- 1二次元好きの匿名さん24/01/29(月) 22:52:34
夕暮れのトレーナー室。その中央に鎮座するソファに腰掛けたサクラローレルは、いつにも増して蠱惑的な眼差しをこちらに向けている。
「それじゃあトレーナーさん、お膝にどうぞ♪」
そう言ってポンポンと自分の膝を叩いたローレルに従い、俺はソファに寝そべって彼女の膝の上に頭を預けた。
目の前の机の上には竹の耳かきに綿棒、それから温めたおしぼりと、何かの液体が入った瓶。これから自分が何をされるのかは火を見るよりも明らかだった。
「はい、よくできました♪」
言葉とともに彼女の手が、いい子いい子と頭を撫でつける。くすぐったさに身じろぎすれば、アスリートとして引き締まった中にも、確かな女性らしい柔らかさを残した脚が、頭を受け止めてくれた。
この脚は、俺とローレルとが何年もかけて鍛え上げてきた、いわば二人の夢の結晶だ。そんな宝物ともいえる存在に頭を預けているという背徳感が、このあまりにも非日常的な光景に飲み込まれそうになる理性を辛うじて繋ぎとめていた。
「ではさっそく、”お耳掃除”……始めていきますね?」 - 2二次元好きの匿名さん24/01/29(月) 22:54:19
事の成り行きからローレルに初めて耳掃除をされたのは、数か月前のことである。
耳掃除など子供の頃に母にしてもらったのが最後で、およそ二十年ぶりの体験だった。記憶もおぼろげだが、確かに心地よかった覚えがある。初めてだと言っていた割に妙に慣れた様子のローレルの手つきは、頭の奥底でずっと眠っていたそんな感覚を鮮烈に呼び醒ますものであり――要は、すっかりハマってしまったのだ。
それからというもの、ローレルは定期的に耳掃除を提案してくるようになった。今度こそ断った方がいいと思いつつも、一度快感を覚えた頭は結局流されることを選んでしまい。気づけば二週間に一回、こうしてトレーナー室で耳掃除をされる習慣ができてしまった。この二週間に一回という頻度は、耳の皮膚を傷めないためのちょうどいいインターバルなのだという。
今日も、耳の内側を最適な力加減で引っかかれるあの心地よい感覚がやってくる。
目を閉じてファーストタッチの瞬間を待っていると――にゅるり、という音と感触に襲われた。
「うおっ!?」
そんな間抜けな声とともに身体を起こせば、くすくすと笑うローレルの姿。その手には綿棒が。
耳かきの前に綿棒を使うことは何度かあったが、今日のそれはいつもと様子が違う。具体的に言えば、先端が黄色く染まっていた。
「うふふ、びっくりしました?実はこれ、先端にオリーブオイルを付けた綿棒です。耳かきの前にこれでお耳全体を軽く擦ってあげると、汚れが浮いて取れやすくなるんですよ」
「そうなんだ……」
「さあ、もう一度横になってください。今度はびっくりしないようにそっと入れていきますから」
理屈は分かったが、そういうことは先に言ってもらいたかった。
再び膝枕をされると、一呼吸置いて再びオイル綿棒が耳に入ってくる。やはり慣れない刺激に全身がびくりとするが、存在があらかじめ分かっていることもあって、今度は変な声を挙げたりせずに済んだ。
「滑りがよくて気持ちよくありませんか?竹の耳かきと違ってお耳を傷つけにくいですし、これだけをやってあげる日も作ろうかと思ってるんです」 - 3二次元好きの匿名さん24/01/29(月) 22:55:22
ローレルは嬉しそうにそう問いかけてきたが、きっと返事を求めてはいないのだろう。実際、俺の方もそんな余裕はなかった。
オイルで摩擦をなくしたコットンの感触はあまりに優しく、痛みを伴わずに耳の奥へ奥へと進んでくる。ずりゅずりゅ、という音が鼓膜を通り抜けて、脳を直接撫でられているかのような感覚に襲われた。
これは、まずい。まさしく未知の快感だ。きっと今は人に見せられない顔をしてしまっているのだろうな、という思考ですら、気をつけていなければ霧散しそうになる。
「うふふ、すごく緩んだお顔。もう少し見ていたいですけど……今日は耳かきが主役ですし、この辺りでやめておきましょうか」
そんな俺の内情を知ってか知らずか、散々鼓膜を弄んだ綿棒が、にゅぽん、と音を立てて抜かれた。
すっかり神経を剥き出しにされた耳ではその刺激すら堪えがたいもので、思わず身体がびくんと跳ねる。
「ほら、トレーナーさん。お待ちかねの耳かきですよ?ちゃんと汚れも浮かせましたし、しっかりとお掃除させてもらいますね」
「……ああ、頼むよ」
「頼むよ」とは、我ながら大した物言いである。こんなに情けない姿を見せておいて、まだ大人の顔を取り繕ってしまおうとするのは何故だろう。
それとも、そんな軽い意地すらもローレルの思惑通りか――いや、そんなことはもうどうでもいいのだ。
「ふふっ、頼まれちゃいました♪それでは、入りますからじっとして……」
今度はしっかりと硬さのある竹の感触。オイル綿棒は単なる拷問器具ではなく、ローレルの言葉通りの意味があったようで――いつもより快調に、こそげ取られた耳垢がティッシュに押し付けられていく。
「かり、かり、かり……痛くないですか?」
「大丈夫」
耳掃除のとき、ローレルはこんな風に囁くようなオノマトペを口にすることがある。
前にその理由を尋ねたときは、「リラックス効果がある」とか言っていたが実にその通りで、実際の音とリンクした声を聴くと、なんだかとても落ち着くのだ。
「はい、綺麗になりました。では、最後にお耳を拭いていきますね……」
準備よく用意されていたおしぼりが、染み込んだオイルと残った汚れを拭っていく。 - 4二次元好きの匿名さん24/01/29(月) 22:55:42
「ふぅ~~っ……♪」
そして最後に、暖かい吐息が耳の中まで吹きつけられて――ようやく右耳の掃除が終わりとなる。
「次は左のお耳ですね。ほら、ごろ~んとしちゃってください。お昼寝中のスカイちゃんみたいに」
言われた通りにローレルの膝の上で寝返りを打てば、自然と彼女のお腹に顔を埋める格好となる。
視界に他のものが映らなくなったせいか、途端に強烈な眠気がやってきた。
「眠くなっちゃいました?もう寝返りは打たなくて大丈夫ですし、寝てしまってもいいですよ」
「いや、せっかく耳掃除してもらってるんだから、最後まで起きてるよ」
「わっ、勇ましいです。では、また綿棒から失礼しますね……」
二千年以上経ってもなお、世の中の教訓として語り継がれる孫氏の兵法には、こんな一節がある。
”敵を知り、己を知れば百戦危うからず”。相手のことをよく知り、そして自分のことをよく理解していれば何度戦っても敗れることはない、という意味だが、研究熱心で自己分析力の高いローレルはこの格言を体現しているといえる。
そして、その言葉を今の状況に置き換えるのならば、自分の弱みをことごとくローレルに知られてしまった俺はきっと、彼女に勝つことはできないのだろう。
再び綿棒のぬるりとした感触が耳介をくすぐるのを感じながら、やってきた微睡みに静かに飲み込まれていった。 - 5二次元好きの匿名さん24/01/29(月) 22:56:02
いやにすっきりとした両耳の感触とともに目が覚めた。静まり返ったトレーナー室には、カチコチと時計の音だけが響いている。
しまった、また途中で寝てしまった。しかも、記憶が正しければ「起きている」と言ったすぐ後のことだった気がする。
またローレルに笑われてやしないだろうかと仰向けになると――なんとも珍しいものを見ることができた。
「……ローレルだって、疲れてるもんな」
穏やかな寝顔は、意識を失う前の表情とは打って変わって、とてもあどけないものだった。
ローレル自身も知らないであろう、彼女の一面。それを見つけることができた事実にほんの僅かな優越感を覚える。
「おやすみ、ローレル」
まだ門限まで少し時間があるから、起きたら寮まで送っていこう。
ローレルの身体をそっとソファに横たえてやって、畳んであった毛布を広げ、肩まで被せる。色々な手法で癒しをもたらしてくれた彼女に、俺から返してやれる気遣いはこれぐらいのものだが……足りない分は、トレーナーとして報いることにしていこう。
――サクラローレルとの間に、かけがえのない絆を感じたひと時だった。 - 6二次元好きの匿名さん24/01/29(月) 22:56:37
炊き込みご飯のASMRかと
- 7二次元好きの匿名さん24/01/29(月) 22:57:16
オワリ。Cygamesは早く公式ASMRを発売しろ!
ローレルに骨抜きにされたいのです - 8二次元好きの匿名さん24/01/29(月) 23:01:14
- 9二次元好きの匿名さん24/01/29(月) 23:02:49
なんだこのクソスレタイからお出しされる良質なSSは!?僕のデータにあったような……
- 10二次元好きの匿名さん24/01/29(月) 23:05:24
- 11二次元好きの匿名さん24/01/29(月) 23:06:50
燃え上がれー! ここで燃え上がれー!
- 12二次元好きの匿名さん24/01/29(月) 23:06:58
素晴らしい
- 13二次元好きの匿名さん24/01/29(月) 23:08:53
他ファンとしては西武ドームの恐ろしい記憶が蘇るスレタイ
- 14二次元好きの匿名さん24/01/29(月) 23:11:32
歴代でも有数の大成功FA戦士よ
- 15二次元好きの匿名さん24/01/29(月) 23:12:29
カズキタナカカズキカテでやれ
- 16二次元好きの匿名さん24/01/29(月) 23:13:44
浅村のASMRどこ⋯?
- 17二次元好きの匿名さん24/01/29(月) 23:15:09
- 18二次元好きの匿名さん24/01/29(月) 23:15:49
それもう消えたんだわ
- 19二次元好きの匿名さん24/01/29(月) 23:35:49
めっちゃいいSSだったけど浅村に乗っ取られてる…
- 20二次元好きの匿名さん24/01/29(月) 23:57:26
スレタイのせいやん…
- 21二次元好きの匿名さん24/01/29(月) 23:58:28
浅村ー!それで満足かー!
- 22二次元好きの匿名さん24/01/30(火) 00:01:05
良いですよねごっwごっwかーずきーw
U-1グッズに通じるものがあって - 23二次元好きの匿名さん24/01/30(火) 00:03:59
- 24二次元好きの匿名さん24/01/30(火) 00:09:37
その後断ったチームの方が優勝とかしてるからセーフセーフ
- 25二次元好きの匿名さん24/01/30(火) 08:24:38
どうして真面目なスレタイを使わない?
使えないのか?
使いたくないのか?
使う度胸もないのか?