- 1二次元好きの匿名さん24/03/17(日) 20:20:33
- 2二次元好きの匿名さん24/03/17(日) 20:21:08
「おはようございますトレーナーさん!」
「おはようチヨノオー、今日も元気だね」
「はい!卒業まで後悔のない一日にしたいですから!」
「チヨノオーらしいね。きっと思い出も沢山できるさ! それじゃあまた後でな」
「あ…………」
私に背中を向けるトレーナーさんへ無意識に伸びた手。普段なんて事のない光景なのに…
(また心が痛む…どうして……?)
「ねぇ…この心のズキズキをどうすればいいのワンコオー…」
その日の夜、部屋にあるワンコオーを抱きしめながら私は答えが見つからないそれを考えながら一日が過ぎていきました。 - 3二次元好きの匿名さん24/03/17(日) 20:21:28
翌日、何気なく外を歩いていると何処からか声が。
「よし!この調子だ!」
「はいっ、よろしくお願いします!トレーナーさん!」
聞こえてきたのはウマ娘と担当トレーナーのやり取り。学園でなら何処へでも見られる光景。
(懐かしいなぁ…)
思い出すのは私とトレーナーさんとの思い出。レースの事、お出かけした事、普段の日々の事…たくさんの思い出ができました。
(これからも色んな思い出を…あれ? でも私はもうすぐ卒業して…)
そうでした。私はもう少しこの学園を卒業するんです。でもそれじゃあこれからの私の思い出にトレーナーさんは…………?
「あれ?どうしてですか?何で涙が…?止まらないの…?」
私が涙を拭いていると制服の袖にひらひらと舞い落ちた一枚の桜の花びら。見上げるとそこには一輪の桜の花が咲いていました。
「もう桜が…サクラが……きゃっ!?」
すると突然強い風が吹き抜けて… - 4二次元好きの匿名さん24/03/17(日) 20:21:43
桜…サクラが…
風に吹かれて…
散った…
まるで…
何かの…
別れを告げるように… - 5二次元好きの匿名さん24/03/17(日) 20:22:11
「———ッ!!!」
その瞬間私は駆け出していました。向かうはトレーナー室。風のように駆け抜けるように向かっていました。
部屋の前に着きドアの前で深呼吸。意を決してドアを開くといつものように仕事をしているトレーナーさん。
「ど、どうしたんだチヨノオー!?」
「トレーナーさん…あなたにとって私は…桜の花なのでしょうか?」
「桜の花?」
「あなたにとって私は…あの桜の様に散ってしまう存在なのですか…?」
「チヨノオー…?」
「答えてください! 私はもうすぐ卒業します…。永遠の別れなんかじゃない事は分かっています…でも!」
浮かび上がる涙を堪えて、湧き上がる感情を抑えながら私はトレーナーさんの方を向きなおります。
「離れたくない…離れたくないんです! 私はもっとトレーナーさんと一緒にいたい! だって私は……」 - 6二次元好きの匿名さん24/03/17(日) 20:22:47
「トレーナーさんの事が大好きなんです!」
「———!」 - 7二次元好きの匿名さん24/03/17(日) 20:23:05
「だから答えてください…トレーナーさんにとって私は…」
「落ち着いてチヨノオー」
私の両肩に手を置きながら私を落ち着かせるトレーナーさん。我に帰った私の顔を確かめて、窓の外へ視線を動かしました。
「そうか…もうそんな季節か…チヨノオー」
「は、はいっ!」
「俺はね、昔からこの季節の事が…いや、桜の花が好きなんだ」
「……へ?」
「小さい頃からお花見が楽しみでね、毎年毎年あの綺麗な花を見られるのが待ち遠しかった」
トレーナーさんの視線を追うとそこには桜の色…学園とは別のところにも桜の花が咲き始めていました。
「でもね、毎年楽しみにしていてもすぐに散ってしまう…やっと会えたのにまた来年。それまで待つのも嫌だった…」 - 8二次元好きの匿名さん24/03/17(日) 20:23:46
「でも…そんな事を思う必要もないって分かると凄く嬉しいんだ」
「え………?」
言葉の意味を必死に考えようとしている私にトレーナーさんは振り向きました。振り向いたその顔はいつも私に向けてくれる笑顔よりもずっと、幸せそうな笑顔で……
「だって、散る事のない…ずっと綺麗に咲き続ける"サクラ"の花がそばにいてくれるって分かったからさ」
「———ッ!?」
「だから、さっきの言葉の答えを…君に返すよ」
「君が好きだ、チヨノオー…これからも俺のそばにいて欲しい」
「ト…トレーナーさぁん…」
「だからチヨノオー…君の答えを…」
「そんなの…そんなのぉ…決まってるじゃないですか!」
溢れる嬉しさを抑えきれない…
でも伝えなきゃ、私の答えを…この想いを…
「ずっと…ずっと…一緒にいて下さい…そばにいてください…!」
そのまま勢いよく抱きついた私を優しく受け止め、頭を撫でてくれるトレーナーさん。私を受け入れてくれたトレーナーさんのためにも…綺麗に咲き誇る"サクラ"でありたいと、そう強く決心したのでした…… - 9二次元好きの匿名さん24/03/17(日) 20:24:06
春、それは始まりの季節
春、それは暖かな季節
春、それはサクラ咲く季節
トレセン学園のとあるトレーナー室、そこに私とトレーナーさんは机の書類と睨めっこしていました。
「お疲れ様ですトレーナーさん。こっちの資料はできましたよ」
「助かるなぁチヨノオー」
「えへへ♪」
あれから時は過ぎて学園を卒業した私は今、サブトレーナーを…トレーナーさんのお手伝いをしています。
ずっと一緒にいたいと告げたあの時からこの道へ進むと決めていました。
普段から寝る間を惜しんで働くトレーナーさんの助けになりたい…でもそれだけではありません。自分が周りより早く本格化を終えてしまい苦しんだ事…そんな中でも走り抜いた経験を活かしていきたい決心も一緒でした。
「そろそろあの子のレース本番ですね」
「チヨノオーのアドバイスもあったんだ、きっと勝てる。もし負けたとしてもきっとあの子は伸びるさ」
そんな話をしながらラジオを付けると… - 10二次元好きの匿名さん24/03/17(日) 20:24:29
『今年の桜の開花は例年よりかなり遅れるでしょう』
「お花見、今年は遅くなっちゃいますね…」
「通りで咲かないなぁと……でもそんな事関係ないか。な、チヨノオー?」
そんな事を呟きながらにこやかな笑顔で私の方を振り向くトレーナーさん。だから私も笑顔で返します。
「はいっ!大丈夫です!」
ええ、きっと大丈夫です。
だって… - 11二次元好きの匿名さん24/03/17(日) 20:24:52
例え桜が咲かなくても…
例え桜が散ろうとも…
貴方の"サクラ"はいつだって満開ですから! - 12二次元好きの匿名さん24/03/17(日) 20:25:43
3月は卒業の季節というわけで一つ
駄文失礼致しました - 13二次元好きの匿名さん24/03/17(日) 20:57:06
良きかなァ…
- 14二次元好きの匿名さん24/03/17(日) 20:59:45
チョベリグよ!
- 15二次元好きの匿名さん24/03/18(月) 06:45:33
良いよね…
- 16二次元好きの匿名さん24/03/18(月) 14:32:48
すき
- 17二次元好きの匿名さん24/03/18(月) 21:39:04
- 18二次元好きの匿名さん24/03/18(月) 21:59:07
こういう効果的なレスの使い方見ると、やっぱりこの掲示板良いなって思うよね…
- 19二次元好きの匿名さん24/03/18(月) 22:15:02
こういうのでいいんだよ。こういうので。
チヨちゃんみたいな真っすぐな子には、真っすぐな物語がよく似合う。
辛い競争人生を乗り越えたからこそ、その先の人生は満開の笑顔でいてほしいよね。 - 20二次元好きの匿名さん24/03/18(月) 23:10:26
春は満開の"サクラ"が綺麗だよね…
- 21二次元好きの匿名さん24/03/19(火) 10:47:42
チヨちゃんはかわいい