- 1スレ主24/01/30(火) 21:40:01
- 2スレ主24/01/30(火) 21:46:49
凪「…これ、何?」
玲王「あ、ちょ」
玲王「(やばい、見つかった)」
玲王は慌てて凪の手からメイド服を取り戻そうとするが、手をスッと高く上に挙げられ、そのまま凪が一歩後ろへと下がり玲王から距離をとる
そして、凪は移動したその場から玲王の身体とメイド服とを見比べ、寸分違わずピッタリと作られたそのサイズ感を見てある事実を確信した
凪「え、まさか…」
玲王「…んだよ。いーから返せって」
凪「これ、玲王が着るの…?」
何それすっげぇ見たい、と凪は子どものように目をキラキラさせる
玲王「(うわ、やっぱ…コイツもかよ…)」
記憶を失って以降、凪の瞳にこんなにもたくさんのハイライトが宿ったのを見るのは玲王は初めてだった
凪「ねぇ、これ絶対玲王が着るやつじゃん。サイズもピッタリだし。なんでこんなの持ってるの?」
玲王「…」
別に隠すことでもないのだが、玲王は凪のコスプレ魂に無駄に火をつけてしまわないよう苦慮する - 3スレ主24/01/30(火) 21:56:35
凪「もしかして…女装趣味とか?」
玲王「ふざけんな」
コーディネートの時はそこまで喋らなかったくせに、いきなり饒舌になった凪の手から玲王は「隙ありっ!」とメイド服を奪い取って、クローゼットのハンガーパイプへと掛け直した
玲王「…文化祭で、作っただけだよ」
凪「へぇ…じゃあ、やっぱそれ玲王が着てたの?」
どうしてもこれを玲王が着ていたのかどうかを確かめたい凪は、そっけない態度の玲王にも負けじと食い下がっていく
玲王「そうだけど…でも、んなの遊びだよ、遊び。お前は知らねぇかもしんねーけどさ。凄かったんだぜ?俺らのサッカー部と家庭科部で、白宝祭の出し物総合一位だったんだから」
少しでもメイド服から話をそらせようと、玲王は白宝祭の話題に変えようとした
凪「出し物って?メイド喫茶?」
玲王「…そーだけど」
凪「へぇー。作ったって、この服手作りなの?玲王って器用なんだね」
そう言って、凪はメイド服のエプロンのフリフリのところを摘んで引っ張ってみたりしている
玲王「おい。なぁ、今からデートしに行くんだろ?早くさっき選んだ服に着替えようぜ」
凪「ん…じゃあ、その前にちょっとだけ見たいな」
玲王「え?」
凪「玲王がこれ着てるとこ」
やっぱりねー!!
いやいや。玲王、断って!早くデート行かなきゃいけないからね
玲王の凪への返事を下3レスから🎲 - 4二次元好きの匿名さん24/01/30(火) 22:09:24
俺は早くお前とお揃いコーデしたいんだけど?
- 5二次元好きの匿名さん24/01/30(火) 22:21:07
だーめ!どうしても見たいって言うなら今日出かけるの無しだぞ
- 6二次元好きの匿名さん24/01/30(火) 22:26:34
ダメって言っても凪がしつこいので「写真で我慢しろ」って写真を見せる
- 7スレ主24/01/30(火) 22:49:17
- 8二次元好きの匿名さん24/01/30(火) 22:51:46
こんなパーカー売ってるんだ!?
そしてスレ立ておつ!今回も楽しみにしてます - 9二次元好きの匿名さん24/01/30(火) 22:52:39
待ってました!
スレ主の心情描写大好きだよ〜 - 10二次元好きの匿名さん24/01/30(火) 23:00:12
間接チューかわいい
- 11二次元好きの匿名さん24/01/31(水) 09:27:34
楽しみほしゅ~
- 12スレ主24/01/31(水) 18:22:38
玲王「俺が…これを、着てるとこ?」
凪「うん」
ワザとなのか無自覚なのか、凪は捨てられた子犬のような瞳で玲王をジッと見つめている
凪「だって、この服凄く丁寧に作られてるよね…このウエストのラインとか。中にパニエも入ってるし、玲王がクルクルしたら、この高そうなレースがヒラヒラ靡いて綺麗なんだろうな…」
服というのは人が実際に着て、そして動くことによって初めて完成する
玲王「(そうだった。コイツ、実はファッションに興味あんだっけ…)」
先程凪が見せたコーディネートへのこだわりの強さにより、玲王はすっかり凪がファッションに強い関心を持っていると思い込んでいた
実際は、自分以外の人間に玲王の身体のラインを見せたくなかっただけなのだが
玲王「…」
そんなある種研究熱心な凪からのお願いでも、恋人の凪と警察沙汰になりながら血と汗と涙を流しつつ作り上げた結晶であるメイド服の姿を、簡単に今の凪に見せるわけにはいかない、と玲王は思う - 13スレ主24/01/31(水) 18:29:23
玲王『オイ、動くなって!採寸終わんねーだろ』
凪『ねぇ、超当ててる!おまわりさーん!!この人完全に当ててますよ!!』
玲王『ハァ!?うっせぇなぁ、もうッ!お前が採寸からメイド服作りてーって言ったんだろ!ちゃんと協力しねぇんならもうやらねーぞ!?』
凪「この服って、玲王が一人で作ったの?」
玲王「…いや、パリからデザイナー呼んで…。俺と、家庭科部の子にも手伝ってもらったりしながら、あとは…」
黙ってしまった玲王に凪が質問をしたが、それでも玲王はどこか上の空だった
凪『うーん…でも、ここまでハッキリとラインが出るとエッチすぎて心配。やり直し!』
玲王『えー!?ちゃんとウエスト絞らねぇと綺麗なスカートのライン出ないって』
玲王「…」
凪「…あとは?」
凪『スゲェ、マジ…俺は今…猛烈に感動しているッ!ずっと写真で見ていたあのレオが、今、こうして触れられる距離にいるなんて…尊い。ずっと逢いたかった芸能人に逢えた時って、こんな感じなのかな』
玲王『いやいや、今までも何回かメイド服着てんじゃん』
凪『ううん、全然違う。やっぱりオーダーはスゲェ…まさに俺の理想のメイドだよ。破壊力がレベチ』
玲王「ふはっ」
凪「え、急にどしたの?」
俯いたまま突然笑い出した玲王の様子を、凪は訝しそうに伺う - 14スレ主24/01/31(水) 18:33:16
凪『俺と玲王はずっと一緒だ』
玲王『凪…』
凪『だから』
玲王『うん』
凪『メイドコスする時も一緒だよ』
玲王「…凪」
凪「何?」
自分の名前を呼んで、ようやく顔を上げて目が合った玲王の瞳が、昨日と同じ、愛しい宝物を見つめるような優しいものになっていることに凪は気付く
玲王「俺がメイドコスする時はさ、お前も一緒に着なきゃいけねーの」
凪「…は?なんで俺も一緒に?」
玲王のメイド服姿を見たかっただけなのに、自分もそれを着るように言われた凪は、表情にこそ出さないものの動揺した
玲王「…だろ?俺だって、一人で着るのは恥ずかしーの」
凪「…なるほど」
凪『今、ずっと元の俺のこと考えてたでしょ』
玲王『え?うん…そりゃ、想い出すだろ。どこ見ても、アイツとの思い出ばっかりなんだから』
凪「(また、アイツのこと考えてたんだ…)」 - 15スレ主24/01/31(水) 18:36:36
玲王「それに、俺は早くお前とお揃いコーデしたいんだけど?」
少し挑発的な目で、ニヤリと揶揄われるように玲王に見つめられる
凪「ん…そう、だね。分かった、じゃ着替えて行こっか」
元の自分との想い出に溢れているこの場所では、玲王の心の中を独り占めすることなど到底出来そうになかった
凪「(ここじゃなくて…元の俺と玲王との思い出が一つもない場所に、早く行きたい)」
そして二人は都内某ゲームセンターへと向かう
まず何のゲームからしようか?
二人が最初にしたゲームを下3レスから🎲 - 16二次元好きの匿名さん24/01/31(水) 18:38:41
太鼓の◯人
- 17二次元好きの匿名さん24/01/31(水) 19:34:52
クレーンゲーム
- 18二次元好きの匿名さん24/01/31(水) 19:44:24
レースゲーム(マ○カとか)
- 19二次元好きの匿名さん24/01/31(水) 22:40:41
保守
- 20スレ主24/02/01(木) 01:57:12
- 21二次元好きの匿名さん24/02/01(木) 12:35:54
ほしゅ
- 22スレ主24/02/01(木) 19:58:48
都内某所———
お揃いコーデに身を包んだ自販機超えの二人が並んで街を歩く様は、その気はなくとも目立っていた
そして、その凪の頭には玲王によって黒いキャップが被されている
凪「ねぇー、玲王」
玲王「ん?」
凪「この帽子ジャマなんだけど…取っちゃダメ?」
玲王「ダメ」
いつもは凪に対して底抜けに甘い玲王が、なぜか頑なに帽子を取ることに反対した
凪「しかもさぁ、何で俺だけなの?玲王は?」
玲王「…俺は別にいいの」
ファン『あ、あの!もしかして凪選手ですか!?』
凪『何?』
ファン『あ、あの、本物ですか!?ゴール見ました!BLTVで…何回も…すっごくカッコ良かったです!』
凪『あー、どうも…』
玲王「だって、有名人はお前だからな」
凪「俺が…有名人…?」
絶対玲王の方が有名人だと思うんだけど、と凪が言う
玲王もせっかくの休みには、なるべく凪と二人だけで誰にも邪魔されずに過ごしたいのだ - 23スレ主24/02/01(木) 20:07:21
そして、二人は喧騒に包まれた大型ゲームセンターの中へと入る
玲王「わー、俺こーいうとこ来んの久しぶりかも」
人気のキャラクターの景品が置かれたクレーンゲームや、最新のゲーム機に囲まれた騒がしい店内を玲王が物珍しそうに見回した
凪「ねぇ、ここ…誰かと来たことあんの?」
玲王「ん?学校のヤツらとかな」
凪「じゃあ、俺と来るのは…?」
玲王「そりゃ、今が初めてだよ」
いっつもお前とはサッカー漬けだったからな、と玲王が笑う
凪「…そうなんだ」
サッカーなんて、たくさん走って汗をかいて疲れる上に、人とのチームプレーが必要になるような面倒なことを、果たして本当に自分がしていたのだろうか、と凪は未だに信じられない気分だった
玲王「うわ、何これ。たけのこの里とか、めっちゃでかい箱あんじゃん。こんなの見たことねー」
クレーンゲーム専用の巨大なお菓子の箱を見た玲王が、子どものようにはしゃいでいる
凪「(お菓子…?)」
凪『はい…ぜぇ…レオ、お土産…』
玲王『あ、お土産?ありがとなー、凪♪』
玲王『「たけのこの里」じゃん!俺が好きなの覚えてくれてたのかー?』 - 24スレ主24/02/01(木) 20:12:47
玲王「…」
凪「…玲王」
玲王「どした?」
凪「大きいぬいぐるみとか、欲しくない?」
流行りのぬいぐるみが置かれたクレーンゲームの筐体の中を、ガラス越しに見ながら凪が玲王に尋ねる
玲王「ぬいぐるみ…?俺には、もうルーちゃんがいるからなぁ」
玲王『この子はな、俺が凪にもらった大事なぬいぐるみなの』
玲王『なー?ルーちゃん。お前は凪が俺に選んだ特別な子だよ』
凪「(…あの紫色のうさぎ、ね)」
凪「じゃあさ、玲王の好きなキャラクターとかっていないの?」
玲王「…え?キャラクターとかって俺…あんまよく知らねぇからな」
サブカルにほとんど興味のない玲王は、ガラスの中の流行のキャラクター達を眺めながら頭上にハテナマークを浮かべていた
凪「…」
何とか自分も玲王にぬいぐるみをプレゼントしたい凪が、どうしようか、と悩んでいたその時
玲王「あー、でも、これ欲しいかも」
あるものを見た玲王が、それを欲しがった
玲王はクレーンゲームの何を欲しがった?
下3レスから🎲 - 25二次元好きの匿名さん24/02/01(木) 20:15:29
サボテンダーぬいぐるみ
- 26二次元好きの匿名さん24/02/01(木) 20:16:09
ぐでたまのぬいぐるみ
- 27二次元好きの匿名さん24/02/01(木) 20:27:37
ミ○フィーのぬいぐるみ(・×・)
- 28二次元好きの匿名さん24/02/01(木) 22:52:02
ミッフィーが凪に1番似てる?
- 29二次元好きの匿名さん24/02/02(金) 09:22:40
ほしゅ〜
- 30スレ主24/02/02(金) 15:42:45
- 31二次元好きの匿名さん24/02/02(金) 18:56:03
カッコいいところ見せれるね凪くん
- 32二次元好きの匿名さん24/02/02(金) 22:43:03
女神はサボテン🌵が好き?
- 33二次元好きの匿名さん24/02/03(土) 09:17:51
どのくらいの大きさかな
- 34スレ主24/02/03(土) 11:47:17
凪「え、どれ?」
玲王が指差した先にあったのは、そこそこの大きさをしたサボテンに目と口を思わせる黒い丸が三つ付き、手足のようなものが生えた緑色のぬいぐるみ
凪「ああ、サボテンダー?」
玲王「…さぼてんだーって言うんだ?コイツ」
欲しいと言った割に、玲王はそのぬいぐるみの名前すら知らないようだった
凪「玲王って、ゲームとかあんましないの?」
玲王「うん、全然。だって株のがおもしれーじゃん?」
凪「そっか(さすがスーパーお金持ち…)」
ゲームをしている人間なら一度は目にしたことがある某名作RPGゲームに出てくるこのキャラを知らないとは
玲王はサブカルにはあまり興味がないのだろうか、と凪は思う
凪「じゃあ、なんでこれが欲しいの?」
お世辞にも可愛いとは言えない、埴輪のような顔をしたサボテンダーを玲王が欲しがる理由が、凪には理解らなかった - 35スレ主24/02/03(土) 11:51:18
玲王「ほら、だってお前飼ってんじゃん。サボテン」
凪「ああ…チョキのこと?」
玲王「そうそう、チョキ」
話し相手として高二の春に花屋で見つけたバニーカクタス
誰にもその存在を話したことはないのに、玲王がそれを知っているということはつまり
凪「チョキのことは、俺が玲王に話してたのかな」
玲王「んー…お前んちに行って見たこともあるし」
凪「え、玲王って俺んちに来たことあるの?」
人と関わらないように生きてきた自分が、家に人を招く日が来るなんて
凪はますます元の自分の行動が信じられない気持ちになる
玲王「うん。たしかそん時に、お前のゲーム借りてちょっとだけ遊んだんだよなー」
凪「へぇー。で、やってみてどうだったの?」
ゲームセンター内の騒がしさも手伝い、二人はお互いの声を聞こうと自然と肩が触れ合うくらいに近づいていく - 36スレ主24/02/03(土) 11:55:24
玲王『うりゃ、ヘッショじゃ!よっし、ヤリィ!』
玲王『なぁ、凪、俺エイム合わすの上手くね?』
凪『…レオ、あのさ、もうやめない?』
玲王『は?なんで』
初めて凪の家に訪れて、二人でゲームをした時のことを玲王が思い出す
玲王「…えっと、たしか俺が結構ゲーム上手くなってきた時に急にお前が『もっと他のことしようよ』って言ってきて…」
玲王「(そーいや、なんであの時、凪はゲームやめたがってたんだろ…しかも、たしかその後って…)」
玲王「…」
何かを思い出そうとして、玲王が途端に黙ってしまった
凪「…」
再び、元の自分との思い出に浸り始めた玲王を見て、凪は何も言えなくなって同じように黙ってしまう - 37スレ主24/02/03(土) 12:04:11
そんな凪の耳に、周りでクレーンゲームに興じる客達の楽しそうな声が嫌でも入ってくる
その声は二人の今の距離感とは真逆で
肩が触れ合うほどに玲王の近くにいるのに
凪は玲王との距離がどこまでも離れていくような、そんな気になってしまった
凪「俺、ちょっとお札両替してくるね」
玲王「え?俺も一緒に」
凪「他の人にとられたくないから、玲王はここにいて」
元の自分との思い出のない場所に玲王を連れて来たって、やはりどこにいても、何を見ても
玲王が思い出すのは過去の自分なのだろう
それなら、思い出の場所に行ってそこに新たな記憶を上書きするのが最善なのかも知れない
凪「お待たせー」
両替を終えた凪が玲王の元に戻る
玲王「何、もしかしてお前がこのさぼてんだー取ってくれんの?」
キラキラと期待を滲ませた瞳で玲王が凪を見た - 38スレ主24/02/03(土) 12:08:07
凪「うん。このチョキみたいなぬいぐるみ、俺のにしよっかなって」
玲王「お前のかよ」
凪「冗談だよ。俺には本物のチョキがいるから」
そう言いながら、凪は財布から小銭を出してクレーンゲームの投入口に入れる
『レッツゴー!気合いを入れてこー!よーく狙って〜』
クレーンゲームの筐体から、効果音と共にアニメ風の音声が流れ始めた
玲王「わー、ドキドキしてきた」
凪「ねぇ、あとで本物のチョキ見に俺んち来る?」
玲王「お前んち?」
凪が黙ってガラス越しにアームとサボテンダーの位置を見比べる
凪「別に、変なことしないよ」
玲王「バカ、んなの当たり前だろ」
少し照れたような、呆れたようなジト目で玲王が凪を見つめた
凪「でもさ」
クレーンゲームの1のボタンに凪が手をかける
凪「これ取ったら、してもいい?」
「してもいい?」とは?それに対する玲王の答えは?
そして、FPSと格闘ゲームには定評のある凪のクレーンゲームの実力やいかに?
玲王の返事と、凪のクレーンゲームの結果を二つ合わせて下3レスから🎲 - 39二次元好きの匿名さん24/02/03(土) 14:37:51
もーそーいうのは駄目だって…
凪は天才なのですぐ取れた - 40二次元好きの匿名さん24/02/03(土) 18:14:15
元のお前に悪いから…
天才なので一発ゲット - 41二次元好きの匿名さん24/02/03(土) 23:22:02
何する気だよばーか
天才故即ゲット - 42スレ主24/02/04(日) 09:04:07
ウルトラジーニアスはクレーンゲームも天才だった件
dice1d3=1 (1)
👼×😈telegra.phこの祭りに乗るしかないと思って早起きして描いた👼×😈
胸元の穴を引っ張って「あんま拡げないで///」とか玲王に言わせたかったけど◯首触ってるみたいになっちゃったから変更(どっちもOUTだ)
念のためtelegraphに格納
- 43二次元好きの匿名さん24/02/04(日) 09:53:19
うわースレ主の👼😈だ!
えちえちで最高! - 44スレ主24/02/04(日) 18:00:41
玲王「もーそーいうのは駄目だって…」
凪「なんでー。ご褒美ないと頑張れない」
玲王が今、恐らく眉を八の字にして困った表情をしていることなんて、その顔を見なくても声色だけで伝わったのに
今一時、この瞬間だけでも二人で本当の恋人のように楽しい時間を過ごせたらと思うのに
何をしていても、いつまでも玲王から離れない亡霊のような元の自分に対するイラつきから、凪はつい玲王を追い詰めるような言い方をしてしまう
凪「昨日言ったじゃん。今の俺の記憶は、全部忘れるかもって」
玲王「…」
凪「忘れなかった時に、困るから?」
玲王「…そういうのは、忘れるからいいとか、忘れないから困るとか…そーいう問題じゃねぇだろ」
隣にいる玲王が凪の瞳を真っ直ぐに見つめてくるのを感じ、凪が玲王を見る
玲王「俺は、凪に顔向けできないようなことは…もう、したくない」
凪「何それ…」
『もう、したくない』
それはつまり、自分との昨日の行為も含めて
玲王の中では消してしまいたい記憶なのだろうか - 45スレ主24/02/04(日) 18:05:36
視線を玲王からサボテンダーに戻した凪が、横方向に動く1のボタンを押してクレーンを移動させる
『慎重に〜…ストップ!次はどう狙おう?』
クレーンゲームから出る能天気な効果音とアニメ風の音声が、二人との温度差を感じさせた
玲王「…位置、そこでいーのか?かなり左寄りじゃね?凪くん、大丈夫かー?」
気まずくなった雰囲気を変えようとした玲王が、努めて冗談ぽく明るい声を出す
凪「…」
こんな風に空気を悪くしたかったわけじゃなかったのに
玲王に気を遣わせてしまっている自分の至らなさとか、本当は二人でもっと楽しくしたかったのにとか
色んな感情が凪の中でぐちゃぐちゃになっていた
縦方向の2のボタンに凪が手を掛け、クレーンを奥へと進める
『焦らないで〜落ち着いて!』
自分はいつだって落ち着いている
平和主義の自分の心の中は、いつでも揺らぐことのない無風の状態だと思っていた
玲王と出逢うまでは
それなのに今は、どうしてこんなにも約束を取り付けたがって、自分らしくなく焦ってしまうのか
下降したアームの片方がサボテンダーの胴体の端に掛かった - 46スレ主24/02/04(日) 18:09:34
玲王「おま、全然真ん中のとこ掴めてじゃねーじゃん!それじゃ端っこすぎるって」
凪「…いーから見てて」
閉じる動きによりサボテンダーの胴体の奥まで入ったアームが、獲得口の横にある透明のアクリル板にサボテンダーを押し付けるようにしたままクレーンが上昇していく
玲王「おっ、おっ?」
引きずるようにして獲得口に寄せられたサボテンダーは、そのまま自重により頭を下にし、スルリと吸い込まれるように穴に落ちた
玲王「うわっ!マジで!?スゲェなお前、天才!?一発ゲットじゃん!」
瞳をキラキラと輝かせた玲王が凪を見つめる
玲王『てか何者!?俺とサッカーやんね?』
凪「(ああ、あの時の…)」
玲王は恐らく無自覚なのだろうけど
この眩しいくらいの笑顔と、優しく明るい楽しげな声で、人を虜にしてしまう才能がある、と凪は実感する
暑い中、走って疲れて汗をかいて
寒い日も眠い日も、朝早く起きて練習に行って
たとえ大好きなゲームをする時間が減ってしまっても
それでも、元の自分がサッカー漬けになってまで玲王と一緒にいたがった理由を、凪はようやく理解した - 47スレ主24/02/04(日) 18:15:31
獲得したサボテンダーを取り出し口から出した凪は、それをスッと玲王に差し出す
玲王「え、マジで俺にくれんの?」
凪「うん。だってそのために獲ったんだし」
玲王「あー…でも、コレ貰っちゃったら…」
玲王は受け取ることを迷っているのか、サボテンダーに向けて伸ばした手を引っ込めようか、どうしようかと手を止めたまま視線を泳がせている
たかがぬいぐるみ一個なのに
貰ったら本当に自分との「変なことをする」約束を守らなきゃいけない、とでも思っているのだろうか
ビジネス思考だから契約には慎重、なだけではない
玲王はその華やかな見かけによらず、意外と真面目で律儀な性格をしている、と凪は思う
凪「…あのね、俺には時間がないの」
玲王「え、今日なんか他に用事あった?」
凪「いや、そういう事じゃなくてさ。まぁいいや今は…次、何しよっか?」
何でか遊びに行くとこんな空気になるんだよこの二人は(白宝生の呪いなの?)
プリクラ撮る前に、もう一個くらい楽しく遊んどこ!
玲王が次に選んだゲームとは?
(上に一度出たものでも可)
下3レスから🎲 - 48二次元好きの匿名さん24/02/04(日) 19:04:19
マ○オカート
- 49二次元好きの匿名さん24/02/04(日) 22:48:54
クレーンゲーム
- 50二次元好きの匿名さん24/02/04(日) 22:50:22
二人で出来そうな音楽ゲームやろう
- 51二次元好きの匿名さん24/02/05(月) 09:28:51
ほしゅ
- 52二次元好きの匿名さん24/02/05(月) 18:52:26
玲王がサボテンダーぬいぐるみ抱いてるの絶対可愛い…
- 53スレ主24/02/05(月) 19:33:59
- 54二次元好きの匿名さん24/02/05(月) 19:36:47
音ゲーだ!二人でやれるのだと限られてきそう
何やるのかな楽しみ - 55二次元好きの匿名さん24/02/05(月) 22:59:14
玲王はリズム感良さそう
- 56二次元好きの匿名さん24/02/06(火) 10:20:42
ほしゅ〜
- 57二次元好きの匿名さん24/02/06(火) 21:12:48
保守
- 58二次元好きの匿名さん24/02/06(火) 23:17:12
アーケードの音ゲーって色々あるよね〜
ダンス系のやつ玲王似合いそう - 59スレ主24/02/07(水) 01:04:07
玲王「時間がないってどういうことだよ?」
凪「なんでもない」
玲王に受け取ってもらえなかったサボテンダーを抱えた凪が、所在なさげにぬいぐるみの手を握ったりしている
玲王「気になんじゃん。時間には厳しい男なんだよ俺は」
凪「へぇー。まぁいーから、次のゲームやりましょうよダンナ」
冗談めかした言い方をしながら、凪がサボテンダーを玲王に押し付けた
玲王「…これ、もらっても…しないからな」
凪「え?ああ、別にいーって”変なこと”しなくても」
玲王「…」
玲王が信じきれない、というような疑いの目で凪を見る
凪「だってぬいぐるみあげなきゃそういうコト出来ないんなら、俺毎日玲王のためにゲーセン行かなきゃいけなくなるじゃん」
玲王「…は?それって…」
毎日そういうコトするってこと?と、玲王が慌てたように顔を少し赤くしてサボテンダーを抱きしめた
凪「うそ、冗談。次のゲームは玲王が決めていいよ。今日は俺の行きたいとこに来てくれたし」
玲王「え、おま優し…」
そう言いかけた玲王は、慌てて口を塞いだ - 60スレ主24/02/07(水) 01:06:12
凪『俺はアンタの前で、優しい俺でいなきゃいけないの?』
玲王「あの…これは、お前にそう押し付けるみたいな意味じゃなくて、単純に俺が今、思っただけだから…」
凪「…」
玲王のその一連の言動の意味を理解した凪は、口を開けたまま言葉が出なくなっていた
凪「…それ、俺が昨日玲王に言ったこと、覚えてくれてたの?」
玲王「え?まぁー…そうだけど…?」
凪『優しいってそれ、言われた方からしたら、なんか押し付けられてるみたいでイヤなんだけど』
凪『そしたら俺がアンタに優しく出来なかった時に、アンタは裏切られたって勝手に思うじゃん』
凪「…」
玲王に対してあんなにも素っ気ない言い方をしたのに
玲王は自分が言ったことをちゃんと忘れずに覚えてくれていて
つまりそれは、自分との記憶が少なからず玲王の中に残っている、ということで
そのことを知った凪は、嬉しいような、切ないような
これまでに感じたことのない気持ちで胸が詰まった - 61スレ主24/02/07(水) 01:21:13
玲王「凪、これ、ありがとな。さぼてんだー。大事にする」
ぬいぐるみを受け取ったところで凪から”変なこと”をされるわけではないと知った玲王は、あらためてお礼を凪に告げる
凪「ちゃんと飾ってくれる?玲王の部屋に」
玲王「おう!ルーちゃんの横に並べとこっか」
満足そうな玲王の表情を見て、凪もどこか幸せな気持ちになった
自分の願いを叶えることではなく、誰かを笑顔にすることで、自分も同じくらいかそれ以上の幸せな気持ちになるなんて
こんな感情が自分の中に生まれたことが、凪には信じられないような
でも、玲王と一緒ならそれも不思議じゃないように思えた
玲王「じゃあ次は、二人で出来そうな音楽ゲームやろっか」
凪「…玲王って、音ゲー得意なの?」
意外な選択に凪が玲王に問いかける
玲王「えー、歌はそこそこ自信あるけど、音ゲー?とかはよくわかんね。でもさ、なんか二人でやれるのがいーかなって思って」
凪「オッケー。じゃあ、とりあえずあっちの音ゲーがある方に行ってみる?」
🎲まで行かなかった🙏
後半パートはダンスゲーにしようかと思います(踊る自販機サイズの手足長い二人は絶対カッコイイよね)
続きはもうしばらくお待ちください🙇♀️ - 62二次元好きの匿名さん24/02/07(水) 01:24:53
ダンスゲー絶対映えるしオーディエンスができそう
イラストも可愛いスレ主ありがとう🥺切ないけど甘酸っぱいねこの二人は… - 63二次元好きの匿名さん24/02/07(水) 01:31:06
サボテンダーと玲王かわいい!これは凪くんもスレ民もハッピー
- 64二次元好きの匿名さん24/02/07(水) 10:20:31
凪の記憶が戻ったら、このサボテンダーは嫉妬の対象になるのかな…
- 65二次元好きの匿名さん24/02/07(水) 21:33:49
ほしゅ
- 66二次元好きの匿名さん24/02/08(木) 08:19:50
ほ
- 67二次元好きの匿名さん24/02/08(木) 19:06:04
しゅ
- 68スレ主24/02/08(木) 20:40:42
二人が向かった音楽ゲームコーナー
ここは都内でも有数の大型店舗なだけあり、そこにはあらゆる種類の音楽系アーケードゲームが設置されていた
玲王「へぇー、何あれ。ダンス?面白そう」
その中でも一際周囲の視線を集めていたのは、一番奥にある二台並んだダンスゲーム
光るステージの上で画面を流れてくるマークに合わせてステップを踏むと、得点が加算されていくという仕組みだ
腕に自信のあるプレーヤー達が既に踊っていて、平日の昼間にもかかわらずちょっとした人だかりが出来ていた
玲王「スゲェ!楽しそう。俺らもこれやろーぜ凪!」
そのダンスゲームをキラキラとした瞳で見つめる玲王は、もう凪の意思なんてお構いなしだ
凪「うぇ…勘弁してよ。何が楽しくて人前で踊らなきゃいけないの?公開処刑じゃんあんなの」
玲王「え?今そんな人いねーし大丈夫だって!それに、次のゲームは俺が決めていいって言ったのお前だろ」
新しいもの好きの玲王が興味津々、といった感じで凪のジャケットを引っ張りながらそのダンスゲームの方へと近づいていく - 69スレ主24/02/08(木) 20:46:28
熟練のプレーヤー達が踊る後ろに立ってその様子を見ながら、玲王がゲームの特徴を冷静に分析する
玲王「なるほど…マークに合わせて踊ったらシャッフルダンスになるってことか。おもしれぇ。これ、よく出来てんな」
凪「…シャッフルダンス?何それ」
聞きなれない言葉に、凪が質問した
玲王「え?こーやって足をスライドさせて…」
踵を前に出して足をおろし、そのまま後ろへ引くという、その場を歩くようなステップを玲王が凪に見せるようにして繰り返す
玲王「ランニングマンとか…知らね?」
凪「…」
この陽キャ…知ってて当然だろ、というようなテンションで訊かないで欲しい、と凪は思う
凪「何、玲王ってダンスも得意なの?」
玲王「得意っつーか、見たら大抵のことは出来るからな」
自信ありげに玲王はそう言うが、それはただのビックマウスではなく玲王本人にとっては至極当然のことなのである - 70スレ主24/02/08(木) 20:53:37
凪「…ふーん」
たしかにそういう視点で見れば、ステップ以外にも、スライド、ジャンプ、ダウンをリズムに乗って組み合わせることで、誰でも簡単にシャッフルダンスが踊れるというよく出来た仕組みのダンスゲームだ
ゲームは好きだけど、こんな疲れそうな動くゲームを自分の人生でやる事はない、と凪は思っていた
凪が両手の指を外側に向けて組んで、そのままうーん、とストレッチのようにして身体の前で伸ばす
玲王「ぷはっ、何、お前やる気十分かよ?」
凪「だってこれスコア対決でしょ?点数負けたら勝った方の言うことなんでも聞く…とかはどう?」
二人でやるゲームのはずが…
まさかのダンス対決になってしまった
さて、どちらも才能に溢れた二人だが勝ったのはどっち?
下3レスから🎲 - 71二次元好きの匿名さん24/02/08(木) 20:55:03
玲王
- 72二次元好きの匿名さん24/02/08(木) 20:56:58
凪
- 73二次元好きの匿名さん24/02/08(木) 21:21:24
玲王!
- 74スレ主24/02/09(金) 07:12:13
- 75二次元好きの匿名さん24/02/09(金) 16:15:56
おお
- 76二次元好きの匿名さん24/02/09(金) 20:02:04
ダンスゲーなら玲王のが上手そう
- 77二次元好きの匿名さん24/02/10(土) 00:55:39
玲王のかち
- 78二次元好きの匿名さん24/02/10(土) 00:57:54
玲王に見惚れてミスりまくった可能性
- 79二次元好きの匿名さん24/02/10(土) 11:53:11
お揃コーデでダンスゲーする凪玲王の絵面が良過ぎる
- 80スレ主24/02/10(土) 21:08:01
玲王「点数負けたら勝った方の言うことなんでも聞くって…それ…」
凪『男同士のやり方、ホンモノの俺と実際に試した方が早いじゃん?』
玲王「…」
もしも自分が負けた時に、凪から何をお願いされるか分かったものではないと思った玲王は、凪をジッと見つめたまま身構えた
凪「玲王って、見たら大抵のことは出来るんでしょ?それとも…俺に負けんのが怖いの?」
玲王「は?」
どこか他人行儀で、少し意地の悪い
距離を感じさせるようなこの言い方
凪と同じ顔と声をしていても、やはり中身は恋人の凪とはまったくの別人なのだと、こうした些細なやり取りから玲王はそう思う
玲王「…いーや?お前には負けねーけど」
そう言って、玲王は真顔になって前を向いてしまった - 81スレ主24/02/10(土) 21:19:27
モブ「ハァ…ハァ…やっぱ、フルコンボは無理だったかー」
モブ2「そっすねー」
玲王「オニーサン達、うまいねー!」
モブ「えっ!?」
前のプレーヤー達のダンスが終わり、踊っていた一人のモブの肩を玲王が軽く叩いて、持ち前の明るい笑顔で話しかける
モブ「(何だっ!?嗅いだことないようなイイ匂いがする…ッ!そして誰だっ!このハイパーイケメンはッ…!?)」
いきなり後ろから現れた185cmの超絶美形に声をかけられたモブは、突然の出来事に驚く
しかし、そんな風にして戸惑うモブをよそに、玲王は以前からの知り合いかの如く相手の懐に入っていき、陽キャ特有の秒速で初対面の人を友達にする技を発動していった
玲王「え、何これ。画面操作どーすんのか教えてくんね?」
モブ「あっと、これはデスね。まずここにお金を入れて…あ、チュートリアルとかはどうしますか?」
明らかに玲王より年上のモブなのだが、なぜか玲王に敬語を使っている
恐らく無意識のうちに、人の上に立つ者が持つ圧倒的なオーラを肌で感じたのかも知れない - 82スレ主24/02/10(土) 21:28:26
玲王「あー、さっき見てたからやり方は分かる」
モブ「え、俺のプレイ見てたんデスか!?」
玲王からプレイを見ていたと言われ、モブが分かりやすく喜んだ
玲王「おー、オニーサンまじで上手いよな!カッコ良かったよ」
モブ「あ、ありがとうございマス…っ!」
凪「(いや、それ明らかなお世辞だから真に受けんなよ)」
ハァ、と横でため息を吐く190cmにモブは恐れを抱きつつ、二人を交互に眺める
モブ「…」
見たところお揃いコーデだし、てっきりダンスゲームの動画を撮りに来たY◯uTuberか何かかと思ったが、玲王の画面操作に詳しくない様子を思い出し、もしやこのイケメン二人は初見プレイなのか?とモブは考える
玲王「ねぇ、オススメってどの曲?」
モブ「あ、初めてだったらこれとかデスかね」
誰もが聴き馴染みのあるスローテンポの曲をモブに勧められたが、玲王の表情は芳しくなかった
玲王「うーん…やっぱオニーサンがさっきプレイしてたのにして」
モブ「え!?あれ難易度8なんで結構難しいデスよっ?」
今から初見プレイをすると思わしき玲王が、難易度の高い曲を選択したことにモブは驚く - 83スレ主24/02/10(土) 21:38:26
玲王「ん?大丈夫だって!なぁ、凪?」
玲王は近くの棚に着ていた上着と手に抱えていたサボテンダーを置き、ニヤリと挑発するような視線を凪に向ける
凪「うん…それでいいよ」
モブが画面から曲を選択し、いよいよゲームがスタートした
〜♪
EDM系のテンポの速い曲にのって、高速で譜面のマークが流れてくる
指で捌くのも難しいそれを、初見の二人が足のみで次々とリズムに合わせてクリアしていく
モブ2「すげぇー…」
モブ3「他のゲーセンでやってる人達なのかな?こんな上手い人いたら覚えてるんだけど」
モブ「(…おいおい、このイケメン二人、ほんとにこのゲーム初めてか?一体どんな動体視力と反射神経してんだよ…ッ!?)」
先程同じ曲を踊っていたモブのステップよりも、遥かに軽やかで、流れるように滑らかなステップを二人が刻んでいく
玲王はそれなりにダンス経験もあるのか、そこに手の動きを合わせることで、さらに人に魅せるダンスへと器用に変えていった
そして、凪もどこか気怠げな動きではありながらも、その人並外れた体幹と譜面に対する処理能力の高さで正確にコンボを決めていく - 84スレ主24/02/10(土) 21:43:54
モブ3「大会とかだと紫の子の勝ちかなー!パフォーマンス力がすげぇ、プロみたい」
モブ2「でも隣のデカい子もほとんど無駄な動き無いし、怖いくらいコンボ外さないんだよな…ほんとに人間かよ」
モブ4「この動画あげたらバズりそう〜!」
観衆に囲まれながら、二人は一曲目を踊り終えた
玲王「ヨッシャ!これ、絶対俺が勝っただろ」
凪「…」
スコア発表
気になるその結果は…僅差で玲王の勝ち
玲王「やった!俺の勝ちィ♪」
凪「えー…納得いかないんだけど」
光るステージを確かめるようにして踏みながら、凪はその判定に不満がある様子だった
玲王「納得いかないって、何がだよ?」
凪「だって玲王、途中スゲェ手とか振り回してたじゃん…横にいて気が散るんだけど、アレ」
玲王「はァ!?」
実際のところ、凪は気が散るというよりも、初めてするゲームを楽しげに踊る玲王のその笑顔に魅入ってしまっていたのだ - 85スレ主24/02/10(土) 21:47:27
玲王「んなモン、勝負は勝負だろ!」
凪「あ、でもこのゲーム二曲踊れるみたいだけど」
玲王「え、マジ?…よーし、じゃあ体もあったまってきたし、次の曲で決着な!」
再び玲王が曲の選択画面を操作し始める
モブ「(今ので…あったまってきた…?)」
自分達が毎日ゲームセンターに通って数時間踊り続け、約1ヶ月かかってようやくクリアできた曲を初見クリアされた上に、それをウォーミングアップだと言われたモブのプライドは粉々に破壊されていた
玲王「ねぇ!オニーサン。他にもっと難しい曲ないの?」
落ち込む間も無く、モブは玲王に話しかけられる
モブ「えっ!?あ、あの…これよりもっと難しい曲だと最高難易度の10になりますケド…?」
最高難易度10
鬼畜のような譜面のそれをクリアできる者など、大会出場者でもなければそう簡単にはいない
玲王「あー、じゃあそれでいいや。お願い」
モブ「(マ、マジかよ…ッ!?)」
本当に玲王達がクリアできるのか半信半疑なまま
しかし、先程の二人の動きを見る限り本当にクリアしてしまうのかも知れないと、モブは恐る恐る難易度10の曲を選択した - 86スレ主24/02/10(土) 21:50:53
モブ2「え!この曲!?」
モブ3「スゲー!これやる人、初めて生で見る」
玲王の選んだ曲に観衆が騒つき始める
玲王「負けねーからな!」
凪「それはこっちのセリフだし。しかもこの曲、玲王がさっき見てないヤツでしょ。大丈夫なの?」
凪も脱いだ上着を棚に置く
玲王「当たり前だろ!俺を誰だと思ってんだよ?」
〜♪
一曲目よりもさらにアップテンポで、開始早々から目で追うのもやっとの譜面を、軽やかにステップを踏みながら二人がこなしていく
人並外れた動体視力と瞬発力
そして超高速の譜面を初見で処理できるハイスペックな頭脳
誰かがSNSに一曲目のプレイ動画をあげていたのか、ゲームセンターの近くにいる人々が二人のダンスを一目見ようと集まってきて、周囲は通路を塞ぐほどの人だかりになり始めていた - 87スレ主24/02/10(土) 21:56:19
観衆「え、何…あの人達って有名人なの?」
観衆「二人とも背ぇ高いよね。スタイル良すぎじゃない?」
観衆「てかあの紫髪の人、顔カッコ良すぎ!絶対芸能人とかモデルだって」
観衆「でも、隣の人もなんか見たことあるよーな…?」
人前でこそ調子が上がるタイプの玲王が、クルッと回った瞬間に後ろにいた観衆に向けて投げチューをする
観衆「「キャーッ!!」」
凪「はっ?何して…」
玲王の行動に再び気を取られた凪は、ステップをミスしてしまった
モブ4「あー、惜しい!黒パーカーの子コンボ外したなぁ」
今の凪は、勝って玲王に言うことを聞いてもらうどころではない
玲王がこれ以上観衆に向けて変なファンサービスをしないか、気が気ではなかった
そして、周りからの歓声も相まって最高の盛り上がりの中、二曲目が終わる
観衆「すごーい!カッコいい!」
モブ2「クリア!?マジすげぇっ!!」
玲王「あー、踊ったらあっちぃな!パーカー脱ぐか」
点数発表の前、踊り終わった玲王がパーカーの裾に手を掛けたことで、周囲が期待に満ちたようにザワついた - 88スレ主24/02/10(土) 22:03:26
凪「あー!それダメ…っ!」
パーカーを脱ぐため、裾を掴んだ手をそのまま上に挙げようとする玲王を、周囲から隠すようにして凪が覆い被さった
玲王「っ!?」
その瞬間、凪の被っていた黒いキャップが床へと落ちる
観衆「えっ」
観衆「ねぇ、あの人ってどっかで…」
観衆「BLTVの凪誠士郎!?」
凪の素顔が晒されたことで、観衆が一気にワッと盛り上がった
凪「?」
周りから自分の名前を呼ばれたことに驚いた凪は、玲王を腕の中に隠したままグルリと辺りを見渡す
その面々の顔は、誰一人として知らない顔ばかりだ
いくら人に興味がなくて顔を覚えない自分であっても、確実に知らないと言える人達が自分の顔と名前を知っている
そのことに凪は不気味さを覚えた
凪「(なんで、俺の名前知ってんの…?)」
観衆「ホンモノ!?動画よりカッコイイんだけどマジで」
店員「すみませーん!安全のため通路で立ち止まらないでください」
玲王達の周りは、いつの間にか店員が駆けつけるほどの騒ぎになってしまっていた - 89スレ主24/02/10(土) 22:11:02
玲王「わー、いつの間にかスゲェ人集まってんな。どうしよ…うわっ!?」
もしかして俺ら有名人?と、凪の腕の中で余裕な表情を見せていた玲王の後ろから、凪がガバッとパーカーのフードを引っ張って玲王の頭に被せる
玲王「何すんだよっ!?」
抗議してくる玲王を無視して、凪は落ちていたキャップを拾って頭に被り、二人分の上着とサボテンダーを持って玲王の手を引っ張った
凪「ここから出よう」
玲王「は?お前、プリクラはどーすんだよ?」
凪「それは、後からでも別のとこで撮れるから…とりあえず外行こ」
そのまま走って店を出た二人は、待機していたばぁやのリムジンに乗り込んだ
予定が狂っちゃったけど、一旦甘い物でも食べに行こうか
二人が選んだ甘い物のお店とは?
下3レスから🎲 - 90二次元好きの匿名さん24/02/10(土) 22:13:03
このレスは削除されています
- 91二次元好きの匿名さん24/02/10(土) 22:13:44
ミ○タードーナツ
- 92二次元好きの匿名さん24/02/10(土) 22:23:24
パンケーキ
あーそれ駄目する凪って最高ですよね - 93二次元好きの匿名さん24/02/10(土) 22:54:42
スターバ○クス
- 94二次元好きの匿名さん24/02/11(日) 09:10:58
保守
- 95スレ主24/02/11(日) 09:44:27
- 96二次元好きの匿名さん24/02/11(日) 11:21:38
モブの脳を焼く凪玲王良い
- 97二次元好きの匿名さん24/02/11(日) 21:50:47
この2人はパンケーキが好きねぇ🥞
- 98二次元好きの匿名さん24/02/11(日) 21:58:11
また思い出が蘇っちゃうかも…?
- 99二次元好きの匿名さん24/02/12(月) 08:25:16
ほしゅ〜
- 100二次元好きの匿名さん24/02/12(月) 18:36:52
ほ
- 101二次元好きの匿名さん24/02/12(月) 20:42:35
しゅ!
- 102二次元好きの匿名さん24/02/12(月) 23:51:51
あーんチャンス来るかな?
- 103二次元好きの匿名さん24/02/13(火) 08:11:57
ほしゅ
- 104スレ主24/02/13(火) 16:39:04
玲王「ハハッ、やっぱバレちゃったなー」
やっちゃった、とまるでイタズラがバレた子どものように玲王が舌を出して凪に笑いかける
凪「いや、笑い事じゃないでしょ。なんか人凄い集まってきてたし…」
観衆『ねぇ、あの人ってどっかで…』
観衆『BLTVの凪誠士郎!?』
凪「…」
被っていた帽子を手に取り凪がそれを眺める
凪『この帽子ジャマなんだけど…取っちゃダメ?』
玲王『ダメ』
玲王『だって、有名人はお前だからな』
凪『俺が…有名人…?』
あの騒つきは、難易度の高いダンスゲームをクリアしたからだけではない
玲王がパーカーを脱ぎかけていた時よりも、自分が被っていたキャップが落ちて素顔が晒された時のあの観衆の湧き方は異常だった
自分に対してキャップを被れ、と頑なに言ってきたあの玲王の言葉は、やはり嘘じゃなかったらしい - 105スレ主24/02/13(火) 16:43:18
凪「…ごめんね、玲王」
玲王「何が?」
凪「あんな風に騒ぎになると思わなくて。最初から、もっと人がいないとこ行けば良かった」
どこか強気な今の凪が、らしくもなく落ち込んだような態度を取るので玲王は驚いた
玲王「え、なんでだよ!楽しかったじゃん。それに、いつバレてもすぐ逃げられるように、こうしてばぁやに近くで待機してもらってたんだし。な、ばぁや?」
ばぁや「左様でございます」
玲王の言葉に対して、ばぁやも何も心配は要らない、とでも言うように恭しく返事をする
凪「…」
玲王はこの非日常的な状況を少し楽しんでいるようだったが、やはり自分の家で大人しく過ごした方が安心なのかも知れない、と凪は思う
そして周りに人が集まった時、なぜか自分は咄嗟に玲王を庇っていた
無意識であっても、自分のことより玲王を守ろうとした自分の変化に凪は驚いていた
他人に対して17年間無関心を貫いてきた自分の中での優先順位は、もうとっくに玲王が一番になっているのだ - 106スレ主24/02/13(火) 16:47:35
玲王「だからさ、お前が他にも行きたいとこあんなら遠慮なく言えよ?あ、でも頭打つ危険のないヤツでなー」
さっきのダンスゲーもまぁまぁハードだったから転けたりしたら危なかったかもな〜、と、玲王がパーカーの首元を持って暑そうにパタパタとしている
凪「…脱がないでね、その服」
玲王「えー?室内暖房効いててあちぃし、中のシャツだけで良いって」
凪「絶対ダメだから。俺が玲王に言われて帽子被ってんのと一緒。分かった?」
玲王「お、おう…」
凪の謎の気迫に押された玲王は、おずおずとパーカーの裾を直す
玲王「あー、なんか喉乾いたかも」
凪「…じゃあ、ちょっと動いて疲れたし、玲王と甘い物とか食べたいな」
玲王「お、いーね。何食べる?」
凪「え」
甘い物を食べたいと適当に言ってはみたものの、普段甘い物なんて菓子パンばかりで他によく知らない凪は、すぐには食べたい物が思い浮かばなかった
凪「…どうしよ。わかんない」
玲王「ふはっ、なんだよそれ。じゃあさっき勝ったの俺だからさ。勝った方の言うこと聞くってやつで、俺が食べたいの選んでもいーか?」
凪「うん。そっちのが助かる」
玲王「オッケー。じゃあ、何にすっかなー…」
玲王が何気なく窓から見える都心の街並みを眺めていると、この場所は以前SNSでクラスメイト達から回ってきた話題のスフレパンケーキの店の近くであることに気付く - 107スレ主24/02/13(火) 16:49:35
凪『ねぇ、本当は何が食べたかったの?』
玲王『…パンケーキ』
凪『パンケーキ?』
玲王『うん、しかもなんか、分厚くて、皿の上でぷるぷる震えるくらい柔らかいやつ』
玲王「…今日って、平日だよな」
凪「だね」
玲王「じゃあ、パンケーキにするか」
凪「パンケーキ?」
この究極で完璧な学園の王子様は、紫色のうさぎのぬいぐるみにせよ、メイド服にせよ
体育祭でチアガールのコスプレを着たり、オムライスに画伯のような絵を描いてみたり
超絶イケメンの見た目に反して可愛いモノ好きのギャップが凄いな、と凪は思う
凪「玲王ってさ、マジで意外性あるよね…」
玲王「そっかぁ?いや、前から行ってみたいと思ってたスフレパンケーキの店なんだけどさ。さっきも言ったけど、俺ずっとサッカー漬けで忙しかったからまだその店行ったことねえんだよ」
凪「…そうなんだ」
元の自分とも行ったことのない、玲王の行きたいパンケーキの店
二人の思い出を作りに行くのならそこがベストだろう、と凪は思う
凪「そこって、人気店なの?」
玲王「うん。土日とかだといっつも並んでるかな。つっても、前よりは人の多さも落ち着いてると思うけど」 - 108スレ主24/02/13(火) 16:55:02
凪「…」
デカい男二人で人気のパンケーキの店だなんて、絶対に目立つ
さっきみたいな騒ぎになったらどうしようか、と凪は一瞬躊躇った
凪「玲王、パンケーキ好きなんだ?」
玲王「んー…その店の写真見たらさ、フワフワで生クリームたっぷりで、糖質と脂質の塊の超背徳的で甘そうなヤツ…アスリートにはそんなの不要だし、ホントは食べない方が良いってのは分かってるんだけどな」
凪「うん」
玲王「美味そうじゃん。だから、食べてみたいの」
凪『さっきも言ったけど、玲王って結構我慢して生きてんじゃない?』
玲王『…そーかもな』
凪『だからね、ムズカシイこと考えずに、さっきみたいに俺が玲王のこともっと解放してあげたいな、って思った』
凪「…そっか」
玲王「どした?お前、パンケーキ嫌だった?」
凪「ううん。俺もその超背徳的なヤツ、玲王と一緒に食べてみたい」
玲王が自分に対して、やってみたいことや行きたい所を遠慮なく教えてくれることが、凪は嬉しかった - 109スレ主24/02/13(火) 17:04:51
だから、行った先で何か大変な事が起こるかもとか、明日の自分の記憶がどうなるか不安になったり、元の自分と張り合って玲王の記憶を上書きしたい、だとか
そんなことばかり考えて玲王との時間を楽しまないのはもったいない、と凪は思う
凪「いーよ、行こ。それ食べて喜んでる玲王が見たい」
玲王「…」
凪『いいじゃん、パンケーキ』
玲王『え』
凪『俺も食べてみたかったんだよね。あの分厚くて超フワフワしてそうなやつでしょ?』
玲王「…やっぱお前って、凪だよな」
凪「何当たり前のこと言ってんの」
少し呆れたような目で、凪が玲王を見つめる
玲王「ハハッ、マジそれな。ばぁやー!◯◯のさぁ、ここの店に行って欲しいんだけど」
意気揚々と玲王がスマホを見ながらばぁやに行き先を告げる
凪「…」
楽しげな玲王の横顔を優しい瞳で見つめながら、玲王と行くのならきっとどんな場所だって特別になるし、楽しいに違いないと凪は思った
玲王と別れることへの不安や哀しみなんてないみたいに
こんな何気ない時間がずっと続くと思えるように
今、目の前にいる玲王との時間を楽しもう、と凪は心に決める
せっかくなのでパンケーキのお店でちょっとカップルっぽいことしてみよう!
凪が玲王としたがったカップルっぽいこととは?
下3レスから🎲 - 110二次元好きの匿名さん24/02/13(火) 17:25:04
あーんして食べさせ合う
- 111二次元好きの匿名さん24/02/13(火) 18:13:15
他の客から見えない半個室のカップル席で横並びに座ってお互いにあーんして食べさせてあげる
- 112二次元好きの匿名さん24/02/13(火) 19:57:16
イチャイチャあーんとほっぺについたクリームをちゅーして取ってもらう
- 113二次元好きの匿名さん24/02/13(火) 22:42:47
あーんは確定だね
- 114スレ主24/02/13(火) 23:00:10
- 115二次元好きの匿名さん24/02/14(水) 10:12:50
デートの定番だね!
- 116スレ主24/02/14(水) 21:21:22
二人は玲王の行きたがっていた某スフレパンケーキ専門店へ到着した
店員「いらっしゃいませ」
玲王「予約とかしてないんですけど、二人入れますか?」
白と茶を基調とした落ち着いた店内には、オープンして間もない時間にもかかわらず、既にまばらに人が入っていた
店員「二名様ですね、大丈夫ですよ。あちらの窓際に座られますか?」
メニューを持ち、水の入ったグラス二つをトレイに乗せた女性店員が、玲王の顔を見て表通りからよく見える窓際の席へと案内しようとする
玲王「あ…」
凪といるのに外から目立つ席は良くないと思い、どうしようかと思案する玲王の後ろから、ニュッと凪が顔を出した
凪「おねーさん、ごめんなさい。この人直射日光無理なので奥の席にして欲しいです」
玲王「…」
凪『窓際はレオに譲るよ』
玲王『えー、俺直射日光無理なんだよな』
玲王「…お前、もしかして記憶思い出してる?」
白宝高校の勉強合宿の行きのバスで、どちらが窓際に座るかの凪とのやり取りを玲王は思い出していた - 117スレ主24/02/14(水) 21:30:03
凪「いや…なんも?」
それは、嘘だった
玲王とどこかを移動している時のオレンジ色の景色だとか、元の自分が玲王と出逢った時の階段のシーンだとか
本当は、凪は少しずつではあるが玲王との記憶を取り戻してきてはいるのに
そのことを、凪はなんとなく玲王には黙っていた
店員「かしこまりました。では、奥のソファー席へどうぞ」
笑顔の女性店員に案内され、二人は奥にある二人掛けのソファーが向かい合った四人席へと座る
店員「ご注文がお決まりになりましたらお呼びください」
そう言って、水とメニューをテーブルに置いた店員が席から去って行く
玲王「っはぁー、入れて良かったな!俺らツイてる?」
日頃の行いが良いってことか、と喜ぶ玲王の言葉を聞いた凪が出入り口に目をやると、平日なのに外にはもう行列が出来ていた
凪「ギリギリだったね」
玲王「おー、マジでタイミング良かったわ」
凪「…いや、ていうか…」
玲王「ん?」
テーブルの上にあるメニューを手に取り、玲王が返事をする
凪「あの店員さん、絶対玲王の顔見て、外から目立つ席に案内したよね」
玲王「そっかぁ?」
どれにしよっかな、とワクワクした表情でメニューを眺める玲王は、そんなことはまったく気にも留めていない様子だった - 118スレ主24/02/14(水) 21:40:03
玲王「俺は、今日くらいはお前があんま周りから見られない席が良いかなーって思っただけ」
観葉植物が飾られた自然光の差し込む店内で、玲王の紫色の髪の毛がキラキラとその光に反射してきらめく
髪だけじゃなく、その長いまつ毛も、宝石みたいに綺麗な瞳も
先程いた薄暗いゲームセンターの中よりも、太陽の下にいる方が玲王の美しさがより際立つと、凪は目の前に座る玲王を眺めながらそう思っていた
玲王「…人の顔、ジロジロ見過ぎ」
凪「え」
遠慮ない凪の視線に気付いた玲王は、照れたような、困ったような顔をして、凪を射るような視線で見返す
玲王「俺の顔じゃなくて、メニュー見ろよ」
凪「だって、メニューは玲王が見てるから…」
そう、凪の対面に座っている玲王は一冊しか置かれていないメニューを独占していたのだ
玲王「…」
その言葉に急に立ち上がった玲王が、そのまま凪の横に来てドスン!と勢い良くソファーの隣に座る
凪「?」
二人掛けのソファーに自販機サイズの男二人が座ると、席はそれだけでギュウギュウになった
凪「…なんで?」
玲王「だって、横並びに座った方がメニュー見やすいだろ?」
いや、だからって真横に座りますか?
御曹司の行動は時に突拍子もない
二人でメニューを見ながらパンケーキを選ぼう!
凪と玲王はそれぞれ何のパンケーキにした?下3レスから🎲 - 119二次元好きの匿名さん24/02/14(水) 22:09:35
凪 紅茶ソースパンケーキ
玲王 フルーツ盛り盛りパンケーキ - 120二次元好きの匿名さん24/02/15(木) 01:58:40
凪 バナナとホイップクリーム
玲王 ストロベリーとホイップクリーム - 121二次元好きの匿名さん24/02/15(木) 10:28:23
凪 紅茶のパンケーキ
玲王 珈琲のパンケーキ - 122スレ主24/02/15(木) 15:55:59
- 123二次元好きの匿名さん24/02/15(木) 22:37:23
女神はフルーツがお好き
- 124二次元好きの匿名さん24/02/15(木) 23:05:41
パンケーキ食べたくなってきちゃうな
- 125二次元好きの匿名さん24/02/16(金) 10:01:30
ほしゅ〜
- 126二次元好きの匿名さん24/02/16(金) 21:25:31
保守
- 127スレ主24/02/16(金) 22:07:02
隣に座って来た玲王の威圧感に押されつつ、凪は目の前で開かれたメニューをチラッと見る
凪「(て、言っても…元々俺が食べたかったワケじゃないし。どれも一緒に思えるんだけど)」
上に何が乗っているかの違いだけで、そんなに変わるのだろうか
大事なのはパンケーキ自体の味だとするならば、いっそシンプルに何もトッピングされていないものを選ぶのが正解な気がする、と凪は思う
凪「このプレーンのやつにしよっかな」
玲王「はぁ!?それ何も乗ってねーヤツじゃん!つまんねぇって」
ザワッ…
そこまで広くない店内で急に発せられた玲王の大声に、客からの注目が集まった
玲王「あ、お食事中にごめんなさい!」
素直に謝る玲王に周囲の人々は笑って、再びそれぞれの会話に戻っていく
こういった場所だと、玲王が通る声をしているのがよく分かった
凪「ねぇ…ちょっと静かにしてよ。そうでなくても、デカい俺らが狭いソファーに横並びに座ってるだけで目立ってんのに」
玲王「だからちゃんとお客さんに謝ったじゃん。ホラ、プレーン以外にも色々あるぞ?抹茶とか、チョコとかも」
頑なにプレーン以外のメニューを勧めてくる玲王に、凪は根負けし始める
凪「もうなんでもいいよ、めんどくさい」 - 128スレ主24/02/16(金) 22:18:59
玲王「…」
凪「?」
玲王「それ、禁句だから。あとで罰金な」
凪「は?」
そう言って冗談ぽく笑う玲王の言葉の意味が、凪には分からなかった
玲王「つーか、なんでも良くはねーだろ!せっかく来てんのに」
ちゃんとメニュー見ないんだったら俺がこっち座った意味ねーじゃん、と玲王が分かりやすく拗ねる
そんな玲王の隣で、この人の乱高下する感情の起伏の激しさと熱量は何なのだろうか、と凪は疑問に思っていた
凪「…じゃあ玲王は?どれにすんの」
玲王「えー、俺は今バナナとストロベリーで迷ってる」
凪「ならどっちも注文したらいいじゃん」
玲王「バカ、そんなに食えねえって」
凪「大丈夫でしょ。成長期だから」
玲王「あのなぁ、それを言うならお前も…」
玲王『凪ー、成長期なんだからもっと食えって』
凪『って、レオも成長期じゃん』
玲王『俺はいーの!俺はお前が成長すんのが嬉しいの』
凪「…どしたの?」
玲王「いや」
凪が初めて家に来た時のやり取りを思い出して、玲王は口ごもった - 129スレ主24/02/16(金) 22:24:38
凪「(また、元の俺との思い出かな…)」
玲王の様子を見た凪が、話を元に戻そうと提案する
凪「じゃあさ、バナナとストロベリー二つ頼んではんぶんこにしようよ」
玲王「おー、それいいじゃん。名案!」
玲王が店員に視線を送って注文をした
玲王「バナナとホイップクリームと、ストロベリーとホイップクリーム。あと、セットであったかいレモンティーを二つお願いします」
注文を受けた店員がキッチンにオーダーを通す
玲王「スフレパンケーキって、焼けるまでに時間かかるんだよな」
凪「へぇー、さすがパンケーキ好き。よく知ってんね」
玲王「いや、前に一度、凪とスフレパンケーキ焼いたことあんだよ」
凪「…何それ、ホントの話?信じらんないんだけど」
体育倉庫イベントや、ディ◯ニーでのぬいぐるみ交換だけではなく、パンケーキを共同作業で作るとは
元の俺は一体どうしたんだ、やることが全て甘すぎるだろ
付き合いたてのカップルか?
元の自分が本当に今の自分と同じ人間だったのか、凪はいよいよ疑わしくなっていた - 130スレ主24/02/16(金) 22:33:03
凪「あとさ、思ったけど…玲王って俺のこと周りから隠したがるよね。騒ぎになるからとかだけじゃなくて、結構ヤキモチ妬きだったりすんの?」
玲王「…は?そんなことねーよ」
意外なことを言われた、と言うように少し目を丸くした玲王が、隣に座る凪の顔を覗き込むようにして見つめる
玲王「俺の力でお前が有名になるのは嬉しいし、俺の自慢の宝物だからな。どーだ、凪はスゲェだろ、って、もっとみんなにお前のこと知って欲しいって思ってる」
凪「ふーん」
凪「(でもそのスゲェ宝物は、俺じゃない方の凪のことでしょ)」
自分から質問しておいて、まるで興味のなさそうな凪のパーカーの袖を掴んだ玲王が、クイクイと引っ張って自分に注意を向けさせた
凪「なに、」
玲王がそのまま、少し不機嫌そうな凪の耳元に顔を寄せる
玲王「でもさ…今日だけは、俺の凪でいて」
凪「!」
耳元でこんなことを直球で言われて、凪は危うく手に持っていた水のグラスを落としそうになった - 131スレ主24/02/16(金) 22:41:19
玲王「なーんてな、ビックリした?」
耳の辺りを押さえて狼狽えている凪の様子を見た玲王は、可笑しそうに笑う
玲王「(アイツにも、最初から素直にこう言えてたら楽だったのかもな)」
凪「…イタズラにしては、随分と熱烈だね」
玲王「だろ?」
凪「でも、それってつまり…玲王は俺のこと独占したいってコト?」
玲王の中にも、自分と同じような黒い気持ちがあるのなら嬉しい、と凪は思ってしまう
これは、何と言ったか
いわゆる共依存なのだろうか
玲王「うん…多分、独占欲ならお前より俺の方がある」
凪「嘘だ。そんなの信じられない」
玲王「ぷはっ、さっきからお前、俺の言うこと疑いすぎだろ」
手の甲で口元を軽く押さえて笑う玲王は、真顔の時よりももっと華やかで、可愛くて、どこか幸せそうで
凪は、そんな玲王を黙って見つめることしか出来なくなっていた - 132スレ主24/02/16(金) 22:56:49
玲王「ホントだって。お前、自分で気付いてないだけで学校でもモテてるしさ…だから俺はいっつも不安で、でも、凪の邪魔になったらいけないと思って…お前のこと、好きじゃないって嘘ついたことも、ある」
初デートで喧嘩した時のことを玲王は思い出していた
玲王『あのさ…凪…』
凪『何?』
玲王『好き、って言って、ごめんな』
玲王「サッカーの世界で金稼いで、プロとして戦うなら大人にならなきゃいけないのにさ。子どもの俺は、凪のこと独り占めしたいと思っちゃってたんだよな」
両手の指を組んで俯いたまま、数ヶ月前の自分のことを思い出した玲王の頬に徐々に赤みが差していく
玲王「うわー、マジで恥ずい…何でこんなこと全部お前に話してんだよ」
凪「知らないよ。そっちが勝手に話して来たんじゃん」
玲王「ハハ、そっか。たしかにな」
玲王は楽しそうに笑っているけれど、凪はこれ以上は聞きたくなかった
そんな諍いがあっても、それでもお互いのことを好きだという二人の絆が深まった思い出話など - 133スレ主24/02/16(金) 23:04:37
玲王と元の自分の中にある記憶は、今の自分じゃ到底太刀打ち出来ないほど重くて大切なもので
二人が一緒に歩いてきた証そのものなのだと、凪は痛いほど思い知らされていた
凪「…ハァ」
玲王「どした、腹減った?」
凪「いや、違くて…こんなの、めんどくさくないのかな、って」
玲王「何が」
前を見たままで玲王と視線を合わせない凪が、そのままポツリと言葉にした
凪「無駄じゃないのかな…相手の言動だとか、好きとか、嫌いとかで、いちいち一喜一憂するのって」
玲王「え?」
凪「だって、人の本当の心の中まで分かるワケないし。それなのに、何で人って疲れたり傷ついたりしてまで、誰かを好きになったり、恋したりするのかな…って」
玲王「…」
饒舌なはずの玲王が、思わず返す言葉に詰まる
この質問は初めての恋愛真っ只中、といった御曹司には少し難解だろうか
「何で人は恋をするのか」なんて、物凄く難しい質問を凪がしているぞ…
それに対する玲王の答えを下3レスから🎲 - 134二次元好きの匿名さん24/02/16(金) 23:13:19
落ちたくて恋に落ちる訳じゃねーじゃん
多分、いつの間にか落ちてるモンだから悩んだり苦しんだりするんだと思う - 135二次元好きの匿名さん24/02/17(土) 03:50:27
俺だって自分が誰かに対してこんな気持ちになるなんて思ってなかったっつーの!
でも、仕方ねぇじゃん?どれだけやめようと思ってもやめられなかったし、勝手に目で追ってるし、好きって言いたくなんの。
そういうもんなんじゃねーの?恋って - 136二次元好きの匿名さん24/02/17(土) 06:47:14
お前はめんどくさくなったら、好きになるのやめれる?
- 137スレ主24/02/17(土) 17:02:51
- 138二次元好きの匿名さん24/02/17(土) 17:05:44
めちゃくちゃ青春で良いね〜
あとスレ主のぬい写真いつも可愛くて大好きです - 139二次元好きの匿名さん24/02/17(土) 22:31:46
ぬいさん達可愛いな
- 140二次元好きの匿名さん24/02/18(日) 09:59:31
現凪くん切ねぇ
- 141二次元好きの匿名さん24/02/18(日) 21:33:46
保守
- 142二次元好きの匿名さん24/02/19(月) 01:59:06
早め保守
- 143二次元好きの匿名さん24/02/19(月) 07:12:50
二人が初恋同士で良かった…
- 144スレ主24/02/19(月) 17:32:22
玲王「じゃあ、さ…」
手の指を組んだままの玲王が凪を見つめて、その視線を感じた凪が玲王と目を合わせる
玲王「お前はめんどくさくなったら、好きになるのやめれる?」
凪「え」
先程までのコロコロとカメレオンのように変化する表情とは異なり、玲王は真剣な顔になっていた
玲王「落ちたくて恋に落ちる訳じゃねーじゃん。多分、いつの間にか落ちてるモンだから悩んだり苦しんだりするんだと思う」
いつの間にか落ちてる…確かにその通りだと凪は思う
凪『(頑張って競って、誰かに勝ちたいとか、誰かの顔色を伺ったりとか、”自分”の価値を、欲しがったりとか…)』
オムライスの絵が上手く描けなくて泣いていた玲王を、不器用な慰め方しか出来なかった自分に言い聞かせていたあの言葉
最初は元の自分への対抗心だと思っていた独占欲の感情の根源は全て、玲王への好意から生まれたものだと、凪はもう気付いていた - 145スレ主24/02/19(月) 17:39:08
玲王「そりゃ俺だって、自分が誰かに対してこんな気持ちになるなんて思ってなかったっつーの!でも、仕方ねぇじゃん?どれだけやめようと思ってもやめられなかったし、勝手に目で追ってるし、好きって言いたくなんの。そういうもんなんじゃねーの?恋って」
凪「…」
凪『…ねぇ』
玲王『何?』
凪『御影くんは、こんな俺のこと…変わってるって、思う?』
他人と比べるのなんて意味がないと思いつつ、自分が玲王からどう思われてるかが気になって聞いたあの瞬間から、既に玲王のことが好きだったことに凪は気付く
凪「…ホント、そーだよね」
玲王「?」
珍しく素直に同意してきた凪に驚いた玲王は、その真意を知ろうとするかのように凪の顔を覗き込む
凪「俺だって、こんな感情があったことに自分でも驚いてる」
玲王「こんな、って…何、お前、もしかして…」
玲王「好きな子、いんの…?」
凪「うん…」
凪「いるよ」
目の前に、そう言い切ってしまえる程の勇気は、今の凪にはまだなかった - 146スレ主24/02/19(月) 17:42:30
玲王「マジか…」
玲王「(そーいや、俺と出逢う前のコイツの恋バナとか聞いたことなかったけど…高一の時のコイツは知らねーし、その時に気になる子の一人や二人いてもおかしくなかったのか…?)」
「好きな人がいる」という凪の言葉を聞いて、玲王は凪に悟られないようにしつつも内心落ち込んでいた
凪「だからさ、こんな感情は知らない方が幸せだったかな、って思う」
玲王「…お前、マジでスゲー恋してんじゃんか…」
人に対して無関心、無感情の塊のような凪に、実はこんな一面があったなんて
自分と出逢ってまだ24時間も経っていない凪が、まさか自分に対して既に好意を寄せているとは思いもしない玲王は、凪が自分以外の誰かに恋愛感情を抱いているのかと驚き、ショックから空いた口が塞がらなくなる
凪「恋…?そーなのかな。だとしたら、凄い非合理的だよね。今の俺」
玲王「非合理的?」
凪「うん。だってどうしようもないことグルグル悩んでんのなんて、全部時間の無駄でしょ」
恋愛という甘いイメージからは程遠い
どこか冷めていて、わざと突き放したような言葉を凪が口にした - 147スレ主24/02/19(月) 17:49:11
玲王「…そう思うのはさ、お前がまだ本当の恋を知らないからだろ」
凪「?」
少し上から目線でそう言う玲王の顔を見ると、俺は恋愛経験者だぞ、と言わんばかりのドヤ顔をしている
凪「…何?本当の恋、って」
玲王「つまり、誰かを好きになるのって不安になったり落ち込んだり…大変なこともいっぱいあるけどさ」
凪に本当の恋について聞かれた玲王が、ポツリと自論を語り始めた
玲王「俺は、どうしたら凪にもっと好きになってもらえるか、どう甘やかしたら凪が喜んでくれるか。無表情なアイツが頭ん中で何を考えてるのか、とかさ…。目がいっつもよりキラキラしてるから今は嬉しいのかなー、いつか、コイツも俺の前で笑ってくれんのかな、とかって…寝ても覚めても、ずっと凪のこと考えてる」
凪「…」
玲王「グルグルとあれこれ考えて悩んでるその時間は、たしかにお前が言うように非合理的だし、苦しいだけの時もあるけど…誰のことも好きになって無かった一人だけの時よりも、俺にとってはスゲェ幸せな時間だよ」
そう語る玲王の優しい表情を見た凪は、自分のことを想って言われてるワケじゃないのに、泣きそうな気持ちになってしまった - 148スレ主24/02/19(月) 17:51:38
玲王「大好きな人のことを考えてる時は、心があったかくなんの。お前は…そうじゃねえの?全部、無駄だと思う?」
玲王の口から直接元の自分を想う気持ちを語られた凪は、「本当の恋」だなんて余計なことを聞いてしまった、と思う
有り余る青春時代の時間を二人で謳歌して
側から見れば、くだらないと思えるような会話や行動に時間を費やして、互いに一喜一憂して
今の自分だって、玲王に惹かれていなければ
こんな風に残された時間について焦ったり、元の自分に対抗心を抱いたりなんて、くだらない独占欲を抱えなくて済んでいたのに
こんな非合理的な感情、本当に知らなければ良かった
凪「俺は…」
店員「大変お待たせ致しました〜」
凪が何かを言いかけたタイミングで、テーブルにホイップクリーム盛り盛りのスフレパンケーキの皿と、レモンティーのカップが置かれる
玲王「わー、美味そう!パンケーキがしぼむ前に写真撮ろーぜ」
凪「うん…」
元の自分との甘い想い出に浸っていた玲王が、目の前に置かれたパンケーキよりも甘い顔をしていることなんて、凪は見なくても分かった - 149スレ主24/02/19(月) 17:53:59
凪「俺は、写真はいいや…」
玲王「なんで?お前、イン◯タしてねーんだっけ」
凪「いや。なんか俺のスマホのカメラロール、元の俺にロックされてるから中見れないんだよね」
玲王「は?マジで…?アイツ、変な写真とか残してんじゃねーだろーな」
パンケーキの写真を撮り終えた玲王は、手に持つスマホをナイフとフォークに持ち替えて、元の凪のやらかし具合と、過去に撮られた写真に変な物が写ってはいなかったかを思い返していた
凪「変な写真って…まさか、エロいのとか撮らせてたの?」
その部分の記憶だけなら今すぐ取り戻したい、と凪はこっそり考える
玲王「バカ!昼から外で変な話すんなよな。早く食おーぜ」
凪「えー、咀嚼めんどくさい」
玲王「…お前なぁ」
凪「だから、玲王が食べさせてー?」
そう言って、凪は隣にいる玲王を今は独り占めしようと分かりやすく甘えた - 150スレ主24/02/19(月) 17:56:34
玲王「もぉー。仕方ねぇな、最初の一口だけな。バナナとストロベリー、どっちからいく?」
凪「んー、どっちでもいーよ。玲王にお任せ」
玲王「ったく、じゃあ俺スペシャルで両方乗せてやるよ」
白い皿に重なるように盛られたスフレパンケーキに、玲王がナイフを入れた
玲王「うわ、超やわらかそう!これ噛まなくても食べれるヤツだって。ホラ、あーん」
フワフワのパンケーキに浮かれた笑顔の玲王が、ホイップクリームにバナナとストロベリーを乗せた一口サイズのそれを凪の口元に運んだのを、凪が雛鳥のようにパクッと食べる
玲王「どう、おいし?」
凪「うん。だから一口だけじゃなくてもっと食べたーい」
顔を軽く傾げて口を開けた凪が、玲王にさらなるあーんをお願いをした
玲王「ダーメ!あとは自分で食うの」
凪「えー。いーじゃん、ケチ」
玲王「ケチじゃねえ!気前は良いんだよ、俺は」
凪「じゃあ、一口と言わずもっと食べさせてよ」
お前にばっか食べさせてたら俺が食えなくなるだろ!と言って、玲王も念願のパンケーキを口にする
玲王「うまっ!」
凪「だよね。元の俺と一緒に作ったのと、どっちがおいしーの?」
玲王「…え?」 - 151スレ主24/02/19(月) 17:59:21
玲王『分厚いから焼くのに時間かかるんだよな』
凪『俺とレオの愛情も、大きすぎるからこんな風に少しずつ出来上がっていくのかもね』
玲王『ハイ、出たよロマンチスト』
玲王「フフッ。まぁー、俺と凪が作ったのも、負けてねー」
少し顔を赤くした玲王が、はにかんだように微笑んでそう答えた
凪「へぇー…てか、今の会話のどこに顔を赤くする要素があったの?」
玲王「え?顔赤ぇ?いや、つーか、こーいうのってトッピングとかでも全然味変わるじゃん」
赤くなった顔を誤魔化すように、玲王が話を変える
玲王「(あの時、俺がトッピングに『たけのこの里』じゃなくて『きのこの山』を買ったせいで凪が怒って、結局凪が全部自分の皿にそれ乗せちゃったんだよな)」
パンケーキを食べながら、玲王は恋人の凪を想い出して、再びあたたかくて甘い気持ちに包まれていた
凪「…じゃあ、今度は俺が玲王に食べさてあげよっかな」
玲王「は?それはいーって、恥ずいから」
凪「まぁまぁ、エンリョしないでよ」
そう言って、バナナトッピングのパンケーキの何も付いていないプレーンの部分をフォークで掬った凪が、それを玲王の口元に近づける - 152スレ主24/02/19(月) 18:02:09
玲王「おい、これ何も乗ってねートコじゃん」
凪「いーから、ハイ」
玲王「?」
フォークに乗ったパンケーキをツンツン、と唇に当てられた玲王は、訳のわからないまま口を開けてあーん、とそれを口内に受け入れた
凪「どう?」
玲王「…まぁ、フツーに美味いけど…?」
凪「じゃあ、今度はこっちね」
次に凪は、ストロベリートッピングのパンケーキの、これまた上に何も乗っていない部分をフォークで掬い取り、同じように玲王の口元へと運ぶ
玲王「…お前なぁ〜、さっき一口しかあーんしなかった俺への嫌がらせか?何も乗ってねーとこばっか寄越しやがって」
凪「いーから、ホラ。手ぇ疲れるから早く食べてよ」
玲王「??」
先程から、せっかくのトッピングが何も乗っていないプレーンの部分ばかりを食べさせる凪の行動に、玲王は頭の上がクエスチョンマークだらけになっていく
凪「美味しい?」
玲王「…おー、だから…別にさっきと一緒の味だって」
どちらもトッピングの乗っていないパンケーキの素の部分
味は同じに決まっている - 153スレ主24/02/19(月) 18:07:21
凪「だよね、だから…」
玲王「?」
凪「俺も、元の俺も一緒だよ」
玲王「へ?」
凪の突然の話に、玲王は頭が追いつかない
凪「今の俺も、元の俺も…どんな記憶が乗ってるかの違いだけで、中身は同じ凪ってコト」
玲王「…んだそれ、急に。意味わかんねえ」
凪の言わんとしていることがまるで見えてこない玲王は、ますます頭上に疑問符が浮かび上がってくる
玲王「お前、さては恋煩いかぁ?頭おかしくなってんな」
茶化すようにニヤニヤと玲王は笑うが、凪はそんな様子の玲王を見ても冗談で返せるような気持ちにはなれなかった
凪「…かもね。自分でも、俺がこんな恋愛脳だったことに驚いてるから」
昨日初めて玲王と出逢って、それまでの17年間で経験した以上の喜怒哀楽の感情が全部心に来たかも知れない
凪いでいた自分の心の中に、感情の波がたくさん起きて
情緒がめちゃくちゃになって、玲王のことを想うと、あったかいどころか心も頭も身体も凄く熱くなって
恋なんて非合理的な感情、疲れるだけなのに
でも、それ以上に玲王といるこの瞬間が凪は心地良かった - 154スレ主24/02/19(月) 18:11:35
凪「…つらいよね、恋って」
玲王「おいおい。マジでどーしたんだよお前」
心配した玲王が、熱でも出たか?とその綺麗な手で凪の前髪で隠れた額に触れてくる
凪「…玲王」
玲王「何」
凪「俺、好きな人、いるよ」
玲王「…おう」
予想はしていたが、凪の口から直接「好きな人がいる」と言われたショックで、玲王の胸はチクリと痛み、間の抜けた相槌しか打てなかった
凪「でも、その好きな人には、俺じゃない好きな人がいるんだよ」
玲王「…そ、っか…」
玲王は冷めかけたレモンティーを口にしながら、何とも言えない気持ちで、恋人の姿であっても中身はそうじゃない凪の恋バナを聞く
凪「玲王はさ」
玲王「ん?」
凪「もし好きな人に、大好きな人がいたら…その時はどうする?その人のこと、諦める?」
凪くん、さっきから質問の湿度が高い
またしても難問であるが、超優秀・御曹司ならきっと上手く答えてくれる…ハズ?
玲王の答えを下3レスから🎲 - 155二次元好きの匿名さん24/02/19(月) 19:39:14
大好きなら諦められる訳無いだろ
欲しい物は手に入れたいタイプだし? - 156二次元好きの匿名さん24/02/20(火) 01:35:59
諦めない
俺は欲しいものは全部手に入れる男だ - 157二次元好きの匿名さん24/02/20(火) 07:15:30
諦めたくても諦められないと思う
- 158スレ主24/02/20(火) 16:57:52
- 159二次元好きの匿名さん24/02/20(火) 17:15:02
スレ主のSSたくさん読めて嬉しいです👍
- 160二次元好きの匿名さん24/02/20(火) 22:35:31
保守
- 161二次元好きの匿名さん24/02/21(水) 08:32:17
パート7か…かなりのロングランや…
- 162二次元好きの匿名さん24/02/21(水) 17:28:47
ほしゅー
- 163二次元好きの匿名さん24/02/21(水) 22:33:17
保守
- 164二次元好きの匿名さん24/02/22(木) 06:41:57
ほしゅ
- 165スレ主24/02/22(木) 11:51:35
玲王「好きな人に…大好きな人が、いたら?」
隣にいる凪は自分で質問をしておいて、玲王を見ずに目の前のパンケーキを黙々と食べている
玲王「おまっ、俺の分残しとけよ?」
凪「あーゴメン…おいしくて、つい食べちゃってた」
無意識で目の前のパンケーキを食べていたようで、玲王はそんな凪を見て吹き出す
玲王『おい、聞いてんのかよ?』
凪『あ、え、ボリボリ…わかんない…ボリボリ』
玲王『おま、それ、俺にってくれたたけのこの里じゃ…?』
凪『へぇ?』
玲王「(アイツんちで初めて料理作ってた時も、凪のやつ人のもん勝手に食べちゃってたんだよなー…)」
凪『今の俺も、元の俺も…どんな記憶が乗ってるかの違いだけで、中身は同じ凪ってコト』
玲王「…」
先程、凪がトッピングの違いだけで中身は同じ凪だと言ったように、こうして見るとやっぱり凪は凪でしかない
玲王「たはっ、まーまた来りゃいいんだから、全部食べちゃってもいいけどさ。それに、ちゃんと自分で食べて咀嚼してんのエライじゃん」
ヨシヨシとするように玲王が凪の頭を撫でる - 166スレ主24/02/22(木) 11:58:02
凪「ん…」
相変わらず玲王と目を合わさないままの凪が、パンケーキを食べ進めていく
玲王がその髪の毛を触ってみても、フワフワの感触や、自分より白いその肌も、全てがよく知っている凪そのもので
玲王「(…もし、今のコイツが俺じゃない、他の誰か、好きな人と付き合ったりしたら、その時俺はどーすんだろ…)」
一緒に世界一を夢見た相棒ではない凪だけど
それでも自分は、手放すことができるのだろうか
玲王「凪、さっきの質問の答えだけどな」
凪「うん」
玲王「…好きな人のことは、諦めたくても諦められないと思う」
凪の髪を触りながら、その横顔を見つめたままで玲王がそう呟く
凪「…へぇ」
まるで興味がなさそうな凪の相槌に玲王は怒った
玲王「あのなぁ〜、お前から訊いてきたんだろ?好きな人がいる人を好きになったらどーすんのか、って」
凪「そーだけど…玲王は、諦めないんだね」
玲王「当たり前だろ!最初から諦められるくらいなら、それってホントに好きじゃねーと思うし、俺は欲しいものは全部手に入れる男なの」
ドヤ顔をした玲王の瞳が、子どものようにキラキラと輝いている - 167スレ主24/02/22(木) 12:01:24
玲王父『…誠士郎くん…ここに、ざっと三億円ある』
凪『…ハイ』
玲王父『サラリーマンが一生かけて稼ぐ金額だ。どうかこれでうちの玲王から、息子から手を引いてくれないか?』
凪「…わかる。それでこそ玲王、って感じ」
玲王「お!お前、俺のコトわかって来てんじゃん」
いつのまにか自分のことを理解し始めている凪に対して、玲王は喜びから満面の笑みを見せる
凪「(いや、玲王っていうか…御影家、かな)」
顔は似てないけど、あの父親の血が間違いなく玲王にも流れているのだと凪は思う
凪「…でもさ、それってただのエゴだよね」
玲王「はぁ?」
パンケーキにたっぷりのホイップとストロベリーを乗せて口に入れた凪の、食べている物は甘いのに、その口から出てくる毒のある発言に玲王が思わず聞き返した - 168スレ主24/02/22(木) 12:04:07
玲王「これのどこがエゴなんだよ」
凪「だって、好きな人のことを応援してあげるのが、ホントの愛なんじゃないの?」
玲王「…応援?」
凪「うん。もし、好きな人に他に好きな人がいるの分かってるのにこっちの気持ちを伝えるのってさ…ただ、相手を困らせるだけなんじゃないのかな…」
たしかに、凪の言うことには一理ある
しかし恋はそれだけが全てじゃない
玲王「たしかにそれもあるけど、でも俺は諦めたくない。あとで、あの時気持ち伝えてれば良かったとかって、後悔はしたくねーからな」
凪「…そだね。まぁこの話は結論出ないからさ、もーおしまいにしよ。そんで、さっき撮れなかったプリクラ撮りに行こっか」
玲王「おー、お前が恋煩いしてんなら、楽しく遊んで発散するか!」
店から出た二人は歩いてプリ機が置いてある店舗へと移動した - 169スレ主24/02/22(木) 12:06:59
in プリクラ専門店
玲王「へぇー、いっぱいあんなー。どれにするー?」
凪「え、全部一緒じゃないの」
玲王「いや、ビミョーにちょっとずつ盛れ方とかがちげぇんだって。あ、なぁ、これとかいーんじゃね?」
それ以上盛る必要などまるでない超絶美形の玲王が選んだ機種に、凪がついて行く
凪「なんか玲王詳しくない?いっつも誰かと撮ってんの?」
玲王「え?ノリでたまにクラスのやつとかー」
凪「…俺とは?」
玲王「撮ったことねーよ。つーか、多分ツーショットすらほとんど撮ってねぇかも。アイツいっつも俺の隠し撮りみたいなのしか撮ってなかったし」
凪「…」
それは本当に恋人なのか
ただのファンかストーカーじゃないのか、と凪は訊きたかったが、これから玲王とプリクラを撮るのだからわざわざ揉めるようなことを訊くのはやめておいた - 170スレ主24/02/22(木) 12:13:35
玲王「えー写り方とか選べるって。どれにする?」
機械に硬貨を入れた玲王が、慣れた様子で画面を操作しながら凪に尋ねる
凪「よく分かんないしフツーでいいよ。シンプルイズベスト」
そして二人は画面の指示に従って撮影ブースの中へと入った
凪「へー、中結構広いね」
大人数での撮影にも対応しているからか、自販機サイズの二人で入っても撮影スペースは広い
玲王「ハハ、でもカメラの位置が俺らにはちょっと低いんだよなー」
中腰になって、玲王は画面に映る自分の顔を確認していた
凪「玲王、髪乱れてる」
そう言って凪が玲王の髪を手で梳かす
凪「さっき外歩いて来た時、風強かったもんね」
玲王「…ありがと」
自分の髪を撫でる凪を、玲王が見上げた
玲王「あ、やっと目ぇ合ったな」
周りから閉ざされたこの空間で、自分だけを見て微笑む玲王の顔は、外で見せる表情とはまるで違っていて - 171スレ主24/02/22(木) 12:16:55
凪「…」
玲王「さっきの店の時からさ、何でこっち見てくんなかったんだよ。寂しいだろ」
凪が玲王とワザと目を合わさないようにしていたのは本当だ
玲王への気持ちを自覚すればするほどに、残された時間を考えた凪は、もう玲王と目を合わすのも辛くなっていた
凪「…玲王」
玲王「何、」
優しい笑顔で自分を見上げてくる玲王の顔を見た凪は胸が苦しくなって、思わずその腕の中に玲王を抱きしめた
抱きしめちゃった…
二人で密室?はマズいと思うんだが
凪に突然抱きしめられた玲王の反応と、二人にして欲しいプリクラのポーズを下3レスから🎲 - 172二次元好きの匿名さん24/02/22(木) 12:19:58
玲王→どうしたんだろう?と思って抱きしめ返す
して欲しいプリクラのポーズ→ちゅープリしてほしいです(欲望) - 173二次元好きの匿名さん24/02/22(木) 19:16:34
なぁぎ、どーした?頭痛い?
忘れてても思い出してもお前は凪だろ?心配すんなって!どんな凪でも俺は好きだよ
顔が写るようにほっぺにキスで撮る - 174二次元好きの匿名さん24/02/22(木) 19:35:25
もぉ…どうした?甘えたかー?ほんと何考えてるか分かんねぇなお前って(抱き締め返して背中ぽんぽん)
元の凪に見せつけるように玲王をバックハグしながらほっぺにキスで📸 - 175スレ主24/02/22(木) 21:31:33
- 176二次元好きの匿名さん24/02/22(木) 21:44:24
ちゅープリも元凪くんも楽しみです!
- 177二次元好きの匿名さん24/02/23(金) 01:33:19
凪くんファンいるよ!
スレ主前より更新頻度落ちてるということは多忙なんだろうな
忙しい中いつもありがとうね!ほしゅはスレ民にまかせろ! - 178二次元好きの匿名さん24/02/23(金) 09:10:39
あにまんの凪と玲王関連スレにて定番?のオレオだw
- 179二次元好きの匿名さん24/02/23(金) 19:02:29
ほしゅ
- 180二次元好きの匿名さん24/02/23(金) 22:49:31
保守
- 181二次元好きの匿名さん24/02/24(土) 09:43:31
ほしゅ
- 182二次元好きの匿名さん24/02/24(土) 17:30:10
ほっ
- 183スレ主24/02/24(土) 21:35:17
玲王「…」
急に甘えてきた凪に対して、玲王は少し戸惑いながらも抱き締め返し、その背中をぽんぽんと落ち着かせるようにして叩いてやる
玲王「もぉ…どうした?甘えたかー?」
優しい笑顔と声色で玲王が問いかけるが、凪は黙ったままで返事をしない
玲王「ホント何考えてるか分かんねぇよな、お前って…さっきまでは俺と目も合わさずに黙々とパンケーキ食べてたのにさ。いきなり今みたいに」
カシャ!
玲王「!?」
凪とハグしたままの玲王がまだ話している途中で、シャッターの音が鳴った
玲王「え、嘘?もう撮影始まってんの?」
先程撮影された画像が画面の下に表示される
現役DKの二人であるが、普段撮り慣れていないためプリクラの撮影スピードについていけてなかったのだ
凪「…ホントだ。何これ、撮るの早くない?」
しかしこれが普通のスピードなのである
ようやく玲王の肩から顔を上げた凪も、画面に映し出されたハグしている二人の画像を見た - 184スレ主24/02/24(土) 21:37:38
凪「…」
そこには、身長が高すぎるがゆえに、せっかくのハグプリも二人の顔の半分から下しか映っていないという出来栄えの画像があった
玲王「やっぱ、ちょっと屈まねえと顔全部写んねーな…」
凪「うん…」
画面の上には、次に撮るポーズの参考画像が表示されている
凪「へぇー、何これ。ポーズまで指定してくれるんだ?」
玲王「なるほど。次はうさ耳か」
画面の指示に合わせて玲王が頭の上でうさ耳を作って、凪に向かって「どう?」と見せる
凪「うん、超可愛いね」
玲王「じゃなくて!お前も一緒にコレすんの」
『うさ耳作って〜!3,2,1…』
二人のやりとりを待ってはくれない無機質なガイダンスの音声が流れ始め、玲王は集中してカメラを見た - 185スレ主24/02/24(土) 21:41:24
カシャ!
カメラの方を向いてうさ耳をしていた玲王の後ろから、シャッターのタイミングに合わせて凪が思いっきりバックハグをしてくる
玲王「ッ!は!?おいッ!」
凪「え?」
何か問題でも?というように、キョトンとした顔の凪を、両手が顔の横にあるうさ耳ポーズのままで抱きしめられ、少し肩をすくませた状態の玲王がなんとかして振り返った
玲王「『え?』じゃねえの!何してんだよ?今は撮影に全集中!甘えんのはその後!」
とにかく離せ、と、後ろから自分を抱きしめる凪の腕の中から玲王はなんとかして抜け出そうともがくが、その腕はビクともしない
玲王「離せって」
凪「あ、でも見てよ玲王〜。俺が後ろから抱きしめたから、ちょっと体勢低くなって今撮ったのはちゃんと顔も写ってるよ?」
凪に言われて玲王が画面を見ると、今度はちゃんと二人の顔がしっかりと全部写っている
しかし、その顔は無駄に目が大きく、顎は細く加工されていた - 186スレ主24/02/24(土) 21:47:09
玲王「うわ、誰だか分かんねえな」
凪「ヤバー。俺もだけど、玲王とか目ぇデカくなりすぎて宇宙人みたいになってんじゃん。絶対元のが可愛いし」
最新の盛れる技術も、玲王の前ではむしろ足を引っ張るだけの存在でしかなかった
玲王「…」
凪「…どしたの?」
バックハグしたままの凪が、応答のない玲王の様子を心配して横から確認する
玲王「バックハグとかんなことしなくても…ちょっと屈めば良いだけだろ?ちゃんと指示通りにやれって」
無駄に真面目な玲王は、顔の写りどうこうよりも、画面通りのポーズをとらない凪に少し怒っていた
凝り性というか、完璧主義というか
凪「(うぇ…玲王のキレるポイントわかんねー…)」
玲王「あ、次は指ハートだって。これは凪もちゃんと出来るよな?」
未だ微妙にバックハグをされたままの玲王が、凪に見せるようにして指ハート🫰を作ってカメラに集中する
正直、今の玲王はプリ機の撮影スピードが早すぎるがあまり、凪からのアレコレに対処する暇がないのだ
クラスメイトと何度かノリでプリクラを撮っているとはいえ、玲王も多忙ゆえに慣れるほどの回数を撮ってはいなかった - 187スレ主24/02/24(土) 21:59:41
凪「…はぁ、玲王ってなんでそんな優等生なの?疲れるでしょ。別に好きなポーズすれば良いじゃん」
そう言って、凪が後ろから抱きしめたまま玲王の頭をヨシヨシして次の撮影カウントが始まる
玲王はカメラに集中していて、凪に頭を撫でられたことにも気付いていなかった
玲王「もぉ、ハグはいいからお前も早く指ハートしようぜ」
『3,2,1…』
凪「えー。ごめん、無理」
玲王「は?」
カシャ!
そのシャッターのタイミングで、律儀に指ハートを作っている玲王の後ろから、凪はその頬にキスをする
玲王「おいっ!」
凪「だから、先に謝ったじゃん」
もう画面のポーズ指定など、凪はお構いなしだ
そして、先程からテンポ良く撮影された画像が画面の下に次々と並んでいった - 188スレ主24/02/24(土) 22:04:41
玲王「…なぁ、嘘だろ。お前との初プリがこんなのばっかとかヤなんだけど…」
凪「うわ、たしかにこれはヤバいねー」
一枚目が向かい合ってのハグ(顔の半分から下)、二枚目が玲王うさ耳でのバックハグ、三枚目が玲王指ハートでのバックハグ、からのほっぺにキス
この短時間の間に撮られた写真は、どう見ても付き合いたてのバカップルそのものな構図ばかりで、ようやく凪のバックハグから解放された玲王は頭を抱えて色んな意味で顔が赤くなっていく
『次が最後の撮影だよ〜!』
玲王「なぁ、頼むからちゃんと普通のも撮ろうぜ…」
これが凪との記念すべき初プリなんて嫌だ
玲王は画面に表示された二人で片手ずつ組み合わせてハート🫶を作るポーズをしよう、と凪に目で訴えかける
通常であれば、このポーズすら普段の玲王からすれば恥ずかしい部類のはずなのだが、先程からそれを上回る行いをされ過ぎているせいで少し感覚が麻痺していた
凪「普通の?…わかった」
なぜか凪が被っていたキャップをわざわざ取ってから玲王の手を引き、最初にハグをした時のように向かい合わせになったため、玲王の頭は再びクエスチョンマークに覆われていく - 189スレ主24/02/24(土) 22:11:51
玲王「?いーか、こーやって、俺とお前でハートを片方ずつ作るんだぞ」
凪「おっけー」
しつこいくらいに玲王が念を押す
凪と普通のプリクラを撮る、ここまで来たらもう玲王も意地であった
そして、凪も玲王の手を見ながらハートを作る真似をしてみる
玲王「(…良かった。やっぱりコイツも、話せばわかるんだよな…)」
『じゃあ最後のポーズ!いくよ?3,2,1…』
ガイダンスの音声と共に、最後の撮影が始まる
玲王は凪の方に身体を向けたまま片手でハートを作って、その手と顔をカメラの方に向けて笑顔を作った
カシャ!
しかし、そのハートが完成することはなかった
シャッター音とともに凪がハートの片割れを作っている玲王の手を取って、もう片方の空いている手で後頭部を押さえてその唇にキスをしたのだ
玲王「…」
凪「ごめん。なんか普通のチューしたくなっちゃった」
ああ…やっぱりほっぺにチューだけじゃ済まなかった
謝れば許されると思ってないか凪くん?
どさくさにまぎれて(?)プリクラの撮影中に口にまでキスされてしまった玲王の反応を下3レスから🎲 - 190二次元好きの匿名さん24/02/24(土) 22:18:02
普通のってそういうの意味じゃねーよ!(怒る)
- 191二次元好きの匿名さん24/02/24(土) 22:27:48
凪くんはそんなに俺とのキスプリ欲しかったのかな!?(照れギレ)
- 192二次元好きの匿名さん24/02/24(土) 23:02:03
ばっかやろう、どーすんだよこれ…(真っ赤)
- 193二次元好きの匿名さん24/02/25(日) 09:23:17
うーんどれが当たっても可愛い
- 194二次元好きの匿名さん24/02/25(日) 20:43:39
現凪くんが元凪くんに残せる噛み跡ですねぇ
- 195スレ主24/02/25(日) 20:47:04
- 196二次元好きの匿名さん24/02/25(日) 21:13:18
いつも楽しく読ませていただいています
本番迎えてもずっとスレ主のSS永遠に読みたい(強欲) - 197二次元好きの匿名さん24/02/25(日) 22:52:18
スレ主のぬいたち好きだ ほっぺたピンクの凪と泣いてる玲王のすれ違い可愛い
本番もめちゃくちゃ楽しみだー!スレ主の無理ない範囲で更新楽しみに待ってます - 198二次元好きの匿名さん24/02/26(月) 08:50:30
このシリーズ終わりを迎えてもたまに気が向いた時にでも凪玲のSSスレ単発で立てて欲しいな!
いつもありがとうスレ主 - 199スレ主24/02/26(月) 11:03:49
- 200二次元好きの匿名さん24/02/26(月) 15:23:24
どんな夢見てるの凪くんww