- 1二次元好きの匿名さん21/09/03(金) 21:51:37
「うん、ロブロイは何時も英雄になりたい、というけども、女の子ならヒロインにあこがれたりはしないのかな、ってちょっと思ってね」
彼女の英雄になりたい、という強い決意の瞳に見惚れて彼女にトレーナー契約を結んでしばらくして、ふと思ったことである。
彼女の英雄に対する熱意はとても伝わっている。彼女は本当に英雄にあこがれ、そして自分自身もレースの上で英雄になるのだ、と強い想いが感じられる。
ただ、先日、カワカミプリンセスと話した。彼女はお姫様として王子様と出会うことを目指している。そのために日々鍛錬を積んでいるそうだ。
その鍛錬が色々とすごくて、ロブロイのトレーニングに活かせそうだとは思ったけど、それはそれとして……
物語では英雄もいるが、その英雄が守るものとしてであったり、救い出そうとするものであったり、または英雄を支えようとする存在、ヒロインというものがある。
ロブロイはずっと物語を読んでいて、その中で英雄になりたい、と言っていたが、逆に守られたい、お姫様のようになりたい、と思ったりはしなかったのか、とふと思ったのだ。
私も、物語を読んでいて英雄になりたい、と考えるよりも、英雄を支えるヒロインに憧れていた。それもあって、自分にとっての英雄を支えてあげたい、という思いもトレーナーを志した理由の一つかもしれない。
まあ、私の話は置いておいて
私の質問に対して、ロブロイは深く考えてから
「確かに私もヒロインに憧れることはありますね。でも、やっぱり私は英雄のようになりたい、です」
「私は小さい頃は体が弱くて、あまり外に出られなかったから物語の世界に引き込まれました」
「物語の中で冒険して、とても輝いている英雄に、ヒロイン以上に憧れたのです」
ああ、想像していた通りだ。
やっぱり彼女は、英雄に憧れているんだ。その気持ちの強さを改めて再認識した
なら、私はそんな彼女を、英雄を支える存在に、トレーナーを志した時、最初の気持ちを改めて刻み込む。 - 2二次元好きの匿名さん21/09/03(金) 21:52:05
「でも、物語の英雄なら、ヒロインも、欲しいですね」
「英雄のヒロイン?ロブロイにとってのヒロイン、となるのかな?」
「そう、なりますね……ヒロイン……英雄を支えるもの、英雄の帰りを待つ者、英雄が帰る場所……」
ロブロイが考え込んでいたが、ふとひらめいたのか、まるでロブロイの頭に豆電球が光ったように感じられた。
「トレーナーさん!フフッ、そうですよ、私にとってのヒロインはトレーナーさんですよ」
私が、ヒロイン?その言葉に頭がすぐに動かなくなる。
いやいや、私なんかがヒロインやお姫様なんて相応しく……
「私にとって英雄の戦場はレースです。そのレースに勝利するために支えてくれて、ゴールの先で待ってくれている存在、それはトレーナーさんですよ」
……確かに、英雄をロブロイとするなら、一つ一つ考えていくとトレーナーである私がヒロインに……
「って、そんなことないって、私なんかがヒロインなんて……」
顔が熱くなりながら慌てて否定する。でもロブロイはゆっくりと近づいてきて……
「そんなこと、ありませんよ。私のトレーナーさん、いえ、私だけのヒロイン」
その瞳を見て、私は何も言えなくなってしまった……
という、ロブロイとヒロイントレーナー概念ください - 3二次元好きの匿名さん21/09/03(金) 21:53:35
いい雰囲気ですね
♂トレーナーで読みました - 4二次元好きの匿名さん21/09/03(金) 21:54:55
一応、今回は♂トレでも♀トレでも好きな方を選んでもらえれば、と思って書きました
- 5二次元好きの匿名さん21/09/03(金) 21:59:56
自給自足たすかる、こういう文章に出逢えると
俺の中のロブロイ貯金の意志が強くなるから…! - 6二次元好きの匿名さん21/09/03(金) 22:10:17
ロブロイが英雄なら、トレーナーはヒロイン、なるほど……これはいい
- 7二次元好きの匿名さん21/09/03(金) 22:20:16
「では、行ってきますね、トレーナーさん」
「行ってらっしゃい、ロブロイ、私の英雄……」
彼女が戦場《レース》へと駆けていく。
これが私たちの物語の始まり
私はここで彼女を待つ。彼女を信じて見続ける。
女がヒロインと言ってくれた私は、信じて、支えて、待ち続ける。
彼女が英雄として、その勝利を持って帰ってくるのを……
「ロブロイ、頑張って……私、あなたが帰ってくるのを待っているからね」
私だけの、英雄《ゼンノロブロイ》 - 8二次元好きの匿名さん21/09/03(金) 23:02:54
小さい頃は病弱で、何時も物語を読んでいた
その物語の英雄に強く憧れ、私は今、ここでウマ娘としてレースに挑んでいる。
レース場はとても広くて、ターフがとても心地よい。
周りにはたくさんの観客がいて、自分たちの戦いを見つめている。
そして隣を向けばそこには私と同じように勝利という名の栄光へと手を伸ばす戦場《レース》の相手。
怖い、本当に私なんかが行けるのだろうか
こんな中を走るなんてできない。こんなにも戦場が怖いものだなんて知らなかった。
逃げたい、結局私は英雄になんてなれない、物語の英雄には……
『ロブロイ、頑張って……私、あなたが帰ってくるのを待っているからね』
声は聞こえないのに、なぜか、トレーナーの声が聞こえた気がした。
そうだ、私には帰りを待っている人がいる。
私のトレーナーさんがいる。
トレーナーさんのことを思うと、自然と勇気が湧いてくる。
ああ、そうか、物語の英雄は、帰りを待っている人がいるから、戦えたのだ、と……
「帰りを待っている人がいる、なら、❝英雄❞として、勝利を、あなたに」
そして駆けだす。帰りを待っているヒロイン《トレーナー》に勝利という名の栄光を持って帰るために