【SS】マチカネタンホイザと♀トレ

  • 1二次元好きの匿名さん22/01/22(土) 02:40:15

    「えへへ、トレーナーさん。いつもありがとっ!」
    その日の練習終わり。
    我が愛しの担当ウマ娘・マチカネタンホイザより差し出された小包を見て、私は初めて今日がクリスマスであることを思い出した。
    「わ、わぁ〜、ありがと〜」
    マズイ。ヤバイ。
    何も用意してない。
    なんで忘れてた?最近の記憶……ダメだ書類片付けて酒飲んで吐いたことしか覚えてない。
    「……えっとね、その……」
    口籠もる私を見て、タンホイザの表情が僅かに曇る。クソ、やはり忘れてましたとは言えない、何か……!
    そうだ!
    「そう、今年のプレゼントは……アタシ!」
    「……え?」
    「今年一年頑張ったからさ、アタシを一日好きにしていいってわけ、な、なんて……」
    ぽかんとした表情のまま固まるタンホイザに、私の言葉も止まる。
    ダメだドン引きしてんじゃん。あーあ、クズですカスですごめんなさい。素直に謝ります。
    「ごめ」
    「そ、それって!」
    謝罪に割り込んで、タンホイザはぐい!と詰め寄ってくる。可愛い。
    「そのっ! トレーナーさんをす、好きにしていい!ってこと⁉︎」
    「んん⁉︎ ま、まあそう……そう」
    「え、えへへぇ〜」
    妙にだらしない表情でにやにやするタンホイザ。
    「えと、じゃ、じゃあ7時に正門前集合で! お疲れ様でしたっ!」
    タンホイザは何故か慌てた様子で寮まで走っていく。
    「ご、ごまかせた……?」
    少しの罪悪感も感じながらも、私はほっと胸を撫で下ろした。

  • 2二次元好きの匿名さん22/01/22(土) 02:43:05

    >>1

    「しっかし、どうしたもんかなぁ……」

    白い息を夜空に吐き出し、今夜のことを考える。

    ちょうど給料日だから口座に金はある。服でも飯でもどんと来いだ。

    『好きにしていい』とは咄嗟に言ったことだが、タンホイザを労う為なら金など惜しまない。

    ……クリスマスのことは忘れてたけど。

    「お、お待たせ〜!」

    (アッッッ!)

    頬を赤くして現れたタンホイザは、ベージュのトレンチコートに赤いチェックの帽子。

    つまり可愛い。素材が良い。

    吊り上がる頬を無理やり押さえ込む。

    「でさ、どこ行くの?」

    「あぇ、え、えーと……そのっ!イ、イルミネーションっ!一緒に見たい、ですっ……」

    「……え?」

    「あ、あは、やっぱり、ダメですよねっ」

    「いや全然。え、マジでそんなんでいいの?」

    タンホイザとお出かけなんて、むしろこっちがお金払いたいくらいだが?

    「えへへぇ」

    こちらとは真逆に、タンホイザの方は目を輝かせて喜んでいた。

    ……ま、喜んでるならいいや。

    「じゃあ行こっか、と……」

    ふと、彼女の首が赤い事に気づいた。

    「ちょーっと失礼」

    「わふっ⁉︎」

    ふわふわの髪を持ち上げて、自分の首に巻いていたマフラーを巻いてやった。

    「よく風邪引くんだからさ、ちゃんと寒さ対策しなきゃダメよ?」

    「は、はわわ……ひゃい……」

    「ん、行こっか」

    何故か混乱しているタンホイザの冷たい手を握り、商店街の方へと歩いていく。

    握る時彼女の手が震えたのは、きっと寒いからだろう。

  • 3二次元好きの匿名さん22/01/22(土) 02:54:00

    >>2

    「トレーナーさん、寒くない?」

    「まあまあかな」

    嘘、寒い。タンホイザと一緒じゃなきゃとっくに帰ってる。

    隣のタンホイザを見ると、何故か目が合った。

    「イルミネーション見なくていいの?」

    「あぇ⁉︎ あ、あはは〜、そ、そうだね〜!」

    そう言うと慌てて視線を外すが、タンホイザはどこか表情が浮ついていて落ち着きがない。

    「ね、具合悪いんなら無理せず言いなよ? 欲しい物あるならいつでも買ってあげるからさ」

    ……どの口利いてんだ。今日がなんの日かも忘れてたくせに。

    己の口から出た言葉が心に刺さり、溜息が溢れる。

    「……! と、トレーナーさんっ!わたし、お腹空いたかも!」

    「お、何がいい?なんでも食わせちゃるぞ〜!」

    ようやく出てきた具体的なお願いに、自然とテンションも上がる。

    「あ、あのぉ、トレーナーさんのぉ……」

    「‼︎ タンホイザっ!」

    彼女の背後を見て、反射的に身体が動く。

    繋いでいた手を引っ張りタンホイザの腰を抱き寄せて一回転、お互いの位置を入れ替える。

    それと同時に、私たちの横を車が走り抜けて道路の水溜りを跳ね上げる。

    派手な音と共に、私の背中に水が降り注いだ。

  • 4二次元好きの匿名さん22/01/22(土) 02:54:49

    >>3

    「あわわ、トレーナーさっ」

    『大丈夫⁉︎ 濡れてない⁉︎』

    自分が濡れたことなどどうでもよかった。

    タンホイザの肩を掴み、彼女の無事を確かめる。

    「チッ、ナンバー覚えたからな……」

    「と、トレーナーさん……?」

    「ああ、私は大じょ、ぶぁっくしょ‼︎」

    くしゃみが飛び出る。

    「ごめ、ちょっと……お出かけ中止。流石に死ぬ」

    去ろうとする私の手を、タンホイザは離さない。

    「タンホイザ?」

    「すぐ暖まらないと風邪引いちゃいます、から!」

    タンホイザが指差したのは……ホテルだった。

    「いや、流石にマズいよ担当とホテルは!」

    「なんでも言うこと聞くって言いましたもん!」

    「いやまあそうだけど……ちょ、ちょっと!」

    タンホイザは無理やり私を引っ張っていく。それに抵抗できないのは……単に腕力の差があるからなのだろうか?

    それも分からないまま、私はタンホイザの進むままビジネスホテルの入り口をくぐった。

  • 5二次元好きの匿名さん22/01/22(土) 03:05:12

    >>4

    「何やってんだ、アタシ……」

    個室内の湯船に浸かりながら後悔しても、遅い。

    ……誰かに知られたら、タンホイザの経歴に傷が付くかもしれないのに。言うべきだったんだ。こんな日に誰かとホテルに泊まることの意味を。

    何故言えなかった?不潔だと思われたくなかった?

    私はタンホイザにどう思われていたいんだ?

    (……やめやめ)

    これ以上の思考を、脳が拒んだ。

    やっぱり早く出た方がいい、と思い立ち湯船から出る。素早く体を拭いて、脱衣所のカゴから服を……

    「あれ?」

    脱いだはずの服がない。

    「タンホイザ!アンタまさかっ」

    急いで扉を開けると、タンホイザは丁度部屋に戻ってきたところだった。

    「わわ、トレーナーさんっ!ふ、服着てくださいぃ〜!」

    「いやだから無いのよ服が!」

    「それなら、濡れてたから洗濯機に……あ!」

    服が乾くのを待てば寮の門限には間に合わない。タンホイザだけ帰らせるのもそれはそれでマズい。

    ……つまり、今日は二人でここに泊まるしかない。

    「……寒かったでしょ。お風呂入りなよ」

    〜⏰〜

    『ばばんば〜』

    浴室からタンホイザの声が聞こえる。

    (風呂入る時『ばばんば〜』って言うんだ……)

    可愛いな、なんて考えながら、バスローブを着た私はベッドに横たわる。

    途端、抑え込んでいた疲労が押し寄せてきた。

    (アタシ、ダメだな……)

    プレゼントもナシ、お出かけも中止。終いには安いホテルで一泊。結局何もしてあげられなかった。

    いつもコレだ。怠惰と小事に目が眩み、大切なものはいつも取りこぼす。自分のことしか見えてない。

    ……私に、あの子のトレーナーをする資格あるの?

    陰鬱な思考を拭えないまま、私の意識は闇に沈む。

  • 6二次元好きの匿名さん22/01/22(土) 04:49:28

    一応保守しておくか

  • 7二次元好きの匿名さん22/01/22(土) 04:56:30

    続きが気になる

  • 8二次元好きの匿名さん22/01/22(土) 04:56:51

  • 9二次元好きの匿名さん22/01/22(土) 04:57:02

  • 10二次元好きの匿名さん22/01/22(土) 04:57:13

  • 11二次元好きの匿名さん22/01/22(土) 12:16:46

    保守タイム

  • 12二次元好きの匿名さん22/01/22(土) 12:18:16

    マチトレ♀ありがとう~って伝えたくて~

  • 13二次元好きの匿名さん22/01/22(土) 18:06:03

    保守
    今夜また投稿します

  • 14二次元好きの匿名さん22/01/22(土) 23:16:22

    保守

  • 15二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 00:21:01

    あっちが3スレ目立ったので保守

  • 16二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 00:27:06

    >>15

    3つ目まで立ったんだ…

  • 17二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 00:29:08

    >>16

    不思議ですね〜、いつの間にか完走してたんですよ

  • 18二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 02:30:40

    >>5

    「っ……」

    マズい、寝過ぎた。反射的に身体を起こすと、

    「っぶへっ‼︎」

    後頭部が何かに衝突する。

    「うぇええええん‼︎」

    「タンホイザっ⁉︎ とりあえずっ、鼻血拭いて!」

    〜⏰〜

    「うぅ、ごめんなしゃい……」

    もはや定番と化したやり取りの3分後、ひとまず落ち着いたタンホイザ。

    「で、私が寝てる間に何してたん?」

    「え」

    「なんでホイザの顔とぶつかったのかなって」

    「あぅ、そ、そのっ! どうぞっ!」

    タンホイザは表情を引き締めて、膝を叩いた。

    「……なに?」

    「トレーナーさん、毎日頑張ってくれたから! ご、ご褒美の膝枕だよっ!」

    呆気に取られて言葉の出ない間に、タンホイザはもにょもにょしていく。

    「あれれ?おかしいなぁ、膝枕すると疲れが取れるよーってイクノから聞いたんだけど……」

    「いや、めっちゃ嬉しいんだけど……ごめん」

    私はタンホイザに背を向けて、再び横になった。

    「……アタシ、今日がクリスマスだってこと忘れてたのよ。あなたからプレゼント貰うまでね」

    「ぅえ?」

    「それで、出任せで『なんでもいうこと聞いてやる』なんて言ったの。けど、そんなことさえ満足にできなかった。自分で言ったことすら……」

    「だからさ、アタシにご褒美を受け取る資格なんて無いのよ。ごめんね」

    言ってしまった。言わなくてもいいことを。ただタンホイザを裏切るためだけの言葉を。自分が楽になりたいがために、嘘をつくことすら放棄してしまった。

    「トレーナーさん……」

    少しの沈黙。

    直後、背中に感じた重みと微かな熱で、タンホイザが背中に抱きついてきたのだと理解する。

    「トレーナーさん。私、トレーナーさんのこと大好きだよ」

  • 19二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 10:45:30

    保守

  • 20二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 17:51:21

    チャンミの合間に保守

  • 21二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 19:51:44

    ぜひ続けておくれ
    君だけが頼りなんだ

  • 22二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 23:30:51

    なあにゆっくりで良いんだ。オレハマッテルゼ

  • 23二次元好きの匿名さん22/01/24(月) 03:58:42

    保守しとこ

  • 24二次元好きの匿名さん22/01/24(月) 04:02:52

    ばばんば~

  • 25二次元好きの匿名さん22/01/24(月) 07:32:46

    朝保守

  • 26二次元好きの匿名さん22/01/24(月) 17:29:50

    >>18

    「……えぇ?」

    思わず振り向くと、顔を真っ赤にしたタンホイザに、無理やり抱き寄せられた。

    タンホイザのはだけた胸に頬が触れる。

    振り払おうとするが、ウマ娘の腕力に抗えるはずもない。

    「私、知ってたよ。トレーナーさんがクリスマスのこと忘れてたことくらい。だって顔すっごい引き攣ってたもん!」

    「……面目ない…………」

    「むぅ、今日は謝るの禁止っ!」

    タンホイザに強く抱きしめられる。

    「けど、いいんだよ。プレゼントなら毎日貰ってるから!」

    レース出たいって言ったらローテーション組んでくれて、前日に風邪引いても何も言わず看病してくれるし!

    朝練には毎回付き合ってくれて……たまに道端で気持ち悪そうにしてるけど。

    「あとっ、私の担当になってからタバコ辞めたとか! スーツ着るとカッコよくなるところ……とか、えへへ。今日もね、お返しなんか気にしなくていいのにお出かけしてくれて。だからね、私トレーナーさんのそういうところが大好きだよ」

    「タンホイザ…………」

    「トレーナーさんは、ダメなんかじゃないよっ!」

    思考が空白だった。

    この子の暖かさに、何を返せばいいのか分からなかった。どんな言葉も行動も薄っぺらくて、何一つとして形にならなくて、涙だけが流れてタンホイザの胸を濡らした。

    「…………そっか」

    「あのっ、そろそろ恥ずかしくなってきたから離してほしいんですけど……」

    私の腕はいつの間にか、タンホイザの腰に回されていた。

    「……悪いけど。今日はこのまま、お願い」

    「は、はわっ……」

    タンホイザがびくりと跳ねるのに構わず、胸の更に深い場所に顔を埋めて目を閉じた。

    「……うん。お疲れ様っ、トレーナーさん」

    タンホイザの温もりの中で、私は赤子のように安らかな眠りについた。

  • 27二次元好きの匿名さん22/01/24(月) 19:20:47

    保守

  • 28二次元好きの匿名さん22/01/24(月) 20:28:58

    マチタンっぱいに挟まれてえなあ俺もなあ

  • 29二次元好きの匿名さん22/01/24(月) 22:42:55

    続いてる!良いね!保守だ!

  • 30二次元好きの匿名さん22/01/25(火) 04:05:26

    保守

  • 31二次元好きの匿名さん22/01/25(火) 07:22:49

    保守

  • 32二次元好きの匿名さん22/01/25(火) 12:34:16

    兄貴応援保守

  • 33二次元好きの匿名さん22/01/25(火) 19:48:54

    保守

  • 34二次元好きの匿名さん22/01/26(水) 02:12:39

    オレハマッテルゼ

  • 35二次元好きの匿名さん22/01/26(水) 07:48:40

    保守

  • 36二次元好きの匿名さん22/01/26(水) 13:55:11

    保守

  • 37二次元好きの匿名さん22/01/26(水) 20:01:39

    保守

  • 38二次元好きの匿名さん22/01/26(水) 23:34:54

    兄貴もどってこねーのかな保守

  • 39二次元好きの匿名さん22/01/27(木) 03:24:43

    ウワーッ!いっぱい保守られてる!
    今日中に多分最後までいきます

  • 40二次元好きの匿名さん22/01/27(木) 07:31:39

    保守

  • 41二次元好きの匿名さん22/01/27(木) 14:47:18

    保守

  • 42二次元好きの匿名さん22/01/27(木) 21:19:32

    保守

  • 43二次元好きの匿名さん22/01/27(木) 23:04:01

    >>26

    夢を見ていた。

    トレーナーさんと出会った時の夢。

    「はぁっ……はっ……!」

    選抜レースで5着だった私は、その日も日が落ちるまで練習に明け暮れていた。

    もう周囲には誰もいない、薄暗い芝の上を走る。辛い。足が重い。

    だが耐える。私は普通だもん、何も持ってないんだからっ、せめて努力くらい……

    「ーーあっ」

    ふっ、と足から力が抜けて、盛大に地面に転がる。

    「……大丈夫?」

    気づくと、気怠げな目つきをした女性が自分を見下ろしていた。服装で彼女がトレーナーだと分かる。

    「あ、はいっ、大、丈夫ですっ……」

    急いで立ち上がろうとして、地についた手が滑ってまたうつ伏せの状態に戻る。

    「えへへ……」

    笑って失態を誤魔化そうとするが、トレーナーは無表情のまま私を見下ろすだけだった。

    「あ、あのぉ……」

    「あ、思い出したわ。あなたマチカネタンホイザね。選抜レースで5着だった」

    唐突に、彼女は私の隣に腰を下ろした。

    「あはは……お恥ずかしい」

    「恥ずかしい?5着が?」

    「だ、だって、私より速い子が4人居たってことだから……あぅ」

    犬みたいに頭を撫でられた。

    「真面目ねぇ。けど今日はもう止めとき?」

    「……でも、うえっ⁉︎」

    足を触られた、と思った時には靴を脱がされて、目の前に二つとも転がされる。

    「こんな靴で走ってたら死ぬわよ」

  • 44二次元好きの匿名さん22/01/27(木) 23:04:52

    >>43

    蹄鉄が割れていた。さっき転んだのも恐らくこれが原因だ。

    「ほら帰るよっ、と」

    「わわっーー」

    身体の下に手をねじ込まれ、持ち上げられる。お姫様抱っこというやつだ。

    「靴はアタシが直しといてあげるから。今日は飯食って風呂入って休みなよ」

    「あ、ありがとうございますっ……あはは」

    ……ダメだなぁ、私。

    自分の足で帰ることもできなくて。道具が壊れてるのにも気付かなくて。

    どこまでも空回りする。そんな自分が情けなくて、乾いた笑いが漏れ出る。

    「はぁ……タンホイザさん!」

    「は、はいっ!」

    「私、あなたのこと好きよ」

    「はいっ、え⁉︎」

    突然の告白のような発言に慌てる私を見て、彼女はニヤっと笑った。

    「あなたは努力なんて当たり前かもしれないけどさ、世の中にはね、努力すらもできないどうしようもないのが山程いるのよ」

    「?」

    いまいち伝わってない事を察して、トレーナーは恥ずかしそうにそっぽを向いた。

    「……まあつまり!努力ってのは凄いことで、それを超してるアンタは超偉いってこと!ほら、着いたよ」

    寮の前に到着すると、トレーナーは私の足を地面に降ろした。

    「じゃ、よく寝るのよ! 返事!」

    「は、はいっ!」

    「ん、よしよし……じゃあお休み」

    満足そうに私の頭を撫でると、トレーナーは去っていった。

    「……変な人」

    撫でた手から伝わった熱を確かめるように、頭を手に置いてみる。

    怖い目つき、ぶっきらぼうな態度、下手な言葉選び。

    それがどこか温かいのは、あの人が優しいからだろうか。ああいう人が応援してくれてるなら……まだ、頑張れるかも!

    「ふふ、明日から……また頑張るぞ〜っ!」

  • 45二次元好きの匿名さん22/01/28(金) 01:15:58

    >>44

    目が覚める。

    朝練のために午前5時には目が覚める体質は、クリスマスの翌日にも健在だ。

    トレーナーさんはまだ、私の胸の中で眠っていた。

    少し目の端が赤い。

    「ふふ、まつ毛長い」

    頬をつついてみても、呻くだけで起きる気配はない。

    「んう……タンホイザぁ……」

    (トレーナーさん、寝言で私の名前呼んでる……)

    何故か充足感を感じると共に、自然と昨夜のことが記憶に蘇ってきた。

    「……大好き、って、ちょっと大胆だったかなぁ」

    けど、いいよね。嘘じゃないんだから。

    私と同じくらい臆病で弱虫なのに、私の手を引っ張ってくれる、そんな人。

    もし私がもっと凄いウマ娘になれたらその時は、ちゃんと……貴女を私にください、って言おう。

    「トレーナーさんっ、大好きだよ。だから、明日も明後日も、ずっと先も。一緒に頑張ろうねっ」

    トレーナーさんの白い額にそっと、唇を当てる。

    「……えへへ」

    顔に熱が灯る。誰かに見られたわけでもないのに。


    そんな幸せな気持ちのまま目を閉じて、マチカネタンホイザは久しぶりの二度寝を堪能した。

  • 46二次元好きの匿名さん22/01/28(金) 01:17:20

    はーおしまい
    タンホイザをライス、トレーナーさんをお姉様に置き換えても成立する二度美味しいSSです

  • 47二次元好きの匿名さん22/01/28(金) 01:23:11

    >>46

    勝手ながら最後まで読みたいがために保守させてもらった。

    お疲れ様、いい話をありがとう。

  • 48二次元好きの匿名さん22/01/28(金) 01:25:46

    >>47

    保守&お付き合いいただき感謝

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