【オリキャラ🎲】天童アリスのストーカーです、通して下さい【佐藤カガリ】Part2

  • 1佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/04(月) 00:55:59

    もしも実際に会ったとして、僕は天童アリスとまともに喋れるんだろうか……?

    佐藤カガリ 16歳(2年生)
    出身校:百鬼夜行連合学院

    身長 130+40 (40) cm
    胸 3 (3) 1.小盛 2.並盛 3.大盛
    腹 2 (2) 1.細 2.中 3.中太
    尻 2 (2) 1.小さめ 2.やわらか 3.もちっ

    髪色:薄い黄色(3・1) 長さ64 (1で肩につかないくらい100で足元)
    瞳の色:オレンジ(5・2)
    肌の色:85 (1で芸術級スーパー美白、100で健康的こんがり褐色)

  • 2佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/04(月) 00:59:36

    情報まとめです ほぼスレ主のメモと同じ状態ですが、随時加筆していこうと思います


    「佐藤カガリ」こと天童アリスのストーカー のまとめtele​gra.ph
  • 3二次元好きの匿名さん24/03/04(月) 01:00:17

    立て乙です!

  • 4二次元好きの匿名さん24/03/04(月) 01:10:26

    このレスは削除されています

  • 5佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/04(月) 01:13:17

    1スレ目であり前スレです 一応ちょっとしたあらすじも下に書いておきます

    【オリキャラ🎲】天童アリスのストーカーです、通して下さい|あにまん掲示板はぁ…………今日もかわいい……………………(スレ画は一番好きな表情)戦闘 dice1d100=@57 (57)@知性 dice1d100=@12 (12)@運動 dice1d100=@67 (67)@…bbs.animanch.com

    これまでのあらすじ


    訳あって放浪の旅をしていた生徒、佐藤カガリ(2年生)。彼女はある時「天童アリス」という生徒の存在を知り、その輝きぶりに脳を焼かれたあげく、獣が光を追うようにしてミレニアムに忍び込み、ミレニアム生に成りすまして作った友人から譲渡されたカメラを使って陰から天童アリスの挙動を撮影するというすごいストーカー行為に及び始めた。

    それはカガリが持っている神秘によって隠されることで成立している生活でもあったが、花岡ユズが事態を発見、明星ヒマリが特異現象として対応作戦を立てたためにあっさり捕縛。生塩ノアとシャーレの先生によってカウンセリングが行われた結果、敵意や害意を持たないとされたため、一時的にシャーレ預かりとなる。

    話し合いの際、カガリの目標が「ミレニアムに正式に転入すること」に定まり、カガリは今までに全く経験のない試験勉強と向き合うことになる。先生の計らい、周囲の人物の助けもあり、一応の形を成した状態で試験本番に臨むカガリだったが……入口で警備らしきロボットと問答になった際、テンパったあげく「天童アリスのストーカーです」と名乗ってしまった。どうなるカガリ。

  • 6二次元好きの匿名さん24/03/04(月) 01:14:02

    思い切りがよすぎるカガリちゃん

  • 7佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/04(月) 01:22:30

    ちょっと理解できないです、とでも言いたそうな顔で固まっているロボット。ちなみに僕も同じ顔で固まっていた。言ったのは僕の側なんですけどね。何を言えば挽回できるだろうか。そもそもこの人(ロボット)、特記事項に確認できないとか、かみ砕くと「連絡が来てない」みたいなこと言ってなかった? それはもう……駄目なんじゃ……?

    ……! あっ、ちょ、電話かかってきたので、失礼します!!
    「あ、ハイ」

    モモトークの着信、ちょっとその場を離れて、ちょっと震えている手で取ってみる。発信は……先生?もう起きたの??

    "もしもし、カガリ? 今ってどこにいる?"
    お、おはようございます! えっと、ミレニアムの正門前にいるんですけど、なぜか警備員さんが通してくれなくて……
    "やっぱりか。ちょっと一回落ち着こう、深呼吸"
    し、深呼吸? なんで急に――
    "今日の試験、午前6時じゃないよ。午後6時"
    ………………
    "日時を伝える時、私が『6時』とだけ言っちゃったのかも"
    "ごめんね……どおりで昨日、やけに早寝したなって……"

    ……すーーーーー、はーーーーーー。すーーーーーーー、はーーーーーー……なるほど? なるほど……

  • 8二次元好きの匿名さん24/03/04(月) 01:29:28

    痛恨のミス

  • 9二次元好きの匿名さん24/03/04(月) 01:29:38

    たておつ

  • 10佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/04(月) 01:39:24

    言い訳じゃないけど、百鬼夜行だとたまにあったんだよね。朝6時を目安に書き込まれてる予定とかも。さすがに試験が朝6時にあったことは無いけど、ミレニアムって難しい勉強してる学校だし、そういうこともあるのかな、って思ってしまった。言い訳だねこれ。

    "その、睡眠時間はちゃんと足りてるんだっけ?"
    それは大丈夫です!この頃は特に復習の裏でしっかり休んでたので、体調は全然……
    "どうしよっか。今が大体5時半だから……迎えに行く?"
    いやっ……いえ、ゆっくりしててください。せっかくなのでこの辺りを散歩してみます。帰る時はご連絡するので。
    "そ、そっか。気を付けてね。何かあったらすぐに言って"

    また先生が人の良いことをしそうになっている。その事実は僕にヤケを起こさせるのに十分だった。人生は思うようにいかないことばかり!この波を乗りこなしてこそ結果が付いてくるってもんだよね!!

    「……アノ、大丈夫でしたか?」
    あ、警備ロボットさん。大丈夫です、その、どうやら僕は午後6時の予定を午前6時と勘違いしてたらしくて……
    「そ、そうでしたか? でしたら、確認が取れれば校舎内でお待ちいただくこともできます。ただし、権限の都合で後ほどになりますので、それまでは時間を潰していただければ……」
    ありがとうございます……本当に…

  • 11佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/04(月) 01:56:36

    僕は先生から、"困ったことがあった時は使ってね"というお金をいくらか渡されている。別にすごく困った時じゃなくても、少しお腹が空いた時に軽食を買うくらいのことで使っていいとも言われていた。流石に恐縮だったんだけど、先生に"カガリの金銭感覚を知るには、実際にお金を使ってみてもらうしかないからね"と言われて、確かに……と納得してしまった。
    それで言うと、僕は割かしケチな方なのかもしれない。ちょっとお洒落な立て看板を見つけて近付くと、1皿でこれはちょっと高いかも!と思ってしまうことが多い。名目上、自分のお金として持っているからなのかな。
    ということで今は、ファストフード店に立ち寄って窓際の座席に位置取り、メニューの中でも一般的なセットのハンバーガーを頬張っている。こういうのも中々良い。特に、あまり重たい物を食べるイメージのない早朝に敢えてこうしてパン肉野菜を飲み込むことには、ちょっとした爽快感がある――

    はあ。やっぱり帰ろうかな……警備員さんはああ言ってくれたけど……

    今から16時までミレニアムにいると、心情的にちょっと難しいものがある。正体を隠しながらだけど、ミレニアムに潜んでた頃にはかなり周りのみんなと交流ができていて……数日間影も形もなくなってたわけだから、騒ぎになるかもしれない。そして僕一人でちゃんと経緯を説明できる気もしない、さっきの正門前でさえ散々だったんだから。
    それに、音瀬コタマさんの問題もある。ユウカさんは普通の話し振りだったけど、ハッキングメールを送られたこともあって『正直危ない人なんじゃないか』と思ってしまっていた。本当に僕が言えたような話じゃないんだよ!!天童アリスのこと盗撮してたんだからね!!!

  • 12佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/04(月) 02:08:42

    ……天童アリス、今でも僕のこと覚えてるのかな。

    と考えて、流石にその思考は失礼なんじゃないか?と思い直す。確かに待ってもらえてるはずなんだけど、僕にとって『待たれる』ということには不思議な不安感があった。自分はあの子の期待に沿うような人間ではない気がする。あの子は多分、それを試してみることに何の恐怖も持たないだろう。まさにそれこそ僕が持ち得ないものであって……

    思考に通気口が開かない。それを求めてふと窓の外を見る。薄いオレンジジュースと一緒に見る街は、どんどん明るくなっていきながら、それでも曇り空の下にあって……


    ……そこを走ってる、際どい恰好の、ピンク髪の人……




    「久しぶり。元気だった?」

    ……は、はい。おかげ様で。

    「今日って試験だったよね。まだそれなりに時間あったと思うんだけど、うちの部長と会ってくれない?」


    僕がただぽかーんと見ている間に、エイミさんは僕の向かい側ですき焼きバーガーを食べ始めていた。



    カガリ→エイミの好感度を決定します(エイミ→カガリはこの前振った時77でした)

    dice1d100=2 (2)

    (1ほどちょっと怖い、100ほど安心感がある)

  • 13佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/04(月) 02:12:44

    (怖がってて草ですね というあたりで今日の更新はここまで)
    (そういえばカガリの使っている武器種とか戦闘でのポジションなどを決めてなかったので、何かしらに決められたら楽しいなと思ってます スレ主は本当に銃種に関して何も知らないので、おすすめがあったら是非投げてくださると幸いです)

  • 14二次元好きの匿名さん24/03/04(月) 10:17:21

    保守

  • 15二次元好きの匿名さん24/03/04(月) 10:54:49

    目立つ銃持ってる方が合う気がするので大きな銃担いでて欲しい

  • 16二次元好きの匿名さん24/03/04(月) 18:12:44

    保守

  • 17二次元好きの匿名さん24/03/04(月) 18:36:39

    >>15 カガリ自身もおっきいしな、ノノミとかコトリとかみたいなミニガンだとごつすぎるかな

  • 18二次元好きの匿名さん24/03/05(火) 00:48:19

    ほしゅ

  • 19佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/05(火) 01:00:19

    (こんばんは 突然ですがカガリの持ってる銃種を含めてブルアカの生徒ごとに決まってるデータ部分をダイスで決定して妄想の助けにしようと思います イマジネーションが膨らんだら執筆に反映できるので……)


    役割は? 1.STRIKER 2.SPECIAL

    dice1d2=2 (2)


    属性は? 1.爆発/軽装備 2.貫通/重装甲 3.神秘/特殊装甲 4.振動/弾力装甲

    攻撃 dice1d4=3 (3)

    防御 dice1d4=3 (3)


    銃種は?(長物だと良さそうな感じがあるので3つから) 1.SR 2.MG 3.GL

    dice1d3=2 (2)

  • 20佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/05(火) 01:06:27

    神秘/特殊装甲のMG持ちSPECIAL クラスも決めてしまいましょう


    1.アタッカー 2.サポーター 3.ヒーラー 4.タクティカル・サポート

    dice1d4=2 (2)

  • 21佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/05(火) 01:47:11

    う、うーーーーーーーん…… じゃあ、具体的にスキル4つの性能をまとめると?


    dice1d8=5 (5)

    1.シンプルに1体もしくは範囲を攻撃

    2.攻撃に役立つバフorデバフ

    3.防御に役立つバフorデバフ

    4.回復もするよ

    5.ちょっとコスト操作しちゃえ

    6~8.この中から2つをバランス良く!(dice2d5=3 4 (7) )

  • 22佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/05(火) 01:56:08

    さすがにスペシャル枠でコスト操作だけに全存在を賭している生徒がいたらヤバいので役割を足そう ちゃんと考えてダイスを振ろうねスレ主


    バフ/支援値の具合は?

    dice1d2=2 (2)

    1.攻撃寄り 2.防御寄り


    ついでに聞くんだけどEXのコストはいくつだい?

    dice1d3=3 (3) 出目+1のコスト

  • 23二次元好きの匿名さん24/03/05(火) 11:32:50

    コスト軽減+防御バフか
    まぁまぁ嬉しいか

  • 24二次元好きの匿名さん24/03/05(火) 19:29:32

    保守

  • 25佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/05(火) 20:05:04

    あ、エイミさん1年生なんだ。でも今更さん付けやめようって思わないな……
    聞くところによると、エイミさんは近ごろ早朝にランニングをしているらしい。じっとしてるよりは色んなことが分かるし、風のひんやりした感じがいいんだとか。というより、近ごろは屋内にいると暑くて仕方ないことが問題なんだそう。ということで、そそくさとファストフード店を後にして2人でミレニアムまで走っている。……なんか、僕もついていく流れになってしまったのだ。

    「ミレニアムに入りづらいって、なんで? これから転入するのに?」
    い、いやっ……今日がその試験で、まだ決まったわけじゃ……
    「合格するまで受けるんじゃないの?」
    ……そうだけど……そうじゃなくて……
    「アリスのことなら気にしなくてもいいよ、本人が会いたいって言ってた」

    に、逃げ場がない……っていうか天童アリスが外堀埋めてきてる……いつの間にそんなやり方覚えたの……
    座学がてんで不得意な分、体力には少し自信があったはずなんだけど、エイミさんと比べると赤子のようなものなんだろう。僕の早さにかなり合わせてくれてる感じで、それでも僕はペースを維持したまま追い付くことが相当にしんどく、言葉を返すだけで精いっぱい、質問に対するまともな言い訳も思いつけない有様だった。

  • 26佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/05(火) 20:45:07

    「それなら、試験までの時間で校内を散策してみる? 大丈夫だと思う」
    え゛。いや……それはちょっと、その……無理があるっていうか……
    「監視カメラで見てただけだけど、不法侵入の時はみんなと仲良さそうにしてた。シャーレに少し居ただけで無理にはならないはず」
    そうなんですけどぉ!!!!!!!!!
    「……ん? 止まってカガリ、ストップ」

    エイミさんがじっと視線を送った先、川を挟んだ向こう側。北方向(日の向きから考えて)の市街地、距離は2300mくらい。
    ……土ぼこりが立ってる?何か事故でも……

    「あれ、暴動?」
    ほ、ほんとだ。よくこの距離から気づけますね……

    規模は……3~40人くらい? 撃ち合いが起こってるわけじゃなさそう、制圧してるだけっていうか……
    建物の大きさからして、なんか住宅街っぽいんだよな。なんでそんなところで……

    「止めに行く。あの辺り、警備のオートマタがそんなに配備されてない」
    今からあそこまで!!? そんな急に――
    「そこのレンタルバイクで、最高速で飛ばせば大丈夫。カガリはその辺りで待ってて」
    う、後ろ乗せてもらえませんか。バイク乗れないけど、援護射撃くらいできるはずだから……
    「……わかった。落ちないでね」

  • 27佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/05(火) 21:07:31

    ――――うわあああああああああああああぁぁ!!!!!!!!!!!!
    「カガリ、ちょっと静かにして」

    全然無理だった。僕は早い乗り物があまり得意じゃない、だって百鬼夜行にそんなもの殆どなかったからね。
    目的地に到着するまで100時間くらい掛かった。そう思うくらいには過酷な時間だった。物凄い速さで横を通り過ぎていく街並みと犬のおばちゃんの残像が重なって、『犬のおばちゃんの街並み』に見えたりした。何を言っているのか自分でもわからないけど本当にそうだった、夢に出たらどうしよう。瞬きするのも怖いので、途中からずっとエイミさんの頭を見ていた。

    「そろそろ降りる。私に掴まってて」
    それって飛び降りる時の言い方じゃないんですか!?!?!?!?!??!!?

    キヴォトスでは、悪い予感は『予感を超える形で当たる』のが普通。2人を乗せたバイクは、わずかにウィリー走行へ移行しながら後輪のみを段差に引っ掛けて、反動で宙へと跳ね上がった。高く、高く――まるで重力が無くなったみたいに。



    『――我々ベビベビヘルメット団は、親による赤ちゃんの独占に反対する!!』
    『私たちにも可愛がらせろーーーー!!うおーーーーーー!!!』

    気を取り直して一番に聴こえてきたのは、それを聞き取った耳の方を疑うような、とにかくすごい言葉だった。

    「……やっぱりヘルメット団だったね。大した装備は使ってない」
    なんでそんなに冷静でいられるの……

  • 28二次元好きの匿名さん24/03/06(水) 07:56:30

    保守

  • 29二次元好きの匿名さん24/03/06(水) 15:04:57

    ほしゅ

  • 30佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/06(水) 19:39:21

    えっと、僕たちの現在地点は……敵地中央付近、ゴミ捨て場の陰。少し遠くの方に乗ってきたバイクが転がっていて、ヘルメット連中の一部が不審そうに検めている……けど、こっちに視線を向ける気配はまるでない。今から攻め始めるには最高に有効な状況だった。あの速さで走りながら、こんなプランまで描いてたってこと?
    とにかく、射撃が出来るような体勢を作ってみた。ひっそり握り締めていたので銃も落ちずに済んでいる。すぐ隣のエイミさんの方は……目を瞑っている。まさか、辺りの様子を音だけで把握しているんだろうか。どうすればそんな技術が……?

    「人質は取ってないみたい。でも、内側から閉め切られてる窓が多いから、外に出られなくて困ってる人はいる」
    妨害と支援が専門なんですけど、前線はお願いしても大丈夫ですか?
    「任せて。視線はこっちで引くから、接敵したやつから順番に叩いてくれれば」
    了解、なるべく当てます。戦車砲にだけお気をつけて。
    「……結構、慣れてるんだね」
    まあ、一応ですけど……

    そんなこんなで、即席作戦が幕を開けた。今思い返すと笑い話だけど、僕はこの時かなり緊張していた。

  • 31佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/06(水) 19:44:28

    その。さっき逃げてったミニガン持ち、暫く出てきてないというか、機を窺ってる感じがするんですけど……確認しながら進みますか?
    「や、大丈夫。このまま行くよ」
    ……そこの角を曲がった先、大勢で待ち伏せしてますね。妨害の準備とか……
    『――ディフェンスモード、転換』
    ………………

    し、仕事がない…………!
    打合せ通りに支援射撃したり、40秒ごとを目安にエイミさんにシールドを張ったりしてるんだけど、僕がいてもいなくても変わらない感じがする。どんなに銃口が向いても一切隠れないで正面突撃して、大体の敵を2~3発でダウンさせながら脇目も振らず更に前進して、今だってミニガンの乱射をくすぐったそうに通り抜けている。武装した暴徒が子ウサギに見えているんだろうか。
    その戦闘は掃き掃除をするかのようにシステマチックで、立ち塞がるホコリは何の妨げにもなっていなかった。もし逆の立場だったら、と想像して僕はちょっと血の気が引いた。

    「……戦車。歩兵も相当揃ってるね、少し厄介かも」
    !! 援護します!!!!
    「うん、お願い」

    こうなったら少しでも良いところ見せてやる。しれっと遮蔽を出て、なるべく沢山巻き込めるポイントに位置取る。……4人!まあまあ入った!
    すぐさま全弾を敵陣へ注ぎ込んで、扇状の広い射撃で敵を後ろまで押し出す。確かに反動は重いんだけど、この機銃自体が元から119cmに11kgもあるからそんなに気にならない! あ、追加でもう1人入った。ラッキー。

    「……これは?」
    当たった敵をほんの一瞬だけ怯えさせるのと、あとしばらく攻撃を弱くします! ダメージは蚊が刺すくらいでしかないですけど……
    「なるほど。今みたいに、前線を上げるのには丁度いいね」
    やったー!!!

  • 32二次元好きの匿名さん24/03/06(水) 22:46:50

    わお強い

  • 33佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/07(木) 02:10:10

    『な……なんなんだお前……聞いてなかったぞ、ミレニアムにこんなやつがいるなんて……』

    「情報不足だね」


    そう言ったベビベビヘルメット団のリーダー格は、流木みたいに捻じれた体のまま戦車から引きずり出されて、ヘルメットの下から漏れるくらい大量の泡を吹きながら気絶した。うわあ……あっ、放り投げられた。


    「あとはオートマタに任せる。……早く戻らないと遅刻になるかも」

    遅刻? あ、確かに。ちょっと急いだほうがいい時間――

    「やっぱり、さっきのバイクまだ壊れてないね。優しく乗り捨てておいてよかった」

    ……待って、またバイク移動?

    「? その方が効率的でしょ?」

    いや、うん、効率的かそうじゃないかで言ったら効率的だけどね?




    ――――やええああああああああぃいあああぁぁあ!!!!!!!!!!!!

    「カガリ、ちょっと静かにして」


    だから無理だってば。ってかなんでさっきと同じ速度なのさ。

    あーなんで乗っちゃったんだろう、別に僕は午後6時だからてくてく歩いていってもいいのに。なんならちょっと汚れた服を替えにシャーレまで戻ってもよかったくらいなのに。流されやすいのかな。これでミレニアムでやっていけるのか。

    そうして叫ぶ体力も早々に無くなって、風にあおられている時のことだった。やっぱりエイミさん怖いかも、関わってると命がいくつあっても足りないんじゃないか、とか思って、ここから気を取り直して試験なんて出来るのかとか、色々心配してた時……


    「楽しかった」


    エイミさんが小さく、そんな雰囲気の独り言を言ったのが聞こえた。

    楽しかった、かなぁ。……刺激が強かったけど、その分だけ思い出にはなったのかもしれない。少なくとも僕にとってはそうだ。エイミさんにとっては何てことの無い出来事だったかもしれないけど、僕と同じように覚えていてくれるだろうか。


    カガリ→エイミの好感度 2+20+dice1d50=32 (32)

  • 34二次元好きの匿名さん24/03/07(木) 09:40:22

    保守

  • 35二次元好きの匿名さん24/03/07(木) 18:29:12

    保守

  • 36二次元好きの匿名さん24/03/07(木) 19:00:27

    好感度上がってる!
    イイゾォ!

  • 37二次元好きの匿名さん24/03/07(木) 23:05:47

    保守

  • 38佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/08(金) 00:47:04

    ……そんなこんなで、ミレニアムサイエンススクール正門前!今日ここに来るのは二度目。

    さっきと比べるとすごく賑わっている。元気いっぱいの人、友達と話している人、まだ眠そうな人、誰か待っている人……当たり前かもしれないけど、みんな何かの目的があってここにいるみたいだった。帰ろうかな。


    「さ、部長のところまで行こう。ついてきて」

    や、やっぱり行く感じ? その、確かにお礼は言わなきゃなって思ってたけど……

    「じゃあ、それもついでに済ませよう」

    ついでって。……まあ、そうだね。ここまで来て帰りづらいし。


    エイミさんと一緒にいると、自分がどれくらい臆病なのかはっきりとわかる。でも、これくらい振り回してもらった方が僕にとって良いことなのかもしれない。

    思い返すと、より積極的になることを僕に促したのはヒマリさんだった。察するに、エイミさんの上司(?)にあたるんだろうけど……なんとなく、その辺りは近いのかもしれない。ともかく、今こうして僕を導いてくれることを、素直に有難く思う。


    ランダムエンカウント

    dice1d7=7 (7)

    1~2.☆1

    3~4.☆2

    5~6.☆3

    7.「!」

  • 39佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/08(金) 01:05:11

    なるべく堂々と歩こうとしているんだけど、そうしようと思えば思うほど自分が不審者に見えてうまく行かない。横を通り過ぎていく人々にはいくらか見覚えがあって、なんなら話したことがある人も沢山いたんだけど、僕のことには気付いてないみたいだった。そりゃあ、服装は変えたし髪も結んだし、前にミレニアムで過ごしてた時よりは顔色が良いし。……あと、僕の30cm前を歩いてるのがエイミさんだし……


    「あ」

    わぶっっ……ご、ごめん、ぶつかっちゃった……

    「兵器。それよりカガリ、ついでだし話しておく?」


    エイミさんが指差す先には、天童アリスが歩いていた。

    ……なんで?


    dice1d100=39 (39) 精神力(62)以下で成功

  • 40佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/08(金) 01:06:03

    (選択肢に入れた私が悪いんですけど、それにしても1発で引くかね 君)

  • 41佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/08(金) 01:43:28

    いや、大丈夫。「なんで?」じゃなくて、ここミレニアムだからいるのが普通、普通にいる。そもそも僕は天童アリスが目当てでミレニアムに居座ってたんだからいちいち狼狽えているべきではない。それはそれとして話すのが今かどうかは考えないといけない。その……とにかく、真剣に考えないといけない。きっと。うん。
    そして僕の下した結論が「あっちから話しかけられたら応じる」であった。仕方ないじゃん。天童アリスはこっちの進路をこっち側に向かってきてて、エイミさんに向かって完全に自分都合で「迂回したいです」なんて懇願できるハートがあったら僕は今頃こんなことになってないんだよね。
    ……なるべく目を合わせないようにする、自分がそんなことをしている理由もわからないけど。多少、あっちから視線を感じないでもないけど……服装は変えたし髪も結んだから!前にミレニアムで過ごしてた時よりは顔色が良いから!ほらもう通り過ぎれそう――

    「カガリ、ですか?」
    う゛っっ……
    「ですよね! やっと会えました、あんまり会えないのですっかり忘れてしまっていました!」
    え゛っ……!? いや、その……
    「そういえば、カガリが『真面目に試験を受けるために、試験に受かるまではミレニアムに来ない』と言っていたとモモイから教えてもらいました。聞いても意味がよく分かりませんでした、それってどういう意味なんですか?」
    ぐうぁっっ…………
    「? え、あれ?カガリ!?どうして急に倒れ……??」

    その。こんなに言われなきゃいけないことしたかな、僕。ストーカーってそんなに重い罪ですか?

  • 42二次元好きの匿名さん24/03/08(金) 10:53:11

    保守

  • 43二次元好きの匿名さん24/03/08(金) 11:41:16

    ストーカーは重いでしょ……

  • 44佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/08(金) 12:28:16

    「……それで、先ほどからテーブルに突っ伏していると。経緯は大体判りました」

    「ご、ごめんなさい。アリス、カガリを見つけた時に焦ってしまって」

    い、いいんだよ天童アリス……実際、ずっと来なかったのは僕のほうだし……

    「その、なんでアリスのことを天童アリスって呼ぶんですか?」

    ………………

    「また動かなくなったね」

    「全く、素直すぎるのも考えものですね……元気そうで安心しましたけど」


    その後、視線を合わせるまではできなくとも、天童アリスと最低限お話ができるようになるまでエイミさんとヒマリさんに見守ってもらえた。そうしないと話が進められないからなんだろうけど。あと、コーヒーもご馳走してもらっちゃった……


    カガリのコーヒーの好み

    dice1d100=57 (57)

    (1に近いほど砂糖ミルクましまし、90以上でブラック)


    アリス→カガリの好感度を決定します

    dice1d100=83 (83)

    (1に近いほど奇妙な存在、100に近いほどなんか面白い人)

  • 45佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/08(金) 20:59:37

    ……その。『アリスちゃん』だと馴れ馴れしいし、でも『アリスさん』って呼ぶと威圧感があるし……

    「呼び方のことですか?」

    う、うん、ごめんね。それで、『アリス』って呼べるほど親しくもないから……

    「問題ありません、アリスと呼んでください!」

    ………………

    「……や、急にこっち見られても。どうにもしてあげられない」

    ごめんなさい……


    僕は何をしているんだろう。成り行き上、2人の前でそのまま面談することになったのが、頼もしいバックアップなのか厳しい晒上げなのかわからなくなってきた。

    後ろを振り返ると、ヒマリさんが何やらキーボードみたいなものをいじくっている。……ちょっとした部屋の床面くらいありそうな液晶画面に。360度あらゆる角度から撮影した僕の姿を映しながら。そう、この部屋にはなぜか至るところにカメラが備わっているのだった。怖い。


    「気にしなくてもいい。データを取ってるだけ」

    「ヒマリ先輩、カガリのために装備を作っていると言っていました!強化済みの"ぬののふく"です!」

    強化済みの……ぬののふく……?

    「ふふふ。まあ、お楽しみに」

    「新しい装備を手に入れて、その時のレベルや職業に合わせて着替えていくのがRPGの基本です!ヒマリ先輩が作った装備を着れば、カガリはニンジャから科学ニンジャに転職できるかもしれません!」

    ……?……??……??????

    「……カガリ、ゲームで遊んだことはある?」

    ゲーム、ですか?えっと……


    カガリのゲーム知識

    dice1d4=1 (1)

    1.全然わからない、さっきから全部呪文に聞こえている

    2.話を聞いたことくらいはある

    3.少し触ったけどレトロゲームはわからない

    4.地味に色々触っている(RPGで例えた意図がわからなくて困惑している)

  • 46二次元好きの匿名さん24/03/09(土) 05:34:58

    保守

  • 47二次元好きの匿名さん24/03/09(土) 15:53:59

    ゲーム初心者だ!囲め!!

  • 48二次元好きの匿名さん24/03/09(土) 21:53:43

    専門用語は難しいからね、仕方ないね

  • 49佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/09(土) 23:27:56

    全然わかんない。遊びって言ったらコマとかすごろくとか、外に出て鬼ごっこしたり、家の中ならクイズの本の問題をみんなで解いたり、そういうことしか……
    「うう。困りました、ミレニアムで走るとユウカに怒られます……他のものも、ゲーム開発部にそのようなタイプのゲームは置いてありません」
    「……いいえ、アリス。形態の違いは些細なことです、遊びとは普遍的で、経験の有る無しに関わらず楽しめるものであるはず」
    そ、そうなんですか? でも僕、さっきの話全然わからなかったけど……
    「大丈夫ですよ。今はゲームを遊んでいる人々にも、ゲームを一度も触ったことがない時期はあったのですから」
    「……! ヒマリ先輩の言う通りです!カガリ、少し待っていてください!」

    そう言うと天童アリスは、すばやくドアを開いてどこかへと走っていった。……あれ、ユウカさんに怒られるんじゃ……?

    「……観察のため?」
    「ええ。それもありますが……単純に、2人には心を通わせる機会があっても良いと思いません?」
    「なるほどね」
    ……観察、って?
    「ふむ……そうですね。まだ予測の段階ですが、あなたには教えておくべきでしょう」

  • 50佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/10(日) 00:03:45

    「……そんなに構えなくても、難しい話ではありませんよ。貴女の持つ"特異性"の中に、まだ私も把握していない危険なものがあるかもしれませんから、先に検証しておくだけです」
    ……検証……?
    「部長、その言い方だとまだ難しいよ」
    「あら? わ、私としたことが……そうですね、例えばですけど……『道を歩いていて、ちょっと大きくあくびしてみた瞬間に、そのせいで周りの人が眠ってしまう』とか? 急に起こったら怖いですよね」
    た、確かに。怪我させちゃうかも……
    「あくまでこれは例え話ですが。予め、私たちが近くにいる時にあらかじめ試しておけば、危険なことが突然起きる可能性を少し減らせます。エイミは我々に必要なフィールドワーク全てを行ってくれている万能のエージェントですし、私はこのような現象を無数に検証してきた天才美少女ハッカーですから」

    ヒマリさんは得意げな表情をしていた。……変な人だとばかり思ってたけど、可愛らしい人なのかもしれない?

  • 51佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/10(日) 00:10:13

    検証の意味はわかりましたけど……その、ゲーム? で遊んでいるだけで、本当に検証になるのかなって。
    「はい、良い質問ですね。ミレニアムには常軌を逸する話し下手もいるので、貴女みたいな人が入って来てくれるだけでとても嬉しいですよ」
    ……あ、ありがとうございます?
    「ふふふ……おっと、話が逸れましたね。何も、今回の検証で何か一つでも明らかにならなければいけない、と思ってはいません。と言っても、何も考えていないわけでもありませんよ。あくまで勘ですが、その特異性は『遊び』を通すことで顕出する可能性が高いのではないか、と踏んでいます。ですが、それよりもっと大事なのは、私たちが同じ時間を過ごすこと、それに同意することです」

    ……??……???

  • 52佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/10(日) 00:16:31

    「部長、カガリ止まっちゃってる」
    「…………えっと。カガリさんと仲良くしたいんです。もちろん、私の勝手だけで貴女についての調査を進めてしまうことも可能ですし、コンタクトが取りづらかった頃は実際にそうしましたが……今はそうではありませんから。互いにとって良い関係を築きたいと思っています」

    そう言ったヒマリさんは、少しばつが悪そうにしていた。隣のエイミさんの視線には何か独特なニュアンスがある。

    ……そういうことなら。よろしくお願いします、ヒマリさん。
    「ありがとうございます。ふう、慣れないことをしてしまいましたね……」
    「うちの部長、説明は得意なんだけどね」
    「説明は、とはなんですか。私に足りないものが有ると思うなら素直にそう仰ってください」

    ……エイミさん、本当に表情が変わらないな。対照的だけど、むしろそれなりに仲は良いような気がする。

  • 53佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/10(日) 01:38:32

    ……その。ヒマリさんとエイミさんから見て、僕って危ないですか?

    ちょっと会話が途切れたなって思ったからふと聞いてみただけのことだったんだけど、2人は少し顔を見合わせた。

    「何故そのことが気になりますか?」
    何故、って……それは、ミレニアムの人とか先生とか、大事な人のこと傷付けたくないから……
    「……それなら大丈夫じゃない?」
    「はい、大丈夫だと思いますよ」
    そっ、え゛、それでいいんですか!?僕、一回説明はしてもらえたけど、全然わからないことだらけだし――
    「部長ならこう言うと思ってた」
    「ええ……せっかくですし、話しておきましょうか」

    ヒマリさんはこちらに向かって目を細めた。僕を通して何かを思い出すみたいに。眠る寸前に似てリラックスしたその目付きは、僕に焦点を合わせているわけではないらしく……それでも、見られている気がした。僕だけではなく、僕を含めて『全て』を見ているかのように。

    「少し前のことです、不審な来歴を持つ生徒がミレニアムに転入させられたことがありました。……当時、全てを把握できてはいませんでしたが、それはとても強力な……言い換えれば、とても危険な特異性を持っていたと言えるでしょう。私たちに制御できないほど」
    ……そんなことが?
    「ええ。しかし……紆余曲折あって、私たちは彼女を受け入れたのです。私に言わせれば、今回も同じ選択をするというだけで。特別恐ろしいことをしているつもりはありません」
    その人は、まだミレニアムにいるんですか?
    「天童アリスのことですよ」

  • 54幕間 ◆IEd0n050V224/03/10(日) 02:59:18

    ──────────────────
    今のアリスにとって、あの時のアリス自身の気持ちを思い出すことは、少し難しいです。

    最初、アリスは何も知りませんでした。怖いと思うこともありませんでした。怖い気持ちを勇気で乗り越えたわけではなく……むしろ、何も出来なかったんだと思います。
    アリスは沢山のことを教わりました。それはモモイやミドリやユズ、ユウカや先生だけではなく、アリスが見たり聞いたりしたもの全部が、アリスに色々なことを教えてくれました。教わったのはアリスにとってとても大切なこと、それと同じくらいどうでも良いことでした。
    知らないことを知った時、怖くはありませんが、とてもびっくりします。アリスにとってそれは嫌なことではありません。むしろ、パーティに新しい仲間が加わった時みたいに、世界がずっと広く見えて嬉しいと思いました。

    もしもカガリに知らないことがあるなら、アリスが教えてみたいです。知った時のびっくりした気持ちを教えてほしいです。特別なことではありませんが、アリスにとってこれは間違いなく冒険でした。
    ──────────────────

  • 55二次元好きの匿名さん24/03/10(日) 13:27:44

    頑張れカガリちゃん
    アリスも頑張れ

  • 56二次元好きの匿名さん24/03/10(日) 22:19:13

    保守

  • 57佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/11(月) 00:06:38

    「ユズちゃん、大丈夫?」

    「だ、大丈夫……ちょっと、緊張してるだけだから……」

    ごめんね、突然なのに会ってくれて。やっぱり、どうにかして連絡したほうが良かったかな……

    「き、気にしないでください! だって、そもそもわたしが……その」


    難しいかもしれないと思っていたけど、やっぱり難しかった。昔、友達から「聞き上手」と言われたことがあるけど、言い換えちゃえば会話の場でずっと受け身のままってことで、盛り上げとか進行の良い方法なんて一つも知らないまま今まで来たのである。


    「ユズ、大丈夫ですよ!今のところカガリは危険な振る舞いをしていません、友好キャラです!」

    「うん、私も保証する。お姉ちゃんとも仲良くしてくれたし……先生も、私たちがこうやってまた出会うかもしれないって分かった上で、今日ここに居ないんだと思うから」

    そ、そうなのかなぁ。……ところで、モモイちゃんは?

    「今朝からユウカに絞られてます!」

    ああ……モモイちゃん……


    現時点でのユズからカガリへの好感度を決定します

    dice1d100=95 (95)

  • 58佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/11(月) 00:22:06

    (待ってくださいなんでこんなに高いんですか????????)


    dice1d5=4 (4)

    1.話を聞いているうちに段々興味が大きくなっていって、機会があればぜひ話してみたいと思っていた

    2.アリスやミドリから話を聞いているうちに、きちんとしたアリスの見守り役になってくれそうと期待している

    3.実はカガリが話すトーンや喋り方を先生から吸収していて、それと特徴的な声の組み合わせで脳を揺さぶられている

    4.顔立ちや雰囲気が「自分が理想としているヒロイン像」とかなり一致している

    5.上記から2つ dice2d4=1 1 (2)

  • 59二次元好きの匿名さん24/03/11(月) 09:37:15

    【朗報】ユズ、先生と褐色ヒロイン同好会を結成

  • 60二次元好きの匿名さん24/03/11(月) 18:29:19

    モモイェ…

  • 61佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/11(月) 18:38:11

    「……え、えっと。謝らなきゃ、って思ってることがあって……」
    謝る、って……ゆ、ユズちゃんが僕に謝ることなんてあるの?
    「は、はい。その、わたし、カガリ先輩のこと、言っちゃったから」
    …………?
    「あ、それなんですけど……カガリ先輩がミレニアムにいるのを見つけて、"追いかけて探しても見つからない"ところまで最初に気付いたの、ユズちゃんなんです」
    そうなの!? 確かに、思い返せば何回か目が合ったような気がしたけど……
    「そう、それで……ヒマリ先輩に相談したけど、それで結局、カガリ先輩は追い出されちゃったから……」
    ……それを気にしてるってこと?

    ユズちゃんはこくりと頷いた。……そ、それで謝らなきゃって思ってたの?僕に??

    「ご、ごめんなさい。あの後、大丈夫でしたか……?」
    全然!? えっと、むしろ先生のおかげで良くなったっていうか、むしろあの時はちょっと自暴自棄だったから、見つけてもらって良かったというか……とにかく、大丈夫だから!!ユズちゃんが気にすることじゃないし、ユズちゃんにできる中で一番そうすべきだったことだろうし――
    「あの、カガリ先輩。ちゃん付けじゃなくても大丈夫ですよ」
    …………え。ちゃん付けじゃないって、じゃあ、その……
    「…………」
    …………ユズ?
    「…………♪」

    あ、正解だったっぽい。…………どういうこと?……どういうこと??????

  • 62佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/11(月) 20:43:27

    「準備ができました!コントローラーを配ります!」


    天童アリスがそう言い終わらないうちに何か手の中に握らされる。テレビのリモコンみたいな……くるくると回してみると、あちこちにボタンが付いている。これがコントローラー?

    それで、『ゲーム』ってのはどこにあるんだろう? と思って辺りを見渡すと、さっきまで僕のデータを取るのに使っていたらしいモニターのうち1つに、さっきまでと違うものが映っていた。その前に立っている天童アリスの動きに合わせて、モニターで何かが動いている……


    「カガリ先輩も試してみてください。コントローラーの、この黒い方を画面に向ける感じにすると……」

    ……ほんとだ! 面白いね、触れるビデオみたいな感じ。ゲームってこういうのなんだ。

    「わ、わたしたちが作ってるのは、もうちょっと古めかしい感じなんだけど……初めてゲームを触る人には、新しめのパーティゲームの方が向いてるかなって」

    「アリスは是非『テイルズ・サガ・クロニクル』を最初に遊んでほしいと思ったんですが」

    「あれは……ちょっとまだ早いっていうか……」

    「そんなことはありません!アリスが一番最初にプレイしたゲームは『テイルズ・サガ・クロニクル』でした!」

    「……も、もうちょっと親しくなってからじゃないと……許されないかも」


    ……なんだろう、この深入りしてはならなさそうな雰囲気……と、とにかく!僕に合いそうなものを選んでくれたってことなのかな! そう思うことにして、コントローラーの握り方をいろいろ試してみる。周りのみんなを真似して……こんな感じ?


    カガリのゲーム(運動系)スキル

    13+dice1d100=31 (31) (運動ステータスの2割を加算)

  • 63 24/03/12(火) 00:59:53

    これは……まっさらの初心者にしては高いと言えるのでは?
    少なくとも「操作方法が全く理解できない」とかではなさそう。

  • 64佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/12(火) 03:46:08

    うわあああああこっち来た!!これどうすればいいの!!?!?
    「矢印に合わせて切ってください!!」
    であっっっっっあああああ!!??あああああああああ!!!!!!?!?

    ミニゲームの結果、4人中3位。……いや、これでも結構いい方なんだけどな。
    まず、反射神経だとか動体視力だとか、そういうのが試される種目だとユズちゃ……ユズが圧倒的なのである。だから3位とは言っても2位みたいなもの。天童アリスはボタン連打やコントローラーを振るゲームで鬼のようなスコアを出すし、ミドリちゃんは多対一のゲームでの試合運びがすごくしっかりしていたりして、なるほどパーティゲームというものが一緒に遊ぶ人の違いで全く別の遊びになることがわかった。
    僕はというと、心理戦要素が入っているゲームでは優位に立てた気がする。こうして自分が加わったことで、みんなの中に新しい面白さが生まれるとしたら、それが理由の一つになりそう。……モモイちゃんが心理戦得意なイメージないしね!

    「ふう、ここから後半戦って感じですね……そろそろ休憩しましょうか?」
    さんせーい……楽しいことって疲れるんだね。疲れたのに気付けないというか。
    「そ、そうですね……初めて触るゲームほど、そんな感じになりやすいかも……」
    「アリスはまだ疲れていません!体力ゲージ緑色です!」

    天童アリス、すごい。一緒にいればいるほどその事実を新たに見つけてしまうのであった。

  • 65二次元好きの匿名さん24/03/12(火) 12:03:59

    かわいい…

  • 66佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/12(火) 14:34:31

    「カガリ、ちょっと時間いい?」
    あ、はい。なんですか?

    ミレニアムには水を注ぐ専用の機械があるらしい。コップに入ったそれをなんとなく甘く感じながら飲んでいると、エイミさんからそう持ち掛けられ、モニターへと視線を促された。その隣でヒマリさんが説明の構えを取っている。

    「先ほど集まったデータを元に、このようなグラフを作ってみました」

    あ、グラフだ。試験勉強で読み方を覚えたから、なんとなく話についていけるかもしれない。

    「造語ですが、『難参照性』とでも言いましょうか。これらのカメラで撮影したカガリさんの画像が、このサーバー……これは、写真を保存するアルバムのようなものです。大体3600枚ほどここに保管されています」
    そ、そんなに??食パン1枚くらいの大きさなのに……
    「ふふふ。それで……こちらの簡易CPUを使って、サーバーの中身を読み込むことができます。例えるなら、『アルバムを開いて、その中にどんな写真があったか教えてくれるロボット』といった具合ですね」
    な、なるほど。写真を撮って、アルバムに入れて、ロボットに……

    ヒマリさんがモニターの中身をすいすいと操作し、グラフの中で特に大事らしい部分を拡大した。線が真ん中をふらふら彷徨いながらも、ところどころで窪みのように凹んでいる辺り。

    「これは、ロボットがアルバムの中から『1分間に写真を何回発見したか』という値を集めて、目盛1つにつき10分の間隔で並べたグラフです。このグラフが平坦でないということが、今回の発見……貴女の特異性について調査した、その成果と言えます」
    ええっ。特異性、僕は何も意識してませんでしたけど……
    「でも、グラフは上下していますから。良くも悪くも、意識の有無には関係ないらしいですね」

  • 67佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/12(火) 15:06:15

    「このグラフでは、写真を素早く見つけるほど線が高くなり、反対に見つけるペースが落ちれば落ちるほど線は落ちていきます。有意に落ちていると思われる、ここからここまでにある4つの谷ですが……先ほど、ゲームを遊んでいた際の画面の録画と照らし合わせてみました」
    いつの間に撮ってたんですか!!?
    「ふふ、そういうことも有りますよ。……さて、問題の箇所4つを一度に流します」

    『うわあああああこっち来た!!これどうすればいいの!!?!?
     「矢印に合わせて切ってください!!」
     であっっっっっあああああ!!??あああああああああ!!!!!!?!?』

    「4ついずれも、運動神経を使ったり、素早い判断で脳をフル回転させたり、といったミニゲームを遊んでいる時間でした」
    自分で見るのちょっと恥ずかしい……
    「我慢してください。……それで、質問なのですが。貴女にとって、これらのゲームはあまり得意な分野ではありませんか?」
    ……そ、そうですね? ユズが得意すぎるだけじゃなく、そんなに上手じゃないと思います、けど。
    「ありがとうございます。つまり、このグラフの通りに貴女の特異性が強くなるのは、『貴女がすごく頑張っている時』なのではないか、と考えたのです。焦っている、集中している……頭にストレスが掛かっている、と言い換えてもいいかもしれません」

    そう告げられて、いろいろと思い返してみる。
    確かに。ついさっきゲームで遊んでいた時も、ミレニアムに忍び込んでた時も……あと、百鬼夜行を出た時もかな。その時は気にならなかったけど、思い返してみると、頭に疲れが溜まっていたような気がする……

    「誰しもそうかもしれませんが、あまり根を詰めすぎないほうが良いかもしれませんよ。……ということが伝えたかったのですが。長くなってしまいました」
    だ、大丈夫です!慣れてますし……それに、難しい話してる時のヒマリさんってちょっと楽しそうで、それがなんかいいなぁって思ってます。
    「………………」
    「……ヒマリ先輩、楽しい?」
    「さて、どうでしょうか。カガリがそう思ったのなら、そうかもしれませんね」

  • 68 24/03/12(火) 20:39:27

    なるほどなぁ、そういう方向から解析していくのか。
    まるで特異現象捜査部みたいだ!

  • 69二次元好きの匿名さん24/03/13(水) 00:40:09

    保守

  • 70二次元好きの匿名さん24/03/13(水) 10:48:35

  • 71二次元好きの匿名さん24/03/13(水) 19:57:24

    保守

  • 72佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/13(水) 21:25:40

    あの。ミレニアムって、お手洗いどこにありますか?
    「トイレ? ここからだと……出て右側、すぐさらに右に曲がって、突き当たりを左かな」
    ありがとうございます。ちょっとお借りしてきます……

    わざわざ小声でそれっぽく喋ったけど、今のはかなり嘘だったりする。お手洗いに用事があるわけではなく、単純にちょっと息が詰まる感じがして、窓際にでも立って気分をスッキリさせたいと思ったのだ。仕方ないことだけど、この部屋自体がたくさんの機械で殺風景だし……
    あと、モニターに絶えず僕の姿が映し出されていて落ち着かないし。仕方ないことだけど! そんなわけで、とりあえず扉を開けて歩き出す。なんとなくさっき言われた通りの道を歩こうかなと思って――

    ……何をしているんですか?
    「!? ……いえ、これは……その、偵察です!何もしていません!」

    さっきまで僕がいた部屋の壁に頭を押し当てている人物がいて、ちょっと面食らう。咄嗟に話しかけてしまったし、そのせいで相手が僕よりもびっくりしてるし。……すごく目が泳いでいる。学生証付いてるし、ちゃんとミレニアム生っぽいけど……

    「あれ?その声……もしかして、佐藤カガリさんですか?」
    え゛。そ、そうですけど……なんで僕のことを? 確か貴女とは会ったことが無かったような……
    「いえ、1回だけお話したことがあります。ヴェリタスの音瀬コタマです」

    ヴェリタスの……音瀬、コタマ……?

    「やっとお会いできました。あの時は…………ま、待ってください!なんで逃げるんですか!?」
    ヒマリさんによる分析が当たっているなら、角を2回か3回ほど曲がればコタマさんは僕を見失うはず。僕自身、そんなに足が速いわけではないんだけど、落ち着いて――
    「速っ……!? ごめんなさい、危害を加えるつもりはないんです!ちょっとだけお話を……」
    よし、あの人結構足遅いかも。この調子で……

  • 73二次元好きの匿名さん24/03/13(水) 21:32:49

    す、ストーカーのストーカー……

  • 74二次元好きの匿名さん24/03/13(水) 22:02:02

    出会っちまったか…

  • 75佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/14(木) 03:34:38

    (書き味を変えてみたいので今のうちに明日の更新用のダイスを振っておきます 具体的に言うと人に会うシーンでその回の更新終わるやつやりすぎなので変化を生む試みです)



    dice1d100=98 (98) 技術ステータス(52)以下で成功


    dice1d3=3 (3)

    1.☆1

    2.☆2

    3.☆3

  • 76二次元好きの匿名さん24/03/14(木) 12:01:14

    そういえばここのスレってクリティカルとファンブルって無い感じ?

  • 77二次元好きの匿名さん24/03/14(木) 12:44:58

    >>76

    まぁ、絶対にクリティカルやファンブルを入れないといけないってルールも無いので、無いとこは無いでしょう

  • 78二次元好きの匿名さん24/03/14(木) 20:35:58

    何にせよ失敗か

  • 79佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/15(金) 00:19:29

    ……本当に、逃げ切れた。すごく呆気ないというか、完璧に撒こうとしたら数分くらい掛かるかなってつもりだったんだけど、あっちの気配のほうがずっと早く消えた。再び現れる気配は一切無い。もしかしてこれ、僕が思っていたより危ない力なのか……? いや、力の危なさだけを考えるなら、あのハッキングと盗聴もどっこいどっこいじゃないですか。誰にともなくそんな言い訳を思い浮かべながら、ふらふらと彷徨う。
    念のためちょっと様子を見て、ほとぼりが冷めたら戻ろう……どこで時間を使おうかということを考える。試験が18時からで、今が12時。本当に早く来過ぎたな……あ、お昼ご飯の時間か……それでこんなに静かなわけ……

    「あ。それ……使ってくれてるの?」

    一瞬すれ違った人が、振り向きざまにそんな質問をしてきた。つられて振り返る。
    エイミさんほどじゃないけど大胆な服装、両手で持ったプレートの上に昼食……視線は僕の足元に向いていた。そういえば。

    この靴のことですか? ってことは、エンジニア部の……
    「うん、製作者の猫塚ヒビキ。……うーん、どこかで会ったことあったっけ?」
    ど、どうだったかな。ごめんなさい、あんまり覚えてなくて……
    「大丈夫。それで、よかったらだけど、それの履き心地とか、感想を聞かせてほしい」

    ……なんとなくで承諾して着いていってしまった。正直、これがエンジニア部謹製の特別な靴だってことも忘れて普通に履いてたし、貰ってすぐに外靴として使った1回と、今日までに上履きを買い忘れて靴箱の奥から取り出したこの1回しか履いてないわけで、感想を正しく言える自信はないんだけど……
    昔から、こういう風にして純粋な瞳を持つタイプの人に弱いというか。いや、思い返すとコタマさんも少しそうだったかもしれないけどさ。やっぱり僕は人付き合いをぼんやりとし過ぎかもしれない。

  • 80佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/15(金) 00:32:38

    >>76

    (言われてみればクリティカル/ファンブルのこと考えたことなかったですが、基本的に「1ⅾ100を振った時に出目が1もしくは100だった場合だけ、何か思いつけたら極端な結果にする」って感じにしようかなと思いました)

    (個人的に1~5と96~100のルールだとヤバそう、というかスレ主がTRPG民なので断言しますがそれなりにヤバいです ダイス10回振ったら1回はとんでもないことが起こってしまう計算なので まあ、そもそもこのスレずっっっと普通の生活してるせいであんまりダイス振ってないですけどね……)

  • 81佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/15(金) 00:41:37

    「好きなところ座って待ってて。食べる前に、さっき思い付いたところだけメモしておかないと……」

    左手に持ったパンのかけらで器用にコーンスープをすくって諸共に頬張りながら、右手で紙面を抑えるのと同時にペンを構えて、すらすらと何か書いている。……ちらりと興味本位で覗き込んでみると、それは装置らしきものの設計図に見えた。一番長い辺には「4.6m」と書いてあって、最低でもそのくらいの幅を取る大きさのものっぽい。
    具体的な機能は読み解けないけど……とにかく、整っている図だってことが伝わってくる。まるで納得が行くまで何回も書き直した後みたいなのに、実際にはその手の中から即興曲のように生まれている。当たり前のようにやってるけど、定規やコンパスも一切使ってない。

    ……あの。ずっと書いてるけど、食べないんですか?
    「あ。……忘れてたわけじゃない。ただ、ちょっと……頭の外側にあっただけ」
    それは忘れてたって言うんじゃ……

  • 82佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/15(金) 00:55:14

    「早速……早速じゃないかな。その靴、使ってみてどうだった?」
    ……空気圧で滑走する機能? だったっけ。実は、まだ使ったことがなくて……
    「あ、そうだったんだ」
    は、はい。ただ、履き心地はびっくりするくらい良かったです!自分の足の形に合ってる気がしたし……柔らかいし軽いし、足の動きが全然邪魔されないし……

    良い報告半分、悪い報告半分みたいになっちゃったんだけど、ヒビキさんは得意げに笑って『計画通り』と言った。

    「ふふふ。どんなに楽しい機能が付いた靴でも、『靴として履き慣らすまでは普通に使わないと危ない』なんて、勿体無いでしょ? だから、履き慣らしが要らない靴を最初に作ったんだよね。部品の接合方法から見直して、使う素材もそれに合わせて一新して――」
    ……す、すごいこと言ってませんか。ついでみたいに言ってるけど、革命を起こしてるんじゃ……
    「そうかな。あっ、そうだ、Bluetooth機能は使った?」
    ぶる……あー。そのBluetoothってやつ、色々探してみたんだけど結局わからなくて……

  • 83佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/15(金) 01:01:27

    ヒビキさんがしてくれたBluetoothの説明は正直全く意味がわからなかった。ただ、とりあえず使う分には「ケーブル無しで機械と機械を繋ぐ方法」とだけ思っていればいい……らしい。この理解で合ってるかな……?


    「習うより慣れろ、ってやつかも。ちょうどテスト用のスペースがあるから、滑走と一緒に試してみよう」


    そう言って案内されたのは、普通の教室が2つ繋がったような広さのだだっ広い部屋だった。何に使うのかもよく分からないけど愛嬌のある形のロボット、銃の試し撃ちなんかに使うっぽい数種類のターゲット、それにスケートボードとかで遊ぶような斜面や曲面、鉄棒やトランポリン……落ちていない汚れや擦り切れた跡なんかが、色んな所に残っている。


    「Bluetoothの方は、さっき教えた通り。滑走は、ジャンプして片足ずつ着地したらゆっくり浮いていくから、安定したら滑ってみて。体重の動きだけで操作するのがコツ」

    ……あの。言ってくれた、Bluetooth? の使い方、さっきから考えてて……なんか、この靴から音楽を流す方法としか思えないんですけど。さっき音楽アプリのプレミアムの体験版登録しちゃったし。

    「そうだよ。足元から好きな曲を流して、リラックスしながら走るの」

    ええーーー……????


    効果が無いとも言い切れないし、試してみることにした。曲の指定はスマホの方で……あ、『疾走感のある曲リスト』だって。これにしよ。

    あとは。こうやってジャンプ、片足ずつちゃく……


    dice1d100=52 (52) 出目が小さければ小さいほどいい感じ 運動ステータス(67)以下で上手く扱える


    dice1d4=1 (1) 選曲

    1.Runner(爆風スランプ)

    2.Unwelcome School(いつもの)

    3.強風オールバック(ボカロ)

    4.道化師のギャロップ(クラシック)

  • 84佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/15(金) 01:27:34

    「やっぱり、外から観察すると発見が多い。腕を使ってバランスを取るといいんだね……カーブはどうやってるの?」

    『『『カゲリノナイショーーーネンノーーー キセツハスギーーサーー』』』

    えっと……曲がりたい方の足の裏を、内側に向ける感じかな。もう少しつま先側にひねると、もっと早く曲が……っとと!危な――

    『『『ハシルーーーハシルーーー オレーーターーチーーー ナガレーールアセモソノマーーー』』』

    「もう少しスピード上げても同じようにできる?」

    あのぉ!!!!これ切っていいですか!!!!!!

    「……駄目?」

    音楽を流すの自体は駄目じゃないんだけど、音割れが……靴に入る大きさのスピーカーで耳に届く音出そうとしてるからなんじゃ……?

    「うーん。いけるかなって思ったんだけど……」


    その後も安全な走り方を追求したり、求められるがままに改善点を提案したりした……静かな状態で。ただ、ヒビキさんの知識量が凄すぎて、僕程度のスキルでは技術的な論議ができなかった……


    カガリ→←ヒビキの好感度を決定します

    dice2d100=3 53 (56) (モニターに付き合ったので、ヒビキ側からは最低保証25)

  • 85佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/15(金) 01:31:19

    (かなり怖がってて草)


    怖がってる理由

    dice1d3=2 (2)

    1.自爆機能の話が出てきて滅茶苦茶ビビった

    2.自爆機能の話が出てきて滅茶苦茶ビビった

    3.自爆機能の話が出てきて滅茶苦茶ビビった

  • 86 24/03/15(金) 02:11:59

    残当(残当)

  • 87二次元好きの匿名さん24/03/15(金) 02:23:42

    そらそうよ
    というか身に付けるもんに自爆機能つけるな

  • 88二次元好きの匿名さん24/03/15(金) 12:13:22

    保守

  • 89二次元好きの匿名さん24/03/15(金) 20:18:45

    そりゃそうだ

  • 90佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/15(金) 20:35:09

    (例によって例のごとく所用によって日付変わってからの更新になりそうなため、開き直って必要なダイスの投げ逃げをすることで執筆をスムーズにします)


    dice1d100=76 (76) 53以下であれがああなる

  • 91二次元好きの匿名さん24/03/15(金) 21:03:03

    どれがどうなるのか分からんけどダメそう

  • 92佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/16(土) 02:19:47

    広場での試運転を一通り終わらせた後、次は『戦闘中の機動に使えるか?』という疑問を試すことになった。確かに、使い慣れれば素早い切り返しができるし、足音も立たないし、その用途にこと打ってつけなのかもしれない。
    とは言え、11kgある僕の機銃はただ持つだけでも靴をあっさり沈めてしまうので、その分だけ空気圧を高めてもらって。……そうしたら次は、銃を少し手放したほんの一瞬で僕の身体がギューンと浮かび上がってしまった。本当に自爆したんじゃないかと勘違いして声も出せなかった……ヒビキさんが言うには、この靴には自爆機能付けてないらしいけど。けど……

    「ありがとう。使用感はどうかな」
    いい感じです! 重いもの持った時も1秒少しで浮き直すし、手放しても階段1段と同じくらいしか浮かないし……即興でこんな改造できるのすごいなって。
    「ふふふ。宙に浮く物は、これまでにも沢山作ってきたから……絶え間なく重力に縛られる私たちにとって、少しでもそれから解放されることは、大きなロマンって言えると思わない?」

    ヒビキさんはそう微笑みながら天井の向こうの空を仰いでいて、僕はそれに生返事をしてしまった。共感できなかったわけじゃなく、深い問いかけだと思って深めに考え込んでしまったから。
    ……うーん、やっぱり捉えどころがないっていうか……別の世界の人って感じがする。こうしてお話はできているけど、僕は果たしてヒビキさんが向いている方向を理解することができているんだろうか。あまり自信がなかった。

  • 93佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/16(土) 03:21:45

    結局今は何をしているのかというと、ヒビキさんがさっきの設計図の実物を試作するとのことなので、お使いだとかの雑用に回っている。エンジニア部の作業室は、傍目に見ているだけでも面白そうなものがいっぱいあって、行ったり来たりしているだけでも退屈しない。
    一応、こういう工作っぽいものの勘は少しだけあるので、どれがどんな目的で作られたものなのか、何のために使うものなのか、推測することくらいはできる。仕組みは流石に簡単なものしか分からないけど。
    で。所要のものが入ってるっぽい箱を見つけることはできたんだけど、別の重い箱の下敷きになっているので、それをどかすことから始めている。確かに、頭を使ってる時にこの作業はしたくないな……なんて考えていた時、すぐ後ろに人が入ってきた。

    「あ。お客さんですか!?」
    「……本当だね、こんにちは。留守にしていてすまない、気分転換に食事を食堂で摂っていたんだ」

    この人たちは……あ、覚えてるかも!エンジニア部のウタハさんとコトリさんだ!
    コトリさんは確か、頻度はそんなに無かったんだけど、会うたびにたくさんお話してくれた覚えがある。質問にも丁寧に答えてくれて、マメな人だなあって思った。
    ウタハさんは……そうだ、天童アリスとたまに話していたのを見て、何か教えてくれないかなって不純な動機でこっちから話しかけたんだ。それで、確か――

    「……君、どこかで私と会ったことがあるんじゃないか?」
    あ。そうですよ、ちょっと前に数回お話ししました。覚えててくれたんですか?
    「すまない。覚えてはいるんだが、不思議なことに名前が思い出せなくて」

  • 94佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/16(土) 03:43:17

    「そう言われてみれば、私も話したことがありましたね! とても熱心に聞いてくれる方で、少し感動した覚えがあります」
    じゃあ、改めて自己紹介します。佐藤カガリです、今日はミレニアムに……ちょっとした用事で来ました!
    「……そうだ、カガリ! 最初に聞いた時、特徴的な名前だと思ったはずなんだけど……どうして忘れていたんだろう」
    「確かに、そうですね。私も名前は知っていたはずですが」
    う、うん……その、ちょっと色々あって……

    もしかして、これも特異性のせい?
    ……ばっと、頭の中をごちゃごちゃしたものが飛び回る。それは何か、不安の正体を掴もうとするような混乱で、僕自身が何かを知りたがっているような……
    そうして呆気に取られていると、2人が作業室の内側へと進んでいく。2人に話すべきことがあるわけじゃないんだけど、何か話さないといけない気がして、慌てて追いかける。……靴の「滑走」モードが付いていることを忘れて、足を振り上げた勢いそのままに躓いた。うぐう……駄目だ、落ち着かないと。

  • 95佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/16(土) 03:56:11

    「ああ、ヒビキ。なるほど、君がカガリを呼んだのか」
    「おかえりウタハ先輩。考えは纏まった?」
    「何とか。コトリが色々聞いてくれて助かったよ」
    「えっへんです!」
    「……待って。今、なんて?」

    少し遅れて追いついた。んだけど、肝心のお使いの物を持ち帰り忘れている。ちょうど3人で話してるみたいだし、戻ってからまた――

    「……そうだ、っ、カガリ!!!」
    うわああああーーーーーー!!!な、なんですか急に!??!?
    「ご、ごめんね。ちょっと、びっくりして」

    僕だけじゃなく、ウタハさんとコトリさんも驚いていた。ヒビキさんは今までに見たことのない顔をしていて、そのまま僕のほうをじっと見ていた。頭のてっぺんから足の先まで、確かめるみたいに。

    「……今、思い出した。どれくらい前だっけ……前にもここで会ったはずなんだけど。確か、一緒に何か作ったはず」
    え、え?? 何か、って……なんですか?
    「待ってて。探すから」

    話が見えてこなくて、もう一つ何か聞こうとしたんだけど、それよりも先にヒビキさんが資材置き場の奥の方に消えていった。……頭の中に飛び回るごちゃごちゃしたものは、さっきより数が増えたみたいだった。

  • 96二次元好きの匿名さん24/03/16(土) 09:54:40

    ……これもしかしてカガリ自身も……?

  • 97 24/03/16(土) 14:21:38

    うせやろ……「あの時の自分は何をしていたっけ」って思い出すのにすら判定が必要……?
    まさか毎回なんかのダイス振ってたのって「思い出す」の成否判定……?

  • 98二次元好きの匿名さん24/03/16(土) 14:32:07

    ……そういえば、カガリって元陰陽部なんだよね?
    ……カガリの口から陰陽部のメンバーの名前、聞いたことあったっけ……?
    ……というかカガリ、昔の友達のこととか、どれだけ覚えてる……?

  • 99佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/16(土) 21:27:44

    「……何はともあれ、お久しぶりです!健康に過ごせていましたか?」

    う……うん。先生のお陰もあって、ご飯もちゃんと食べれてて……

    「それは良かった。……言われてみれば確かに、それはシャーレの制服だね。先生が公的な用事の時にたまに着てくるものと似ている」

    「しかし、体格はまるで違います。こうして一歩引いて見ると、先生の親戚さんが会いに来たみたいで、不思議な感覚ですね」

    親戚!? ちょ、ちょっとそれは恐れ多いっていうか……その、ただお世話になってるだけだし……

    「そ、そうですか?似合っていると思ったのですが……」

    「ふふ。前会った時も、君は何かにつけて謙虚だったね……まあ、お世話になっているだけと言うのは、あの人と関わった生徒の数多くが感じていることかもしれないよ」


    最初のコトリさんの一言で、異様そのものだった雰囲気が少し晴れた気がする。加えて言うなら、今まで全く違う時間を過ごしてきた僕と2人の間にも"先生"という共通の話題があって、こんな形でまであの人に助けられてしまったことに少し驚いた。2人から聞く先生の話は、ちょっとおかしいんだけどやっぱり僕が知ってる先生と同じで、それが少し嬉しかったかもしれない。


    ウタハ、コトリとの好感度を決定します

    (左がカガリから、右が相手から 過去に交流があったためそれぞれ最低保証30)

    ウタハ dice2d100=18 36 (54) 

    コトリ dice2d100=66 34 (100)

  • 100佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/17(日) 01:41:35

    「ところで、カガリ。特異現象捜査部の部長をしている、明星ヒマリと話したことはあるかい?」
    ? あ、あります、けど。それで何か……?
    「ふむ。やはりね」

    何か考えている素振りはあったけど、単刀直入に訊かれた内容はこっちの想像を超えて核心に迫っていて、ちょっとびっくりした。

    「ど、どうしたんですかウタハ先輩!まるで事情通みたいです!」
    「いや、詳しくは知らないんだけど。いつだったかな……いつかの朝、エイミからメールで連絡が来て、『今日、ゲーム開発部の子がそっちの部室に来ると思うんだけど、外からその様子を観察している人を見つけたら、少し目で追ってみて』とか、『万が一だけど、危険な行動に出たらすぐに連絡してほしい』とか、そういうことを言われたんだ」
    あー……はい。それってもしかして……
    「うん。言われた通りに探していたら、カガリがこっちを見ているのに気付いた」
    「ははあ、なるほど……それで、さっきも感じたカガリさんの"不思議さ"は元々ヒマリ先輩の領分で、そしてあの人は前々から調べているんじゃないか、と思ったわけですね」
    「そうだね。ただ、幸いにしてもう会話を交わしたことはあるようだし……心配事が無いでも無いけれど、『全知』の彼女が専門家として取り組むのなら、私たちが気にすることでもないだろう」
    「それが良さそうですね!もし向こうから求められた時、客観的な報告をする準備くらいはしておきましょうか」

    ……僕がどうやって説明しようか迷っている間に、ウタハさんはたった一つの質問だけで自ら納得してしまったし、コトリさんも事態にすっかり適応してしまった。ミレニアムサイエンススクール、本当にすごい人ばっかりで、時々目まいすらしそうになる……

    「……ヒビキ。見つかりそうかい?」

    いつの間にか手ぶらで帰ってきていたヒビキさんが、悩ましそうに縮こまりながら首を横に振った。

    「普段からあまり整理できてないから、難しい。これをきっかけに掃除でもしようかな……」
    大丈夫ですか? その、ありがとうございます、色々――
    「ううん。それに、何を探してるかは、ちょっと思い出せたかもしれないから……話してみるね」

  • 101佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/17(日) 02:18:44

    横長のホワイトボードに合わせて、ヒビキさんが横に長い四角を描いていく。次第に描き足されてゆく情報によると、どうやらそれはただの四角というより箱のようだった。

    「縦と横の幅が2mくらいで……高さが、確か10cmと少しくらい。そういう形の薄い箱状のケーシングの中で、プロペラを回して風を起こしていたはず……なんだけど」
    それは……壁に立てかけて扇風機に使う、みたいな?
    「…………確かに、そういう使い方もできるね、って話してたかも。でも、本来の使い道はそれじゃないはず」

    4人でボードの前に立って、ああでもないこうでもないと色々考える。……この人たちはみんな、難題を前にすると逆に燃え上がってしまうタイプなんじゃないかって気がする。ほとんど聞いているだけだけど、可能性が一つ出ては潰されて、また出ては潰れて、という繰り返しをすごい速さで行っていた。多分、慣れてるんだろう。

  • 102佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/17(日) 02:35:30

    「空冷の線は削れたので、やはり何かを風で飛ばす用途じゃないかと私は考えます。想像ですが、演出用の紙吹雪とか?」
    「……だとしたら私、こんなに大きなものは用意しない。飛ばしていたとしたら、もっと大きいもの」
    「これ自体、まだ未完成だという可能性は? より大きい規模の装置に組み込むはずのパーツだったかもしれない」
    「いや、未完成のものは常に目に見える場所に置いておく。あんなに探して見つかりもしないのは不自然」
    「ううむ、難しいですね……」
    「私たち全員、頭が固くなっているのかもしれないね。一度他の作業を挟もう、それで何か思いつくことも有り得るだろうから」
    ……あ、それだったら一度お暇します! その、ちょっとだけ歩き回るだけのつもりだったので、人を待たせちゃってるかもしれなくて……
    「なるほど、わかりました! こちらで何か新しく判ったらお伝えに参ります、そうでなくてもまた気軽に来てくださいね!」

    軽く手を振り返してその場を後にする。思ったよりも楽しんじゃったな……そろそろほとぼりも冷めただろうし、みんなのところに戻らないと……ぱっと作業室を出て右側、入れ違いに入ろうとしている人と向かい合わせになった。

    「……えっ、か、カガリさん!?? 違います、まだ追いかけてたわけじゃなくてここに用事があってそれで偶然………ご、待ってください!!!カガリさん!!!!」
    「……あれ、カガリさん!?何かお忘れ物ですか!?」
    い……いや、なんでもなくて。ただその、あの人、ちょっと怖くて……

  • 103佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/17(日) 02:46:41

    「……事情は理解したよ。まあ、それは仕方ないと思う」
    「その、私が知る限り悪い人ではないから。オーディオ機材のことでよく話すんだけど」
    わ、悪い人じゃないんだろうなとは思ってるけど。ただちょっと怖くて……

    僕がそうやって話している間、コタマさんは遠くの方でちらちらとこっちを窺っていた。ごめんなさい……

    「これは月並みな提案ですが……いつか時間が解決するんじゃないでしょうか。出会い方が少しびっくりする物だったとしても、こうして何回かごく普通に顔を合わせていれば、ごく普通の印象の方がより高い割合で残るはずでは?」

    コトリさんの勧めは、確かにそうだと僕に思わせてくれるものだった。これからミレニアムとはもっと関わることになるし……その中で、ちょっとした世間話ができるくらいにはなるかもしれない。それに、僕だって似たような癖はあるわけだし……

    「わ……わかりました。とりあえず今は、カガリさんを驚かせないように……ここがいいですかね。私は後ろ向きでここに立ってます。カガリさんはその間に部屋を出てください」
    あ、はい。その、失礼します……

    コタマさんがそう言いながら、作業室の隅にあった腰ほどの高さの足場に登っていく……足場? な、なんだろうあれ。台みたいな、クッションみたいな……

  • 104佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/17(日) 03:14:23

    「……わ、わあ。なんですかこの……足元が、ふらふらするっていうか……」
    「おや? 確かアレ、ミレニアムにある中で一番大きいトランポリンですよね。トレーニング部の依頼で作って、大きすぎて扉を通らないから部屋から出せないってことになった経緯の。懐かしいですね」
    作る前に気付かなかったんですか!?
    「うちでは良くあることだよ。ロマンの追求には必要な失敗だったさ」
    「えっと、とりあえず真ん中に立っておきます。……く、黒くて足元が見づら……うわあっ!?」

    バチッ ――――ブオオオオオオオオオオオオオン……
    トランポリンの中央に向かってコタマさんが転んだ瞬間、妙な音が聞こえ始める。

    「な、なんですかこれ?風……? ちょ、ちょっと待っててください、今……わっ、っと、と…… !?」

    ――――ブオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!
    「……え、えっ、わ、ひえ、うわああああああああああ!!!???!!?!?!???」
    うわーーーーー!!??!?こっ、コタマさんが浮いてるーーーー!!!!!!

    説明を求めて3人の方を振り返ったんだけど、ウタハさんは固まっていて、コトリさんは慌てふためいていて、ヒビキさんは空中で浮いたり沈んだりするコタマさんの姿を猫みたいに目で追っていた。……ど、どうしよう?!こういう時ってどうすればいいんだろう!!??!?

    「……あれ、かも」
    な、なんですか!?
    「前、私とカガリで一緒に作ったもの、あれかもしれない」
    え? ……あ、あー……それって……

  • 105幕間 ◆IEd0n050V224/03/17(日) 03:17:25

    ──────────────────

    ……そ、それで、この物凄い大きさの扇風機ができたんだ。
    「そう。これがあれば、空を飛べる」
    飛ぶ、って言っても……それ、このプロペラの上でジャンプするってことになりそうっていうか。さすがにちょっと怖くない??
    「大丈夫。これだけで使うわけじゃない……あの大きいトランポリンの下に、ぴったり収まるサイズで作ったから。そのジャンプの勢いと足し合わせれば、十分高く飛べるはず」



    ほ、ほんとにすっごい飛んだ。死ぬかと思った……
    「おかえり。どうだった?」
    まあ、意外と楽しかった、けど……これ、発明品として役に立つの?
    「……うーん、どうだろう。これ自体は役に立たないかもしれない……けど」
    けど?
    「この経験を元にして、もっと面白いことが出来るかもしれないし、それは役に立つかもしれない。例えば……『履くだけで空を飛べる靴』とかが出来て、みんなが履くようになるかも」
    ……確かに。それは楽しそうかも。
    「でしょ? 試作品が出来たら、カガリにもテストを手伝ってほしい」

    空を飛ぶ発明って、これまでにも作ったことあるの?
    「うん。磁力で浮かんだり。水をホースから吹き出す力で派手に離陸したり……風力を試したのも、これが初めてじゃない」
    その、なんだろな。僕の場合、空を飛ぶことなんて全然考えないまま……ずっと重力があることが当たり前のまま生きてるから、飛びたいって発想が無かったなって。それで、そうやって重力から解放されるのって、なんかわくわくするというか、知らないものを見つけたっていうか――
    「……うん。私たちマイスターは、それのことを『ロマン』って呼んだりするんだ」

    ロマン……そっか、これがロマンなんだ。

    ──────────────────

  • 106佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/17(日) 03:26:28

    ……ふ、ふふ……ふ……あっははははははは!!!!コタマさん飛んでるーーー!!!!!!!

    「思い出した?」

    思い出した。あれじゃん!!!!僕も飛んでたじゃん、なんで忘れてたの!!!!!


    ヒビキとの好感度が上昇します 過去にしっかり交流があったため少し固定値多め


    カガリ→ヒビキ 8+30+dice1d30=3 (3)

    ヒビキ→カガリ 53+10+dice1d10=4 (4)

  • 107佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/17(日) 03:29:01

    (と言ったところで今日はここまで 昨日のうちにめっちゃ展開思い付いちゃったので滅茶苦茶に長くなりましたね)
    (特異性ほにゃららの点についてスレ主自身も整理したいところがあるので、明日はそういう感じのパートになるかもしれません)

  • 108二次元好きの匿名さん24/03/17(日) 14:33:53

    保守

  • 109二次元好きの匿名さん24/03/17(日) 14:36:05

    保守

  • 110二次元好きの匿名さん24/03/17(日) 23:47:34

    保守

  • 111佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/18(月) 00:14:30

    「時系列を整理すると。以前にカガリがミレニアムへ来ていた時、一番最初にコンタクトを取ったのがヒビキで、私やコトリとはその少し後に出会ったということらしいね。そして、カガリと出会った記憶全てを無くしていたヒビキに対して、私とコトリの場合はその名前を思い出せないのみに留まっている。我々の記憶の残り方とこの順序との間に相関を見出せるだろうか」

    「……うーん、少し難しいと思います。第一印象だけが人の印象の全てではありませんし……仮に、ヒビキと私の記憶を量として比較できるとしても、有意な差が見られるとは思いません。」

    「そもそも、記憶は『消えている』のかな。思い出せなかったという結果よりも、その機序から突き止めていかないと根本的解決には至れないかも……この効果、カガリ自身にも及んでるみたいだし」

    「……もしかして、私たちは少し前にもこの会話をしていたのでは!?そのことすら忘れて、同じような議論の二度目に及んでいるんじゃ……!」

    「そ、そんなことはないと思う。今だってこうして、記憶だけに頼らないでメモを取ってるから……」

    「……私たち全員、頭が固くなっているかもしれないね。一度原点に戻ってみよう」


    ……す、すごく盛り上がってるなあ。

    『心配事が無いでも無いけれど、『全知』の彼女が専門家として取り組むのなら、私たちが気にすることでもないだろう』。ウタハさんはさっきそう言っていたはずなんだけど、謎が増えるにつれて好奇心を刺激されたのか、3人で激しい議論を交わされている。当事者の僕すら軽く置いてけぼりにしてしまう最高速のもので……置いてけぼり仲間のコタマさんと、ただこうして脇に座ってそれを眺めているのであった。


    (ところで、コタマさんの印象はどうなりました?)


    dice1d4=3 (3)

    1.危険視がそのままなのでなるべく注意を逸らさないようにしてる

    2.ゆくゆくはそんなに怯えなくても済む時が来そう

    3.既にそれほど怖くはないけど、危なくない?とは思い続けている

    4.ふわふわ浮かんでるの見たら急に底知れなさが吹き飛んで平気になった

  • 112佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/18(月) 01:12:53

    「カガリ、ちょっと携帯借りてもいい?」
    ……け、携帯を? まあ、いいですけど。壊さないでくださいね。

    特に気の利いた助言が出来るわけもなく、先生が暗記法のおすすめとして教えてくれた暗記カードをカバンから取り出してめくっていた時、「expl」から始まる英単語の向こう側でヒビキさんがそう言った。何をするんだろう?
    ……なんか、コトリさんに渡されてる……あっウタハさんにも……

    「ありがとう。用事は済んだよ」
    は、はあ。ちなみになんですけど、どういう用事に……?
    「……いや、大したことじゃない。ただちょっと、私たち3人とモモトークを交換させてもらっただけだよ」
    あーーーー…… その、あんまり詳しくないんですけど、それって勝手にして良いことなんですか?
    「一概には言えないね。人によるかもしれない」
    人による!?

    ウタハさんは振り返り、後ろでひそひそと話しているヒビキさんとコトリさんに目配せをして、目配せを返されていた。

    「……いや、ヒビキが言ったんだ。『カガリの性格を考えると、面と向かって交換を頼むよりも、勝手に先手を打ってから事後承諾をもらう方がスムーズだと思う』と」
    「うん。言ったよ。ナイスなアイデアだと思う」
    「も、申し訳ございません。今後、カガリさんをも巻き込む非常事態の際、円滑に連絡が取れることのほうが大事かと思いまして……」
    ええーーーーー……いや、まあ、僕は良いです、けど……けどぉ……

    「事後承諾をもらう方がスムーズ」の部分が、あんまり否定できないことが妙に悔しい。あと、僕にとってはさっきまでほとんど初対面のつもりだったヒビキさんが、実際は僕についてかなり知っていることも、なんだかむず痒い。……なにやら複雑な表情になってしまっていたらしく、ヒビキさんが口を開いた。

    「前に会った時、モモトークの交換を提案して、断られたことがあったから」
    ……そ、そんなことあったっけ。
    「うーん。断られたっていうか……突然走って逃げられた、って感じ」
    ……あっ。そうだ、逃げたんだった……じゃあ僕が全部悪いです……
    「すんなり認めたね。何を言っても過ぎた真似をしているのは私たちの側だと思うけれど」
    「あ、あまり気にしないでくださいね……!」

    (エンジニア部の3人とモモトークを交換した)

  • 113佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/18(月) 03:06:56

    「そういえば、さっきは人を待たせていると言っていなかったか? 付き合わせたかな、つい熱中してしまって……」
    あ、そうだったかも。さっきまで、ヒマリさんの所でゲーム開発部の子たちと遊ばせてもらってて……
    「先客がいるのか。この後私たちでお邪魔しようと思っていたけど……人数が溢れても悪いし、後にするよ。もしかしたらその時また会うかもしれない」
    はい、わかりました! それじゃあ――
    「待ってください。ヒマリ部長のところなら、私もついて行きたいです」
    ……こ、コタマさん……??

    聞けば、ヒマリさんが管理する特異現象捜査部では、『検証用の設備がある部屋には余計な機材を持ち込まない』ということが徹底されているらしい。そういう関係で、ミレニアムに数多くの盗聴器を設置しているコタマさんでもその領域の音を録ることは出来なくて、主にヒマリさんの声が最近聴けていないことに不足感を抱いているのだそう。

    ……駄目じゃない?
    「いえ、後ろめたいことはありませんよ。ただ普通に会話をしに行くだけです」
    そ、そう言われてもな……この人、実際どうなんですか?
    「ふむ。確かにコタマは、そうではないと言いながらそれをすることが多くあるけれど……今回は大丈夫じゃないかな。他の誰かならまだしも、あのヒマリを欺いて何か出来るとは思っていないはず」
    「そうですよ。既に何回も試してきました!それで全部失敗してるんですから、新しい作戦が思いつかないうちは何もしません!」

    ……じゃあ、まあ、大丈夫かな。これ以上異論を唱えてもどうにもならなさそうだった。いざとなったら僕が止めれば大丈夫だろう、とも思った。

  • 114二次元好きの匿名さん24/03/18(月) 12:39:00

    コタマェ…

  • 115佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/18(月) 21:33:27

    廊下を歩いている道中、歩き始めて10秒と少し経った時、コタマさんの方が会話を切り出してくれた。


    「恥ずかしながら、カガリさんについてはあまり情報が得られていないんです。私から分かっていることと言えば……ミレニアムのあちこちに現れて人々と会話を交わすこと、そして移動経路を追おうにも足音がごく小さいこと。それに、話している内容を聴いた限り、誰にでも親切で争いを好まないこととか……そんなところでしょうか」

    そ、そうかなあ。自分ではイメージ湧かないけど……待って、恥ずかしながらって何?

    「それは……私は、ミレニアムのあらゆる場所で音声を傍受しているんです。例外はあるにしても、普通のことならなんでも知っている自信があります! それがまさか、逃げ切られてしまうなんて……」

    普通は逃げますよ……というか、他の人に怒られたりしないんですか……?

    「よく言われます。今朝もユウカさんが部室まで来て、『今日はミレニアムにカガリが来るけど、試験を受けるために来るんだから、余計な真似はしないように』って釘を刺しに――」

    言われたこと全然守ってない!!!! そ、そっか……壁に聞き耳立ててたのって、あそこはヒマリさんの言い付けで盗聴器仕掛けられないから……

    「そうです。結局その時は盗聴器も使ってませんし、そもそも試験は18時からなんですから、あの場に声を聴きに行くだけなら差し支えは無いはずでは」

    確かにそうかもしれないけど!そういう問題ですか!?

    「……いえ、カガリさんもカガリさんです!ただでさえシャーレには何も置けなくて普段から苦労しているのに、なんでミレニアムに来て最初の行き先が特異現象捜査部なんですか。説明を要求します」

    知らないよ!!!!そういう流れだったの!!!!!!


    話せば話すほどすごい人だと思った。ちょっと前、僕のことをヒマリさんが『素直な人』って言ったことがあったけど、果たしてコタマさんと比べてもそうだろうか……


    (いろいろありましたが、ようやく普通に会話ができるようになったため、コタマとの好感度を決定します やっとかい)

    カガリ→コタマ dice1d100=75 (75) (既に悪い人ではないと思っているため最低保証25)

    コタマ→カガリ dice1d100=9 (9) (単純接触効果が高まっているため最低保証40)

  • 116佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/18(月) 23:50:18

    失礼します。戻りましたー……
    「おかえりなさい、カガリ! 今はユズがデスマーチの真っ最中です!」
    「あら、戻りましたか。こちらは先ほど解析が済んだので、エイミにプリンターを使いに行ってもらったところですよ」
    待って待って、デスマーチ?プリンター?どういうこと??
    「……ユズちゃん、カガリ先輩帰って来ちゃったけど」
    「うう……もうおしまいだ……」
    「えっと、もう少し待っててくれますか? 思い立って準備始めたんですけど、バグ……トラブルが起こって」
    それは平気だけど、ユズちゃんは大丈夫なの? なんか、見たことない顔色に……
    「だ、大丈夫です。その、見守ってていただければ……頑張れるので」
    そ、そっか。じゃあ隣で見てよっかな……



    「久しぶりですね、コタマ。今日は何の用でしょう」
    「……偵察です。この頃、声を聴けていなかったので」
    「なるほど。確かに、最近は篭もり切りでしたね。もしかして心配してくださったとか」
    「いえ、部長にはエイミさんが付いてますし。ただ様子が気になっただけです」
    「ふふ、そうでしたか。ところで、カガリさんとの関係は改善しましたか?」
    「!? ……え、えっと……その、少しは会話できるようになった、というか……」
    「良い兆候ですね。カガリさんの様子を見る限り、自然体のままで大丈夫だと思いますよ」
    「そ、そうでしょうか……じゃなくて!なんで知ってるんです!?」
    「何も知りませんよ、本当に。ただ……コタマさんのことですし、またいつもの癖で、初対面の人を驚かせたりしてしまったんじゃないか……なんて、邪推してしまっただけです。当たっていましたか?」
    「………………」
    「コタマさんも変わりませんね」
    「部長の方こそ」

  • 117佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/19(火) 00:38:00

    それで、トラブルっていうのは?

    「さっき話してる時、やっぱりカガリ先輩に私たちのゲームも遊んでもらいたいよね、っていう話になって。とは言っても、あんまりボタンが多い機種だと混乱しちゃうかもだから……」

    「以前、『ゲームガールカラー』のオリジナルソフトとして作ったゲームを持ってくることにしました! 私たちの自信作ですし、動作はエミュレータで確認済みなので実機でも遊べるはずだったんですが、上手くいかなかったみたいです」

    ……よく分からないけど、トラブルがあったんだね。

    「ご、ごめんなさい……その、いつ直せるかもわからなくて……」


    ユズちゃ……ユズの手の動きは明らかに迷走していて、キーボードを打ったり自分の頭を抱えたりを繰り返していた。うーん、せめて相槌打つ役くらいはしてあげられないかな……


    dice1d100=43 (43) 技術ステータス(52)以下で成功

  • 118佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/19(火) 01:32:21

    ちょっとだけプログラム勉強しておいてよかった……!ミレニアムに居た時、謎の3年生さんの気まぐれで多少仕込んでもらった程度のものだけど、専門外の分野としてはびっくりするくらい相談に乗れている。ユズの顔色もちょっと良くなったみたいで、ちょっと安心した。


    「う、あ、ありがとうございます。ただ、これ、手伝ってもらったんですけど、これ」

    あー……その、今日中には直らないっぽい?

    「そ、そうかも。ごめんなさい、迷惑かけちゃって……」

    い、いや!?えっと、少しお話できただけで楽しかったし、こういうのって結果だけじゃなくて、だから……


    ユズちゃん、僕が想像している以上に繊細で落ち込みやすい子なのかもしれない。むしろちょっと気付くのが遅かったかな。不思議なことに、僕とはちゃんと話してくれるけど……


    カガリのゲーム(制作)ステータスを決定します

    10+dice1d60=39 (39) (技術ステータスの2割を加算)

  • 119二次元好きの匿名さん24/03/19(火) 10:33:38

    最低保証とはいえコタマからが一桁なの相当不満だったんだろうな
    勝手に絡んで勝手に不満を持つな

  • 120二次元好きの匿名さん24/03/19(火) 16:53:11

    コタマからの数値がまあまあ低いの、コタマはコタマでカガリの何かしらの異常性を音から察知してて、ビビりながら接してる可能性もあるので…(それはそれとしてハッキングとか盗み聞きとかされておいて75出すカガリもカガリだと思う

  • 121二次元好きの匿名さん24/03/19(火) 22:22:26

    ゲームは低いか
    まぁ慣れてない事考えれば十分

  • 122佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/19(火) 22:56:36

    ――とりあえず、画面に向かいっぱなしだと気分も良くならないと思うから、今日は別のことして遊びませんか。他にもゲームってのはいっぱいあるみたいだし……
    「そ、そうですね。ちょっと複雑なゲームでも、わたしが丁寧に説明するので……」
    「でしたら、やっぱり『テイルズ・サガ・クロニクル』の出番だと思います!ミドリ、準備してくれますか?」
    「えっ、あれを!? その、間違いなく良い作品だけど……初心者が触っても面白いかな……?」
    ているず……それもゲームのタイトル?
    「はい!さっきも言った通り、アリスが一番最初に遊んだゲームです!」
    「ノートパソコンさえあれば動くし、準備は簡単だと思うよ。……ユズちゃんさえ良いならだけど」

    ……という話の流れになると、自然とユズに視線が集まるわけで……
    なにか、異常なオーラがそこにあった。……こ、怖がってる?まるで視線が合わないというか。いや、視線はさっきから合ってなかったかも……

    「ひいいいいいいいいいぃぃぃぃっっ……!!!!」
    ユズちゃん!?どうしたの!!?
    「『テイルズ・サガ・クロニクル』、ユズちゃんが作ったゲームなんです! その、私とお姉ちゃんが打ち解けたきっかけで、私たちは最高のゲームだと思ってるんだけど……ネットからの評判がすごく悪くて」
    「ユズ、この話になるといつも自信が無さそうなんです。確かにネットでは酷い扱いを受けていますが……ネットのレビューなんていつもそういうものです!実際に体験しなくては、ゲームの真価に気付くことは出来ません!」
    「うううううう……そ、そうかもしれないけどぉ……!わたし、カガリ先輩にまで……あ、ああ……」

    ユズちゃんは部屋の隅っこでダンゴムシのように丸まってしまった。……ど、どうしよう。浅いコミュニケーションばっかり取ってきたから、こういう時……友達が落ち込んでいる時、どうやって接すればいいのか分からない。近付いてもよくなさそうだし、遠くから大きい声で話しかけるのもよくなさそうだし……

  • 123佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/20(水) 00:21:51

    ――バターン!!!!!って音が鳴った。急に何!?
    振り返ると部屋のドアが開いていた。反対側の方で話していたヒマリさんとコタマさんも目を向けてちょっと驚いている。あ、あれは……

    「モモイ、参上!!!!!!」
    わああああモモイちゃああああん!!!!助けて!!!!!!
    「うわあー!? か、カガリ先輩?どうしたの??」
    ユズが落ち込んでるみたいで……こういう時どうすればいいのか分からなくて……
    「ど、どうしよう。なんとなくで参上しちゃったから流れがわからない。聞いてもいいかな……」



    「……なるほど、そういうことね。うーん、私は遊んでほしいけどなー……」
    「そ、そんな……」
    「いや、そこまで絶望的な顔することじゃないって。カガリ先輩って酷い言い方するような人じゃないだろうし……」
    「確かに。カガリ先輩が荒い言葉使ってるの、聞いたことないかも」
    「それに私、もしも万が一ユズ本人の前で傷付くようなこと言ったら、例え相手がカガリ先輩でもリアルファイトするからね。任せといて!」
    りあ……き、聞いたことないけど間違いなく物騒な言葉だ……

  • 124佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/20(水) 01:56:18

    「うう……わ、わかった。今から準備する……」
    「ユズ、無理をしていませんか?……ごめんなさい、さっきのアリスは少し急ぎすぎていたかもしれません」
    「大丈夫。いざとなったら『2』の方も遊んでもらえば……あっちは文句無しの名作だから」
    そんなに言うくらい自信ないの……????
    「よし、2人とも落ち着いたっぽいね。まあ、ちょっと上級者向けのゲームかもしれないから、もしも進行できなくなったらなんでも聞いて!私も完成版の開発には携わってるし!」
    ありがとうモモイちゃん。……なんか、本当にみんな、仲良しなんだね。
    「仲良し……まあ、そうかも。普段わざわざ意識したりしないけど……」
    横から見てるとそうとしか思えないな。モモイちゃんだって、ユウカさんに絞られ終わってすぐここに来たみたいだし……
    「ふふふ……実は全然終わってないんだよね、これが。やりなさいって言われたこと全部放り投げてきた、ああ見えてもユウカって隙だらけだから」
    ええ……



    「ということで、モモイは回収していくわね。相手してくれててありがとう」
    ……? え、あれ、モモイちゃん!!?なんで捕まってるの!!?!?!??
    「えええええええ!? なんでユウカの腕の中にいるの!? 催眠術とか超スピードってやつ!??」
    「プロボクサーは瞬き1回の隙に3発のパンチを撃てる。きちんと計算すれば、これくらいどうってこと無いわ」
    「全然説明になってないよーー!!!!!!!」

  • 125佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/20(水) 02:27:41

    「さあ、部室に戻りましょ。もう少しのところまで進めたんだから頑張りなさい」
    「ま、待ってー!本来の逃げた目的忘れてた!10秒で済むから言わせて!」
    もくてき……息抜きみたいなことじゃなくて?
    「それもそうだけど!」
    「まあ、それくらいなら良いでしょう。はい」

    ユウカさんが手を放して、モモイちゃんが床にべしゃっとなった。あ、扱いが――

    「……カガリ先輩!!!今日の試験頑張ってね!!!!!」
    ……。え、し、試験? それは、頑張る、けど……その。なんで急に?
    「いや、なんでとかじゃないでしょ!これだけ関わってて一緒に勉強もしたんだから応援するってこと!」
    「……それだけ言いたかったってことだと思うわよ。もう、言われた当人が呆然としてるじゃない」
    そ、そっか。試験……

    初めての感覚だったせいで、返す言葉がちょっと見つからなくなる。視線を振り回すと、ミドリちゃんが柔らかい笑みでこっちを見ていた。それは何かに同意しているみたいな顔だった。

    「大丈夫ですよ。私も頑張ってたの見てましたし、あれなら心配いらないと思います」
    「そうね。あんまりプレッシャーに感じてほしくないけど……私も応援してるから」
    ……うん、わかった。特に、自信がすごくあるとかじゃないけど……出来ること頑張ってきます。ありがとね、みんな。
    「よしよし。じゃあ帰りましょうか、モモイ」
    「ギャーーー!!!!余韻とかそういうのが無い!!!!!」
    ふ、ふふっ…………そっちも頑張ってね……!

  • 126 24/03/20(水) 13:40:21

    モモイの光があったけぇ……

  • 127佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/20(水) 22:05:16

    「カガリ!!!準備ができました!!!!」

    というわけで、促されるまま画面の前に座った。真横でユズが正座している……その、緊張してるかもしれないけど、こういうのって僕はあくまでも自然に遊んだほうがいいよね……??? 声に出してそう聞いてみる気は起きなかった。ええいどうとでもなってください。
    ……なんか、このゲームの話になってからの天童アリス、いつにも増して元気じゃないか?と思ってちらりと顔を見る。うーんかわいい。今日も元気そうで安心しました。

    ……あっ、これもう始まってる?
    「えっと、ここはムービーシーンって言って……ストーリーの説明とか、キャラクターの人柄を教えたりとか、そういう役割の映像が挟まるんです」
    映画みたいな感じかな。なになに、”コスモス世紀2354年、人類は劫火の炎に包まれた”……なるほど。
    「わ、わかるんですか?」
    いや、今の所わからないけど。後で出てきそうだから単語だけ覚えようかなって……本読んでる時もそうじゃない?
    「うう……真面目に遊んでもらえてる……」
    「私が思った通り、やっぱりカガリには勇者の才能があるみたいです!」
    ……勇者って、才能とかあるの……???

  • 128佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/20(水) 22:24:30

    ――結論から言うと、僕に勇者の才能はあんまり無かったと思う。

    ただ、どういう素質を持っていたら勇者と呼ばれるのにふさわしいのか、それはなんとなく理解できたかもしれない。僕がテイルズ・サガ・クロニクルをプレイして思ったのは、それが『何度転んでも立ち上がる力』みたいな、精神的なパワーなんじゃないかってことだった。

    これは後から別のゲームを遊んで知ったことだけど、その力の源は、ある勇者にとっては『自分を信じる気持ち』

    だったり……


    ・カガリのステータスの中で、現時点で値が50を超える1項目(精神力、神秘を除く)につき1d2

    dice6d2=2 1 1 1 1 2 (8)


    また別の勇者は、『今まで出会った人との絆』みたいなものを思い描いたりしていた。


    ・カガリが関わった人物のうち、現時点で値が50を超える好感度を互いに持っている相手1人ごとに1ⅾ2

    dice6d2=2 2 2 1 2 1 (10)


    ……僕がなぜ勇者の才能を持たないと思ったかっていうと、何回倒れてもリトライを繰り返し、自分を信じる気持ちと今まで出会った人との絆を頭の中で燃え滾らせて、結局力尽きたからである。人生は思うようにいかない。

    ともかく、僕が手を出すには早かったのかもしれない……いや、これが早くない人間なんて、そうそうこの世にいないだろう、とも思ったけど……

  • 129佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/20(水) 22:34:18

    (カガリの精神力が18成長しました)

    62 → 80


    「……か、カガリ?少し休憩しますか?」

    「これ、暫く起き上がらないんじゃないかな……と、とりあえず、近場のセーブポイントで保存だけしておきますね」

    きゅうけい……する……

    「……その……や、やっぱり駄目、でしたか……?」

    ………………


    (さっそく耐久試験してみましょう カガリはユズからの問い掛けにそれっぽい返答をすることができたんでしょうか)

    dice1d100=2 (2) 精神力(80)以下で成功

  • 130佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/21(木) 00:43:34

    ……その。つまらなかったかって言うと、多分そんなことはなくて……
    「………………」
    ご、ごめん、ちゃんと起きて話す。よいしょっと……それで、えっとね。楽しいって思う時もあったんだよ。確かにすごく……難しかった?し、文章で1からしっかり説明してほしいこともいっぱいあったし、意地悪されたことも数え切れないくらいあったけど。あと、階段の上でエンカウントすると勝手に昇り降りしたまま動けなくなるのもびっくりしたんだけど……
    「うう……新しいバグ見つけないでください……ちゃんと直しましたから……」
    「それもまた勇者の才能の一つですよ!」
    いや、そんなこと言われても……じゃなくて、えっと。すごくめんどくさいことをさせられてる時でも、退屈にはならないっていうか。進む先がちゃんとあって、行けるところまで行ってみようかなって気持ちは無くならないのが……『ゲームしてる』って感じ。みたいな……それが良いところかなって。うーん、言葉にしようとすると難しいね……

    ……3人とも、何か不思議なものを見たような視線を僕に向けていた。な、何かまずいこと言っちゃったかもしれない。だって自分が今何を言ったのか自分でもわからないし。

    「か、カガリ先輩って……」
    「うん。『テイルズ・サガ・クロニクル』をプレイしてこうなる人は、かなり珍しい気がする」
    そうなの!? その、そんなに特別なことはなくて、僕は……あえて悪い部分に触れなかった部分もあるから!僕自身、あんまりゲームについて喋れるほど詳しくないし……
    「その。か、カガリ先輩なら、大丈夫だと思います。悪いって思った部分、聞いてもいいですか」
    ……え゛。……い、良いけど。じゃあ……

    ユズが……よく見たらミドリちゃんも、今までにないくらい真剣な目をしている。……内容を期待されてる!? 僕ほんとにゲームのこと一切わからないんだけど!!? う、うーん。でも、思ったことを言えばいいんだよね。何なら言っていいんだろうか……

  • 131佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/21(木) 00:46:06

    ……あー。強いて言うなら、あれかも。
    「な、なんですか?」
    えっとね。ローディング?が、長いなって……場面の切り替えが多いのに、長い時は1回で20秒くらい飛ぶから、ひとまずそれがなければ……
    「」
    ……うわあああーーーー!?!??ユズちゃんが気絶した!!!!!!なんで!??!?!!?
    「」
    ミドリちゃんも同じことになってる!!!!!!!!
    「以前、ユズが『ゲーム界隈のデベロッパーに対して”ロードが長い”発言は最強の攻撃』だと言っていました!要素を詰め込みすぎていること、動作の最適化ができていないこと、プレイヤーのことを考えない独り善がりの制作であることなどが一言で指摘できてしまうらしいです!」
    そんなつもりで言ったんじゃなくてーーーーー!!!!!!!!!

  • 132二次元好きの匿名さん24/03/21(木) 07:44:44

  • 133二次元好きの匿名さん24/03/21(木) 13:51:19

    100%の善意から繰り出される100点のダメ出し本当草

  • 134佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/21(木) 23:41:47

    「あ……ありがとう、ございました。真摯にうけとめます」
    「すごかったね。世間的にはあんなに突っ込みどころ挙げられてるのに、最初に出るのがロードの長さって……」
    へ、変だったかな。一番気になったんだけど……
    「……ううううううう……やっぱり人にしてもらうようなゲームじゃなかったんだ……」
    そうじゃなくて!!!!!

    そんな具合で、しばらくユズちゃんと押し問答をしていた。
    ……正直に言うと、『テイルズ・サガ・クロニクル』は、他人に見せるものとしては……なんというか、まだ早い作品だったと僕も思う。でも、それを自分に遊ばせてくれたことや、それをみんなが遊んで感想を言える状態にしたことは悪いことではなくて、むしろとても良いことだと思った。んだけど、その理由を上手く言葉にして伝えることは出来なかったのである……最後の方はどうにか、熱意というかハートというか、大丈夫!っていうすり込みみたいな、僕自身まったく慣れていないやり方で落ち着かせてあげるしかなかった。もっと上手く話せるようになりたいな……

  • 135佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/22(金) 00:22:30

    「……あの、ちょっと良い?」
    え、エイミさん? どうしました?
    「17時44分。試験まで、あと16分だけど」
    え゛っっもうそんなに経ってたんですか!?ごめんみんな、もう行かないとだめかも……!!
    「は、はい!ごめんなさい、いっぱい付き合ってもらって」
    「遊んでくれてありがとうございました。私たちも応援してます……!」

    ……最早そんな場合じゃないのでかろうじて受け流せたけど、咄嗟に掛けてもらえた言葉で胸がいっぱいになりかけた。あのゲームの余韻を引きずって試験なんか受けられるんだろうかと思っていたのが洗い流されつつある。
    変に焦っちゃって言葉が出てこないので、ふかぶかと一礼して誤魔化すしかなかった。なんか言うのは全部終わった後! えっと、必要なものは全部カバンに入れてあるから、次は――

    「ああ、準備の心配なら、出発前にしてきた以上は特にいりませんよ。ミレニアムの試験は、本人確認さえ取れればそれ以外の持ち物が無くても受けられますから」
    そ、そうなんだ。助かったー……それで、どこに行けばいいんだっけ。確か……

    携帯を点けて、メモ帳アプリに自分で書いたことをもう一回確認する。5階の、第4多目的室、らしい。
    ……全然わかんない。とりあえず階段上がってみればわかるかな……?

    「カガリ。アリスが送って行ってもいいですか?」

  • 136佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/22(金) 01:09:23

    バタバタと(おそらく)今日最後であろう挨拶を済ませて、廊下に出る。……視線を下げると、そこに天童アリスがいる。

    「こっちです。ついてきてください」
    あ、うん。ありがとね……

    この際認めることになんの抵抗もなく、僕はかなり臆病である。なので、彼女から申し出があった時も、特に理由が思い浮かぶわけじゃないのに断ろうとしてしまい、理由が思い浮かばないのでそのまま承諾した。なんか、『断る理由ありませんよね?』っていう目で見られているような気がした。考えすぎかも。
    2階、3階、4階……数を数えながら階段を昇る。会話は無い。窓の奥では日が傾いていて、前を行く人を追うシチュエーションと合わせて、先生と初めて会った日のことを思い出した。

    「カガリ、ゲーム開発部に入りませんか?」

    不意に振り返った天童アリスが、レンズ越しには見たことない顔でそう言った。ただの質問をされているわけじゃない、と思って慎重に言葉を紡ぐ。

  • 137佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/22(金) 01:09:52

    うーん……楽しいだろうなって思うけど、僕が入っても場違いじゃないかなって。僕は……ゲームのこと全然知らないし、だからもちろんそれに情熱が持ててるわけじゃないし。
    でも、誘ってくれてありがとね。

  • 138佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/22(金) 01:14:33

    「アリスには、カガリのことがわかりません」

    声の出し方から、それが会話じゃなくて独白だとわかった。難しいやり取りをしている時間は無いと思って、気を遣ってくれたんだろう。ゆっくり歩き出した彼女の案内を追いながら、また内容に耳を傾ける。

    「ゲームの中の人々は、みんな目的を持っています。勇者パーティにとっては魔王を倒すこと、魔王軍にとっては世界を征服すること。色々な人々がいて、目的にも色々なものがあります。モモイは私たちのシナリオライターで、このことを『ゲームによって物語を描く方法』だと言っていました」
    「アリスにとって、ミレニアムの日々はゲームではありませんが、同じように楽しむことができる冒険です。ミレニアムのみんなにも、達成したい目的があります。アリスはそれを手伝ったり、時々競ったりしました」
    「カガリと出会って、カガリのことを知った時、アリスはカガリともそうやって過ごしてみたいと思いました」

  • 139佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/22(金) 01:22:50

    「アリスには、カガリのことがわかりません」
    「……げ、ゲームの中の人々は、みんな目的を持っています。勇者パーティにとっては魔王を倒すこと、魔王軍にとっては世界を征服すること……カガリ。教えてください」
    「これから……ミレニアムに入った後です。カガリは、どうしたいですか?」

    ………………

    ……前、先生にも同じことを聞かれたことがあって。
    「はい」
    その時は、『天童アリスと話したい、ちゃんと謝りたい』って言った、はず。
    「アリスと話すことはもう出来ています。謝る必要もありません」
    だよね。だから……わかんない。僕、どうしたいんだろう……
    「ゲーム開発部に入るのは、ゲームにもっと興味が出てからでも良いです」

    「したいこと……目的。いつかカガリの目的を見つけてください。そうしないと、アリスはカガリとパーティが組めません」
    「みんながしたいことを組み合わせて、一つの冒険にするのが、勇者パーティですから」

  • 140佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/22(金) 01:38:06

    ……わかった。ありがとう、その、そこまで言ってくれたの初めてかもなって……
    「――あと、これはそれとは別ですが」
    ……な、何?
    「ちゃんと"アリス"って呼んでください。"天童アリス"は書類に書いてある呼び方でしかありません」
    ………………呼ばないと駄目?
    「駄目です!さもなくばアリスの『ヘイブンズ・ゲート』が火を吹いてカガリの頭部を一束の書類に変えてしまうこともやぶさかではありません!消費期限も丸わかりです!」
    なんか凄い怖いこと言われてる気がする!!!!ま、待って……心の準備っていうか……
    「……試験が終わったら会いに来てください。その時にしっかり"アリス"って呼べたら合格です」
    合格なんだ。……その、不合格だったら……?
    「では、アリスはこの辺りでけむりだまを使います!試験頑張ってください!」
    えっ。……ま、待って!!!!!

    もくもくもくもく、と言いながらものすごい速さで階段を下りていく音だけを残して、天童アリスはその場を去った。試験の直前なのに、とんでもない大きさの宿題を2つ貰ってしまった……
    ……ちゃんと考えないと駄目だな。今は試験だし、今は後回しにするしかないけど……頑張ろう。いろいろあるけど。

  • 141幕間 ◆IEd0n050V224/03/22(金) 01:54:50

    ──────────────────
    「本当に放っておいていいの?」
    「放っておくしかありません。仮に先ほど、グラフの動きを根拠に彼女を拘束したとして、事態は好転していたと思いますか?」
    「それは。まあ、思わないけど」
    「今回の学力試験はオートメーションですからね。人的被害が出る類の特異性ではない可能性を有力視しているとは言え、この場で事を起こせばただ遊びに来ただけのみなさんを巻き込んでしまいますから。それは少し乱暴という物です。対策は今から考えましょう」
    「……あのゲームを触ってる時、だよね。カガリの特異性が急に大きくなったの。あれも特異現象?」
    「いいえ、ただのゲームです。私も遊んだことがありますよ。……どうやら、頭にストレスが掛かっている時に特異性が増大するという仮説、当たっていそうですね。」
    ──────────────────

  • 142佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/22(金) 01:57:25

    (ということで本日はここまで 次回、ついに開幕!ドキドキ☆ワクワク学力試験 スレ主が頑張って順序をまとめています)

  • 143二次元好きの匿名さん24/03/22(金) 13:08:41

    hs

  • 144二次元好きの匿名さん24/03/22(金) 13:10:31

    試験頑張れカガリちゃん

  • 145二次元好きの匿名さん24/03/22(金) 21:47:26

    特異現象扱いされるTSC...

  • 146佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/23(土) 00:33:07

    (スレ主です ひっっっさしぶりにAPに余裕ができて常設イベストがたくさん読めそうという一身上の都合で今日の更新をお休みします 妄想しまくってたらプロットが膨らんできてるのでしっかり整理します……)


    (それはそれとして後の展開のために振れるものは振っておきたい)

    dice2d3=3 2 (5) 被ったら1個後ろにずれる

    1.???

    2.?????

    3.???????

  • 147二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 11:45:07

    なんだなんだ

  • 148二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 21:18:56

    謎ダイスは怖いぞ

  • 149??? ◆IEd0n050V224/03/23(土) 22:50:53

    『手前のやってること、全部『子供の遊び』なんですよ。

    …………っ、もう全部忘れたんですか? 一体どれほどの人を巻き込んだと思ってるんですか。いつも迷惑ばかりかけて、何の償いもしないでふっと消えて。せめて消えたままだったら良かったのに。

    なんで消えないんですか。手前の始めたことの始末すら手前が付けられないで、他にどうしようって言うんですか?』

  • 150佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/23(土) 23:03:12

    『試験を開始します』

    モニターに制限時間が写し出されて、スピーカーからそういう声が鳴る。
    用紙をめくる。緊張はそれほどない……多分。余計なことも考えずに済んでるし、不安な気持ちも今は気にならない。自分が急に無感動な人間になったみたいだった。いつもやっていることを、今やるだけ、っていうか。
    この部屋は完全に僕だけだった。30人ほどが同時に試験を受けられるような部屋の、一番前のテーブルの左端で座っている。ミレニアムにもこんなに静かな場所があったんだなあ、と思った。……なんだろう、『試験』っていうともう少し熱を帯びたものをイメージしていたけど、1人だと気が抜けちゃうな。でも、油断はしないように――

  • 151佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/23(土) 23:04:47

    試験の成否を判定するにあたって、全問題を10個のブロックに分けて考えます 

    10個のブロックそれぞれに対し、事前の対策が有効だったか否かを判定します 1ブロックにつき1回のⅾ100をロールし、カガリが持つ「試験の対策」の数値である70以下を出せたブロックは「有効に対策できていた」ものとして、この後に行う勉学ロールの成功率を2倍にできます


    dice10d100=85 41 92 23 32 86 19 48 86 19 (531) それぞれ70以下で成功

  • 152二次元好きの匿名さん24/03/24(日) 09:41:33

    6個成功だ
    やったね

  • 153二次元好きの匿名さん24/03/24(日) 18:50:16

    成果がでたな

  • 154二次元好きの匿名さん24/03/25(月) 00:23:54

    これはいけるぜカガリちゃん

  • 155二次元好きの匿名さん24/03/25(月) 10:13:22

    保守

  • 156二次元好きの匿名さん24/03/25(月) 20:14:58

    保守

  • 157二次元好きの匿名さん24/03/26(火) 01:42:04

    カガリちゃんどうなるかね

  • 158佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/26(火) 02:11:58

    (お久しぶりです 丸48時間ホスト規制を喰らっていました ふふっ)
    (超深夜帯ですがまたいつコキュートス贈りにされるかわからないので微更新します)

  • 159佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/26(火) 02:14:16

    ……モモイちゃんが言ってたところ、たくさん出てくるなあ。後でちゃんとお礼言わないと……




    1ブロックにつき1回のⅾ100をロールし、勉学ステータス以下の目を出せたブロックは「自分の知識の中から正解を出せた」ものとして得点します(ただし如何なる場合でも100が出たら不正解)


    1ブロックの配点は10点、合格ボーダーは80点

    対策:6ブロック成功


    dice4d100=83 29 27 85 (224) 勉学ステータス(55)以下で成功 

    dice6d100=13 86 52 39 16 58 (264) 勉学ステータスの2倍(110)以下で成功

  • 160佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/26(火) 02:38:30

    よ、よし。とりあえず全部埋めた。見直ししてみよう。
    ……大丈夫そう、かな? かなり考えたけど、かろうじて8割は合ってると思う。『間違ってる』ってわかった問題もあるけど、修正できたのはそのうち1問で、残りはかなり厳しい予感がした。制限時間は……残り57秒。このまま出すしかないかなあ。全問正解できるとは思ってなかったけど、こうして指をくわえて見送るしかないのも悔しい――

    『終了です、筆記具を置いてください。受験者は順番に答案用紙を提出してください』

    ああ終わっちゃった。『順番に』と言っても僕しかいないので席を立って、横1列にプリンターみたいな機械が並んでいる場所まで歩く。その1つに答案用紙をするりと入れると、ピッという音の反応が返ってきた。……これで大丈夫なのかな?

  • 161佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/26(火) 02:53:42

    ……この後どうすればいいんだろう。試験受けるところまでしか予定に無かった。
    とりあえず元の席に座り直して、背もたれを深く使ってため息をつく。何点だったかな。今の内から結果にドキドキするような気力はもはや残ってないのか、ぼーっとした気分だった。悪い気分じゃないかも。ランナーズハイってやつかなあ――



    『試験を開始します』

    モニターに制限時間が写し出されて、スピーカーからそういう声が鳴る。
    ……? え、あっ、そうか。僕、今から……

    「そこまでだよ!!!!!!」

    くぐもって聞こえた大きな声と一緒に、部屋の後ろ側の天井がガシャンと落ちる。通気口のフタみたいだった。
    突然のことにびっくりしていると、その通気口から人が落ちてくる。髪が赤くて、小柄の……

    「……これでもくらえーーーー!!!!!!」
    うわあああああ!??!?!?!??!!??なになになになに!!!!!!!!!

    その女の子は銃を構えてこっちに向かって乱射してきた。椅子から転げ落ちて、そのままの流れで机の下に隠れる。壁には着弾痕が付いたり、制限時間を映していたモニターやその他の機械がなぜだかペンキまみれになっていたりした。……全然意味がわからない!!!!テロリスト!?なんでこんなところに!??!?

    「えーっと……こほん。……この試験会場は、あたしたちヴェリタスが乗っ取らせてもらったよ!!!!」
    ……ヴェリ……コタマさんのところだ!!!!!!!!!

  • 162佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/26(火) 02:58:08

    (時間ヤバいので今日はここまで 冬眠中に展開考えてたらなんかすごいことになっちゃいましたが、ちゃんと収束させるつもりではあるのでご安心ください)

  • 163二次元好きの匿名さん24/03/26(火) 11:47:27

    コタマさんのところだ!←事実なんだけどちーちゃんがすごい顔してそう

  • 164二次元好きの匿名さん24/03/26(火) 20:04:59

    なんか大変なことになっちゃったぞ

  • 165佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/26(火) 23:26:40

    『……あ、あー。繋がった……みたいだね。マキ、制圧はできた?』

    「もっちろん!こんなの失敗するほうが難しいよ」


    スピーカーが誰かにジャックされたらしく、仲間らしき人の声が流れてくる。そういえばハッカー集団だって言ってたっけ。やってることがテロすぎてハッキングがおまけみたいになってるんだけど……


    「それで、ここからどうすればいいんだっけ。このまま暇な感じで待ってればいい?」

    『暇とか言わない。人質取って"上"の準備が整うまで待機』

    「あ、そうだった。じゃあ」

    ……え゛っ!?


    すっと銃口が僕に向く。そんな馬鹿な。へ、部屋入る時スタンドに銃置いちゃったんだよな……こういう時って手を挙げればいいの?……あ、いいっぽい。ま、まだ混乱しっぱなしなんだけど。っていうか……


    dice1d100=45 (45) 交渉ステータス(87)以下で成功

  • 166佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/26(火) 23:57:10

    えっと、マキちゃん?っていうのかな。さっきからこの子に『敵意』を全く感じられない。遊びに来てるみたいな、まるで緊張感を持ってない雰囲気が漂っている。……視線がさっきペンキまみれになった壁に向きっぱなしだし。人質の様子をちゃんと見るべきなんじゃ?
    ついでに言うなら、さっきスピーカーから声を届けてきた人も、テロ行為を働いている時の声色では全くない。家族が家族に対して、今日のご飯どうする?って聞く時みたいな、そんな声。……な、なんなんだろう。僕は何に巻き込まれているんだろう――

    「……なんか、思ってたよりも大人しくない?もしかしてめちゃくちゃ怖かったりする?」
    え。その、怖くは……まあ、どうなんだろう。自分でもわからないというか……
    「そっか。じゃあ、大丈夫かな……?」

    いや、僕に聞かれても。あっ僕に聞いてないかもしれない、すごくそっぽ向いてる。……どうしよう、これも試験の一部だったら。テロに適切に対応してこそ一人前のミレニアム生とかだったら……そんなわけないか。
    ふと、窓から差し込んできている西日がちらりと明滅した。外には大きな鳥のようなものが浮かんでいて、僕はそれを見て、なるほどあれが日差しを一瞬遮ったのかと――

    ――パリィィィィン!!!
    「オラァァァァァァァ!!!!!覚悟しろテロリスト!!!!!!」
    ぎゃああああああああ!!?!??!?今度は何!!!!!!!!
    「失礼いたします。C&C、ご用命に応じて馳せ参じました」

  • 167幕間 ◆IEd0n050V224/03/27(水) 00:06:18

    (話は数刻前に遡り……)

    ──────────────────
    "こんばんは、ヒマリ。言われた通り、正門からここまで誰とも話さないで来たよ"
    「ありがとうございます、先生。モモトークでお伝えした通り、カガリさんに関することで……ここにいる全員、ひとまずはその要件で集まっていただきました」
    「エンジニア部と、ヴェリタスと、ゲーム開発部と、C&C。先生が来たから、これで全員揃ったって感じ」
    "概要しか聞いてないんだけど"
    "『ミレニアムの時間が止まった』って、どういうこと?"
    「勿論、それは比喩表現です。しかし、そう表現するに足るであろう出来事が起こっていて……私たちで情報を擦り合わせた結果、カガリさんの特異性に関連することだろうと思い、連絡しました」

  • 168幕間 ◆IEd0n050V224/03/27(水) 00:21:54

    「私の方から説明します。一応、第一発見者だったので」
    "ありがとう、コタマ。じゃあ、お願いできるかな"
    「はい。……前提として、私は今日、カガリさんが試験を受ける第4多目的室にマイクを仕掛けていました。その、聞きたかったので」
    "……まあ、前提だからね"
    「そうです。私は、カガリさんの特異性についてはあまり詳しくないのですが……今日の夕方、ヒマリ部長と話した時、『念のために試験の様子を盗み聞きしておいて、異常を感じたら連絡してほしい』と言われて」
    「はい、コタマさんなら何か仕掛けているだろうと思ったので、お願いしました」
    ”うーん……”
    「……試験が始まるよりも先にヴェリタスの部室に戻って、しっかり聴き取れる音量で、1秒の途切れもなく聴いていました。なのに……間違いなく異常が起こっていたのに、それに気付けなかったんです」

  • 169幕間 ◆IEd0n050V224/03/27(水) 00:36:41

    「コタマさんが受けた影響は、ミレニアム全体が受けた影響と同一のものでした。一言で説明するのは難しいのですが……『自分が同じ行動を繰り返していることを、自覚できなくなる』とでも言いましょうか」
    ”同じ行動を……自覚できなく?”
    「カガリさんの試験時間は60分でした。もちろん、トラブルでそれ以上に伸びることはありえますが……私、60分間ずっと聴いて、試験が終わったアナウンスも確認したんです。した筈なんですけど……」
    「それから少し経った後、試験の開始を伝えるアナウンスがもう一回流れたそうです。不思議なことに、カガリさんはそれに違和感を覚えず、再び試験を受け直し……コタマさんも、何ら疑問を持たないまま聴き続けていました。事態が発覚して、チーちゃんがコタマさんを正気付かせたのが、21時過ぎ。つい先ほどのことです」
    ”……それが『時間が止まった』ってことなんだね”
    「3時間聴いていても全く苦にならない声を持つカガリさんにも責任の一端があると思います」
    "カガリって、勉強中に喋ったりしないタイプじゃ?"
    「……肉声だけが人間の声ではありません! これは先生にもいずれ分かってほしいです」
    "ええ……"

  • 170幕間 ◆IEd0n050V224/03/27(水) 00:47:44

    "ところで、ヴェリタスのみんなは? マキは向こうでゲーム開発部のみんなと遊んでるみたいだけど"
    「チーちゃんにはヴェリタスの部室で、カガリさんが提出した答案のバックアップデータを、会場の機材から取得できないか試してもらっています。時間が時間なので、セミナーの担当者は下校していますが……今回の件を判断するに当たって、正式な受験結果のために『1回目の答案』を求めてもおかしくありませんからね」
    「ハレさんは……作業が捗ってるみたいで、過集中に入ってて……話しかけてもあしらわれてしまいました。私の隣にいたせいで特異性が移ったのかどうかも、確かめようが無くて」
    "うーん、ハレらしいというか……"

  • 171幕間 ◆IEd0n050V224/03/27(水) 01:36:43

    "それにしても、今までにないくらい大ごとになったけど"
    「私の推測ですが、これは非常に稀なケースだと思います。エンジニア部のみなさんが教えてくださった『本人と周囲の記憶を曖昧にする作用』と、カガリさんの頭に強いストレスが掛かると特異性の影響も大きくなる検証結果を組み合わせると、今回の件も十分説明できるので」
    "そっか。……試験、プレッシャーだったのかな"
    "カガリさえ大丈夫なら次は付き添うようにするよ"
    「あ、いえ、試験が原因ではないかと。その……目処が付いています、エンジニア部のみなさんが先ほどから死んだ目でプレイしていらっしゃる、『テイルズ・サガ・クロニクル』というゲームが……」
    ”……やったんだね”

  • 172二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 10:24:51

    ……あれ?チヒロはどうやって気づいたんだろ

  • 173二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 19:33:43

    保守

  • 174二次元好きの匿名さん24/03/28(木) 07:21:10

    あれか…

  • 175二次元好きの匿名さん24/03/28(木) 18:11:02

    離れてると差に気付けるのかな?

  • 176佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/28(木) 19:00:01

    ──────────────────
    おっ、降ろしてくれませんか!!!?自分で走れますから!!!!
    「駄目です♪」
    なんでええええええ!!!!!!!

    今、僕はアカネさんの肩の上で担ぎ上げられている。背中側に頭が向いたせいで進んでる方向が全く見えなくて怖い。あと正面から見たらすごい姿になってる気がして恥ずかしい。
    後ろからは、メイド服の上からスカジャンというすごい服装の人(アカネさんが『リーダー』って呼んでた)が凄い形相で追従してきて、さらにその後ろからマキちゃんが投げてくるペイントボールを的確に撃ち落としながら、隙を縫って僕に問題を出してきていた。……その、こんな具合に。

    「カガリ!!!お父さんが嫌がるフルーツって何だ!!?!?」
    え、えっ? えーっと……パパイヤ、ですか?
    「ああ!!!多分な!!!!!」

    ……ずっと意味がわからない!!!! 言ってるリーダーさんも、さっきからヤケみたいな、納得できないことを嚙み殺してるみたいな表情だし……

  • 177幕間 ◆IEd0n050V224/03/28(木) 19:11:38

    ──────────────────
    「先生をお呼びしたのは、作戦立案のためです。先ほどエイミに頼んで、何度か正面からアプローチしてもらったのですが……カガリさんと会話を交わしたり、視線が合ったりした瞬間、なぜか納得して戻ってきてしまうといった具合で」
    "あのエイミが!?"
    「面目ない。『今は試験の途中』っていう空気に当てられると、足が引き返しちゃって」
    "うーん……"
    「お伝えした通り、カガリさんにストレスが掛かるほど特異性の影響は強くなります。万が一の事態に備え、会場近くの屋上でC&Cのみなさんに待機していただき、いつでも突撃作戦は取れるようにしているのですが……」
    「カガリ、『人に迷惑を掛けた』って感じるのは苦手だと思う。一番大きいストレスになるかも」
    「……とまあ、こういう事情で。まったく、エイミも言うようになりましたね」
    「部長だって似たようなこと考えてたでしょ」
    「それはそうですが!私よりも気に掛けているみたいで少しびっくりしたんです!」

  • 178幕間 ◆IEd0n050V224/03/28(木) 19:25:45

    「――こほん。というわけなのですが。これからどのように動きましょうか」
    "一つ思い付いたけど、こんなので大丈夫かな……"
    「是非お願いします、そのためにお呼びしたので。ビッグシスターほどではありませんが、私も頭が硬いところはありますからね」
    "軽く話しかけたら流されて駄目、かと言って緊張した雰囲気で行くと怖がらせるから駄目……"
    "つまり、『派手にバカバカしく』するなら、その両方を回避できるんじゃない?"
    "例えば、サボテンのコスプレをした私が、マラカスを振りながら入っていくとか"
    「……先生、最近ちゃんと寝てる?」
    "昨日は3時間しか寝てないよ。さすがエイミ、観察力が高い!"
    「そっか。……どうするの?部長」
    「私はそれほど悪くない案だと思いました。その方向で考えてみましょう」

  • 179二次元好きの匿名さん24/03/28(木) 20:36:09

    先生……

  • 180佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/28(木) 21:22:08

    ──────────────────
    不思議な追いかけっこを続けて、階段で4階まで降りてすぐ。依然として後ろ向きに運ばれている僕は、気が付くと扉をくぐってまた別の部屋に入っていて、4つ並んだ椅子のうち1つに座っていた。というか、アカネさんが肩から僕を降ろす時に座らせたのである。

    「お疲れ様です。ここで少し休憩を挟みます」
    休憩……休憩?どういう休憩ですか??
    「うふふ……まあまあ、流れに身を任せるのもまた一興ですよ」
    一興ってなんですか!!?

    駄目だ、これ以上は意味深な微笑みしか返してくれない。美人さんってこういう時ずるい。
    ま、まあ……休憩、なのか。やけにがらんとしている部屋を見渡す。ふと、向かって左側にある薄いテレビに、何か文章が映し出された。
    ……『鳥のものまねルーム』? って何?

    「悪ぃ、遅れた。縦積みの荷物崩しちまって」
    「"ダブルオー"でも凡ミスすることってあるんだね~」
    「うっせえ!!私らは細かいことまで専門じゃねえんだ!!!」

    マキちゃんとリーダーさんが、軽口を叩き叩かれながら入ってくる。……さ、さっきまで撃ち合いしてなかったっけ? と思ったのも束の間、並んだ椅子の残り2つに座ってしまった。

    『ここは鳥のものまねルームです。1番のアカネさん、『ヒヨコ』のものまねをしてください』
    「はい。ぴよぴよ~……これで大丈夫でしょうか?」
    『合格です。2番のカガリさん、『カラス』のものまねをしてください』

    ……はい?????

  • 181幕間 ◆IEd0n050V224/03/28(木) 21:23:34

    ──────────────────
    "モモイ、ちょっといいかな"
    「あ、先生。いいよ、どうしたの?」
    "シナリオライターとしてのモモイ先生に見解を伺いたいんだけど"
    "『試験会場にいるカガリが、今から誘拐される』っていうシチュエーションを元ネタにゲームのシナリオを書くとしたら、どんなのが出来上がる?"
    「し、シナリオ?カガリ先輩が誘拐?」
    "うん。即席でいいから、考えてみてほしい"
    「えー、そうだなあ。……とりあえず窓ガラスを割って突入するシーンは欲しいかも!王道だよね」
    "最高だね。他には?"

    「シナリオライターって……さっきのゲームのあらすじを作ったってことだよね。大丈夫なのかな」
    「毒を以って毒を制す、ということなのでしょうか。カガリさんを今の状態にしたのは『テイルズ・サガ・クロニクル』なのですから、元の状態へ戻すために同等以上のエネルギーを要するということは、それほど直感に反していないように思います」
    「本当にそう思う?」
    「ええ、思いますよ。私の予想を飛び越えてくるものは、常に私の歓迎するところです」

  • 182佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/29(金) 04:49:29

    ──────────────────

    リーダーさん(名前はネルさんと言うらしい)がしていた、ハトのものまねが可愛かった。……強めに『忘れろ』と言われたので、思い描くのは今ので最後にしようと思う。

    今はアカネさんとネルさんと一緒に歩いている。そう、もはや歩いている。マキちゃんはペリカンのものまねが出来なかったからまだあの部屋を出られていない。意味がわからなくても、とにかくそういうことらしい。

    僕の試験はどうなったんだろう……で、でも、確かメイド部はセミナー直下の部活って話だよね? じゃあ、悪意を持って僕の試験を邪魔することは無いんじゃないか、と思うわけで。悪意じゃないなら、一体これはなんなんだろうというのが、更に気になってくるわけで……


    「あ、次が最後になるそうです。もう少しですね、カガリさん」


    アカネさんがまたも片耳のイヤホンを抑えながらそう言った。どこかから指示を受けてるんだろうか。エージェントっぽくてかっこいいな。


    「……その、さっき、怖がらせたか?」

    こわが……ど、どうだろう。びっくりはしましたけど。

    「悪かった。そこそこ任務こなしてきたつもりだったけど、こういう類のは初めてで、加減がわかんねえ」

    や、その、ネルさんが気にするようなことでは……


    ……僕、気を遣わせてしまうタイプなんだろうか……?


    アカネ、ネルとの好感度を決定し、それを元に次の展開を考えてみます

    (左がカガリから、右が相手から 何も補正付けないとすごいことになりそうですがこのまま行ってみましょう)


    アカネ dice2d100=6 29 (35)

    ネル dice2d100=1 90 (91)

  • 183佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/29(金) 04:50:34

    (……頑張って考えます……あとそろそろ新スレが立つと思います……)

  • 184二次元好きの匿名さん24/03/29(金) 10:19:21

    ネルカガ尊……(幻視

  • 185二次元好きの匿名さん24/03/29(金) 20:21:17

    カガリちゃんひっく
    びびってんのかな

  • 186二次元好きの匿名さん24/03/30(土) 00:18:57

    まあうん……
    今までのイメージからするとそりゃね……

  • 187佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/30(土) 01:35:27

    「なあ、ゲーム開発部入るんだろ?たまに部室まで遊びに行っていいか?」
    え゛。……ち、違うんです、さっき言ったのは誘われたってだけで、まだどうするかは……
    「なんだ、決まってなかったのか。別に良いと思うけどな」
    まだ早いんです!!!あの子たちと接点無いし、ゲームのことも何もわからないし……というか、試験もまだ終わってないし……!
    「あー、そうだったか? ま、心配しすぎるなよ。あたしは応援してるから」


    な、なんでこんなにぐいぐい来るの……??さっき会ったばっかりだよね……????

    「リーダー。一応任務の途中なので、雑談は終わった後の方が良いかと」
    「……任務っつってもよお、さっきからどれもこれも滅茶苦茶じゃねえか。全く、先生も変なこと考えるよな……」
    先生、って……これ先生の発案なんですか?
    「…………♪」

    また微笑まれたー!!! 僕、こうやって物腰柔らかだけどちょっと容赦ない感じの人、昔からちょっと怖いんだよな……


    (ネルさんは天童アリスから度々カガリについての話を聞いて興味を持っていた上で、概ね真っ直ぐとも言える素行を良く評価していて、それに加えて実物の振る舞いがちょうどよく自分の姉御肌的部分に刺さった結果、わりと気に入ったみたいです カガリは自分が気に入られてるっぽい理由が一切ピンと来なくて怯えてる様子)

    (一方アカネさんは、自身の持つ特性に対してかなり受動的なメンタルを持つカガリの危うさを少し警戒しつつ、ネルさんがカガリ寄りの立場を取っているのに対してバランスを取るべくシビアな考え方を持っている感じ カガリはなまじ交渉が高いおかげでこれがただの微笑みでないことも分かってしまい、それと過去の経験が合わさってビビってるらしい)

  • 188佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/30(土) 02:03:44

    「……はい、ここが最後の目的地です。ここからはカガリさん1人で……あら? 1人じゃなくても大丈夫みたいですね。なら、折角ですし一緒に入りましょうか」
    「うん? なんかあるのか?」

    なぜ1人で入らされそうになったのか、何がどうして大丈夫なのか一切わからないけど、僕もそろそろ不条理を受け入れ始めていた。珍しく両開きの扉を開けて部屋に入る。……なんか、妙に暗いな。
    薄暗がりの中、奥の方で強い明かりが照っている。そこの地面は少し高くなっていて、何かの舞台が始まるみたいだった。観客席と言うべき椅子も並んでいて、そこが目的地らしかったので向かってみる。
    端のほうに誰か座って……ユズちゃん? と、その隣に……な、なにあれ、サボテン? の、ぬいぐるみ?

    "あ、カガリ。こんばんは"
    ……先生……???? な、なんですかその恰好。ハロウィンですか。
    ”サボテンだよ、見ての通り。私は例え話のつもりだったんだけど、モモイがね……”
    は、はあ……

    ユズちゃんはサボテン先生にぴったりくっついていた。一瞬だけ視線が合って、すぐ逸らされたので、観念して僕も席に着く。……ネルさんとアカネさんもそれに続いて、10秒ほど経った時。

    「さっきぶりですね、カガリ!」

    天童アリスの先導で、モモイちゃんとミドリちゃん、そしてマキちゃんが横1列に並んだ。……これは、どういう組み合わせなんだろう。

    「聴いてください。『わたしたちのクエスト』!」

  • 189佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/03/30(土) 02:05:15
  • 190二次元好きの匿名さん24/03/30(土) 09:47:35

    おつうめ

オススメ

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