- 1二次元好きの匿名さん24/02/06(火) 00:46:58
窓の外はあいにくの雨模様。今日は一日降り続けるとのことで、今日は室内トレーニングだけになるのが残念です。窓の外を眺める私に声をかけることなく、暫くの間ちらりとこちらの様子を伺っているトレーナーさんも少し悲しそうな顔をしていました。
「この雨、夕方ぐらいから雪になるから明日は積もるかもって」
「ウソでしょ……!? もう二月ですよね」
確かに今日はいつもより少し寒いような気はしていました。早朝に目が覚めて布団を脱いだとき、窓から感じる冷気がほんの少しいつもより強いような気がして。白く積もる一面の雪、誰もいない白い絨毯に足跡を残していけるのが楽しくて好きな景色の一つ。
「今日はトレーニングが終わったらできるだけ早めに帰ろうか。足下も悪くなるだろうし」
「ええと、積もるってどのくらい積もるんですか?」
「都心の方でもそこそこ積もるってニュースもあるし、この辺ならしっかり積もるんじゃないかな」
日課のランニングは出来ずとも、あの景色が見られるならちょっとだけ我慢するのも悪くないな、なんて。もっとも、トレーナーさんに言ったことはないのでただ悲しんでいるだけに見えているかもしれませんが。 - 2二次元好きの匿名さん24/02/06(火) 00:47:14
その日の帰りは既に軽く吹雪いていて、足下は雨と雪が混じってシャーベットみたいに。気をつけないと滑っちゃいそうな道を見たトレーナーさんは、あまりの心配性なようで。寮まで送っていくと言っておぼつかない足下で寮の前までついてきてくれました。
「うわっ……!」
「大丈夫ですか?」
もっとも、この天気はトレーナーさんの方が慣れていなかったようでした。寮につく頃にはすっかり意気消沈といった様子で、安全のために送っていくはずがなんて言ってました。
そして翌朝、まだ気持ちよさそうに寝ているスペちゃんを起こさないように布団をめくり、窓の外をちらりと眺めてみると一面の銀世界に。昔見た景色に比べたらまだ厚みは足りないですが、それでも誰の足跡もついていない真っ白な世界が美しくて、ついつい見とれてしまいます。
「おはようございます、ちゃんと起きてますか?」
「いつもこの時間だからね。おはよう」
部屋を出てトレーナーさんに電話すると、一コールも立たないうちに応答が返ってきました。今日はトレーニングできそうにないですが、それでも私はこの時間から外に行きたい理由があります。
「今日の朝練は中止だから、もうちょっと寝たかったら寝ててもいいよ」
「いえ、少しだけトレーナーさんに付き合ってほしいことがあって。この後行きますね」
返事を聞かずに通話を切り、しっかりと防寒具を着込んで外へ。トレーナーさんはいつもの朝練場所にやってきてました。
「この地面じゃ走れないけど、どうしてここに」
「走らなくても、トレーナーさんとこの景色が見たくて」
それ以上の説明はなくても、トレーナーさんはコクリと頷いて私の隣でゆっくり歩き始めました。昨日のあの滑りっぷりを見てたらちょっと不安になるので、今日は私が彼の腕を掴んで、いざという時は支えられるように。
「心配せずとも、昨日のようには滑ったりコケたりはしないよ」
「ダメ……ですか?」
返事はなく、無言での了承と受け取らせてもらいます。まだ誰も足跡を残していない、真っ白な雪のキャンパスに私とあなただけの足跡を残しながら。
- 3二次元好きの匿名さん24/02/06(火) 00:51:53
そんなわけで雪景色とスズカさんでした
前作はこちら
【SS】私が見たかった景色|あにまん掲示板 相変わらず降りしきる雪は、氷点下の外気も相まって溶けることなく地面の厚さを増していきます。長きに渡る遠征疲れを鑑みてか、年末に帰国してすぐにトレーナーさんが言い出した温泉療養。トレーナーさんも私も、…bbs.animanch.com帰り道、雪に足を取られてコケかけた時にふと思いついたお話でした。ゆっくり二人で歩くのもいいですよね。
昨日のライブで帰ってきたスズカさん、もとい高野麻里佳さんを見て涙してきました。一段と大きな歓声が上がるところに皆の愛を感じます。
- 4二次元好きの匿名さん24/02/06(火) 01:02:25
良い
情景が目に浮かんでくる - 5二次元好きの匿名さん24/02/06(火) 01:15:46
- 6二次元好きの匿名さん24/02/06(火) 07:04:49
朝上げ
- 7二次元好きの匿名さん24/02/06(火) 08:01:55
先頭民族扱いされてるスズカさんだからこそ、一緒に歩く行為が映えますわぁ
- 8二次元好きの匿名さん24/02/06(火) 08:53:17
走るより歩く方を選ぶスズカさんはすごくいい…