- 1二次元好きの匿名さん24/02/29(木) 18:05:20
- 2二次元好きの匿名さん24/02/29(木) 18:18:28
- 3二次元好きの匿名さん24/02/29(木) 18:19:06
こんな所から綻びが生まれてアリウスが瓦解したら笑う
- 4二次元好きの匿名さん24/02/29(木) 18:27:30
サオリってメイク道具系の贈り物を喜ぶんだよね
実はお洒落に興味があるんだなぁ - 5二次元好きの匿名さん24/02/29(木) 18:29:57
ミカのことだから同情してそう
- 6二次元好きの匿名さん24/02/29(木) 18:35:29
ミカはいいやつだった!これで安心してみんなの髪を切れるな!
安心したら腹が減って来た!よし、虫かネズミでも捕まえるか!
サオリ「まて」
なんだ、サオリ!言っておくが鶏?のぬいぐるみはだっこさせてやらんぞ!
サオリ「そんなものはいらん。それより、余計な真似をするな。貴様の勝手な行動で他の皆にも被害が出たらどうする」
謝る!それで頑張る!
サオリ「そんなことで取り返しがつくと思っているのか!?」
分からん!でも、何もしなかったら何もわからんままだ!
サオリ「………分かったところで、ただ虚しいだけだ」
アリウスのみんなは可愛い!髪の手触りもいい!きっと手入れすればもっと良くなる!
サオリ「お前、一体何を…」
私はみんなが可愛いとぽかぽかする!よく分からんが、これはきっと虚しさじゃない! - 7二次元好きの匿名さん24/02/29(木) 18:39:20
ある種アズサとは別ベクトルで特異点だな…
- 8二次元好きの匿名さん24/02/29(木) 18:56:25
あはは……ペロロ様をカバと誤認しないとは見所がありますね!
- 9二次元好きの匿名さん24/02/29(木) 19:09:20
『何か、こう、ぽかぽかする!』
ナレーション
ミカの脳裏に、彼女の言葉が何度も浮かび上がる
その名前も知らないまま、それでも「みんな」の為に美と向き合った誇り高い少女、
そのささやかな願いを叶えるだけでは、ミカはもう我慢出来なくなっていた。
ミカ「たしか、あの子言ってたよね。「バカダムに報告しやがった」………この「バカダム」って人を何とかすればいいのかな?」
ナレーション
自身の目を曇らせていたゲヘナへの嫌悪を、ミカは何時しか至高の隅に追いやっていた。
ミカは本来頭の悪い生徒ではない。むしろ、思慮深く聡明と言える。
だからこそ、彼女は自分が政治に明るくないということもよく理解していた。
ミカ「ナギちゃんとセイアちゃんにも相談しなきゃ」
ナレーション
聖園ミカ。彼女もまた、トリニティが誇るティーパーティーであった。 - 10二次元好きの匿名さん24/02/29(木) 19:11:24
おっと?
- 11二次元好きの匿名さん24/02/29(木) 19:19:31
バカのガンダムみたいな響き>バカダム
- 12二次元好きの匿名さん24/02/29(木) 19:20:37
邪魔だからばっさり切ったとかじゃ無いんだな
- 13二次元好きの匿名さん24/02/29(木) 19:26:41
おっと
- 14二次元好きの匿名さん24/02/29(木) 19:29:58
- 15二次元好きの匿名さん24/02/29(木) 20:15:20
あはは…
- 16二次元好きの匿名さん24/02/29(木) 20:23:44
ベアおばの占領下でこのテンションのやつ、仮に生きててもロクなことになってなさそうだし色んな子の傷になってそうだな……
- 17二次元好きの匿名さん24/02/29(木) 22:40:00
- 18二次元好きの匿名さん24/02/29(木) 22:42:07
篝ノゾミ
- 19二次元好きの匿名さん24/02/29(木) 22:43:31
切髪クシノちゃん
- 20二次元好きの匿名さん24/02/29(木) 22:44:35
葉加瀬ヒロミ
- 21二次元好きの匿名さん24/02/29(木) 22:44:48
神子柴カナ
- 22二次元好きの匿名さん24/02/29(木) 23:15:44
サオリ(カナが死ぬ………)
ナレーション
神子柴カナという少女はサオリにとって………いや、全てのアリウス生にとって喧しい雑音だった。
何かと自分たちに絡んできては、やれ髪が痛んでいるだの、埃まみれだの、伸びてるから切るだの、口煩い相手だった。
だというのに、カナの処刑はサオリの心に影を落とした。
今まで感じたことがない、まるで太陽がなくなってしまったかのような暗い影。
何故だかサオリは、何時も煩わしくて仕方がなかった喧しい声が、余計なお節介が無性に恋しくなっていた。
サオリ、どうした!何時も増して元気がないぞ!鶏?抱っこするか!?
ナレ―ション
噂をすれば影。神子柴カナがあの何とも言えない顔をしたぬいぐるみを抱いてサオリの元へ駆け寄って来た。
サオリ(そうか……カナは何時も……)
ナレーション
神子柴カナはただの一度として同胞を傷つけなかった。一日としてサオリたちを心配しない日はなかった。
だから、この喧しいバカのことを嫌いになり切れないのだと、サオリは今更にして気が付いたのだった。
公開処刑まで後●日。いずれ訪れる日のことを、まだサオリしか知らなかった。 - 23二次元好きの匿名さん24/03/01(金) 06:57:16
完全に失う前に気が付けてよかったが………
- 24二次元好きの匿名さん24/03/01(金) 08:51:44
突然の絶望がサオリを襲う……!
- 25二次元好きの匿名さん24/03/01(金) 16:54:44
どうなるかな
- 26二次元好きの匿名さん24/03/01(金) 17:04:05
うわーん!このままじゃサオリ曇らせバッドエンドになってしまいます!!!>>1さんお願いしますハッピーエンドを見せてください!
- 27二次元好きの匿名さん24/03/01(金) 17:30:28
ミカ「ナギちゃん、セイアちゃん、アリウスと和解しよう!」
ナレーション
突然の親友からの提案に2人のティーパーティーは顔を顰めた。
ミカがただ愚かな少女でないことを親友である2人は知っているが、同時に直情的過ぎる一面がもよく理解していた。
ミカはゲヘナとの和解。エデン条約に熱烈に反対していた。廃案の為、対案を欲して妙な考えを起こしたのではないか?
そんな疑いが2人の脳裏に浮かんできた。
ナギサ「………無理です。そもそも、アリウス分校が何処あるかも私たちは知らないのですよ?」
ミカ「カタコンペがアリウス分校に通じてるよ」
セイア「まさか、一人で行ってきたのかい?そんな得体のしれない場所に?」
ナレーション
2人は頭が痛くなってきた。
どうして普段は聡明な彼女が感情的になるとこうも愚かになるのか?誰か教えて欲しいと願った。 - 28二次元好きの匿名さん24/03/01(金) 17:36:01
うーん辛辣
- 29二次元好きの匿名さん24/03/01(金) 17:45:54
ミカ「うっ、それは………ごめん。私が軽率だったね」
ナレーション
だが2人の考えはいい意味で裏切られた。
何時ものミカであれば感情的になって反論してきた筈だが、そうはならなかった。
それはつまり、ミカが冷静であることに他ならない。
ナギサ「ミカさん、カタコンペの向こうで何があったのか教えていただけますか?」
ナレーション
だから、ナギサはミカの話に耳を傾けた。
エンジンばかりでブレーキが欠陥品の親友が、珍しく冷静に自分のコントロール出来ていている頭で出した結論。
それはナギサにとって何よりも信頼できるモノの一つだったからだ。
ミカ「えっとね、まずカタコンペを抜け出したら自治区みたいな町があって………」
ナレーション
親友2人のやり取りを横目に見ながら、百合園セイアは深く感動していた。
何時も自分が短慮すぎると口酸っぱく指摘していても鬱陶しがるばかりだったミカが、
檄情に飲み込まれることなく理路整然とナギサにアリウスの状況を説明している。その目を見張る成長に感動していた。
あのミカをここまで成長させるだけの何かがアリウスにはある。それは一筋縄ではいかない試練だろう。
しかし、セイアの感情は既にミカへと傾きつつあった。 - 30二次元好きの匿名さん24/03/01(金) 19:20:11
ミカ頑張れ
- 31二次元好きの匿名さん24/03/01(金) 19:28:32
いけっミカアリウス和解ルートを突っ走るんだッ
- 32二次元好きの匿名さん24/03/01(金) 22:02:30
定期的に文豪が出るね、このカテ
- 33二次元好きの匿名さん24/03/02(土) 07:28:54
カナちゃん死なないで…
- 34二次元好きの匿名さん24/03/02(土) 12:39:41
- 35二次元好きの匿名さん24/03/02(土) 12:44:47
美しいな、そして儚い…訳がない!
- 36二次元好きの匿名さん24/03/02(土) 12:53:47
- 37二次元好きの匿名さん24/03/02(土) 13:06:31
これは…圧倒的光!
- 38二次元好きの匿名さん24/03/02(土) 14:32:12
- 39二次元好きの匿名さん24/03/02(土) 14:55:10
ミレニアムのモモイ
トリニティのヒフミ
アリウスのカナ← New!! - 40二次元好きの匿名さん24/03/02(土) 16:31:36
コイツが死ぬのはホントに虚しいから絶対助かれ
- 41二次元好きの匿名さん24/03/02(土) 18:01:20
二枚舌のバカダム
つまりバカ舌 - 42二次元好きの匿名さん24/03/02(土) 18:06:07
みこし”バカ”な
か…
モモイ系統と見た - 43二次元好きの匿名さん24/03/02(土) 18:36:59
- 44二次元好きの匿名さん24/03/02(土) 20:29:38
ヒヨリ「死ぬのは辛いですよね……苦しいですよね……やっぱり、私たちは苦しむために生まれて来たんですね……」
ミサキ「ヒヨリ、煩い」
ヒヨリ「あう……」
アツコ「…」
アズサ「カナ……」
サオリ「……見回りに行ってくる」
ナレーション
他のアリウス同様、スクワッドは決して明るいお気楽集団ではなかったが、
それを考慮しても最近のスクワッド内での空気は暗く、サオリは何時もよりも居心地悪く感じていた。
スクワッドはサオリにとっての家のような存在であり、そのメンバーは仲間であると同時に家族でもある。
だが、その家族は「カナ」という底抜けに明るいバカの死を前にして崩壊しかけている。
白洲アズサはカナの名を呟きながら考え込むようになり、時折任務中でもボーっと考え込むことがある。
戒野ミサキは近頃頻度が減っていた自傷を頻繁にするようになり、不機嫌そうに周囲に怒りを向けるようになった。
槌永ヒヨリは諦念から無気力になり、諦念混じり自虐の言葉を以前よりも頻繁に口にするようになった。
秤アツコはヒヨリよりも無気力になり、手話を止めて意思疎通の機械も無くなって何を考えているのかも分からない。
サオリ「そして、私もリーダーでありながら何をどうすればいいのか分からなくなってしまった」
ナレーション
サオリは神子柴カナの処刑が決まってから、優柔不断になり決断の機会を見失うようになってしまった。 - 45二次元好きの匿名さん24/03/02(土) 21:07:13
皆苦しんでる…
- 46二次元好きの匿名さん24/03/02(土) 21:32:30
髪を整えろ
着飾れ
化粧をしろ
可愛くなれ
綺麗になれ
おしゃれしろ - 47二次元好きの匿名さん24/03/02(土) 22:08:37
- 48二次元好きの匿名さん24/03/02(土) 23:35:20
カナの光によってスクワッドが全員
灼かれてる……
ここからばにばに回避する方法は
あるんですか!? - 49二次元好きの匿名さん24/03/03(日) 07:21:38
ここから入れる保険は…
- 50二次元好きの匿名さん24/03/03(日) 10:17:58
ナレーション
処刑の未来を待つカナのことばかり考えていた所為だろうか?
逃げ出すような気持ちで巡回していた筈が、気が付けばサオリは独房の入り口に立っていた。
サオリ「私は何を………縋りに来たとでもいうのか?」
ナレーション
自分の本性は想像以上に浅ましかったらしいと、サオリは一人自嘲する。
しかし、引き返そうにもそんな気にはなれず、足も言うこと聞かず、サオリは独房への道を歩き出した。
交代の人か!?もう少し待ってくれ!もう少しで毛先を揃え終わ………
サオリ!?どうしてこんなところに!?元気がないぞ!
サオリ「カナ………」
ナレーション
サオリは相変わらずの優しい騒がしさに安心しつつも、カナを邪険にしてきた過去を思い出してしまう。
何を今更、都合がよすぎるだろう。と、サオリは罵倒を飲み込んで自らを蔑んだ。 - 51二次元好きの匿名さん24/03/03(日) 11:50:28
このまま脱獄して見つかって追い詰められた時にミカ参上なんて綺麗な事が…起こればいいなぁ
- 52二次元好きの匿名さん24/03/03(日) 14:17:03
このまま脱獄できずに終わるのか…?
- 53二次元好きの匿名さん24/03/03(日) 15:26:30
がんばれサオリ
- 54二次元好きの匿名さん24/03/03(日) 16:15:43
何かあったのか!?話を聞かせてくれ!
私に話したら、なんか、こう、すっきりすると評判だ!
サオリ「あ、いや、私は………」
ナレーション
貴方を失うのが恐ろしいと、サオリには言えなかった。
カナにどうこう出来る問題ではないし、話せばまたカナに重苦しいモノを背負わせてしまう。
そうか………サオリも髪を整えよう!そうしすれば気分もきっと変わる!
サオリ「……そう、だな。お願いしようか」
今日はやけにみんな素直だな!?おしゃれに目覚めたのか!?
見張りのアリウス兵「かも、しれんな………」
それはいい!すきなことがあるのはいいことだ!虚しくない!
っと!終わったぞ!可愛くなった!
見張りのアリウス兵「ありがとう、カナ。………サオリ、交代だ」
サオリ「あ、ああ……」 - 55二次元好きの匿名さん24/03/03(日) 16:32:00
サオリ、お前もか!汚れを拭くぐらいしろと何度言えばいい!?
サオリ「す、すまない……」
サオリの髪は長いから手入れは大変だろうが、この青みがかってオーロㇻみたいな黒髪は芸術だ!勿体ない!
サオリ「そ、そうか?」
そうだ!自信をもって誇れ!お前たちは可愛い!!
ナレーション
このアリウスに容姿を気にする余裕なんてものはない。こうして日常的に他人を褒めるのもカナだけだ。
命よりも大切にしているスクワッドでさえ、サオリは褒めたことがなかったような気がした。
サオリ「カナ、お前は強いな」
急にどうした!?
サオリ「私は自分のことで精一杯で、リーダーとしてスクワッドのみんなを守る筈がかける声も見つけられない。
だけど、ずっと、お前はアリウスの全員を見ていた。鬱陶しがられても、心配して世話を焼いてくれた」
サオリ「……私は神子柴カナにはなれない」 - 56124/03/03(日) 20:02:36
ナレーション
サオリは自分の口から弱音が出たことが信じられなかった。
元々こんな困らせるようなことを言う気は毛頭なく、ただ誘われるがままに髪を預けただけだった。
だが、既にストレスが限界に達しつつあったのか?或いは「神子柴カナ」は自分の弱みを受け入れてくれると
無意識の信頼があったのか?サオリの意志に反して、身体は深く内側の傷をさらけ出していた。
何を言うかと思えば………私も錠前サオリのような頼れるリーダーにはなれない!やれて精々道化だ!
サオリ「は?」
ナレーション
予想外の言葉にサオリの思考が停止するのを他所に、カナは何時もの強い口調で叫び続ける。
秤アツコのような気品も無ければ忍耐強さもない!おしゃべりを我慢するのは苦痛だ!
戒野ミサキのような絶望に耐える力もない!アイツは自殺するぐらい弱ってるのに生きてる!えらい!
槌永ミサキのような貪欲さもない!私に好きなモノを拾い集める発想をくれた!ハサミは落ちてなかった!
白洲アズサのように足掻き続けることは出来ない!私はみんなが幸せに笑っていればそれでいい人間!
神子柴カナにしかなれない!それはみんな同じだ!みんな違って、だからみんないいんだ! - 57二次元好きの匿名さん24/03/03(日) 20:46:38
ヒヨリの名前がなくなってる
- 58124/03/03(日) 20:48:39
- 59二次元好きの匿名さん24/03/03(日) 23:07:42
ありゃりゃ
- 60二次元好きの匿名さん24/03/04(月) 01:07:41
たまにあるあるだよねぇ
- 61二次元好きの匿名さん24/03/04(月) 01:18:33
- 62124/03/04(月) 06:52:17
ナレーション
錠前サオリは情報で頭を殴られた気分だった。
自分の価値観を揺さぶるような力強く、そして底抜けに優しい。
それはアリウスの中全てのアリウス生を見続けてきた神子柴カナだから意味を持つ言葉であり、
サオリの弱さを受け入れて尚、それでいいと肯定してくれる言葉。
気が付けば、サオリは涙を流していた。
サオリ「カナ、私は……ッ!!」
きっと、サオリは頑張り過ぎて少し疲れたんだな!
無理に何か言わなくてもいい!けど、これだけは忘れるな!
私だから出来ないことがあるように、サオリだから出来ることも沢山ある!サオリだからしてやれることが沢山あるんだ!
サオリ「ああ、ああっ!!」
ナレーション
それはサオリにとって生まれて初めての「甘える」という経験であった。
- 63二次元好きの匿名さん24/03/04(月) 12:15:14
このレスは削除されています
- 64二次元好きの匿名さん24/03/04(月) 15:57:43
失われていいはずがない…
- 65二次元好きの匿名さん24/03/04(月) 16:14:55
ククク・・・泣けてきた・・・
- 66二次元好きの匿名さん24/03/04(月) 16:50:54
鳥肌たったわ・・・
- 67124/03/04(月) 18:06:11
- 68124/03/04(月) 21:20:26
ナレーション
ナギサは冷血な少女ではない。
アリウスの現状に同情しているし、助けてあげたいとも思っている。ミカという親友からの信頼に答えたいという思いもある
ナギサ「現状、全面協力は難しいと言わざるを得ません。
ナレーション
ナギサの不運は、権謀術数渦巻くトリニティのティーパーティーのホストとしての地位と、
それに相応しいだけの能力があったこと。ただ1人の少女として、友人として動くことが許されなかったことだ。
ミカ「なんで!?現実にみんなは苦しんでるんだよ!?」
ナギサ「ですが、私たちは現状を正しく知りません。
正確な人数は?組織形態は?
彼女たちを苦しめるのが何なのですか?
トリニティに対して恨みを持つ勢力が本当にないのですか?
そもそも助けを求めているのですか?彼女たちが助けを求めた訳ではないのでしょう?」
ミカ「そ、それは……」
ナギサ「曖昧な情報で組織を動かすことが出来ないことは、ミカさんにも分かるでしょう?」 - 69124/03/05(火) 06:39:37
ナギサ「それに時期も悪い。今はエデン条約の準備の真っただ中、中断するには遅すぎる段階です」
ミカ「もしかして、手の空いてる子いない?」
ナギサ「そうですね。私もセイアさんもかかりきりになるでしょう」
ナレーション
桐藤ナギサは本来心優しい少女である。
幼馴染であるミカにはそれがよく分かっており、ナギサのポーカーフェイスの裏を察することが出来た。
何度も声を荒らげて癇癪を起こすことが出来ない。ミカはその苦しみをずっと見て来たのだから。
ナギサ「ですから、アリウスへの支援はミカさんが主体となって行ってもらいます」
ナレーション
ナギサの出した結論はミカにとって予想外の幸運だった。
ミカ「ナギちゃん………いいの?」
ナギサ「私だって何も思うところがない訳ではありません。それに、どの道ミカさんは一人ででも動くでしょう?」
ミカ「それはまぁ……うん」
ナギサ「なら、最初から正式な許可を与えておいた方が面倒がなくて済みます」
ミカ「ナギちゃん………ありがとう!」 - 70二次元好きの匿名さん24/03/05(火) 07:22:01
優しいナギちゃん…!
- 71二次元好きの匿名さん24/03/05(火) 12:17:52
ありがとう、優しいナギちゃん
- 72124/03/05(火) 18:41:12
ナレーション
かくして、ミカはアリウスとの和解に向けて大義名分を得た。
のだが、今のトリニティがエデン条約に向けて忙しい時期であることに変わりはない。
ティーパーティーや正義実現委員会は勿論のこと、政治的なしがらみを考えると、
比較的普段通りの救護騎士団やシスターフッドであえも全面協力は難しい。
ミカ「それじゃあ、改めてアリウス講和対策委員会の活動方針について話し合うよ」
ナレーション
そんな中、ミカが方々駆けずり回って集められた人員は………自分を入れてたったの四人。
イチカ「あの、もしかして、メンバーはこれだけっすか………?」
ナレーション
信じられないモノを見る目で辺りを見回す、正義実現委員会からの刺客。仲正イチカ。
サクラコ「確かに不安は残りますが……、話を聞く限り、アリウスの皆さんの状況は一刻を争います」
ナレーション
何故かトップが出張って来たシスターフッド。歌住サクラコ。
ハナコ「うふふ……」
ナレーション
服を切ろ、浦和ハナコ。
ミカ「しょうがないじゃん、これだけしか集まらなかったんだから」
ナレーション
そしてティーパーティーの聖園ミカを代表に戴き、アリウス講和対策委員会は動き出した。 - 73124/03/05(火) 18:44:46
とりあえず、ミカ編はいったんここまで。
継からまたアリウス…というかサオリ編に移ります。 - 74二次元好きの匿名さん24/03/05(火) 18:55:10
ハナコとサクラコがミカを存分に振るえる…
勝ったな、アリウスに風呂作ってくる - 75二次元好きの匿名さん24/03/05(火) 19:09:26
権力・知力・暴力が見事に揃った良いチームだ
- 76二次元好きの匿名さん24/03/05(火) 19:15:16
案件が案件だけに下手に人集めて外部に漏れるリスク増やすわけにもいかんしなあ
派閥の幹部か幹部からの信頼厚い者でもないと参加させられん - 77二次元好きの匿名さん24/03/05(火) 19:17:30
ハナコお前服着てないんか…
- 78二次元好きの匿名さん24/03/05(火) 23:20:46
またハナコが錯乱してるよ
- 79二次元好きの匿名さん24/03/05(火) 23:31:56
- 80二次元好きの匿名さん24/03/05(火) 23:44:23
- 81二次元好きの匿名さん24/03/06(水) 06:35:33
セイア襲撃でネジ狂い始める前のミカなら割とハナコの脳焼き条件満たすかもしれんし……(良くも悪くも真っ直ぐで損得関係なく手を伸ばせる)
あと他メンバーが周囲に誤解されがちサクラコ様といい意味で本質を理性で隠して立派たらんとするイチカだからいい刺激になるかもしれんし……
- 82二次元好きの匿名さん24/03/06(水) 06:58:19
サオリ「お前たち、新しい任務だ」
ナレーション
サオリの言葉に、スクワッドの面々は鬱陶しそうに顔を上げた。
以前に比べて覇気が薄い。まるで死骸が動いているかのような酷い姿に思わずを逸らしそうになる。
だが、それでも、生まれた夢が彼女の心が壊れぬように支えていたから、サオリは堂々と立っていられた。
サオリ「お前たちは任務に参戦してもしなくてもいい。強制はしない」
ミサキ「はぁ?一体何言ってるの?マダムがそんなこと許す訳ないでしょ?」
サオリ「この任務にマダムは関わっていない。これは私が私自身の命令で実行する任務だ」
ナレーション
スクワッドの面々に動揺が広がる。
淀んだ沼に石を投げ込んだようにゆっくりと、しかし確実に波紋が広がっていく。
仮面をつけていなければ、アツコの面白い顔が見られただろう。
アズサ「それで任務の内容は?」
ナレーション
一番最初に動き出したのは、鶏?のようなヌイグルミを抱いたアズサだった。
サオリ「神子柴カナを救出。そして……マダムを倒し、ミカを通じて全員でトリニティに転入する」 - 83二次元好きの匿名さん24/03/06(水) 10:35:52
革命だ!
- 84二次元好きの匿名さん24/03/06(水) 16:51:40
📢アリウスはカナを解放しろー!
- 85二次元好きの匿名さん24/03/06(水) 16:58:13
立ち上がれ!
- 86二次元好きの匿名さん24/03/06(水) 17:08:25
ベアおばがカナを人質にしてきそうだな
- 87二次元好きの匿名さん24/03/06(水) 17:16:25
ベアおばが何かした途端破綻するばにばにロジック…
砂上の楼閣もこれより頑丈だろう… - 88二次元好きの匿名さん24/03/06(水) 17:56:31
- 89124/03/06(水) 18:19:53
- 90124/03/06(水) 22:28:49
ヒヨリ「そ、そんなこと本当に出来るんですか?」
ミサキ「出来る訳ない。マダムを敵に回すってことはアリウスそのものを敵に回すってことなんだよ?
それにマダム自身も底が知れない。内戦が終結した時、なんらかの形で関わっていたのは事実なんだ」
ナレーション
サオリの作戦に懐疑的なヒヨリに対して、バッサリと切り捨てるミサキ。
何年もかけてアリウスの子どもたちに植え付けられた絶望と諦念の根の深さを、サオリは嫌でも思い知らされる。
サオリ自身、マダム……ベアトリーチェが恐ろしく堪らなかった。
逆らうことを想像するだけで心臓が握り潰されて、奥深くから恐怖が這い出てきて、その心を支配するのだ。
サオリ「………カナは処刑されるぞ。その次は生贄のアツコか?それとも一時反抗的だったアズサか?」
ナレーション
だが、しかし、神子柴カナは今も地下牢の中で待っている。サオリを信じて待っているのだ。
ただそれだけの事実があるから、サオリは心を奮い立たせて言葉を続けることが出来た。
アズサ「サオリ、その言い方は……」
サオリ「だが、事実だ。マダムは私たちアリウスの命を何とも思っていない。カナを処刑できるということは……
他の誰でも同じことが出来るということだ」
サオリ「それともあるのか?自分たちだけは大丈夫だという根拠が」
ナレーション
静寂が辺りを包む。誰も、何も答えを返すことが出来なかった。 - 918824/03/06(水) 23:25:05
- 92二次元好きの匿名さん24/03/06(水) 23:35:12
スパイを送り込む計画が実行に移されたのはセイア襲撃後だから、アズサがトリニティに来たのはセイア襲撃後だと思うよ。
ミカがアリウスと邂逅→アズサが和解の象徴として選ばれる→ベアトリーチェの命令により一度断られる→セイア襲撃が行われる→ナギサがエデン条約を進める→ミカがクーデターを計画→スパイを送り込むことになりアズサが編入してくる→本編、って流れだと思う。
- 93二次元好きの匿名さん24/03/06(水) 23:58:35
カナを消すなら他の生徒も気まぐれに処刑命じてもおかしくないからな
対岸の火事ではない - 94二次元好きの匿名さん24/03/07(木) 05:22:44
”良い子”って怖いよね…無力だけど起爆剤としては特級なんだ
- 95124/03/07(木) 07:03:12
アズサ「……分かった。やろう」
ナレーション
静寂を破ったのはアズサだった。
だが、それは次の処刑候補に名前を挙げられたから………ではない。
すべてが虚しいと教え込まれてきたアリウス生たちの中で、アズサは「それでも抗うことを止めてはならない」と、
自らを奮い立たせ続けて生きて来た。
アズサ「カナは私にとって大切な仲間だ。見捨てられない」
ナレーション
だからこそ、アズサは虚しくないモノを持つカナとの相性が良かった。ある意味、カナに最も近い生徒だったのである。
アリウス生の中でもかなり仲間意識が強いアズサにとって、見捨てられるほど遠い存在ではなかったのだ。
ミサキ「それはそうだけど………はぁ、分かったよ。どうせ失敗しても死ぬだけだしね」
ナレーション
次に同意したのは、肉体の枷を疎ましく思い自傷行為を繰り返していたミサキだった。
そもそも、ミサキにとって処刑されることがデメリットではなかったのである。
- 96二次元好きの匿名さん24/03/07(木) 14:23:44
ᓀ‸ᓂ
- 97二次元好きの匿名さん24/03/07(木) 17:17:50
ヒヨリ「ええっ!?お2人とも本気ですか!?」
ミサキ「全部虚しいなら、死んだって同じでしょ」
ヒヨリ「それは……そうですけど……」
ナレーション
サオリは否定したかった。カナのように「生きていて欲しい」と言いたかった。
だが、死の恐怖の無さという動機が無くなってしまえば、
戒野ミサキという頼れる仲間の協力が得られなくなるかもしれない。そう思うと、口を閉ざすしかなかった。
ヒヨリ「でも、あのトリニティですよ?本当に転入なんて出来るんでしょうか?」
サオリ「………分からない。だが、トリニティ……聖園ミカは私たちに対して敵意を向けることも、攻撃することもしなかった」
ヒヨリ「た、たしかに攻撃はまだされてませんけど…………あれ?もしかして私、なにもされてないですか?」
アズサ「………言われてみれば、講和会議の時の生徒はもうアリウスにもトリニティにもいない」
ミサキ「あ、あれ?待って?それじゃあ、私……私たち、いったい今まで何を憎んで……」
- 98二次元好きの匿名さん24/03/07(木) 17:34:51
ナレーション
頭が割れるように痛み出し、自分の底に植え付けられた「何か」への嫌悪感で今吐き出しそうになるのを抑えて、
サオリは仲間たちの会話に耳を傾ける。
それはサオリですら、気が付いていないことだった。ずっと、当たり前のように受け入れていたことだった。
だけど、たしかに、考えれば考えるほど………その憎悪の根底、トリニティに攻撃された記憶が出てこない。
アツコ「…」
サオリ「アツコ?」
ナレーション
突然、沈黙を保っていたアツコが素顔を覆う仮面を外した。
それはベアトリーチェによりつけ続ける様にと与えられたもので、それを外すことは明確な反逆行為を意味する。
アツコ「考えることを諦めて…決めることをあきらめて……私はずっと諦め続けてた」
アツコ「本当は、この憎しみが誰かに与えられたものだと気づいていたのに、それを考えない方が楽だから、
どうせ無駄だからと諦める方が楽だから、口に出さずに抑え込んでた」
アツコ「でも、今諦めたらカナは死んじゃうんよね………私、やるよ。やっと、諦められないことを見つけたから」
ナレーション
ずっと守ってきたはずなのに、サオリは初めてアツコの本音を聞いた気がした。
どうして、諦めなくていいと今までいえなかったのだろう?どうして、その苦しみに気が付けなかったのだろう?
そんな考えが過るのも、サオリに未来を見据えて自分を鑑みる余裕が出来たからだ。
少しづつ、少しづつではあるが、アリウスは変わり始めていた。 - 99二次元好きの匿名さん24/03/07(木) 19:58:25
いい兆候だ
- 100二次元好きの匿名さん24/03/07(木) 21:10:03
ヒヨリ「うわぁぁん!これで反対したら私が薄情者みたいです!……私もやります、連れてってください!」
サオリ「助かるが、本当にいいのか?ことがことだ、断っても別に薄情だとは思わないが………」
ヒヨリ「だ、大丈夫です。その、勢いに任せないと言えない気がして……えへへ……」
ナレーション
ヒヨリは照れ臭そうに笑うと、バッグから何冊か雑誌を取り出した。
あちこちから拾ってきた、ヒヨリの宝物である。
ヒヨリ「………この中の何冊かはカナちゃんが拾ってきてくれたんです。あちこち歩きまわって、何か見つけるたびに見せてくれて………」
アズサ「この鶏?もカナが拾ってきたんだったな」
アツコ「私も何度かお花持ってきてもらったことがある」
ミサキ「何それ?何で私だけもらってないの?」
サオリ「ミサキはすぐに「いらない」と突っ返すからだろう」
ナレーション
カナは地下牢にとらわれたままだが、受け取ったものは確かにここにある。
雑誌や、ぬいぐるみや、花だけではない。
心の中を照らしている暖かな火は、確かにカナが何年もかけて灯してくれた一番の宝物だった。 - 101二次元好きの匿名さん24/03/07(木) 21:14:10
太陽は地平線に沈んだあとどこに行くと思う?
アリウスだよ - 102二次元好きの匿名さん24/03/07(木) 21:16:33
アリウスの虚しさがばにまいなすされていく…
- 103二次元好きの匿名さん24/03/08(金) 00:38:33
がんばれ〜
- 104二次元好きの匿名さん24/03/08(金) 02:49:29
お前達なら…きっと……
- 105二次元好きの匿名さん24/03/08(金) 06:57:46
サコラコ「話には聞いていましたが本当にこんな場所が………」
イチカ「でも、不思議っすよね。入り口が変わるなんて……」
ミカ「この辺りの仕組みはみんなも分かってないみたいなんだよねぇ~………あ、いたいた!おーい!」
アリウスモブ「………ああ、なんだ、聖園ミカか」
ハナコ「ミカさんの話から想像はしていましたが、覇気がないですね」
ミカ「いや、前はもう少しハキハキしてたんだけど………そういえばカナちゃんは?お願いされてたモノ買って来たんだけど……」
アリウスモブ「神子柴カナは……カナは…地下牢だ」
サコラコ「地下牢?何故そんなところに……」
イチカ「そりゃあ、何かやらかして捕まったからじゃないっすか?」
アリウスモブ「無許可での聖園ミカ…部外者への接触が反逆とされた、カナは……処刑される」
ミカ「は?」 - 106二次元好きの匿名さん24/03/08(金) 17:22:10
ミカ、キレた!!
- 107二次元好きの匿名さん24/03/08(金) 20:37:09
そりゃキレる
- 108二次元好きの匿名さん24/03/08(金) 20:43:50
ミカ「どういうこと、サオリちゃん!?」
サオリ「ミカ、来てくれたのか」
ミカ「そりゃあ、来るよ!私、カナちゃんと約束したもん!なのに、そのカナちゃんが処刑ってどういうこと!?」7
サオリ「っ!」
ナレーション
あまりに強い力にサオリは思わず呻きそうになるが、しかし嫌な気分は不思議としなかった。
やはり、トリニティを憎み続ける理由などなかった。
必死に肩を掴んで食い込んだミカの指が、痛みとともにそれを感じさせてくれたからだ。
自分たちが進もうとしている道は、けっして間違いではないのだと
イチカ「指食い込んでるっす!気持ちは分かりますけど落ち着いて下さい!」
ミカ「あっ……ごめんなさい」
サオリ「いや、それだけ必死になるほど心配してくれたのだろう。それより、後ろの3人は………」
ミカ「あー、簡単に言うと……助っ人登場かな?」 - 109二次元好きの匿名さん24/03/09(土) 00:19:13
やったぜ
- 110二次元好きの匿名さん24/03/09(土) 00:26:19
これで……
カナちゃんは救われるんですよね!?
そうなんですよね!? - 111124/03/09(土) 00:29:08
- 112二次元好きの匿名さん24/03/09(土) 06:13:24
こんな時でもいつも通りやなお前
- 113二次元好きの匿名さん24/03/09(土) 10:22:20
ケチダム!バカダム!
- 114二次元好きの匿名さん24/03/09(土) 19:25:49
アマダム
- 115二次元好きの匿名さん24/03/09(土) 23:07:59
ナレーション
ミカたちアリウス講和対策委員会はサオリと合流した後、
そのサオリの案内で校舎内の小さな教室……とはいえ、殆ど廃墟の様な窓も無い一室に集まった。
サオリ「……以上が、我々アリウス分校の現状だ」
ナレーション
アリウス組は、教壇に立ち現状の説明を担ったばかりのサオリを筆頭に特殊部隊スクワッドの5人。
そして、カナに感化されてスクワッドの計画に賛同した数名のアリウス生が出席している。
サクラコ「内戦……圧政……そして処刑。どうやら、私たちの想像以上に状況は悪いみたいですね」
イチカ「……」
ハナコ「(マダムという大人の目的が分かりませんね。戦力を得ることが目的であれば、
内戦に介入してまでアリウスの支配権を得た時点で目的はたっていされている……というより、
内戦に介入出来る力を持っているならアリウスに固執する必要もないでしょう。となると、
やはり目的はロイヤルブラッドのアツコさんを用いた儀式?いえ、それならトリニティへの
敵愾心を植え付ける目的は……)
ナレーション
対して、ミカたちアリウス講和対策委員会の面々は驚愕と怒りが入り混じり、
唯一ハナコだけが疑問点への考察を重ねている。そして、発起人であるミカは……
ミカ「すぅー…はぁー……うん、頭に来るけど何とか頭は回せそう」
ナレーション
努めて冷静であろうと、何度も深呼吸をしながらどうにか理性を押さえつけていた。 - 116二次元好きの匿名さん24/03/10(日) 06:17:10
ᓀ‸ᓂ
- 117まやなた24/03/10(日) 07:51:43
えっ!この状況の保険がこんなにも不安じゃないことってあるんですか?!
- 118二次元好きの匿名さん24/03/10(日) 13:53:40
ミカ「それで、サオリちゃんたちはどうするつもりなの?」
サオリ「カナを助けたい。やっと気が付いたんだ、カナの明るさに私たちが救われていたのだと。
私たちの隣には、ずっと太陽があったんだと……」
ミサキ「大げさな……ただバカを迎えに行くだけでしょ?」
ナレーション
突き放すような言い方をするミサキでさえ、その口元は以前よりも緩んでいた。
明日も知れない廃墟の街での生活、突然現れたベアトリーチェの圧政、全ては虚しいという諦めの教え………
常に暗い影の中にあったサオリたちの人生に現れた、唯一明るい存在が神子柴カナという少女だった。
だからこそ、唯一の光を突然に奪われたアリウスの動揺は大きく、その心を激しく動かした。
サオリ「だが、最終目標はその先だ」
ナレーション
そして、その光に気が付いたサオリは、自ら光を見つけ出すことが出来た。
サオリ「アリウス生全員でマダムの支配から抜け出すこと。それが最終目標……私の夢だ」 - 119二次元好きの匿名さん24/03/10(日) 15:56:54
これは熱い展開
- 120二次元好きの匿名さん24/03/10(日) 22:11:08
虚しくない!
- 121二次元好きの匿名さん24/03/11(月) 01:51:54
めっちょ激アツやんけ!
- 122二次元好きの匿名さん24/03/11(月) 04:04:34
冷静に思考するミカとかいうSSR人材
- 123124/03/11(月) 06:45:17
- 124二次元好きの匿名さん24/03/11(月) 08:06:05
士気ガタガタになってて草
- 125二次元好きの匿名さん24/03/11(月) 08:20:42
ネズミ食べられるの…?
- 126二次元好きの匿名さん24/03/11(月) 12:27:35
ネズミでなにするつもりなの?
- 127二次元好きの匿名さん24/03/11(月) 12:58:43
鍋持ってくるって言ってるから煮て食うんじゃないかな?
病原菌とか言ってられない環境だし - 128二次元好きの匿名さん24/03/11(月) 13:31:34
最後の精神の支えになってたやつを処刑しようとしたらそりゃあ士気崩れてクーデターだよな
- 129二次元好きの匿名さん24/03/11(月) 17:02:10
ネズミは土地によっては貴重なタンパク元だからね
- 130124/03/11(月) 18:48:51
- 131二次元好きの匿名さん24/03/11(月) 19:16:40
アリウス生には解決後にお腹いっぱい美味いもの食ってほしい
- 132124/03/11(月) 19:19:45
イチカ「でも、そんなこと出来るんっすか?
話を聞いてる限り、かなり長い間マダムとやらの影響を受けてるんっすよね?」
ナレーション
イチカの苦言は的を得ていた。
事実、今もマダムの命令に淡々と従うアリウス生は存在する。
ベアトリーチェの教育は洗脳と呼んでいいものであり、純粋な子どもにとってあまりにも強い毒だ。
カナという突然変異のバカの影響がなければ、スクワッドの面々も道具に徹していただろう。
サオリ「…説得する。影響なら、カナからも受けた」
ナレーション
だが、ベアトリーチェの「毒」と同じか、それ以上に強い「劇薬」がアリウスには存在していた。
あえて、現時点でのベアトリーチェの失策を上げるなら、それは子どもを…神子柴カナを侮っていることだろう。
サコラコ「私も協力致します。説法であればシスターフッドの十八番ですから」
ナレーション
宗教というの支柱のようなものだ。
必要のない人も中に居るが、厳しい現実を生きる人々の中には支えを必要とする人が確かにいる。
トリニティ総合学園において宗教を司るシスターフッドの長、歌住サクラコは弱者に寄り添うプロとして立ち上がった。
イチカ「それじゃあ、正実の私はいざというときの為に備えておくっす」
ハナコ「私は…色々考えておきますね。革命には計画が必要ですから」
ナレーション
サクラコを皮切りに、イチカとハナコも立ち上がる。
彼女たちもまた、アリウスとの「講和」を望みここに集まっていた。 - 133二次元好きの匿名さん24/03/12(火) 00:25:29
サクラコ様頑張って…
- 134二次元好きの匿名さん24/03/12(火) 04:45:57
サクラコ様その笑顔だと”誤解”されちゃうよ!?
- 135124/03/12(火) 06:39:43
ナレーション
アリウス開放計画の発起人である2人、錠前サオリと聖園ミカには使命があった。
サオリ「ここが連邦生徒会…」
ミカ「気持ちは分かるけどキョロキョロはしないで、ヴァルキューレに捕まるから」
サオリ「わ、分かった」
ナレーション
通常、アリウス分校は仮にも「分校」、つまり学校でありその内情に外部の生徒が介入するのは政治問題となる。
それはアリウス講和対策委員会の四名も例外ではない。
仮にも生徒会長のベアトリーチェをぶちのめそうというのだから当たり前である。
だからこそ、各学園絵の介入を合法的に行える組織。連邦捜査部シャーレの協力は不可欠であった。
ミカ「アポはとってあるけど、私は先生に直接会ったことはない。だから…」
サオリ「分かっている。最悪の場合に備え、撤退用の装備は用意した」
ミカ「よろしい。でも、警戒は表に出さないで、お行儀良くしてね」
サオリ「ああ、任せてくれ」 - 136二次元好きの匿名さん24/03/12(火) 06:46:16
あぁ、時系列としてミカはまだ面識ない時だったね
- 137二次元好きの匿名さん24/03/12(火) 07:02:48
先生が目的ならサンクトゥムタワー(連邦生徒会の本部)でなくシャーレオフィスに行ったほうが確実だと思うけど、一応話は通すつもりかな?
- 138二次元好きの匿名さん24/03/12(火) 10:31:02
- 139二次元好きの匿名さん24/03/12(火) 10:44:46
なるほど!
- 140二次元好きの匿名さん24/03/12(火) 11:18:35
開戦まで後n日……
- 141二次元好きの匿名さん24/03/12(火) 17:32:41
ラストは例のBGMで〆かな
- 142二次元好きの匿名さん24/03/12(火) 18:00:31
いつかアリウスを抜け出して熱血美容師やってる姿がみたい
- 143二次元好きの匿名さん24/03/12(火) 19:15:13
ナレーション
2人は連邦生徒会の生徒の案内に従い、シャーレの先生が待つ応接間へと向かっていた。
ミカ「忙しい中、ありがとうね。私、あんまりここ来ないから地理分かんなくてさ……」
連邦生徒会モブ「いえ、仕事ですから」
ナレーション
道中、ミカは連邦生徒会の生徒へと話しかけたことをサオリは訝しんだ。
任務・訓練・待機の三つの時間しかないアリウス分校で育ったサオリには、世間話という概念がなかったのである。
しかし、それを全く知らないという訳でも無かった。
サオリ「(そういえば、カナもよく分からないタイミングで話しかけていたな………もしかして何か意味があるのか?)」
ナレーション
考えても分からなかったサオリは、入り口で話し合ったとおりに口を閉ざしてお行儀良くしておくことにした。 - 144二次元好きの匿名さん24/03/12(火) 20:10:35
ミカ「連邦生徒会も大変だよね~。生徒会長が失踪しちゃってさ。忙しくなったんじゃない?」
連邦生徒会モブ「そうですね。かなり、忙しくなりました。
シャーレの先生にも協力していただいているのですが、そもそもの仕事の数が尋常では無くて……」
ミカ「へぇ~。ってことは、シャーレの先生ともよく会うの?」
連邦生徒会モブ「そうですね。良くというほどではありませんが、仕事の関係で顔を合わせることも多いので
一般の生徒に比べれると顔を合わせる機会は多いかと……」
ミカ「それじゃあさ、どんな人か教えてくれない?私たち、実はまだ会ったことないんだよねぇ」
サオリ「(ほう?これは……)」
ナレーション
サオリは内心感嘆した。聖園ミカという少女の思慮深さを心強く思ったほどだ。
言葉巧みに会話を操り、相手を誘導し、必要な情報を引き出す技術。
それはアリウスの誰も持ち合わせていない。暴力以外の戦術であった。
連邦生徒会モブ「え?そうだな……見た目はけっこうかっこいいよ。優しそうな線の細いイケメンって感じ。
性格も見た目通り優しくてさ、滅多に怒らないっていうか起こったところ見たこと無いくらい
温厚な人。でも、書類のミスが多くてさ……うっかり屋さんなのかな?」
ミカ「へぇ~?でも、戦闘の指揮もするんでしょ?うっかりされたら堪んなくない?」
連邦生徒会モブ「それが不思議なことに指揮はミスしたこと無いんだよねぇ……」
ナレーション
サオリはミカの情報戦術に感謝しながら、脳に会話の内容を焼き付けた。 - 145二次元好きの匿名さん24/03/12(火) 20:11:52
順当に便利屋先生かな
- 146二次元好きの匿名さん24/03/12(火) 20:25:18
便利屋先生…やっぱりイケメンだよなぁ
- 147二次元好きの匿名さん24/03/13(水) 00:17:06
おやおや
- 148二次元好きの匿名さん24/03/13(水) 06:52:33
そのころ カナちゃん
ザル(穴が開いてるけど頑張ればまだ使える)で泥を何度も越して砂を落とす!
見張りアリウスモブC「ジャリジャリがなくなってきたら、鍋に入れて弾の火薬で火にかける」
にネズミは丁寧に皮をはいで、骨を取り除いておく!
見張りアリウスモブC「沸騰させている間に、もう一度オタマ(欠けている)で残った砂を丁寧に取り除く」
ネズミの肉はナイフで何度もたたく!原型が無くなるまで叩く!
見張りアリウスモブC「お湯が沸騰してきたら、骨を入れて煮る!」
ネズミの肉は丸めて鍋に入れる!
見張りアリウスモブC「充分火が通ったらとっておき!味噌(底の方に少し残っている)を入れる!」
すごい!こんなご馳走食べていいのか!?
見張りアリウスモブC「いいよ、カナちゃんのお肉だもん。味噌がちゃんと溶け出したら完成!」
「「いただきます」」
※この料理はゴミ箱で拾った道具と調味料、食用ではない肉、泥などが含まれています。
彼女たちは特殊な環境下で鍛えられていますので、決してご家庭ではまねをしないでください。 - 149二次元好きの匿名さん24/03/13(水) 07:43:17
限界メシ…
- 150二次元好きの匿名さん24/03/13(水) 12:07:58
真似したくてもできない!
- 151二次元好きの匿名さん24/03/13(水) 12:11:37
サルモネラ大丈夫とか凄いよね本当…
- 152二次元好きの匿名さん24/03/13(水) 12:16:27
タンパク質あるだけ土粥よりはマシだから……多分……
- 153二次元好きの匿名さん24/03/13(水) 13:01:00
こういうのって社交的なミカの強みだよね
- 154124/03/13(水) 18:18:38
ナレーション
応接間では、既に優し気な雰囲気をした白衣の男と眼鏡をかけた胸のでかい生徒が待っていた。
聖園ミカにとって生徒の方、筆頭行政官の七神リンは画面越しではあるが知った顔だ。
ということは、白衣の男が先生ということになる。
情報通り柔らかな笑みを浮かべた優男。彼の協力を得られればアリウス開放計画は大きく進展する筈だ。
ミカ「はじめましてだね。先生、あと行政官さんも直接は始めてかな?
私は聖園ミカ。トリニティの生徒会ティーパーティーのホストの一人だよ」
サオリ「アリウス分校で特殊部隊アリウススクワッドのリーダーをしている。錠前サオリだ」
"はじめまして、ミカ、サオリ。私は【スレ民のプレイヤーネームを入れてね!】先生だよ"
リン「連邦生徒会筆頭行政官の七神リンです。
今日は一つの学園の存亡にかかわる大事とのことで同席させていただきます」
ナレーション
アリウス、そしてトリニティの運命を変える邂逅が始まった。
- 155二次元好きの匿名さん24/03/13(水) 18:26:25
便利屋先生の画像ではなくそうきたか
- 156二次元好きの匿名さん24/03/13(水) 18:39:49
とりあえずアリウス舞台のグルメ漫画は確実に出ないだろうな
- 157124/03/13(水) 22:13:41
ちなみに1のプレイヤーネームは名前の前に「地獄大将軍」の異名が付きます。
それはそれとして、ほんへ
"生徒たちが苦しんでいるなら、無視できない。私にも協力させて"
ナレーション
結論から言うと、話し合いは拍子抜けするほどスムーズに進んだ。
というのも、先生のスタンスが「生徒を助ける」「大人として生徒の責任を取る」といった、
徹頭徹尾ミカとサオリに都合のいいものだったからだ。
ミカ「本当!?ありがとう!本当に助かるよ先生!」
サオリ「(いや、余りにもこちらにとって都合がよすぎる。とはいえ、先生を頼る他ないのは事実………
いざという時、何時でも撃てるように構えておかなければ)」
ナレーション
こればかりは気質というよりも、両者の育った環境の違いだろう。
良くも悪くも純粋なまま、ある程度は感情に任せた振る舞いが許された自由な生徒であるミカ、
大人にならざるを得ない環境下で、生殺与奪をかけて家族を守り続けなければならなかった兵士であるサオリ。
好意に対して素直な感謝を伝えられるミカと隠された罠を探す警戒心を発揮できるサオリ。
対照的な2人ではあるものの、だからこそ即席であるにも関わらず互いの欠点を補える相性の良いコンビだった。
- 158二次元好きの匿名さん24/03/13(水) 22:18:51
1のネーム中々凄い名前だな…失礼ながらマジンガーに似た名前のキャラいたような気がする…
お互い環境違うからこそお互いの足りないもの補う事出来るのベストコンビって感じがして良いよね - 159二次元好きの匿名さん24/03/13(水) 22:19:40
暗黒大将軍でも地獄大元帥でもないのか…(ダイナミックプロ脳)
- 160二次元好きの匿名さん24/03/14(木) 02:05:15
ᓀ‸ᓂ
- 161124/03/14(木) 06:44:16
ナレーション
ミカとサオリが先生の協力を得る一方、残された面々はアリウス生たちの説得に当たっていた。
ヒヨリ・イチカ・ミサキが周囲の警戒に徹する一方で、
アズサ・アツコ・サクラコ・ハナコがアリウス生たち一人一人に向き直る。
幼い頃に教えられた当たり前の常識を捨て去るのは子どもでなくとも難しい。
そのため、説得にはかなりの困難が予想されたのだが…………
アリウスモブB「………悪い、少しだけ考えをまとめさせてくれ」
アリウスモブC「私はいいよ、カナちゃんのお蔭でマダムのこと嫌いだって気が付いたから」
アリウスモブA「好き嫌いの問題か……?いや、私もカナを助ける方につくつもりだけどさ」
ナレーション
意外なほどに反発は少なかった。
考えを保留にする者や協力を断る者は居たものの想像よりもずっと少なく、その場で暴れる者は居なかった。
そして、誰もが口を揃えて「神子柴カナ」の名前を出していた。 - 162124/03/14(木) 06:55:51
アツコ「ねぇ、トリニティには生徒会長が沢山居るんだよね」
ナレーション
アツコが尋ねると、他の面々は怪訝な顔をしながらも向き直った。
アズサ「どうした?急に」
サクラコ「沢山というほどではありませんが……トリニティには3人の生徒会長がいますね」
アツコ「もしも全部終わって、トリニティに転校出来たら……私たちの生徒会長はカナがいいなって思って」
ハナコ「たしかに、あれだけの慕われ方だと納得ですが……」
アリウスA「生徒会長?……あのバカがか?」
アリウスモブC「カナちゃんは好きだけど……向いてないんじゃないかな?」
アツコ「ううん、向いているよ。だって、生徒会長はみんなのリーダーなんだから………
カナちゃんがおバカな分、私たちががんばればいいでしょう?」
アズサ「カナに付き合うのは煩そうだが……悪くはないな」
ナレーション
夢のある話だった。今までずっと、目の前のことで精一杯、自分のことで精一杯であったアリウス生。
その一人の口から未来の、それも自分以外の誰かに関する話が出るというのは、信じられないほど前向きな話だ。
アツコの言葉が、その夢が、その場に居たトリニティ・アリウス双方の生徒たちの心に消えることのない火を灯す。
アリウスの生徒たちには知る由もないことだが、その火は人々が希望と呼ぶものであった。 - 163二次元好きの匿名さん24/03/14(木) 12:22:18
ᓀ‸ᓂ
- 164124/03/14(木) 18:26:46
アツコ「アリウス生全員を説得して回って、味方につけられたのは50人。内、積極的なのは6人くらいかな」
サクラコ「想像よりもずっとカナさんの影響が大きかったですね。私たちが説得したというよりも、
カナさんの功績が今になって実ったというべきでしょう」
ミサキ「私としては第3分隊が味方に付かなかったのが意外だけどね。アイツ等、相当カナに世話焼かれてたのに」
ナレーション
先生を連れて帰還した2人を待っていたのは、思いがけない朗報であった。
サオリよりも事態を楽観視していたミカでさえ、最初は20人も説得することは出来ないだろうという予想していた中、
50人という数はいっそ夢の方が現実味のあるほどの大成功と言える。
アズサ「ミサキは人のことを言えないだろう?その手首の傷を癒すのにカナが何回服を破った?」
ミサキ「別に頼んでないし……それで風邪ひいたんだから世話ないでしょ」
ヒヨリ「自由になっても風邪ひくことはあるんですよね……辛いですよね……苦しいですよね……」
ナレーション
一方で、先生の内心は荒れていた。
アリウス生たちの服装や匂い、言葉の節々から想像出来る劣悪な環境。それを受け入れなければならないよう
教育……いや、洗脳された生徒たちが数百人も居るという事実。
生徒たちの手前、穏やかな姿を装ってはいたが内心ではベアトリーチェなる女への怒りが沸々と湧き上がっていた。
サオリ「聞く限り、まだ迷っている者もいるのだろう?ならば、まずは、そいつらから説得しよう」
ミカ「こっちの人数が大きくなれば集団心理も働くからね。数の理を得たらこっちのものだよ」
ナレーション
2人のリーダーの進言に、生徒たちは深く同意する。
その姿を見て、先生は「必ず彼女たちを助けなければ」と気を引き締め直した。 - 165二次元好きの匿名さん24/03/14(木) 19:04:50
マダムが静かなのが怖いな…
- 166二次元好きの匿名さん24/03/14(木) 19:06:34
動きに気づいてるのか節穴なのか
- 167二次元好きの匿名さん24/03/14(木) 20:15:00
まあミメシスがなければ儀式もしてないから怪物化もできないだろうし……
- 168二次元好きの匿名さん24/03/14(木) 21:56:00
番外編 カナちゃんとの思い出 ヒヨリ編
ヒヨリ「カナちゃんについてですか?」
"うん。どんな子か知っておきたくて……"
ヒヨリ「カナちゃんの話で思いつくのはやっぱり面倒見のいいところですかねぇ……
忘れもしません。あれはまだベアトリーチェが現れる前、雪の降る冷たい冬の日でした……」
《9年前》
ヒヨリ(語り)『あの時はまだそこらじゅうで内戦をしていましたから、私たちは1か所にとどまらずにあっちこっち
へ逃げ回りながら生活していたんです。けど、そんな中でサオリ姉さんたちと逸れたことがあって
……寒さに凍えながら震えて歩いていた時、私はカナちゃんに出会ったんです』
ヒヨリ(過去)「うわぁぁぁん!どこですかサオリ姉さんは……ぐずっ……痛いです……苦しいです」
カナ(過去)「うわぁぁぁーーっ!?火がぁぁぁーーっ!」
ヒヨリ(過去)「ひぃっ!ひ、人の声?だ、誰かいるんでしょうか………?」
ヒヨリ(語り)『正直、凄く怖かったです。だって、声の人が優しい人とは限りませんし……私たちみたいな弾や物資
をくすねる子どもはどっちの陣営からも嫌われてましたから。でも、サオリ姉さんと離れたばかりで
やっぱり心細くて……少しだけ、ほんの少しだけ様子を見るつもりで近づいて行きました」
ヒヨリ(過去)「ううっ……や、優しそうな人がいいなぁ……」
カナ(過去)「ふーふーっ!消えないでくれぇ……」
ヒヨリ(語り)『初めて会った時のカナちゃんは、四つん這いで小さな火に息を拭いてました』 - 169二次元好きの匿名さん24/03/14(木) 22:13:33
ヒヨリ(過去)「火だぁ……温かそう……」
カナ(過去)「ん?誰かいるのか!?」
ヒヨリ(過去)「ひぃ!」
ヒヨリ(語り)『今思い返すと、声を出したのが良くなかったんでしょうね。物陰に隠れて様子を見ていた私は
すぐにカナちゃんにみつかりました。……ええ、正直、最初はやられると思いました。
だって、カナちゃんはあの頃から自分の銃を持ってましたから……」
カナ(過去)「そ、そんなに怯えるな……そうだ!その服じゃ寒いだろう!?まぁ、私も似たようなモノ
だが火を焚いたところだ!一緒に温まろう!」
ヒヨリ(過去)「い、いいの?」
カナ(過去)「もちろんだ!知ってるか!?近くの奴を幸せにしたら、自分も幸せに出来る……らしいぞ!」
ヒヨリ(過去)「幸せ……私もなれるかな?」
カナ(過去)「さぁ、そもそも幸せがよく分からん!
ヒヨリ(過去)「えぇっ!?そ、それじゃあどうして幸せになれるなんて………」
カナ(過去)「分からんが、教えてくれた姉ちゃんは笑って逝った!だから、多分、幸せだった筈だ!
多分、きっと!うん、幸せだったと思うことにする!」
ヒヨリ(語り)『笑っちゃうくらい無茶苦茶ですよね……。でも、その無茶苦茶な明るさが何だか嬉しくて、結局、私
も笑っちゃったんです』 - 170二次元好きの匿名さん24/03/14(木) 22:20:40
- 171まやなた24/03/14(木) 22:28:23
- 172二次元好きの匿名さん24/03/14(木) 22:30:11
さらっと逝ってるんですが…
- 173二次元好きの匿名さん24/03/14(木) 22:47:19
人の心がねえ!
- 174二次元好きの匿名さん24/03/15(金) 03:56:28
その時のねえちゃん達がカナちゃんの心に灯した火がアリウスの皆にまた灯されたのか
- 175124/03/15(金) 06:43:30
- 176124/03/15(金) 07:04:11
ナレーション
ベアトリーチェは違和感を感じていた。
神子柴カナの処刑によりあれほど全ては虚しいという理念が浸透していたというのに、ほんの短期間の間に、
「vanitas vanitatum, et omnia vanitas」と、「全ては虚しい」と唱える者が極端に減った。
ベアトリーチェ「嫌な兆候ですね……これは予定を早めるべきでしょう」
黒服「クックック……一度自分で口にした「処刑する」という契約を破るとは感心しませんね。信用を失いますよ?」
ナレーション
影の中から訪れた招かれざる客人、同じゲマトリアのメンバーである黒服の姿にベアトリーチェは表情を歪める。
独善的なベアトリーチェにとって、「他者からの指図」は最も嫌うモノの一つであるからだ。
ベアトリーチェ「それがなんだというのです?あれらは所詮ただの駒、私という大人に搾取されるだけの存在。
それが対等に契約などと……貴方は道具と逐一契約を交わすのですか?」
黒服「クックック……貴女がそいう言うのであれば何も言うことはありませんが………一つ忠告しておきましょう。
この一件、そう簡単には終わりそうにありませんよ。何せ、先生が動いています」
ベアトリーチェ「シャーレの先生が………?いいでしょう、我々ゲマトリアの敵対者となるシャーレの先生、
このアリウス分校を彼の墓場にしてあげましょう」
黒服「足をすくわれることがないよう、応援していますよベアトリーチェ」 - 177二次元好きの匿名さん24/03/15(金) 07:13:49
うーん毎度おなじみガバトリーチェ
- 178二次元好きの匿名さん24/03/15(金) 07:30:13
契約が強い世界で契約を破る…これは負けフラグですねわかります
- 179二次元好きの匿名さん24/03/15(金) 07:39:17
ベアおば滅ぶべし
- 180二次元好きの匿名さん24/03/15(金) 10:39:31
これはガバチャー
- 181二次元好きの匿名さん24/03/15(金) 16:18:32
はいはいガバおばガバおば
- 182124/03/15(金) 18:32:05
- 183124/03/15(金) 18:38:34
アズサ「カナについて知りたい?」
サクラコ「はい。お噂を聞いている内に興味が湧いてきまして…」
イチカ「まぁ、私たちそのカナさんを助けようとしてるっすからね」
ミカ「よくよく考えたら、私もちょっと会って話しただけだしね」
アズサ「そういうことなら、確かに私が適任だ。
何しろ、カナとは姉妹同然の幼馴染だからな……」
《10年前》
アズサ(語り)『昔、まだマダム…いや、ベアトリーチェの支配が始まるよりもずっと前、
内戦で育てる余裕もなかったのか、この辺りには捨て子がけっこう多かった』
姉ちゃん「さぁ、私の妹たち!今日はムカデ揚げ!早く手を洗ってきなさい!」
捨て子たち「「「はーい!」」」
アズサ(語り)『そんな中、捨て子拾ってきては世話する優しい人がいた。その人……姉さんが私たちの育て親だ』
捨て子「うう……もうなくなっちゃった…」
カナ(過去)「なんだ、ルリ。足りないのか?!なら、こいつを食え!」
捨て子「え、でも、カナちゃんの……」
カナ(過去)「気にするな!姉ちゃん言ってただろう?
腹いっぱいになってルリが幸せ。ルリを幸せにした私も幸せになれる!」
捨て子「カナちゃん……ありがとう。でも、半分こにしよう?」
カナ(過去)「お互い幸せにしたら、2人とも2倍幸せか!ルリは頭がいいな!?」
捨て子「カナちゃんには負けるよ……」
アズサ(語り)『カナは姉さんから互いを幸せにすることを学んだ』 - 184124/03/15(金) 18:42:25
アズサ(過去)「お花……」
姉ちゃん「どうしたの?アズサ」
アズサ(過去)「姉さん、お花すごいね。石から生えてる」
姉ちゃん「本当、お花さんはかっこいいね」
アズサ(過去)「お花、かっこいい?」
姉ちゃん「そりゃあ、かっこいいわよ。
固い石を相手にしても諦めずに抗って、こうしてキレイに咲いたんだもの」
アズサ(過去)「あきらめず…あらがって……」
姉ちゃん「アズサもお花さんに負けないようにしなよ。
苦しくても、痛くても、諦める理由になんてならないんだからね!」
アズサ(語り)『私は抗い続けることを学んだ。
私も、カナも、他のみんなも、姉さんのことが大好きだった』
アズサ(語り)『でも、内戦中のアリウスはただの一生徒が小さな子どもを何人も育て続けられるほど、
生ぬるい場所なんかじゃない。そんなこと、私たちはずっと前から知っていた筈だった。
筈だったのに………あの日、私たちは何もできなった」 - 185まやなた24/03/15(金) 19:42:50
何が起きたんです?
- 186二次元好きの匿名さん24/03/15(金) 19:43:22
アリウスではありふれた悲劇だ
- 187二次元好きの匿名さん24/03/15(金) 19:47:50
でも、お姉さんも笑って逝ったみたいだし、きっと後悔の無い人生だったんじゃないかな…………
- 188二次元好きの匿名さん24/03/15(金) 20:09:28
アズサ(語り)『別にそんなに劇的なことがあった訳じゃない。ただ、姉さんと身を寄せていた穏健派の施設が
何時ものように襲撃されただけ。ただ、普段と一つだけ違ったのは防衛を突破されて中まで
過激派の生徒たちが入ってきただけの話だ』
姉ちゃん「妹たち、よく聞きなさい。今から私が秘蔵の発煙筒を投げ込んだ後、突撃して時間を稼ぎます。
その間、君たちは裏戸からこっそりと外に出て逃げるんだいいね?」
捨て子「そ、そんなの嫌だよ!」
捨て子B「姉さん、一緒に逃げよう?かないっこないよ!」
アズサ(過去)「姉さん……私たちはまだ……」
アズサ(語り)『姉さんは私たちを逃がす為に自ら囮になることを選んだ。凄い覚悟だ。今でも…ずっと尊敬してる。
けれど私たちは姉さんに反発した。姉さんを失いたくない我儘に固執して、根拠のない妄想に縋り、
命がけの覚悟を踏みにじった』
カナ(過去)「……っ!姉ちゃん!外で再開しよう!」
アズサ(語り)『バカだバカだとは言っているが…いや、だからこそ本能でやるべきことを感じ取れるかもしれない。
唯一、カナだけが姉さんの覚悟を汲み取って、言葉を選んで私たちを連れ出そうとした」
カナ(過去)「私たちをぞろぞろ連れてたら煙に紛れられないからな!
私たちは裏から、姉さんは正面から逃げて、外で再開しよう!」
アズサ(語り)『それが建前だということは、当時の幼い私にもよく分かった。
始めてカナの涙を見て、キヴォトス人の固い身体を突き破って血を流す握り拳を見て、
嫌でも逃げるしかないという現実を分からされた!』
姉ちゃん「カナ………うん!またね!」
アズサ(語り)『最後に見た姉さんは、満面の笑みを浮かべていた』 - 189二次元好きの匿名さん24/03/15(金) 20:50:53
《現代》
アズサ「その後、私たちはしばらく子ども同士で共同生活を送っていたけど、結局内戦の混乱で離ればなれになった。
それからのことは他のみんなに聞いて。カナはそれからしばらく一人でいた後、ヒヨリと出会ってたらしいから」
サクラコ「その、何と言葉を掛ければ宜しいか………」
イチカ「覚悟はして立つもりっすけど………」
アズサ「別に、長く戦争が続くな中だとこんな話珍しくもなんでもない。
むしろ、姉さんにある程度育てて貰えた分、私たちはすごく幸せで幸運だよ」
ハナコ「本気……なんですよね。なんだか、不謹慎ではありますが……素敵です」
アズサ「……?ありがとう?」
ミカ「………アズサちゃん、絶対にカナちゃんを助けようね」
アズサ「それは勿論助けるけど……どうしたの?」
ミカ「だって、幼馴染なんでしょ?だったら、絶対諦めちゃだめだよ。ずっと、ずっと一緒に居たんだからさ……」
アズサ「………ああ、そうだな。必ず、カナを助けよう」 - 190二次元好きの匿名さん24/03/15(金) 22:11:18
ちゃんと幸福を見いだせていたのか、それとも絶望に飲まれまいと一生懸命に笑っていたのか…
- 191二次元好きの匿名さん24/03/16(土) 00:23:41
まあこんな頼もしい妹がいれば笑うさ
彼女の存在が、自分にも出来る事があるって言う事と自分たちは変わっていけるって事を証明してるんだから - 192二次元好きの匿名さん24/03/16(土) 00:35:16
そろそろ次スレかねえ
- 193二次元好きの匿名さん24/03/16(土) 07:47:40
助けられると良いが
- 194124/03/16(土) 09:02:12
- 195二次元好きの匿名さん24/03/16(土) 09:04:31
- 196124/03/16(土) 10:20:49
残りのスレは適当に雑談して埋めてくれたらいいです。
正直、二スレ目を立てることは想定していなかったので今から落ちないか戦々恐々としております。 - 197二次元好きの匿名さん24/03/16(土) 14:46:23
埋め
- 198二次元好きの匿名さん24/03/16(土) 14:48:31
カナちゃんがちゃんと救われることを祈って、埋め
- 199二次元好きの匿名さん24/03/16(土) 14:56:22
たておつ
- 200二次元好きの匿名さん24/03/16(土) 14:56:38
頑張れカナちゃん