- 1二次元好きの匿名さん24/03/14(木) 22:42:02
- 2二次元好きの匿名さん24/03/14(木) 22:43:44
カチドキは今年の春にネオサイタマ大学に進学を果たしたニューピー・学生だ。両親からカチグミになることを期待されて、自身のお守りであるザゼンドリンクを片手に必死に勉強を積み重ねた。そうした彼は進学を果たしただけでは慢心せずに、まずは自身の入るべきサークルを探すことから始めた。
「いいかいソウジ。世の中はコネが大切だ。カチグミになりたかったらまず大学のうちからカチグミの人間に近づいておくんだ」
そう言った顔に隈を浮かべて疲れた顔をしている父親のアドバイスに従ってサークル探しを始めた彼はあからさまに羽振りのいい先輩が在籍するサークルに入ることを決めたそうしてまず初めに連れてこられたのが新歓パーティー会場である「バリピ・クラブ」だ
クラブの各所に設置されたディフューザーから怪しげなミストが漂う中カチドキは目の前に置かれたドリンクを振るえる両手で持ったまま凝視する。
「バリバリタノシイ」と呼ばれたそれはバリキドリンクとタノシイドリンクとZBRドリンクを混ぜ合わせたカクテルというク ソを下水で煮込んだようなジゴクめいたドリンクだコワイ! - 3二次元好きの匿名さん24/03/14(木) 22:49:56
「イッキ!イッキ!イッキ!イッキ!」
周囲の人間はイッキというコールを繰り返し続けている。これは日本の飲み会などで行われる定番のイケニエのコールだこのコールに答えないものはアトモスフィアの読めない者として強制的にムラハチにされる恐ろしいコールである。そうなればカチグミになど到底なれないであろう!
しかし、目の前のドリンクを一気飲みなどすれば急性バリキ、タノシイ、ZBR中毒を引き起こし今後一生それらと向かい合わなくてはならない!まさに前門のタイガー、後門のバッファロー!
そうして覚悟の決められないカチドキの様子にニヤニヤと下卑た笑いを浮かべたサークルの主催者は、
「あれ~?どうしたのカチドキ=サン?早く飲まないとムラハチだよ?いいの?」
とカチドキをさらに追い詰める言葉を発する!ナムサン!このままカチドキは人生を転落するのか! - 4二次元好きの匿名さん24/03/14(木) 22:51:21
も、もう飲み干すしかない!だけど…ザ、ザゼンドリンクで効果を打ち消せないかな…足りなかったら新発売のニュウメツドリンクも使う!)
おおブッダ!そんなことをすれば「ハヤイタマ効果」で彼はおそらくトリップしたまま心臓が止まるだろう!そんなことにすら気が付かないほどヤバレカバレな覚悟を決めたカチドキはドリンクに口をつける!
その時、クラブの入り口のドアが乱暴に開け放たれた!現れたのは赤黒の装束をまとい「忍」「殺」と書かれたジゴクめいたメンポを付けた男…ニンジャだ!
「アイエエエ!」「ニンジャ!?」「ニンジャナンデ!?」
周囲の騒いでいた人間はNRSを起こすと一斉に現れたニンジャから逃げ出し距離をとった。モーセの海割りのごとく空いた人の間を堂々と進む赤黒のニンジャはサークルの主催者の目の前まで来るとそこで足を止めてアイサツした。 - 5二次元好きの匿名さん24/03/14(木) 22:54:11
「ドーモ、ニンジャスレイヤーです」
(アイエエエ…ニンジャ!?ニンジャナンデ!?)
周囲の人間と同じくNRSを発症させたカチドキは事態の急変についていけず逃げ出すこともできずただソファーの上で固まるばかりである。
そんなカチドキを余所にサークルの主催者はおもむろに立ち上がるとアイサツを返した
「ドーモ。ニンジャスレイヤー=サン。オーバードーズです。」
カチドキが思わずオーバードーズと名乗ったサークル主催者を見上げるといつの間にかニンジャ装束とメンポをつけているではないか!何ということだ!サークル主催者はニンジャだったのである!
彼は彼が支配するサークルに入ってきた哀れなニュービー学生を破滅させ人生のどん底に突き落とすことを楽しむ邪悪なニンジャであった! - 6二次元好きの匿名さん24/03/14(木) 22:57:06
「お前の周囲の人間が突然消え帰ってこないと最近噂になっている」
ニンジャスレイヤーは低く言った。
「へぇ~…それで?わざわざ来たってことはそれ以外も調べてるってこと?」
「そうだ。お前が以前に使ったクラブで起きた客同士の凄惨な殺し合いと遺体から検出された摂取量に対して異常な薬物反応、それと、一部始終を目撃して逃げ出した人間もな」
「…へぇ~…逃げた奴がいるなんて詰めが甘かったかな」
オーバードーズは怠そうな態度をとりながらもその実、剣呑な気配を漂わせニンジャスレイヤーを睨みつける。そして周囲を見渡す。ニンジャスレイヤーが現れてからクラブの客は入り口から逃げだし閑散としている。中にいるのはニンジャスレイヤーとオーバードーズ、そして腰を抜かし逃げる機会を失ったカチドキと薬物中毒でトリップしそもそもニンジャに気づいていない者だ
「あ~あ、新歓が台無しだよどうしてくれんのこれ?」
「こんなクソッタレなパーティはお開きだ。おれが貴様を殺して永遠にな」
「やってみなよできるもんならなぁ!」 - 7二次元好きの匿名さん24/03/14(木) 23:03:17
オーバードーズがボクシングの構えで素早く距離をつめると右手を突き出し殴りかかる!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはそれを半身だけで躱すとカウンターのパンチでオーバードーズを殴りつけた!「イヤーッ!」「グワーッ!」
たたらを踏むオーバードーズ!しかし素早く体勢を立て直すと今度は連続して高速のジャブを連発する!
「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」
ニンジャスレイヤーはそれらを手で逸らし、あるいは身体を巧みに動かして躱し次々に捌くとジャブの合間にある一瞬のスキをついてカウンターのパンチ!「イヤーッ!」「グワーッ!」
またも殴られ顔面から血を流しながらたたらを踏むオーバードーズ!
「なかなかやるね…!ならこいつはどうかな!」
オーバードーズの目が怪しく光る!すると彼の肉体が盛り上がり荒縄めいた筋肉が脈動する!その姿はまさにマッスルダルマだ!
「どーよこれが俺の薬物の効果を増幅するジツ!チャンコやステロイドなんかを使えばこうして肉体を強化できる!さらにそれは他人にだって使えるんだぜ?こんなふうになぁ!」
オーバードーズが再び目を光らせる!すると薬物中毒の客が次々に立ち上がりゾンビ―めいた理性の光のない目を血走らせニンジャスレイヤーに襲いかかる!
「アバー」「アバー」「アバー」「アバー」
ニンジャスレイヤーは咄嗟にジャンキーゾンビーの攻撃を避ける!KRAAASH!ゾンビ―の攻撃を受けた机がマストドンに踏まれたように粉砕される!薬物で凶暴性を高められ肉体のリミッターを外されたパワーを発揮したのだ!もちろんそんなことをすればゾンビ―の肉体は破壊される!机を破砕した右腕はともに粉砕されていた! - 8二次元好きの匿名さん24/03/14(木) 23:05:39
ニンジャスレイヤーは舌打ちして跳躍すると天井を蹴りゾンビ―の頭上を通り抜けて一気にオーバードーズに迫り頭部に跳び蹴りを仕掛けた!「イヤーッ!」
だがその跳び蹴りはオーバードーズの体格からは想像できないほどの素早さと見た目通りのパワーで受け止められる!反撃を警戒して蹴った反動で後方へと飛んだニンジャスレイヤー。着地したと同時にゾンビ―達を引きつぶしながら迫り来るオーバードーズのタックルを避けようと動きだす、しかしその身体が一瞬硬直する!その一瞬がイクサでは命とりだ!
「イヤーッ!「グワーッ!」
避けきれずにタックルを受けたニンジャスレイヤーは吹き飛ばされ壁にたたきつけられた!かろうじて受け身は取ったもののそれも一瞬反応が遅れて衝撃を逃がしきれなかった!血反吐を吐くニンジャスレイヤー!
「ここはさぁ俺のテリトリーなんだよわかる?フーリンカザンは俺にあるってわけ。わかる?」
「さっきからここを漂っているミストか」
「ご名答。乗り込んできてわざわざ俺のジツにはまるとかダッサイよね」
勝ち誇った笑みを浮かべるオーバードーズ!
なんたるウカツ!ディフーザーでクラブを漂っているこのミストの正体は濃縮された「バリバリタノシイ」だったのだ!クラブに漂うそのミストを吸引したニンジャスレイヤーはジツによりその身体の動きをわずかに阻害されていた!平安時代の剣豪ミヤモト・マサシがこの光景を見ればこういうだろう!「モスキート・ダイビング・トゥ・ベイルファイア」と! - 9二次元好きの匿名さん24/03/14(木) 23:16:45
「アイエエエ…!」
その凄まじい戦いを部屋の隅っこへと逃げ出し失禁しながら震えて眺めていた。ニンジャ同士のイクサというまるでトリップしたかのような現実味のない光景。彼の恐怖と困惑は最高潮に達し急性ニンジャリアリティショックと合わせて気絶寸前だ!その時、慌てて逃げた際にカバンからドリンクの缶が落ちた。彼のお守りザゼンドリンクだ。彼はいつも勉強の前にこれを用法容量を守り一本飲むことで集中して勉学に励んでいた。
「そうだ…これは夢だ!幻覚だ!ザゼンを飲んで落ち着こう…」
カチドキは半ば現実逃避めいて縋るようにザゼンドリンクをイッキ飲みした!
「ふう…すごく落ち着いた…」
その落ち着いた彼の目の前では相も変わらずニンジャスレイヤーとオーバードーズの戦いが繰り広げられている!オーバードーズがやや優勢だ!
「アイエエエ…!夢じゃなかった!」
「あれぇ?カチドキ=サンそんなの持ち込んでたの?冷めるなぁ…まあいいや、どうせ目撃者は全員殺して証拠隠滅するんだし今のうちに最後のソレ楽しんでおきなよ」
オーバードーズの殺意がカチドキを射抜く!再び恐怖がぶり返すが直前のザゼンのおかげか先ほどまでよりは落ち着いた思考であった。 - 10二次元好きの匿名さん24/03/14(木) 23:18:15
「どうする!どうする!どうする!このままじゃ殺されちゃう!落ち着け、落ち着け、助かるには一か八かあのニンジャスレイヤー=サンとかいうのに勝ってもらうしかない!えーと、確かオーバードーズ=サンが言ってた言葉…!」
カチドキはカバンを探る。その中には新発売のニュウメツドリンク!ザゼンよりも実際効果が高いと宣伝されていたかなり安全性が怪しいドリンクだ!そしてその視線の先には「バリバリタノシイ」の煙を吐き出すディフューザー!カチドキは「バリバリタノシイ」とザゼンドリンクの相乗効果かオーバードーズのジツの効果もあって恐怖がマヒしているのか、覚悟を決めるとディフューザーに向けて走り出した!
一方、ニンジャスレイヤーは攻めあぐねていた。ジツの効果で身体の動きを阻害されているのもあるが四方を敵に囲まれたうえでさらにオーバードーズの肉体強化によるパワーとスピードそして屋内という狭いフィールドがすべて不利に働いている。
オーバードーズのラリアット!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはブリッジで回避!そこにゾンビ―が迫る!「アバー!」地面に両手をついてバク転!着地!そのままゾンビ―達の足にスリケンを投擲!足を破壊されるも痛みを感じないのか動きを止めないゾンビ―!だが機動力は落ちた!「イヤーッ!」再び迫り来るオーバードーズ!その攻撃を一瞬早く身体を動かすことを意識して側転でなんとかかわすとオーバードーズにスリケンを6枚投擲!「イヤーッ!」オーバードーズは腕を振り払ってスリケンを弾き飛ばす!
ニンジャスレイヤーはバク転しながらスリケンを12枚投擲!「イヤーッ!」オーバードーズは腕を振り払ってスリケンを弾き飛ばす!ニンジャスレイヤーは再びバク転しながらスリケンを24枚投擲!「イヤーッ!」オーバードーズは腕を振り払ってスリケンを弾き飛ばす!ニンジャスレイヤーは48枚投擲!オーバードーズは腕を振り払ってスリケンを弾き飛ばす!その身体にいくつかスリケンが刺さる!ニンジャスレイヤーは三度バク転しながらスリケンを96枚投擲!「イヤーッ!」オーバードーズは腕を振り払ってスリケンを弾き飛ばす!その身体にいくつかスリケンが刺さる! - 11二次元好きの匿名さん24/03/14(木) 23:19:31
「ははは、どうしたどうした!逃げながらスリケン投げるだけじゃ俺は倒せないよ?」
実際、スリケンはかすり傷程度しか負わせられておらずまるでこたえた様子はない!不自然なまでにバンプされた肉体の前にはその程度はモスキートの一刺し程度なのだ!
「そうでもないぞ」
「あ?」
「だいたいわかった」
ニンジャスレイヤーはそう言いながらスリケンを192枚投擲!「イヤーッ!」オーバードーズは腕を振り払ってスリケンを弾き飛ばす!その身体にいくつかスリケンが刺さる!「グワーッ!?」これはいったいどうしたというのだろうか!ニンジャスレイヤーの放ったスリケンは先ほどまでよりオーバードーズに効果があるではないか!?
「ああっ!?なんで!?」
オーバードーズの余裕が初めて崩れる!そしてそのニンジャ嗅覚はミストから漂う匂いに別のものが漂っていることに交じっていることに気が付いた!ディフューザーを見るとそこにはハヤイタマ効果で朦朧としながらもディフューザーにニュウメツドリンクをセットしているカチドキの姿!そのミストを吸った中毒者たちも一気に沈静化して糸が切れたジョルリ人形めいて倒れる! - 12二次元好きの匿名さん24/03/14(木) 23:20:59
「てめえっ!余計なことしやがって!」
激昂したオーバードーズがそこら辺に転がっているテーブルをカチドキに向かって投げつけた!ナムアミダブツ!直撃すればカチドキの身体は粉々に粉砕されるだろう!その時、投げつけられたテーブルよりも早く赤黒の鉤縄がカチドキの身体に素早く巻き付くとカチドキを引っ張りその命を救った!ニンジャスレイヤーはそのままカチドキを抱えるとオーバードーズから離れた場所に気絶したカチドキを横たえる。
「悪いが一つ貰っていくぞ」
ニンジャスレイヤーはカチドキのカバンからニュウメツドリンクを素早く抜き取るとオーバードーズに突進!
「調子に乗んじゃねえっ!」
オーバードーズの恐ろしいほど素早い右ストレート!ニンジャスレイヤーはそれを潜り抜けるとオーバードーズの身体に拳を叩き込んだ!しかしバンプアップされた身体には大したダメージはない!しかし殴り抜けた際に何らかの液体がオーバードーズに降りかかった!先ほど抜き取ったニュウメツドリンクだ!それは先ほどのスリケンの傷からオーバードーズの身体にしみこんでいく!
見る見るうちに動きを鈍らせていくオーバードーズ!自らのジツがその効果を倍にしているのだ!ハヤイタマ効果により彼のニューロンは危険な状態へ強制トリップさせられていく!たまらずジツを解除するオーバードーズ!しかし解除すればそこにはカラテでニンジャスレイヤーには遠く及ばないただのサンシタニンジャがいるだけだ! - 13二次元好きの匿名さん24/03/14(木) 23:27:04
「イヤーッ!」「グワーッ!」
ニンジャスレイヤーの飛び蹴りがオーバードーズの頭をもぎ取り空中へと跳ね上げられる!
「サヨナラ!」
オーバードーズの胴体が爆発四散した!
カチドキが目覚めるとすでにニンジャスレイヤーの姿はそこにはなかった。中にはマッポが突入しておりカチドキは彼らに助けられて事情聴取を受けた後解放された。
しかし、このような事件に巻き込まれた後でカチドキに関わろうとするものはあまりいないだろうカチグミコースからは完全に外れてしまった
数か月後、カチドキは大学の研究室で忙しく資料を探し回っていた。カチグミコースからは外れてしまったがあんな目に合うくらいならそんなものはこりごりであった。その代わりやりたいことを見つけた。急性ニンジャリアリティショックとハヤイタマ効果によるトリップでおぼろげにしか覚えていないが自分はニンジャに襲われてニンジャに助けられた。彼のニューロンにはニンジャが刻まれていた。そしてニンジャについて知りたくなった。だから世間では笑いものにされているこのニンジャの研究室に入ることを決めた。それは彼が初めて誰にも左右されぬ自らの意志で自分の進路を決断した瞬間であった。
「さて今日もカンバルゾー!」
その手にはザゼンドリンクが握られていた - 14二次元好きの匿名さん24/03/14(木) 23:32:22
急に野生のボンド&モーゼスが生えたのでびっくりしている
オツカレサマドスエ! - 15二次元好きの匿名さん24/03/14(木) 23:32:38
これで終わりですありがとうございました。
唐突に忍殺を書いてみたくなった… - 16二次元好きの匿名さん24/03/14(木) 23:32:44
まさか忍殺SSとは思わんかった
だいたいわかったって言ってるしこのニンジャスレイヤーはマスラダの方か - 17二次元好きの匿名さん24/03/14(木) 23:45:04
そうっすねスリケン乱打はマスラダっぽくなかったかも?
- 18二次元好きの匿名さん24/03/15(金) 00:07:54
ちなみにアッパー系の薬物とダウナー系の薬物を混合したモノはスピードボールと言って実際危険心臓発作を起こし止まる
有名なのはヘロインとコカイン
カフェインとアルコールとかも軽めだけどそれなのでやってはいけない。いいね?