【ss】デートの騒動、彼の神対応

  • 1二次元好きの匿名さん24/03/21(木) 16:26:08

    私は東京都に住む高校二年生の紫苑(しおん)。

    同級生で同じ将棋部に所属する男の子、楓(かえで)と最近は仲が良くて、一緒に遊ぶことが多いです。

    入学式の日にぶつかったことが出会いなんだけど、ぶつかったのは私のせいなのにすごく丁寧に謝ってくれたので優しくて礼儀正しい人だと感じました。

    あの時点で楓は私に一目惚れしていたみたいで、私も彼の性格や人間性が好きだから付き合うことにしたのです。

    最初はすごく緊張したけど、一緒にプリクラを撮ったり、原宿にスイーツを食べに行ったり、彼の家でゲームで勝負したりと最近は楽しく過ごしています。


    昨日は楓と、遊園地デートをしました。

    というのも、私が彼に期末試験で一教科でも八十点を取ったらお願いを聞いてあげると半分冗談で言ったところ、本当に数学で八十三点を取ってきて。

    まさか本当に取ってくるとは思わなかったけど、約束を破るわけにもいかないから彼のお願いである「一緒に遊園地デートがしたい」を実現させてあげることになったのです。

    それ自体は良かったのですが、私たちは遊園地でスタッフの騒動に巻き込まれてしまいまして。

    でも彼の神対応のおかげで全て円満に解決したから、今日はその話をしようと思います。

  • 2二次元好きの匿名さん24/03/21(木) 16:31:33

    場所は家から電車で一時間ほどかかる場所にある遊園地。

    元々デートには向いていないとネットには書いてあったのですが、楓の熱い志望により決定。

    提案したのはあの子なのに、私までテンションが上がってしまったのは何故でしょうか。

    噴水の演出があるアトラクションのせいで濡れてしまった私にタオルを差し出したり、私が酔ってしまったのを無言で察知して休める場所に案内してくれたりとデート中も彼の優しさを感じました。

    自分から乗ったガラス張りの観覧車のゴンドラを怖がったり、タピオカを両手で持って飲んだりと彼の可愛らしい一面も見られたのです。

    そして、楓が幼少期に大ファンだった、蒸気機関車の男の子が主人公の教育番組の世界観をモチーフとした列車。

    揺れも高低差も速さもない、のんびりとパークを一周するそれに二人で乗ったとき、そこで問題が発生しました。

  • 3二次元好きの匿名さん24/03/21(木) 16:34:27

    それはモデル同様に目が動いて蒸気が出て喋り、さらには周囲には動くクレーンや旧式の信号機も設置されており、舐めてはならないクオリティ。

    さすがに音で明らかにディーゼルエンジンだと分かるのですが、楓は小さい子供が夢を壊さないように「これって蒸気機関で動くんだってー」などと喋っていました。

    稼働する汽車は三台で、やってきたのは番組の主人公………ではなくその親友を模した機関車。

    ゴトゴトと音を立てて小さな可愛らしい機関車が、自分よりも大きな客車を三台も連れて乗り場に現れ、水蒸気の煙を上げて停止。

    ナレーション兼運転士が、列車が止まった瞬間に迅速に外に降りて全ての扉を開けたので、私は驚いてしまいました。

    私たちは小さい子供が乗り終わってから列車の最後の方に乗り込み、楓が奥に座りました。

    列車はやがてベルを鳴らすとがちゃんと音を立てて発進し、駅を背に走り出したのです。

    汽車は非常に低速で、楓は外に設置されたキャラクターを模したオブジェクトを眺めていました。

    それは木材を運ぶ汽車や車庫で寝ている汽車、大きな荷物を二台で挟んで運ぶ双子の汽車、鬼のような形相をしたちょっと意地悪な汽車、あるいはもはや汽車ですらない消防車やバス。

    たまにオブジェクトに先頭の汽車が話しかけ、言葉を一つ、二つ返すものもいます。

    それらは非常に姿形に富み、汽車のナレーターと共に退屈を忘れさせてくれたのです。

    通過するハリボテの駅に置かれた駅員の人形も、リアルの人間ではなく劇中に登場するそれに寄せて作られており、そういった要素から楓は子供時代を思い出し、少し興奮しているように見えました。

  • 4二次元好きの匿名さん24/03/21(木) 16:35:24

    やがて、何かの駅ではない大きな建物が見えました。

    それは、汽車の整備に使うであろう基地でした。

    それらはハリボテではなく実際に点検に使うそうなのですが、劇中に登場する煉瓦模様に塗られており、稼働していない汽車が一台そこに休んでいるのが見えます。

    『あっ、あの汽車仕事を怠けてる。』

    「多分、怠けてるんじゃなくて休んでるんだよ。」


    これが例えば幻想の世界を走る列車という設定なら、夢を壊さないためにそういう要素は徹底的に隠されるでしょうが、これはテーマそのものが鉄道なので隠す必要はなく、むしろ演出の一つとしての役割も兼ねているようです。

    そこに入るには従業員の人しか扱えない線路の切り替え装置を使う必要があり、加えて車両の向きを変える台に汽車が乗る必要があります。

    まぁ、それは私たちにとっては景色の一つでしかなく、すぐに通過してしまうどうでもいいもの………と思っていたら、そこで問題が発生しました。


    本来は直進し、順調に正しい線路を進んでいたはずの汽車。

    すると、唐突に楓が叫びます!「何っ!?」

    彼の声に反応して前方に目を向けると、なんと汽車が線路の分岐点を誤った方向に通過しました。

    それは私たち乗客を乗せたままなんの予兆もなく整備基地に続く線路へと走り出し、止まる気配もなくそのまま方向転換の装置へと向かっていきました。

    運転士は慌てた様子になりましたが、すぐに気持ちを切り替えて「周りにあるものをしっかり掴んでください」とアナウンスをしました。

    その汽車は線路に言われるがままに止まろうとする様子もなく走り続け、やがて方向転換の装置に転落してガンと大きな音を立てると、物理的に停止させられました。

  • 5二次元好きの匿名さん24/03/21(木) 16:39:38

    紫苑「しゃあっ!止まるんじゃねぇぞっ!」

    楓「そんな……ここまで来て……」

    紫苑の喜びの声が、楓の絶望の声をかき消しました。

    しかし、汽車は予想外の方向に暴走しただけで止まる様子はありません。

    茉莉花「きゃぁあああああ!!」

    そしてとうとう汽車は、整備基地から若干はみ出したところで完全に停車しました。

    ナレーター『只今、緊急停止ボタンが押された模様です。』

    すると後ろからカタンと音がしたので振り返ると、そこには

  • 6二次元好きの匿名さん24/03/21(木) 16:41:59

    そこには緊急停止用のボタンが押されたと書いてあるパネルが置かれていました。

    楓「危ねぇ……後一秒遅れてたら、俺たち今頃この基地のどこかに突っ込んでたぞ……」

    紫苑「でも、これでやっと汽車の旅も終わりね。」

    楓「いや、まだだ!汽車は整備基地で止まったんだ。つまり、俺たちはまだ旅の途中ってことだ!」

    紫苑「そんなぁ……」

    ナレーター『緊急停止ボタンを押したのは誰でしょう?

    茉莉花「……私です。」

    ナレーター『おや、乗客の一人がボタンを押したようですね。』

    茉莉花「これ、絶対に押さなきゃいけないヤツだって思って……」

    ナレーター『緊急停止ボタンを押して安全に止めたのは素晴らしい判断ですね。』

    茉莉花「えへへ……ありがとうございます。」

    楓「なんだよ!じゃあこれでもう汽車の旅も終わりか?」

    紫苑「そうみたいね……」

    楓と紫苑が残念そうにしていると、そこに車掌さんがやってきます。

    車掌さんは、緊急停止した原因を尋ねます。

  • 7二次元好きの匿名さん24/03/21(木) 16:42:20

    「こんなタイミングで緊急停止するなんて、いったいどうしたんです?」

    茉莉花「すみません……ブレーキが効かなかったので、慌てて押しました。」

    楓「そうだ!ブレーキが効かなかったんだ!」

    車掌さんはそれを聞いて少し驚いた様子を見せます

    「ブレーキの故障ですか……これは珍しいですね。」

    紫苑「えぇー、それってつまり……」

    車掌さんはため息をついてこう言いました。

  • 8二次元好きの匿名さん24/03/21(木) 16:47:12

    「誰かがブレーキに細工をしてたみたいですね。」

    茉莉花「ああ……やっぱり……」

    楓「なんてこった!」

    紫苑「……信じられない……」

    車掌さんは、乗客がショックのあまり黙り込む中、落ち着いた口調で説明を続けました。

    「ここの汽車は皆さんが乗る前から故障していた可能性がありますが、仮にそうだったとしても、それを押してまで走らせようとしたのは誰でしょう?」

    茉莉花「えっと……犯人を特定するのは難しいと思いますけど……」

    車掌さんはその質問には答えず、代わりにこう言いました。

    「まあ、おそらく犯人は私です。」

    茉莉花「えっ!?」

    車掌さんはしばらく考え込んだ後、自分が犯人であることを認めました。

    「実は……私がブレーキの油圧系統に細工をしてブレーキを効かなくしていたんです。」

    楓「なにっ!?」

    紫苑「えええ……」

  • 9二次元好きの匿名さん24/03/21(木) 16:47:30

    茉莉花「どうしてそんなことを?」

    車掌さんは懐から銃を取り出します。そして私たちに向かってその銃口を突き付けました。

    「貴様らを始末するためだぁぁぁーーっっ!」

    楓「うわぁぁっ!」
    茉莉花「きゃぁっ!」
    紫苑「あああっ!」

    いきなりのことに驚く私たちに、車掌さんはこう説明します。

    車掌さんの名前はジミーといいます。実は彼は元々この汽車に乗っているはずではなかったのですが、乗ったふりをして皆さんの動向を見守っていたのです。なぜそんなことをしていたかと言えば、彼がスパイだからです!

    ナレーター『なんと彼はスパイだったんですね!』

    楓と紫苑は驚きながら尋ねます。

  • 10二次元好きの匿名さん24/03/21(木) 16:52:12

    楓「嘘だろジミー!お前がスパイだったのか!?」

    紫苑「どうして私たちの汽車を?」

    ジミーさんは不気味な笑みを浮かべ、さらに詳しい説明をします。

    「実は、私はある組織から皆さんの抹殺を命じられていたのです。その組織は『世界平和創造党』といいまして、この列車はその組織のものだったんです。」

    楓「世界平和創造党……だと?」

    紫苑「そんな……まさか……」

  • 11二次元好きの匿名さん24/03/21(木) 16:53:50

    ジミーさんの説明によると、この汽車は実は世界平和創造党のものだったそうです。

    そして、私たちを抹殺するために組織が用意したものだったのです。


    茉莉花「でも、どうして私たちを?」

    ジミー「貴様らは世界の平和を脅かす不穏因子っ!貴様らは世界平和創造党にとって不要な存在なのだっ!」

  • 12二次元好きの匿名さん24/03/21(木) 16:57:38

    紫苑「私たちが何をしたっていうの……?」

    ジミーさんが私たちを始末しようとする理由は、世界平和創造党にとって邪魔だからということでした。

    しかし、私たちは何も悪いことをしていないのに、なぜ殺されなければならないのでしょうか?

    ジミーさんはさらに話を続けます。

    「私の叔父は貴様らのようなイレギュラーに殺されたっ平和を乱す貴様らを許さないっ!くたばれ
    ーーっっ!」

    ジミーさんは引き金を引き、銃口から弾丸が発射されます。

    その弾丸は楓の胸を打ち抜きました!

    「ぐわぁぁーっ!!」

    楓はその場に倒れ込みました。

    茉莉花「楓さんっ!」
    紫苑「そんな……」

    私は動揺を隠しきれずに叫びます。しかし、それでも私たちは逃げることはできませんでした……。

    茉莉花「……いえ、そうはならない…はずです。」

    紫苑「え?どういうこと?」

    楓は起き上がると、ジミーさんに問います。

  • 13二次元好きの匿名さん24/03/21(木) 17:07:21

    楓「ジミー、確かに俺たちは世界平和創造党にとって邪魔なのかもしれない……だがな!それは世界平和創造党が勝手に決めたことだろ?俺たちはただ普通に旅をしているだけなんだ!」

    ジミーさんは少し驚いた様子を見せましたが、すぐに反論します。

  • 14二次元好きの匿名さん24/03/21(木) 17:07:46

    「黙れっ!貴様らは存在自体が悪なのだっ!」
    「そうであろうがーっ」

    楓は車両の手すりを引きちぎり、ジミーさんに投げつけました。

    「ぐわっ!何をする!」

    楓は続けざまに別の車両から椅子やテーブルを投げつけて攻撃し続けました。しかし、ジミーさんはそれらをすべて避けてしまいます……

    楓「くそっ……当たらねえ……」
    「ふんっ、そんな攻撃が当たるものか!」

    そしてついには、車両と車両の連結部分を破壊してしまいました。

    茉莉花「ああ……もう逃げられない……」

    楓「まだだぁーーっ」

    楓は紫苑を押し倒しその首筋に噛みつき肉を喰らいます

    楓「紫苑っ合体だぁ!」

    楓は紫苑の肉を喰らうことで合一するつもりです。しかし、ここでジミーさんが叫びます。

    「させるかっ!」

    ジミーさんは楓と紫苑に向かって銃弾を放ちました。
    「ぐわぁぁーっ!!」
    楓はその場に倒れ込み、紫苑は意識を失います……。

  • 15二次元好きの匿名さん24/03/21(木) 17:08:16

    続きは夜書きます

  • 16二次元好きの匿名さん24/03/21(木) 17:58:16

    桃太か?

  • 17二次元好きの匿名さん24/03/21(木) 18:04:00

    桃太

  • 18二次元好きの匿名さん24/03/22(金) 00:21:18

    そのときだった、楓のツキジめいた死体が大きな肉塊の中心に集まり再度肉体を練成し始めた
    「ドーモ、ジミー=サン」
    赤いシルエットに殺意を宿した眼、これは容姿があからさまにニンジャである
    「お前がFG機構の中村か?」
    ジミーは内に潜む恐怖を抑えつつもあからさまに声が震えている
    「ならばそれがどうした!お前は殺す。慈悲はない、イヤーッ!」
    中村はアフリカ投げナイフめいた邪悪なスリケンをジミーに放つ
    「 なんじゃお前!足腰だけやないチンチンも立たんようにしたんどっ」
    ジミーは高速回転する邪悪なスリケンを足で蹴り返す

    次回・・・桃田と呪われし聖剣 

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