【SS】ふつーでも譲れないもの

[1 二次元好きの匿名さん 24/02/16(金) 00:52:15]

　初めて袖を通した日にはなかったようなほつれや痛みも少し目立つようになってきたこの勝負服も、今日で見納め。ギリギリまで迷ったドリームトロフィーの招待は、トレーナーさんと話し合った結果やっぱりやめておこう、ということになったのでこの前のレースが走り納めということに。
　色んな人の小さな夢を集めて、そして背負って走ってきたつもりだけれど、結局最後にわたしの決断を後押ししてくれたのはトレーナーさんでした。正直、あれだけわたしに期待してくれたトレーナーさんがまさか引退を言い出すなんて思ってなかったのですが。いつものトレーナーさんのことですから、俺はヒシミラクルに期待しているなんて言い出すんじゃないかって思っていました。
「なんだか、思ったよりあっさりですね」
「俺はヒシミラクルの走りに期待していたけれど、同時にこれからの一生も大事だと思ってるから」
「またまた、そう言ってふつーなわたしをおだててその気にさせちゃったじゃないですか」

[2 二次元好きの匿名さん 24/02/16(金) 00:52:38]

>>1

　トレーナーさんの期待はわたしには過剰すぎる、なんて思っていたこともあったけれど、今はそうじゃないって胸を張って言える……はず。たぶん。もしかしたら、トレーナーさんはもっとやれる、って思っていたかもしれないけれど。

「無理強いしてまで走ってほしい、なんて思ってないよ。それに、もともと進学して勉強しようって考えていたのも知っていたから」

「それは……まぁ、そうなんですが」

　トレーナーさんの期待に応えようと心に決めた日、古い雑誌と一緒に縛って捨てた大学のパンフレットたちが頭によぎる。ふつーのウマ娘としての生き方はもう捨てたつもりだったのですが、どうやらトレーナーさんはそうじゃなかったようで。

「レースも大事だけど、それ以上に俺はヒシミラクルにとって一番なことをしてほしいって思っているから」

　わたしにとって大事なこと、正直まだはっきりと答えが出ていないのですが、きっとトレーナーさんが考えることだから正しいのかな、なんて漠然と思ってしまいます。最初はどうしてここまでわたしに期待してくれるのか不思議でしたが、今思えばトレーナーさんにとっても大きな賭けだったのかな、って。

「でも、レースを終えちゃうともうトレーナーさんはわたしのトレーナーさんじゃなくなっちゃいますよね」

「まぁ、少なくとも書類上は」

「なんだかそれって、ちょっと嫌だなぁ、って思っちゃうんですよ」

　わたしとトレーナーさんはあくまで担当とトレーナーの関係。頭でわかっていても、本能的に嫌だと思ってしまう。

[3 二次元好きの匿名さん 24/02/16(金) 00:52:50]

>>2

「もともとこの世界に引き込んだのはトレーナーさんですから、セキニン、取ってくださいよ」

「……何をしてほしいんだ」

「んーと、とりあえず受験勉強から手伝ってください」

　それ以上に踏み込んだことはまた今度、今はとりあえずトレーナーさんと一緒にいられるだけで満足しちゃいます。

[4 二次元好きの匿名さん 24/02/16(金) 00:54:24]

過去に書いたお話はこちら

【SS】our footprints｜あにまん掲示板

ふつーと言いながら、やっぱりトレーナーさんは特別な枠になっちゃうミラ子は可愛いと思います

[5 二次元好きの匿名さん 24/02/16(金) 00:55:02]

良いね

[6 二次元好きの匿名さん 24/02/16(金) 02:21:35]

心にすっと届く良いSSや

[7 二次元好きの匿名さん 24/02/16(金) 05:49:24]

もう少し先、ミラ子が出す答えに期待が高まるお話だ…

[10 二次元好きの匿名さん 24/02/16(金) 08:49:47]

キャラストのパンフレット周りの話が好きなので、それ軸に書いてみました
ドリームトロフィーに進まなかった理由はご想像におまかせしますが、自発的に走るより人の夢や期待に答えたいが強い子なのであっさり止める可能性もあるかなと

[12 二次元好きの匿名さん 24/02/16(金) 16:01:23]

よくある流れだけど、ふつ〜の世界から連れ出したトレーナーに責任取ってもらうミラ子は何度観ても万病に効く

[13 二次元好きの匿名さん 24/02/16(金) 20:44:30]

>>12

割とありきたりな話とはいえ、トレーナーにこれまでの価値観破壊されたミラ子は何度でも書きたくなります