    (え?気になるだろ、そりゃ)
    (へえ?聖杯戦争が始まったばっかの時なら「勝手に囮になってもらうぜ!」とか言いそうだったのにな?感慨深いねえ)
    (え?誰それ?俺はそんな酷いことしないよ?俺はもっとねえ、恩を着せるためなら何でもするの!)
    (……。お前なあ…)
    (恩を着せるためにはどう動くのが良いか悩んでるとこなんだよー!後ろに戻んない方がいいのはわかる。じゃあどこまで時間稼げばいいかな〜とか…)
    (…?とっととラジアータを倒すんじゃなかったのか?)
    (ランサーだけだと不安だからぁ…控えにもう一人くらいは欲しいなって…)
    (おまッ…いや、そうだな。油断はよくない。向こうはどんな策を弄してくるかも分からん。まだ余裕をかましてるってことは、何か逆転の芽があるんだろうよ。そして恐らくは…)
    (……お、キャスターから脳内に連絡だ!)
    (タイミングが悪いなァ毎回!)

  • 136二次元好きの匿名さん24/02/12(月) 23:55:44

    おつです
    そういや武蔵ちゃんの幕間やたら不穏だった気がするけどあれは静謐ちゃんと思わせてトリスタンってことだけなのかな
    それとも他にも何か含ませてるのか……

  • 137二次元好きの匿名さん24/02/13(火) 07:13:06

    (グレちゃんはどうしたんだろうね!…ほんほん。キャスターがいうには、『向こうが掌握していた霊脈を、こちら側に接続できる形で乗っ取った』『一番いいタイミングで完全に奪い取るから、合図をくれ』『霊脈に接続するとこちらの居場所が割れるので、あとはよろしく』…的な)
    (お、おお…ラジアータの攻略上はありがたいな。…ああ、確かにありがたいが…)
    (こわ〜い!)
    (そうだな!)
    (霊脈ぅ?補給ポイント全部抑えられてる的な?もうそんなんキャスターの一人勝ちやんけ!キャスターの備蓄に比べりゃ俺の持ってる魔力量なんかカスや!俺の水筒とキャスターの川みたいになってる!水筒じゃ川には勝てねえのよ)
    (つーか、さり気なく討伐はこちら任せになってないか?ラジアータを倒した後の聖杯戦争のことも考えて動かないとな…)
    (俺としては不意打ち上等よ?そちらがそうするなら、こちらにも考えがありますよってコトで)
    (ま、あの上に立ちたがりな性格なら、聖杯戦争が再開した瞬間に暴れ始めるだろ。そこを即殴りに行けばいい)
    (んー、霊脈返しの合図どうしようなー…。向こうの一方通行だからなあ、この通信)
    (…つか、グレイユルの奴は結局通信に出て来なかったのか。今まではずっとソイツだったんだろ?何があったんだろうな…?)
    (緊張で腹でも壊したんじゃね?)
    (ありそうなのが何とも言えん…)

  • 138二次元好きの匿名さん24/02/13(火) 18:10:54

    おつ保守

  • 139二次元好きの匿名さん24/02/13(火) 19:03:51

    保守

  • 140二次元好きの匿名さん24/02/13(火) 19:07:01

    (ダメとは言わないが最後の投稿から落ちるまで12時間あるから前回保守の直後にやる意味は限りなく薄いよ)

  • 141二次元好きの匿名さん24/02/13(火) 23:56:38

    夜保守

  • 142二次元好きの匿名さん24/02/14(水) 01:13:16

    【前幕/種子】

    「召喚は成功、か……良かった。これで安心だ。我が名はラジアータ・アデール。一応は当主を務めている。貴殿のステータスやスキルの開示を頼んでも?」

    「真名はシュヴァリエ・デオンか。ステータスも高水準で、近代の騎士とは思えない。保有スキルの……自己暗示とは、どのような?」

    「ふむ、なるほど。その暗示は肉体の変化すらも可能とするのか、稀有なスキルだね」

    「いやまったく、本当に素晴らしい! 暗示の重要性、暗示の可能性については魔術師としてもよく理解しているよ」

    「ニホンのサムライとやらは、抜刀時に自己暗示をかけることで肉体を作り変え、異様な戦力を誇ったとも聞くしね。……我がフランスでも、同じだったのかな」

    「……ともかく。わたしにとって、とても好都合だ。やはり君を選んでよかった、王家の白百合。我が娘を預ける上で、君にはとても、信用がおける」

    「ん? ああ、わたしの家は花を扱う魔術師でね。この部屋も、良い香りがするだろう? この香は魔術の質を上げたり、指向性を高めるための——」

    「——————」

    「——————、————————」

    「——さて、下らない話はこれくらいにして。この瞬間から君のマスターは、我が半身たる愛しいマルグリット・アデールだ。勿論、既に彼女とのパスは繋がっているよ」

    「どうか、最期まで彼女を守り通してくれたまえ」

  • 143二次元好きの匿名さん24/02/14(水) 07:25:20

    おつです
    デオン有能~と想ってたら…これは……

  • 144二次元好きの匿名さん24/02/14(水) 08:25:15

    zero槍陣営みたいに令呪の譲渡と静謐ちゃんみたいに花による認識の上書き、そしてセイバーの自己暗示による二重掛けってことか…?セイバー自身に自覚があるのかないのか…

  • 145やったねセイバー!想定通りだ!24/02/14(水) 10:56:33

    そうして振るわれた剣は、卓越した花の魔術に逸らされて壁を叩き崩す。


    地下道に響く崩落音が呼び寄せるは、白百合の騎士の脱落の結末か。

    あと、別の道を歩いていたライダー陣営もついでにくっついてくるぞ。


    労いの言葉は毒の味時は少し遡り。照明が落ちる前の話。

    「どうだい、この道の先の様子は!」

    「んん……わたし、よく分かんない! バーサーカーさんは!?」

    「すみません、あんまりに眩しくって……! ただ、進むにつれて魔力の光が強くなってる感じはします……! これって、奥に何かあるってことですよね!?」

    「私としては何もないと嬉しいんだけどなあ!」

    「そ、そうですよね! 僕がいると戦うことになったら足手まとい、ですよね……!」

    「いや、そういう訳ではないんだけど……正確にはキミがいるからというより、」


    「……! セイバーさんっ、止まって! 急に次の角の向こう側に……」

    「人が! いるみたい! ……あれ? こ、このかんじ……もしかして……」



    ——突如、曲がり角の向こうに出現した人間の反応。

    マルグリットの花魔術による今までの索敵を潜り抜け現れるなど……最早、候補は一人しかいない。


    セイバーが声を荒らげる。

    「そこに居るのは分かっている、姿を見せろ!」

    それに素直に従い姿を見せたのは、マルグリットによく目元の似た、柔和そうな顔立ちの男。髪色も瞳の色も同じ、血縁を感じるその姿。


    「——やあ。おかえり、マリィ。聖杯戦争は楽し…
    telegra.ph
  • 146二次元好きの匿名さん24/02/14(水) 12:14:04

    おつです
    おのれラジアータ!!ナイスな悪役ぶりだなあ!!
    デオンが生き残る気無さそうなのはちょいちょい見えてたけど……うーんマルちゃんもデオンもしんどい

  • 147二次元好きの匿名さん24/02/14(水) 21:17:58

    デオーン!なんとなくそんな気はしていたけれども!
    自己暗示スキルとの掛け合わせが上手い…
    ラジアータのはっつけたような毒親ぶりもいいなあ 

  • 148二次元好きの匿名さん24/02/15(木) 07:19:22

    おは保守

  • 149二次元好きの匿名さん24/02/15(木) 18:47:16

    保守

  • 150二次元好きの匿名さん24/02/15(木) 22:37:18

    優しく語りかけるところが怖くていいな…

  • 151二次元好きの匿名さん24/02/16(金) 08:32:12

    保守

  • 152二次元好きの匿名さん24/02/16(金) 15:26:55

    セイバーさんの剣が自分に向けられた時。
    マルグリットちゃんのお父さんが「彼には犠牲になってもらおう」と口にした時。
    どうしようもなく、足が動かなかった。なんなら、指ひとつ動かせなかった。

    僕がまだ生きているのは、マルグリットちゃんが攻撃を逸らす魔術を使ってくれたからで。
    セイバーさんが、それに合わせて剣を逸らしてくれたからだ。
    わざと一撃を外すだけでも「命令に違反した」ことになって苦しいのか、セイバーさんの顔が歪む。ほんの一瞬だけど、僕にはよく見えてしまう。

    「——、——ッ! ラジアータ!」
    「おや、どうしたのかな? わたしのセイバー」
    「は、ハハ、詰めが甘いな……! マスターを殺す順番を、キミは定めていなかったね……!」
    その笑い方は、ただの空元気だ。自分に言い聞かせるための言葉だ。
    不敵に笑っているけど、本当は死ぬほど苦しいはず。

    「……ふむ? 続けて?」
    「サーヴァントを持たない元マスターなどいつでも殺せる。わざわざ殺す価値もない。故に私はッ、ま、まずは——」
    「あー。いいよいいよ、無理して詭弁を捏ねなくても。命令を遂行してくれるならそれで。マスターとして命じよう、ランサーのマスターから殺してくれ」
    「ッ……。従おう。か、必ずや、彼女を殺してからだ。それまでは、誰も殺さない……!」
    そこでホッとしたように見えたのは、多分僕の勘違いじゃない。
    セイバーさんは、ランサーさんとそのマスターを信頼しているんだ。自分が殺しに行ったとしても、何とかしてくれるって。
    ……セイバーさんは……自分が死ぬ分には、それでいいんだろうか。
    セイバーさんがよくても、マルグリットちゃんは悲しむだろう。

  • 153二次元好きの匿名さん24/02/16(金) 15:28:42

    「はいはい、好きにしなさい。えーと? 今頃、ランサーはアサシンに狙われているところかな? そこそこ距離があるし、今更駆けつけても無駄足かもしれないけれど……行けばいいじゃないか。二人がかりで殺しておいで」
    「は……? あ、アサシン……に……? あれは、消滅したはず、じゃ……?」
    「わたしは儀式の最終調整があるから、また後でね。実際、彼を守ろうとしたマリィがケガをしても困るから……バーサーカーのマスターは後回しでいいよ、セイバー。見逃してやりなさい」

    彼は、そう言ってどうでもいいような顔でセイバーを追い払った。
    それから僕達を見て、やっぱりどうでもいいような顔で……

    「……ひゃ!?」
    「っ、照明が……! マルグリットちゃん、手を! はぐれたら危ない!」
    「う、うん……!」

    ……僕には何も出来ない。
    宮本さんはもういない。僕には戦う力もない。
    魔術なんか知らないし、特技といえば人より少し目がいいだけ。
    何かが見えたところで、それを誰かに伝えられたところで。

    僕自身が何も出来ないことに、変わりはないんだ。

  • 154二次元好きの匿名さん24/02/16(金) 23:59:37

    そうやってマルグリットの手を握ることが出来ているじゃないかバーサーカーのマスター
    眼が良いからセイバーの表情もしっかり見えたんだろうな…感受性高いし

  • 155二次元好きの匿名さん24/02/17(土) 00:08:48

    おつです
    ラジアータは腹立つ悪役として素晴らしいけどマルちゃんがデオンがバサカ鱒が……
    槍主従に何の心配もいらないのはそう
    だってつよつよ槍主従だし……大丈夫だよね?

  • 156二次元好きの匿名さん24/02/17(土) 08:19:57

    ライダーが一騎、人間が四人。
    ぞろぞろと向かうは、セイバーが向かったと思しき中央道。
    ランサーが先に道を切り開いていた場——

    「す、ストップ!! ストップ!! ストーーップ!!」
    「煩いぞ。そこまで声を張らずとも聞こえる。僕の耳はそこまで悪くないと何度言えば分かるんだね」
    「う、煩くもなりますごめんなさい! すみません! 僕なんかが……でも、あの、危ないので!」
    「危ない……? それは……爆弾で回避できる危険ですか? 爆破していいか?」
    「お前は爆弾から離れないか。犯罪だからな、犯罪」
    「マルグリットちゃん、これは……アレだよね! おかしいよね!」
    「爆破……」
    (今の状況がもうおかしいだろうと口を挟んだら、僕は喧しい老人になってしまうのだろうか? 納得が行かない……)

  • 157二次元好きの匿名さん24/02/17(土) 08:20:24

    「う、うん……すごくつぶが小さいけど……わたしにはよく見えないけど……間違いないっ!」
    「と……取り敢えず、僕から説明しますね。この中央の道、妙な魔力に満たされているんです」
    「妙な魔力?」
    「はい。一つ一つは本当に小さくて、えーと、霧雨みたいな……? と、ともかく、何かがふわふわと満たされている事は間違い無いんです。信じてくださいっ!」
    「魔力が……? ……確か、サーヴァントは魔力の塊だったな。それに関連したものという可能性は?」
    「師匠……じゃなくて、ランサーさんのとはちがうと思う! こういうの、風で追い払うほうだから……セイバーも多分、ちがう……」
    「……霧雨……霧……飛沫……あ。血飛沫という可能性は考えられないだろうか」
    「血飛沫……ですか。それはどういう?」
    「アサシンのことを思い出してな。アレは全身が毒、血さえも毒だと……まだ生きているのであれば、僕達の分断のために毒を撒くというのも考えられるなと」
    「毒のきり……! わたしそれ知ってる! セイバーがそれで大変だった!」
    「であれば、ここに不用意に踏み込んだ瞬間に我々はお陀仏だった可能性があると。……フ、若人を道連れにしたとあれば流石に妻に殴られるかもしれない……楽器ケースの角とかで……」
    「……自分、本当に毒か……確認に行きましょうか?」
    「自爆死亡の次は死地に向かおうとするのを止めろそこの会社員。まだ若いだろう。炭鉱のカナリヤじゃあるまいし」
    「でも……自分の命に価値があるって感じられるの、嬉しくないですか?」
    「い、生きてるだけで価値はあるだろう……? 今時の若い者はどうなっているんだ……?」
    「外の世界って大変なんだなあ……。で、でも、困りましたね! そうなると、僕たちはここを通れないということになってしまいました」
    「ううん……師匠みたいに、風がつかえたらなあ……。花魔術は毒もつかうし、わたしだけならちょこっとは平気かもだけど……」
    「あっそうだ! 服とかでバサバサやったら起きませんかね、風。僕の上着、別にダメになってもいいので——」
    「——馬鹿者、こんな狭い所で不用意に仰いでみろ! こっちに来るぞ、毒が!!」
    「ひ、ひいっ! ご、ごめんなさいっ! ごめんなさいぃ!」
    「そこまで謝らなくてもいいんじゃないかね……?」

  • 158二次元好きの匿名さん24/02/17(土) 08:20:44

    「ヒヒヒン。どうやら皆さんお困りのご様子。有りますよ、風を起こす方法。力技ですが、背に腹は変えられません」
    「ライダー……? それは……どういう方法……です、か……?」
    「ええ、胸を張って下さい我が主人よ。正に、貴方の努力が結ばれる時です」
    「へ……? 自分、の……?」

    「ヒヒン。シンプルに道を爆破します」
    「そうか。シンプルに馬鹿者!!!!」

  • 159二次元好きの匿名さん24/02/17(土) 13:33:18

    おつです
    弓鱒頑張って…!

  • 160二次元好きの匿名さん24/02/17(土) 21:48:38

    マスターが巻き込まれ一般人と幼女の集まりだから、作戦会議も危なっかしいな…w
    UMAが保護者とは…

  • 161二次元好きの匿名さん24/02/17(土) 23:57:31

    保守

  • 162二次元好きの匿名さん24/02/18(日) 10:25:12

    保守

  • 163二次元好きの匿名さん24/02/18(日) 19:32:09

    保守

  • 164二次元好きの匿名さん24/02/18(日) 23:52:05

    夜保守

  • 165二次元好きの匿名さん24/02/19(月) 08:52:11

    保守

  • 166二次元好きの匿名さん24/02/19(月) 09:17:52

    ギカレーダ、ランサー、セイバー。
    相対するはラジアータ・アデール。
    人間一人にサーヴァント二人という時点で過剰戦力だが、さて。

    「ラジコン野郎はさあ、マジでこの先に居るのかな?」
    「居ると思うよ」
    「ほほう。プロ、それは何ゆえですかな?」

    マスターの魔力をこの先から感じるからさ、とは言えない。
    セイバーは無言のまま、二人より数メートルほど後退した。ふわりと跳び上がり、優雅に着地。

    「わーお。舞台かな?」
    ギカレーダの茶々に微笑んだ白百合の騎士は、そのまま剣を引き抜く。

    ————ランサー、を、殺すのであれば?
    ランサーのマスターを、殺すのであれば?
    どうする? ……嫌でも、その問い掛けに答えなくてはいけない。
    彼らの脅威は、共に戦ってきた自分がよく、一番、知っている。

    だから、もし、彼らを、殺さなくてはいけないのだ、と、したら?
    それは……全力を賭けた一撃、でなくては。
    それ以外の道はない。万にひとつもないだろう。
    故に、もし、殺すのだと、したら。……したら?

    「百合、の、王家よ、永遠……なれ!」
    魔力が満ちる。思考が染まっていく。改竄されていく。
    エーテルによって形作られた肉体は侵食され、それは脳も、それに伴って思考も例外なく。
    最早自死を望むこともできず、マスターの殺戮命令にも抗えないのだとしたら、私、わた、しは——

    ——————。

  • 167二次元好きの匿名さん24/02/19(月) 09:18:29

    このレスは削除されています

  • 168二次元好きの匿名さん24/02/19(月) 09:20:01

    ——ああ。
    そうだ。ランサーのマスターを殺すなら、それは全力を賭けた一撃でなくてはならない。それ以外の道はない。
    最早それ以外は考えられない!

    あの、無防備な姿へ。私を信じているだろう愚かな彼女へ。
    全力の、狙い澄ました一撃を叩きつけてやらなくては。

    ああ、咲け! 白百合よ! そしてそのまま、散ってしまえ!
    故に宝具を。人間一人に宝具とは、これまた過剰な。いいや、それでいい。それでいいんだ。
    それくらいの覚悟でなければ、強者は倒せない! 当然のことだろう!
    対象は一人、多数の幻惑が主目的でもなし。
    故に使うべき剣技は、対軍の三や二でなく、対人宝具たる一のそれ! ……なのだが。
    どうせなら、最大でかかってもいいのでは? と、囁く声がある。確かに。
    ああそうだとも! それ程してもランサーを倒せるかどうか不明なのだ。

    最大火力を出した方がいい。全力の逐次投入など以ての外。
    私が使うべきは、対人宝具の百合の花散る剣の舞踏でもなく、対軍宝具の百合の花咲く豪華絢爛でもなく。
    ああ、ここは三を選ぶべきだ。百花繚乱。
    我が身の全魔力を使ってでも、ここで落とすべきだ。
    私の選択は間違っていない。間違っているはずがない。

      フルール・ド・——
    「百合の花舞う百花——」

  • 169二次元好きの匿名さん24/02/19(月) 12:27:51

    セイバーの詠唱が止まる。いや、中断させられる。
    宝具の発動を前にしていた華奢な身体が、剛腕に弾き飛ばされた。
    呆気なくも膨大な魔力は霧散し、全ては水泡に帰す。
    「——いやいや。流石によ? 目の前で悠々と宝具展開とか、なあ?」
    壁に叩きつけられ細剣を取り落としたセイバーに、ランサーは淡々と。
    「ソレはねえだろ、セイバー。ちと優雅さに欠けていんな」
    「っ、ぐ……!」

    失敗した。唯一の勝ちの目が潰えた。ランサーは完全に私を警戒し、そのマスターは私を見て……わ、笑っ……?

  • 170二次元好きの匿名さん24/02/19(月) 12:36:07

    『……大丈夫。攻撃を逸らされ壁を壊したのも、宝具の発動を邪魔させられたのも、全ては願った通り。
    私/セイバーがそれを知覚できるかは置いておいて、概ね想定通りにコトは進むだろう。

    策略家とは、一つの策に固執しない。出来る限り賭けに出ない。
    起死回生はギャンブラーのすることで、基本的にはいくつも次善策を用意しておくものだ。策と一口に言っても色々あるけれど……
    今回の件で例えるなら、「策に嵌める対象の思考を、『〜すべきだ』と強い暗示で事前に狭めておく」、とか。

    当たり前のことだけど。誰よりも「自己暗示」を上手く使えるのは私なんだよ、マスター。
    貴方の指示のように、常に一つの暗示に縛られるのは下手なやり方だ。柔軟性がない。つまらないんだ、そんなもの。

    いいかい? 私は違う。
    私なら、「シュヴァリエ・デオン」をこう使う。
    お前のような、つまらない駒の動かし方はしない。

    ……。
    令呪によってラジアータとの契約を認識出来なくなっていた、今までの私。自分が得た情報の殆どは、向こうに流れていると思っていいだろう。

    ……うん。だからこその別行動だ。よくやったよ、いつかの私。
    よくぞ、「自分は一人で行動するべきだ」「途中で敗退するべきだ」という認識を守り通した。
    私の知らぬことだから断言は出来ないが、私が「知らない」ことで何かが突破口になることもあるだろう。
    そもそも、私がいなくとも彼らはきっと勝てるのだから。大丈夫、大丈夫。

    さあさあ、さあ! まだ終わらないぞ、私!
    次々と自他を欺き、花散る時まで舞い果てようじゃないか!

    魔力が満ちる。思考が染まっていく。改竄されていく。
    エーテルによって形作られた肉体は暗示に侵食され、それは脳も、それに伴って思考も例外なく。

    ……最大の難所、接敵を乗り切れたなら上々。
    あとは悪役として倒されるだけ、さ!』

  • 171二次元好きの匿名さん24/02/19(月) 12:37:02

    みし、みし、土壁から不穏な音がする。植物の根らしきものが壁から這い出し、うねうねと動き始める。
    もしかしなくてもこれは、ラジアータの魔術……?
    ただの根と侮るなかれ。人の胴よりも太いものが自在に振り回されるとなれば、それは純粋に凶器である。

    「……は、はは、悪いねぇランサー! ここまで来たならキミに依存する必要もない。真なる主人のため、そこのマスター共々疾く消えて貰おう!」
    「……。…………ま、遅かれ早かれか? いいぞ、どう料理されたい? やっぱフランス式か? あ?」

    ……セイバーは笑い、植物の根は縦横無尽に地下道を這い回る。
    さあ、早急に片をつけよう。このまま戦闘で道が崩れてしまおうものなら、それだけで大きな損失だ!

  • 172二次元好きの匿名さん24/02/19(月) 15:28:44

    おつです
    デオン賢いけどおつらい…
    槍陣営ひょっとしたら察してます?

  • 173二次元好きの匿名さん24/02/19(月) 23:51:29

    ランサーの反応からしてランサーは察しているね

  • 174二次元好きの匿名さん24/02/20(火) 00:48:57

    >当たり前のことだけど。誰よりも「自己暗示」を上手く使えるのは私なんだよ、マスター。


    ここマジでかっこよすぎる

    デオン推しで密かに追ってきてたけど、本当に本当にかっこいい、ありがとう

    散ってしまうのが惜しい、でも散るときは絶対に綺麗だから見てみたい~~~

  • 175二次元好きの匿名さん24/02/20(火) 09:35:11

    保守

  • 176二次元好きの匿名さん24/02/20(火) 19:30:22

    保守

  • 177二次元好きの匿名さん24/02/20(火) 23:53:38

    保守

  • 178二次元好きの匿名さん24/02/21(水) 08:32:58

    保守

  • 179二次元好きの匿名さん24/02/21(水) 16:34:40

    「…や、やりやがった!ヤリやがったぞランサー、ランサーだけに!!」
    「気が抜けるようなこと後ろから言うなよ…」
    「そう来んなら気兼ねなくぶっ倒せるなァ、セイバー!安心してお陀仏しなッ汚ねえ裏切り者が!!——そう、法の名の下に!」
    「お前が一番掲げちゃいけないお題目じゃないか?それ」
    「ハハ、裏切り者とは言葉が強い。聖杯戦争ってこういうものだろ?キミだってランサーを裏切りかけたくせに、私を非難出来るのかい?」
    「んぐぐ…自害の件をイジるのはやめろーっ!あれはグレちゃんのせいだから!でも安心して!グレちゃんは俺のケアする気なかったけど、俺はマルちゃんを保護して店の呼び込みさせてあげる気だから!」
    「逆に安心出来ないだろ…」
    「…よし、まずはセイバーに隙を作らないとな!ひとまず仲間割れした風を誘って向こうに隙を見せたいから、ランサーは自分勝手で口汚い俺を罵ってくれ」
    「口頭で言うな自分で言うな」
    「それともあれか?キャスターに乗っ取られたフリとかするか?嘘っぱちで自害せよとかするか?」
    「だからネタを明かすなネタを。念話でやれせめて!」
    「めんどいんだもん念話!もう五百年くらい使ってないもん!」
    「それは…まあ、一般人だからな。疲れても仕方ねえな…?」

    (というのを言っておくことで相手に誤認させるのが俺のテクってワケ。わざとらしくなく、さりげなーく勘違いさせていくこの手腕…イイだろ?)
    (…………俺はな。シンプルにお前が怖いよ)
    (クキキ…ランサーに勝った…)
    (勝ち誇るなこれで)
    (プロの件だけどさ!マルちゃんが裏切るとかいう高度な駆け引き出来るわけもなし、記憶いじいじアサシンコースかぁ〜って思ってるんだけど)
    (恐ろしいな、ラジアータ…。マスターがいようがお構いなしか)
    (でも、それで全員のサーヴァントを奪ってないってことは回数制限とか何かの縛りはありそうだよな。プロも意識あるっぽいし。マジで俺を殺しに来てるならもう死んでるじゃん俺)
    (俺がみすみす殺させるかという話は置いておいて…確かに、たかだかお前を殺すためだけに宝具を使うのは過剰だな。それよかサックリ刺したほうが早いし、隙もなかろうよ)
    (宝具って隙あるもんね。これってプロに俺らを倒させるっていうより、時間稼ぎじゃない?どっちかって言うと…さっきの目の前宝具もそうだけど…わりと自由度が高いっていうかー?)

  • 180二次元好きの匿名さん24/02/21(水) 16:36:56

    (ま、あれだけ暗躍してるヤツが「セイバーの抵抗を勘定に入れてない」ってのは考えにくいな。反抗出来ないほど縛るのが当然だろうに、わざわざ足掻く余地を残してる悪趣味さ…)
    (流石に悪趣味さでは負けるか…チッ…!)
    (勝とうとしなくて良いと思うが?——で、だ。どうする?セイバー、即倒すか?)
    (即倒す…ううん、そんなサクッと倒せる相手でもないと思うぜ俺)
    (まあ、そう出来るなら時間稼ぎの相手にもならんしな。俺の気分の問題だ、と訂正しよう)
    (ん、んんー…すまんなランサー!色々起こりすぎてて流石の俺も困る。ちょっと考えさせてくれ!)
    (——、————)
    (……?え?何?どした?)
    (滅多に謝らねえヤツが珍しいことで…と思ってな。分かった、いくらでも悩んでろ。その時間くらいは余裕で作ってやれるからよ)
    (おー!さっすがー!頼れるー!店長業もやってー!)
    (それはやらん)

    「ま、この状況で後ろにいられるのはちとまずい。何なんだよこの根は。ラジアータの野郎の差金だろ?」
    「といいつつ一刀両断!意外とやわい根なのか?いや半径が俺の顔より長えなコレ太すぎじゃね?」
    「ラジアータの…さて、どうかな?確かに、マルグリットでは無理だろうけど。彼女は攻撃的な方向には使えないようだからね、やれやれだよ」
    「……。さて、と。いつぞやの再来だ、ギカレーダ。ほれ」
    「そ、その腕は何…?俺を俵抱きする構え…?いやーん!ふざけてんのか?人様を米扱いとか」
    「…上等だろ、逆に」
    「んーまあお米様だからね。ギカレーダ様とは言わないからね、やっぱ身分が違うよ…俺如きじゃ米様には敵わねえ…ふええん…」

    「キミたちには…今から殺されるって言う緊張感がないのかな…?しかも、マスターを抱えたまま戦うだって…?ハハ、ふざけてる…」
    「いや、だって殺されんし。だってランサーよ?緊張感覚えるべきはセイバーだしぃ?」
    「概ねは…ギカレーダに同意だ。なんか釈然とせんが。…俺はな、そうしても勝てると踏んだんだ。恨むんなら、今の自分を恨むんだな」
    「キミたちというのは本当に…本ッ当に……!」

  • 181二次元好きの匿名さん24/02/21(水) 23:22:41

    深夜保守

  • 182二次元好きの匿名さん24/02/22(木) 09:06:11

    おつです
    安定と信頼の槍陣営草
    シリアスとの落差よ
    今更だけどギカレータメンタル逸般人だよね

  • 183二次元好きの匿名さん24/02/22(木) 19:10:31

    保守

  • 184二次元好きの匿名さん24/02/22(木) 23:57:08

  • 185二次元好きの匿名さん24/02/23(金) 10:15:41

    保守

  • 186二次元好きの匿名さん24/02/23(金) 19:30:37

    保守

  • 187二次元好きの匿名さん24/02/24(土) 00:38:40

    深夜保守がてら
    槍騎狂の半数が巻き込まれなの今思えばすごいイレギュラーだよね

  • 188二次元好きの匿名さん24/02/24(土) 12:01:08

    保守

  • 189二次元好きの匿名さん24/02/24(土) 22:18:17

    ラジアータ・アデール。この街を巻き込んでの騒動を起こし、根源を追い求める魔術師。この場においての、明確な悪。討伐対象。
    昔は、そうじゃなかった気がする。頼もしい父だった気がする。
    厳しくも、優しさがあった気がする。

    ……その真実はどうだか!
    だってさ。オレなんぞの「人を見る目」に、信用が置けるか?
    父は最初から根源に狂っていて、オレへの優しさはただの演技だったとか。
    最初からそんなものなくて、苦しい鍛錬の中で「オレがそう思い込みたかっただけ」とかいうただの現実逃避から生まれた錯覚だとか。
    そういうのが、真実なんじゃなかろうか?
    だから、誰を信じるのもやめにしよう。疑うことにしよう。
    何かを信じるのは、そうして疑い続けて、間違いのない真実を見つけてからでいいじゃないか。

    「……貴方は一度考えが固まると、ずっとそれに囚われてしまう悪癖がありますね」
    そうしてランサーの正体だとかを見誤ったじゃないか、とかは言うな! このオレとて間違うことくらいある!

    ともかくだ! オレは肉親のことだって信じられないんだ。
    妹を助けてやるのは父への嫌がらせもあるが、まだまだちっこくて単純そうで気楽でいいからだ。バカっぽいのも嫌いじゃない。

    それに対して、自らのサーヴァントというヤツはオレよりうんと賢くて、魔術師としてもうんと先を行くヤツで! もうとにかく! 何を考えているか分かったものじゃない!
    望みを叶えるために使い魔として従っているだけ、とかいう最も信用ならない間柄!
    その気になれば、オレのことをあっさりと殺せる存在。オレを傀儡として操ることが出来る存在。きっと気を許してはいけない存在。
    サーヴァント。キャスター、パラケルスス。伝説の錬金術師。魔術師ならば一度は名を聞いたことがあり、一度は賢者の石に思いを馳せるだろうよ。
    そんな彼だって、勿論、何を考えているか分かったものじゃない。
    分かったものじゃないから——

  • 190二次元好きの匿名さん24/02/24(土) 22:19:30

    「ぐっ……ああそうだ! 悪癖だよ! 未熟で悪かったな! オレはずっと疑い続けるのは嫌だ。オレを友だと言うなら教えてくれ、パラケルスス。このオレのために」

    聞かないと。

    「私は……。友……、……」

    ヤツはそこで一度、口を閉ざして。

    「……貴方の疑いはもっともだ。ただ、それについては……この街の霊脈が、大きく調整されていることについてから話さなくてはなりません」

    ……と。

  • 191二次元好きの匿名さん24/02/24(土) 22:39:33

    まずい…グレちゃんの独白かなり好きだ…

  • 192二次元好きの匿名さん24/02/24(土) 22:51:31
  • 193二次元好きの匿名さん24/02/24(土) 22:52:06

    おつです!

  • 194二次元好きの匿名さん24/02/24(土) 22:52:26

    建て乙
    埋め

  • 195二次元好きの匿名さん24/02/24(土) 22:54:17

    乙です

  • 196二次元好きの匿名さん24/02/24(土) 22:57:09

    こっち先埋めていいのかな

  • 197二次元好きの匿名さん24/02/24(土) 22:58:11

    うめ

  • 198二次元好きの匿名さん24/02/24(土) 22:58:54

    埋め

  • 199二次元好きの匿名さん24/02/24(土) 22:59:13

    うめ

  • 200二次元好きの匿名さん24/02/24(土) 22:59:53

    ハッピーエンド祈願!

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