- 1二次元好きの匿名さん24/01/21(日) 14:15:42
- 2二次元好きの匿名さん24/01/21(日) 14:16:33
続けて
- 3二次元好きの匿名さん24/01/21(日) 14:17:59
おどろいたおばあさんは思わず大きなモモンの実を拾い上げました
よく見るとなんだかモモンの実とは若干違う形をしている気がしましたが
なんにせよこんなに大きな木の実は見たことがありません
おじいさんと分けても何日かは食べるのに困らなそうです
おばあさんは喜んで大きなモモンを家へ持って帰りました - 4二次元好きの匿名さん24/01/21(日) 14:21:02
持ち帰った大きなモモンをおじいさんに見せると
「こりゃたまげた、こんな大きなモモン…モモンかなこれ?なんにせよこんな大きなきのみは見たことがない、早速一緒に食べようじゃないか」
と言って喜びました
おばあさんが包丁を持って大きなモモンを切り分けようとしたその時… - 5二次元好きの匿名さん24/01/21(日) 14:22:35
- 6二次元好きの匿名さん24/01/21(日) 14:28:22
おじいさんとおばあさんがおどろいて呆気にとられていると
小さなポケモンはきょとんとした様子で2人の顔を見比べた後…
「モ、モモモ〜……」
と言って震えながらぽろぽろと涙を流し始めました
おじいさんとおばあさんは自分たちが手に持っている包丁に怯えているのだと思い
あわててそれを床に置いたうえで
「大丈夫だよ、わしらは君を食べたりはせん」
「モモンの実じゃなくて、モモンみたいなポケモンだったんだねぇ、おどろかせてごめんねぇ」
と優しい声で語りかけました - 7二次元好きの匿名さん24/01/21(日) 14:33:56
「モモ…?」
おじいさんとおばあさんが自分をたべようとしているわけではない、ということが伝わったのでしょうか
小さなポケモンは泣き止みました
しかしまだ不安そうな顔をしたまま、殻の陰に身を隠しながらこちらを伺っています
その様子がまるで幼い子供のようなので
おじいさんとおばあさんはこの小さなポケモンに悪いことをしてしまった気になりました - 8二次元好きの匿名さん24/01/21(日) 14:40:19
「そうだばあさん、昨日のイモモチの残りがまだあったんじゃないかい?」
そう聞かれたおばあさんはピンときて
「ええありますよ、おどろかせてしまったお詫びに食べさせてあげましょう」
と言って、自分たち用に残していた食べ物を
小さなポケモンに少し分けてあげることにしました
「モ…?」
イモモチを目の前に置かれた小さなポケモンは
それが何なのかよくわかっていない様子で
しばらくの間近くでにおいを嗅いでいたり、周りをふよふよ飛んで観察したりしていましたが
ちょっとすると食べ物だ、ということがわかったのか
恐る恐るイモモチのはじっこを小さな手でちぎって
口に運びました
すると… - 9二次元好きの匿名さん24/01/21(日) 14:48:17
「モモワーイ!」
と鳴きながら笑顔になり、そのままイモモチをパクパクと食べ始めました
その様子を見ていたおじいさんとおばあさんは
「ふふ、なんだか可愛いポケモンですねおじいさん。小さくて、赤ちゃんみたいで…」
「そうだなばあさん……なぁ」
上機嫌でイモモチを食べ続けている小さなポケモンの横で
おじいさんとおばあさんは相談をはじめました
「モモワ〜…」
出された食べ物をたいらげて満足した様子の小さなポケモンに、おじいさんが話しかけます
「なあ君、わしらのうちでこのまま一緒に暮らす気はないかのう?」
「…モ?」 - 10二次元好きの匿名さん24/01/21(日) 14:52:42
小さなポケモンに人間の言葉がどれくらい伝わったのかはわかりませんが
おじいさんとおばあさんがポケモンに食べ物をあげたり、世話を焼いたり、あやしたりしているうちに…
自然とポケモンは2人に懐いて
まるで2人のこどものように一緒に仲良く暮らすようになりました
2人はポケモンのことを
おおきなモモンが割れて出てきたのでモモワロウ
…と名付けて大層可愛がりました - 11二次元好きの匿名さん24/01/21(日) 14:57:30
「モモワロウや、山できのみがこんなに採れたよ」
「モモワーイ!」
「モモワロウや、竹でつくったおもちゃだよ」
「モモワーイ!」
「モモワロウや、ベロベロバ〜♪」
「モモワーイ!」
「モモワロウや、ほれキビキビ〜キビキビ〜」
「モモワーイ!モモワーイ!きゃっきゃっ」 - 12二次元好きの匿名さん24/01/21(日) 15:11:03
「キビキビ〜…ぜぇ、はぁっ」
「おじいさん、いくら昔取った杵柄といってももう歳なんですから…」
「だが…モモワロウはわしのキビキビ踊りが好きなんじゃ…」
「モモワーイ!モモモ〜!」
「ほれ…あんなに楽しそうに…」
「まったく、おじいさんもモモワロウも…そんなのを見せられたら…かつては村でおじいさんに並ぶ踊り手と称された私の血が騒いでしまうではないですか」
「婆さんっ!?」
「モモッ!?」
楽しい日々は瞬く間に過ぎていきました - 13二次元好きの匿名さん24/01/21(日) 15:13:49
wktk
- 14二次元好きの匿名さん24/01/21(日) 15:16:37
イモモチでひっ!?ってなったんですけど……
喜んでほしくて自分の力でイモモチに似たものを生み出したとか…… - 15二次元好きの匿名さん24/01/21(日) 15:17:53
ある年の秋
「モモモ…モッゲモッゲ〜!」
「すまないねぇモモワロウ、のこりは冬に備えるぶんに残しておかないといけないんだよ」
「モ?」
「そうですねぇ、今年は冬が厳しくなりそうですからね…」
「モ〜…?」
「ああ、せめて例年程度に作物がとれていればなぁ…」
「ええ、モモワロウにおなかいっぱい食べさせてあげられるだけの余裕があったのに…」
「モモ……モモワーイ!」
「?どうしたんだいモモワロウや」 - 16二次元好きの匿名さん24/01/21(日) 15:25:10
するとなんということでしょう
モモワロウの殻からモモ色のお餅が次から次へと湧いてでてくるではないですか!
「こ、これはいったい?」
「モモ!モモモー!」
「たべろ、と言っているのかい?モモワロウや」
「モモッ!」
出てきたお餅を手に取ってみると、手触りはモチモチで香りは甘く、とても美味しそうです
おじいさんとおばあさんはぱくりと一口食べてみました
「おお!こんな餅は初めてたべた!」
「甘くて柔らかくて…なんて美味しいんでしょう」
2人はすっかりモモワロウのお餅の虜です
「ああ、なんて美味しい餅なんだろう、もっと食べたくなってきた」
「もっとたくさん、毎日食べたいくらいですねぇ…」
「モモワーイ!」 - 17二次元好きの匿名さん24/01/21(日) 15:33:45
「モモワロウや、もっと美味しい木の実が食べてみたいねぇ」
「モモワーイ!」
「モモワロウや、白い飯が食べたいのう…」
「モモワーイ!」
「モモワロウや、もっと新しくて綺麗な着物を着たいねぇ…」
「モモワーイ!」
「モモワロウや、このまえ噂で聞いたキタカミの美しい面…見てみたいのう」
「モモワーイ!!」 - 18二次元好きの匿名さん24/01/21(日) 15:39:40
お辛い…善意からなのが余計にお辛い…
- 19二次元好きの匿名さん24/01/21(日) 15:45:32
「モモモ、モモワー」
「なんとまあ、わしらのためにお面をとりにキタカミへ?」
「まぁまぁ、そんな遠いところへわざわざ…なんて優しい子なんでしょうモモワロウは」
「ああ、本当に可愛くていい子だのうモモワロウは
「モモワーイ!モモワーイ!」
「ええ、気をつけて行ってくるんですよ」
「ほんとうに立派になったのう、モモワロウは…まああの子ならきっとすぐにわしらにお面を持って帰ってきてくれるじゃろう」
「そうですね、おじいさん。さて、いっしょにまぼろしモモンでも食べましょう」
そして月日は流れ… - 20二次元好きの匿名さん24/01/21(日) 15:49:07
「…はて、わしらは一体何を?」
「おじいさん、この着物…いったいどうしてこんなものがウチにあるんでしょう?」
「はてとんと…うーむ、どうにも頭がぼんやりして、ここしばらくのことが思い出せん…はて、モモワロウは?」
「あらほんと、どこに行ったんでしょう」
「モモワロウ?モモワロウや…おーい、モモワロウ!」
ふたりがどんなに呼んでも、どんなに探しても
モモワロウは出てきませんでした - 21二次元好きの匿名さん24/01/21(日) 15:55:12
モモワロウをさがして日々が過ぎ
季節が巡って春になり、夏になり、秋になり、冬になり…そしてまた春が来た頃になって
おじいさんとおばあさんは家に残された綺麗な着物や見事な工芸品を眺めながら
「モモワロウはきっと、神さまが見せてくれたら一時の幸せな夢だったのだ」という答えを出しました
そういうことにしました
そうしないと、ずっとずっとモモワロウを探し続けてしまいそうだからです
2人でそう決めました - 22二次元好きの匿名さん24/01/21(日) 15:55:50
将来○○地方にキビキビ言いながらやる伝統舞踊とか出てきたら色々察するやーつ
- 23二次元好きの匿名さん24/01/21(日) 16:00:25
またおじいさんとおばあさん2人の暮らしが始まりました
おじいさんは山へ芝刈りに
おばあさんは川へ洗濯に
おじいさんは山でモモンの実を見かけるたびに
もしかしてあのモモワロウではないかとハッとしてしまいます
おばあさんは川で着物を洗うたびに
また川上から大きなモモンが流れてくるのではないかとおもって、しばしば手が止まってしまいます
ですが、ついぞモモンの実からポケモンが出てくることも
川に大きなモモンの実が流れてくることも
2度とありませんでした
おしまいおしまい - 24二次元好きの匿名さん24/01/21(日) 16:02:26
ここで、おじいさんおばあさんにの話はなくなるけど
モモワロウはまだ旅の途中か…… - 25二次元好きの匿名さん24/01/21(日) 16:05:43
寂しい…寂しすぎる……
- 26二次元好きの匿名さん24/01/21(日) 16:07:24
「めでたしめでたし」ではないわな…
- 27二次元好きの匿名さん24/01/21(日) 16:09:16
寂しい…寂しいよ
- 28二次元好きの匿名さん24/01/21(日) 16:22:01
罪人扱いで裁かれる爺婆がいなくて本当に安心した……
- 29二次元好きの匿名さん24/01/21(日) 18:15:56
当のモモワロウはこういうの理解ってないんだろうなぁ…というのがお辛いし芸術点高い
- 30二次元好きの匿名さん24/01/21(日) 18:30:15
- 31二次元好きの匿名さん24/01/21(日) 18:34:01
かなしいなあ
- 32二次元好きの匿名さん24/01/21(日) 18:42:44
イイネイヌが老夫婦とモモワロウにに拾われて一緒に暮らしていたけどが大きくなりすぎて三人と別々で暮らす様になり、別れた後イイネイヌが山の主となり村を襲っている山賊を撃退し村の守り神として祀られるエピソードとかあるかな
- 33二次元好きの匿名さん24/01/21(日) 21:12:56
人の心とかないんか????
- 34二次元好きの匿名さん24/01/21(日) 22:40:07
そういえば昔話に教訓はつきものだったな(絶望)
- 35二次元好きの匿名さん24/01/21(日) 22:50:53
- 36二次元好きの匿名さん24/01/21(日) 22:52:45
- 37二次元好きの匿名さん24/01/21(日) 23:24:09
こんなおつらいポケモン昔話があるかよ
書いてくれて本当にありがとう… - 38二次元好きの匿名さん24/01/22(月) 00:33:01
モモワロウがいなくなった後のおじいさんおばあさんのことを思うと
かぐや姫が月に帰った後不老不死の薬を焼いて捨てたおじいさんおばあさんと同じ風情のあはれを感じてたまらない気持ちになるんだ… - 39二次元好きの匿名さん24/01/22(月) 02:26:41
子どもならいたじゃないか、ポケモンだったけど
- 40二次元好きの匿名さん24/01/22(月) 11:23:18
もしも「人間の子供が欲しい」とでも願っていたら餅とイイネイヌパワーで誘拐&洗脳してよその子を連れて来て流石に大事になって
悪鬼のようなポケモンとそのトレーナーとして老夫婦諸共退治されるタイプの昔話になる可能性も十分あった
でもそうは願われなかった
願われなかったんだよ、モモワロウ… - 41二次元好きの匿名さん24/01/22(月) 14:03:00
- 42二次元好きの匿名さん24/01/22(月) 16:45:39
悲しさが残るけどそれでもモモワロウとの出会いは老夫婦にとって幸せだと思いたい
- 43二次元好きの匿名さん24/01/22(月) 23:00:05
ほんの一時だったとはいえ、モモワロウとの日々が幸せな夢のようだった…ことが唯一の救いかもしれない
もう二度と会えないし会えなくなった後もずっとモモワロウのことをおもいながら空虚な日々を暮らしていたことつらいけど
以前と変わらないはずの老夫婦の生活の中、モモワロウの居た場所だけがぽっかり空いたような… - 44二次元好きの匿名さん24/01/22(月) 23:58:06
どっかの地方の資料館に昔の人が作った工芸品として
デカいモモンみたいな形した木彫りの人形と一緒にこの昔話添えて展示してあって
あっ…ってなるやつ - 45二次元好きの匿名さん24/01/23(火) 00:41:49
お面を奪うのに成功してともっこ共々家まで帰って来れて、あいも変わらずもっともっとといろんなことを望まれていたら行き着く先は子供だったかもしれないな…