【SS】日曜日の朝、夜の続き

  • 1二次元好きの匿名さん24/02/04(日) 17:05:26

    「んん………………」

    意識が水面に浮かび上がるとき、初めに感じたのはアナタの温もりが既に居ないこと。

    冷える足先に眉根を寄せながら身を捩り、身体を丸める。

    枕元のデジタル時計を狭すぎる視界で凝視し、今日が日曜日であることに安堵した。


    もう少しだけ、朝という時間を出迎えなくても許されるはず。

    満ち始めようとした月を新月に戻し、意識を霧に包まれた波間に浮かべる。

  • 2二次元好きの匿名さん24/02/04(日) 17:05:57

    あめあめ、しとしと。
    冷たい冬の雨が窓を打ち、優しい雨音が力の抜けた耳を満たしていく。

    でも、同時にアナタの残していった温もりの残滓が少しずつ、ほんの少しずつ失われていく感覚が無視できなくなっていった。


    いつしか温もりは私を置いていき、取り残された身体は猫のように丸まるばかり。

    優しい音に満たされた空間が今はただの静寂、絵の描かれていないキャンバスのように思えてしまう。

    諦念に似た感情で独り朝の訪れから逃げ回っていると、不意にキャンバスに変化が生じた。

  • 3二次元好きの匿名さん24/02/04(日) 17:06:45

    ふわりと、淹れたての珈琲の香り。

    きっと、アナタがキッチンで淹れてくれているのだろう。
    不思議と冷えた身体に熱が戻る気がした。

    私は重たく軋む身体をなんとか動かし、冷たい床に降り立つ。
    強まる香りに誘われながらねこさんスリッパを履き、手近なものを羽織って部屋を後にした。

    強烈に眩しく感じる部屋の明かりに耐えながら香りの元へ進むと、声がかけられる。

  • 4二次元好きの匿名さん24/02/04(日) 17:07:22

    「おはよう、カフェ」

    「ぉふ…………んんっ……んっ…………おはよう、ございます」

    咳払いしてなんとか挨拶は返せたものの、喉からは掠れた声しか出ない。

    冬の空気はとても乾燥しているけど、おそらくそれは主たる要因ではないはず。

    「今、カフェの分も淹れるからソファで待ってて」

    今は優しいアナタの声に返事することを諦め、ソファに腰掛ける。

    窓を見やると外はまだ真っ暗。
    夜がまだ続いていることに微笑む、寝ぼけたウマ娘の顔が窓に映った。

  • 5二次元好きの匿名さん24/02/04(日) 17:07:54

    「できたよ、カフェ」

    「ありがとうございます…」

    マグを手に取り、まだ飲めないほど熱い珈琲の熱で冷えた手先を温める。

    そうしていると、アナタは私を揺らさないようにゆっくりと、そうっと隣に座ってくれた。

    間近で見るとアナタの顔も少しだけ眠そうで、いつもよりも覇気が無い。

    そのことに少し申し訳なさを感じつつも、腰をずらしてアナタの肩に身体を預ける。

    腕と頬から伝わるアナタの体温は、今は熱い珈琲よりも温かく感じた。

    時計は朝の時間が終わろうとしていることを示しているけど、もう少しだけ、このまま。

    愛おしい、夜の暗がりが晴れるまで。

  • 6二次元好きの匿名さん24/02/04(日) 17:13:46

    今朝が寒かったのでカフェと絡めて書いてみました。
    拙作ですが読んでくださりありがとうございます。

  • 7二次元好きの匿名さん24/02/04(日) 17:19:53

    👍

  • 8二次元好きの匿名さん24/02/04(日) 17:52:18

    >>7

    🙏😉

  • 9二次元好きの匿名さん24/02/04(日) 18:26:07

    保守

  • 10二次元好きの匿名さん24/02/04(日) 19:02:27

    保守

  • 11二次元好きの匿名さん24/02/05(月) 01:30:53

    良いぞ……

  • 12二次元好きの匿名さん24/02/05(月) 01:39:43

    昨日今日の寒さが吹っ飛ぶ素敵なssでした

  • 13二次元好きの匿名さん24/02/05(月) 13:20:58

    あげ

  • 14二次元好きの匿名さん24/02/05(月) 13:23:49

    絶賛雨降りだから助かる

オススメ

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