三女神像の前に行ったらウマ娘になった 了

[1 二次元好きの匿名さん 24/02/11(日) 08:53:39]

三女神像の前に行ったらウマ娘になった　エピローグ｜あにまん掲示板

すみません、あと2レス分だけ残して落ちてしまったのでもう一回立て直させてください…

[2 二次元好きの匿名さん 24/02/11(日) 08:55:23]

「……そうか。私の居ない間にそんな事が」

　トレーナーはあたしの横を歩きながら、穏やかに笑った。

「色々話も聞いたよ。あいつ、元々は不良だったんだって」

　ブリットルハートの境遇はとてもありふれた物だった。
　周囲の勧めで中央に来たはいいものの、すぐに通用しなくなって挫折。生来の性格のせいで周りにも馴染めず、不良になって堕落した生活を送っていた所をフガクアステリオスの助けで何とか更生したのだという。
　だが、周囲は元不良のブリットルハートをそうそう認めてはくれなかった。特にレースの場では他の出走者に後ろ指を指され、嘲笑される事もあったらしい。今でもその経験がトラウマになっているらしく、笑っているウマ娘を見ると心が騒つくのだという。

「だから、必死に努力して誰にも自分を笑わせないようにしてたんだって。……どうしたの？」
「……いや……」

　トレーナーは後悔を噛み潰した様な顔で黙り込むと、またポツポツと言葉を漏らし始めた。

「……他人の心を抉るのがどれだけ深い罪か知っていた筈なのに、あまつさえその誹りを君に被せて……また私は……」
「トレーナー？ 一体何を──」

　……その時、強い突風があたしを襲った。
　耳に突き刺さったそれは強いノイズとなり、トレーナーの言葉を遮った。あたしはウマ娘の聴力をフルに活かし、トレーナーの言葉を聞こうと耳を澄ます。
　突風の中、聞こえてきた言葉はこうだった──。


「……私がウマ娘なら、誰にもこんな思いをさせずに済んだのに……」

[3 二次元好きの匿名さん 24/02/11(日) 08:55:54]

「……今さら、だな」

　風が止んだ頃、トレーナーは自嘲するように苦笑いしてそう言った。

「済まない、弱音を吐いた。聞かなかった事にしてくれ」

　そう言うとトレーナーはまた前へ歩き出そうとする。振り返らず、ただまっすぐに。
　……あたしはその後ろ姿に、どこか胸が騒めくのを感じた。引き留めないとどこかへ行ってしまいそうな、そんな昏い儚さを──。

「──ねぇ！」
「？ 何かね？」
「……あ、いや、その……今日のあたしめちゃくちゃ頑張ったんだし、何か奢ってくんない？ 喉乾いたんだけど」

　あたしの言葉を聞いたトレーナーは逡巡する様に立ち止まると、あたしの方を向いて悪戯っぽく笑った。

「ふむ、奢るのは構わないが──勝つ度にそうしてねだるつもりかね？ 流石の私も破産するまで奢らされるのは御免被るよ」
「それって……」
「一度と言わず、君と私の気が済むまで何度でも勝とう。これからもよろしく頼むよ、ジュエル」

　トレーナーはそう言うと、また前へ向き直って歩き出そうとする。
　あたしは溜息を一つ吐いてトレーナーの元へ駆け寄る。その向こうでは、三女神像が夕陽に照らされて静かに佇んでいた。

[4 1 24/02/11(日) 08:56:32]

これで本当に終わりです
一応検索に引っかかるように5レス目まで保守しときます

[5 1 24/02/11(日) 08:59:36]

三女神像の前に行ったらウマ娘になっちゃった…｜あにまん掲示板

三女神像の前に行ったらウマ娘になった　part2｜あにまん掲示板

三女神像の前に行ったらウマ娘になった　part3｜あにまん掲示板

三女神像の前に行ったらウマ娘になった　partFINAL｜あにまん掲示板

皆様続きを期待して下さったのに長い間お待たせして本当に申し訳ありませんでした…

次からはこういう事が繰り返さないよう期限内に書ける様に努力していきます…