【トレウマ・SS】大雨の夜

  • 14レスくらい24/01/27(土) 18:42:42

    夏場くらいにしか遭遇しないような酷い雨だった。明日は——というか時間的には今日だが——トレーニングもモデルの仕事も休日なのでどこか遠出でもしようと思っていたがこの様子では暫く止みそうにもないし諦めた方が良さそうだ。隣のトレーナーとは対照的にまったく眠れないでいたゴールドシチーは見慣れない天井を見つめながらそんなことを考えていた。

    トレーニングの帰り、別にいいと何度か断ったが夜道を一人という訳には……と聞かないトレーナーと二人歩いていると突然大雨に降られた。自分はかなりマシだったがそれでもトレーナー共々氷雨でズブ濡れ、このままでは身体を壊すからとトレーナーの家に泊まることになった。そうしてお風呂と着替えを貸してもらい、温かい飲み物を貰って、同じベッドで寝ることになって今に至る。

    そう、今ゴールドシチーは自分のトレーナーの隣で眠っていたのだ。もっとも、正確にいえば全くもって一欠片の眠気も彼女は感じていないのだが。それもそうだろう、如何に信頼してるとはいえ、相手がそんな事をする外道でない事は十二分に知っているとはいえ、それでも相手は異性でその上彼女の想い人なのだ。さんざっぱらトレーニングをして疲れているとはいえ緊張で眠れるわけがなかった。シチーが視線を天井からトレーナーの寝顔に移す。このトレーナーときたらまるで平生と変わらないように健やかに眠っている。それを見ると我ながら理不尽な事とは思うが恨み言を吐かずにはいられなかった。

    「バカみたいに気を遣う癖にこっちの気持ちは知らないで……」

    少しでも自分を濡らすまいと大雨で寒さに拍車がかかる中上着を脱いで被せてきたり、それで自分なんかより遥かに冷えてるはずなのにこちらを先に風呂に入れようとしたり……そうしてこちらを気にかけてくれる割には自分の気持ちには気づいてくれないのが如何にもこの人らしい。

    「朴念仁……」

  • 2二次元好きの匿名さん24/01/27(土) 18:43:14

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  • 3二次元好きの匿名さん24/01/27(土) 18:43:17

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  • 44レスくらい24/01/27(土) 18:43:42

    トレーナーは客用の布団など持っていなかった。だからトレーナーは『一日くらいならまあ平気だろうから』なんて言ってこんな季節にも関わらずロクに掛けるものなしにソファーで寝るなどとバカな事を言い出した。一応、予備のパジャマやら何やらを重ね着して対応するという計画だったようだがあれだけ雨に降られた後だ。十中八九身体を壊すに違いないからと無理矢理共寝に納得させた。……させた後にとんでもない事を言ってしまったと気づいた。それはそうだ、半ば勢いだけで好きな人に添い寝する事を提案してそれが通ってしまったのだから。そのことに気づいて以来、歯を磨いていた時も、電気を消してトレーナーの腕を枕にすることになった時も、そのまま暫くの間顔にはなんとか出さないで済んだが心臓は早鐘を打っていた。………そんなこちらの気も知らないでさっさと眠りについたトレーナーを見ていたらバカらしくなって今や心臓はいつも通りになってしまったが。



    なんというか、少しはこちらを意識して欲しいものだ。隣に寝ているのは年頃の、それで自分が押し潰されそうになるくらいの容貌の現役の学生モデルぞ?そういう所に囚われず自分の走りと自分自身を信じてくれるような人だから好きになったわけだがそれでも複雑な気持ちだ。我ながら面倒な性格だと思う。これではまったく脈もメもないみたいで一方的に想ってる立場からすると辛いものがある。



    「……さむっ!」



    布団はキチンと掛けている。というかトレーナーが掛けてくれている。こちらが出来る限り布団を被れるようこのトレーナーときたら自分の肩がはみ出るのも構わずにベッドの端の方で寝ているのだ。それでも寒いものは寒かった。



    「……我慢して他の着とけばよかったかな」

  • 54レスくらい24/01/27(土) 18:44:10

    >>4

    突然のことだったので勿論着替えなんて持っているわけもなく、体格が違いすぎて上着しか着れないこともあって今のシチーの服装はトレーナーから借りたYシャツ一枚だった。トレーナーは他の服を薦めていたがあれらは着れない。自分の顔が大きくプリントされているグッズのシャツはまだマシな方で他のものに至っては……控えめ目に言って生き恥レベルだった。比較的真っ当な部類の余所行きは折り悪しく乾いていないので着ようがない。……物干しを見ると生き恥のような服も一緒に干されているあたりトレーナーはアレらの服を平然と人前で着れるらしい。元々服選びが酷いと思ってはいたが流石にここまでとは思わなかった。商店街の服屋だとトレーナーの体格に合う服はあまりなかったはずだし次の休みの時はトレーナーを誘って少し遠くのブティックに行こう。そしてとびきりのを見繕ってあげようとシチーは思った。…………デートの口実にもなるし。




    『トレーナーとデート』その事を考えるだけですっかり落ち着いたはずの鼓動が速まるのを感じる。さてプランはどうしたものか?せっかくなら服以外の買い物も一緒にしたいし、荷物の量的に難しいとは思うができれば外を歩いたりもしたい。ご飯は……カロリー制限もあるから外食避けたい。別に対応できない訳ではないが偶のデートなのだ、余計な関心事を増やして楽しみを減じさせるのは勿体無い。……料理はまだ苦手だがお弁当を作れば喜んでくれるだろうか?……まあトレーナーのことだから喜んでくれるだろう。この人はそういう人だ。そんな事を考えていると自然と笑みが浮かんでくる。


    「……そんなことよりも早く寝ないとなぁ」

  • 64レスくらい24/01/27(土) 18:44:35

    >>5

    明日は休みとはいえ夜更かしは肌にも身体にも悪い。緊張なんて吹き飛んでいたつもりだったが心のどこかでは落ち着かないものがあったのだろう。心がさっきまでよりも軽くなった気がするし、今なら眠れるはずだ。体ごとトレーナーの方に向けてもう一度顔を見つめる。普段はあんなにも暑苦しくてウザったい所があるのに彼の寝顔は普段の印象とは正反対の可愛いものだった。呑気に寝ているその横顔に額が触れるか触れないかくらいに近づく。朝になったらトレーナーは驚くかもしれないがその時は寝相のせいだとでも誤魔化すことにしよう。本当は頬にキスの一つもしたり、もっと密着したりしたいがそれをするには今の自分は冷静すぎた。




    「……お休み、トレーナー」




    いつか偶然や勢いの産物ではなく、愛し合う二人の単なる日常の一幕としてそんなことが出来る事を願ってゴールドシチーは目を閉じた。

  • 7おしまい24/01/27(土) 18:46:12

    まさか投稿した途端にフリーズするとはこのリハクの目を持ってしても


    >>2

    乗っ取り防止ありがとうございます


    ちなみに本来のスレ画はこれのつもりでした

  • 8スレ主24/01/27(土) 18:49:14
  • 9二次元好きの匿名さん24/01/27(土) 19:05:16

    生き恥レベルの服ってなんなんだろう…素肌にシャツ一枚とか?それだとパンチが弱いか

  • 10二次元好きの匿名さん24/01/27(土) 19:11:19

    ほらシチー!!心の強さでもう一アタック!!

    シチーってなんとなく奥手そうだしトレーナーがニブだと大胆なアプローチができないシチーvsただでさえそういうのに気づかないタチなのに尚更シチーの想いがわからないシチトレの千日手なりそう

  • 11二次元好きの匿名さん24/01/27(土) 19:20:04

    デートのこととか考え始めて勝手に機嫌が良くなってるシチーさは美しいべ

  • 12二次元好きの匿名さん24/01/27(土) 19:38:22

    そういう目で見ているようではトレーナー、それもゴールドシチーの担当なんて務まらないんだろうが隣にこんな美少女がいてグースカ寝られるの人間業じゃない

  • 13二次元好きの匿名さん24/01/27(土) 19:56:18

    裸ワイシャツなのか流石に下着は着けているのかそこが肝要だ

  • 14二次元好きの匿名さん24/01/27(土) 20:05:52

    >> 上着を脱いで被せて


    このイケメン野郎め!!

  • 15二次元好きの匿名さん24/01/27(土) 21:48:34

    勇気出して寝てるうちに唇の一つでも奪え

オススメ

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