廃工場に殴り込む三船長と双翼

  • 1124/01/30(火) 00:28:14

     
     
    ────────────────────


    ここは優しい世界だから。


    ────────────────────


    ※※注意※※
    ・全く怖くないホラー
    ・ダイス次第では三船長と双翼の外に誰か一人が加わる
    ・ワノ国で別れた後のいつかのどこかというご都合時空
    ・某ホラーゲームリスペクト
    ・見切り発車故に遅筆かつ稚拙
    ・なるべく気を付けますが、描写が不足したり、くどくなると思います。敢えて説明を省くことはありますが、もし説明不足が過ぎると感じれば指摘してください

  • 2124/01/30(火) 00:31:00

    灰色の世界を歩く。


    自分がどうしてここにいるのか、どこに向かっていたか。霧のかかった脳みそではもう何も分からない。何も分からぬまま、重い体を引きずるように歩き続ける。


    歩け、あるけ、あㇽケ


    必死に前に進んでいると、誰かに呼ばれた気がした。

    気がした、だけだ。きっと。

    足を止める訳にいかない。早く、あの場所へ行かなければ。さもないと


    そこまで思い至った瞬間、肩を物凄い力で掴まれる。同時に、脳にかかった霞が晴れ、世界が明転した。


    「お前、何してんだよ!!」


    目の前には見知った者が二人。

    ああ、そうだ、自分は


    1サンジ 2ロー 3キッド 4誰か(ダイスで決定)

    dice1d4=1 (1)

  • 3124/01/30(火) 00:31:32

    サンジと合流したのは


    1ルフィ 2ゾロ 3ロー

    4キッド 5誰か(ダイスで決める)

    dice2d5=3 4 (7)

  • 4二次元好きの匿名さん24/01/30(火) 01:11:35

    このレスは削除されています

  • 5124/01/30(火) 01:11:49

    対抗力、知識、ビビり度の順に設定


    サンジ

    dice1d100=58 (58)

    dice1d100=70 (70)

    dice1d100=22 (22)

    ロー

    dice1d100=56 (56)

    dice1d100=86 (86)

    dice1d100=41 (41)

    キッド

    dice1d100=31 (31)

    dice1d100=25 (25)

    dice1d100=85 (85)

  • 6124/01/30(火) 01:17:19

    説明忘れてすみません
    対抗力は怪異への攻撃の通りやすさ及び霊障への耐性の強さです
    知識は、この場合オカルトに関係する知識の多さを表しています
    ビビり度は数値が高い程ビビりです
    ※以下、ローは鬼哭を持っている時のみ対抗力が+60されます
    その為、現在のステータスは以下のようになります

    サンジ
    対抗力:58
    知識:70
    ビビり度:22
    ロー
    対抗力:56(+60=116)
    知識:86
    ビビり度:41
    キッド
    対抗力:31
    知識:25
    ビビり度:85

  • 7二次元好きの匿名さん24/01/30(火) 01:21:06

    毎回スレ消えてるけどどうした?

  • 8124/01/30(火) 01:25:01

    サンジが持っている物


    サンジ

    1指輪 2煙草 3鍵のかかった小箱

    dice1d3=2 (2)


    >>7

    1つは荒らしが湧いたのと、もう1つは最初に致命的な設定ミスを犯した為削除させていただきました

    申し訳ございません

  • 9124/01/30(火) 01:51:40

    少しだけですが再開します
    読みづらくて申し訳ございません
    このスレだけでも出来る限り完走します。

     サンジの肩を掴んでいたのは、同盟を解消し、航路が別れた筈のトラファルガー・D・ローだった。彼は額に汗を浮かべ、深刻な表情でこちらを睨みつける。

    「ロー……?」
    「黒足屋、おれが、分かるか。」
    「あ、ああ。」

     問いかけに首を縦に振ると、ローは肩から手を放し、ため息を一つつく。状況は飲み込み切れないものの、自分が危険な目に遭いかけたのは確かだろう。一先ず自分のいる場所を把握しようと背景に意識を凝らす。すると、ローの背後にもう一人、いる筈のない男が立っていたことに気づく。

    「!お前は確か、ワノ国の時にいた……!」
    「ぉう、久しぶりだな。」

     ワノ国でルフィ達と共闘した、ユースタス・キッドまでもがそこにいた。暗がりで分かりにくいが、よくよく見れば、キッドの顔からは血色が消え失せている。思いの他早く訪れた再会に、サンジは戸惑った。

    「お前ら、何でこんな所に…?いや、それよりもおれは……」

     周囲の状況を思い出すとすぐに、二人と再会した事への驚きと疑問は頭の隅に追いやられる。
     島に降りた自分は、食材の買い出しに町へ行った筈だった。その時はまだ太陽は南の空を少し過ぎたばかり。なのに、



     何故、空一面が黒いのだろうか?

  • 10二次元好きの匿名さん24/01/30(火) 01:57:33

    ホラーもワンピースも好きだから続きが気になる

  • 11124/01/30(火) 02:19:47

    >>10

    ありがとうございます。励みになります。

    こんな駄 作でよろしければ是非楽しんで下さい。



     責務を放り出して夜まで彷徨っていただけでも憤慨ものだ。だが、最早それどころじゃない。問題は、最早そんな次元ではない。

     今日は、満月が空に浮かぶ筈だった。だが、空に広がっているのは、インクで塗り潰したかのような黒。新月だとしても星明かり一つないことは絶対にありえない。今この瞬間、自分は異常事態に巻き込まれた。


     生存本能からか、混乱する脳は急速に視界に映る情報を整理していく。

     周囲を見渡すと、無造作に散乱する銀色の糸くずや鉄くずの山が目に入る。漸く嗅覚が覚醒し、癖のある油の臭いと鉄の臭いが鼻腔を刺激する。

     左側には森が続くだけであったが、右に視線をずらすと、色褪せたベージュ色の壁が続き、その途中に半開きになったシャッターがあった。


     総括すると、サンジ達の今いる場所は、森の奥地にある廃工場と思しき建物の前であった。

  • 12124/01/30(火) 02:31:27

     よくよく思い返せば、島を降りてすぐに八百屋を探していた辺りからの記憶がない。ここに辿り着くまでの間に、何が起きていたのだろう。

    「黒足屋、状況を説明してやるからまずは自分の右腕を見ろ。」
    「は?……え?」

     思考の海に沈みかけたサンジを、ローの声が引き上げる。指示の通り、右腕の袖を捲ったサンジは、驚愕と絶望の余り表情を失う。
     それは、料理人としてはあまりにも残酷な事実。人の身体に起こる悍ましい奇跡。サンジの視界に入ったそれは、嘲笑うように死の気配を漂わせていた。

    「何だよ、これ」

     桃色のダイヤが右手首を一周するように広がっていた。

  • 13124/01/30(火) 02:53:50

     一瞬、記憶にはないが、腕輪を付けていたのかと思った。そうであって欲しかった。

     だが、右手首に何かが触れる感覚はない。逆にダイヤに触れる度に、指が触れている部分が撫でられる心地がする。右手首そのものが、ダイヤと化しているかのように。幸い今の所手首は曲げられるが、皮膚が突っ張る感覚がする。

     どうして、こんな事が。それより、自分の腕は、どうなってしまうのだろう。


    「黒足屋、落ち着いて聞け。おれはそのダイヤの正体を知っている。」


     冷静な声音で告げられた希望に、顔を上げた。


    「本当か!?」

    「ああ。先に断っておくが、荒唐無稽な話になる。だが、最早信じる他ねぇ事実だ。」


     絶望と焦燥のあまり失念していたが、オペオペの実の能力を持つローなら、治せるかもしれない。そう思い至ると同時に、ダイヤとなった理由が悪魔の実の力によるものである可能性も思い出す。


    「グランドラインでも荒唐無稽な事実は散々あっただろ。勿体ぶらずに言えよ。」

    「それもそうだったな。いいか黒足屋、そのダイヤは、この工場にいる奴の呪いだ。」


    サンジは(オカルト知識70より、70以下で信じる)

    dice1d70=62 (62)

  • 14二次元好きの匿名さん24/01/30(火) 03:18:23

    このレスは削除されています

  • 15124/01/30(火) 03:21:17

    「呪い……初めて見るが、これが、か。」
    「案外あっさり信じるんだな黒足。」
    「ローはこんな時に冗談言うような奴じゃねぇ。そもそもグランドラインですら何でもありだったんだ。呪いってのも実在してもおかしくねぇよ。」
    「それもそうか。」

     幼い頃、牢獄に幽閉されていた時のサンジの楽しみは、殆ど読書にふけることのみだった。本の内容は料理やオールブルーに関する事が専らだったが、短い期間とはいえ、嘗てジェルマが研究していたという、怪異や黒魔術に関係する本に手を伸ばしたこともあった。
     あのジェルマが非科学的存在を認めていた上に、仲間の一人は悪魔の実の力といえ、死者の国から蘇ったというのだ。幽霊や呪いも実在すると信じざるを得ない。

    「理解が早くて助かる。」
    「それで、これってどんな呪いなんだ? この工場に何が?」
    「これは、街にいた奴の噂話だが」

     ローは居酒屋で聞いたという噂話を語りだす。

  • 16124/01/30(火) 03:38:12

     三つの海賊団が上陸したこの島では、最近奇妙な噂が広がっていた。

    ─────死に至る金剛石

     突如体がピンクダイヤの結晶となり、やがてダイヤモンドが全身に広がって死ぬというものだ。
     事実その島では、ピンクダイヤに覆われた死体が見つかるという、怪事件が頻発していた。その噂は都市伝説的に、どこかで幽霊に遭遇したせいだ、知らぬ間に呪いに祟られるようなことをした、などと、様々な憶測を元に広まっていった。

     中でも、「町はずれの廃工場に巣食う幽霊の呪いだ」という説が最も有力視されている。というのも、宝石となった者は皆、町外れにある廃工場の近くに住んでいた者、廃工場に遊び半分で足を踏み入れた者等、廃工場に近づいた者が圧倒的に多かったのである。

     ロー自身も、話を聞いた当初は、"呪い"の原因が廃工場の化学物質によるものかもしれないと推測した。しかし、以前に彼と同じ仮説を立てた医者が、患者のダイヤを切除した際、患者とその近くにいた者全てがダイヤの塊となって死んだという。
     流行病にしては科学や悪魔の実で説明が付かず、中毒症状にしてはあり得ない現象に、その話を聞いた誰もが、呪いと信じざるを得なかった。

  • 17124/01/30(火) 03:38:53

    続きは夜八時再会予定です
    おやすみなさい

  • 18二次元好きの匿名さん24/01/30(火) 10:54:25

    ほしゅ

  • 19124/01/30(火) 20:53:04

    続きです

     話を聞き終えたサンジは、ますます首を傾げる。
     ダイヤの正体はわかった。だが、そんな危険地帯に、何故この二人がわざわざ足を運んだのだろう。それに、自分はこの島に来たばかりだった筈だ。工場の場所を知らなければ、近づく事もない。

    「話は分かったが、ローとそいつは何でここに? それに、記憶が飛んでるが、おれはこの島に来たばかりの筈なんだ。この島に廃工場があったことも知らねぇよ。」
    「……おれもユースタス屋も、この廃工場に来るのはこれが初めてだ。だが、」

     一度言葉が途切れる。それを合図にするかのように、ローは前髪をかき上げ、キッドは義手を外す。彼らが表したそれに、サンジは息を飲んだ。

    「件の呪いが現れやがった。」
     
     ローの額に、キッドの左腕の先に、桜色の光を放つダイヤがフジツボのように生えていた。

  • 20124/01/30(火) 23:46:21

    「俺達は、工場に近づきすらしてないのに、これは一体……」
    「そこまでは分からねぇ。今は要因は考えるだけ無駄だ。元は人間とはいえ、人の理から外れた存在の思考なんざ、理解出来るもんじゃねぇ。
     そもそも、廃工場に近づかなければ呪われないとは言われてねぇ。結局、呪いは万人に平等に降りかかる、という奴だ。」

     ローがそう締めくくると、苦虫を嚙み潰したような表情で舌打ちをする。そういえば、廃工場に近づいた者が呪われる"傾向がある"というだけで、近づかなくとも呪われた者もいただろう。丁度、今の自分達のように。
     この二人は、呪いに抗う為、工場に足を運ばざるを得なかった。そして、偶然にも自分と再会したのだと、サンジは理解した。

    「しかし黒足屋、お前、さっき『記憶が飛んでいる』と言ったな。」
    「ああ。覚えてるのは、街で八百屋を探してた所までだが……」
    「お前、特に"呼ばれている"ぞ。ここに殴り込むには気をしっかり持て。」
    「……もしかして、おれがここに来たのは」
    「ああ。妖刀の鬼哭がお前に触れた瞬間我に返った辺り、ここにいる怪異とやらがお前を操ってやがったんだろう。本当に怪異の仕業だと断定せざるを得なくなっちまった。」
    「マジかよ……」

     サンジの背筋にうすら寒いものが駆け抜ける。怪異とやらは、余程自分を殺したがっているらしい。理不尽な存在にホワイダニットを求めるだけ無駄だ。愛する女性陣や仲間が狙われなかっただけましではある。それでも、「何故自分がこんな目に」と運命を呪うことをやめられなかった。何より

    「買い出しの跡はナミすわぁんの買い物に付き合う約束だったんだよ……! その約束を反故にさせやがって……!! 絶対許さねぇ!! 怪異だろうが三枚にオロす!! 首洗って待ってやがれ!!!」
    「え、そっち?」
    「…まぁ、怪異に怖気づいて足踏みするよりかマシだ。寧ろ殺意を抱くくらいが丁度いい。ユースタス屋みたいにビビり散らかすと思ったが、杞憂だったな。」
    「ぁ、ああ゛!? ビビり散らかしてねぇ!!」
    「さっきまで狂ったように「テクマクマヤコン」を連呼してやがったのはどこのどいつだ。」
    「怪異に狙われてんだから、その、あ、真言って奴で祓うのは当たり前だろうが!!」
    「テクマクマヤコンは真言じゃねぇ」
    「マジかよ」

  • 21124/01/30(火) 23:58:55

    「もしかしてキッドはこういう幽霊の類に弱いのか?」

    「おれも初めて知った。」

    「勝手に答えんな!おれは弱くねぇ!!寧ろ来やがったらぶっこr「あんな所に歌丸師匠が!」」


     突如、ローがそう叫びながらシャッターに向けて指をさすと、キッドは

    1三回バク転して後ずさる

    2ツッコむ

    3怒る

    dice1d3=3 (3)

  • 22124/01/31(水) 00:47:53

     流石に怖がりはしなかったが、ローの煽りに怒りを露にした。

    「この世界歌丸師匠いる訳ねぇだろ!!分かりにくいネタに走ってんじゃねぇ!」
    「チッ。何でもって訳ではねぇか。」
    「舌打ちすんな!」

     面白みのない反応に、ローは不満げに顔をしかめたものの、内心ではほくそ笑む。
     今日初めて知った事だが、あのユースタス・キッドが、悪辣で狂暴な男が、オカルトを弱点としている。それはそれでからかい甲斐があるが、今の状況では間が悪い。

     怪異は恐怖を抱いた者の心に付け込み、弄んだ末に手にかける事に快楽を見出す存在だ。本能に訴える恐怖を以て、あるいは変わり果てた容姿を以て、あるいは超常的な力を持って、人を恐怖に狂わせ、その魂を踏み潰す。そんな恐怖を餌にする存在にとって、キッドは格好の獲物だ。

     それでもローがキッドを同行させたのは、機械が豊富にある工場では、ジキジキの能力が役立てられるというメリットからである。キッドは「自分に売られた喧嘩だ。テメェに借しを作らねぇ」と強がってはいたが、声が少しだけ震えていた。ローの前ですら弱みを隠し切れていない。これでは、少しでも労力を減らす為に連れて来た筈が、足手纏いになりかねないだろう。

     だが、からかい半分に言った言葉が、一時的とはいえキッドに恐怖心を忘れさせた。これで少しでも気を強く持って貰えれば、すぐに発狂する事はないだろう。

    「茶番は終わりだ。早く元凶を祓って呪いを解くぞ。」
    「茶番に走ったのはテメェだろうが!!」
    「ロー、ちょっと待て」
    「何だ、黒足屋。今更怖気づいt」
    「おれの分も残しとけよ。」
    「おいユースタス屋、お前も黒足屋の殺意の高さを見習え」
    「殺意しかねぇよ! 主にお前にな!」

     小突き合い、騒ぎながらも、三人はシャッターをくぐった。

  • 23124/01/31(水) 01:09:33

    短いですが今日はここまでです
    途中でPCがエラー起こしてアップデートせざるを得なくなった為、更新が遅くなりました
    申し訳ございません

  • 24二次元好きの匿名さん24/01/31(水) 11:44:34

    歌丸パワーすげぇ

  • 25二次元好きの匿名さん24/01/31(水) 20:56:37

    歌丸がどうのとか唐突なメタネタギャグはなんか萎えるわ
    スレ主重めの没入系文章表現のが上手だから別にギャグ描写いれなくていいと思う

  • 26124/01/31(水) 22:34:45

    >>25

    キッド発狂フラグ判定のつもりでしたが、少しふざけ過ぎました

    文章をお褒め下さりありがとうございます


    続き書いていきます


     三人を最初に出迎えたのは、蜘蛛の巣だった。無機質なコンクリートで出来たほの暗い空間は、確かに工場の造りそのものだが、そうとしか、言い表せないのだ。


     壁、天井、床、全てに、布のように連なる巨大な蜘蛛の巣が張り巡らされていた。


    「帰る」

    「待て」

    「ふざけんな」


     蜘蛛の巣を視界に入れた瞬間、サンジは再びシャッターをくぐろうと身をかがめた。しかし、二人の船長がそれを許さない。


    「さっきの殺意はどうした」

    「あんだけ啖呵切っといて逃げんじゃねぇよ」

    「冗談じゃねぇ!! 怪異って言うからにはもっとこう……血だまりとか骸骨とかあるもんだろ!! こんな蜘蛛の巣窟だったなんて聞いてねぇ!! 気味悪い系の虫無理なんだよ!!」

    「そっちかよ」

    「そうだった…黒足屋は虫が大の苦手だった...」

    「は、男が虫如きにビビるたぁ、女々しい事この上ねぇな」

    「寧ろあんな悍ましい生物を嬉々として触りに行く方がおかしいだろうが! しかもこんなデカさの巣を作る蜘蛛なんざ絶対普通の奴じゃねぇだろ! 殺虫剤効かねぇタイプの奴だろ! とてもじゃないが敵う訳ねぇ!」

    「これを作ったのはアラクネみてぇな女の怪異かもしれねぇぞ。」

    「早く行くぞ! レディが俺を呼んでいる!」

    「それでいいのかテメェ」

  • 27124/01/31(水) 22:35:05

    アイデアロール(30以下で成功)

    サンジ:dice1d100=24 (24)

    ロー:dice1d100=17 (17)

    キッド:dice1d100=49 (49)

  • 28124/01/31(水) 23:06:09

     布と化した糸の群れに塞がれながらも、蛍光灯の光が白銀色の巣を照らす。ふと、ローとサンジは、蜘蛛の巣の群れから金属特有の臭いを嗅ぎ取った。

     最初は工場特有の臭いが充満していたのかと思われたが、どうもそれだけではない。"糸そのもの"から、強く臭いを感じられる。


     ローは試しに小石を拾って巣に触れさせる。しかし、どの糸にも粘性はなく、小石は糸に付着することも、糸を切る事もなかった。寧ろ、糸は小石に圧迫された後、ギターの玄のようにしなりながら元の形状へ戻るのだ。


    「おい、さっきから蜘蛛の巣で遊んでんじゃねぇよトラファルガー」

    「どういう事だ、これは」

    「あ? 何がだよ」

    「蜘蛛の糸は必ず横糸に粘性を持つ。だが、どの巣の糸も、粘性がねぇ。巣に獲物がかかっても固定されねぇんだよ。」

    「ワノ国で蜘蛛の能力者に捕まったことがあるんだが、蜘蛛の巣ってもっと温かいんだよ。能力で出来た糸だからかもしれねぇが。

     けど、この巣の糸って、みんな冷てぇんだよな。金属みてぇだ」

    「金属...?」


     サンジの言葉に、ある事を思いついたキッドは左腕から磁力を放つ。すると、一部の巣が左腕に引き寄せられるように形を変え、小さな巣が左腕に張り付く。それに驚いたキッドが能力を解除すると、巣は重力に従って、ひらひらと床に舞い落ちた。


    「……マジかよ」

    「これ、みんな金属で出来てんのか」

    「一部は磁力に引き寄せられなかったが、この巣は全てワイヤーで出来ていると見ていいだろう。」

    「何でワイヤーでこんな大掛かりなことを……」


    ロー、キッドのみアイデアロール(それぞれ知識の値以下で成功)

    ロー:dice1d100=6 (6)

    キッド:dice1d100=99 (99)

  • 29124/01/31(水) 23:55:32

    「思い出した。嘗てこの工場ではワイヤー製品を製造していたんだったな。50年前に経営不振で廃業するまでは。」

    「ああ、それでこんな……」

    「ここで働いていた従業員の怨霊が蜘蛛の巣に変えたってのか。」


     蜘蛛の巣が女の怪異の仕業である可能性が薄れ、サンジが肩を落とす。その姿にキッドは「さっきから女と男じゃまるで態度が違ぇな」と呟いた。


    「従業員どころか、社長の怨霊の仕業かもな」

    「は? どういうことだよ」

    「この工場の噂はもう一つあった。ダイヤの呪いの噂が広がる前にも、この工場は既に曰く付きの場所として知られていたんだ」

    「え、何で? ダイヤの呪いの噂が広まったから曰くつきの場所になったんじゃねぇのか?」

    「工場を運営していた社長がここで一家心中したらしい。さっき経営不振で廃業したと言っただろ。その時に社長は多額の負債と借金を抱えたんだと。未来に絶望した社長は、家族の未来も儚んだのか、一人で死ぬのは怖ぇからか、家族皆で仲良く死ぬことにしたって所だ。

     今になって呪いが広がり始めたってのは50年もの時を経て、怪異が力を付けたのかもしれねぇな。」

    「胸糞悪い……死ぬなら一人で死にやがれってんだ。巻き込まれた奥さんと子供が不憫でならねぇ。人生をどうするかは自分で決めるモンだろうが。」

    「……?」


    キッドは

    1違和感を感じた

    2違和感を感じなかった

    dice1d3=1 (1)

  • 30124/02/01(木) 00:19:07

    「その社長とやらはよ、何でわざわざこんな場所で心中したんだろうな。一家心中って言うからには、普通自分の家でやるもんだと思うが……」

    「さぁな。理由を付けるとすれば、自分で起こした会社に思い入れがあったからじゃねぇか?」

    「死ぬ時は自分の思い入れのある場所でって奴か」


     ローの言葉に納得しつつも、拭い切れない違和感がキッドの心の片隅に巣食う。掃った蜘蛛の巣が手に絡みつき、それを除こうとしてもこびり付いて離れないかのようだ。決定的な何かが、どす黒い邪悪なモノが、裏にある。だが、それが何かまでは看破できない。


    (今は考えても時間の無駄か。)


     疑問を振り払い、改めて銀糸の世界を見渡す。

     横に広い空間の左側には、蜘蛛の巣に覆われた台車が無機質に並べられている。列の端を目で追うと、何重にも重なった蜘蛛の巣がブルーグレーの扉を塞いでいるのが見えた。何者の侵入を許さないかのように、固く封じられたそこの隙間から、金属と油の香りに混じって据えた匂いが運ばれる。


     目を逸らすように右側へ徐々に顔を向けると、そこには広大な空間が広がり、前方の壁と壁の間には大人三人が通れそうな幅の道が拓かれており、反対側の壁には一つだけ浮かび上がる扉が見えた。



    どこに行くか

    1左前

    2右側

    3奥の道

    dice1d3=3 (3)

  • 31124/02/01(木) 00:21:52

    奥の方へ進むと、左右の壁には扉が対になるように聳え立つ。それらには蜘蛛の巣はかかっていない。


    どっちに行くか

    1右

    2左

    dice1d2=2 (2)

  • 32124/02/01(木) 01:09:09

     ギギ……ゴロゴロゴロと重い音を立て、鉄扉を横に開いた先には、蜘蛛の巣で覆われた機械の森が広がっていた。


     見渡す限り全てが蜘蛛の巣に覆われたそこは、ワノ国の鬼ヶ島の宴会場よりも天井が高く、密集した大きな機械の群れがこの部屋の広さを物語っていた。

     白銀のベールが打ち覆いのように被さる切削機や溶接機は冷たく輝き、機械の隣には銀糸が巻き取られた巨大なボビンや、ボビンが乗った台車がいくつか置かれている。扉から奥に行く度に、天井から、壁から、機械から、角々に張り巡らされた糸が、これ以上の侵入を拒むかのようにその数を増やしていくのが見えた。


    「でけぇボビンだな。ここでワイヤーを作ってたのか」

    「造ってたのはワイヤーだけじゃねぇようだな。蜘蛛の巣塗れだが、あっちにあんのは多分溶鉱炉だ。ああいう機械で合金素材を作ったりしてんだろ」

    「へぇ、外から見た時は小さそうだったが、意外と機材が豊富なんだな」

    「(明らかに容積が肥大化してるが黙っておくか)」


    イベント

    1コンパクトミラーを見つける

    2従業員のメモを見つける

    3ナニカが近づいてくる

    dice3d3=2 1 3 (6)

  • 33二次元好きの匿名さん24/02/01(木) 12:33:20

    このレスは削除されています

  • 34124/02/01(木) 20:51:59

     行く手を阻む糸を切りながら探索していると、比較的糸が薄く張られた機械を見つける。その独特な形状から、針金工業に疎い三人には機械の用途を察する事は出来なかったものの、少女らしい丸みのある文字で綴られたメモが張られている事に気づく。

    『ネクタイピン  もう持ってた      ×
     ブローチ    あんまり使わないかも  △
     ハンガーラック ありきたり       ×
     ブックホルダー 大体本棚に仕舞う    △
     オルゴール   これだ!        〇』

    「お、レディの字だ。ここに書いてるのって、全部針金で作った物……じゃねぇな。ハンガーラックは兎も角、オルゴールなんて針金使わねぇだろうし。」
    「いや、物によっては使われているぞ。電子オルゴールに使われる電線もワイヤーのうちだ。」
    「へぇ、そうだったんだな。」
    「にしても、名前の隣に書いてるのは何だ。加工指示書って訳でもねぇよな。」
    「オルゴールに決定したみたいだけど、何を決めてたんだろうな。」
    「自分の使う物じゃねぇか? 私用で機械を使う奴もいただろうよ。」

     ひとしきり考察すると、ローは機械をもう一度注視する。妙齢の女性の掌に収まりそうな大きさのコンパクトミラーが置かれている事に気づく。

    「こいつは、このメモの持ち主が使ってたのか?」

     コンパクトミラーの背面には、白い木製の下地にガーベラやマーガレットの花の絵が施されている。鏡面にヒビ一つないどころか、新品と顕色ないそれは、持ち主が大切に使っていたという事が推測出来た。

    (廃業した時に取り損ねたのか……? しかし、廃屋といえ、ここまで劣化してないのは一体……)

  • 35二次元好きの匿名さん24/02/01(木) 22:57:50

    女がネクタイピン…?って思ったけどこの世界じゃ制服とかで使うか

  • 36二次元好きの匿名さん24/02/02(金) 10:21:21

    ほしゅ

  • 37二次元好きの匿名さん24/02/02(金) 20:20:30

    スレタイにつられてきたけど三船長と両翼も全員出るわけじゃないのか

  • 38124/02/02(金) 20:35:22

    1です

    多忙で暫く更新が遅くなりそうです

    申し訳ありません


    >>37

    今回は2組で行動するので後ほど登場します

  • 39二次元好きの匿名さん24/02/03(土) 02:46:10

    ①①①①

  • 40二次元好きの匿名さん24/02/03(土) 12:58:13

    ほしゅ

  • 41124/02/03(土) 20:32:36

    再会します

     難しい顔で鏡を見つめるローを見かねて、サンジが声をかける。

    「ロー、さっきからその鏡を見て唸ってるが、どうしたんだ?」
    「少し、違和感を感じてな。」
    「違和感?」
    「こんなに綺麗に扱われてる物が、ここに置き去りにされてるのはおかしくねぇか。
     製造から最低でも20年以上は経っているのに、傷1つねぇのも妙な話だ。」
    「何で言い切れんだよ。どうせ肝試しに来た奴が置き忘れてんだろ。」

     話を切り上げようと、キッドが投げやりな反応を返す。しかし、ローはその言葉に首を横に振った。

    「それはねぇな。鏡の裏に"FlowFlute"のブランドロゴがあった。」
    「FlowFlute?」
    「全く聞いた事ねぇな……」
    「無理もねぇ。FlowFluteは20年前に倒産しているからな。」
    「えらく詳しいなトラファルガー。」
    「かあs……母が、FlowFluteブランドの化粧道具をよく使っていた。倒産のニュースを聞いた時落ち込んでいたのを覚えてる。
     倒産と同時にブランド製品の製造は終わっているんだ。新品同然の物がここにある筈がねぇ。」
    「あぁ……大事に扱っていたとしても何かしらの劣化はある筈だよな。(今母様って言いかけたな)」
    「トラファルガーテメェ今母様って言いかけたな(そんなモン触んなよ絶対曰く付きだろ)」
    「ユースタス屋テメェ今すぐ聞かなかった事にしろ細かくバラしてジェンガにすんぞ」

  • 42二次元好きの匿名さん24/02/03(土) 20:44:09

    このレスは削除されています

  • 43124/02/03(土) 20:45:53

    「あ?何をだ? お前がいま母様って言いかけたことか?」

     顔中に青筋を浮かべたローが無言で鬼哭を取り出す。刃先を向けられたキッドはいけ好かない男の思わぬ失言に、自分の置かれた状況を忘れ、上機嫌でローを煽りだした。

    「ちょ、やめとけよお前ら!」

     火花を散らす最悪の世代に臆することなく、サンジは慌てつつ二人を諫める。このくだらない言い争いのせいで時間が無駄になるのは避けたい。
     サンジの仲裁空しく、互いの能力がぶつかり合おうとしたその時

    かち、かち

     ぴた ぴた

     通路の向こうから固い物が触れ合う音が響く。
     その音が耳に届いた瞬間、三人は音源の方へ向き、臨戦態勢をとる

  • 441@IPPONGP面白かった24/02/04(日) 00:07:23

     目の前に意識を集中させると、ほの暗い糸の森の奥で何かが蠢くのが見えた。

     針が落ちるような軽い音は徐々に重みを増し、目の前から取り囲むように広がる。


    「な、なんだよ、一体……」

    「気を付けろお前ら。こっちに向かって来てんのは、生物じゃねぇ」


     床に現れたそれの体が、鈍い光に照らし出される。

     手の平に乗る程の大きさの、黒ずんだ銅色の蜘蛛だった。


    「……ぉ、あ」


     虫に免疫のないサンジが引き攣る喉から声を漏らす。

     八本の足を動かしてにじり寄るそれには、頭がなかった。しかし、その代わりのように、丸々と肥えた胴には人間の口が、けらげら、けらげら、と老若男女の声が入り混じった嗤い声を上げている。

     最初は一匹だけだったそれは、目の前から、機械の裏から、天井から、あらゆる方向から、三人を取り囲んだ。


    3人の呪いの浸食度加算(80で昏倒、100で死亡)

    全員現在浸食度は5

    サンジ:dice1d5=2 (2)

    ロー:dice1d5=5 (5)

    キッド:dice1d5=1 (1)


    発狂判定(20以下で発狂回避)

    サンジ:dice1d50=32 (32)

    ロー:dice1d30=15 (15)

    キッド:dice1d40=1 (1)


    seceret

    dice1d100=60 (60)

  • 45124/02/04(日) 00:17:10

    現在浸食度

    サンジ:7

    ロー:10

    キッド:6


    「ぁっ……あっぁっあああああああ!!!!!! 

     うわぎゃあああああああああああああああああああああああああああ!!!」


     悍ましい蜘蛛の群れに取り囲まれる事に耐え切れず、サンジは恐怖に絶叫した。


    「やだ!! やだ!! 蜘蛛!! いやだあああああああああああああっ!!」

    「お、おい! 黒足屋! 気をしっかり持て!」

    「黒足!! こんな蜘蛛如きに錯乱してんじゃねぇ!!」


    精神分析判定(それぞれ100-ビビり度以下で成功)

    ロー(59以下で成功):dice1d100=68 (68)

    キッド(15以下で成功):dice1d100=64 (64)


    失敗の場合

    1サンジが逃亡する

    2サンジが気絶する

    3蜘蛛がいる間だけ行動不能

    dice1d3=2 (2)

  • 46124/02/04(日) 00:20:29

    サンジが次に目を覚ますのは

    1蜘蛛との戦闘が終わってから

    2作業場を出るまで

    3ルフィとゾロと合流するまで

    dice1d3=1 (1)

  • 47124/02/04(日) 00:30:09

     ローとキッドの呼びかけも空しく、サンジの意識は現実から逃げるように闇へ堕ちた。


    「おい! 黒足! てめ、しょっぱなから気絶してんじゃねぇ!!」


     キッドがどれだけ揺さぶってもサンジは目を開かない。ローは早々に対処を諦め、蜘蛛の群れを対処することを専念する。


    「この際錯乱してこっちが被害被るよりかましだ……しかし、こいつら……」


     蜘蛛の群れを注視していると、ローはある事に気づく。

     胴体の口が生臭い息を吐いているものの、血を一滴も流さないそれの身体は、細い銅色の糸が何重にも巻かれているように見える。かちかちと音を立てて蠢く足も、"生える"、と言うより、"刺さっている"という表現の方が相応しい。


    「まさか、針金で出来てるのか?」


     その姿は、まさに針金の芸術作品だった。


    アイデアロール(ローの知識86以下でルートA、それ以外でルートB)

    dice1d100=11 (11)

  • 48124/02/04(日) 00:43:56

     蜘蛛の群れを見渡していると、箱が落ちていることに気づく。
     「Campanula(カンパニュラ)」と書かれたその箱は、先程、サンジが錯乱した際に胸ポケットから落ちたものだった。
     奇妙な事に、床を埋め尽くしている蜘蛛の群れは、その箱を避けるように、箱の周囲に円状の空間を作っている。

  • 49124/02/04(日) 00:54:46

     まさかと思い、ローがシャンブルズで箱を手に持つと、蜘蛛は三人から、否、ローから距離をとる。

     手に取ったその箱は、未だ口が開けられていない煙草の箱であった。


     ローは蜘蛛に注意を向けながら箱開くと、煙草の独特の香りが広がる。

     その一癖ある香りは決して万人受けではないものの、好む人間も一定数いそうである。


    「これは……もしかするとユースタス屋の出る幕でもなさそうだな。」


    ローかキッドがライターかマッチを持っている(工場に落ちている)かどうか

    (30以下で成功)

    dice1d100=30 (30)

  • 50124/02/04(日) 01:08:16

    「最終手段のつもりだったが、まさか今使う事になるとはな。」

     ローはコートのポケットからライターを取り出し、超然とした佇まいで煙草に火を灯す。
     瞬間、蜘蛛の群れは一斉に、より大きく後退る。腹の口は恐怖を代弁するかのようにガチガチと歯を鳴らし、耳障りなオーケストラを奏でる。

    「どうした?テメェらこれ如きが怖ぇのか?」

     ローが煙草を片手に挑発しながら、ゆっくり前に足を踏み出すと、蜘蛛の群れはローとの距離を保とうと後退る。

    「気は進まねぇが、まぁ、仕方ねぇ」

     ある程度追い詰めた所で、その場にゆっくりしゃがむ。そして、せき込むのを我慢しながら煙を吸い込み、

    フッ─────

     煙を浴びた蜘蛛はついに狂乱し、断末魔ともとれる絶叫を上げながら、一斉に逃げ出す。煙を浴びなかった群れも、仲間の悲鳴に恐怖心を抱いたようで三人の視界から消えて行った。

  • 51124/02/04(日) 01:11:00

    今夜は一度ここまでです
    明日は日曜なので再会は早めにしようと思います

  • 52二次元好きの匿名さん24/02/04(日) 12:15:59

    ほしゅ

  • 53124/02/04(日) 19:39:28

    再会します



    「……ん、ぅあ……」


     三人の周囲に静寂が戻ると同時に、サンジが目を覚ます。

     倒れた時に後頭部を思いっきり打ち付けた為か、苦虫を嚙み潰したような顔で頭を押さえながら体を起こした。


    「いてぇ……あ、あれ……?」


     視界のどこにも蜘蛛が見当たらない事に戸惑い、きょろきょろと辺りを見渡す。

     説明を求めるように二人の顔を見ると、キッドはその凶相に呆れを滲ませ、反対にローはあくどい笑みを浮かべている。心なしか上機嫌な様子に、サンジの頭上の疑問符は更に数を増した。


    「ったく、こんな状況で気絶しやがって……蜘蛛如きでぴーぴー喚くんじゃねぇよ。」

    「いや、せめて発狂くらい許せよ。というか、ロー、おれが気絶してる間に、何があったんだ…?あの蜘蛛は……」

    「それは俺も気になった。トラファルガー、さっき何やったんだ? 能力が発動した気配もなかったが、勝手にあいつら逃げた、よな」

    「え? ローだけであの量を蹴散らしたのか?」

    「おれは何もしちゃいない。黒足屋の煙草のお陰だ。」


     その言葉を聞いてサンジは胸ポケットに質量を感じない事に気づく。そしてすぐに状況を察すると、「一本拝借させてもらった」という言葉と共に、ローから口の開いた煙草の箱を手渡された。


    「煙草が……? 一体これで何したんだ?」

    「どういう因果か知らねぇが、あの蜘蛛共は煙草を恐れている。

     これの煙を吹きかけたら錯乱しながら一斉に逃げて行った。」

    「マジでか……よし、ここにいる間は吸っておくか。」

    「初めて黒足と合流してよかったと思ったぜ。」


     サンジは目を輝かせながら、おもむろにもう一本煙草を取り出し、火を点けてそれを蒸かした。


    煙草の残量(最小18)dice1d38=21 (21)

  • 54124/02/04(日) 19:43:08

    以下、煙草の効果により敵との遭遇確立が減少します。


    煙草の火が消えるまでのターン:dice1d7=7 (7)

    煙草の効果の持続ターン:煙草の火が消えるまでのターン+dice1d5=1 (1)


    呪いの進行具合

    現在浸食度

    サンジ:7

    ロー:10

    キッド:6


    3人の呪いの浸食度加算(80で昏倒、100で死亡)

    サンジ:dice1d5=3 (3)

    ロー:dice1d5=1 (1)

    キッド:dice1d5=3 (3)

  • 55二次元好きの匿名さん24/02/04(日) 19:47:18

    このレスは削除されています

  • 56124/02/04(日) 19:51:46

    どこへ向かうか

    1現在地から左側

    2現在地から右側

    3扉から見て奥の方へ

    dice1d3=1 (1)


    secret dice

    dice3d3=2 3 2 (7)

  • 57124/02/04(日) 20:06:08

    現在浸食度
    サンジ:10
    ロー:11
    キッド:9

     三人が歩いていると、目の前にペンキの剥がれた扉が現れる。扉には鍵はかかっておらず、能力を使うまでもなくその先を許した。

     ワイヤーが張り廻らされたその部屋には、原材料と思しき鉄塊や未完成の製品が散乱し、壁際には大きな木製のパレットに積まれた鉄やアルミニウムの板、未使用のワイヤーが段ボール箱に入った状態で放置されていた。
     資材の間を歩く足元には、薄い埃が積もり、それに混じって蜘蛛の巣から垂れ下がる細い糸が舞う。

    「ここは……加工場に近い場所にある辺り、資材置き場って所か。」
    「おい、あそこにあんのは玄関に繋がってる扉じゃねぇか?」
    「蜘蛛の巣に阻まれていたが、加工場からなら容易く入れるようだな。」

     ふと、右奥の方へ眼を向けたサンジが顔を引きつらせ、「うっ」と息を漏らす。同じく右奥を見たローとキッドも、そこにあった光景に不快感を露にした

    「マジ、かよ……」
    「……悪趣味」

     マネキンのように白化した人間の手足が、頭が、胴体が、美術品のように整然と並べられていた。

  • 58124/02/04(日) 20:56:31

    「あからさまにやべぇもんが出やがったな」

    「今更だろ」

    「……おかしい。常温で放置しているのに腐敗が進んでない。しかも血一滴流してねぇ」

    「怪異の作った世界だ。人間の常識が通用すると思わない方がいい。」


    イベント

    1加工指示書を見つける

    2ナニカが現れる

    3女の声が聞こえる

    dice2d3=1 3 (4)

  • 59124/02/04(日) 21:23:42

    煙草が消えるまであと:6

     棚を物色していると、一枚の紙が床に舞い落ちる。
     拾い上げて読むと、何かの加工指示が綴られていた。インクが滲んで読めない部分もあったが、言葉にすることも憚られるモノが作られていることはわかった

    『材料
     ・針金5mくらい
     ・虫けら
     ・作業着

     1虫けらを■、胴、手、■に分けて解体します。胴以外は全部■材置■■に保管しましょう。
     2針金を1mずつ切り取って■と両■足を作ります。
     3胴に■金をそれぞれの■置に固定させます。
     4■■■■■に入れ■■■します。
     5作業着を■■てあげ■ら完成です。新しい■■として一緒に■■ましょう。』

    「……おい、この虫けらってのは」
    「十中八九、ここの侵入者だろうな」
    「胴以外が針金ってことかよ。気色悪いことしやがる」

  • 60124/02/04(日) 21:35:27

    煙草が消えるまであと:5

     粗方物色し終え、部屋を出ようとしたその時、サンジが何かに反応したように目を見開く。

    「黒足?」
    「おい黒足屋、さっさとここを出るぞ。これ以上は何も」
    「今!! 女の声がした!!」
    「はあ!!?」
    「はあ!?って、何だよ!!お前らも聞こえただろ!?鈴を転がすような可愛らしいレディの声が!!『こっちに早く来て』って聞こえただろ!というか、今も言ってるぞ!」

     半ば興奮気味のサンジに引きつつ、二人は顔を見合わせる。
     老若男女の入り混じった"ような"声こそ先程聴いたが、サンジの言う女性の声は聞こえていない。

    「こいつ、女に飢えすぎてついにイカれたか。」
    「いや、黒足屋は女の存在には敏感だ。あいつの向かう先に女がいねぇ事は一切なかった」
    「キッショ、なんでわかんだよ」
    「それに、黒足屋は何かに取り憑かれてここに来たんだ。もしかすると、黒足屋を狙ってる怪異かもしれねぇ」
    「罠じゃねぇか!」
    「罠だとしてもいい! やっぱりレディがおれを呼んでいる!!」
    「バカか! いったん落ち着け!」

     部屋を飛び出そうとするサンジを抑えつつ、ローは質問を始める。

    「黒足、その声ってのはどこから聞こえてるんだ?」
    「どこって、すぐ上の方からだろ。え、もしかして、本当にお前らには聞こえてねぇのか?」
    「お前の言う女の声は俺にもユースタス屋にも聞こえてねぇ。
     しかし、上か……いずれにしろ、乗り込む事になりそうだな」
    「いずれにしろって事は、今すぐ行っても変わらねぇって事だよな!?早くそこを通せ!おれは愛の戦士だぞ!」
    「内装も分かってねぇうちに無闇に動くと戦死するだけだから落ち着け。そもそもどうやって上に行くか分からねぇだろうが。」
    「……あー、それもそうだが、って、ん?」

  • 61124/02/04(日) 21:51:19

    ”出ちゃだめ”

     突然、静まり返ったかと思うと、音源が上から脳へ移動する。

    ”そこにいて”

     先程自分を呼んでいた声が、反対の言葉を話している事に戸惑いつつ、サンジはどこにいるか分からない声の主に向かって話しかけた。

    「そこにいて? 一体どうしたんだい?」

     明らかに様子が変わったサンジに、ローが話しかける。

    「黒足屋?」
    「言葉が、変わった。頭の中で声がしてる。」
    「それは、同じ声か?」
    「ああ。けど、『出ちゃだめ、そこにいて』って聞こえる」
    「女の声とやらはお前を呼んでたんじゃなかったのかよ」
    「あ、待て。また上から『早く来て』って聞こえた」
    「どっちだよ」

           ”そこにいて”   "こっちに来て"
    "早く、こっちに"      ”聞いちゃだめ”
      "来て"      ”来ないで”        "おいで"

     同じ声が違う場所から聞こえる。流石のサンジも混乱して頭を抱えた。

    「何だこれ、同じ声が、頭の中と上から同時に聞こえる」

     悪寒が全身を串刺すように駆け抜ける。可愛らしい声なのに、身体の震えが止まらない。

  • 62124/02/04(日) 21:51:39

    1資材置き場から出る

    2資材置き場から出ずに様子を窺う

    dice1d2=1 (1)

  • 63124/02/04(日) 22:09:26

    「……そうだな。今そっちに行く。」


     弾き出されたようにサンジの身体が加工所に続く扉へ向かう。そのまま扉に手をかけ、ローが制止する声も聞かず、サンジは資材置き場を飛び出した。


    「黒足(屋)!!」


    サンジは煙草を

    1落とした(箱ごと)

    2落とした(dice1d10=1 (1) 本)

    3落としてない

    dice1d3=2 (2)

  • 641@鯖落ちうざい24/02/04(日) 22:19:51

     ローとキッドがすぐに後を追うが、サンジの姿はどこにもなかった。

     顔に青筋を浮かべながら辺りを見渡すが、人影一つ見当たらない。見分色の覇気を使って探知しようにも、気配が多すぎて埋もれてしまう。


    「クソっ、余計な手間かけさせやがって!」

    「煙草はこれ一本しかねぇ。あいつがいれば体力がかからねぇってのに……!」


     生憎、ローもキッドも喫煙者ではない。煙草の煙こそ平気だが、自分で吸うのとは訳が違う。

     何より、自分達の中でもそれなりに怪異への耐性のあるサンジが狙われているのだ。理由は分からないが、彼が手元に渡ると非常にまずい。

     苛立ちながらも、工場の探索を再開する。


    「クソがああああああああっ!!どこ行きやがったあの女狂い!!」


    ローとキッドの煙草の残り香が消えるまであと:4

    どこへ行くか

    1右

    2左

    3加工所を出て反対の扉へ

    dice1d3=3 (3)

  • 65124/02/04(日) 22:40:34

    加工所を出るまでにかかる時間

    dice1d3=2 (2)

  • 66二次元好きの匿名さん24/02/04(日) 22:58:59

    このレスは削除されています

  • 67二次元好きの匿名さん24/02/04(日) 22:59:18

    ルフィとゾロっていうホラー系での二大安心要素がいないってのはこんなにも不安なのか

  • 68124/02/04(日) 22:59:24

    ルフィ(ニカモードの時は対抗力が200になる)

    対抗力:dice1d100=45 (45)

    知識:dice1d100=60 (60)

    ビビり度:dice1d100=80 (80)


    ゾロ

    対抗力:dice1d100=76 (76)

    知識:dice1d100=93 (93)

    ビビり度:dice1d100=60 (60)

  • 69二次元好きの匿名さん24/02/04(日) 23:00:50

    ゾロが!!強い!!!!!!

  • 70124/02/04(日) 23:01:35

    あ、やべ、ルフィとゾロのビビり度最高値44の申請忘れてました
    ごめんなさい

    ルフィ(ニカモードの時は対抗力が200になる)
    対抗力:45
    知識:60
    ビビり度:44

    ゾロ
    対抗力:76
    知識:93
    ビビり度:44

  • 71124/02/04(日) 23:10:44

     塗り潰された闇に浮き出る、赤と緑の影。

    「あれじゃねぇか?サンジが攫われた工場ってよ!」
    「みてぇだな。あからさまに外れ者の気配しか感じねぇ。」


     サンジが消えた。
     ナミとの買い物の約束をしていたはずが、時間になっても宿にもサニー号にも戻ってこなかった。
     あのサンジが女性との約束を反故にするなんて事は、前代未聞だ。

     麦わらの一味は、手分けしてサンジの行方を町の人々に訪ねると、「町はずれの廃工場の方へ歩いて行った」という証言が得られた。更に、厄介な事に、その廃工場は、元請の会社から無茶な依頼を受けたものの、達成出来なかった為に援助を絶たれ、経営に行き詰まった社長が一家心中したという噂があった。

     聞き込みの道中、ルフィとゾロの二人は、街に異様な瘴気が漂っている事に気づき、ダイヤの噂も鑑みた所、廃工場には怪異が関わっているのではないかと推測する。

     そして、仲間に船番を任せ、まずは二人が廃工場に赴くことにしたのだった。

  • 72124/02/04(日) 23:20:21

     半開きになったシャッターをくぐると、屋内の至る所に張られた蜘蛛の巣が二人を待ち構えていた。


    「こいつは……女郎蜘蛛でもいんのか?」

    「蜘蛛の巣だらけじゃねぇかここ。サンジ、蜘蛛見たら泣き叫ぶんだけどなぁ」

    「怪異に操られてっから関係ねぇんだろ。しかし、入った瞬間一気に気配が濃くなりやがった。気ぃ引き締めろよ、ルフィ」

    「おう!」


    最初に向かったのは

    1左前

    2右側

    3奥の道

    dice1d3=2 (2)

  • 73124/02/04(日) 23:44:47

     扉ごと蜘蛛の巣を切り裂き、中へ踏み入ると、薄暗い空気が迎える。


     等身大の鏡が数枚並び、ベンチとロッカーが存在感を主張するとこは、更衣室とも取れる部屋だった。

     錆びたロッカーが列を成し、その表面には従業員たちの物であろう名前がくっきりと刻まれていた。半開きになっているロッカーの中には、汚れた靴、使い込まれた作業手袋が姿を覗かせている。

     蜘蛛の巣に埋もれた天井からはハート、スペード、ダイヤ、クローバーの形の針金がいくつも垂れ下がり、ぴちゃり、ぴちゃりと赤い液体を滴らせていた。


    「……ハズレか?」

    「サンジーおーい、返事しろー。」

    「そんなとこ探してもいる訳ねーだろ。」


     部屋に入るや否や、ロッカーを物色するルフィに呆れつつ、ゾロは部屋を見渡す。


     部屋の片隅には、壁に投げかけられたメモや落書きが見られ、何かしらの議論やメッセージが、まだ解読できる状態で残されているようだ。奇妙な事に、床やベンチに埃一つ見当たらず、廃屋となった今も尚管理されているとしか思えない。


    イベント

    1ロッカーから煙草の箱を見つける

    2女の声が聞こえる

    3郢晉ソォ繝ォ郢ァ?ォ邵コ譴ァ謫らケァ

    dice2d3=2 1 (3)

  • 74124/02/04(日) 23:57:05

    「あっ……」

     何台目かのロッカーを開くと、そこにあったものにルフィは愕然とした。
     それは、普段ならそこまで見ない物。けれど、前に立ち寄った島の福引で、自分が引き当てた物。けれど不要だったからサンジに譲った物。

    「ルフィ?」
    「ゾロ、これ」

     差し出された物に、ゾロは眉をひそめる。
     ルフィの手に握られていたのは、「Campanula」と書かれた煙草の箱だった。

    「それ、お前がニコ中コックにやった物じゃねぇか」
    「瘴気をそこまで感じねぇ。まだ、新しい奴だ」

     はぁ、とため息を吐く。
     行方知れずになった事にはすぐに気づいたつもりだったが、流石に遅かったか。仮に、サンジを攫った怪異が女郎蜘蛛だとしたら、彼はハニートラップをかけられて攫われたという事になる。
     仲間との、ましてやナミとの約束を反故にしない男だというのは分かってはいるが、その万が一が事実だとしたら余りにも情けない。

    「クソエロコックが」

  • 75124/02/05(月) 00:09:07

     ロッカーを全て物色し、更衣室を後にしようとしたその時。

    ”にかい”

     絞り滓のような、泣きそうな少女の声だった

     耳元で囁かれたようなそれに、ルフィは片耳を押さえながらゾロの方を見ると、彼も聞こえていたようで、周囲を警戒していた。

    「にかい……何をだ?」

     ルフィがそれとなく声に訪ねると、再び同じ声が耳元で囁く

    ”ごめんなさい”

     すすり泣く声が入り口から聞こえる。
     二人が音源に目を向けると、人影が横切っていくのが見えた。

    「お前か!!」
    「待ちやがれ!!」

     部屋を飛び出すが、周囲には何もおらず、それどころか人影が向かった先には扉を開いた痕跡は無かった。

    「あいつ、何がしたかったんだ?」
    「兎に角、行ってみるぞ!」

     二人が行先を定めようとしたその時

    「クソがああああああああっ!!どこ行きやがったあの女狂い!!」

     怒声と共に、バコンと何かが外れる音が奥の方から響いた。

  • 76124/02/05(月) 00:14:44

    今日はここまでです
    明日は早く帰れそうなので早めに更新出来たらと思います

  • 77二次元好きの匿名さん24/02/05(月) 00:27:04

    合流か?

  • 78二次元好きの匿名さん24/02/05(月) 11:28:58

    ほしゅ

  • 79二次元好きの匿名さん24/02/05(月) 11:32:04

    ほしゅ

  • 80124/02/05(月) 21:52:04

    再開します

     急いで音のした方へ駆けつけると、いかにも怒り心頭といった様子のキッドと、表情にどこか焦りを滲ませたローがいた。思いもよらない再会に二人は、否、四人は驚く。

    「は!?お前らは……!」
    「あ!トラ男!それとギザ男!」
    「次いでみてぇに言うんじゃねぇ!!」
    「お前ら、何でここに!?」
    「俺とユースタス屋は件の呪いを解呪する為に来たが、お前ら、もしかして黒足屋を探しに来たのか?」
    「呪いってのは、あの体がダイヤになる奴か」
    「トラ男、サンジと会ったのか!?」
    「ああ、実は……」

     ローは二人に自分達の経緯を端的に話す。怪異の狙いがサンジかもしれないという事を話すと、ルフィとゾロが剣吞な雰囲気を纏う。

    「そうか、サンジも呪われてたんだな」
    「あのクソコック……貸し1じゃ済まされねぇな」
    「おい、クソゴムの持ってる奴って、黒足が持ってた煙草じゃねぇか」
    「ん? ああ。さっきの部屋で見つけた。」
    「そうか。多分、攫った奴が弱点を取り上げたんだな。」
    「弱点?」
    「ああ、言ってなかったか。ここの怪異は、どうやら煙草を恐怖する傾向があるようだ。それがあると体力を温存できるからありがたい。」
    「そうか。これいつものと違って変な臭いだけど、役に立つんだな。」

  • 81124/02/05(月) 22:06:21

     話を纏めた所で、四人は加工場の向かい側にある扉を開く。
     そこは、掃除用具入れとタイムカードの機械が壁際に並び、上へ続く階段がある空間だった。ルフィとゾロは「にかい」という少女の言葉の意味が、「二階」ではないかと推測し、迷わず階段を昇る。

     階段を昇った先に見えたのは、いくつかの扉が立ち並ぶ、広い空間だった。相変わらずワイヤーにまみれてはいるが、一階や加工場よりは薄いように思える。
     更に、階段のすぐ側の壁の蜘蛛の巣は切り裂かれたような跡があり、巣の下にあった地図を掘り出している。

  • 82124/02/05(月) 22:14:26

    「この地図で言うと…資材置き場にいた時に黒足がおかしくなりやがったんだよ」

    「アホ眉毛は元からおかしいぞ」

    「フッ……wそれもそうだったな」

    「上から声が聞こえたとも言っていた。黒足屋に目を付けていた怪異がこの二階にいる可能性が高い。」

    「よし!早くぶっ飛ばして、サンジを連れて帰るぞ!」


    どこへ行くか

    1満遍なく探そう、まず近くの応接室から

    2サンジといえば食堂

    3事務室で情報収集しよう、何かおかしい

    4製品管理室に保管されてるんじゃなかろうか

    5意外といそうな実験室

    6行方不明になった場所を鑑みて製品加工所

    7やはりボスがいる場所といえば社長室だろ

    dice1d7=4 (4)

  • 83124/02/05(月) 22:49:54

     扉を開けると、重厚な木材でできた扉がきしむ音が響く。
     多くの棚が製品保管室に立ち並び、工場で合成されただろう素材に、ワイヤーロープや針金で出来た籠といった製品が無造作に積み重ねられていた。荒れ果てた環境の中で、張り巡らされたワイヤーがそれらを包み込み、時が止まったかのような閑散とした空間が部屋を支配する。巣の中には時折、不気味な光が反射して奇妙な影を生み出していた。
     四人が立ち入った扉の向かい側には、地図にあったように実験室に続くだろう扉が薄いワイヤーの布に包まれていた。

    「へぇ、意外と立派なもん作ってんじゃねぇか。こんな状況じゃなけりゃゆっくり見れるんだがな。」
    「蜘蛛の巣が張っていること以外は普通だな。」
    「サンジ―、おーい!返事しろー!おれ腹減ったぞー!」

     比較的見通しの良い部屋を歩くが、人影一つ見当たらない。諦めて別の部屋へ向かおうとしていた時、突然、ゾロが何かの気配を感じ取り、閻魔の刀身を露にする。

    「! お前ら! 何か来やがるぞ!」
    「トラ男の言ってた蜘蛛か!?」

     ゾロの一声にルフィは見分色で周囲に注意を巡らせる。その傍ら、ローは煙草の一本に火を点け、キッドも能力で武器になりそうなワイヤーロープを引き寄せた。
     四人が戦闘態勢を取るとすぐに、ぺた、かち、ぺた、かち、と固い物が擦れるような音が静寂を破る。

    「この音、さっきの蜘蛛の足音じゃねぇ」
    「他に何かいんのか?」

     点滴音のような足音が響く中、暗闇の奥深くで異形の姿を持つ存在が立ち上がった。

  • 84124/02/05(月) 23:08:16

     きらり。輪郭が一瞬だけ光を放つ。

     軽い音と共に近づいてくるそれの姿が鮮明になっていく。

     やがて蛍光灯に照らされた頭が、手が、金属特有の光沢を放って四人の前に現る。


     暗がりにも関わらず、はっきりと紺色の色彩が分かる作業着に身を包んだそれは、人の形をしていた。されど、一目で目の前のそれが人ではないと理解せざるを得なかった。

     ”ソレ”の頭部は輪郭だけ残して空洞になっており、中心が凹んでいた。更に襟からは首と思しき一本の金属棒が延び、そのままハート型を形成する頭の輪郭に繋がっていた。

     袖から覗く手は棒切れのように細く、首よりは太さがあったが、それは何本もの針金が絡み合って義手の骨組みのような造りになっていたに過ぎない事が分かる。


     ソレ、と同じ形の異形が、ソレの後ろから、四人の後方から、棚越しから現れる。

     同じハート型の頭の物もいれば、スペードやクローバー、ひし形の形に歪められた物もいた。


    呪いの浸食度

    サンジ:10

    ロー:11

    キッド:9


    3人の呪いの浸食度加算(80で昏倒、100で死亡)

    サンジ:dice2d10=3 1 (4)

    ロー:dice1d10=10 (10)

    キッド:dice1d10=8 (8)

  • 85124/02/05(月) 23:23:14

    呪いの浸食度

    サンジ:14

    ロー:21

    キッド:17


    「~~~!! きっ色悪ぃ!! 何なんだよこいつら!!」

    「新手の怪異か。」

    「さっさとぶっ飛ばすぞ!」

    「待て、この怪異にもこれが効かねぇか試してぇ。」


     今にも飛び掛からんとしていたルフィを制し、ローが煙草を持った手を異形に差し出す。

     煙草を突き付けられた異形は、口が無い為か声一つ出さないものの、びくりと体を跳ねさせ、一気に後退る。

     しかし、煙草を向けられていない異形は怯えた様子を見せつつも、両手を針山のように変形させ、威嚇するように四人へ向ける。次第に、煙草を突き付けられた異形も、何かを決心したように手を固く握りしめる素振りを見せると、同じように手を剣山へ変えた。


    「ほう、蜘蛛よりは勇気があるみてぇだな。」

    「結局はやり合うしかねぇか」


    異形の数

    dice4d5=3 3 3 5 (14)

    一体の攻撃力

    dice1d44=13 (13)

  • 86124/02/05(月) 23:30:50

    異形が一斉に四人へ飛びかかる。一体だけでは歯が立たないと解っているからか、攻撃を一人に集中することにしたようだ


    異形1体の攻撃値:dice1d13=7 (7)

    対象:1d4=

    1ルフィ

    2ゾロ

    3ロー

    4キッド


    異形1体の耐久値:dice2d10=4 8 (12)

  • 87124/02/05(月) 23:31:14

    dice1d4=3 (3)

  • 88124/02/05(月) 23:36:18

    異形の総攻撃値:98

    ローの対抗力:114


    異形は最も脅威となるローから始末する事にしたようだが、妖刀、鬼哭の力も相まってなす術もなく蹴散らされる


    4人の攻撃

    ルフィ:dice1d45=11 (11)

    ゾロ: dice1d76=4 (4)

    ロー: dice1d114=81 (81)

    キッド: dice1d31=4 (4)

  • 89124/02/05(月) 23:41:22

    11+4+81+4=100

    100÷12=8


    4人の攻撃が異形を圧倒する

    顔はひしゃげ、地に転がった8体の異形は二度と起き上がる事は無かった


    現在の異形の数

    14-8=6


    異形1体の攻撃値:dice1d13=2 (2)

    対象:dice1d4=2 (2)

    1ルフィ

    2ゾロ

    3ロー

    4キッド

  • 90124/02/05(月) 23:46:14

    異形の総攻撃値:12

    ゾロの対抗力:76


     異形は先程攻撃が比較的軽かったゾロを狙う事にしたようだった。

     しかし、仲間を失った恐怖からか、攻撃の手が弱々しい。そんな蟻の噛みつきにも劣る攻撃が通用する訳がなく、閻魔一本で簡単にいなされてしまう。


    4人の攻撃

    ルフィ:dice1d45=14 (14)

    ゾロ: dice1d76=64 (64)

    ロー: dice1d114=35 (35)

    キッド: dice1d31=13 (13)

  • 91124/02/05(月) 23:54:54

    14+64+35+13=126

    126÷12=10.5


     異形の集団は四人の攻撃の下に蹂躙され、スートの形作っていた頭は見る影もなく鉄屑となった。


    「たわいも無ぇ。足止めにすらならねぇよ。」

    「タバコが効かねえのは面倒だが、それなりに牽制は出来そうではあったな。」

    「トラファルガー、こいつら資材置き場で見たアレじゃねえか?」

    「……スキャンした所、胴が人間だが末端部が針金だ。あの胸糞悪い作品は眷属のことだったんだな。」


    呪いの浸食度

    サンジ:14

    ロー:21

    キッド:17


    3人の呪いの浸食度加算(80で昏倒、100で死亡)

    サンジ:dice6d5=2 4 5 5 4 4 (24)

    ロー:dice3d5=2 2 3 (7)

    キッド:dice3d5=4 4 3 (11)

  • 92124/02/05(月) 23:59:56

    今日は一度ここまでです
    碌に更新が進まなくて申し訳ありません

  • 93二次元好きの匿名さん24/02/06(火) 09:24:07

    呪いの進行度にはまだ余裕があるとはいえドキドキする

  • 94124/02/06(火) 18:52:26

    再会します。

     戦闘はそこまで激しくはなかったものの、10億超えの賞金首4人の攻撃は凄まじく、部屋は当初とは別の方向で荒廃していた。
     周囲の棚は倒壊し、四方の壁を覆う巣は切り裂かれ、壁にまで傷が到達している。棚が倒れた事で、上側に仕舞われていた箱は殆どひっくり返され、飛び出した製品が互いに絡み合う。

    「加減したつもりだったが……派手にやっちまったな」
    「こんな場所でやり合ったんだ。多少部屋が荒れるのも無理もない」
    「あいつら煙草効かねぇのかよ。めんどくせぇな」

     キッドが能力を展開し、足場を埋める製品と棚の残骸を部屋の隅に集める。大方の製品が集積された所で、部屋を後にしようとした時。ルフィが、鉄の山に近づく。

    「おいルフィ、面倒だがアホ眉毛を探しに行くぞ。さっさと来いよ」
    「麦わら屋、これ以上探索しても何もねぇぞ」
    「んー、何かこれ、持っといた方がいい気がする」

     ルフィが山の中から何かを手に取り、三人のいる扉の方へ向かう。
     両手に抱えられていた木製の小箱が、より明度の高い広間で正体を露にした。

  • 95124/02/06(火) 19:18:21

     箱は全体がコバルトブルーに塗られ、裏以外の全ての面には銀色の枠が装飾されていた。蓋の左下には淡い紫色の桔梗の花の絵があしらわれ、その隣に『For Alen』と銀色の文字が彫られている。
     箱を開いてみると、右半分は指輪等の小さなアクセサリーを入れる為であろうクッションの入った箱が設置され、箱の左側には銀色のぜんまいが突出している。

    「あ?なんだこれ?何でこんな所にぜんまいが付いてんだ?」
    「おいおい、指輪の一つでもありゃ儲けもんだが空じゃねぇか。何もねぇんじゃ持っておく意味はねぇだろ。」
    「えー。でもなんか、連れて行って欲しそうにしてた気がしたからなぁ」
    「何だそりゃ」

     ルフィは興味半分でぜんまいを回し、手を放す。すると、電池切れのラジオのような、しゃがれた音が、曲ともとれる音の羅列を奏で始めた。

    「うおっ。こいつ、オルゴールだったのか」
    「変な音だな」
    「俺の知ってるオルゴールの音じゃねぇ。なんというか、ぶっ壊れたバイオリンみてぇだな」

     ゾロの言うように、その箱は、一般的なオルゴールの高く澄んだ金属音とは違う、ひしゃげた、あるいはゴムを弾いたような間の抜けた音を歌い上げている。しかし、音をよくよく聞いていると、キッドはある事に気づく。

    「もしやこれ、元はアメイジング・グレイスの曲だったのか……?」
    「お前がそれを知っているとはな」
    「それなりに知名度ある曲だろうが。舐めんな」
    「雨ライジンググレートだぜ?」
    「全然違ぇよ」

  • 96124/02/06(火) 19:45:58

    「元は何かの曲だという事までは察してはいたが、まさか曲名まで当てると思わなかったな。よく気づいたな、ギザ男」
    「お前までその呼び方やめろロロノア。何となくだが、調音したらその曲になるんだろうなと思ったんだよ。
     しかし、さっきとは別の意味で寒気が止まらねぇ。音が外れてんのが気持ち悪いのはオルゴールでも同じなんだな」
    「スキャンしてみた所、このオルゴールは振動板じゃなくて楽器の弦が6本使われていた。ぜんまいの回転具合に合わせて、木片が弦を抑える事で音を奏でるという仕組みのようだな。」
    「六弦ギターと同じ理論か。見かけによらず凝ってるな。おおよそ弦が折れたり劣化しているせいでこんな聞くに堪えねぇ音になっているんだろ。」
    「勘がいいな。」
    「(トラ男とギザ男が何言ってるか分かんねぇ……)ルフィ、もう気は済んだか。こんなガラクタ持ってても邪魔にな……ルフィ?」

     ゾロがルフィの顔を見ると、彼は真っ直ぐに前を見据え、その表情は能面のような無表情を張り付けていた。瞳はどこか虚ろで、その存在がどこか遠くにいるかのように感じられた。ゾロが慌てて背を叩こうとしたその時、ルフィの手からオルゴールが離れる。重力に従ってあわや床と激突しかけたそれは、ローのシャンブルズによって元の高さに戻った。

  • 97124/02/06(火) 20:12:07

    申し訳ありません
    夕飯のため暫く落ちます
    稚拙ながら丁寧に文章を書いておきます暫しお待ちください

  • 98124/02/06(火) 22:25:38

    お待たせしました
    再会します

    「ぁ゛あ、ぉ……がはっ、うぇ……」

     目の前から、男の嘔吐くような声が聞こえた。

     視界が一瞬真っ白に染まったかと思うと、景色がみるみるうちに色彩を持ち、物の輪郭を鮮明にしていく。
     蜘蛛の巣が、一つもない空間だった。
     だから、そこが自分達が最初に踏み入れた場所だった事に、すぐに気づけなかった。

    (何だよ……これ……)

     茶髪を刈り上げた男が、作業着を着た中年手前程の男を羽交い絞めにし、恰幅の良い坊主頭の男が向かい合うように立っている。
     羽交い絞めにされている男の口からは血が流れ、はっ、はっ、と白い煙を上げる。

    「おら、もう一発!」

     拳が目の前の男の鳩尾にめり込む。内臓を損壊され、ついに作業着の男の口から、血と共に吐瀉物が流れ出し、坊主頭の男の靴を濡らした。

    「きったねぇなジジイ。この靴俺の女が買ったばっかだってのに何してくれてんだよ。」

     また、灰色のコンクリートに赤が舞う。

    「あなたぁあ゛ぁああああああああああああああああっ!!!」
    「お父さあああああああああああああああああんっ!!!」

     背後から女性の、少女の悲鳴が聞こえたと思うと、「うるせえババア!」と怒声が飛んだ。
     振り向くと同時に、何かが蹴り飛ばされる音が聞こえる。

  • 99124/02/06(火) 22:26:22

     衝撃音と共に台車に叩きつけられたそれは、いや、その人は、青い髪を振り乱し、後ろ手に縛られた女性だった。その近くには、女性にそっくりな金髪の少女と、頭の悪そうな細身の男が座っている。母親と同じく、少女も後ろ手に手を縛られているようだった。
     細身の男に顎を掴まれ、少女がより一層震えだす。

    「やだ……いや………たすけて………」

     星明かりを詰めたような藍色の双眸から、一層涙が溢れ出す。それが嗜虐心を刺激したのか、三人の男はげらげら、げひゃげひゃと嗤い出した。


    「おい聞いたか? たすけて……だってよ!」
    「ひゃー、かっわぃいぃいねぇええええええ」
    「ぎゃっひゃひゃ!お腹痛いいいいいいっ!おら、腹痛めたから娘の代わりに慰謝料払えよジジイ!」

     再び、坊主頭が作業着の男を殴打する。何度も何度も何度も何度も殴打され、ついに空になった胃袋からは、透明な液体のみが吐き出される。

    「たすけて…たすけて……アレン……!」

     アレン、という言葉に、暴行を続けていた男の手が止まる。そして、三人の暴漢は目くばせすると、また下卑た笑い声を上げた。

  • 100124/02/06(火) 22:29:51

    「おいおい、このアマまだ何もわかっちゃいねぇみてぇだぜ」
    「いや、そもそもまだ種明かししてなかったんじゃね?」
    「あー。そっかそっか。知らねぇのか。」

     口調こそ軽いが、男達の目は本気だった。本気で憐れむような目つきだった。
     細身の男ががたがたに歪んだ歯をにちゃりと見せる。

    「おい嬢ちゃん、この際だから教えてやるよ。これからもっと楽しませてくれる礼にな。」
    「……え?」
    「まず確認だが、アレンって奴、ジャドル―・アレンって名前の銀髪の坊ちゃんの事言ってるか?」

     少女が頷く。作業着の男の目は、何かを察したかのように見開かれ、歯をガチガチと鳴らす。
     信じたくない、嘘だ、嘘だ。言葉にはしないものの、青一色の顔が男の全てを代弁する。

    「そいつの親父が、俺達の雇い主」

     ひゅっ……、と少女の喉が鳴る。星空のような目は光を失い、虚ろになっていく。

    「蜘蛛の加護だったけ?それの特許を独占するクソジジイを駆除しろって依頼された訳。分かる?」
    「聞いたかジジイ、ついでにご主人から伝言だぜ。」

     坊主頭の男がズボンのポケットから紙切れを取り出す。一瞬、少女にちらりと目を向けてから声高らかに内容を読み上げた。

    「"こんな弱小工場に金を出してやっているというのに、恩知らずが。どんなに革新的だろうと発信元が無名なら宝の持ち腐れだ。私達が使ってやるのだからお前達も光栄だろう"……だってよ。」
    「俺達には価値は分かんねーけど、悪いことするねぇ」
    「あ、『何でそれが』って顔してるな?まあ、俺らは詳しい事知らねーけど、アレンって坊ちゃんがあんたのとこのスパイになってたんだよ。嬢ちゃんに近づいて新製品の情報をゲットって訳。可哀想になぁ、もっと楽しい事してやるから元気出せよ」

     坊主頭の男が少女に近づき、押し倒す。
    「やめろ」と父親が叫ぶ。羽交い絞めにしていた男が後ろから頭突き、腹にナイフを差し込む。
     虚ろな目の少女は、ぴくりともせず、そのまま服に手をかけられ─────

  • 101124/02/06(火) 22:53:33

     どうして、こうなったんだろう
     どこで、間違えたんだろう

     どうして、守ってくれなかったんだろう

     ああそうか、家じゃないから守ってくれなかったんだ
     ここだって、家みたいなものなのに

     最初から、自分が守るしかなかったんだ

     もう、間違えない

     もう二度と、誰にも踏み入らせない。
     もう二度と、誰にも傷つけさせない。
     もう二度と、誰にも壊させない。

     ここはもう、前とは違う
     大事なものは、お城の奥に
     怖いものが来たら、沢山の兵隊が戦ってくれる 
     針金で出来てるから、壊れてもすぐに直せる

     好きなものだけに囲まれて
     大事なものとずっと一緒にいられる
     だから、ずっと笑っていて

     ここは優しい世界だから。

  • 102124/02/06(火) 23:07:27

     ─────ぃ
     ───────る─────ィ───

    「ルフィ!!」

     芯の強い低音がルフィの意識を現実に戻す。

    「……ぁ、あ、ゾロ……おれ…………」
    「ルフィ、おれが分かるか!?」

     鉛色の瞳が、真っ直ぐに黒い左目を射抜く。
     少しの間呆けた後、ルフィは自分の状況を思い出した。

    「ゾロ、おれ、さっきまでどこに行ってたんだ?」
    「どこも行ってやしねぇよ」
    「箱を持ってボーっと突っ立ってただけだバカザル。しかもさっき箱落としかけてたぜ」

     長い夢から醒めた気分だった。
     あれが幻とは、とても思えない。否、既に起こった現実だと、全身の細胞が確信している。

    「頭は冴えたか?」
    「おう。なぁ、お前ら」

     いつの間にか、ローの手に移っていたオルゴールを指さす。

    「やっぱこれ、持ってねぇと……いや、直してやらねぇとだめだ
     サンジが帰ってこれねぇ」
    「「「は?」」」

     三人の間の抜けた声が、広間に木霊した

  • 103124/02/06(火) 23:09:06

    呪いの浸食度

    サンジ:38

    ロー:28

    キッド:28


    3人の呪いの浸食度加算(80で昏倒、100で死亡)

    サンジ:dice4d10=7 4 2 6 (19)

    ロー:dice2d5=1 5 (6)

    キッド:dice2d5=1 4 (5)

  • 104124/02/06(火) 23:23:25

    呪いの浸食度

    サンジ:57

    ロー:34

    キッド:33


     ルフィは先程自分が幻視した内容を三人に話す。ルフィにしては珍しく話が纏っており、三人は彼の意図を簡単に理解する事が出来た。


    「だから黒足屋が帰って来ねぇって事か……あのお人好しが」

    「多分男だったらほっといてると思うが、どうしようもねぇアホだよあのまゆげは」

    「理屈は分かったが、どうやって直すんだよ。見取図があったらまだ何とかなるが、作り方知らねーぞ。」


     四人が話し合っていると、階段から足音が聞こえた


    足音の正体は

    1色合いがモノクロの少女

    2郢ァ?オ郢晢スウ郢ァ?ク邵コ?ョ郢ァ蛹サ竕ァ邵コ?ェ郢ァ繧?

    3郢ァ?オ郢晢スウ郢ァ?ク

    dice1d3=1 (1)

  • 105124/02/06(火) 23:42:03

     かつん、かつん

     足音が近づくにつれ、ゾロ、ロー、キッドの緊張が高まる。しかし、ルフィだけは悠然と構えており、まるでその正体を知っているかのようだった。

     そして、ついに階段から姿を現したのは、銀色の長髪を靡かせた十代後半位の、二年前のナミと同じ背丈程の少女だった。
     彼女は胸元に黒いリボンが付いたブラウスの上に、カーディガンを羽織り、腰には白のマーメイドスカート、足元は先の丸いパンプスで可愛らしく着飾っていた。

     奇妙なことに、少女は髪のみならず、肌、眼、口、服装に至るまで、全ての色合いがモノクロ調であり、まるで彼女自体がモノクロの世界から抜け出してきたようだった。
     星明かりを凝縮したかのような瞳はどこか物憂げで、悲しげな表情を浮かべている。

     色合いこそ違うものの、ルフィは彼女が誰であるか瞬時に理解した。

    「なぁ、お前、この箱を直したいんだけどよ、作ったんなら直し方知らねぇか?」

     ルフィの問いに、少女は首を縦に振る。そして四人の方へ数歩歩み寄り、

    「ついて来て」

     と、聞き覚えのある声で言葉を紡いだ

  • 106124/02/06(火) 23:43:03

    今日はここまでです
    一応明後日くらいには終わる予定ですが、長引くと思います
    どうか最後までお付き合い頂ければ幸いです

  • 1071@最後に少しだけ24/02/06(火) 23:44:31

    dice2d4=3 1 (4)

    dice2d4=1 1 (2)

  • 108二次元好きの匿名さん24/02/07(水) 00:01:27

    元ネタ多分察した
    スレ主の文章表現も怪異の設定も元ネタと負けず劣らずエグい……
    だがそこがいい

  • 109二次元好きの匿名さん24/02/07(水) 09:02:28

    保守

  • 110二次元好きの匿名さん24/02/07(水) 18:36:10

    流石はルフィ

  • 111124/02/07(水) 21:46:36

    お待たせしました
    再会します

    「お、おい、本当にこいつが例の女かよ」
    「記憶を見た麦わら屋が言うならそうだろう」
    「安心しろ。こいつから邪気は感じねぇ」

     少女の後に続く。階段を降りようとしたその時。
     がち、がち、ずずずっと、何かがゆっくりと動くような音と、無数の呻き声が響き渡り、ねばついた禍々しい空気が質量を増す。

    「どうしよう、あの人が…」

     顔色をより白くした少女が呟く。あの人、というのは、サンジと"彼"、両方の事を指すのだろう。自分達がオルゴールを修理している間、何が起こるかは定かではないが、敵の手中にいるだろうサンジが危険に瀕する事は確かだ。

    「サンジはどうなってるか分かるか?」
    「製品加工所で宝石だらけのまま捕まってる。このままだと、中が取られちゃう。」
    「……とうとう動き出したか」

     中が取られる……つまり、魂が抜き取られ、怪異の新しい体として乗っ取られるという事を意味しているのだろう。

    「まずい、修理している間に確実にアホコックが乗っ取られんぞ。」
    「俺と麦わら屋が時間を稼ぐ。ユースタス屋とゾロ屋は修理に行ってくれ。」
    「何でロロノアなんだよ。お前の方が手先器用だろ。」
    「戦力差を考えての事だ。さっきの奴らのような煙草だけじゃ手に負えねぇ奴もいるだろ。それに、」

     一度言葉を区切り、ローは両手を差し出す。額と頬の一部を占めていた宝石は、指や手の甲にもまばらに表れていた。ダイヤは最初に現れた部分から広がる訳ではないらしい。

  • 112124/02/07(水) 21:56:49

    「こんな手で繊細な作業は出来ねぇ。まだ刀を握れるだけ御の字だ。
     反面お前はそんな手でも磁力を操れる分安定して作業出来るだろう。」
    「……まあ、バカザルと組むよりかマシだな」

     そう言われてしまえば、キッドも納得せざるを得ない。怪異への対抗力を鑑みても、呪いを受けていないゾロが安定して戦えるだろう。

    「ルフィ、トラ男、俺達が行くまで"くたばらすな"よ。」
    「言われなくとも。」
    「サンジは任せとけ。頼んだぞ!」

     ルフィはその言葉を残し、製品加工所の扉へ向かう。その後ろに「一人で突っ走るな」とローが続く。

    「あいつらに任せとけ。もう誰も殺させねぇよ。」
    「……うん」

     製品加工所に入るルフィとローを見送り、三人は階段を下りた。

  • 113124/02/07(水) 22:26:17

     廃れた鉄製の扉を開けると、生臭い鉄の臭いが鼻を刺した。
     その匂いに混じって運ばれてくる据えた臭いと鉱物油の独特の香りに、鼻が曲がりそうになりながらも部屋に足を踏み入れる。

     蜘蛛の巣の隙間から天井から差し込む微かな光が、辛うじて景色の輪郭を映す。
     ワイヤで出来た迷宮は、最早そういう壁紙だというかのように、部屋は全てが銀一色で彩られていた。巣はどの部屋よりも厚く、その繊維が針金や機械の周りに絡みついている。
     巨大な針金の構造物が、桔梗の花を模した形状を作り出し、大小様々なそれが壁と床のみならず、機械の一部にも咲き乱れていた。

    「サンジを攫った奴! 出て来ぉぉぉおおおおおおい!!」

     ルフィの声が金属の空間から反響する。数秒後、その声に応えるかのように、天井から魘されるような声が聞こえてきた。

    「サンジ!?…………っ!!」
    「黒足屋…………!」

     二人が見上げると、顔の殆どが宝石に埋め尽くされたサンジが、空中に浮かんでいた。

  • 114124/02/07(水) 22:46:30

    「動いてねぇのに、浮いてる…………?」

     空中歩行で空を自在に歩いているのは何度も見た。しかし、今のサンジは誰がどう見ても気を失っており、ぴくりとも動いてない。ルフィが戸惑っていると、ローがある事に気づく。

    「違う、細いワイヤーで固定されてるんだ。それも、暗闇じゃ気づかねえ位細いワイヤーにな。」

     ローの言葉通り、よくよく目を凝らせば、僅かな光に照らされ、サンジの身体が、周囲が、きらきらと線形に光っているのが見えた。サンジの身体を降ろそうとルフィが手を伸ばそうとする。その時。

    どすん!

     何かが重い物が落ちる音が聞こえる。同時に、狂気、悲嘆、怒り、憎悪…………あらゆる負の感情が入り混じった気配が、音源からぶわりと広がった。

    「何だ!」
    「!あいつが...!」

     音の方を見ると、銀糸に覆われた機械の上で、八つの赤い目が光っている。

     桃色の頭髪以外の全てが銀灰色の男だった。
     額から頬にかけて縦に並んだ左右対称の瞳が、無機質な視線を二人に向ける。上半身は適度に鍛え上げられた筋肉に覆われ、下半身は何十、何百本も織り込まれた針金が蜘蛛の身体を成しているそれは、所謂アラクネのような姿をしていた。

  • 115二次元好きの匿名さん24/02/07(水) 23:02:34

    すげえめっちゃワクワクする
    やはりワンピホラーって面白い

  • 116124/02/07(水) 23:25:11

     男が八本の足を動かし、二人ににじり寄る。距離が縮まる度に、男から漂ってくるCampanulaの煙草の臭いが、濃くなっていく。
     顔に感情を一切宿さず、何も言葉を発しないその怪物は、異形特有の禍々しさと同時に、彫刻のような美しさすら感じられた
     ルフィは拳を握り込み、男に怒気を含んだ声を投げかける

    「サンジを離せ。お前なんかにおれの仲間をやるもんか!」
    「俺達の呪いも解いてもらおうか。こんな手じゃオペがままならねえ」

     呪い、という言葉に怪物は右目をひくつかせる。それから一瞬、ローの手に視線を向け、漸く口を開いた。

    「呪い、か。そんなもの、邪魔で仕方ないと思ってるよ。俺も」

     玲瓏な声が落ちる。
     思いがけない返答に、二人は面食らう。ダイヤの呪いは、この怪異がかけたものではなかったのか。工場に近づく者を、この島にいる男全てを呪ったのではないのか。

    「何が邪魔でしかない、だ。お前がかけたんだろうが。これからお前と同じ瘴気を感じやがる。とぼけてんじゃねぇ」

     ローが苛立ちを隠さぬまま責め立てる。しかし、怪異は無表情のまま、凪いだ声で答えた。

    「何故か分からないが、ダイヤにしてるのは俺自身なんだよな。いやな、俺は宝石は欲しくはないんだよ。解体する時に邪魔になるし、剝したら残った肉の部分まで宝石の塊になってしまうから参ったものだ」
    「…………もしかして、無意識で呪いを振り撒いてるのか?」
    「みたいだな。どうしても抑えがきかない。」

     呆れたような、自嘲するような、湿った声と共に、怪異は溜め息を吐いた。相変わらず無表情のままだが、遊んでいた玩具を壊してしまったような、失望感が僅かに影を作っていた

  • 117二次元好きの匿名さん24/02/07(水) 23:46:04

    このレスは削除されています

  • 118124/02/07(水) 23:51:06

    「自分でも呪いはどうしようも出来ねぇのは分かった。だが、何故黒足屋を攫った?あいつも呪いで体中宝石塗れだ。解体するのに苦労するんじゃねぇか?」

    「……こいつは解体しない」

    「何故だ?」

    「動きが普通の人間のそれじゃなかった。足が異常に発達してる。これでも武道を嗜んでたから分かる」


     そこまで続けて、怪異は歯を食いしばる。


    「アリスは、そんな男に、駆けつけて欲しかったんだろ」


     初めて、声に感情が籠った。やり場のない怒りを抑えてつけている為か、自責の念からか、震えを押し殺した音色からは、必死に自分を飼い慣らそうとしている事が分かった。

     口が動くにつれ、視線が下がっていく。


    「大好きな針金に囲まれていられる。今度こそちゃんとこの家を守ってくれる。怖い物は皆壊せる。ずっと笑っていられる。

     …………なのに、アリスは帰って来ない。こんなに優しい世界なのに。笑ってくれないんだ



     俺が、ここにいないから



     俺の身体が、ここになかったから」


     言葉が終わると同時に、再び八つの眼が二人に向かう

     翳された右手から、糸の玉が噴き出した


    それぞれゾロ目以外で回避

    ルフィ:dice1d100=68 (68)

    ロー:dice1d100=60 (60)

  • 119124/02/08(木) 00:16:27

     すんでの所で左右に分かれ、糸の弾丸避ける。行き場を失った弾丸は後方の壁に蜘蛛の巣型の穴を作る。


    「あっぶねぇ!」

    「チッ……形はどうあれ鉛玉ってか」


     無表情のまま殺意を露にし、怪異は二人に近づく。温度の無い声が二人に死を宣告する。


    「お前らは呪いを解く為に来たようだが…悪いな、もう帰すことは出来ない。怖いものは皆壊す。それがこの優しい世界の掟なんだ。

     どっちにしろ呪いで死ぬんだから、せめて楽に終わらせてやるよ。」


     殺意に呼応するかのように、ぶわり、ダイヤがローの体を侵食していく。右手のダイヤは手首の寸前で止まる。予め鬼哭を握り締めていた右手が、完全に固定された事実だけが残った


    「トラ男!」

    「構うな。寧ろ力を込めずとも刀を握れるだけプラマイゼロだ」

    「……アレン!! お前に誰も、殺させねぇ!!」


     戦いの火蓋が切って落とされた。

     怪異ことアレンが左手を上げると、それを合図に、製品保管庫で見た異形の兵隊が機械の影から現れる。


    異形の数:dice5d10=2 7 7 2 5 (23)

    異形一体の耐久値:dice2d30=9 5 (14)

    ルフィ

    1ニカる(異形dice2d20=1 18 (19) 体に対し、dice1d200=66 (66) ダメージ)

    2通常攻撃(異形dice1d20=12 (12) 体に対し、dice1d45=36 (36) ダメージ)

    dice1d2=1 (1)

    ロー(現在の煙草の本数:5本)

    1煙草一本に火を点ける(次のターン、異形兵の攻撃が軽減される)

    2攻撃:(異形dice1d20=5 (5) 体に対し、dice1d116=107 (107) ダメージ)

    dice1d2=1 (1)

    キッド達が来るまで:4

  • 120124/02/08(木) 00:28:25

    呪いの浸食度

    サンジ:57

    ロー:34

    キッド:33


    浸食度加算

    サンジ:dice3d5=2 3 1 (6)

    ロー:dice2d5=4 3 (7)

    キッド:dice2d5=3 3 (6)


    「ギア、5th!」


    ドンドトット♪ドンドトット♪


     ルフィの心臓がリズミカルに動き出す。煙がルフィの体を包み、全身が神々しい白に染まる。


    「あっひゃっひゃっひゃっ!」


     神々しき存在がほの暗い銀色の世界に現れる。太陽の神とも形容されるその姿に、アレンの眼驚きに見開かれる。異形達も彼の感情に呼応するかのように戸惑う素振りを見せた。そして、白い腕の雨に為すすべもなく消えて行った。


    現在異形兵の数:23-19=4

    異形兵一体の攻撃(煙草の煙の効果で-10補正)dice1d20=3 (3)

    アレンの行動

    1ワイヤによる攻撃ダメージ(対象は1でルフィ、2でロー:dice1d2=2 (2) )

    2

    3

  • 121124/02/08(木) 00:32:44

    しもた

    中途半端なまま送信した…orz


    呪いの浸食度

    サンジ:63

    ロー:41

    キッド:39


    アレンの行動ふり直し

    1ワイヤによる攻撃dice1d50=1 (1) ダメージ(対象は1でルフィ、2でロー:dice1d2=2 (2) )

    2仲間を呼ぶ(異形兵がdice2d20=20 3 (23) 体現れる。体力値は、先程と同じ14)

    3蜘蛛の集団を呼ぶ(dice5d10=3 3 2 9 4 (21) 体)

    dice1d3=2 (2)


    ルフィの体力:100

    ローの体力:59

  • 122124/02/08(木) 00:40:35

     主と同じ臭いの影響か、異形兵の攻撃は全て空振りに終わる。


    「…意外と強いな。けど、ここで引くわけに行かないんだよ。」


     アレンの声に応えるかのように、スートを形作る異形頭の集団が姿を現す。彼らの様子から、アレンの表情からは、嘗てとは類を見ない強さを誇る二人への怯えが見て取れた。


    現在異形兵の数:27

    ルフィの攻撃

    異形dice2d20=17 2 (19) 体に対し、dice1d200=12 (12) ダメージ

    ローの攻撃(煙草が点いているので攻撃に専念)

    異形dice1d20=12 (12) 体に対し、dice1d116=20 (20) ダメージ


    キッド達が来るまで:3

  • 123124/02/08(木) 00:48:26

     圧倒的な暴腕を振るったルフィを警戒してか、アレンによって異形兵にワイヤの膜と鎧が張られる。その甲斐もあり、ルフィに攻撃された異形は何とか受け身を取る事で攻撃を凌いだ。


    「ありゃあ?!強くなった!?」

    「流石に学習したよ。でも、虫の息か……」


    現在異形兵の数:15

    異形兵一体の攻撃(煙草の煙の効果で-10補正)dice1d50=23 (23)

    アレンの攻撃

    1ワイヤによる攻撃dice1d50=4 (4) ダメージ(対象は1でルフィ、2でロー:dice1d2=1 (1) )

    2仲間を呼ぶ(異形兵がdice2d20=17 2 (19) 体現れる。体力値は、先程と同じ14)

    3特別製の眷属を呼ぶ

    dice1d3=2 (2)


    ルフィの体力:100

    ローの体力:59


    呪いの浸食度

    サンジ:63

    ロー:41

    キッド:39


    浸食度加算

    サンジ:dice3d5=3 4 2 (9)

    ロー:dice2d5=3 1 (4)

    キッド:dice2d5=4 4 (8)

  • 124124/02/08(木) 00:51:35

    現在異形兵の数:15

    異形兵の攻撃:13ダメージ

    ルフィへの攻撃:dice8d13=3 13 4 13 1 5 6 10 (55)

    ローへの攻撃:dice7d13=13 5 1 5 6 9 13 (52)


    ルフィ、ローはそれぞれ攻撃値以上の値を出せば回避

    出せなければそのままダメージ

    ルフィ:dice1d200=192 (192)

    ロー:dice1d116=39 (39)

  • 125124/02/08(木) 01:00:41

    ローへのダメージ(殆どダイヤ化している為【攻撃】-【出目】=)52-39=13


     異形兵が手のワイヤを伸ばし、鞭のようにしならせる。

     ルフィは攻撃を避けられたものの、呪いで体の動きが鈍る為か、ローの身体は切り刻まれた。


    「ぐっ……!」

    「トラ男!」

    「…問題ねぇ、ダイヤになっているお陰で助かった。皮肉だな。脅威でしかなかった筈の呪いに救われるとは……無意識に呪ってるのは確かなようだな」


    現在異形兵の数:15+19=34

    ルフィの攻撃

    異形dice2d20=18 15 (33) 体に対し、dice1d200=120 (120) ダメージ

    ローの攻撃(煙草が点いているので攻撃に専念)

    異形dice1d20=3 (3) 体に対し、dice1d116=14 (14) ダメージ


    キッド達が来るまで:2

  • 126124/02/08(木) 01:16:30

    「うおおおおおおおおおおっ!!」

    「ラジオ、ナイフッ……!!」


     二人の攻撃が異形のトランプ兵に猛追する。

     拳は機械ごと体を砕き、電流は瘴気を焼く。ついに兵隊はアレンだけを残して、この世から消えた。


    「サンジは、お前がなる為にいるんじゃねぇ!」

    「今はお前に死なれては困るから殺しはしないが、せめて戦闘不能にはなって貰おう」


     それは、彼にとって二度目の絶望だった。否、自覚こそしなかったが、絶望したことは両手では足りない程あった。

     されど、アレンには、戦う事しか残されていなかった。二度と、壊されない為に。二度と、失わない為に


    「往生際が、悪いなぁ……その前にお前達が死ぬんだよ」


    アレンの攻撃

    1ワイヤによる攻撃dice1d50=21 (21) ダメージ(対象は1でルフィ、2でロー:dice1d2=1 (1) )

    2特別製の眷属を1体召喚(攻撃力dice5d10=6 5 3 3 4 (21) 、耐久値dice1d100=53 (53) )

    3ワイヤで拘束(対象は1でルフィ、2でロー:dice1d2=2 (2) )

    dice1d3=1 (1)


    ルフィの体力:100

    ローの体力:46

    呪いの浸食度(80で意識不明、100で死亡)

    サンジ:72

    ロー:45

    キッド:47

    浸食度加算

    サンジ:dice3d5=2 3 4 (9)

    ロー:dice2d5=2 3 (5)

    キッド:dice2d5=3 4 (7)

  • 127124/02/08(木) 01:18:10

    呪いの浸食度(80で意識不明、100で死亡)

    サンジ:81

    ロー:50

    キッド:54


    攻撃値21以上で回避

    dice1d200=173 (173)

  • 128二次元好きの匿名さん24/02/08(木) 03:52:23

    ハラハラする 保守

  • 129二次元好きの匿名さん24/02/08(木) 06:35:54

    面白くなってきた〜!!

  • 130二次元好きの匿名さん24/02/08(木) 15:54:29

    サンジがついに意識不明か…ドキドキするな

  • 131124/02/08(木) 18:31:24

    すみません寝落ちしました

    再開します


     五本の指からワイヤーが放たれる。たわんだそれは空中で方向を変え、速度を上げながらルフィへ向かう。


    「うぉああああああああっぶねぇ!!」


     空中を舞うように体を翻す。鋭利な刃物と化した糸はルフィを刻むことはなく、床に五本の爪痕を残した。思うように攻撃が当たらず、アレンは舌打ちをする。

     彼の苛立ちに呼応するかのように、禍々しく桃色に煌めくダイヤが、サンジとローの身体を蝕んでいく。

     頭上の呼吸音が勢いを殺していく。サンジの呼吸が弱っていくのが分かり、ルフィは焦り始めた。


    「まずい、サンジが!!」

    「そろそろ決めねぇとまずいな。何やってるんだあいつらは…!」


    ルフィの攻撃:dice1d200=2 (2)

    ローの攻撃:dice1d116=9 (9)

  • 132124/02/08(木) 18:33:14

    「おりゃあああああああああああっ!!」

    「Room…………切断(アンテピュート)!」


     拳がアレンの腹を貫くように刺す。

     アレンの身体はそのまま後方へ吹き飛び、そのまま機械に激突した。


    「…か、ぁ゛…………」


     致命傷には"しなかった"為か、アレンはすぐに起き上がったものの、下半身が切り取られ立ち上がる事は叶わなかった。


    「まだ……だ……まだ、死、ね………ない……」


     執念か執着か、あろうことか上半身だけで這いながら二人へ近づくアレン。絶えず口から鉱物油を垂れ流し、赤い目を更に血走らせる。


    「……そいつ、に……なって………アリス、を、…………俺み、たい、な、男……じゃなく、て」


    アレンは

    1ローによって切り刻まれ、完全に無力化される

    2虫の息

    3悪あがきをしてくる(二人にダメージ:dice1d100=55 (55) )

    dice1d3=1 (1)

  • 133124/02/08(木) 18:41:41

     振り上げた銀灰色の右手が不自然な角度に折れる。分離した右手は重力に従ってそのまま地面に落ちた。慌てて左手を上げようとするが、それも叶わず、ついにアレンの身体は下半身の無いミロのヴィーナスとなった。

    「……っ、だめ、だ。まだ、壊して、世界を、綺麗に……」

     八つの赤眼を絶望に濡らしながらも、二人を睨みつける
     文字通り首だけになろうと、彼の心が、魂が消えるまで、あがき続けるつもりなのだろう

    「呼んでるんだ、ずっと、助けて、たすけてって。
     助けられなかった俺はいらない。だけどな、俺であっても、アリスを救わなきゃ、いけなかったんだ。だから」

     八つの眼は焦点の合わない。要領の得ない言葉を呟きながら、切り傷だらけの右手を上げる。
     すると突然、ルフィが何かに気づいたかのように扉の方へ顔を向ける。そしてすぐに元の姿に戻り、アレンへ話しかけた。

    「アリスは、お前に失望した訳じゃねぇよ。ただ、お前に見えていなかったんだ。」
    「………?見えて、なかった…?」

     ルフィの言葉の意味が分からず、首を傾げる。言葉を咀嚼しようとしたその時、ガチャンと何かが蹴り飛ばされる音が部屋に反響した

    「ルフィ!出来たぞ!」

  • 134124/02/08(木) 18:43:09

    誤字

    ×切り傷だらけの右手を上げる。
    〇切り傷だらけの右手が蠢く。

  • 135124/02/08(木) 18:59:01

     蹴破られた扉から、オルゴールを抱えたゾロが部屋に入ってくる。その後ろに、顔にまで宝石が広がったキッドと、心配そうな顔のアリスが続く。

    「あそこにいるのは………アホコックか」
    「まだ、死んでない。早く、助けないと」
    「あたぼうよ」

     三人はルフィ達の方へ近づき、変わり果てた姿のアレンを目にする。アリスは彼を見て泣きそうな表情になるが、当のアレンは、彼女に気づいた様子はなく、新しく加わった男達に恨みがましい視線を向け続ける。

    「…………」
    「ぅっ……こいつか、アレンってのは」
    「ああ。だが、もう抵抗する力はねぇから安心しろ」

     ゾロはアレンの下へ近づき、オルゴールを彼の目の前に置く。蓋に書かれた自分の名に、アレンの顔から怒りは霧散し、きょとんとした表情を浮かべた。

    「おい蜘蛛野郎、これがアリスがお前を呼んでいた理由だ」

     その言葉と同時に、ゾロはオルゴールの蓋を開く。
     楔を失った歯車が回りだし、澄んだ弦楽器の音が箱から溢れ出した。

  • 136124/02/08(木) 19:20:39

     ぽろんぽろん、ころんころん

     ピアノとアコースティックギターの中間のような音がアメイジング・グレイスを奏でる。四人が製品保管庫で聴いたものとは一転して、一切の狂いもない旋律は、剣山のような温度の無い心に沁み込んでいく。

    「……これ、アリスが…好きな……」

     今にも消えそうな声が落ちる。彼の胸中を占めるのは生前の日々への思いか、憧憬か。何であれど、最早アレンには殺意はなかった

    「アレン」

     ふわり、右肩をぬるいものが包む。
     声の方に目を向けても何もいない。しかし、音が繰り返される度、そこにいた者の姿が鮮明に浮かび、白黒の身体が色彩を得る。やがて焦点を結んだその姿に、アレンの全ての眼から透明の液体が流れた

    「ありす」

  • 137124/02/08(木) 19:45:11

     眼の中を、頬を伝うそれに、アレンは戸惑う

    「あ、ああ…?……おれ…どうして………」

     どれだけ目に意識を集中しても、涙は絶えず溢れ続ける。それが情けなくて、自分らしくなくて、顔を背けようとするが、細い指がそれを制止する。

    「とっても、遅くなっちゃった」

     とめどなく溢れる彼の涙を、その手で優しく拭うアリス。彼女も星の海から塩水を溢れさせているが、自分のそれを拭う事はしない

    「あの時ね、最初にあたしが『おめでとう』って言いたかったの。
     誰だって、大好きな人の誕生日は最初にお祝いしたいでしょ。」

     くしゃくしゃな笑顔だった。
     自分達が死んでしまったことへの悔しさと、やり切ったような爽快感と、愛する者に触れられる喜びが混ざり合った顔で、アリスは笑っていた

    「これね、アレンに笑って欲しくて、喜んで欲しくて、一生懸命頑張って作ったの。
     いつも、ご機嫌な時に鼻歌で歌ってるの、聞いてたから。アレンも、この曲が大好きになったの、知ってるよ。
     大好きな人のことは、何でも分かるの」

     大好きな人。その言葉に、アレンは一瞬だけ呆然とした表情を受かべる。言葉の意味を噛み砕くと、自頭の良い彼は全てを理解する。

  • 138124/02/08(木) 20:10:07

    「アリス、もしかして、この為にずっと俺を呼んでたのか? 助けを、望んでたんじゃないのか?」
    「…助けて欲しかったのも事実だよ。……痛くて、気持ち悪くて、死んだ方がいいくらい苦しかった。もう、あたしもアレンも死んじゃったけど」

     吹っ切れたような声でそう締めくくると、一度だけ鼻をすすり、アリスは続ける。

    「最初に起きた時、全部が夢だったと思ったの。でも、アレンが怪物になって、たくさん殺して……何度呼びかけても気づいてくれないし、物が持てなくなってたから、オルゴールも直せなかったし………あの時以上に、辛いことがあるなんて思わなかった」

     ふるりとアレンの体が震える。ぐっ、と歯を食いしばり、沈んだ声で懺悔とも質問ともとれる言葉を呟く。

    「………俺が、憎いよな。俺のせいで、社長も、奥さんも、お前も、皆殺されて、望んでもないのに、会社をこんな風にして」

     アリスは少しだけ考え込んだ素振りを見せると、呆れたようにため息を吐く。

    「アレンって、そういうとこあるよね。自分が悪くないのに、何でもかんでも自分のせいだって背負い込んでさぁ。」
    「けど、俺が電伝虫で、蜘蛛の加護の事を話してなければ、そもそも、俺がアリスと会わなければ、こんなことに」
    「そんなたらればはもう言っても仕方ないでしょ。……死んでからだけど、分かったんだよ。アレンがあたし達を嵌めたんじゃないって。それより『俺がアリスと会わなければ』って何。あんたあたしと会いたくなかったってこと?」
    「え、いやそんなつもりじゃ」
    「分かってるって。確かにアレンと出会わなかったら、あたし達は生きていられたと思うよ。
     でも、あたし、アレンと会ったこと、一緒に過ごした事、後悔してないの
     それだけ、今も大好きなんだよ」

  • 139124/02/08(木) 20:28:52

     桃色の頭髪が色を失っていく。あちこちに散らばる身体が光を放ち、アリスの側に収束する。
     そして、光が失われた場所にいたのは、銀髪を靡かせ、黒いスーツに身を包む、あどけなさの残る青年だった。顔には八つの眼は見られず、残った二つの青い瞳が絶えず涙を溢れさせていた

    「なあ、アリス。おれ、生きてる時はお前の側にいたら、なんとなく、心が落ち着いたんだ。けど、それだけだった」
    「…そっか」
    「…アリスの身体が冷たくなってから、生きる意味が分からなくなったんだ」
    「うん」
    「だからあの時死んだのに、何故か、また、ここに、いて……」
    「うん」
    「ずっとアリスの声で俺を、助けを呼ぶ声が聞こえて…アリスを、二度と危険に晒させない事だけ考えてた」
    「……うん」

  • 140124/02/08(木) 20:37:07

    「……俺は、今でも自分の感情が全部分からないけど、アリスのこと、大切なんだと、思う。
     多分、それが、アリスの言う、大好き、なんだろうな。」
    「ふふ、あたしも嬉しい」
    「俺の為に、オルゴール、作ってくれて、ありがとう。何もしてやれなかったのに、俺は、アリスに貰ってばっかりだな」
    「そんなの、あたしが決める事だよ。アレンだって、沢山の事をあたしにしてくれた」

     クリーム色の手が、無骨な手を握る。

    「ねぇ、アレン。納得できないなら、一つおねだりしていい?」
    「何だ?」
    「生まれ変わってもあたしに会って、ずっと一緒にいてくれる?」

  • 141124/02/08(木) 20:46:12

     彼は、初めて心の底から笑った。
     泣きながらも、心底嬉しそうに笑って。
     目を真っ赤に腫らしながら、穏やかな笑顔で。

    「何年かかっても、良ければ。」

     アリスの手を握り返し、どちらともなく額を合わせた

  • 142124/02/08(木) 20:54:14

    『お前如きが、私に立てつくな!』

     ああ、これは夢だ。
     一目でそう分かった。

     さっきまで何をしていたか思い出せない。
     けど、今見ているのは、いまこうやって見知らぬ男に殴られて蹴られてクローゼットに閉じ込められたのは、夢だというのは分かった。

     体を見たらいつもより一回り小さくて、過去の夢を見ているんだなって思った。
     でも、おれの過去じゃない。兄弟がいないし、閉じ込められたのもクローゼットなんてぬくい場所じゃなくて、どこもかしこも冷たい石と鉄格子に囲まれた牢獄だった。
     だから、これはおれじゃない誰かの過去なんだと思う。

     クローゼットから出して貰って、暫く眠ったまま過ごしていたら、おれが入ってる誰かは、「アレン」って呼ばれてると知った

  • 143124/02/09(金) 00:12:51

     明晰夢だと分かっているからには、いつでも目を覚ますことは出来る。
     だが、何故かおれはアレンの過去を、最後まで見なきゃならねぇ気がした。

     だから、アレンがボロボロになっていくのを、ぼんやり眺めていた

     少しでも言葉遣いを間違えたら
     勉強の集中が途切れたら
     マナーが正しくなければ
     父親の思い通りに振る舞わなければ
     ほんの僅かでも感情を出せば

     殴られて蹴られて鞭で叩かれてナイフで肌を刻まれて
     ボロボロになっていくのを

     ただただ、眺めていた

  • 144124/02/09(金) 00:22:34

     いつしかアレンは泣かなくなった。
     助けを求めても、無駄だから。誰一人、自分を護る人はいないから。
     自分も含めて皆、島の産業の権利の大部分を握る父の言いなりだから。
     ジャドル―家の令息らしく、武道も習っていたお陰で、拳も足も鞭の雨も、痛い所は避けられるようになったから。

     泣かないどころか、感情を出さなくなっていた。
     折檻を受けても、女性にどんな美辞麗句を並べ立てられても、どんな美味い物を食っても、母親が死んでも、使用人に陰口をわざと聞こえるように言われても。
     眉一つ動かさず、何の感情も示さなかった。

     ひたすらに、無機質。
     それが、ジャドル―・アレンという男の性質となった。

     キャロウェイ・アリスという女の子に出会うまでは。

  • 145124/02/09(金) 00:45:02

     ある日、アレンは父親にとあるワイヤー工場で働くように言われた。
     曰く、上に立つ者なら、現場で実際に働いて下にいる者の仕事を学習しろ、という事だ。クソ親父は家族や部下に対しては下劣極まりないが、経営が絡むとまともになるらしい。

     アレンは父親に言われた通り、工場に向かって歩いていると、金髪の女の子が数人のゴロツキに絡まれていた。
     周囲はゴロツキを恐れる者、面倒事を避けようとする者、面白半分で行く末を見物する者ばかりで、誰も女の子を助けようとしない。
     だが、アレンは違った。
     理由こそ「通行の邪魔だった」という自分本位なものだが、本当にそれだけなら、ゴロツキ共の両腕をミンチにしないと思う。

     何はともあれ、ゴロツキがいなくなった後、アレンはアリスちゃんに工場までの道案内を頼んだ。というのも、アリスちゃんは件の工場長の娘だった。
     彼女自身も家業のワイヤー作りが好きで、工場で働いているという。
     父親が根回ししていたのか、アリスちゃんを助けたからか定かじゃないが、アレンはすぐに工場で働く事になった。

     その教育係には、当然のようにアリスちゃんが就く事になった。
     孤立無援の中で助けられたからか、元から人懐っこい気質だからか、一言で言えば、アリスちゃんはアレンに懐いた。
     使用人には「機械みたいで気味が悪い」だの「目がまともな人間のそれじゃない」だの散々言われて、実際不愛想で冷徹な雰囲気を纏うアレンに、毎日積極的に話しかけた。

     そんな日々が続き、最初はただ指示を受け入れ、一方的に話を聞くだけだったアレンも、徐々に自分の事を話すようになっていった。

  • 146124/02/09(金) 00:57:33

     アリスちゃんは無表情がデフォルトのアレンに笑い方を教えてあげていた

    「アレン、笑い方わかる?」
    「分からない。というかいらない」
    「何言ってんのさ。笑ったら相手も楽しくて嬉しい気分になるんだよ。やってみて、ほら」
    「………こうか?」
    「オ゛ッフ……思ったより精神的ブラクラ…………でも、ちゃんと表情金は動くんだね」
    「どういう事だよ」

     仕事に慣れて来たら針金の作り方を教えることもあった

    「この機械で、溶かした資材を引き延ばして、糸にするの」
    「あんな鉄の塊から、こんな細い物が出来るんだな」
    「硬くて柔らかいから、加工しやすいだけじゃなくて、命綱にも出来るんだよ。今うちで開発している新製品がそうなんだ。」
    「合金素材のやつか?」
    「そう!アレンって頭いいからすぐに色んな事覚えられるね!」

     たまに、ペットを連れてきては和ませ(?)ることもあった

    「あ、またフィルが服に入ってた」
    「フィル?」
    「ペットの蜘蛛だよ!フィルはハエトリグモなの」
    「!?!?!?!?!?」
    「アレン?どしたの?今までに見ないくらい凄い顔だよ?」
    「そ、そんな生理的嫌悪感を覚える生物をペットにしてるのか?」
    「もー、何さ、その言いよう。蜘蛛は家を護る守り神なんだよ。」
    「守り神?そんな小虫が?」
    「よく言うでしょ。蜘蛛は害虫から家を護る益虫だって。しかもフィルは賢いの!」

  • 147124/02/09(金) 01:18:00

     アリスちゃんは、見返りのない愛を、肉親の代わりに注いでくれていた。
     けど、アレンにはどう返したらいいか分からなかった。感情が麻痺していたというのもあるけど、そもそも愛する事も愛される事も教えられなかったから。

    「アリス、フィルは本当に賢いんだな。巣で"ガンバレ"って書いた」
    「でしょー……!?」
    「アリス?」
    「アレンが笑ったぁぁぁあああああ!」
    「えっ、ちょ、近」

     だが、アレンは自然に笑えるようになるくらいには、感情を露にするようになっていってた。
     アリスちゃんと関わるようになってから、本当のアレンは戻ってきてたのかもしれない。

     けど、あのクソ親父が、積み上げてきた全部を踏み躙りやがった




     事が起こる前日、アレンとアリスは電伝虫で話し合っていた。
     数々の実験を得てようやく正式に新製品の命綱が完成した事。
     命綱こと「蜘蛛の加護」を、安価で世界中に卸すつもりだという事。
     そして、次の日の朝、工場に来て欲しいという事。

     次の日は休業日だったけど、アリスちゃんがどうしても二人で会って話したくて、その約束を取り付けたそうだ

  • 148124/02/09(金) 01:42:30

     それから次の日、約束の時間の15分前に工場に着くと、静寂と血だらけのキャロウェイ一家がそこで待ち受けていた。

     社長は腹から胸にかけて鋭利な刃物で裂かれ、夫人は何度も殴打された為か頭の原型がなくなっていた。
     そしてアリスは、首を真っ赤にして、いいように汚された跡があった。

    「おいアリス。どうした」

     生の気配のない両親は兎も角、アリスだけはまだ生きていたと思っていた。信じていた。

    「こんな硬くて冷たい所で寝たら風邪ひくぞ。」

     でも、抱きかかえたアリスの身体は、もう冷たくなっていた。

    「ほら、こんなに冷えてるじゃないか。女の子は冷えが天敵だって夫人も言ってただろ。」

     命ごと潰された喉からは呼吸音すら返って来ない。もう二度と、アリスのあの弾ける笑顔を見る事も、鈴を転がすような声を聞くこともないと悟った瞬間、俺の胸の辺りが握り潰されたような気がした。

    「どうしたんだよ、アリス、なあ。いつもみたいに、にこにこ笑っとけよ」

     ぐにゃり、世界が歪む。噛み締めた奥歯が小さく音を発す。
     気が遠くなりかけたその時、前方からいくつもの足音が聞こえて、顔を上げた。

    「昇進、おめでとう。アレン」

     父親と、その後ろに頭の悪そうな肉塊が三つ並んでいた。

  • 149二次元好きの匿名さん24/02/09(金) 02:18:07

    このレスは削除されています

  • 150124/02/09(金) 02:19:03

    「昇進って、何のことですか」

     辛うじてすぐに質問を吐き出すと、父親はべらべらと唾を飛ばしながらしゃべくり出す。

    「もうこんなオンボロ工場にお前が学ぶ事など、何もないだろう。
     よって、我が社の新事業の監督を、お前に任せる事にした。」
    「おめでとうございやす、坊ちゃん。」
    「俺らもあんたの元で働くことになってるんで、よろしくな」

     後ろの肉塊も父親に続く。何を、言っているんだろう。こいつらは、何を、言って

    「しかし、オンボロ工場にしては意外と設備は整っているのだな。取り潰すには勿体ないな、ふむ…………そうだ、この工場を改装してお前に任せよう。ここで二年も働いていただけあって詳しいだろう?丁度アレの製造も出来て一石二鳥じゃないか。」

     ああ、だから「昇進」扱いか。でも、ここアリスのお父さんの会社だろ。本人はもう動かなくなったけど、何で所有権が俺にあるんだよ。何で、殺したんだよ。
     俺の疑問を見透かしたように目の前の男が嗤う。

    「蜘蛛の加護…弱小企業にしては素晴らしい物を発明してくれた。
     だが、ここで汚物のようにくたばってるその男は!こんな素晴らしい発明を販売を我が社に委ねなかったのみならず!あろうことかゴミのような値段で売り払おうなどという愚行に走ろうとしたのだ!!」

     突然、父親が眼を剥いて唾を吐きながら怒鳴り散らす。物に当たりながら猿のように喚いてるのを見るのは、久しぶりな気がした。

    「分かるか息子よ!?この腹立たしいまでの愚かしさが!無名の工場が炉端で商売するだけでも時間と発想の無駄であるのに、巨万の富を築く機会までをふいにしたのだぞ!?
     キャロウェイ……私に逆らってまでゴミ共に媚び諂いやがってぇぇえぇえぇえ!
     …………だが」

     狂乱したと思えば、突然静まり返る。そして、にちゃりと濁った眼が俺に向かう。

    「お前は、チャンスをくれた。そこの油ぎった娘が、わざわざ休日にお前だけを呼び出してくれたお陰でなぁ。」

  • 151124/02/09(金) 02:43:48

     …………ああ、ああ。そうか。
     全部、こいつの筋書通りってことか。

     生まれた時から親子をやっていた俺には分かった。
     こいつは最初から、蜘蛛の加護の利権を独占するつもりだった。俺をこの工場で働かせたのは、息子である俺に工場の様子を探らせて、蜘蛛の加護の情報を抜き取らせるつもりだったんだ。そして、気に入らない社長を家族諸共殺すつもりだったんだ。

     俺が、ここに来なければ、社長夫妻は、アリスは、生きてられたんだ。

    「アレン、どこへ行く」

     立ち上がって、資材保管庫の扉へ向かうと、嫌味ったらしい顔の豚が睨みつけてくる。

    「改装するんだってなら、俺の荷物だけでも取りに行っておきたい。」

     そう答えれば、豚は「5分で戻ってこい」と快く送り出した。そのまま資材置き場に入った俺は、薬品が入った戸棚を漁る。例の物を見つけると、持ち歩いてた護身用のナイフにそれを塗りたくって、部屋を後にする。
     そして待ち構えていた肉塊達が何かを言い出すよりも先に、俺は、それらの腹や首辺りに、ナイフを滑らせた。

     フッ化水素酸────所謂フッ酸は表面処理に使われる劇薬だ。それが人の身体に触れると、どうなるか、実際に見た事はなかったが家で勉強した事がある。

    「い……いでぇ゛っ!!!い゛でぇぇぇぇええええええええ!!」
    「はら゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!」
    「じ、ジぬっ、じん゛じまぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!」

     まさに、阿鼻叫喚。肉塊は痛みから逃れようと、どんどん中身を絞り出す。

     なぁ、父さん。俺、もう分からないんだ。アリスが動かなくなってから、何も。
     あんたがどんな顔だったか、どんな声だったのか
     針金がどんな色をしてるか、どんな風に笑うのか
     この世界がある意味も、おれが生きてる意味も
     アリスはもう息してないのに、お前が今こうやって、臭い息を吐き出してる理由も

  • 152124/02/09(金) 03:04:25

     やがて耳障りな絶叫が止まり、静寂が戻る。
     もう、この世界で俺が生きてる意味がないから、そのまま俺も死んだ……筈だった。

     気が付いたら俺は、また工場の中に立っていた。
     壊れた肉塊もアリス達社長一家の死体も無かったけど、工場は完全に放棄されていた事が分かる程荒廃していた。
     ふと、何故かフィルの事が頭を過ぎる。蜘蛛は家の守り神なのに、何で守らなかったんだろう。いや、虫一匹に荷が重いのは重々承知してはいる。
     だが、アリスは言っていた。「この工場は、あたしの家みたいな場所だよ」って。だったら、どうして守ってやれなかったんだ?アリス達が、あんなごみみたいに壊されるようなことをしたのか?
     どうして、俺だけが生きてるんだ?

    「たすけて」「おねがい」「はやくきて」「たすけて」「きて」「いやだ」「どうして」「ゆるさない」「たすけて」「きて」「おねがい」

     何度も何度も何度も、アリスの悲鳴が頭の中で繰り返される。そうか、そうだよな。憎いよな
     …………あ、そうか。ここでやり直せってことか。
     カミサマなんて信じちゃいないけど、俺が生き返ったってことは、いずれアリスも生き返るってことなんだよな

     だったら、アリスが安心して暮らせる家を用意しないとな
     俺がこの家の蜘蛛になって、アリスを護らないと
     アリスを脅かす害虫は全部壊して、ただ捨てるだけじゃ勿体ないから兵隊として働いて貰おう
     アリスの大好きな針金と蜘蛛で一杯にして、大事なものを全部このお城の奥に隠して
     優しい世界が出来たら、アリスは帰ってきてくれるよな
     また、笑ってくれるよな

     俺、頑張るよ。アリス。一生許さなくていいから、どうか、

     また、笑っててくれないか

  • 153124/02/09(金) 03:16:30

    ”だめだよ”
    "ごめんな"

    ”あなたは彼じゃない”
    "巻き込んですまなかった"

    ”皆貴方を待ってるよ”
    "皆お前の為に戦った"

    ”こっちに来ちゃだめ”
    "早く戻ってやれ"

    ”もう全部終わったの”
    "もう何もしないよ"

    ”"ヴィンスモーク・サンジ"”

     二つの声が重なった瞬間、電流に蹴り出されるようにサンジの意識は現実へ飛び込んだ

  • 154124/02/09(金) 03:30:04

     身体に叩き込まれるような衝撃と共に五感が覚醒する。
     最初に視界が四人の男を捉え、その内二人が自分の仲間であると理解する。自分の側にいたルフィが一瞬目を見開くと、「にしし」と満面の笑みを浮かべた

    「お帰り!サンジ!」
    「目ェ覚めたかアホコック」
    「手間かけさせやがって…」

     元気よく挨拶したルフィに続き、どこか苦い顔の剣士とげんなりした顔のキッドが声をかける。己が気を失うまでの経緯を思い出したサンジは「悪かった」と謝罪しつつ、不思議と軽くなった感覚と状況に戸惑う。
     それもその筈、自分が今いるのは、蜘蛛糸に塗れた薄暗い工場ではなく、暖かな壁紙に囲まれ、朝日の光のさす部屋の、ベッドの中だった。
     困惑するサンジを見かねて、ローが声をかけてくる。

    「黒足屋、右手を見てみろ」

     言われるがままに袖をまくる。そして、あの美しくも禍々しい輝きを放つダイヤが姿を消した事に歓喜した

    「き、消えてる………!これで……あ、じゃあ、ローとキッドも?」
    「おう」
    「全部、終わったぞ」

     ローの額とキッドの左腕は、元の肌色を取り戻していた

  • 155124/02/09(金) 03:37:27

    本日はここまでです
    明日夜、後日談と解説をしていく予定です

  • 156二次元好きの匿名さん24/02/09(金) 08:16:14

    お疲れ様でした!!良かったね~!戻ってこれて!!

  • 157二次元好きの匿名さん24/02/09(金) 12:25:10

    ほしゅ

  • 158二次元好きの匿名さん24/02/09(金) 13:51:44

    ついさっき見つけて一気読みしてしまった

  • 159124/02/09(金) 19:18:34

    >>158

    ありがとうございます


     ローは兎も角、キッドはワノ国で共闘して以来そこまで関わらなかった。しかし、同じ死線を二度も潜り抜けた戦友が生きて帰還出来た事に安堵する。もう、完全に呪いから解放されたのか。改めて自分達が死の危機を乗り越えたという事実を噛み締めると同時に、ある事を思い出す。


    「なぁ、お前ら、アレンって奴に会ったか?」


     その名前に四人はぎょっとした顔を同時にサンジへ向ける。


    「黒足、お前いつそれを……?」

    「いや、その、ただの夢ならいいんだけどよ……」


     サンジは自分の見た夢の事について説明する。アレンという男の生涯、そして工場での悲劇、死んだ後に起こった出来事を、順を追って話していく度、四人は時折顔を見合わせたり、少しだけげんなりした表情になったり、呆れたような、やり切れなさそうな反応を見せた。

     やがて話が終わると、ローは深い溜息を吐き、ルフィに向き直る。


    「……麦わら屋、お前の思った以上に深刻な状況だったようだな」

    「ああ。殆ど"取られかけてた"な」

    「え、え?ルフィ、どういう事だ?というかあの工場で一体何が……」

    「そうだな、まずはお前が消えてからの事を説明するか」


     ローは工場を脱出するまでの事を、ありのまま、起きた事と忠実に説明する。サンジは、自分の見た夢が正しくアレンの過去であった事を理解し、アレンとアリスが報われた事に安堵する。そして、自分が足を引っ張ったのみならず、遂にはナミとの約束を破る事になった事に打ちひしがれ、布の饅頭と化す。


    「本当にすまない……いっそ殺してくれ……」

    「気にすんなよ。ちゃんと帰ってきたんならそれでいいし、ナミも約束の埋め合わせは回復してからでいいって言ってたぞ」

    「呪われたのはどうしようもねぇが、女の甘言にホイホイ付いて行くからだろ腑抜けが」

    「全くだな」

    「…お前の煙草のお陰で死なずに済んだ。それで帳消しにしてやる」

    「えっ、おれの煙草そんなにすげぇの……?いや、元は前に寄った島のくじ引きでルフィが貰った奴なんだが」

    「最初の部屋で蜘蛛の大群がいただろう。あれを煙草で蹴散らしていなければ俺達はあの時点で死んでいた」

  • 160124/02/09(金) 19:19:34

    「……え????????」
    「ぐるまゆのようにダイヤの呪いを受けた奴…晶者(しょうじゃ)とでも言おうか。その唱者が呪いの原因である怪異や眷属を破壊するのは自殺行為だったんだよ」

     ヒュっ……とサンジの喉が鳴る。ガバッと布団を跳ね飛ばしながら飛び起き「マジで……?」と青い顔で尋ねると、ゾロは首を縦に振る。

    「蜘蛛の他に、頭部と手足が針金で出来た眷属がいた。そいつらは煙草の臭いを恐れはしたものの、引かなかったから戦わざるを得なかったんだが……トラ男とギザ男があいつらを倒す度に呪いの進み具合が加速しやがった。眷属だったから即死はしなかったんだろうが…最初に蜘蛛の大群を潰していたら、三つのでけぇダイヤの塊が転がる事になってただろうな」
    「えっえっえっえっえっ何でそうなんだよ。何で怪異を潰したらその分呪われる事になるんだ?」
    「形はどうあれ、呪いの原動力は術者の負の感情だ。アレンは無意識かつ無差別に呪いを振り撒いてやがった。要するに赤の他人に逆恨みしてやがったんだ。
     で、逆恨みしてる相手が自分に向かって危害を加えたらどうすると思う。」
    「……先に喧嘩吹っ掛けてきたのはそっちだが、更に恨むだろうな」
    「そういう事だ。その恨みが呪いを増幅させ、終いにゃ取り殺 すっつー訳だ。」
    「けどよ、普通は元凶の怪異を倒せば終わりじゃねぇのか?いや、アリスちゃんの望みが叶ったのはよかったけどよ。」
    「それで済むのは呪いなんて姑息な手段を使わねぇ奴だけだ。
     アレンの身体は呪いで満たされた状態だった。本人に怨まれてる晶者が無闇に破壊すりゃあ、弾け飛んだ呪いが降りかかって結局お釈迦になりかねねぇ。
     おれとルフィは最初から呪われてなかったからか、最後まで何もなかったが、それでも破壊した時に何が起こるか分かんねぇ。呪いを跳ね返せる力があるってんなら別だが、なるべく避けた方が良かったんだ。」
    「ポテチパーン理論だな!」
    「それで例えるのもどうかと思うが一番しっくり来るんだよな」

  • 161124/02/09(金) 19:21:04

    「それに、もし破壊したらサンジが帰ってこれないまま、アレンが消滅するかもしれなかったからな」
    「は?……待て、ルフィ、帰ってこれねぇって、それどういう事だ」
    「黒足屋、お前はアレンの過去の夢を見たと言ったな。その上死後の出来事すら追体験したと」
    「あ、ああ。」
    「お前の魂の一部がアレンの霊体の中にいたんだ。記憶を見たのはその影響だろう。あいつはお前の魂を取り込んで、空っぽになったガワを乗っ取ろうとしてやがった。一言で言えば、アレンは黒足屋の魂を消化しかけてたんだ」
    「いや、え?……おれ、ただ寝てただけじゃ」
    「思い当たる事はねぇか。例えば、夢の中で視点が変わったり、自分が『アリスを失った』と感じたり」
    「あ」

     ローの言葉に、記憶を反芻する。言われてみれば、時間が経つにつれて、アリスとの距離が徐々に近づいていった。極めつけは、アリスが死んだあの日、【おれ】は【おれ】じゃなくなっていた。失った体温も、肉を裂く感覚も、喉を突きさすナイフの感触も、あれは全部、過去のものだと思って─────

    「うっ…………」

     両手で口を抑える。今まで気づかなかったのが、恐怖を感じなかったのが信じられない。今でもあの感覚ははっきりと思い出せる。薄くなった薬品が肉を焼き、じわじわと蝕まれるような痛みと共に鼓動が消えていく感覚。死に絡めとられていく感覚が、夢の中で起きたと思えなくて、それは、あまりにも

    「悪い、思った以上の目に遭ったようだな」
    「クソっ、クソっ……何で、おれなんだよ…………」
    「早く動ける体とアリスとお揃いの金髪が欲しかったんだってよ。」

     ルフィの声が遠くに感じる。
     理解はしていた。けれど、納得しろと言われても無理な話だった。

  • 162124/02/09(金) 19:24:32

     分かる。分かっているさ。あいつは何度も何度も後悔して、地獄のようなたらればを繰り返していたから。おれが、俺が、何度も望んだから。

     より早く、アリスの下に駆けつけれる体が欲しい
     眠らなくても平気な体が欲しい
     死の原因を想起させる白髪を捨てて、太陽を思わせる金髪が欲しい
     真っ当に人を愛せる心が欲しい

     早く動ければ、遅くに起きても死ぬまでには間に合ったかもしれないから
     もっと早く起きていれば悲劇を防げたかもしれないから
     父親と違う髪色なら、アリスが怖がらないと思ったから
     愛された分だけ愛を返せるから

     死んでも尚、そんな事を望んでしまうくらい後悔していた

     けどなアレン、お前だから、アリスは好きになったんだよ

    「お前が自分を捨てたら、意味がねぇだろうが」

     サンジの呟きが春風に溶ける。
     四人は何も言わないまま、ただただ、サンジを見つめていた

  • 163124/02/09(金) 21:10:34
    ある新聞記者によるインタビュー記録記者「こんばんは。シオノさん。Gerddlew社の不祥事を告発なさった貴方に、50年前の、アラクナイト針金工場での事件について伺いたいのですが、お聞かせ願えますか?」

    シオノ「分かりました………言われてみれば、もう、50年も経っていたのですね。

     僕からすれば、まるで昨日か一昨日のような出来事です。」

    記者「では最初に、事件当日、貴方は何をしていましたか?」

    シオノ「あの日は予定通り、機械のメンテナンスをする為いつも通りに出勤したんです。」

    記者「ええ」

    シオノ「それで、工場に近づくたびに、こう、獣が食い荒らしたような据えた血の臭いと…………なんというか、男性が『そういうこと』をした時と同じような臭いがしてきて、嫌な予感がして早足で向かいました」

    記者「まあ、そうですよね」

    シオノ「玄関に着いて、目を疑いました。ええ、ええ。いっそ夢だと思いましたよ。夢であって欲しかったです

    社長の、奥様の無残な死体が、腸が飛び出た見知らぬ男達の残骸が、首を搔きむしった体制のジャドル―・ジャークがそこに転がってたんですから」

    記者「…………」

    シオノ「けど、それ以上の地獄が待ってたんです。

     アレン……彼は、ジャドル―家の御…
    telegra.ph
  • 164124/02/09(金) 21:40:06
    設定・ジャドル―・アレン

    享年:20歳

    概要:キャロウェイ財閥の御曹司

     父親から過度な教育を受け、無感情な人間に育つ。

     ワイヤー工場の社長令嬢、キャロウェイ・アリスと出会い、徐々に感情を露にするようになるも、アレンの父、ジャドル―・エリセイの陰謀によりアリスが殺害された事で精神崩壊

     キャロウェイ一家を殺害した暴漢と父親を殺害した後、アリスの側で自殺。命尽きるまで「アメイジング・グレイス」を子守歌のように歌っていた。自分がアメイジング・グレイスを歌うと、アリスが楽しそうな顔をしてくれたから。

     死後、怪異となったアレンがアラクネのような姿になっているのは、自分が"家"を護る蜘蛛でいようとしたから


    ・キャロウェイ・アリス

    享年:17歳

    概要:ワイヤー製造を手掛けるアラクナイト針金工場の社長令嬢。明朗闊達な性格で、心が摩耗していたアレンの救いとなっていた。

    家業の針金製造に加え、針金で物を作る事が好き。蜘蛛をペットにしたり、ヘアピンと針金で簡易ギターを作って演奏したりと、普通の少女とどこか感性がズレている。蜘蛛をペットにしているのは、蜘蛛は伝承の通り家を護る生き物だと信じているから。ちなみに彼女の誕生花は桔梗。…
    telegra.ph

    これにて、この話は完結です

    追加して欲しい設定があったり、質問があればレス数の許す限り応えようと思います

  • 165二次元好きの匿名さん24/02/09(金) 21:47:00

    元ネタの最初と最後のはなんとなくそうだと思ってたけど真ん中のは知らなかった

  • 166二次元好きの匿名さん24/02/09(金) 22:33:22

    お疲れ
    怪異の設定、未練と生前の思い出に塗れてる辺り某鬼殺しの三みたいな奴だったな

  • 167二次元好きの匿名さん24/02/10(土) 01:28:58

    元ネタにアレがあるってことは…サンジとローとキッドは印人状態だったのかな?
    でサンジは章ボス怪異戦での相棒枠みたいな感じ?

  • 168二次元好きの匿名さん24/02/10(土) 09:37:03

    設定読んだら1章と書いてたんだけど
    もしかして、続編ある?

  • 169124/02/10(土) 13:29:16

    >>167

    そんな感じですね。但しアレンを破壊した場合は晶者組は全員死亡します


    >>168

    全員生き残ったのであります^^

    お楽しみに^^

  • 170二次元好きの匿名さん24/02/10(土) 19:22:57

    元ネタみたく死亡ルートあった事に戦慄してる
    ちなみに死亡ルートの条件って具体的にどんなの?

  • 171124/02/10(土) 22:39:25

    >>170

    死亡フラグは至る所にありました


     まず、最初の蜘蛛の大群のシーン>>44で、蜘蛛がサンジの煙草を恐れる事に気づかず、戦闘した場合ですね。眷属を破壊するだけでは呪いの進行速度が速まるだけですが、数が物凄いので全部潰したらGAMEOVERです


     次に、サンジが離脱した後です

     修理の為キッドが資材加工へ再び向かう事になりますが、>>73でルフィが煙草を見つけていなければ彼は死亡していた可能性が高いです。作中では煙草の臭いで蜘蛛を避けつつ、ゾロが眷属のトランプ兵を集中して退治していたので、呪いが加速してあぼんという事にはなりませんでした


     最後に、>>82で製品保管庫に行くルートが無ければ、オルゴールは見つからず、アレン破壊ルートまっしぐらなので、晶人組は全員死にます。

     ルフィはオルゴールの音を聞くことでアレンの過去を全て知り(というか脳に直接ぶち込まれた)、彼が破壊されれば最悪の結末を辿ることになると理解しました。

     一応、最初から製品保管庫を選ばなくても、事務所、社長室、のどちらか選択された場合でもダイスの出目次第で破壊ルートには移行しません。尚、最初から製品加工所行きなら強制バドエン行きです

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