【閲覧注意 ブルアカ】"夜戸浦にて"

  • 1二次元好きの匿名さん24/03/21(木) 19:07:46

    【閲覧注意理由】駄文SS及びスレ主の気持ち悪い過激な妄想を多分に含むため。


    "また来てしまった…"

    夜戸浦村、くさやとエビが有名な漁村。
    昨年の夏にRABBIT小隊のみんなと訪れてから、定期的に1人で訪ねている。

    「なんだい、先生。また来たのかい。」

    "ははは…熊谷さん、恐れ入ります…。"

    「大方、また書類仕事に追われて逃げてきたんだろう?まぁ先生には世話になってるからな。好きなだけゆっくりしていってくれ。」

    正解、先日のトラブル解決に使用したシャーレ権限の事後許可申請書類×8や弾薬費の計上が全く終わっていない。本日はC&Cの作戦現場復旧手配が来る予定。
    もちろん終わらせる。大人して当然のことだ。もちろん終わらせるが…。

    "やってもやっても終わるどころか書類が積み上がっていく…逃げたくもなりますよ…。"

    「………まぁ頑張ってくれや。何もない村だがエビとか海産物が食いたくなったらいくらでも用意するからよ。」

    最近の逃避場所、それがこの夜戸浦村だ。
    D.U.の未来都市感溢れる景観も嫌いじゃないが、仕事に追われる身としては整備された都市が管理社会を想起させて良くないと思う時がある。

  • 2二次元好きの匿名さん24/03/21(木) 19:08:14

    >>1

    そんな時に前時代的な景観を保っているこの夜戸浦がスーッと沁みてくる。心地の良い潮風、築50年以上の日本家屋が並ぶ街並み、海岸線に並ぶ無数のテトラポット、ノスタルジーを感じさせる風景は気分転換にピッタリだ。


    "とは言え流石に来すぎか…"


    最近は2週間に一回のペースで来ている。

    生徒たちとの日々は楽しい。個性的な子がいっぱいだ。中には手のかかるタイプの子達もいるが、その子達も私の世界で一生懸命生きている愛おしい子ということに変わり無い。

    しかし、息抜きの頻度が増加しているのは良く無い。それだけストレスが溜まっているということだ。

  • 3二次元好きの匿名さん24/03/21(木) 19:08:39

    >>2

    "中々上手くいかないことが多いな…"


    海岸近くの桟橋に座りながら、キヴォトスに赴任してからの日々を思い返す。足りない、至らない。そんなことばかりが頭の中に浮かんでは消える。責任という言葉が重くのしかかる。


    ープレナパテス。


    先日の一件で遭遇した。並行世界のもう1人の自分。彼は自らの命を賭して、自身の大人としての責任を果たした。

    私はどうだろうか。彼から受け取った責任を背負うに相応しい人間なのだろうか。

    命をかけて責任を取る覚悟はしている。だが、覚悟をするということと、実際の場面で責任を取れるか、というのは別だ。人間である以上、自分は可愛い。私は……。

    アトラハシース脱出のことを思い出す。あの時の自分はどうだっただろうか。

    夢中だった。考える余裕がなく、気づいたら体が動いていた。アレが私の本音だと信じたい。


    音が聞こえる。押し寄せる波音は穏やかに、サワガニたちの移動音はカリカリと。

    そして、

    コツコツと近づいてくる足音。

  • 4二次元好きの匿名さん24/03/21(木) 19:09:27

    >>3


    "何の用だ、黒服。"


    「クックックッ。久しぶりの再会だというのにずいぶんな挨拶ではないですか、先生。」


    "平時にお前と話すことなんてない。"


    「ククク…あなたに無くとも私にはあるんですよ。」

    「今まではそれこそビジネスの場や非常時での対面しかありませんでしたからね。」


    "アビドスの件がビジネスだというなら、やはりあなたと話すことは無いよ。"


    「クックックッ、まぁそう喧嘩腰にならないで下さい。今日は雑談をしに来たのです。」


    "雑談?"


    「そうです。本当に他愛もない雑談ですよ。」

    「我々大人が失ってしまったものについてのお話です。」


    "……何が言いたい?"

  • 5二次元好きの匿名さん24/03/21(木) 19:10:13

    >>4

    「付き合っていただける…ということでよろしでしょうか?そうであるならば少しお付き合いいただきますよ。ククク…。」

    「我々人間は、大人になるにつれて子供が持っていたものを失っていきます。」

    「それは、子供の頃好きだったアニメやヒーローのグッズといった現物だったり、子供の頃の夢や持っていた情熱といった抽象的なものだったりと様々です。」

    「先生、あなたは何を失いましたか?」


    "……何も"


    「ククク、わかりやすい嘘は良くありませんよ。」

    「あぁ、失礼。他者に聞く前に私の方から言うべきでしたでしょうか?」


    "聞くまでも無い。お前たちゲマトリアは自身の研究や興味の対象の追求に邪魔なもの全て削ぎ落としている。倫理観や道徳心、時には協力者まで"


    「そこまでわかっていただいているとは、照れますね。」


    "やめろ、気色悪い。"

  • 6二次元好きの匿名さん24/03/21(木) 19:10:37

    >>5

    「それで、先生、あなたはいかがですか?」


    "……答えるつもりはない。"


    「クックックッ。そう言うと思いましたよ。ならばあなたと同じように私の方から当てて見せましょう。」


    "何を…「ほぼ全て、何もかもです。」


    "……何をバカなことを"


    「子供の好きだったものも、情熱も、人として持ち合わせてた倫理観も、全てです。」


    "そんなわけがない!"


    「この前あなたが買ったフィギュア、一切開けていないでしょう?そして、開ける気もない。」

    「見たい番組もチェックしていない。ただ話題になっているものを情報として得ているだけです。」

    「物を購入したり、上辺だけの趣味の情報を得ることで、自分は何も失っていないと、そう錯覚したいのでしょう?今あなたが息抜きをしているのも、息抜きの頻度を増やしているのも人間らしい行動の模倣をしているのに過ぎないのかもしれません。」

    「目的のためにはある程度手段も選んでいない。仲を深めるためや自身の要求を通すためであれば変態行為ですら最善の選択肢としてノータイムでチョイスする。」

    「それが今のあなたです。」

  • 7二次元好きの匿名さん24/03/21(木) 19:11:02

    >>6

    "…違う……私は…。"


    「あなたは今、生徒への責任を果たすだけの機械です。もっと酷い言い方をしましょうか。忘れられた神々に無償の奉仕をするだけの奉仕種族と化しているのですよ。」

    「あなたがやたらと忘れられた神々に対して子供のままで居させようとするのも、全てを失ったあなたのようになって欲しくないからです。違いますか?」


    "………。"


    「クククッ…失礼。少し不躾すぎましたね。先生、やはり私たちと協力しませんか。我々と歩むならば、きっとあなたにとって…。」


    "断る。"


    「………何故?これ以上シャーレで活動していてもあなたは不幸になるだけです。あなた1人で救える存在は限られています。救おうとしても砂をかけられることもあるでしょう。バカにされることもあるでしょう。それなのに、何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?」

  • 8二次元好きの匿名さん24/03/21(木) 19:11:25

    >>7

    "私がそう決めたから。こんな私を頼ってくれた子がいたから。私は、私の理想のために、たとえ自分を失おうとも、自分を殺そうとも進み続けるんだ。"


    「……理解できませんね。」


    "前も言ったはずだよ。あなたに言ってもわからない。"


    「…そうですか。ククッ、まぁいいでしょう。」

    「本日はお付き合いいただきありがとうございました。また会いましょう。」


    "出来れば2度と会いたくないね。"


    黒服は踵を返し去っていく。

    完全に視界から消えたことを確認してはぁっと一つため息。手が震えている。涙が溢れてくる。怖かった。情けない。私はもう大人だというのに…。


    "プレナパテス、お前も、そうだったのかな?"


    震える声で空を見上げて呟く。

    小さな声は残酷なまでに青い空に吸い込まれていった。

  • 9二次元好きの匿名さん24/03/21(木) 19:12:01

    >>8

    携帯から着信音が鳴り響く。ユウカからだ。心をできるだけ落ち着かせて電話に出る。


    『せ〜ん〜せ〜い〜?今どこですか!?この前のC&Cの復旧手配の件でシャーレに伺ったらどこにもいないので心配しましたよ!!』


    "…ごめん。ユウカ。すぐに…"


    『先生?あの、もしかして泣いてます?…何かあったんですか!?今どこです?すぐに駆け付けます!!』


    "ごめんね。もう大丈夫だから。"


    『ダメです!!隠し事なんてしないで下さい!!あっ、いや、全部曝け出せと言っているのではなくてですね、相談くらいは私にもして欲しいといいますか!私だって先生の力に』


    "ごめんね、切るよ。すぐ戻るから『ちょっと先生!』"


    電話を切る。震える体に力を入れ立ち上がる。足がガクガクしている。深呼吸。大切な生徒が待っている。


    潮風が目に染みる。ゆっくりと転ばないように踏み出す。歩く。歩く。歩く。船着場まで、船を降りた後はシャーレまで。


    シャーレに着いた時、ようやく震えが止まった。

    ユウカが迎えてくれる。心配そうに私の顔を覗き込む彼女を安心させるように、いつもの笑顔を貼り付けてこう言った。


    「ただいま」


  • 10二次元好きの匿名さん24/03/21(木) 19:22:01

    長い、三行

  • 11二次元好きの匿名さん24/03/21(木) 19:24:16

    >>10

    SSにそれを求めるのは著者に対する冒涜では…?

  • 12二次元好きの匿名さん24/03/21(木) 19:31:16

    実際これくらい削ぎ起こしててもおかしくないくらいには多忙だよね

    黒服はわざわざ先生追いかけてきてるのか自分もストレス解消に来たら偶々見かけたからついでで勧誘してるのか
    個人的には前者だったらいいな
    こう、ゲマトリアも突き詰めると単純に大人なんだみたいな雰囲気

  • 13二次元好きの匿名さん24/03/21(木) 19:34:34

    先生を生徒達の声も届かない闇に沈めてあげたい

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