アグネスタキオンとマンハッタンカフェってさ

  • 1二次元好きの匿名さん21/09/03(金) 19:46:34

    ある日、学園の廊下を歩いたカフェにタキオンが声をかけてきた

    「やあやあカフェ。実は最近いいコーヒー豆を手に入れたのだが、よければ一緒に……」

    「お断りします」

    タキオンが全てを言い終える前にカフェは遮るように切り捨てた

    「おいおいおい、せめて最後まで聞いておくれよ! コーヒーだぞ、君の大好きなコーヒーを一緒に飲もうと誘おうとしただけじゃないか」

    「コーヒーが嫌いなあなたからそんなお誘いをしてくる時点で胡散臭いんです。どうせ、コーヒーを飲ませる代わりに新しく作った薬も飲ませて、どんな効果が出るか試そうとしたんでしょう」

    そういってカフェが冷たい眼差しをタキオンに向けると、彼女は何も言わずに固まった。図星だったらしい

    「そんなことだろうと思いました。まったく、回りくどいことなんかせず素直に協力してほしいといえば、私だって少しは考えるのに……」

    「えっ、じゃあ実験に協力してくれるのかい?」

    「するわけないでしょう」

  • 2二次元好きの匿名さん21/09/03(金) 19:46:53

    「えーっ! 嘘つき、協力するって言ったじゃないかあ」

    「あれとこれとは話が別です」

    「頼むよお、ウマ娘たちの未来の発展のためなんだ。協力してくれよお」

    そういいながらタキオンは涙目になりながら地面に膝立ちになり、カフェの肩を掴んですがってきた。上目遣いで見つめられたカフェはタキオンの瞳をみて、やれやれとため息をついた

    「……最近、新しく出来た喫茶店を見つけました。次の休日、一緒にコーヒーを飲んでもらいますから」

    カフェがそういうと、タキオンの瞳に光が宿ったかのようにみえた

    「ありがとう、カフェ。君は私の唯一無二の友だ!」

    「……そうですか、私は友達だと思ってませんけど」

    「つれないこと言うなよ」

    「あと、砂糖をギトギトになるほど大量に入れたりなんかしたら許しませんから」

    「わ、判ってるよ」

  • 3二次元好きの匿名さん21/09/03(金) 19:47:42

    タキオンはカフェを自分の研究室に招き入れると、粉末状の新薬をカプセルに詰め始めた

    「時にカフェ、君は”火事場のバ鹿力”という言葉を知っているかい?」

    「からかっているんですか? それくらい知っています。生命の危機に直面した時、人間は通常出すことのできない本来持つ力を、リミッターを突き破って発揮することができるという話……」

    「その通りだ、カフェ! しかし君の説明にはひとつ重要な情報が欠けているね。それは火事場のバ鹿力を発揮することができるのは人間だけじゃない。私たちウマ娘も同様なんだ」

    「……それで、その話がこれから私に飲ませる薬と何の関係があるんですか」

    「ここからが本題だ。カフェ、日常で本来の力を抑制させているリミッターはなぜ存在するのかは知っているかい?」

    「確か、常時最大の力を使っていると肉体に負担がかかってしまうから、というのを聞いたことがありますが」

    「そうだね。常時フルパワーを発揮すると人の筋肉組織はそれに耐えられない。当然、それはウマ娘にも当てはまる。だから我々は自らの肉体を守るため、無意識下でそのリミッターを作ってしまっているんだね」

    話が進むにつれ、カフェはタキオンの口調が段々と熱っぽくなっていくのを感じた

  • 4二次元好きの匿名さん21/09/03(金) 19:48:00

    「しかし逆に考えれば、ほんの少しの間だけその本来の力を出すぶんには体を傷つけることはない。短時間の肉体労働をするときなんかにはね。問題はどうやって力を抑制しているリミッターを外すか、なんだが」

    「……ではその薬は、精神の奥底に存在する、そのリミッターを外させる作用があるということですか」

    「察しがいいね。もっとも、期待通りの効果が出るのかは、君が飲んでからのお楽しみなんだがね」

    そういってタキオンはカフェの座るソファーの前のテーブルにミネラルウォーターの入ったコップ、そして一畳のカプセルを乗せた小皿が置いた

    「私の計算通りなら、これで精神的抑制のメカニズムが解明されることになる。そうすれば我々がさらにレースで本来の力を出せるようになるトレーニング法を確立することが出来る。これは意義のあることなんだよ、カフェ」

    タキオンがまっすぐな瞳でカフェを見つめる。彼女は決して軽い気持ちで科学者の真似事をしているわけでもないし、ましてや人を弄ぼうとしているわけでもない。ただ純粋に、人やウマ娘の持つ可能性を追求している。カフェにはそれが判っていた

    「……ここまで来て、逃げ出したりしませんから」

    カフェは皿の上のカプセルを手にすると、不安で少し胸が高鳴った。だが覚悟を決めてそれを口の中に入れると、コップの水を飲んで一気に喉の奥へ流し込んだ

  • 5二次元好きの匿名さん21/09/03(金) 19:48:37

    「……どうだい、調子は変わりないかい?」

    タキオンが訊いた。薬を飲むとカフェは目の前のテーブルに俯いて黙っていた。するといきなり彼女は顔を上げてすくっと立ち上がり、部屋のドアへと駆け寄った

    「カフェ、急に気持ちが悪くなったのか!? 吐きそうならここに袋が……」

    タキオンが急いでポリ袋を出そうとしたときだった。ドアのあるほうからがちゃ、っという音が聞こえた

    「……カフェ?」

    タキオンがドアのほうを見ると、その前には彼女に背を向けるようにカフェが静かに立っていた

    「カフェ、気分は大丈夫なのかい? あと、なんで鍵を閉めたりなんか……」

    タキオンがそこまでいったとき、カフェがなにかぼそぼそと呟いた

    「……あなたが悪いんです」

    「え?」

    「あなたの薬で、私、抑えが効かないんです」

    そういうとカフェがタキオンのほうを向き、長い前髪から黄色い瞳をのぞかせた

    何か悪い予感がする……タキオンがそう思った瞬間だった。カフェがいきなりこちらに向かって襲いかかり、タキオンを床に押し倒したのだった

  • 6二次元好きの匿名さん21/09/03(金) 19:49:03

    「カ、カフェ! いったい何をするんだっ」

    タキオンが自分の上に乗りかかってきたカフェに語気を荒くしていった。彼女はこちらを見下ろすようにしながら、熱っぽい顔ではあはあと荒い呼吸をしていた

    「悪く思わないでくださいね……これも全部、あなたの飲ませた薬のせいなんですから」

    そういうとカフェは怯えるタキオンの口を、自分の口で覆うようにして塞いだ

    「んっ!? んんーっ!?」

    自分を押し倒し、その上強引に唇を奪ってきたカフェに、タキオンはじたばたと抵抗する。だが、カフェの舌がタキオンの口の中に侵入し、絡ませてくると、次第に身体が溶けるように絆されていった

    おかしい、自分は媚薬なんか作ったつもりはないぞと頭の中で自らの組み立てた方程式の誤りを探そうとするタキオン。だが、押し寄せてくる快楽に沈んでいくなかで、そんな余裕はなくなっていったのだった……

  • 7二次元好きの匿名さん21/09/03(金) 19:49:23

    後日、例の薬の本当の作用が判った

    確かに、タキオンの作った新薬は無意識下にあるリミッターを外す効果を持っていた。だがそのリミッターは肉体を抑制するものではなく、人が精神的に抑えている別のもの……誰にも明かせない欲望を抑制するリミッターだったのだ

    つまり、あの時カフェがしたことは、リミッターを外すことで放たれた、彼女が心の底で隠していた欲望だったということだ

    そのことを言いづらそうにするタキオンから聞き出したカフェは、学園中に響くような叫び声をあげたとさ☆

    「……ま、いいじゃないか。なんだかんだで君と私は恋人同士になったんだからさ」

    「ちっとも良くない!」

  • 8二次元好きの匿名さん21/09/03(金) 19:50:24

    神はいた そう思った

  • 9二次元好きの匿名さん21/09/03(金) 19:50:38

    スレ主です
    七色に光るカフェが見たいか見たくないかで言えばちょっと見てみたいです

  • 10二次元好きの匿名さん21/09/03(金) 19:50:52

    美しい...

  • 11二次元好きの匿名さん21/09/03(金) 19:51:06

    >>9

    求めよ。さすれば与えられん。

  • 12二次元好きの匿名さん21/09/03(金) 19:51:55

    この薬・・・トレセン学園では需要が高そうだな…⁉

  • 13二次元好きの匿名さん21/09/03(金) 19:52:15

    最高だ……

  • 14二次元好きの匿名さん21/09/03(金) 19:52:38

    リミッターとか抑制って見えた瞬間に期待度末MAXだよね、、期待は果たされたよねありがたやありがたや。

  • 15二次元好きの匿名さん21/09/03(金) 19:58:05

    このレスは削除されています

  • 16二次元好きの匿名さん21/09/03(金) 20:02:36

    ちょっとさじ加減間違えてカフェにぴょいされる自業自得タキオンは効く

  • 17二次元好きの匿名さん21/09/03(金) 20:12:40

    >>12

    「ついに出来た!クソボケ神経阻害薬が!」

    ってSS誰か書いてくれよ明日仕事なんだ

  • 18二次元好きの匿名さん21/09/03(金) 20:34:46

    >>17

    俺バカだから分かんねぇけどよぉ…

    トレーナーに飲ませるつもりが、同室や普段仲が悪いウマ娘に飲ませてしまって百合ぴょいしちゃう流れも良いんじゃねぇかな?

  • 19二次元好きの匿名さん21/09/03(金) 20:42:40

    このスレは落とさせるわけにはいかない

  • 20二次元好きの匿名さん21/09/03(金) 21:01:49

    タキカフェたすかる

  • 21二次元好きの匿名さん21/09/03(金) 21:05:28

    >>17

    すまん間違えてハート押したけどタキカフェとか百合ではない意見だから押し間違いなんだ、すまん

  • 22二次元好きの匿名さん21/09/03(金) 22:33:45

    いい……

  • 23二次元好きの匿名さん21/09/03(金) 22:34:21

    カフェを心配するタキオンかわいい

  • 24二次元好きの匿名さん21/09/03(金) 22:34:34
  • 25二次元好きの匿名さん21/09/03(金) 22:37:24

    やけに最近体調悪いと思ったらタキカフェ不足だったわ

  • 26二次元好きの匿名さん21/09/03(金) 23:21:22

    カレンチャンが一番ほしい薬じゃん

  • 27二次元好きの匿名さん21/09/03(金) 23:25:25

    >>26

    ───お兄ちゃんは耐えた

  • 28二次元好きの匿名さん21/09/03(金) 23:39:28

    >>26

    お兄ちゃんの好意自体はバレバレで隠す気もなさそうなので薬の対象に当たるかどうか…

  • 29二次元好きの匿名さん21/09/04(土) 07:18:47

    >>21

    こちらこそせっかくの百合タキカフェスレでごめん

    素直になれない子のSSならそれが誰でも読みたい気持ちでおります…!

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