- 1二次元好きの匿名さん24/01/28(日) 17:51:03
- 2二次元好きの匿名さん24/01/28(日) 17:51:39
かそく
- 3二次元好きの匿名さん24/01/28(日) 17:52:15
協力する
- 4二次元好きの匿名さん24/01/28(日) 17:53:24
おもしろい取り組みだと思う
応援 - 5二次元好きの匿名さん24/01/28(日) 17:54:05
アンタもダイスSSスレを始めるんだな……仲間だ
- 6二次元好きの匿名さん24/01/28(日) 17:54:05
登場人物ならば人間でもアリ?
- 7二次元好きの匿名さん24/01/28(日) 17:54:29
- 8>>124/01/28(日) 17:55:04
- 9二次元好きの匿名さん24/01/28(日) 17:55:09
ファル子でお願いする
- 10二次元好きの匿名さん24/01/28(日) 17:55:18
このレスは削除されています
- 11二次元好きの匿名さん24/01/28(日) 17:55:31
エイシンフラッシュ!
- 12二次元好きの匿名さん24/01/28(日) 17:55:44
つまりターボか?
- 13二次元好きの匿名さん24/01/28(日) 17:56:07
>>8了解安価だったけど消します
- 14>>124/01/28(日) 17:56:37
(思考中)
- 15二次元好きの匿名さん24/01/28(日) 17:56:55
安価上か下か、それとも再安価か?
- 16>>124/01/28(日) 17:56:58
消えちゃった……
- 17二次元好きの匿名さん24/01/28(日) 17:57:45
ターボトレだったから、ウマ娘ならターボでいいんでない?
- 18二次元好きの匿名さん24/01/28(日) 17:58:38
トレーナー:種族ウマ娘?
- 19>>124/01/28(日) 17:58:42
- 20二次元好きの匿名さん24/01/28(日) 17:58:53
それかダイヤorファル子orフラッシュでダイスするか
- 21二次元好きの匿名さん24/01/28(日) 17:59:44
お、ダイスだ
- 22>>124/01/28(日) 18:01:39
- 23>>124/01/28(日) 18:05:01
(思考中)(書き上がるまで少々待ってね)
- 24二次元好きの匿名さん24/01/28(日) 18:07:33
わくわく
- 25>>124/01/28(日) 21:05:53
現在誤字脱字確認中です
プロットも何も無いので流れとかは変かもしれませんが…… - 26>>124/01/28(日) 21:16:07
それでは始めます
宜しくお願いします
注意事項です
・トレーナー描写あるので注意
・一応確認していますがキャラ把握ミスなどある場合あり
・「ご飯」注意 - 27>>124/01/28(日) 21:18:14
カツラギエースは、農家の娘である。
娯楽といえばテレビ放送されているトゥインクルシリーズの中継か、自然の多い田舎らしい野趣溢れた遊びくらいしか無い片田舎で生まれ育ったカツラギエースにとって、自分が農家の血を引いたウマ娘であるということは、恥じることなど考えようもない確かなアイデンティティだった。何せ、学園長に直談判して敷地の片隅にある農地に自分用の畑を借り、野菜を育てているほどなのだ。ある種、カツラギエースは変わり者だった。
カツラギエースは、家族が大好きである。家族と一丸となって野菜を育て、長い時間を過ごし、そして彼女の持っていた夢――叶えた夢は、夢では無いだろう――を、余りにも途方もないように見えた夢を真っ直ぐに応援し続けてくれた、家族のことが大好きなのだった。
だが、そんな彼女も。たまには家族に対して思うのだ。有り難いけど程度がある、と。
「……何で、年々箱の数が増えていくんだよぉ」
スマートフォンを頭から伸びる耳――白に二筋のラインが入った耳飾りに包まれている――に押し当てながら、カツラギエースは電話口の向こう側に言う。彼女の視線の先には、幾つも積み重なった段ボール箱があった。
『ほら、お祝いよ、お祝い! 三冠バになったお祝い!』
「この前しただろ、皆総出で! 三日三晩!!」
『良いじゃないのエース、あんた育ち盛りなんだから!』
「程度ってものがあるだろう!?」己の背よりも高く積まれた段ボールを叩きながら、「寮、相部屋なんだからな? パーマーが腰抜かしちまうだろ!」
『いや待ってよ、去年も一昨年も言ってたじゃないのエース。美味しかったって。また頼むって――』
「量! 量なんだよ! あたしが言っているのは! 今年も美味しそうです有り難う母さん!」
『でも、お義父さんもあの人も張り切っちゃってて……』
それを言われるとカツラギエースは弱い。彼女は知っているのだ。自分が果たした、辿り着いた夢に泣き、そして年甲斐もなく大はしゃぎするほどに喜んでくれた父親と祖父の顔を思い浮かべるだけで、何だか今自分がかけている電話がとんでもなく悪いもの、クレームのようなものであるように思えてくるのである。 - 28>>124/01/28(日) 21:20:49
『それに、これはいいチャンスだと思うのよ、エース?』
「……チャンス?」
好機と見たか、母親がカツラギエースを言い包めにかかる。その手口は、彼女もよく知っている。絶対にそれを許してはならぬ、と気合いを入れ直したカツラギエースに、彼女の母親はあっけらかんと、それが何でもないことのように言った。
『トレーナーさんも気に入っているんでしょう、野菜。胃袋掴んじゃいなさい』
「……は?」
『それにしても、エースもすっかりどこに出しても恥ずかしくない娘になったわねぇ。お料理なんて全然、って感じだったのに……! お母さん嬉しいわぁ』
「……母さん、あたしとトレーナーさんはそういうのじゃないってこの前も言ったろ?」
『そうかしら?』電話の向こうで首でも傾げていそうな調子だった。『お似合いだと思うのよねぇ……。だってエース、この前あなた――』
「そういうの、良いから……! ともかく、今後は送り過ぎ注意! じゃあな!」
打ち切るようにスマートフォンの画面を叩く。通話アプリが自動終了し、スマートフォンは待機画面へと戻っていった。確実に通話が終わっていることを確認して、カツラギエースはベッドに背中を投げ出した。少女の頭に浮かぶのは、三年間、常に自分と二人三脚であり続け、カツラギエースの夢を、まずはひとつ叶える支えとなってくれた男の顔。彼は何だというのか。恩人、トレーナー、同志、親友。どれも違う。ただ、それらよりも関係性として一番近いものは、恐らくは答えになる単語は、カツラギエースの頭の中にあった。
「……そういうのじゃ、ないってば」
溶けるように、声は消えていく。こつこつ、と。ルームメイトの足音が近付いてくることを、カツラギエースはその耳で認識していた。 - 29>>124/01/28(日) 21:23:05
「おーっ、今年も来たのか!」
やっぱりそういうのじゃない、とカツラギエースは思った。
「いや、しかし……毎度悪いなエース。しかし良いのか、こんなに」
「あたし一人だけでも食べ切れないし、この方が皆も喜ぶよ」
言いながら、カツラギエースは彼を見る。
大きな男だ。カツラギエースも、背は平均から見て高い部類に入るウマ娘だが、男の背はそんな彼女より頭一つ以上は高い。測れば一九〇サンチは超えるだろう上背に、それでも尚高いというよりは太い、デカいと思わせる、広々とした肩幅。そんな骨格をスーツ越しにも分かる分厚い筋肉の鎧に包み、丸太を思わせる手足を生やした姿は、宛ら大熊かゴリラである。これでウマ娘に膂力で勝てないと言われても説得力が皆無だと言いたくなる見た目の男の顔を見て、そういうのじゃない、という己の結論を、確信へと向かわせた。
イケメンでは無い。男前でも無い。切り株のような形の顔に太い眉、括られた後ろ髪に温厚そうな瞳は、何処かちぐはぐだ。顔を作るゲームでランダム生成機能でも使ったような顔は、少なくともカツラギエースの好みでは無いのだ。
彼女にとって、彼は好ましい人物だ。自分の夢を肯定し、手伝い、そして叶えてくれた人であり、その性質も長い付き合いで理解している。間違いなく、カツラギエースは人として彼が好きである。だが、それが恋愛的なものなのか、と問われれば、否。そう、否だ、否、否、否!
どうにか己の中で渦巻いていた葛藤を片付けたカツラギエースに、男――トレーナーは問う。 - 30>>124/01/28(日) 21:23:27
「それで? 今日はどうしたい?」
それは、トレーナーとカツラギエースの間で通じる符号のようなものだった。
「そうだなあ、一昨年はサラダに中華丼、去年はチャンポンだったし……」少女は答える。「コックのおまかせ、ってのはどう?」
「コックじゃない、トレーナーだ。……うし、任せときな」
美味いの作ってやるからな、と。トレーナーはキッチンへと消えていく。その後姿を見送りながら、カツラギエースはソファに身を沈めた。八畳ほどの部屋の中で、少女は部屋に飾られる写真を見る。そこには、自分とトレーナーが抱き合う写真――三冠達成を果たしたときの写真だ――がある。ずらりと並ぶカツラギエースに関連したグッズが並ぶ部屋を見渡してから、少女は言った。
「……あたし"が"好きなんじゃなくて。あたし"を"好きなんだよな、トレーナーさんって。家にこんなにあたしを飾ってるんだもの」
好みでも何でも無い異性が向けるそれを認めている人間――ウマ娘も広義的には人間なのだ――の心理がどのようなものなのか。それは、語るまでも無いことだろう。 - 31>>124/01/28(日) 21:23:51
カツラギエースがそれを知ったのは、トレーナーと出会い、契約を果たして数週間経った頃だった。
その日、彼女は自ら手塩にかけて育て、収穫したトマトやキュウリをトレーナーにも食べてもらおうと考えていた。二人の力を合わせて模擬レースに勝利し、夢を共に追う存在となった彼の指導はかなり的確なものだった。特に肉体作り、身体能力に関する指導は凄まじいものがあり、カツラギエースは既に、己の身体能力、特にスタミナの向上を感じ取っていた。次の目標へ、そして夢の先へ。二人でなら行ける、そう考えた彼女は、ふと気付いたのだ。自分はまだ何も、彼に返していない、と。
無論、ウマ娘であり、走ることを選んだ存在が目指し、トレーナーに捧げるのは勝利、一着だ。だが、それだけで良いのか。考えた結果彼女が選んだのが、自家製野菜のプレゼントなのだった。カツラギエースは即物的な面があるウマ娘である。どうにも年頃の少女らしくないというか、男性的な考え方をしているのだった。
果たして、そのプレゼントは大層喜ばれた。そしてそこで、彼女はトレーナーからお返しとして、そのトマトやキュウリで料理を作ってもらい、振る舞われたのだ。
それからは、一瞬だった。一食で見事に胃袋を支配されてしまった少女は、夜な夜なトレーナーと共に夕食を供するようになり、それを見たトレーナーがこれなら行けるだろうと食事・栄養学レベルからのトレーニングを取り入れ弁当も彼が作るものを食べるようになり、流石に食べてばかりだと駄目だと理性を取り戻したカツラギエースがトレーナーに料理を習い始め……と、少女の生活は様変わりしたのである。今や、カツラギエースの趣味は農業と料理と言っていいだろう。トレーナーに染め上げられた少女の姿が、そこにはあった。
カツラギエースにとって、トレーナーは、掛け替えのない存在である。だがそれは、恋心からのものでは無い。食事という生活習慣から染まった少女にとって、トレーナーの存在とは日常である。彼の作る料理を食べ、彼が暮らす家に通い、そして自分を鍛えていく。まさにルーティーンであり、そういうものなのだ。
"家族"。それが、カツラギエースにとってのトレーナーである。少なくとも、少女はそう思っている。思い込んでいる。
――本当に家族なら、家族と等価値だというのならば、母親との電話であのような調子である理由は無いのだが。 - 32>>124/01/28(日) 21:25:27
- 33>>124/01/28(日) 21:27:03
「それってパスタだよね。何でご飯も?」
「ニンニクとオリーブオイルを使った炒めものは、イタリアでは全部アーリオ・オーリオなのさ」大きな茶碗に白米がよそられていく。「さ、パスタは茹で上がるまでもう少しかかるんでね。まずはこいつで食ってくれ!」
言葉は要らなかった。もどかしそうに大皿から取り分けると、カツラギエースは逸る気持ちを抑えつけながら、その口を開いた。先程のニンニクに対する嫌味など、もはや忘れていた。彼女もウマ娘であり、人間だ。美味そうなものを前にして、余計なことは考えられないのだ。
オリーブとニンニク、鶏肉の旨味を取り込んだブロッコリーが、溶けるように少女の口の中に広がっていく。それを逃すまいと、白米をかきこむ。とろりとしたブロッコリーの甘味が、舌の上で踊った。鶏肉もオリーブオイルによってからりとしているが、その中身は旨味の暴力で満ちている。そこにニンニクが香りと食感で一辺倒になりかねない暴力を鎮めつつ、食べる者に白米を投入するよう急かすのだ。無心のまま、カツラギエースは最初の一杯を食べきってしまっていた。ついさっきまでそこにいたトレーナーの姿が食卓から消えていることにすら、気付けないほどの旨味の爆発力。目を輝かせて、少女は言う。 - 34>>124/01/28(日) 21:27:19
「……美味しい!」
「材料がいいからさ」大皿を抱えて、トレーナーが戻ってきたようだった。「新鮮な野菜はどう料理しても美味いのさ。そら、パスタも出来たぞ。今日は心行くまで、食べて欲しい」
オレも食べるけどな、と。トレーナーも食卓に腰を下ろす。ウマ娘用の分量としてもやや多めに用意された料理は、未だ濃密な美味しさを、部屋に放出し続けている。
「……有り難う、トレーナーさん。いっつも、いっつも」
「向こうでもやったが改めて、何度でも。――三冠バおめでとう、エース! 乾杯っ」
コップとグラスがぶつかる音がした。二人の食卓を、抱き合う二人の写真が見つめていた。 - 35>>124/01/28(日) 21:27:48
ごーっ、と。ドライヤーの音が響いていた。
「そう、そうそう。そうやってゆっくり、一房ずつ……」
「うーむ、難しいな。よくやるもんだとこういうときは思うよ」
「トレーナーさん、料理だとあんなに器用なのにどうしてこういうの出来ないんだろ」
満足そうな笑みを浮かべたまま、カツラギエースは自分の髪を整えていた。リラックスした様子で上機嫌なまま、彼女はトレーナーにその背を預けている。太い腕を支えにしながら、少女は男の手で磨かれていく己の尻尾を見ていた。太く堅い指が、尻尾用の決して大きくはない櫛をどうにか持ちながら、慣れない手付きで尻尾の毛を整えている様子は、厨房に立つ男の手捌きから考えれば、信じられないほどに遅い。そういえば、絵とか裁縫も得意じゃ無かったっけと少女は思い起こす。本質的に不器用。それが、このトレーナーなのだった。
「トレーナーさん。来年はどうしよっか」
「来年」
「そう。あたしは次の夢……ドリームトロフィーリーグで、エースになるために戦うつもりだけど……ついてきてくれるよね?」
それは、何ということの無い、確認のつもりで放った言葉だった。当たり前だろう。日常まで共にする存在が、消えて無くなることなど無い。ただ、二人っきりでの決意表明のために放ったカツラギエースのその言葉は、しかし彼女の思う通りの返球では返ってこなかったのである。
「――実はな、チームを持たないか、と理事長から言われてな」
「――は?」
ずきり、と。カツラギエースの心の中に、今まで感じたことがない鈍痛が走った。 - 36>>124/01/28(日) 21:28:35
第一話:家族の証、新鮮ブロッコリー ――ブロッコリーと鶏肉のアーリオ・オーリオ――
お粗末様でした
好評の場合続きます
中時間のお付き合い、ありがとうございました - 37二次元好きの匿名さん24/01/28(日) 21:38:38
頑張って
- 38二次元好きの匿名さん24/01/28(日) 21:39:40
高い!……文章力が高い!
そんでもって、すんごい気になる終わり方!!