ムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って…そうだ……!Part4

  • 1二次元好きの匿名さん22/01/16(日) 13:19:14
  • 2二次元好きの匿名さん22/01/16(日) 13:22:28

    保守っ!保守をお忘れなくっ!

  • 3二次元好きの匿名さん22/01/16(日) 13:22:40
  • 4二次元好きの匿名さん22/01/16(日) 13:22:43

    保守

  • 5二次元好きの匿名さん22/01/16(日) 13:24:33

    これだけ色々嫌がらせしてやったんだもの、きっとあのぽっと出も堪えてる筈よ!

  • 6二次元好きの匿名さん22/01/16(日) 13:25:01

    まさか4スレ目までいくとはねぇ…

  • 7二次元好きの匿名さん22/01/16(日) 13:25:12

    初心に帰って嫌がらせの方法でも考えるか……

  • 8二次元好きの匿名さん22/01/16(日) 13:25:51

    >>1

    次からはパート1と前回のスレだけでいいんじゃない?

  • 9二次元好きの匿名さん22/01/16(日) 13:26:06

    >>7

    トレーニング靴を隠すとか

  • 10二次元好きの匿名さん22/01/16(日) 13:26:49

    >>9

    は?そんなことしたらぽっと出だけじゃなくてトレーナーや併走相手にも迷惑かかるでしょ……

  • 11二次元好きの匿名さん22/01/16(日) 13:27:42

    >>9

    シーズンが終わった夏用、冬用トレーニング靴を適当な温度・湿度が保たれた清潔な箱に半年間隠すとか

  • 12二次元好きの匿名さん22/01/16(日) 13:28:29

    >>10

    関係が構築されるまではこういうことやりそうだなって

  • 13前スレ187•18822/01/16(日) 13:31:06

    私は文才なき小市民…
    誰か私が解き放ったプロットを文にしていただきたき候…

  • 14二次元好きの匿名さん22/01/16(日) 13:32:36

    最初はしっかりちゃんとした嫌がらせも挟んでいると落差で萌えれるタイプの人間です

  • 15二次元好きの匿名さん22/01/16(日) 13:33:34

    >>14

    他人に迷惑はかけられないし関係ない他人に靴紐解くとか座学の教科書隠すとかにしとくか

  • 16前スレ187•18822/01/16(日) 13:33:34

    でもイチちゃんってトレセン内であのオグリキャップを一人で抑え込めてる猛者って評価されてそう

  • 17二次元好きの匿名さん22/01/16(日) 13:34:41

    スペちゃん乱入概念ありですか?

  • 18二次元好きの匿名さん22/01/16(日) 13:35:00

    >>15

    確かにそっちのほうがいいね

  • 19二次元好きの匿名さん22/01/16(日) 14:27:07

    >>13

    心得た、自分の解釈マシマシになっちゃうけど、待ってて

  • 20二次元好きの匿名さん22/01/16(日) 15:16:17

    イチちゃんのこと今までダートウマ娘路線で考えたけど、オグリの有馬記念の同日に開催されるグッドラックハンデに出走して、全力を以て勝利を獲得するイチちゃんが見た過ぎる
    そのあとオグリの控室まで行って、
    「見た?オグリ」
    「私は勝った。これまでうだつの上がらなかった、私は勝った」
    「あんたはオグリキャップなんでしょ、勝ちなさいよ」
    「勝って私たちに見せつけなさい!」
    って無茶苦茶なハッパかけてほしいな……!

  • 21二次元好きの匿名さん22/01/16(日) 19:43:46

    イチちゃん、嫌がらせで嫌いなもの差し入れようっていうのを妙案だと思って実行しちゃう子だから、直接的にオグリが怪我するようなことはできなさそうなんだよな。

    服のボタン一個取れかけにしておくとかならできるかな。

  • 22二次元好きの匿名さん22/01/16(日) 19:46:33

    >>21

    曇らせたいわけじゃないし荒らすわけじゃないけどもワンチャン体調崩すことを狙った嫌がらせってなかなか重くない…?

  • 23二次元好きの匿名さん22/01/16(日) 19:49:53

    >>21

    全然気が付かなくてモヤモヤして結局自分で直しちゃって

    その場面を見られて感謝されてそう

    「違うから!このボタン私がほつれさしたんだからね!?」ってホントのことを言うけど嫌がらせにしては地味すぎるし本当だとしても直す理由にはならないから照れ隠しにしか聞こえない

  • 24二次元好きの匿名さん22/01/16(日) 19:51:35

    1ちゃんってホントに体調崩すのに成功したら私のせいでオグリが…ってなりそう

  • 25二次元好きの匿名さん22/01/16(日) 20:30:05

    「いつもお前を見ているぞ」っと…この手紙をアイツの靴箱に入れて…フフフ、居もしないストーカーに恐れをなすがいいわ…!


    >>1ちゃんがオグリさんの靴箱にラブレターを入れてる…!)


    なんやオグリ、ファンレターかいな?

    あぁ、いつも見守ってくれてるなんてあたたかいメッセージだ!こうやって応援してくれる人の為にも頑張らないとな…!

  • 26二次元好きの匿名さん22/01/16(日) 20:35:20

    毎日オグタマ部屋に寝起きドッキリをしかけるおかげで早起きの習慣が身について感謝されてほしい
    それでイチちゃんが風邪引いた時に「今日は来ないな......」ってなってオグタマにお見舞いに行って欲しい

  • 27二次元好きの匿名さん22/01/16(日) 20:36:46

    >>25

    いい…程よい陰湿さとオグリの天然さが個人的にオグイチの導入に丁度よい…

  • 28二次元好きの匿名さん22/01/16(日) 20:40:28

    >>22

    嫌いな食べ物食わせようとするのって個人的には、

    人付き合いの中で善意で奢られたのが嫌いな食べ物だと頑張って食うの大変で困るはず!って考えで実行してる印象だったので、ガチでオグリが体調不良起こしたら>>24になる気がする

    善意で苦手なもの食わせようとしてブライアンが困るのが姉貴、イジワルで苦手なもの食わせてオグリを困らせようとして自分が困るのが1ちゃんで、傍目にはどっちも同じ善意によるものに見えてるイメージ

  • 29二次元好きの匿名さん22/01/17(月) 00:39:30

    スレの流れが原点に戻ってる感じがしてなんだかいいな。すっかりオグリ好き好きイチちゃんの流れになってたから、もともとどういう経緯だったのかが妄想できて楽しい

  • 30二次元好きの匿名さん22/01/17(月) 02:46:12

    側から見たらオグリ好き好きでも、イチちゃん本人はずっとスタンス変えてないつもりなのが好きなんだ。

  • 31二次元好きの匿名さん22/01/17(月) 12:04:47

    イチちゃん真面目かわいいなあ

  • 32二次元好きの匿名さん22/01/17(月) 12:28:49

    あら、手袋が落ちてるわ。やだこれあいつのじゃない!ご丁寧に名前が刺繍されてるわ!このまま持ち去ってしまえばあいつの両手はしもやけで大惨事よ!ほーっほっほ!
    『うう…手が痛い…指が動かない…』(しょんぼり)
    ……

    あっオグリ!あれお前のと違うか?
    本当だ!…でもなんかワッペンが付いてる
    なんやこれ?幼稚園児がかばんに付けるような可愛らしいものばかりやんか!こんなん恥ずかしゅうて着けられんやろ!
    いや、特に気にしないが…
    少しは気にしろ!

  • 33二次元好きの匿名さん22/01/17(月) 12:31:56

    ワッペン付けてるときに(何してるのよ私…)って自問してると私性合

  • 34二次元好きの匿名さん22/01/17(月) 20:41:36

    ククク…ネットであいつを貶めてやるんだから!でも匿名掲示板の連中みたいに○ねとか書いたり無根拠な言いがかりと妄想でグチグチ燻ってるなんてみっともない真似はしないわ!そもそもウマッターの規約にひっかかってバンされちゃうし!私はもっと婉曲表現を巧く使ってバレないように攻撃してやるんだから!
    「オグリキャップがコーンポタージュの缶を飲んでる時に中に入ってるコーンが出てこないでやきもきしますように」
    「オグリキャップがカップ焼きそばを作ってる時にシンクのベコンって音でビビりますように」
    「オグリキャップが友達と猫カフェ行って自分だけ猫に威嚇されますように」
    完璧だわ!

  • 35二次元好きの匿名さん22/01/17(月) 22:24:25

    >>34

    フォロワー「この子ホントにカワイイな」

  • 36二次元好きの匿名さん22/01/17(月) 22:27:35

    前書いたやつがじわじわ伸びてるんだ
    ちょっと恥ずかしいんだ
    今のスレの流れを見るとしっとりさせすぎた気もするけど
    まぁいいでしょう

  • 37二次元好きの匿名さん22/01/17(月) 23:31:39

    オグリが携帯の操作が苦手なのを知ってここぞとばかりに連絡先を交換するイチちゃんだけど、オグリのびっくりする姿が見えないと面白くないからと少し離れた所から不意打ちで連絡するんだよね。
    たしかにオグリは着信にびっくりしたりどう操作すればいいのかアタフタしたりするんだけど画面を見てイチちゃんからの連絡だとわかった瞬間に側から見てもわかるぐらい幸せそうな嬉しそうな雰囲気を出すんですよ。
    苦手なことでびっくりさせることに成功したけど何故か嬉しそうにしてるオグリを見てなんとも言えない気持ちになるイチちゃん。
    みたいな幻覚

  • 38二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 00:41:10

    >>36

    しっとりしたのもいける、快活なのもいける、イチちゃんの可能性が無限大であることの証左ですわ

  • 39二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 02:49:38

    「はい!そこまでにしてください。今日は終わりましょう。」
    一番太陽が高く達する時間に、トレーナーの号令がかかる。
    熱がこもった脚を止めて、飲み物をあおるように飲む。
    調整の意味合いが強い、土曜日の午前錬。
    「ふくらはぎは大丈夫そうですか。」
    「はい、痛みとかは特にないです。月曜日からはいつものメニューで大丈夫だと思います。」
    「良かった、ちょっと心配だったので。」
    そういって、トレーナーが笑う。ちょっとへにゃっとした笑顔がかわいい人だ。
    そんな顔してるのに、見るとこしっかり見てるんだから、やっぱりトレーナーなんだな、って思う。
    「次のトレーニングがどんな予定とか、決まってますか。」
    「併走トレをお願いしてます。相手ですけど、きっと驚きますよ。」
    ニヤっとトレーナーが笑って、こちらを見る。こういう悪役みたいな顔、似合わないなあ。
    「誰なんですか?」
    「なんと、ついこの間トゥインクルシリーズを卒業した、クロガネトキノコエさんです!
    名前を聞いて、一瞬、頭の中が空っぽになる。
    そのあと押し寄せてくる衝撃が、私の理解の限界を超えた。
    「えーーーーーーっ!あの!?」
    私の反応を見て、トレーナーが嬉しそうな顔をする。
    「そうです!併走トレ依頼を出したところ、相手方のトレーナーさんからもOKがでました。」
    「そ、そんなダートの王者さんが、なんで私と……?」
    「なんでも、今の私の役割は後進の育成だって言って、クロガネさん自身がぜひ、って。」
    クロガネさんと言えば去年の帝王賞・東京大賞典を揃って優勝した、『鉄人』だ。
    人気が薄いと言われるダート界で、初めて公式でカウントされたファン数が30万人を超えたことで、人気の火付け役になっている。
    そんな偉大なウマ娘と走れるなんて、夢にも思ってなかった。
    「わ、私で務まりますかね……?」
    「どうして併せてもらう側が心配するんですか。そう緊張せず、全力でぶつかってください。」
    私の返事がおかしかったのか、笑いながらトレーナーが言う。
    「は、はい。頑張ります……。」
    モヤモヤと考え込む自分をよそに、トレーナーから解散の指示が出る。
    お疲れ様でした、と言って、浮ついた足取りでロッカールームに向かった。

  • 40二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 03:03:18

    シャワーで汗と泥を落とす。パリパリに乾いた土が流されて、汚れが落ちていく。
    冷たい水で流す派の子が多いけど、私はあったかいお湯のシャワーのほうが嬉しい。
    身体と髪を流したら、尻尾の汚れを手でもみながら洗っていく。
    石鹸を手のひらにとって、泡立てる。
    シャワー室の床に落ちる、黒く濁った水がだんだんと透明になる。この瞬間が気持ちいい。
    ご飯をといでるときの感じに似ているのかな。あっちは手が冷たくてしんどい時もあるけど。
    全部済んだら、身体を拭いて、ドライヤーで尻尾までしっかり乾かして、着替える。
    お昼の時間も過ぎて、お腹が限界だって叫びをあげる。
    なーに食べよっかな、とのんきな気持ちでロッカールームを出ると、目の前に見慣れた顔の、葦毛のアイツが立っていた。

  • 41二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 03:03:36

    「やあ、おつかれさま。午前練だったのか。」
    「ああ、うん。」
    「そうか、お疲れ様。」
    それを言ったっきり、私たちの間を沈黙が流れる。
    えっ、これで終わり?
    通りかかったって感じでもないのに、何だったんだろう。
    じゃあ、と言って脇を通り過ぎようと思ったら、カニみたいに横移動して、道をふさいでくる。
    お互い同じ方向に進んでしまったか、と思って避けようと反対側に足を向けたら、同じようにふさいできた。
    二回、三回、四回。
    何度避けてもブロックしてくる。
    「もーっ、何!」
    「す、すまない、だが、この後は空いているだろうか。」
    「お腹減ってるからご飯食べたいの!」
    「お腹が減っているのか!それは良かった。それで、この後は空いているか。」
    じっとこっちの目を見ながら、ずっと聞いてくる。
    それがなんだかムカッと来てしまった。
    「だから、ご飯を食べるんだってば!」
    「うん、実は私もお腹が減っているんだ。」
    「オグリはいつでもお腹減ってるじゃん!」
    「そうだ。だから、ちょうどいいと思ったんだ。」
    何!?なんなの!
    会話がイマイチ成立していない気がしてくる。
    声を張り上げたせいか、お腹からもグゥと抗議の声が上がる。恥ずかしい。
    それを聞いたオグリが、耳を動かしながら、キリッとした顔で手を差し出した。
    「お腹が減っているなら、ついてきてくれ。」

  • 42二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 03:04:48

    無下に断るのも悪かったので、黙ってついていく。
    心なしか、足取りがちょっと軽そうに見える。フンスフンスと気合が入っているようにも見える。
    揺れる葦毛の髪の毛の先は、どう考えても寮の方向だった。
    ついていくも何も、私もそっちに一回帰る予定だったんだけど……
    用件を聞いても、「すぐわかる」と言って教えてくれない。
    どんどん体力が削がれて、お腹の抗議の声がデモに変わってくる。もうちょっとだけこらえてね……
    すると、オグリが顔半分だけ振り返って聞いてくる。
    「イチは、カレーは好きか?」
    「そりゃ、好きですけど……よくクリークさんが作ってますし。」
    「そうか!それは良かった。うん、分かるぞ。カレーはおいしいからな。」
    そう言って、会話が終わる。なんなの!
    カレーという暴力的な言葉のせいで、また空腹感が強くなる。鳴るな、鳴らないで……
    そんな思いとは裏腹に、グゥとお腹が弱音を上げる。
    聞こえてしまったのか、ふふっと笑う声がする。
    「何ですか、そんなにお腹が鳴るのおかしいですかっ。」
    「いや、いつもはイチからお弁当をもらってばかりだから、イチもお腹が空くんだなと思ったんだ。」
    「そりゃ、お腹は減りますよ。」
    「トレーニング後だからな。すまない。もう少しなんだ。」
    だから何がですか、っていう言葉をぐっと飲み込む。
    寮が近づいてくる。心なしか、いい香りがする。
    オグリも気づいたのか、尻尾が揺れ始めていた。

  • 43二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 03:08:15

    寮の玄関の前には、これまた葦毛の、ちょっと小さい先輩ウマ娘が、仁王立ちしていた。
    こちらに気付いたのか、片手をあげてきた。
    「おーっ朝練お疲れさん!なんや、まだ髪の毛ちょっと濡らしとるやんけ。」
    「タマモ先輩、お疲れ様です。」
    「待たせてしまってすまない、タマ。」
    オグリの同室で、『猟犬』『白い稲妻』と呼ばれている、タマモクロス先輩だ。
    オグリの後ろで、軽く会釈する。
    「ホンマやで、もう1年くらい待っとったからお腹ペコペコや。」
    「そ、そんなはずはない!頼んだのは一昨日だから、そんなに長くないはずだ。」
    「そんなこた分かっとんねん、ええからはよ中入ろ。」
    先輩から手招きされて、寮に入る。
    玄関を抜けて廊下を渡って、共用ラウンジが近くなるにつれて、いい香りがどんどん強くなるのを感じる。
    コンソメとたくさんのお野菜、それとご飯の炊ける香り。
    これはカレーだ、と確信した。寮でカレーはおろか料理をする人なんて、ほとんど一人しかいない。
    なんだか、話がだんだん見えてきたような気がする。
    理解が及んできたからか、お腹が安心したようにグゥと鳴る。鳴らないでってば。
    「なんや、めっさ腹減っとるやんけ。」
    「そうなんだ、ここに来る間も、ずっとイチのお腹から音がしていたんだ。」
    「ちょっと、ずっとじゃないってば。」
    「鳴ってたのは否定しないんかい!」
    それに返事するかのように、またグゥと鳴る。
    「おー可哀そうになあ。もう少しやからこらえてな~。」
    タマモ先輩が私のお腹に向かって声をかける。
    ただでさえ恥ずかしいのに、コイツの前で鳴るって言うのが輪をかけて良くない。
    もう少しこらえてね、もうちょっとで、すごいおいしいカレーにありつけるから。
    私も一緒になだめる。もう少しだから、もう恥をかかせないで……
    「ほい、お待ちどうさん!」
    いい香りが詰まったラウンジに、タマモ先輩が開けてくれた扉を通った。

  • 44二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 03:18:02

    一番大きいダイニングテーブルに、大小それぞれな深皿がきれいに並べられていた。
    その横には、銀色に輝く大きいスプーン。
    「おっ、やっと来たかい!」
    良く通る快活な声が響く。
    椅子に片足乗せて座っていたウマ娘が、待ってましたとばかりに膝をポンと叩いて、椅子を飛び降りた。
    「おうい、もうついじまっていいぞ!」
    「はあい、分かりました~。」
    キッチンからは、もう一人。毎朝お世話になってる、クリークさんの声だ。
    「おうイナリ、待たせたなあ。」
    「べらぼうに腹が減っちまって、もう腹と背の皮がくっついちまうところだったぜ。」
    イナリさんだ。思い出せないところだった。会釈しながら、心の中で謝る。
    「おう、お疲れさん。ほれ、とっとと座った座った。」
    イナリさんから促されて席に座る。
    「あの、これは一体……?」
    「なんだオグリ、なんも言っとらんのかい。」
    「ああ。だが、カレーは好きだと言っていたぞ。」
    「言わなきゃアカンのはそこちゃうねん!」
    「何っ!そうだったのか。」
    オグリの小ボケを聞いていると、いい香りと一緒に、クリークさんの声がした。
    「今日は、みんなでお昼ご飯を食べましょうって相談していたんですよ~。」
    クリークさんの手には、山盛りになったカレー。オグリが、おお、と感動したような声を上げる。
    それを見て、パッと身体が動いた。
    自分の目の前にあるお皿を手に取って、席を立つ。
    「わっ、大丈夫ですか。手伝いますよ。」
    「ありがとうございます、でも大丈夫ですから、いい子で待っててくださいね~。」
    「いや、悪い子ですから、クリークさんを手伝います。」
    そんな、大丈夫ですよって言うクリークさんの脇をすり抜けて、キッチンに入る。

  • 45二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 03:21:06

    クリークさんの使うキッチンは、とてもきれいだ。
    吹きこぼれなんて絶対起こさないし、どういうわけか、炒め物の油跳ねも見たことが無い。
    後ろからお皿を持ったクリークさんが入ってきた。
    「イチちゃん、トレーニングの後なんですから、待っててもいいんですよ。」
    「ご馳走になるんですから、座ってなんかいられませんよ。」
    「そんなあ。それなら、好きなだけ盛ってくださいね~。」
    「いいんですか、たくさん食べちゃいますよ?」
    ちょっと吹っ掛けてみる。たくさん食べる、って言うと、クリークさんはキラキラした笑顔になるからだ。
    業務用のお釜にたっぷり入ったご飯をついで、カレーをこれでもかってくらいにかける。
    にんじん、ジャガイモ、玉ねぎと、お肉は鶏肉だ。
    「お肉、鶏なんですね。」
    「そうなんです、牛肉か豚肉にすると、タマちゃんとイナリちゃんの間でケンカしちゃうので……。」
    なるほど。その手の問題は深刻だ。
    自分のカレーを側において、クリークさんのお皿を受け取ろうとする。
    「えっ、イチちゃん、そこまでしなくて大丈夫ですよ~。」
    「それこそ大丈夫ですから!これ、クリークさんのですか?」
    「タマちゃんのです。ありがとうございます~。」
    「タマモ先輩ってそんなに食べないって噂ですけど、本当ですか?」
    「そうですね。そのお皿と同じくらいの量で盛ってください。」
    オグリとライバルで、同じ葦毛で、同じくらい強いのに、対照的だ。
    二人分のカレー皿を手に、クリークさんにバトンタッチする。
    「おーっ、すまんなイチ、おおきに。」
    「タマモ先輩、これだけで本当にいいんですか?」
    「かまへん、今日は休みやし、もともとそんな食べられへんねん。」
    隣のオグリと比較するととんでもなく少なめに見える。
    イナリさんと自分の分を持ったクリークさんが戻ってきて、全員の分がそろう。
    タマモ先輩がぐるっと周りを見て、声をかける。
    「ほんなら、食べよか。いただきます。」
    「はい、いっぱい食べてくださいね。」
    私もお腹が限界だ。手を合わせて、ご馳走になることにした。

  • 46二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 03:26:04

    考えてみたら、オグリのご飯を食べるところを近くで見たことがなかった気がする。
    毎朝お弁当をパクパクしてるところは見るけど、食事をちゃんとしてるところは知らなかった。
    噂には聞いていたから、さぞすごいものなんだろうな、とは思っていた。
    その実態は、何か大食いショーでも見てるんじゃないか?ってくらいのものだった。
    クリークさんの作った、山のように盛られたおいしいカレーが、とてつもない勢いで消えていく。
    「いつ見てもすごいもんやなあ。」
    「全く信じらんねぇなあ。どこに消えてんだ?」
    「そりゃイナリ、宇宙の彼方に決まっとるやろ。」
    「うふふ、いっぱい食べてくださいね~。」
    3人の会話も差し置いて、オグリはすっかり、目の前のご馳走に夢中なようだ。
    みるみる内にカレーがお皿から消えて、陶磁のお皿の底が見える。
    オグリが空になったお皿を手に、クリークさんへ目配せして、言う。
    「おかわり。」
    はぁーい、とクリークさんが嬉しそうにお皿を受け取り、パタパタとキッチンへ消えていった。
    なんだかそのやりとりが、ちょっとうらやましくなってしまった。
    いつも一つのお弁当しか差し入れられない私は、オグリの「おかわり」に応えたことがない。
    コイツ、みんなで食卓を囲んでるときは、こんな顔するんだ。
    コイツの「おかわり」って言葉は、こんなにあったかくて素直で、可愛らしいんだな。
    当たり前だけど、いきなり渡された弁当を食べるよりも、みんなでご飯食べてるほうが楽しいのかな。
    ちょっと濁ってきた心境を晴らすために、お水の入ったコップを口に運ぶ。
    二人で一緒に食べてるわけじゃなくて、私は嫌いなもの探してるだけだし。なんなら悪意の塊だ。
    オグリとタマモ先輩、イナリさん、クリークさんは善意で誘ってくれたのに。
    そう思うと、みんなで一緒に席を囲むのが、なんだかいたたまれなくなってしまった。
    皆の楽しそうなご飯の後の会話すらも、勝手にトゲトゲしたものに聞こえてくる。
    食べ終わったお皿を洗って、席を立とう。
    そう思った矢先、タマモ先輩が口を開いた。

  • 47二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 03:33:36

    「どやオグリ、毎朝の愛妻弁当抜きのお昼やからウマいやろ。」
    その言葉に、ぐっ、と喉が水を拒む仕草をした。
    言葉を挟む間もなく、二人の会話が続いていく。
    「おいおい、なんでえその愛妻弁当っちゅうのは。」
    「イナリ知らんのかい!これは言うなれば根も葉もない噂っちゅうやつやけどな、オグリには朝しか会えん通い妻がおんねん。」
    「何言ってやんだ、するってぇと、すっかりオグリにとーんときちまってるヤツがいるってことかい。」
    「せやでー、ええ話よなあ。」
    「ちょっと待った、誰もその通い妻ってのは見たことが無いのか?」
    「せや。オグリが起きだす時間じゃないと見れないから、誰も姿を確認してないらしいねん。」
    タマモ先輩とイナリさんって噂話とかしない人かと思ってたけど、そこはやっぱり女子学生らしい
    オグリがこちらを見てくる。
    やめてオグリ、こっちを見ないで。視線だけは合わせないようにして先輩たちを見る。
    「やっぱりお弁当無いと足りへんか、オグリ。」
    「そうだな。お休みの日はカフェテリアの朝ごはんもちょっと量が少ないから、お昼が待ち遠しい。」
    「そっちのイチは、オグリの通い妻についてなんか知らん?」
    はい私です、なんて言えるわけもない。
    ヤバい、さっきの気持ちも合わせて早く逃げたい、と思って空になったお皿を手に取ったその時。
    「ああタマ、それはイチだぞ。」
    すると、予期していた通り、やっぱり葦毛の怪物サマが、やらかしてくれた。
    「はっ?」
    タマモ先輩が、『素っ頓狂』ってこういうことなんだ、というくらいにお手本みたいな声を上げる。
    イナリさんがぶーっと水を吹き出した。何さらしてけっかんねん!ってタマモ先輩が笑っている。
    「うん。イチだぞ。通い妻なんて言われているのは、なんだか恥ずかしいな……。」
    オグリが手で後ろ頭を押さえながら、顔を赤らめる。アンタが恥ずかしがるところはどこにもないでしょ!
    「えっ、ホンマなん?」
    「いや、仲がいいとは思ってたが、そこまでとはねぇ……。」
    「オグリに合わせて朝起きるん、相当大変やろ。」
    「茹でダコみたいな顔しちまって。よぅオグリ、いつも何を食べさせてもらってるんだい。」
    なんで私に聞かないの!?
    口を挟もうとしたよりも早く、オグリが答えた。

  • 48二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 03:34:54

    「イチはいつも、野菜中心なんだ。」
    ちょっと待って。
    「ブロッコリーとかアスパラガスとか、この間は地元のトウモロコシを使った料理だった。」
    トウモロコシじゃなくてスイートコーン!
    「カフェテリアでは食べれないような、酸っぱいものとかも入っているんだ。」
    それは、アンタが嫌いだろうからって思って。
    「他にもたくさん作ってくれるんだが、イチがいつも作ってくれるお弁当は……すごく美味しいんだ。」
    そんなタメを作って言うようなことじゃないでしょ!
    「かーっ、これはたまんねぇなぁ~!」
    「アカン、ウチのほうが顔赤うなってきた……。」
    「オグリはなんでも食べっちまうからなあ、確かになあ。」
    「ウチのチビ達なんか、ウチが泣いて頼んだってブロッコリーもアスパラも食べへんのに……。」
    「酸っぱいもんはあんまり好かねえけど、気付けとして朝にはいいかもなあ。なるほどなあ。」
    ちょっとイナリさん、勝手にいろいろと納得するのやめて……
    そこには複雑な事情がありまして、なんて説明したら軽蔑の的だろうし。
    どう弁明したものかと考えてるうちに、オグリはどんどん走って行ってしまう。
    「味も美味しいしバランスもいい……ああ、それに。」
    「おっ、なんやなんや。」
    「イチのお弁当からは、温かい気持ちが感じられるんだ。」
    な、何を言い出してるんだアンタは。
    「うん。二人にも食べてほしいくらいだ。あんなにいいものを、一日の初めに独り占めできる私は、とても幸せ者なんだ。」
    そんなクサい言葉を、生きている内に耳で聞くことになるとは全く思っていなかった。
    タマモ先輩はアッハッハとお腹を抱えて笑ってしまっているし、イナリさんはこりゃあ参ったねえ……とかイミわかんないこと言ってくる。
    こんなんじゃ、まるで私がオグリのことを……いや、言いたくない!
    オグリをキッとにらみつけても、いつもありがとう、とか言って、頭を下げてくる。
    どうしよう。何とかこの誤解を解かないと。

  • 49二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 03:37:21

    クリークさんがカレーのお代わりを持って戻ってくる。
    顔を真っ赤にした私たちを見て、疑問に思ったみたい。
    「あら~?みんなそんなに顔を赤くして、どうしたんですか~?」
    「いやちょっとな、夫婦漫才について語っとったんや。」
    「夫婦漫才、ですか?」
    「そうだぜクリーク、ここにいる二人は負いねえ仲ってわけよ。」
    「あっ、もしかして、お弁当のことですか~?」
    クリークさん、いつも要領のいいすごい人だと思ってたけど、こんなところで察し良くならないでほしい。
    「イチちゃん、毎朝頑張ってますもんね~。」
    「なんでえクリーク、良く知ってそうじゃねえか。」
    「はい。だって、いつも一緒にお弁当作ってますから~。」
    信頼のおける証人の証言に、印象が揺るぎないものとなってしまった。
    とどめの一撃って、こういう感じなんだなって思った。
    クリークさんがこちらを見ながら、ふふふ、って悪役みたいな笑い方をしてる。
    「イチ、顔が赤いぞ……。体調でも悪いのか?大丈夫か?」
    オグリが目の前のカレーにがっつかず、こちらを心配してくる。それもおかしかったみたいだ。
    タマモ先輩はひっくり返っちゃうし、イナリさんはなんかきれいな目で遠くを見てるし、クリークさんは優しい目を向けてくる。
    判決が下ってしまった以上、逃げなきゃいけないと思った私は、空になった全員分のお皿とスプーンを素早くまとめる。
    「あの、お皿洗ってきます!」
    「おうおう、神妙にしなあ!まだ話は終わってねえぞ!」
    「いやイナリ、行かせてやろうや。こっちが悪う思えてきた。」
    「え~、大丈夫ですよイチちゃん、私たちに任せて休んでください。」
    オグリも何かモゴモゴ言ってたと思うけど、全部無視してキッチンに飛び込む。
    水道から出したお水は、カレーを食べた後だから、って理由では説明しきれないほど、冷たくて気持ちよかった。

  • 50二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 03:49:02

    オグリが山盛りにされたカレーを食べ終わるのに、そんな時間はかからなかったようだ。
    テーブルのほうはクリークさんが済ませてくれてるみたいで、オグリが空になったお皿を自分で持ち込んできた。
    パッとひったくって、洗い物にかける。
    「あの、イチ……。」
    「何。」
    「すまない、怒っているだろうか。」
    「別に、怒ってない。」
    「他の皆には言わないようにお願いしておいた。大丈夫、タマたちは口が堅い。」
    広まってたまるもんですか。オグリのスプーンをスポンジで擦る。
    「今日のお昼も、私が提案したんだ。いつももらってばかりだから、何かお返しできないか、と……。」
    「そうなんだ。」
    「結局クリークが全部一人で作ってしまったんだが……。イチが喜んでくれたら、私も嬉しい。」
    あーもう、なんでそんな恥ずかしいセリフ、ポンポン言えるかな。
    あんまり言いすぎると、そのうちヒーローだアイドルだって枠を超えて、いつまでも覚えられちゃうような、スターになるよ、アンタ。
    「うん、嬉しかったしおいしかった。」
    「そ、そうか!良かった。」
    後ろを見なくても、オグリの耳と尻尾が跳ねたのが分かる。
    「いつもありがとう、イチ。」
    スプーンとお皿をふきんで軽く水気を取って、水切りカゴに移す。後ろを振り向かず、オグリに言う。
    「ポロっと余計な事いったの、許さないからね。」
    「そ、それは……すまない。悪かったと思う。」
    「明日のお弁当、楽しみにしてなさいよ。」
    オグリが、えっ、と声を上げる。
    「明日は日曜日だぞ。」
    「お返し。いつも通り、朝練行ってきなさいよ。」
    「……そうか!わかった。張り切って走ってくる。あっ、川岸を走ってくるぞ!」
    言われなくても、アンタがいつもの場所で見つからなかったらすぐ別のところ行くっつーの。
    オグリの表情はわからない。でも、きっと笑顔になったんじゃないかな、って思った。
    私の顔も、誰にも見られていないからわからないけど、不思議と笑っていたんじゃないだろうか。

  • 51二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 03:49:15

    この会話が、全部ドアに張り付く形で盗み聞きしていたタマモ先輩とイナリさんに聞かれていたのは、別の話。
    別の話に……できるよね?

  • 52二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 03:52:12

    >>13に捧げます。お待たせしてしまいました。

    クソ長くなってしまい、申し訳ない……

  • 53二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 03:54:36

    とてもとても素晴らしかった

  • 54二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 04:19:53

    神はいる。そう思った。

  • 551322/01/18(火) 09:50:48

    素晴らしきや…ありがとう神様…

  • 56二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 09:52:16

    この概念ここまで伸びているとは…良質な幻覚がいっぱいだぁ…

  • 57二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 10:01:10

    なんか嫌がらせが上手く行かないから分かりやすく靴に画鋲を仕掛けようとして(流石にやりすぎでは…?いやいやアイツに嫌がらせしてやるんだから…でも…)みたいに踏ん切りつかずにオグリの靴箱の前でうんうん言ってるウチに本人が来て焦って咄嗟に「アンタと併走したいと考えてたのよアハハ…」みたいなこと言っちゃう
    オグリは珍しくイチから誘われたから喜んでオーケーするしイチちゃんもオグリのトレーニングの厳しさとかストイックさを見てちょっと考えを改める

    見たいな展開が好きです

  • 58二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 10:18:21

    でもイチちゃんの意思を見透かしているやつに
    「オグリキャップが優しいだけでお前のやってることは悪意の満ちた嫌がらせそのものだ。最低だな。恥ずかしくないのかよ。」
    とか言ってきて曇るイチちゃんとか怖いなぁ…

  • 59二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 10:33:54

    その辺のモブとかじゃなくてオグリに近いタマとかイナリに言われてほしい
    それでこれまでの自分を反省して捻くれるだけの日々から脱却する回は要る(断言)

  • 60二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 10:58:19

    >>59

    俺は逆だな

    オグリのことを思ってイチに突っかかるモブに違うで、それはイチの親切心なんやって諭すタマが見たい

  • 61二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 11:13:17

    でもイチちゃんの所業をみんなに明かされてイチちゃん自身もオグリに「そうよ!アンタのことムカついてたまらなかった!!だから嫌がらせしてたのよ!!」とかヤケになっちゃっていつメンも「マジか…」複雑な気持ちの中、
    オグリが「毎度こんなに美味しいお弁当を作ってくれるイチが悪いウマ娘なんてありえない」「それでも私はイチと一緒にお弁当を食べたい」「たとえ気持ちや目的がどうであったであれイチから受けた優しさは変わらないし、これからも仲良くしたい」って主人公ムーブかましてイチちゃんも涙を流すんですね

  • 62二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 11:16:42

    たしかにオグリも「お弁当お腹いっぱい食べさせてくれるならそれでいい」って言いそう

  • 63二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 15:34:30

    レスアンカーワン。あいつは変わっちまった。
    オグリキャップに憎しみを抱いて、数々の嫌がらせをしていた彼女は、もういない。

    彼女が最近、新人ながら専属トレーナーも決まり、めきめきとその実力を上げてきているらしい…という噂を聞き、彼女のトレーニングを見に行ってみることにした。
    私と同じく、オグリキャップを面白く思っていないウマ娘は少なくない。そして、レスアンカーワンは、その筆頭だ。以前に話した時は、嫌がらせの弁当のメニューを考えるのに苦労しているようなことを言っていた。
    ぽっと出のオグリキャップなんかに、でかい顔はさせない。いつか走りでねじ伏せてやる。私はそう思っているが、それはそれとしてレスアンカーワンの気持ちもわかるつもりでいたから、彼女を止めるような真似はしなかった。気が済むまでやればいい。そう思っていた。

    だが、しかし。

    …なんだあれは。まるでオグリキャップじゃないか、あの走法は。
    そして何より驚いたのは、それを指摘したトレーナーに、彼女が満更でもないような反応を示したことだった。
    自分が嫌っているオグリキャップに似ていると言われて、なぜ嬉しそうな顔をする?
    私には理解できなかった。あれほどオグリキャップを憎んでいたレスアンカーワンとは思えなかった。

    何が彼女を変えた?


    ……という妄想が浮かんだので投下

  • 64二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 17:11:36

    「腑抜けたな、レスアンカーワン」
    「…なによ」
    「お前は変わっちまった。オグリキャップ憎しのお前はどこにいっちまったんだ?」
    「わたしは何も変わってない」
    「今日の朝練の弁当のおかずはなんだ?おいしく食べてもらって嬉しいか?」
    「〜〜!そんなこと言わないで!」
    「嫌がらせ弁当は効果ないみたいだな。やっぱり靴を隠すか、ああ隠すより画鋲かな。さすがに鈍感なオグリキャップも気づくだろうからな嫌がらせに」
    「…やめて」
    「ん?ならお前がやるか?お前がやらないなら、代わりに私が」「やめてよっ!!!」

    ……やっぱりだ。
    レスアンカーワン。こいつは変わっちまった。
    オグリキャップを憎んでいた彼女は、もういない。
    目をみればわかる。こいつは、オグリキャップに絆されちまった。

  • 65二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 17:15:18

    「…冗談だよ。私のやり方じゃないからな。お前みたいな嫌がらせは」
    「……!」
    何かを言いかけて、口をつぐむレスアンカーワン。
    そうだ、彼女に私の嫌味を責める権利はない。彼女がオグリキャップに嫌がらせをしてきたことは事実なのだから。

    「私は私のやり方でオグリキャップを潰す。レスアンカーワン、お前は指を咥えて見てるがいい」
    「…汚ないやり方をするの?」
    「さあな。私はお前みたいな嫌がらせは得意じゃない」
    「……」
    「だが…レースでは何があるかわからないからな。思わぬ事故とかがあるかも」
    そう言って薄く笑って見せる。本気ではない、安い挑発だ。だがオグリキャップに脳を焼かれたレスアンカーワンを食いつかせるには、それで十分だった。
    「……やらせない」
    「ん?何を」「あんたなんかに、オグリはやらせない!」
    被せるように叫ぶレスアンカーワン。
    「オグリは…あの子は…!」
    “あの子は” か。思わずため息が出てしまう。
    「もういい、オグリキャップは私一人で潰す。だが忘れるなよ、レスアンカーワン」
    その時、私の目には何が浮かんでいただろうか。彼女に対する幻滅か、憎しみか、或いは哀れみか。

    「お前が今までやってきたことは」

    動きを止めるレスアンカーワン。

    「決して消えないんだからな」

    彼女が何かを言う前に、私は踵を返してその場を去った。
    角を曲がる前、微かに彼女の声が聞こえた。

    「そんなこと…そんなこと、わかってるよ…」

  • 66二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 17:17:38

    このレスは削除されています

  • 67二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 17:33:46

    >>63>>64>>65ですが初SS投稿なのにどうしてこんな曇らせになってしまったのか

    あとあちこちからいろいろな概念を拝借しました

    この場を借りてお礼と感謝を

    ありがとうございました

  • 68二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 17:40:07

    どうにかしてイチちゃんが乗り越えないといけないことなんだけどどうしたらいいんだろうか
    助けてタマちゃん…

  • 69二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 18:25:21

    >>1にはどこかのタイミングでオグリに「あんたの事なんて大嫌いよ!」と宣言して欲しいし言った事を後悔して欲しいしオグリは「それでもイチと仲良くしたい」と歩み寄って欲しいんですよ

  • 70二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 19:16:17

    >>65

    >>63

    >>64

    すごい、なんかペルソナシリーズ見てるみたいだ。

    闇のペルソナのイチちゃん……裏世界のターフでレースして勝たないといけないやつ……

  • 71二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 23:55:56

    >>69

    イチが「アンタなんか大っ嫌い!!」って言ったとしても

    その場に居合わせたタマもイナリもクリークも、なんならオグリアンチ仲間すらそんな言葉信じてなさそう


    言ったイチとオグリだけは本気で受け取ってそう

  • 72二次元好きの匿名さん22/01/19(水) 00:12:08

    >>71

    オグリ以外はツンデレ乙!って感じでニヤニヤしてそう

  • 73二次元好きの匿名さん22/01/19(水) 00:18:23

    ぽっと出ちゃん「私と…遊園地⁉︎」

    オグリ「そうだ。ファンの子にペアチケットを貰ったんだ」

    ぽっとで「な、なんで私なんかと………。他にいるじゃん。クリークさんとかタマモさんとか」

    オグリ「?お前のことが(みんなと同じくらい)大切だからだが?」

    ぽっとで「ッ⁉︎//////❤️❤️」

  • 74二次元好きの匿名さん22/01/19(水) 00:31:06

    >>71

    イチ「大嫌いだ」


    クリーク「え⁈(ずっとオグリちゃんのことが好きだと思ってました。)」

    イナリ「ぅん…?(イチはオグリを嫌ってたのか?本当にそう思ってるようには見えねぇけどな。)」

    タマ「マジか…(アレでオグリのこと嫌っとったんか…。普段からあんな態度しとったら、説得力あれへんわ。)」

    オグリ「なッ⁈(ワタシは知らぬ間にイチを傷つけるようなことをしてしまっていたのだろうか⁈)」

  • 75二次元好きの匿名さん22/01/19(水) 07:53:52

    オグリ「私は1のことを疎ましく思ったことはないぞ仲直りの印にコレを食べよう」

    1ちゃん「…わかったわよ…もう……」

    (ムカつく…どうせ何も考えずに…このムーブやってるんだろうな……)

  • 76二次元好きの匿名さん22/01/19(水) 16:00:00

    イチちゃんのメインストーリーってオグリの方が出番多そう

  • 77二次元好きの匿名さん22/01/19(水) 17:27:32

    明確にこいつを倒すのが目標!ってストーリーは新鮮でいい気がする
    ライバルがいるっていうストーリーはいくつかあるけどそいつが最終目標にまでなるのは現状ないよね?

  • 78二次元好きの匿名さん22/01/19(水) 17:31:17

    >>77

    事実上のライバルレース(ナリタブライアン育成の、2年目宝塚記念におけるビワハヤヒデとか)はあるけど、大体は「〇〇(レース名)で1着」系に落ち着く感じある

    『目標:オグリキャップに先着する』は激熱だな……!なんなら、レースじゃなくて1:1形式の勝負みたいでも俺は好きです

    妄想だからどんな育成目標でも捏造できるの良いなぁ

  • 79二次元好きの匿名さん22/01/19(水) 17:42:24

    前スレでも確か大量の人参返しで仲直りしてたし巡り巡ってここに辿り着くんだなって

  • 80二次元好きの匿名さん22/01/19(水) 20:29:37

    イチちゃんが風邪を引いてまだ完調してないのに無理してお弁当つくって、ムッとしたオグリが「そんなことまでしてまでつくってほしくない(イチの体を優先にしてほしい)」と言ってしまって夫婦喧嘩になってしまうのはどう思いますか?

  • 81二次元好きの匿名さん22/01/19(水) 20:58:01

    タマモ「さぁ始まりました第一回『オグリキャップ対レスアンカーワン夫婦喧嘩記念』。実況は私タマモクロス、解説は足は速いが鮮度は落ちぬ事でお馴染みスーパークリークでお送りします。よろしゅうな」
    クリーク「よろしくおねがいします」
    タマモ「早速ですが怒りっぽいイチを差し置いてオグリが先制を仕掛ける波乱の展開になっておりますが、このレースをどう読みますか」
    クリーク「今回はオグリちゃんの言い分が正しいと思うのでこのまま押し切るでしょうね」
    タマモ「う〜む取り付く島もないママの切り捨て。スーパーコンピュータ富嶽もオグリキャップの勝利を導き出してる模様」
    イナリ「イチはオグリに押されると弱いからな〜残当」
    イチ「あんたら好き勝手言いすぎよ!何さ、あたしだってレースじゃなきゃオグリにだってね」
    オグリ「イチ…お願いだから安静にしてくれ…もし万が一があったら私は…」クゥーン
    イチ「……あーもう!わかったからそんな情けない顔しない!耳も垂らすな!犬か!」
    タマモ「はいレース終了です。イチに賭けた人はご愁傷さまです」

  • 82二次元好きの匿名さん22/01/19(水) 21:04:33

    >>81

    モブ娘1「このレースダメだ、勝負になんない」

    モブ娘2「倍率1.0倍とかレース中止でしょ……」

    モブ娘3「こういう時は穴党やめたくなるわ……」

  • 83二次元好きの匿名さん22/01/19(水) 21:28:26

    超~~~~~~古典的だけど>>81の最後にイチとオグリ合わせて

    「「夫婦じゃない!」」

    って同じタイミングで言ってほしいなァ~~~~~~~~~

  • 84二次元好きの匿名さん22/01/19(水) 21:51:49

    >>83

    イチとオグリで「夫婦じゃない」に込めた想いが別のヤツ~~~~!

    好きィ~~~~!

  • 85二次元好きの匿名さん22/01/19(水) 23:14:58

    今回のガチャでレスアンカーワン(仮)来ると思ったんだがなあ

  • 86二次元好きの匿名さん22/01/19(水) 23:24:41

    オグリとイチちゃんにとっては重大な問題に思えるけど周囲からしたら夫婦の痴話喧嘩かちょっと捻れたのろけにしか聞こえないようないざこざいいよね。いざこざのレパートリーがないから助けてくれ

  • 87二次元好きの匿名さん22/01/19(水) 23:50:45

    ひょんなことから相合傘することになるんだけどどっちの肩が多く濡れるの?どっちが傘持つの?イチちゃんの方が背が低いからイチちゃんが傘持ったらオグリの耳にあたったりとかしちゃうの!?

  • 88二次元好きの匿名さん22/01/20(木) 00:30:06

    >>85

    オグリ世代が育成実装される流れだからイチちゃんもワンチャンあるよ

  • 89二次元好きの匿名さん22/01/20(木) 04:55:11

    >>87

    こういうの思いつく人ほんまに天才なんよ……あかん、いいなこれ……

  • 90二次元好きの匿名さん22/01/20(木) 10:20:52

    イチちゃんが遠征に行ってしまって普段の食事に物足りなさを感じるようになってしまったオグリとか見てみてぇなぁ…

  • 91二次元好きの匿名さん22/01/20(木) 10:30:57

    >>88

    イチちゃん貯金するか……

  • 92元スレ主22/01/20(木) 14:22:10

    どうでもいいんですが次スレからは面倒であれば最初と前のスレを貼るだけで大丈夫です
    全て貼ってくれるならそれはそれで全然OKです

  • 93二次元好きの匿名さん22/01/20(木) 16:12:52

    このレスは削除されています

  • 94二次元好きの匿名さん22/01/20(木) 16:15:58

    1『お母さぁん…もっと奥やってよぉ…なんで外側ばっかりぃ……』


    1ママ『まだダメよ外側の汚れがまだ取れてないもの』


    1『そんなのいいからぁ…奥かゆいぃ…』


    1ママ『もう…

    これになるのホントワガママね1ちゃん

    子供のこれから耳が耳触ったらすぐ蕩けるんだから…

    相当敏感よね

    ちょっと羨ましいわ

    どんな感じなのかしら…』


    1『そんなのいいからぁ…はやく…はやく…』


    1ママ『ほら…奥だよ〜』(カリカリカリカリ)


    1『ほわぁ〜♡』


    ──────────────




    数日後1ちゃんは母親に鬼電をかけた

  • 95二次元好きの匿名さん22/01/20(木) 17:53:37

    おみみ激よわ1ちゃん概念!?

  • 96二次元好きの匿名さん22/01/20(木) 17:55:35

    アイコン大量にんじんで草

  • 97元スレ主22/01/20(木) 18:04:36

    ライン偽装アプリ使ってみた
    動画を送りつけてる風にやりたかったけど出来なかった不覚
    あとママの入力が速すぎるな
    もうちょっと時間空ければよかった

  • 98二次元好きの匿名さん22/01/20(木) 18:06:13

    >>97

    いや…ママが気ぶっているということか…

  • 99二次元好きの匿名さん22/01/20(木) 18:10:48

    イチちゃんが実装とか言われるとそのトレーナーすら妄想してしまう
    普通にうだつの上がらないトレーナーなのか、イチちゃんと同じく捻くれちゃったのか、イチちゃんの強気に対抗できない弱々なのか、それとも…

  • 100二次元好きの匿名さん22/01/20(木) 19:59:39

    前Twitterで見た「やさぐれたキングヘイローを叱りながら連れて帰るハルウララ」みたいに、「やさぐれたイチを「帰るぞ」って言って強引に夜の町から連れて帰るオグリ」を思いついたんだけどあっ待ってこれヤバっ死nu

  • 101二次元好きの匿名さん22/01/20(木) 22:54:14

    オグリをすごく慕ってる後輩モブウマ娘から呼び出されて「レスアンカー先輩とオグリ先輩が付き合ってるのは知ってますが、それでも私やっぱりオグリ先輩を諦められません…!私、負けませんから!」って盛大に勘違いされてる上に宣戦布告されるイチちゃんが見たいです…

  • 102二次元好きの匿名さん22/01/21(金) 02:29:23

    良い子だけどなかなか友達ができない娘をサポートするお母さんということか

  • 103二次元好きの匿名さん22/01/21(金) 04:43:53

    ファン感謝祭で借り物競走に出るイチちゃん。
    絶好のスタートを切ってファンを沸かせてさ、1番にお題の書かれた封筒を手に入れるんだけど、ゴルシが紛れさせたシークレットの封筒を引いてしまい「芦毛のウマ娘」というお題を引き当ててしまったんだよね
    引いたお題はその場にいるスタッフ役の生徒からマイクを渡されてファンに伝わるように宣言するんだけど、イチちゃんの中で芦毛といえばあの怪物が1番に出てきてしまうので動揺して頬を赤らめるんだけど、その姿を見た俺たち訓練されたファンはそれを察して辺りをキョロキョロ見回してオグリを探すんだ
    けれど誰よりも早くイチちゃんは観客席で焼きそばを食べてるオグリを見つけて脇目も振らずに走り寄り「明日作ってあげるから一旦それ置いて!早く来て!走るの!!」っていまいち分かってないオグリの腕引っ張って走っていってさ 見事一着取るんだよね

    イチちゃんは歓声に包まれて嬉しそうなんだけど、マイク渡してくれた生徒、芦毛だったんだよね(スキルレベルが上がる)

  • 104二次元好きの匿名さん22/01/21(金) 10:14:48
    あれは揚げバターといって|あにまん掲示板クリスちゃん曰く故郷の味でバターの塊に串を刺して衣をつけて油で揚げて蜂蜜や生クリームをトッピングして食べる素敵なオヤツなんだ。今やその悪魔的な旨さにトレセン学園で大ブームが巻き起こりみんな毎日の様に何…bbs.animanch.com

    (揚げバターかぁ…ちょっと試しに食べてみたいけどこんなの絶対太るわよね……そうだ!)


    「む?これはオヤツ…と置き手紙?」

    【オヤツ用の揚げバターを作りすぎちゃったからアンタにわけてあげる!ありがたくいただきなさい!】

    (フフフ…食べすぎてだらしないお腹を勝負服のおへそからさらけ出すがいいわ!)

    「イチ…ありがとう!うん、おいしい!」


    「たくさん食べたら元気がみなぎってきたぞ!ちょっとひとっ走りしてこよう!」

    元気が出たオグリキャップは自主トレーニングに励んだようだ…。

    やる気が上がった

    体力が11回復した

    パワーが11上がった

    「栄養補給」のヒントレベルが1上がった

  • 105二次元好きの匿名さん22/01/21(金) 15:29:50

    >>104

    こりゃ周囲に勘違いされても仕方ねぇわ

  • 106二次元好きの匿名さん22/01/21(金) 15:35:52

    >>104

    (((ま〜たイチャコラしてるよ…)))

  • 107二次元好きの匿名さん22/01/21(金) 15:50:21

    >>99

    君はまだ諦めていないんだろう?

    だからまだ学園にいる

    その負けん気…一番近くでみせてくれ


    そう言ってニタリと笑うトレーナーもいいとおもうんですよ

  • 108二次元好きの匿名さん22/01/21(金) 18:42:43

    サクラチヨノオーの育成シナリオを見てたら「シニアの有馬記念で2着でもいい代わりにやたら強いオグリと戦う」という展開もありな気がしてきた

  • 109二次元好きの匿名さん22/01/22(土) 00:05:11

    >>94

    あまあま1ちゃん…かわいい…、

  • 110二次元好きの匿名さん22/01/22(土) 02:09:53

    1ちゃんのトレーナーはオグリに対する複雑(複雑?)な感情を理解していて、その気持ちをうまく使って競技熱を焚き付けるような手綱さばきを見せて欲しい
    「キミはオグリキャップにご飯をあげて出来た後輩を気取っている、競技者としては見られることのないモブのまま終わっていいのかい?」みたいな

  • 111二次元好きの匿名さん22/01/22(土) 10:38:22

    お野菜でよく料理をするイチちゃん世界線、当初は揚げバターという単語に「???」って反応を示しそう

  • 112二次元好きの匿名さん22/01/22(土) 17:40:20

    いつもの待ち合わせ場所で早起きしたイチちゃんが眠そうにしながらオグリ待ってるの可愛い

  • 113二次元好きの匿名さん22/01/22(土) 19:21:40

    >>112

    あるときすっかり寝入っちゃって、オグリがふふって笑いながら隣に座るんだ

    自然に起こすまで待ってやろう、って小さな小さないたずらを仕掛けるんだけど、オグリもうっかり一緒に寝ちゃうんだ

    その脇を登校する生徒たちが

    「わ~……マジか~……」

    「朝っぱらからホントにこの二人は……しょうがねえな~……」

    って写真を撮りながら通り過ぎていくんだ

    二人そろって一時間目が始まるチャイムまで寝てしまって、校門前で挨拶をしていたたづなさんが戻ってきて初めて起こされるんだ

    二人ともいろんな情報がいきなり頭に流れ込んできてしまってあたふたして、顔真っ赤にしながらもうどうしようもなくなるところまで妄想して私は天に召されたいと思います

  • 114二次元好きの匿名さん22/01/22(土) 23:28:31

    >>113

    逝かないで 

  • 115二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 01:29:01

    >>113

    また惜しい人を一人…

  • 116二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 09:31:46

    保守

  • 117二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 09:54:05

    >>99

    自分がどうにもできなかったイチを立ち直らせたオグリに嫉妬してそう(偏見)

  • 118二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 12:16:13

    二人ともこれやってくれないか?

  • 119二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 12:17:24

    >>117

    そのオグリの走りにインスピレーションを受けているイチちゃんを見てさらに嫉妬の炎が…

    とかある?

  • 120二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 12:52:27

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  • 121二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 12:53:06

    >>118

    これ、どっちがどっちでもいいな……

    イチちゃんのデビュー戦でも、オグリの引退レースでも……

    ああ、脳が……天啓が……

  • 122二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 12:56:36

    >>117

    嫉妬するかはあれだけど自分の才能疑っちゃいそう

    (本当はあんなに明るい子なのに俺(私)のせいで…)みたいな

  • 123二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 13:02:17

    >>118

    タマ「おおお!?」

    クリーク「きゃああ♪」

    デジたん『ワァァァァアァァァ』(死)

  • 124二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 13:30:18

    毎朝早い時間に、私はいつも二つの足音を聞く。
    一つはトン、トンと床を跳ねる音がする、ウォームアップを混ぜながら玄関に向かうシューズの音。
    もう一つは、ゆっくりと大きめな歩幅で、キッチンに向かうスリッパの音。
    二つ目の足音が、私の部屋を出る合図だ。
    アイツが朝練しに行って、クリークさんがお弁当の支度をしに行く。そのあとに、遅れて私が部屋を出る。
    最初のうちこそ朝起きるのが本当にしんどかったけど、今では足音と一緒に目を覚ますようになった。
    何なら、音がする前に目が覚めることもある。
    朝っぱらからアイツと顔を合わせるのは気まずいから、絶対に足音を待つ。
    部屋で待っている間は、ぼーっとスマホを見たり、昨日の夜終わらなかった課題をやったり。
    アイツのおかげ、ってのは認めたくないけど、小テストの成績もよくなってきた。
    いつもの、私の朝のルーチンだ。

  • 125二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 13:32:13

    そんないつも通りの早朝。
    足音がして、スイッチが入ったように目が覚めた。
    ぐーっ、と天井に向かって背伸びをする。肩甲骨のあたりがコキコキと音を鳴らす。
    何とはなしにスマホで時間を見ると、クリークさんが起き上がってくる頃の時間だった。
    今日は遅いな、と思いながら二つ目の足音を待つ。
    しかし、15分待っても足音が聞こえてこなかった。
    思い返すと、足音もシューズみたいなまとまった音じゃなかった気がする。
    歯ブラシとコップ、歯磨き粉を持って立ち上がる。恐る恐る、ドアを薄く開けてまだうす暗い廊下を覗き見る。
    冷たい空気が部屋に流れ込んできた。足元がすうっと冷える。
    よく耳をすますと、コンロが火を焚く音と、換気扇が回っている音がかすかに聞こえてきた。
    アイツ、今日は寝てるのか。
    休みの日以外は外に走りに行ってるだけあって珍しい。
    いつもより少し遅れてしまってるから、手早く身支度を済ませる。歯ブラシをくわえながら尻尾と髪の毛のクセを流す。
    もしアイツが自主練サボってるんなら、お弁当作らなくてもいいかな?と思ったけど、食材がダメになってしまう。
    来なかったら自分のお弁当にでもしよう。
    制服にチャッと着替えて、エプロンを手にキッチンへ向かった。

  • 126二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 13:38:48

    キッチンで先に着いていたクリークさんに挨拶して、いつも通り野菜中心のおかず作りを始める。
    今日のは自分のになるかもしれないから、おかずをちょっと濃いめに味付けしちゃう。調味料を計るのも面倒くさいし、目分量。
    隣から、クリークさんからお肉のおかずを頂いてしまった。嬉しい。
    アイツにご飯を作るようになって味見を繰り返すうち、自分も苦手だった野菜や風味が食べれるようになった。
    今日はクリークさんがご飯を多めに炊いたというので、ここで朝ごはんを済ませることにした。
    お茶碗を取り出してご飯を盛る。
    窓から差す朝日に照らされるお米一粒一粒が光って、立ち上る湯気に視線を奪われる。
    次にご飯の香りが鼻孔をくすぐる。鼻がお腹を動かす。
    ご飯はとっても美味しいけど、それだけで食べ続けるのは結構酷な話だ。アイツだってむむ、って顔をするに違いない。
    この純白の輝きを、今から汚してやる。
    ふふふ、私は悪の料理人なのよ。
    野菜を炒めた残り汁と、クリークさんのお肉のタレを少しもらって、フライパンを傾けながら軽く煮詰める。
    味はもう十分だから、コショウを少し。
    お世辞にも良い色とは言えない絶品のタレを、そのままご飯にかけた。
    ご飯が焦げ茶色のソースに染められていく。
    ふふふ、私はいやしんぼなのよ。
    「あらあら~、お行儀が悪いですよ。」
    クリークさんからやんわりと注意される。
    私は、ちょっとクリークさんを挑発するように、下から目を見ながら返事する。
    「クリークさんの分も、お茶碗に盛りましょうか。」
    「ええっ、ふふ、お願いします。」
    私はクリークさんのこういうところが大好きだ。
    他の人の面倒を見るのが好きだし、悪いことをしていたら真っすぐに注意する。
    でも、かわいいイタズラに誘うと結構悪ノリしてくれるのだ。
    二人で即席お野菜丼にいただきますして、朝ごはん。
    ご飯だけはダメですよってクリークさんが言うから、自分たち用のお漬物とインスタントお味噌汁を用意した。
    クリークさんが一口食べて、おいしいグレービーソースですね、ってクリークさんが笑う。
    なるほど。それなら確かに響きがいい。そういうことにしておいた。
    クリークさんがお礼に洗い物をしてくれるというので、どうせ泥まみれのアイツに会うために、お弁当を手に寮を出る。

  • 127二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 13:43:16

    さて、結論から言うと、アイツには会えなかった。
    いつもより遅れていたとは言え、いつもならアイツに会える時間に、アイツは門から姿を現さなかった。
    さてはトレーニングコースか、と思ったけど、行ってみたらレースに向けて追い込みトレをかけてる子たちがいるだけで、葦毛のアイツはいなかった。
    自分のお弁当にでもしよう、と思ったら、本当に自分のお弁当になってしまった。
    お昼の時間に、初めて自分のお弁当を食べる。
    私のお弁当は、時間が経つと味が薄くなりすぎることを学んだ。
    考えたら、本当の意味でのお弁当ではないからそれはそうだと納得する。
    作ってお弁当箱に詰めて、30分もしないうちに食べてもらえる。
    もし、誰かのお昼を作ることがあったら、濃いめにしよう。

    カフェテリアでは、今後が楽しみな後輩ちゃんたちをたくさん見かける。
    壁に張り出されたチーム宣伝のビラを見て、どこがいいかを熱心に話し合っている。
    かと思いきや、ご飯を食べるのに一心不乱な子たちもいる。テレビの前でレースを見てる子も。
    私も前は熱があったなあ、なんて気持ちが湧く。
    諦めたわけじゃないけど、先輩や同期生の大活躍ぶりを見ていると、やっぱりちょっと、いろいろと理解をしてしまうものだ。
    でも、カフェテリアでリラックスする後輩たちは、明るくて、熱があって、眩しくて、美しい。
    将来はどこかのトレセン学園のカフェテリアに就職して若い子たちを見守る……なんて?
    どうなるかわからない未来を妄想しながら、お昼ご飯の時間をツレたちと過ごした。

  • 128二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 13:46:04

    授業が全部済んで、トレーニングもまるっと終わって、影が長くなる時間。
    よくよく考えると、今日一日アイツの姿を見ていない。
    朝も、カフェテリアでも、トレーニングコースでも、葦毛のロングヘアはとうとう見つけられなかった。
    広報活動かなんかで外出、外泊してたっけかと思いを巡らすけど、そんなことを聞いた覚えはない。
    姿を見ないからってなんで私がこんな心持ちにならなきゃいけないんだ、と思い直すけど、それでもいつも見てるものを見ていないという違和感は取り除けなかった。
    カフェテリアで夕ご飯を済ませて寮に戻る。
    玄関で靴を脱いでいると、珍しく焦っているフジ寮長が目に入った。
    きょろきょろとあたりを見回してると思ったら、私と目が合ったとたん、駆け寄ってくる。
    「ああイチちゃん、良かった。」
    「どうしたんですか、寮長さん。」
    「こっちだよ。急いで。」
    普段は「走っちゃダメだよ、ポニーちゃん。」って注意するフジ寮長が、私の手を取って部屋のほうへ走っていく。
    スリッパもひっかけただけで、よろけながらもついていく。
    何をこんなに焦っているのだろう。特に悪いことをした覚えもない。
    寮長室を過ぎて、自分の部屋も通り過ぎる。
    たどり着いた先は、一日姿を見かけることのなかったアイツの部屋だった。
    なんで私が、帰ってきて鞄もおかずにアイツの部屋まで?
    扉の前で立っていると、フジ寮長からマスクを手渡された。
    「中に入るときはこれをつけてね。」
    マスクをつけながら、質問する。
    「あの、フジ寮長、いったい何が。」
    「オグリがダウンしてしまってるんだ。クリーク君もいないから、君しか頼れなくて。」
    それを聞いて、ドアを勢いよく開ける。
    部屋の中には、ベッドの隅でぐったりしたまま苦しむ、弱ったオグリがいた。

  • 129二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 13:52:22

    「今日は、タマ君もクリーク君も、イナリ君も皆、広報やレースで外泊で……」
    「朝から見かけないと思ったんです。」
    フジ寮長が悔しそうな顔をする。まるで、寮長失格だとも言いたそうな表情だ。
    こちらに背を向けて布団にくるまっているオグリに近寄る。
    ヒュウ、ヒュウと苦しそうな呼吸音が聞こえる。酷い発汗で毛布はぐっしょりと濡れて、小刻みに震えている。
    耳はヘタって、顔は見えないけど、きっと苦い顔をしているに違いない。
    脚も小さく畳んでいて、いつもレース場で見せるような、豪胆とした印象は消えてしまっていた。
    そこにはただ、病気に苦しむ、普通の葦毛のウマ娘がいた。

    「フジ寮長、私、今晩ここにいていいですか。」
    「もちろん。むしろ、お願いしたい。」
    フジ寮長は、お辞儀でお願いしてきた。
    「何か必要なものがあれば、いつでも言っていいから。すぐに買いに行くよ。」
    「ありがとうございます。助かります。」
    「ひとまず、スポーツドリンクはあるだけ、そこに入れてあるから。」
    そういって、テレビの下の小さい冷蔵庫を指さす。
    オグリには、今の私たちの声も聞こえていないのだろう。
    ひたすら空気を求めて、苦しい呼吸を繰り返していた。

    部屋を出る前に、フジ先輩がこちらに振り向く。
    「イチちゃんも、無理をしないようにね。」
    「はい。でも、このオグリを見過ごせないので。」
    真剣な表情で、フジ先輩がうなずいた。
    「ああ、あと浴場からタオルを借りてきてあるんだった。」
    これ、使って。とフジ先輩が言うと、どこからともなくタオルが出てきた。
    いつもなら愉快なだけで済むフジ先輩のマジックが、今回はとても頼もしい。ありがたく受け取る。
    扉が閉まって、足音が遠のいていく。
    私とオグリが、二人だけで部屋に残された。

  • 130二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 13:59:57

    オグリの苦しそうな呼吸と、悶えるように擦れる毛布の音だけが部屋の中に響く。
    さあやるぞ、と頬を両手で叩いて気合いを入れて、まずは部屋を整える。
    最初に、空気の入れ替え。それから、もっとあったかくできるように。
    タマモ先輩に心の中で謝りながら、掛け布団と毛布をはがす。
    オグリの枕カバーは汗でぐっしょりと濡れて、冷えてしまっている。
    「オグリ、オグリ。」
    オグリに声をかけるが、返事は無い。できないというほうが正しいのかもしれない。
    ベッド脇に膝をついて、軽く揺さぶる。
    壁に向かって丸まったまま、動かない。
    頭を少し持ち上げて、枕もタマモ先輩のものと差し替える。
    「オグリ、オグリ。大丈夫?」
    オグリが私の声に気付いて、こちらに振り向く。少しだけ表情を明るくした。
    何か言おうと口を開いた瞬間、ひどくかすれた音だけが響いてきた。
    一緒に、痛そうに顔をしかめる。喉がかなり痛むようだった。両手で喉をおさえて、赤かった顔が真っ青になる。
    理由はわからないけど、喉が悪いことがひどく怖いようだった。
    「オグリ、大丈夫。しゃべらなくても大丈夫だから。」
    口を必死に開閉させて何かを伝えようとしているが、言葉になって聞こえてこない。
    「ううん、オグリ、大丈夫だよ。」
    混乱したような、安心したような、申し訳ないというような、いろんな感情が混ぜこぜになった顔をする。
    「オグリ、落ち着いて。わかってるから。」
    私の腕をグッとつかんで、何かを伝えようとしている。
    「大丈夫、わかるから。喉が渇くといけないから、マスクつけるよ。」
    オグリの熱い手に私の手を添えて、優しく指を解いてやる。
    「一日ずっと寝てたの?」
    分からない、というように目を伏せた。
    きっと熱のせいで記憶が無いのかもしれない。私も経験がある。
    「今晩はずっとこの部屋にいるから。安心しなさいよ、ね。」
    口元は見えないけれど、耳がピンと立つ。少しは安心してくれたのかもしれない。

  • 131二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 14:04:18

    ずっと膝をついていたからか、ちょっと痛んできた。
    オグリの机の椅子を引き寄せようと、ちょっと立ちかける。
    すると、オグリが不安そうな目をして、私の手首をためらいながら掴んできた。
    「椅子を持ってくるだけだから、ね、オグリ。」
    安心させるためにそう伝える。一瞬迷ったように手を握ったけど、放してくれた。
    椅子を引き寄せて、側に座る。ちょっと椅子の高さが合わないけど、ずいぶん楽だ。
    「オグリ、水分補給してないでしょ。」
    聞いてみると、こくんとうなずく。
    冷蔵庫からフジ先輩の飲み物を取るために席を立ちかける。
    すると、また手首を掴まれた。
    「ちょっとオグリ、飲み物取るだけだって。アンタ、水飲んでないんでしょ。」
    そう言うと、さっきよりも幾分スムーズに手を放してくれた。
    相当心細かったんだろう。手をすがるように掴むオグリが、ちょっと愛くるしげに思えてくる。
    オグリのマグカップに飲み物をついで、身体を起こしてやる。
    落とさないように、マグカップをゆっくり手渡す。
    オグリが両手で、大事そうに受け取った。
    マスクをずらして、痛む喉をちょっと我慢しながら、ゆっくり飲んでいる。
    喉がこくり、こくりと動いている。静かな部屋に、オグリが飲み物を飲む音が響く。
    最初はかすかに、だんだん、喉の動き方が大きくなった。
    良かった。飲めてる。
    あの大食漢のオグリキャップとは思えないほどスローペースだ。
    少しずつマグカップの角度が上がっていく。
    ふう、と息をついて、角度が戻る。
    私も何も言わずに、次の分を注ぐ。

  • 132二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 14:06:40

    「おいしそうじゃん。」
    私のちょっとからかう言葉に、きょとんとした顔。
    こちらにマグカップをずいっと寄せてから、あっ、言いたそうな焦った顔に変わる。
    そのまま、どうすればいいのかと困った顔。
    ころころ変わるオグリの顔に、思わず吹き出してしまう。
    「いいよ、私は自分で飲むから。サンキュ。」
    すると、おお、と納得したような顔になる。
    表情が良く変わるヤツだなと思ってたけど、しゃべらないだけでこんなに面白いなんて。
    「ちょっとは元気出た?」
    長い髪の毛を一本にまとめて、身体の前に垂らしながら質問する。
    うん、と一回頷く。
    「よし、今のうちに着替えちゃって。」
    こういうタイミングでもないと、もう疲れちゃって着替えられなくなる。
    汗でぐっしょりした肌着を変えさせる。
    ベッド下の収納を開けると、トレーニング向けの機能性抜群な肌着でいっぱいだった。
    これなら汗の抜けもいいだろうし、ちゃんと毛布をかぶれば完璧だ。
    このトレーニングウェア、どこで買ってるのか治った後に聞いてみようと思った。

  • 133二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 14:09:57

    飲み物と着替えで胃が刺激されたのか、ぐぅ、という音がどこからか聞こえてくる。
    オグリがはっ、とお腹に手をやる。そうだろうと思った。
    「ご飯、食べてないよね。」
    こくこく、と細かく数回うなずいている。
    「ごはん、作ろうか。」
    目がぱあっと開かれる。ああもう、コイツは。
    「いつもの量は出さないからね。」
    少しムカッと来たので、ピシャリと言い放つ。
    それを聞いたオグリの耳が少しヘタる。ダメに決まってんでしょ。
    キッチンに向かうために椅子から立ち上がる。
    オグリが私の顔を見上げて、裾を控えめにつまんできた。
    「キッチンでおかゆでも作ってくるから、ちょっと離れるよ。ちゃんと戻ってくるから。」
    強引に振り払うこともできたけど、それは、なんだか心苦しい。
    「ここにいちゃ、ご飯作れないでしょ。ほら。」
    説得してるはずなのに、指の力が強まる。
    「オグリ。ね、お願い。」
    なんとか安心させないと。
    オグリの片方の頬に手を添えてやる。マスク越しに、普通じゃない体温が手のひらから伝わってくる。
    一瞬驚いたように目を見開いたけど、ゆっくり目を閉じて、私の手のひらに顔を傾けてきた。そのまま、すりすりと顔を擦りつけて、動かなくなる。
    げっ、悪手だったか。ちょっと叱るほうにするか。
    空いている頬にも手を添えて、ぎゅっと挟む。
    「ごはん、作れないでしょって。」
    オグリが悲しそうな目をする。それは食べれなくなることなのか、それとも。
    どっちだ、こら。
    「ご飯はあるから。すぐだから、ね。」
    もう一度ぎゅっと顔を挟んで、ぱっと離れる。あんまり甘やかすのはダメそうだ。
    ドアノブに手をかけて、振り返る。
    「しんどかったら寝ちゃっていいから。あとでね。」
    ドアを優しく閉めて、暗い廊下をキッチンに向かって歩き出した。

  • 134二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 14:15:01

    部屋の電気をつけて、換気扇を回す。
    お米は1合の半分くらい。お水はこの量に600ml。
    味付けは可能な限りシンプルに。塩をふたつまみだけにする。
    何と驚いたことに、栗東領のキッチンには土鍋がある。美浦寮にもあるけど。
    冷蔵庫に梅干しがあったはず。アイツは食べれるから、添えてあげよう。
    もっと作ってやりたい気持ちもあるけど、体調を崩してるから自粛する。
    浸水させていたお米をさっと洗って、お鍋を中火にかけて、白く煮立つまで待つ。
    煮立ってきたら、すぐ弱火にして、木のしゃもじでご飯がつかないように軽く混ぜる。
    そのあとは、お箸を一本挟んで蓋をして、弱火のまま25分くらい。
    煮立つ間に、オグリにお弁当を作ってやったはじめのころを思い出す。

    作ってやった、っていうのは正しくない。押し付けたっていうのが正しい。
    田舎からポッと出てきたアイツに嫌がらせをしようとして、わざと野菜ばかりをチョイスした。
    朝練の時間を調べて待ち伏せして、名前も名乗らずに弁当を突き付けた。
    目論見は外れて、まるっとおいしく頂かれてしまったのはミスだった。
    私も対抗心が湧いて、絶対に苦手な食材を見つけてやろうって決心して、今に至ってる。
    それからは、アイツのせいで夜早く寝て朝早く起きるようになったり、クリークさんたちと仲良くなったり。
    本来の目的から外れてきて、周りには妙なあだ名をつけられるし、勘違いされてるし。
    絶対関係ないけど、アイツのフォームが私の身体にも沁みついてタイムが縮んだり、良い結果を出せるようになった。
    楽しい思い出のほうがたくさん浮かんできて、口角が上がってくる。

  • 135二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 14:17:55

    何ニヤついてるんだ、私。
    本当は、アイツの調子を落とすはずじゃなかったのか。
    その時、脳裏にふっと、暗い考えが湧いた。
    今がチャンスなんじゃないだろうか。
    アイツは元気な時に、調子を落とすことはなかなかない。
    でも、今は?
    病気で調子を落としてる所に直撃するようなものを追加したら?
    例えば、喉に直接ダメージを与えられるような、辛い味付けは?
    唐辛子はある。しゃべれないほど喉が悪いなら、コショウでもいいかもしれない。
    例えば、胃腸が弱っているところに負担をかけれる、脂っこいものは?
    豚肉はある。ワザと脂を落とさずに、バターで焼いてやったら最強だ。
    思いつく考えに「どうなるだろう」なんて、とてつもなくイヤな奴だ。答えなんてわかってるのに。
    アイツは私を友達だと思っている、と思う。私は、どうだろうか。
    楽しい思い出には、いつだって後ろめたい気持ちがくっついていた。
    頭の中がモヤモヤと陰る。本当の悪役になってしまいそうで、クラクラする。
    気分がひどく悪くなってくる。
    どうしたらいいだろう。
    おかゆの面倒を見ないと。
    なんでかわからないけど、めまいがする。
    アイツの看病をしないといけないのに。
    何を優先したらいいのかわからなくなった頭は、どんどん曇っていく。
    そう思っていた時、後ろから声をかけられた。

  • 136二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 14:24:19

    「イチちゃん、ご苦労様。」
    フジ寮長の声だった。
    「オグリのかい?やっぱり料理上手だね。さすがだよ。」
    私の様子が変に見えたからか、声の調子が変わった。
    「イチちゃん?どうしたんだい、大丈夫かい。」
    後ろから手のひらで肩を支えてくれる。
    「どうしたんだい。何か、力になれることはある?」
    私の目を真っすぐ見るフジ寮長の目は、すべてを見透かしているかのようだった。
    「あの、フジ寮長。私を思いっきり、叱ってもらえますか。」
    予想外の言葉に、きょとんとした顔になる。
    しかし、舞台に立つ俳優みたいに、すぐ表情が切り替わった。
    「イチちゃん、何を考えていたんだい。」
    声色も、少しドスが効いたような、聞いたことのないものになる。
    「私は、君が何を思っていたかは全く知らない。けれど、そういうことを言うからには、何かいけないことを考えていたんだね?」
    非難するように目を細めて、私の肩を掴む手に力が入る。
    「今この瞬間で、君はトレセン学園の中で一番よこしまなウマ娘だ。」
    何も話していないのに、言い当てられて心臓が跳ねる。
    「君が今やらなきゃいけないことは、オグリの面倒を見ることに集中することだ。」
    強い語調で、ピシャリと言い放たれる。
    「わかったら、もう火にかけっぱなしのお鍋を、オグリに届けてあげるんだ。いいね?」
    フジ寮長が、私の身体を回してコンロに向ける。
    背中を一つ、トンと叩かれる。
    そうだ。私は今、フジ寮長から頼まれてる。
    私がやらなきゃいけないことを、ちゃんとやろう。
    まだ頭はモヤついてるけど、やらなきゃいけないことはわかった。
    オグリに、これを食べてもらわなきゃ。

  • 137二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 14:32:12

    「オグリ、起きてる?」
    肘でドアノブを下げながら、肩で扉を押し開ける。
    「はい、おかゆ。梅干し食べれるでしょ。」
    壁にもたれかかっていたオグリは、ご飯の香りをかいだからか、少し元気を取り戻したようだ。
    オグリが毛布を手早くたたんで、ベッドに腰かけるように姿勢を変える。
    もう快復したんじゃないかってくらいのスピードだ。
    「ちょっと、もうすっかり元気じゃん。」
    オグリが首を横に振る。でも、目はキラキラ輝いている。
    オグリの前に椅子を動かして、土鍋と取り分ける用の小皿、れんげが載ったお盆を置く。
    「待ちきれないって感じだけど、めちゃくちゃ熱いから、ゆっくり食べなよ。」
    うん、とオグリが首を縦に振る。
    もう食べてもいいのか、とでもいうかのように、私を見てくる。
    「はい、召し上がれ。」
    いつもより勢いはないけれど、ゆっくり手を合わせて、軽くお辞儀。
    タオルを蓋にかぶせて、開けてやる。湯気がぱあっと立ちのぼった。
    いただきますの声が、何故かわからないけど、部屋の中に響いた気がした。

  • 138二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 14:39:11

    「少ないけれど、がっつくのは治ってからね。」
    立ち上る湯気にさすがにひるんだのか、ふー、ふー、と必死にオグリが冷ましている。
    1分くらい冷ましてから、一口。
    オグリの耳と尻尾がピンと立つ。
    「おいしい?」
    キラキラのままの目で、たくさん頷く。
    ご飯をすくって、冷まして、食べる。間に梅干しを食べて、顔をすぼめる。
    れんげの動きがどんどん加速して、あともう一口分。
    いくら調子が悪かったとは言え、オグリには一人分は少ないみたい。
    最後の一口をいつもよりゆっくり飲み込んで、ごちそうさまのポーズ。
    喉はまだ痛そうだけど、まるで死の淵に立っているような表情は、もう消えていた。

    オグリが嬉しそうに食べているのを見て、自分の気持ちがちょっとずつ晴れていくのを感じた。
    やっぱり料理は、最後には笑顔になってもらうために作るのかもしれない。
    オグリ、ごめん。
    でも、素直な弁当はまだ、絶対出してやりたくないから。
    思いを全部胸にしまって、料理人として、一言だけ。
    「はい、お粗末様でした。」
    パッと片づけて、食べたばかりだけどオグリを横にさせる。
    「あとは寝て、しっかり治して。」
    オグリがこちらをじっと見つめてくる。
    「大丈夫、今夜はここにいるし、何かあったらフジ寮長も起きてるから。」
    うん、と安心したように頷いて、オグリは目を閉じた。
    ちゃんと治して、また朝に差し入れさせてよね、と念を送る。
    寝付いたように見えるオグリの目元は、すっかり優しくなっていた。

  • 139二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 14:40:03

    お互いがお互いを大好きじゃん

  • 140二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 15:06:30

    一瞬考えただけでそんな罪悪感抱くのは良い子すぎるよ1ちゃん

  • 141二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 16:07:47

    その才能が羨ましい。妄想を具現化出来るっていいよね……。しっかしこの子本当に万能だな。

  • 142二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 16:52:01

    心が浄化されるようだ…

  • 143二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 16:55:23

    イチちゃんのお嫁さん適正が高すぎる

  • 144二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 17:11:55

    このレスは削除されています

  • 145元スレ主22/01/23(日) 17:12:34

    今までで一番好きかもしれない

    私の性癖に合ってますよ

  • 146二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 17:14:48

    この娘オグリが調子乗ってるって思って嫌がらせしてたんだもんね…
    オグリが努力家ないい子で自分のこと友達だって言ってくれる子ってわかったらこんなに献身的にもなるわ

  • 147二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 17:15:46

    >>146

    イチちゃん古典的なツンデレだよね…

  • 148二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 20:59:41

    やはりオグイチは尊い
    そして下手に茶化したり慰めたりせずあえて訳も聞かずに叱ってあげるフジもとてもいいんだ

  • 149二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 21:19:01

    すごいスレチなのは分かってるけどイチちゃんに他のウマ娘とも絡んでほしい…
    でもオグリ以外だとうまく行かなそうな感じもある…

  • 150元スレ主22/01/23(日) 21:36:21

    考えただけで罪悪感抱くなんて良い娘だとは思うし実際そうなんだろうけど

    1ちゃんは他の人が足を引っ張るため病人に鞭打つようなことしてたら絶対許さないし
    めちゃくちゃ怒るだろうな

    そんなことを自分が考えてしまって
    このときの自己嫌悪は相当だったと考えられる

    何事もなく作り終えて自分の作ったおかゆ美味しそうに食べてるの見たら
    「これに私は…あんな物を…ッ」とかなって
    かなり引きずりそう

    こんなことオグリに言ったところで絶対気にしなくていいって言うだろう
    ていうか風邪で心細いとき一日中一緒にいてくれた人にそんなことでどうこう言う人って正直恩知らずの領域だ

    だから直接関係のない人が叱責して発破をかける必要があったんですね

  • 151二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 21:39:16

    一番好きと言うだけあって感想がガチすぎる

  • 152二次元好きの匿名さん22/01/24(月) 00:45:26

    >>146

    つまりイチャついててもおかしくない

  • 153SS筆者22/01/24(月) 00:49:16

    >>149

    自分も実は強くそれを思っていて、オグリとの関係を中心に、くどくないように、可能な限り他のキャラクターとも話してみてほしいなって思ってます。

    「オグリ以外とはうまくいかなさそう」って言うのはマジで解釈一致していて、前書いたカレー昼食会の話ではタマモクロスさんとイナリワンさんともう少し喋ってみてほしいなと思ったんですが、イマイチ楽しく会話を続けられるイチちゃんが想像できませんでした。

    身内の中では比較的強く、自由に自分から発信できるけど、あまりよく知らない人とは静かになる、ちょっと内弁慶な気質のある子なのかなあという印象です(※!個人の解釈!)。

    料理好きっていうところもあって、自分の中ではスーパークリークさんとの組み合わせがすごく書いていて楽しいし、どんどん話が膨らみます。何より、クリークさんは優しいし。マジ聖母。

  • 154二次元好きの匿名さん22/01/24(月) 01:33:48

    >>136

    ふと魔が差してしまって、そのことに迷って自己嫌悪に陥ってく中フジキセキに「頼まれたから」で何をすべきか迷いが晴れるの1ちゃんの善性が滲み出てる感じがしてすき

  • 155二次元好きの匿名さん22/01/24(月) 01:58:55

    このレスは削除されています

  • 156二次元好きの匿名さん22/01/24(月) 10:21:57

    弱弱しいオグリ…ちょっと独占欲働いてそう

  • 157二次元好きの匿名さん22/01/24(月) 11:25:00

    イチちゃんと仲良く料理作ってるクリークに湿度放っちゃうオグリは“アリ”ですか?

  • 158二次元好きの匿名さん22/01/24(月) 11:31:32

    >>157

    アリ寄りのナシだ。個人的にはイチちゃんの仕掛けた嫌がらせが紆余曲折してオグリの助けになったり、オグリの純粋さにドギマギしてしまうイチちゃんを追求していきたい。

    ただ…発想自体は素晴らしい…文にしろ(豹変)

  • 159二次元好きの匿名さん22/01/24(月) 12:10:57

    オグリが風邪引いた時の対応はイチちゃんからの好感度によって変わる
    上手く言ってたら看病してくれるし、そうじゃなかったらお粥に日本酒混ぜて酔わせるぐらいはしてくる

    そんなイメージ

  • 160二次元好きの匿名さん22/01/24(月) 20:06:04

    >>159

    好感度が低いとオグリが寝てる間にこっそり忍び込んで枕元に卵酒置いてく

    普通なら見舞いと差し入れして帰るし

    高ければお粥まで作るけど当然帰る

    その時点での上限なら>>138なんだな

  • 161二次元好きの匿名さん22/01/24(月) 22:59:47

    >>159

    >>160

    ま、まさかのオグリ視点イチちゃん攻略乙女ゲー……!?やりてえ……!

  • 162二次元好きの匿名さん22/01/25(火) 00:20:57

    「ほっ、ほっ、ふう。」

    「あれは……やっぱり。今日も来てくれているんだな。」

    「おおい、おはよう。」

    「下を向いて、一体どうしたんだ……。おおい。」

    「イチ?どうして下を向いているん……ああ。」

    「ふふ、珍しいな。寝入ってしまったのか。」

    「……そうだ。起きるまで、寝かせておくか。ふふ。きっと驚くぞ。」

  • 163二次元好きの匿名さん22/01/25(火) 00:21:10

    「綺麗な手だな……。あ、爪がささくれだっている。」

    「ヤスリをかけたいが、何と言えばいいだろうか……。いつも避けられてしまうからな。」

    「そういえば、イチには迎えてもらってばかりだな……。私からもできることは無いだろうか。」

    「しまった、いつも食べているころだからお腹が……。ううむ、起こしてしまおうか。」

    「いや、やはり良くないな。我慢だ。」

    「いつも、いつお弁当を作っているんだろうか……。まさか、私が起きるよりも早く起きだしているのか?」

    「しかし、それだとキッチンで会うと思うんだが……。二度寝しているんだろうか。」

    「よく見ると、イチのまつげはとても長いんだな。指先もきれいだし、確かにライブで映えそうだ。」

    「センターで踊るところは、必ず見に行くからな。待っているぞ。」

    「ふぁぁ……。しまった。寝顔を見ていたら……。」

    「ううん、ダメだ、私が寝てしまっては、せっかくイチがお弁当を作ってくれたのに……。」

    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

  • 164二次元好きの匿名さん22/01/25(火) 00:21:31

    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

    「……オグリキャップさん!レスアンカーワンさん!」

    「起きてください。もう予鈴がなっていますよ!」

    「オグリキャップさん!レスアンカーワンさん!」

    「……もう食べられないよ~。」

    「……もう一杯おかわりを~。」

    「オグリキャップさん!レスアンカーワンさん!」

  • 165二次元好きの匿名さん22/01/25(火) 00:28:53

    きゃわわ
    まさか妄想を形にしてもらえるとは

  • 166二次元好きの匿名さん22/01/25(火) 00:55:34

    >>112

    神概念を次で借りパクして一人で自殺してしまったので、墓に刻むための碑文として、そして112に感謝の念を込めて奉納します 

    一口サイズになってしまってすみませんでした

  • 167二次元好きの匿名さん22/01/25(火) 02:43:50

    この子、仮にオグリが史実と同じような濃密ローテーションで走るって言い出したら大反対しそう
    口では「ふーん、無理しないで頑張って」っていうけど、内心「死んじゃうんじゃ無いの」ってひどく怖がりそう

  • 168二次元好きの匿名さん22/01/25(火) 06:53:56

    ベタだけど1チャンが初めて挑戦した料理で手を少し怪我しているのを発見したオグリがその場で「大変だ」と言って舐める展開を

  • 169二次元好きの匿名さん22/01/25(火) 13:50:58

    >>164

    もう夫婦じゃん

  • 170二次元好きの匿名さん22/01/25(火) 14:49:56

    この看病の一件でまたオグリのイチちゃんへのなつき度が上がってる

  • 171二次元好きの匿名さん22/01/25(火) 19:37:57

    このオグリには有馬やらファイナルズで勝った時に観客席最前列にいたイチに向かって「君のおかげで勝てた!」とか言い放ってイチをイチ躍有名人にしてほしいんだ
    前々から噂されていたオグリを支える親友ということで知名度爆上がりして取材されたり何故かぱかプチも作られたりして本人はまんざらでもなくなってほしいんだ
    でも途中から彼女本人じゃなくて「オグリの親友」という肩書きしか見られてないと感じ始めて曇ってほしいんだ
    嘘なんだ 曇ってほしくはないんだ

    それはそれとしてイチのぱかプチをモデルになった本人にゲーセンで取ってもらって喜ぶオグリは見たいし枕元に置いててほしいんだ

  • 172二次元好きの匿名さん22/01/25(火) 22:44:46

    保守

  • 173二次元好きの匿名さん22/01/26(水) 02:41:09

    >>167

    ジャパンカップ前らへんでなりふり構わずオグリを引き留めそう

  • 174二次元好きの匿名さん22/01/26(水) 12:47:19

    >>171

    親友の引退レースが発端で名が売れたら曇る余裕はあんまりなさそうなんだ。どちらかというと「私もG1で勝ってみたかったなあ」くらいの爽やか曇り(?)がちょうどよさそう

    イチちゃんがイチちゃんのぱかプチを取ると喜ぶのに、イチちゃんがオグリのぱかプチを取って笑うと「イチ、私のほうが……」ってムッとするオグリですか!???!?!!?!?!??!?!エッ!???!???!

    ヤバ 死

  • 175二次元好きの匿名さん22/01/26(水) 17:34:40

    >>171

    走者としては一切語られないイチちゃん…切ない…

  • 176二次元好きの匿名さん22/01/26(水) 19:15:29

    定期的に考えて正解がないイチちゃんの最終成績問題
    オープン戦までか重賞1勝か複数勝か…はたまた夢のG1馬になるのか

    どれも捨てがたい…

  • 177二次元好きの匿名さん22/01/26(水) 20:00:42

    自分の中では最大で重賞1勝、悪くて未勝利勝った後のオープンを数戦くらい取る、良くも悪くも努力で勝ち取った普通レベルの子ってイメージでいる
    比較対象がオグリキャップっていう化け物だから、やりすぎかな、ってくらい戦績を下げてしまう
    あとダート屋さん。芝なのかなー?みんなの印象を聞きたい

  • 178二次元好きの匿名さん22/01/26(水) 20:04:22

    少なくともプライドを拗らせてる(?)からメイクデビューで華々しく勝って続く重賞でなんとか勝てたけど、その後は鳴かず飛ばずで散発的にオープン戦で勝つぐらいの実力だと思ってる
    適正は芝だとオグリに嫉妬する割合増えそうなのでそっちで妄想してる

  • 179二次元好きの匿名さん22/01/26(水) 20:13:34

    >>178

    なるほど!オグリが来るまでの間に「今年のすごい子」って鳴り物入りで来るけど、ズルズルと下降してしまうからこそオグリにライバル心か……

    芝の理由もすごく筋が通ってていいなあ。自分はオグリの行かなかった穴を埋めてるんだろうって勝手に決めつけてしまってたー。天才

  • 180二次元好きの匿名さん22/01/26(水) 20:35:24

    >>174

    イナリ「さぁ始まりました『第2回オグリキャップ対レスアンカーワン夫婦喧嘩記念』、実況は火事と喧嘩は江戸の華で御馴染みイナリワン、解説は喧嘩の時はまず目と鼻と歯を狙う事で御馴染みタマモクロスでお送りします」

    タマモ「そこまでやらんわ、脛は蹴るかもしらんが」

    イナリ「早速ですが今回のレースはどう見ますか」

    タマモ「ぬいぐるみに嫉妬するなんて子供じゃあるまいし、今回はイチに分があるとちゃうか」

    イチ「大体あんた自分の分身に嫉妬するなんておかしいわよ!これがあんたの子供だったら子供に嫉妬するダメ親じゃない!」

    イナリ「おっと斬新な切り口で攻めてきたぞ」

    オグリ「確かにそれは駄目だな…私が悪かった」

    イナリ「おおっとイチ念願のオグリ打倒なるか!」

    オグリ「……よく見るとイチと親子のようだな。きっとイチは良い親になる」

    イチ「ファ!!!??!!。?ー。?ー?」

    イナリ「あちゃーここでまさかの差し返し、イチ墓穴を掘ったか」

    タマモ「イチに賭けたと思われるナカヤマが笑い転げてるのを見届けた所でお別れやで。また次回」

  • 181二次元好きの匿名さん22/01/26(水) 21:17:18

    >>180

    モブ娘A「いやーーーさすがは怪物、すげえ末脚」

    モブ娘B「なーーーんであんなところで息入れて差し返されてるんだか」

    モブ娘C「逃げ切ってよもーーー!」

  • 182二次元好きの匿名さん22/01/26(水) 23:37:51

    このレスは削除されています

  • 183二次元好きの匿名さん22/01/26(水) 23:38:41

    >>5

    前スレ含めてザッと読み直してきたんだけど、このレスが本当にかわいくて爆笑しちゃった

  • 184二次元好きの匿名さん22/01/27(木) 04:09:50

    くそっ、やられた。
    土砂降りになってるスーパーの駐車場をにらみつける。
    食材を買い込んで両手に下げた保冷バッグが、より一層重く感じられる。
    今日はとことんツイてない一日だった。
    過去形にしているのは、もうどうせなら終わってほしいって思っているから。まだ18時で、ホントのところは終わってない。

    朝はほとんど寝過ごしたせいで、跳び起きた。
    お弁当を作り終えてる頃の時間に目が覚めてしまって、大慌てでキッチンに駆け込んだ。
    もう洗い物も済んで、エプロンを畳んでるクリークさんに『今日は来ないのかと思いました』って言われるくらいだ。
    お弁当とはちょっと呼びにくいものを大急ぎでこしらえて、玄関で靴を履くと、小石が靴の中に混ざってて痛かった。
    そのあとオグリといつも会うところを読み違えて、移動するハメに。
    お弁当の出来も正直悪かったみたいで、オグリから『今日はシンプルだな』って言わせてしまった。

  • 185二次元好きの匿名さん22/01/27(木) 04:11:32

    授業中には、ボールペンのインクの出がやらら悪いし、シャー芯はメチャクチャ折れるし、消しゴムでノートをグチャッてしちゃうし。
    一週間に一度、お昼に開催される『にんじんハンバーグ定食争奪特別』は、風紀委員長に捕まって私だけ障害競走になるし。もちろん負けた。
    午後の授業は抜き打ちの小テストされるし、サボりたい授業ではなんかやたらセンセーに当てられるし。

    トレーニングの時には、不良たちがあの子たちのリーダーを先頭にして、レース場を占拠してて走るどころじゃなかった。
    生徒会と教官たちが総出で出てきてて、結構な騒ぎになってた。
    あの子たちの事情はわからなくないけど、悪いことが重なる日くらい、かっ飛ばさせてほしかったなあ。
    その余波でトレーニングルーム、体育館、敷地外の神社までもう生徒だらけで、走れるところはもうどこにもなくなってた。
    空き教室で勉強会だね、ってことになって、また過去のレース資料の研究かな、と思っていたのもつかの間。
    ゴザと立派な将棋盤を持ってこられて、なぜかいきなり将棋をやらされた。マジで意味わかんなかった。

    予定がズレこんだし、今日は早めに解散しようという流れになった。
    気合入れてスーパーまで買い出しに行こう、って決めた。
    根拠はわかんないけど、スーパーは悪い私の一日を清算してくれる気がしたから。
    どうせもともと行く予定だったし、早まって嬉しいくらい。
    クリークさんを誘ったけど連絡がつかなかったので、上手くトレーニングにありつけたんだろう。
    ジャージのまま鞄だけ部屋に置いて、キッチンに下げてある二人分の保冷バッグを手に、学園を出た。

  • 186二次元好きの匿名さん22/01/27(木) 04:13:42

    小さいころ、お母さんにくっついて行くスーパーはすごくキラキラしていた。
    美味しいものがたくさんあって、好きなもので溢れていて、人がたくさんいて。
    最初の自動ドアをくぐって、カートや買い物かごがあるスペースは何故か無限に広い気がして。
    野菜や果物、お魚のコーナーはちょっと寒かったけど、そこを抜けたら魅力的なもので溢れていた。
    お母さんに「何か一個、好きなお菓子買っといで」なんていわれたら、時間がいくらあっても足りなかった。

    そんな昔の話を突然思い出したのは、多分、今日さんざんだったから。
    学園に来て、アイツが来るまでの間の買い物は、コンビニや学園の売店で済ませていた。
    お弁当を作るぞってなって、クリークさんにいきつけの所を紹介してもらってから、スーパーに来るようになった。
    トレセン学園が広いのと、周りが住宅街なのもあって、そこまで近いところにはスーパーが無い。
    安全上の理由で自転車に許可なしでは乗れないのもあって、そこそこ不便。
    でも、私たちは力持ちだし、ちょっと買い込むくらいならトレーニングみたいなもんだ。
    ちょっと距離を歩けるのも、気分転換にとてもちょうどいい。
    今日も、クリークさんの分まで買い込むつもりで、気合いを入れてきた。
    無駄に買わないように、気を付けないと。
    多少買いすぎたって、すぐ消費してくれる人材がいるから、多少増えてもいいんだけど……
    おっ、にんじん詰め放題だって。嬉しい。
    あ、ちょっとお魚にチャレンジしてみようかな……
    そんな感じで、やっと気持ちが上向き回復していた。
    いたはずなの。

  • 187二次元好きの匿名さん22/01/27(木) 04:15:23

    最後のとどめが、突然の土砂降り。
    「ホンマ気持ちよさそうに降っとるなあ。たまらんで。」
    タマモクロスさんの物マネをしても、気持ちは晴れず、笑ってくれる人もおらず。
    周りのお客さんたちも困ってる。こんなの、予測できないもん。
    あー、私も困った。
    いつもは買わないお魚を買ってしまったから、早く帰りたかったのに。
    あと、一日報われなかった自分へのアイスクリーム。ラクトアイスじゃないやつ。
    とりあえず、イツメンに連絡して傘を持ってきてもらおう、とスマホを探してポケットを探る。
    見つからない。
    うん、反対側だったか、と思って重たい鞄を持ち変える。
    やっぱり、見つからない。
    一体どこに置いてきたのか、スマホは自分と一緒にスーパーまで来ていなかった。
    まさか、部屋に置いてきた鞄の中に入れっぱなしだったんだろうか。
    心の中で、何かがぼっきり折れた。
    あーーーもう。無理。マジで無理。
    「なんでよー……」
    消え入るようにつぶやく。
    お願いだから、一秒でも早く止んでほしい。
    もうヤケで、ここでアイスクリームを食べてやろうか。
    マイバッグを開けてアイスを見つけるけど、カップ型で、スプーンを貰っていなかったことに気付く。
    八方塞がりじゃん。何が塞がってるのかは知らないけど。
    はあ、と大きなため息をつく。雨に濡れたコンクリートのにおいが鼻をくすぐる。
    梅雨の時期とかだったら風物だなあ、くらいに思えるけど、今はただただイライラするだけだ。
    駐輪スペースの壁に寄りかかって、座り込む。
    どうしよう。どうしようもないな。せっかく買ったのになあ。

  • 188二次元好きの匿名さん22/01/27(木) 04:17:41

    マイバッグに挟まれて地面を見つめる。目の前を、人々が通り過ぎていく。
    ふと、視界が暗くなった。
    少し顔を上げると、人影だった。赤いジャージ。トレセン学園のと同じような色だ。
    もう少し顔を上げる。脚の間から、葦毛色の尻尾が見える。ウマ娘だ。
    片方の手に、大きい傘を握っている。
    もう少し見上げようと思ったら、先に、手のひらが差し出された。
    綺麗な、見慣れたことのあるような、白い手のひら。
    「ここにいたんだな、イチ。」
    聞きなじみのある声。
    優しくて、芯が通ってて、強くて、歌にのると聞きほれてしまう声。
    顔を見上げる。そこには、今朝も見かけた、アイツが立っていた。
    「オグリ。」
    「イチ、迎えに来たぞ。」
    「迎えにって、なんで。」
    「クリークから聞いたんだ。イチが買い物に行くと連絡して、傘がないんじゃないかと言っていた。」
    完璧な連係プレーに、思わず涙ぐんでしまう。
    「さあ、帰ろう。」
    オグリの手を取る。
    「うん。ありがとう。」
    マイバッグを両手に持って、立ち上がった。

  • 189二次元好きの匿名さん22/01/27(木) 04:19:32

    「イチ、もう少し入れるぞ。」
    「ん、ありがと。」
    「いっぱい買ったんだな。何を買ったんだ?」
    「お魚とお野菜と、あとアイス。」
    「何っ、アイスがあるのか!」
    「あげないから。これは自分へのご褒美なの。」
    「そ、そうか……。残念だ。」
    「そんな露骨にがっかりしないでよ。アンタのお弁当のおかずも入ってるんだからさ。」
    「本当か!」
    「ネタバレだけど、明日はお魚だよ。」
    「嬉しいな。明日の朝ごはんが楽しみだ。」
    「ちょっと、もうお腹鳴らさないでよね。」
    「あ、ああ、すまない。」
    「てか、アンタ、車道を歩く側なんだね。」
    「ん、どういうことだ?」
    「別に、なんでも。」
    「両手に荷物のあるイチよりも身軽だし、水たまりがあるからこっちを歩いているだけだぞ。」
    「だから、そういうとこだって。」
    「んん、どういうことだ?」
    「なんでもない。」
    「それに、食べ物が濡れてしまっては良くないからな。」
    「ねえ、ワザとやってる?」
    「な、何を……。どうしてそんな凄んでいるんだ。」

  • 190二次元好きの匿名さん22/01/27(木) 04:24:16

    「ていうか、私、傘に入りすぎてない?」
    「ん、そんなことは無いぞ。このままで大丈夫だ。」
    「ちょっと、良く見えないけど、アンタ肩濡れてない?」
    「大丈夫だ。イチが濡れてしまって、風邪をひくようなことがあってはいけないからな。」
    「それはお弁当がなくなるから、って意味?」
    「イチに風邪をひいてほしくないだけだ。私の大切な友人だからな。」
    「……そうですか。アンタも、風邪ひかないでよ。」
    「ありがとう。気を付ける。」
    「だからほら、もう少し寄りなさいよ。」
    「あ、ああ。だがそれではイチが……。そうだ、バッグを二人で持つのはどうだ。」
    「え、どういうこと。」
    「片方のバッグの取っ手を一つ、私のほうにくれないか。」
    「何、持ってくれるワケじゃないの?」
    「持ってしまったら私たちの幅が広がってしまうから、これなら大丈夫だと思ったんだ。」
    「アンタ、これがどんだけ恥ずかしいかって……」
    「私は、何も恥ずかしくないぞ。」
    「いや、そうじゃなくて。」
    「雨の日もなんだか、イチとなら悪くないな。」
    「あー、そうですか。」
    「ど、どうしたんだ。何か、気に障るようなことを言ってしまったか。」
    「何にも言ってない。」
    「やっぱり、ちゃんと鞄を持ったほうがいいか。重たいしな。」
    「別に、大丈夫。」
    「そ、その、すまなかった、イチ。」
    「いいってば!ありがと!」
    「ど、どうしてありがとうなんて今言うんだ?」
    「もー!このままでいいの!ありがと!」

  • 191二次元好きの匿名さん22/01/27(木) 04:30:40

    このレスは削除されています

  • 192二次元好きの匿名さん22/01/27(木) 04:36:25

    >>87

    神アイデア、またお借りしてしました。こんなの尊いに決まってる。オグリがメチャクチャ困るに決まってる。イチちゃんはドツボにハマるに決まってる。ありがとうございました。



    次スレこちらです(カテ間違ってたので立て直しました)

    ムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って…そうだ……!Part5|あにまん掲示板これまでhttps://bbs.animanch.com/board/255217/https://bbs.animanch.com/board/258049/https://bbs.animanch…bbs.animanch.com
  • 193二次元好きの匿名さん22/01/27(木) 05:05:43

    完全に恋人ですよねこれ?じれったい!!(尊死)

  • 194二次元好きの匿名さん22/01/27(木) 05:21:32

    寝る前に良いものが読めた
    これで今夜も……くつろいで熟睡できるな

  • 195二次元好きの匿名さん22/01/27(木) 06:14:41

    天然オグリの無自覚スパダリムーブにイチちゃんはちょっと掛かり気味かもしれません。一息つけるといいのですが

  • 196二次元好きの匿名さん22/01/27(木) 06:22:15

    >>194

    そして彼は二度と目覚めなかった

  • 197二次元好きの匿名さん22/01/27(木) 09:37:57

    こう、せっかくの名文に手垢のつきまくった古いネタを持ち出すのはどうかと思ったが我慢できなかった……
    すまぬ…すまぬ…

  • 198二次元好きの匿名さん22/01/27(木) 12:14:39

    >>197

    オグリ……おめえ……肩が……!

    シンプルに絵が上手くて萌え死ぬ

  • 199二次元好きの匿名さん22/01/27(木) 12:15:15

    きっと1ちゃん照れて顔上げられないんですね わかるよ

  • 200二次元好きの匿名さん22/01/27(木) 12:15:28

    >>198

    オグリはこういうことする

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