すみません、ここに来れば

  • 1二次元好きの匿名さん24/02/20(火) 07:57:17

     チャンピオンズミーティングSPRINT。短距離最高峰のその舞台へ参加するメンバーとして抜擢して頂いたのは、スピードスターを志した者として光栄の至りと、そう感じていた。
    しかし……。

    「……遅刻です」
    「はい……」
    「は~い」

    スケジュールから数十分遅れて、チームメンバーのヤマニンゼファーさんとセイウンスカイさんが控え室に到着する。
    双方実績は確かな実力者……しかしながら方やマイル路線で名を上げたウマ娘で、方や中長距離を得意としていたウマ娘。
    私のトレーナーは、一体何をお考えでいらっしゃるのか。そのような疑問が頭を過る。

    「あ、あの……本当にすみませんでした」
    「いやぁ~、ゼファーを誘って近くの山を散歩してたんですけど、なんと渓流のせせらぎに乗って吹く風が心地いい絶好のお昼寝スポットを見つけちゃいましてね~」
    「……あなた方も、頂点を目指す者としてその名に恥じぬ振る舞いを心掛けるべきかと」

    レース本番を直前にして、春先の風のように、また遥か天空を揺蕩う雲のようにマイペースな2人に翻弄される。
    幸い、他チームの予定に影響を与えることこそなかったものの、自チームの最終調整時間は僅かしか残されていなかった。

    「さて、もう幾許かで本番と相成りましたが……作戦の立案等はございますか」
    「そりゃもうバッチリですよ。エサを撒くのはセイちゃんの十八番ですから」
    「そうですか。では内容を共有していただきたいのですが」
    「うーん……とりあえずなるようになりますって。まぁ見ててくださいな」
    「…………………そうですか。ところでゼファーさんは」
    「外の空気を浴びたい、と先にパドックに行きましたよ」

    あまりにも自由。この時の私は、ただただこれから待ち受けるレースを不安視するのみだった。

  • 2二次元好きの匿名さん24/02/20(火) 07:59:04

     レースが始まった時、それが間違いだったと

    『注目のダイイチルビー、少し前に出ましたね』

    否、そう思わされていた時点で既に

    『ハナに立ったのはヤマニンゼファー』
    『2番手の位置で先頭を窺うのはセイウンスカイ』

    彼女の術中であった。なるほどエサというのは、逃げを打って戦ってきたスカイさんの実績そのものとでも仰るのか。これにはゼファーさんも困惑して……あ、風を全身に浴びて恍惚な表情を……。

    「……大方、先程の遅刻ですらチームメンバーである私をも追い立て、前方の位置取りにさせる作戦の内だったのでしょう。ですが……」

    大輪の花の如く、華麗であれ。

    『最終コーナーを曲がって、最初に駆け出したのはセイウンスカイ』

    世界に轟く大樹の如く、至上であれ。

    『ジリジリ詰めるヤマニンゼファー』

    常に最たる輝きを。

    『並びかけてきたのはダイイチルビー!』

    後方から差し切るだけが、私のプランとでもお考えでいたのか。

    「あなた方の風、しかと捉えました」

    最速のスピードをその目に刻み込み、勝利を……この手に。

  • 3二次元好きの匿名さん24/02/20(火) 08:01:57

    みたいな、皆さんがチャンミに出したウマ娘同士の絡みが見れると聞いたのですが


    下のスレ主≠自分ですが

    前は長距離チャンミだったのに対して今回は短距離チャンミなのでメンツがガラッと変わるかなと思って立てました

    すみません、ここに来れば|あにまん掲示板「勝利は至上の癒し。クエストクリアです!」クエストと。そう宣うか、あのウマ娘は。掲示板に表示された7という着差を眺めて、強く芝を蹴り飛ばした。チャンピオンズミーティング。三人一組のチームとなり、九人で…bbs.animanch.com
  • 4二次元好きの匿名さん24/02/20(火) 08:06:50

    お嬢をもっと仕上げて差し上げろ

  • 5二次元好きの匿名さん24/02/20(火) 08:11:27

    >>4

    勝率は一番高いから……(震え声)

  • 6二次元好きの匿名さん24/02/20(火) 09:32:32

    >>4

    お嬢を仕上げ直した上で戦ってきた

    出走遅めても周りの強さあまり変わんないな

  • 7二次元好きの匿名さん24/02/20(火) 10:10:31

    やるならもう少し人がいる時間に立てるのだ

  • 8二次元好きの匿名さん24/02/20(火) 10:29:36

    10までの保守支援

    あと少しで書き上がりそう 即興だけど……

  • 9二次元好きの匿名さん24/02/20(火) 11:30:40

    ラウンド2の結果次第でメンバーが変わるやもしれぬ…

  • 10二次元好きの匿名さん24/02/20(火) 11:37:33

    これでどうやってドラマを生み出したらいいのか教えてちょうだい!
    パワーをケイエスに!いいですとも!

  • 11二次元好きの匿名さん24/02/20(火) 12:17:53

    「なるほど、グラスさんと……クリスエス先輩、ですかあ……」
    「1400ならば、私も経験があります。共に励んでいきましょう♪」
    「──私がadviceする後輩には……短距離を主戦場とする者も、多い。──……ある程度の流れは、知っている。ならば、それを……実行しよう」

    今回のチームメンバーを一目見て、カレンはまんまるな瞳をさらに丸くした。
    チャンピオンズミーティングSPRINTは、阪神芝1400mのコース。自分のカワイイをいちばん魅力的に示すことのできる舞台。
    SPRINTの名が表すように、短距離をメインとするウマ娘が参加するイベントにこのふたりが並ぶことは──驚きをもって迎えられることだろう。
    お姉ちゃんは時々、誰も見たこともないような采配をする。

    でも、こんな顔じゃカワイくないね──頭を振って目をぱちぱち。そうすればもう大丈夫。
    正直自分も驚いたけれど、お姉ちゃんがそうすると決めたなら、きっとふたりもこの舞台に立てるくらいの修行を積み重ねるだろう。それはそうと、あとで話を聞いてみたい。そう思ってしまう。

    「おふたりに負けていられませんね。カレン、頑張りま〜す♪」
    「はい♪ よろしくお願いしますね〜」
    「I see. ──まずは、スプリントのスピードを……体感したい。カレン。Training を……共に。頼める、だろうか」
    「もちろんです、クリスエス先輩! あ、グラスさんも一緒ですよね?」
    「ええ。久々の感覚を取り戻すには、カレンさんのスピードは必ず役に立ちます。『麻につるる蓬』のように、しっかりと短距離の速さに馴染んでいきましょう」
    「それじゃあ、チーム結成記念に一枚撮りませんか? そしたら〜……クリスエス先輩! スマホ持ってもらえますか?」
    「あ、ああ。──……了解した」

    三人のなかでいちばん高身長な彼女に頼み、パシャっと写真を撮る。インカメや自撮りに慣れていなかったのか、表情がとても固かったけれど。ちょっと開いた口がこれはこれでカワイイかも。

  • 12二次元好きの匿名さん24/02/20(火) 12:18:27

    そうして迎えた、チャンピオンズミーティング。
    カレンはゲートを出てからすぐにスピードを上げ、先行集団の一員となる。今回は乗り遅れることなく、位置取りも良好。番手につけ、前を走るウマ娘をつっついて、後ろのウマ娘たちを少し引き離して。レースを引っ張る側に立つ。

    でもこれは、ふたりには通用しない。

    終盤の差し足に全霊を懸けるグラスとクリスエスに、先団を揺さぶる動きは関係ないようで。前から離されても、ふたりは自分たちのペースを保っている。
    だからこそ、それが圧力になる。
    いつ仕掛けてくるのかわからない。だから、自分で自分を信じるしかない。
    少しだけ、不安で手袋に汗が滲む。
    後ろから、自らをまるで標的のように見つめる視線が刺さる。他の子なんてまるで気にしていない。ただ、前に走るカレンだけを捉えようとしている。そんなプレッシャー。

    「でも、大丈夫」

    差しの二人の仕掛けどころは、何度も一緒に走ったおかげで、わかっているから。
    勇気を持って、軽やかに。
    先んじて仕掛けたウマ娘もいたけれど、ここで焦るのはカワイくない。自分がいちばんカワイイと確信できるところで、足に力を込める。
    芝を蹴り上げ、重くなった土ごと舞い上がった。

    『カレンチャンここで抜け出した!』

    鮮やかに先団を抜け出したら、もう仁川の直線に突入したところ。交わしたウマ娘が黒のフリルを見つめているのを感じる。でも、その視線もどんどん遠くなっていく。
    後ろから、追い上げてくる強い足音がふたつ。
    それでも──

    『カレンチャン脚色は衰えない!』

    それでも、この舞台では負けられないから。

  • 13二次元好きの匿名さん24/02/20(火) 12:19:22

    ラチの向こうのお姉ちゃんに大きく手を振って、走るスピードを落とす。カレンに駆け寄るようにして、グラスとクリスエスもスピードを落とした。

    「Amazing. 良い走りだった」
    「お疲れ様です〜。やはり素晴らしいスピードですね。お二人には届きませんでしたが、次は必ず」
    「ふふっ。ありがとうございますっ♪」
    「──今回は……集団から抜け出すのが、遅かったか」
    「私は、仕掛けどころはよかったのですが……先輩に交わされてしまいましたね」

    カレンへの称賛をひと言述べてすぐ、ふたりは反省会に入っている。慣れない場所だからこそかもしれないし、もしかしたら中長距離でも同じようにしているのかもしれない。でも、ここは自分の主戦場だから、役に立つこともあるかも。

    「そうですね〜、この距離で後ろから追い込むときは……」

    向かい合い何やらぶつぶつ言っているふたりの間に、カレンはひょこっと顔を出す。ちょっと目を丸くされたけれど、口元を綻ばせた様子を見ると、ちょっとだけ険しかった雰囲気が和らいだような気がした。

    マイルから中距離が主で、底知れぬ末脚を伸ばすグラス。クラシックディスタンスで強大な障壁として立ち続けるクリスエス。そして、1200mで閃光の輝きを魅せるカレン。
    それぞれいちばんに輝ける場所は異なるけれど、今この瞬間は、競い合うライバルであり同じチームの仲間。きっとこの三人なら、まだ誰も知らない素敵な何かを──“カワイイ”を見つけられるのかもしれない。

    「お姉ちゃんがこの三人を選んだのは、そういうこと? ……ううん、なんでもありません♪」

    不思議な考えを一掴みしたら、それが本当なのか、確かめたくなった。なんだか今までよりももっと、次のレースが楽しみに感じた。

  • 14二次元好きの匿名さん24/02/20(火) 12:19:53

    「かっとばせ〜!マーチャン!」
    「ふふん。クリーンヒットです」

    …何故私は打てないのでしょうか。
    「ルビーも頑張って!よく狙ってスイングだよ!」

    チームメイトの誘いで予定を入れたバッティングセンターで私は球を打てずにいた。

    「ライアンさん。ここでお伺いする話ではないのですが、貴方は何故脚質を変えたのですか?私に中団後ろから効率良く加速する術を教えてくれたのは他でもない貴方でしょう」
    「成功体験…かな?あたしは宝塚記念で、先行策であのマックイーンに勝てた。その自負が慣れない距離でもあたしに勝てる!って思わせてくれるんだ」

    私自身の強みは何か?家のために走ること?…いえ、「正確無比なスパート」には自信があります。バッティングも同じこと。差し切るようにスイングするだけ。

    「おお〜!今日一番のナイススイングです。マーちゃんも負けていられませんね」

  • 15二次元好きの匿名さん24/02/20(火) 12:21:29

    >>14

    マーちゃんは予定通りの先行策です。「地固め」はマーちゃんの標準装備なのです。でも分かります、ライアンさんが直後から差を詰めて来ていることを。


    「さあマーチャン、蕾も綻ぶ程の鍔迫り合いを演じよう!」


    …前の方で2人がスパートをかけ始めたことが分かる。私はいつも通り、冷静に差し切るプランは変わらない。


    「華麗であれ」

    「至上であれ」


    「常に最たる筋肉を」

  • 16>>11〜1324/02/20(火) 12:28:50

    既視感のあるスレタイとスレ画だと思ったら、過去に自分が立てたやつが参考元になっていました。覚えていてくださりありがとうございます!他の皆様のSSも楽しみにしております。
    辻SSはやったことなかったので良い経験になりました。
    短距離なのにメンツが2/3変わってないのは……みんな推しだからかなあ…………

  • 17二次元好きの匿名さん24/02/20(火) 13:01:24

    >>16

    元スレ主さん…!

    SSにグラスとクリスエスが出てきた瞬間まさかとは思いましたが短距離チャンミにも出しているとは流石…

    距離的に主役に置かれているのはカレンチャンだけど阪神1400mというイレギュラーな環境下だからか全員が同格で競い合えている関係が良きですね


    >>14

    実際にチャンミで使うスキルを日常にサラッと登場させてて面白い

    そして最たる筋肉……加速が必要だからパワー型のルビーかな?

  • 18二次元好きの匿名さん24/02/20(火) 13:05:01

    このレスは削除されています

  • 19二次元好きの匿名さん24/02/20(火) 13:07:03

    組み合わせが新鮮で面白いな

  • 20二次元好きの匿名さん24/02/20(火) 18:44:15

    単純に前回から実装ウマ娘も増えたし色んな組み合わせが見れそう

  • 21◆os6UVi1GVMOT24/02/20(火) 18:59:30

    「ぽんぽぉ〜ん!ウチはプレイングトレーナー・ヘリトレぴ!今回はウチが選手兼任トレーナーとして優勝目指すから、ヨロヨロ〜!!!」

    「メンバー発表、まずはルビー!今回のらぶ枠!もう後方からギュワーンって差し切るとこ、毎回見てるとマジ溶けそう!よろしくお嬢!」『…分かりました』
    「次、ミラクル!やっぱりルビー呼ぶなら隣にいないとね!ミラクルは前目ガンガン走っちゃって、そのまま押し切り決めちゃってよろー☆」『選んでくれて嬉しいよ、ありがとう』
    「そんでそんでゼファっち!有明のライブでも出してって言ってたもんね!新進化スキルも先行混戦の展開に強いし、もうぶち抜くしかないっしょ!!」『よろしくお願いしますね』
    「最後にウチ、敏腕プレイングトレーナーへリトレぴa.k.aダイタクヘリオス!ウチら4人、逃げから差しまでバランス良く揃ったチームSprinter's StoryでA優勝間違いなし!!!」

    『…ヘリオスさん。』「ん、ルビーどしたん!?」
    『確認ですが、チャンピオンズミーティングの出走枠は3名という前提をお忘れではないでしょうか』
    「え"」

    ======================

    『ヘリオスさん。渡されたトレーニング計画や作戦指示書は素晴らしいものでした。なのになぜ出走枠が3名しかないことを失念なされていたのでしょうか』
    「あっ…その…おじょ…ルビーやみんなのために徹夜して作戦考えて…はい、失念してました…以後気をつけます…」

    『徹夜!?…並々ならぬ縁のある私達と共に最高の舞台で戦いたいヘリオスさんの気持ちは痛く理解しています。ですが共に挑む仲間として、万全な体調でないヘリオスさんの出走は私が許しません!』
    「はい…ずびまちぇん…」



    『このままだとルビーがヘリオスに代わって実質選手兼任トレーナーになりそうで不安だな…。おれ、控えに回った方がいいかな?』
    『風のぶつかり合いから起こる気象現象もあります。ルビーさんとヘリオスさん、二人で私達を導くような風向きもよいのではないでしょうか」

  • 22二次元好きの匿名さん24/02/20(火) 21:33:46

    あげ

  • 23二次元好きの匿名さん24/02/20(火) 23:52:49

    >>21

    舞台組いいですよね…

    4人で組めないのがホントに悔やまれる…

  • 24二次元好きの匿名さん24/02/21(水) 07:05:51

    あげ

  • 25二次元好きの匿名さん24/02/21(水) 12:56:19

    環境に合致してる子はエミュ難が多いのよね今回…

  • 26◆os6UVi1GVMOT24/02/21(水) 21:54:40

    >>23

    声優さん本人もこの編成で頑張られててちょっと感動しましたわ


  • 27二次元好きの匿名さん24/02/22(木) 05:04:10

    >>25

    ヘリオス、ルビー、ゼファー…うぬら3人か

オススメ

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