ウララ、高校生になってわかっちゃった

1わからない方が、良かったのかも24/03/11(月) 21:34:04

わあっ……トレーナー、見て……綺麗……
うん、観覧車に乗ろうって誘ったのはこの景色を一緒に見たかったから。
(……こんなにも、美しく見えるのはきっとトレーナーと一緒だから……
……でも……この幸せも仮初めのものでしかなくて)

…………ねえ、トレーナー。わたしね、今日のことずっと忘れないよ。
いくつになっても思い出した時、きっと来て良かったって。そう思い返して。
そうして貴方と一緒に居れた事も、幸せだったって。そう、思い返して……思い、返して……ううっ……ぐすっ……ひっく……

すんっ……大丈夫……大丈夫、だから……
やめて……これ以上わたしに優しくしないで……それ以上されたら、わたし……！！

分かってる、分かってるの……
トレーナーがわたしのこと、女の子として見てくれたことは結局一度も……無かったんだって。
あははっ……分かってたのに。諦めきれなくて……ちょっとだけでいいから振り向いて貰いたくて。こうして、貴方と二人きりで居ようとして……っ……分かって、たのに……

……わたしね、頑張っておめかしもしたんだよ？周りの子にお化粧とか教えて貰って。お洋服も可愛く見せたいからって、こだわって探してみたり……
どんなアプローチも貴方には全部無駄だったのに。

前に、見ちゃったんだ。街中で貴方とキスをする女の人を。
……あんな人。ぐちゃぐちゃに潰れて、消えて居なくなってしまえばいいのにって思っちゃった。今までのわたしじゃないナニカが心の底から溢れてくる感じがした。とても、許せない光景だった。
皆を唆してトレーナーの前から排除してもらおうか、なんて本気で考えたこともあったんだよ？
……できなかったけどね。わたしにとってはどれだけ憎い人でも、貴方にとっての幸せは……やっぱり、奪えなかったから……

(どんなに楽しく過ごしていても、それが終わってしまう瞬間はもう分かっていて。
終わるのが嫌だ嫌だって思っていても、ただ楽しかった時間との別れを待つしかない……
この観覧車ももうすぐ降りなきゃいけない。この人と居られる日々も、もうあと少しで終わっちゃうんだ)

うぁぁぁぁ…………やだ……やだよぉ……初めて、こんなにも好きになった人なのに……
こんなにさ……近くにいるのに……どうして……届かないのかなぁ……？