【SS】甘いものは別腹

  • 1二次元好きの匿名さん24/03/20(水) 20:56:10

     乾燥した冬の季節から一転して、空気を潤すかのように、今日も雨が降る日が続きます。これも菜の花や桜など春を告げる花が咲く為の最後の一押しなのでしょうか。
     ですが、雨が苦手な私に取ってはこう雨が降る日が続くのは全然面白くありません。そんな少し憂鬱な気分の中、トレーナー室に置いてあるテレビには春のスイーツいちご特集として、いちごを使ったお菓子などが紹介されてました。
     休憩していたトレーナーさんと二人で見ていました。ちょうど、いちごを使ったケーキが映るとトレーナーさんが「美味しそう」と声を漏らしたのが聞こえたので、私はテレビから視線を外し、彼に声をかけます。
     
    「はい、とても美味しいそうです。……ふむふむ。調べてみると、今なら、まだ配達に間に合うみたいです。頼みましょうか?」
    「いやいや、別にそこまでしなくてもいいよ」
    「むぅ……そうですか」

     …残念です。せっかくトレーナーさんが反応してくれたので、二人で美味しい物を食べて、この陰鬱な気分が晴れるのを期待したのですが。
     そんな不満気な私を見てか、トレーナーさんから
     「ダイヤは今、ケーキ食べても大丈夫?ほら、最近、誕生日会がいっぱいあっただろう。そこで食べて飽きてない?」

     と聞かれました。3月はウマ娘の誕生日が多く、それこそ、キタちゃんやクラちゃん、シュヴァルさんの誕生日会がここ最近ありました。

    「トレーナーさん、私は大丈夫です!確かに誕生日会ではケーキを食べましたが、毎日食べてるわけではありませんから」

     私がそう答えると、トレーナーさんは少し考えた後、何か決心したようで

    「ならよかった。実は、この前先輩に連れて行ってもらった喫茶店で美味しそうなケーキがあってね。ダイヤがよければ、今から食べに行かない」
    「えっ!?はい、行きます。是非とも連れて行って下さい」

     まさかのトレーナーさんからのお誘いで思わず、身を乗り出す勢いで返事をしました。だって、トレーナーさんからお出かけの誘いは滅多にありませんもの。

    「じゃあ、今から行くから、準備して来てね」
     
     そう言われて、私は、はい!と元気よく返事をして、身だしなみを整えに寮に帰ります。と、その前にトレーナー室の入口前でくるりと振り返り、ウィンクしながら、トレーナーさんに一言。

    「トレーナーさん。女の子は甘いものに目がなく、甘いものは別腹なんですよ」

  • 2二次元好きの匿名さん24/03/20(水) 20:56:59

    このレスは削除されています

  • 3二次元好きの匿名さん24/03/20(水) 20:57:10

    そうして、雨が降っている中でも、普段の雨の日とは違い、意気揚々と喫茶店に向かいます。

    「トレーナーさん」

    「ダイヤ、どうした?」

    「今から向かう喫茶店に行った先輩とは仲が良いのですか」

     鬱陶しい雨も今はさほど気になりませんが、先程、トレーナーさんと喫茶店に一緒に行った方の方が気になります。

    「先輩?あぁ、色々と教えてくれる良い人だよ。なんでも、タバコをしないから男でも甘いものに目がないだってさ」

    「ふふっ、そうですか」

     それを聞いて、なぜか心の中でホッと安心する自分がいました。

    「だから、今日のケーキも先輩からのオススメでね。前来た時は、先輩しか注文しなかったから、俺も今日初めて食べる」

    「なるほど。二人で初めての挑戦ですね。それは楽しみです」

     その話を聞いて、先程と違い、思わず笑顔になるほど嬉しくなりました。だって、初めてのことで相手に私を選んでもらえたから心地よくて仕方がありません。
     その後は、ルンルン気分でトレーナーさんとお話しながら歩いていると、目的の喫茶店が見えてきました。そのお店は年季が入ったレンガ造りのビルの下にありました。

  • 4二次元好きの匿名さん24/03/20(水) 21:24:46

    誕生日エアプか?

  • 5二次元好きの匿名さん24/03/20(水) 21:25:51

    このレスは削除されています

  • 6二次元好きの匿名さん24/03/20(水) 21:26:48

    このレスは削除されています

  • 7二次元好きの匿名さん24/03/20(水) 21:27:26

    このレスは削除されています

  • 8二次元好きの匿名さん24/03/20(水) 21:30:47

    このレスは削除されています

  • 9二次元好きの匿名さん24/03/20(水) 21:33:30

    良いぞ

  • 10二次元好きの匿名さん24/03/20(水) 21:33:42

    >>2

    >>4

    >>5

    >>6

    >>7

    >>8

    スレ主へ、これ全部荒しやからこのレス含めて迷わず削除してええで

    続き待っとる

  • 11二次元好きの匿名さん24/03/20(水) 21:34:09

    >>10

    それじゃあダメだ

    通報してから消せ

  • 12二次元好きの匿名さん24/03/20(水) 21:35:59

     お店に入ると、挽き立てのコーヒーとトーストの少し焦げた匂いにケチャップの香りが混ざったようなものが鼻をくすぐり、昔ながらのお店を連想するみたいな感じでした。
     店内は豆電球で照らされた黄色の光の下、古めかしい重厚な椅子が立ち並ぶ、アンティークやレトロと言った言葉が似合うものでした。
     店員さんに案内されて、テーブルの席に座ります。

    「ご注文がお決まりになりましたらお呼び下さい」
     
     そう言って、お冷とおしぼりを渡されました。机にあったメニュー表をトレーナーさんと一緒に見ながら、注文。
     私は紅茶とショートケーキを、トレーナーさんはコーヒーとチーズケーキを頼みました。
     
    「トレーナーさん、ショートケーキを注文しなくて良かったのですが」
     
     いちごを食べたいから、トレーナーさんもショートケーキを頼むものかと思っていましたが、違うものを頼んだのでつい聞きます。

    「生クリームの甘さがちょっと…。それに先輩がケーキの中でもこのチーズケーキが一押しだったから、こっちを選んだ」

     理由を聞いて納得です。確かに世間でも、生クリームの甘さが苦手な人が多いと聞きます。

    「なるほど、そうでしたか。では、こちらのいちごをあげますので、トレーナーさんのチーズケーキも一口分けて下さい」

    「ダイヤがよければ、構わないよ」

    「ふふっ、ありがとうございます」
     
     交渉成立です。後でいただきましょう。
     そして、店員さんがケーキを持ってきてくれました。

    「お待たせしました。紅茶とショートケーキです」

  • 13二次元好きの匿名さん24/03/20(水) 21:37:08

     目の前に置かれた、白い湯気の立つ橙色の水面に穏やかそうな香りが漂う紅茶とふんわりと柔らかそうなホイップクリームでデコレーションされ、いちごの断面が見えるショートケーキは凄く美味しそうでした。

    「わぁ、とても綺麗ですね」

    「あぁ、それにいい匂いだ」

     そう言ってから二人で手を合わせます。

    『いただきます』
     
     紅茶を一口飲んだ後にお待ちかねのケーキをいただきました。フォークで先端を切り取り、口に含む。
     「っ!!」
     生クリームのベタつく甘さの後にいちごの僅かな酸味とすっきりとした甘さが口内に広がる。その配分がバランスよく、とても美味しい。

    「トレーナーさん、美味しいです」

    「うん、こっちのケーキも美味しいね」
     
     トレーナーさんも私と同じように満足気でした。そうして、ケーキを二口ほど食べた後、

    「トレーナーさん、いちごあげますね」

    「あぁ、ありがとう」

     ショートケーキの上にあるいちごを彼の皿に先に渡しました。
     その後にトレーナーさんもケーキをフォークで切って、こちらの皿に渡そうとします。すかさず、皿の上に乗せられないようにお皿を自分の方に寄せながら、

    「トレーナーさん、私に食べさせて下さい」

  • 14二次元好きの匿名さん24/03/20(水) 21:37:59

    「えっ?」

     トレーナーさんにあーんをして欲しいと要求しました。だって、トレーナーさんのお誘いで雨の中、ここに来たのです。これくらい甘えてもいいじゃないですか。

    「?」
     
     私は口を大きく空けながら、上目遣いで「まだですか」と無言で催促しました。それを察してか、トレーナーさんは仕方がないなぁと思ったのか、フォークに刺したケーキを私の方に差し出します。ゆっくりと口を閉じながら、ケーキを味わいました。

    「……とっても美味しいです」

    「それはよかった」
     
     そう言って、トレーナーさんは少し照れたのか頬か少し赤くなりつつ、私に笑いかけてくれました。その顔を見て、今頃になって、私も食べさせてもらったことに少し恥ずかしさを覚えつつ、微笑み返しました。
     そうして、喫茶店にいる間は二人で甘いひとときを過ごしたのでした。

  • 15二次元好きの匿名さん24/03/20(水) 21:40:22

    このレスは削除されています

  • 16二次元好きの匿名さん24/03/20(水) 21:40:44

    このレスは削除されています

  • 17二次元好きの匿名さん24/03/20(水) 21:40:54

    このレスは削除されています

  • 18二次元好きの匿名さん24/03/20(水) 21:45:34

    可愛いらしいダイヤちゃんを書きたかったので書きました

  • 19二次元好きの匿名さん24/03/20(水) 21:46:10

    すき

  • 20二次元好きの匿名さん24/03/20(水) 21:49:33

    スレ主災難だったな…
    気にせずガンバよ

    素敵なお話ありがとね

  • 21二次元好きの匿名さん24/03/20(水) 21:51:12

    エキセントリックなダイヤちゃんもいいけど健気なダイヤちゃんを摂取することも健康に良いとされている

  • 22二次元好きの匿名さん24/03/20(水) 21:51:54

    このレスは削除されています

  • 23二次元好きの匿名さん24/03/20(水) 21:52:04

    このレスは削除されています

  • 24二次元好きの匿名さん24/03/20(水) 21:53:45

    スレ主今荒らしが湧いてるだけだからどうか気にしないで
    さっきスレ消された奴がいたんだ

  • 25二次元好きの匿名さん24/03/21(木) 08:31:30

    >>19

    >>20

    >>21

    感想ありがとうございます。昨夜はアレでしたが、暖かい言葉を貰えたので書いた甲斐がありました

オススメ

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています