- 1二次元好きの匿名さん24/03/22(金) 22:06:50
- 2二次元好きの匿名さん24/03/22(金) 22:07:49
ふーん中々やるじゃん君
- 3二次元好きの匿名さん24/03/22(金) 22:08:09
実際エッチ
- 4二次元好きの匿名さん24/03/22(金) 22:08:10
👍
- 5二次元好きの匿名さん24/03/22(金) 22:08:32
アリじゃん
じゃあ……書こうか - 6二次元好きの匿名さん24/03/22(金) 22:08:33
放置される悲しき菊花賞組
- 7二次元好きの匿名さん24/03/22(金) 22:11:13
菊花賞組のカフェはタキオンと!
トップロードはアヤベさんと!
レースが終わった後も互いを見つめているから放置されたのはポッケとオペなんじゃねえかな? - 8二次元好きの匿名さん24/03/22(金) 22:12:01
ほう…
いい着眼点だね? - 9二次元好きの匿名さん24/03/22(金) 22:12:07
- 10二次元好きの匿名さん24/03/22(金) 22:12:35
呼びましたか!
- 11二次元好きの匿名さん24/03/22(金) 22:22:01
ポケットはアヤベじゃないから自分に冷たくしつつも構ってくれないがアヤベに返して欲しかった宣戦布告が返ってくるんだよね……オペラオーはタキオンじゃないから挑めば受けてたってくれるんだよね……
- 12124/03/22(金) 23:06:06
- 13二次元好きの匿名さん24/03/22(金) 23:07:35
かまわん。行け。
- 14二次元好きの匿名さん24/03/22(金) 23:07:39
臆するな、行け
- 15二次元好きの匿名さん24/03/22(金) 23:08:25
- 16二次元好きの匿名さん24/03/22(金) 23:15:17
共にターフにいないはずのサンデーサイレンス産駒を探し続けるのか…ポッケにはカフェがいるけども
- 17124/03/22(金) 23:20:51
ジャングルポケットは良く覚えている。
叩きつけた挑戦状が、“皐月賞ウマ娘”にあっさりと受け入れられた瞬間を。ギラギラと輝く、狂気を掲げた瞳を、
──“アグネスタキオン”の似姿を。
アグネスタキオンはレースを辞めて以来、マンハッタンカフェにばかり構っている。ダービーにも、当然菊花賞にも出なかったくせに。彼女にはふざけた雑談を仕掛けるが、ジャングルポケットの宣戦布告はいつも片手であしらわれていた。
テイエムオペラオーは嬉しかった。
“ダービーウマ娘”の、苛烈なまでの挑戦が。あり得ないものになった、真っ向から与えられた、
──“アドマイヤベガ”の幻想が。
最初から、アドマイヤベガの最大のライバルはナリタトップロードだった。見るべき光が、そこにあったので。皐月賞も、ダービーも、菊花賞も共に走ったけれど。並走を申し込んでも、アドマイヤベガの眼はいつもどこか薄ら冷たく凪いでいた。
だからこうなることは必然であったのかもしれない。追い縋った眼は満月を、黄昏を見つめていた。
そして紫水晶と黄玉の瞳がかちあうのもまた、必然だったのだろう。
「──少し、一緒に走らないかい」
ジャングルポケットにとっては、深く瞬きをして、爛然と煌めく紫の瞳は得体の知れぬ赤い眼が同じに見えた。だから、明るすぎる栗毛の頭の後ろに手を回した。太陽の黄色が、宵待ちの薄紅に塗り変わっていくので、テイエムオペラオーは同じくらいの丈の背に手を添えた。 - 18124/03/22(金) 23:25:50
- 19二次元好きの匿名さん24/03/22(金) 23:27:24
いや楽しみだわ劇場版のJC
- 20二次元好きの匿名さん24/03/22(金) 23:28:21
強者だぁ……。
- 21124/03/22(金) 23:35:36
- 22二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 07:18:16
コスプレ衣装使ってロールプレイしてそう
- 23二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 07:23:55
なるほど…興奮してきたな
- 24二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 07:34:59
- 25二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 07:35:14
なるほどこれはアツいな
- 26二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 07:39:58
JCの前走両者とも負けてるってのが逆にいい味出してる
- 27二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 07:41:26
ノーザンファームの調教主任は助手時代にアドマイヤベガに乗ったことがあって
主任になってからはジャンポケも管理したんだよな
新時代の幕を開けたダービー馬 ジャングルポケットが築いた礎 | ジャングルポケット | 優駿 WEBこちらでは、『優駿』未来に語り継ぎたい名馬物語をご覧いただけます。続きは『優駿』雑誌でご覧ください。www.yushunweb.jp - 28二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 08:06:59
NTRよりBSSでは?
- 29二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 08:41:34
- 30二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 09:39:17
- 31二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 09:40:41
府中最強トニービンの系譜だしな
- 32二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 10:17:18
ポッケ×オペラオー…いいですね…
- 33二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 10:28:10
これは日常生活だとオペ×ポケなのに、サシのシリアスな場面だと急にポケ×オペになるやつだぁ
でも後ろの世代の攻めっ気ちゃんに絡まれるのが楽しいから、オペも覇王の仮面で挑発してるところあるんだよね - 34二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 10:32:20
あくまで誘い受けでオペラオーがコントロールする形なのはわたしの性癖にはあっていますね
- 35二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 11:07:45
01有馬で引退するオペラオーに「あんたも結局オレの前からいなくなるのか」って自分こそが引導を渡した一人だという矛盾と高揚と絶望をぐちゃぐちゃに抱えたまま掴みかかるポッケはいますか?
- 36二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 16:52:25
合同引退のことを考えると最終的な勝者(?)は君なのでは?
- 37二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 16:55:21
- 38124/03/23(土) 16:59:08
- 39二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 17:05:28
待ってる
- 40二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 17:11:51
ゆるっとした上着を着たオペのシルエットに思わず「タキオン!」って腕を掴んでしまって「…悪い」って手を離すポッケが見たいです
- 41二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 17:16:55
まどろみの中頬をくすぐる髪の感触に「くすぐったいよアヤベさん…」って笑いながら目を開いたら苦々しい顔をしたポッケが自分を起こそうとしていたところで思わず言葉に詰まるオペラオーも見たいです
- 42二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 17:19:30
いい論文だ 学会で発表してくれ
- 43二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 18:52:13
タキオンとアヤベさんが寂しそうな眼で2人を見てそう
- 44二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 19:35:16
カフェとトプロに慰められてる…
- 45124/03/23(土) 20:37:58
微かに震えていた声から耳を塞いで、重なった温もりに目を瞑って、
そうして始まった関係は暗黙の了解に満ちていた。
唇はただ重ねるだけ。
指先は重ねて添えるだけ。
人目のない場所ですれ違う偶然がなければ会いさえもしない。互いに、相手を代替品にしている後ろめたさがあった。
あれは気の迷いのようなものだと。
そう思えば呼び出すことも向かうことも出来なかったが、それは吊り橋の上でロープが切れるのを二人とも待っていたのと同じだった。
「アヤベさんとデートなんです!」
その言葉を聞いて冷やかしつつ見送ったのと同じように、ノックされたドアの向こうで黙りこくっていたテイエムオペラオーを部屋に上げた。同じように訪ねようと、考えていたので。
部屋に上がったテイエムオペラオーはいつも通り何か言おうとして、珍しく惑う目がジャングルポケットの反対側を捉えて口を閉じる。その沈黙の理由が、ジャングルポケットにはよく解っていた。
愛おしげに飾られたツーショットの満更でもないアドマイヤベガの表情と、それにまつわる惚気話を何度も聞いた。
舌打ちをしそうになった。ジャングルポケットのルームメイトがナリタトップロードだと知っていたハズで、テイエムオペラオーはアドマイヤベガの残り香の存在に気づかなければならなかったから。
それもわからなくなるぐらい動揺していたのだと後から理解して、いつもの逢引と同じように、ベッドの縁に腰掛けてキスをした。
結局のところ閉じた瞳にジャングルポケットは赤色を探していて、テイエムオペラオーも触れた手の体温に夢見ていた。
ただそれを、ジャングルポケットが寂しいと思えたのは、昨日旧理科準備室に入れずにいたからで。
──あの日の繰り返しのような、憐憫だった。
重ねただけの影はあの日よりも深く境界を融かし、求める手に答えて王冠が掛け布団の上に弾んだ。キスの名残が、ジャングルポケットを見つめるぼやけた紫の──今は赤の薄まったテイエムオペラオーの瞳に残っている。
「──アヤベさん」
テイエムオペラオーは夢見心地に、覆い被さる影を見ていた。ジャングルポケットは望んだ光景を許すだろうと、
「ァ、がッ」
目測を見誤って、溺れていた。 - 46124/03/23(土) 20:38:18
衝動任せに、喉を潰すほど指が絡まる。
ジャングルポケットは密会の不文律を破った。密林の木々の隙間から星を見ることを許していたはずで、紫の色味に赤を探すことを望んでいることも未だ変わらない。
だから、アドマイヤベガの役を被せることを否定する資格は、ジャングルポケットにはない。
だが、東京2400メートルの勝者に注がれるだけの、ジャングルポケット自身を透過していく呼び名が今の一瞬あまりにも耐え難かった。
和解を求めた華奢な手が重なる。
その先にあるのが訣別だと直感したから、膝を腕に押し込んだ。
「“タキオン”、なあ、タキオン、」
──”オペラオー。”
「俺を見ろよ!タキオン!」
──“私を見なさい“
だからまた、紫の中に赤い狂気を探す。
「アヤベさ、アヤベ、さん、もっ、と」
──“ポッケくん、もう少しだけ、”
中山2000メートルの勝者は、酸素を求めて笑った。 - 47二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 20:42:30
天才ってよく言われない?
- 48二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 20:42:46
エグ重素晴らしい
- 49二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 20:44:17
愛と憐憫と同族嫌悪の吊り橋で踊るポケオペ良すぎる
- 50124/03/23(土) 20:44:48
みんなもポケオペ、書こう!
- 51124/03/23(土) 21:18:31
- 52二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 22:48:23
スレブクマした
- 53二次元好きの匿名さん24/03/24(日) 00:03:41
フジにもとばっちりきてないこれ?
- 54二次元好きの匿名さん24/03/24(日) 01:58:04
- 5554初めて書いたよやっちった24/03/24(日) 02:06:21
- 56二次元好きの匿名さん24/03/24(日) 02:36:17
近年稀に見る神>>1がいると聞いて
- 57124/03/24(日) 04:59:11
- 58二次元好きの匿名さん24/03/24(日) 07:35:21
反対に「君が獲った首代は誰のものだと?」って掴んだ手を首にかけさせるのもいいんじゃねえかな
- 59124/03/24(日) 10:59:57
ただの片思いだったのにお互いを巻き込んだせいで相手に執着も芽生えてねじくれた感情は告白して吹っ切れることもできない
責任転嫁とわかっていながら募る愛憎を見せてくれよ - 605424/03/24(日) 11:07:32
- 61二次元好きの匿名さん24/03/24(日) 17:11:52
- 621(61)24/03/24(日) 17:13:58
- 63二次元好きの匿名さん24/03/24(日) 17:32:56
映画でポケオペ流行ったら嬉しい
- 64二次元好きの匿名さん24/03/24(日) 18:21:01
なんていい概念だ
どっちも待ってる - 65124/03/25(月) 05:18:40
無人の脱衣所にて、テイエムオペラオーは今日の痕跡に触れた。休日でもなければ誰かに見咎められていた呼吸を奪う激情を、鏡越しに睥睨した。
ジャングルポケットが誰に向けてその爪痕を残そうとしたのかがわかっていた。その為に今テイエムオペラオーは軽蔑を向けている。
『“アヤベさん”』
呼吸を許さない口付けに溺れ、引き倒されたまま水底に沈むよう。岸辺の写真など見えなくなるほど深く、目を瞑って愚にもつかない妄想に逃げる。最初からお互いの望みはそうだった。その上で、元はといえばそんな醜態の演目に己を引き摺り込んだのはジャングルポケットでありながら!
(……いや、止めなかったボクもか)
テイエムオペラオーも最初は喜劇のように走って笑って幕にするつもりだった。
直後に触れた唇への拒否感、思わず見開いた目に映る、他の誰かの形を探す眼差しが、矜持に泥を投げつけた。
──このテイエムオペラオーを。
代役にした。
よぎる激憤、されど我が身と同じ温もりのせいで悟った。
人知れぬ涙では済まされないと。どうやったって何をしたってソレが付き纏う。目を閉じて手を伸ばせば、一等星の幻があった。 - 66124/03/25(月) 05:18:57
『タキオン、なあ、タキオン、』
最終的に、テイエムオペラオーは拒絶しなかった。
“テイエムオペラオー”を求めない、アドマイヤベガによく似た目を暗幕の向こうに追いやれば、残るのは尚も触れる熱。
そこに重ねた空想がジャングルポケットの探索の対価になっていたのだから、もはやテイエムオペラオー咎め立てされる謂れはない。元より、横恋慕の舐め合い以外のなんだというのだろう。
『俺を見ろよ!タキオン!』
赫怒にたぎる目が不貞を咎めるさまが、なんになるというのか。テイエムオペラオーはどこか遠くから見ているような気でいた。首ったけの激情の矛先が一つだけではない、だからこそ。
目を瞑らない限りまた“アドマイヤベガ”が遠くに手を伸ばしている、その演目を変えようとは思わない。変えられるとも思えない。
今はただ、妄執の名残をなぞる。
アグネスタキオンの代替だというのなら、アドマイヤベガの虚像でいるがいい。生涯そうして、この首を締めていろ。
テイエムオペラオーは、鏡像を審美することも忘れていた。 - 67二次元好きの匿名さん24/03/25(月) 07:26:30
天才
- 68二次元好きの匿名さん24/03/25(月) 16:51:24
オペラオーの方が年下なのなんか良いよね…
- 69二次元好きの匿名さん24/03/25(月) 16:58:00
傷の舐め合いっていうか抉り合いなの堪らないねぇ
- 70二次元好きの匿名さん24/03/25(月) 19:56:19
同じ光を見た。
背格好も、性格も、走る姿も、何もかも。ひとつも似通うところはなく、唯一共通点といえば、ダービーウマ娘ということだけのはずなのに。
テイエムオペラオーは、ジャングルポケットの中にアドマイヤベガの光を見た。
「_________……」
口が、あってはならない動きをしたので、不自然にひくついた。"それ"を言ったらもう戻れないと、直感が告げる。
『"最強"はオレだ』
『お前を倒して証明してみせる』
あの日、真正面から宣戦布告を受けた日。瞳の奥に、密林の奥に、一等星と同じ輝きがあったのだ。チカ、と僅かな光だが、気づくには十分だった。
ジャングルポケットがアドマイヤベガと同じなのか、アドマイヤベガがジャングルポケットと同じなのかは分からない。しかし、さほど問題ではない。
『ああ、喜んで受けて立とう』
嬉しかった。嬉しかったのだ。気分が高揚した、血が滾った、魂が震えた!
きっと、もう二度と手に入らないものだとどこかで悟っていたのだろう。"それ"を満たしたのがメイショウドトウでもなくナリタトップロードでもなく、何故ジャングルポケットだったのかは分からない。
たとえ、どれだけ分からないことだらけでも、事実としてジャングルポケットは無意識の渇きを潤した。
もう、渇いていた頃には戻れない。
「……」
寮の共有スペースにあるソファで、すうすうと穏やかな寝息を立てているジャングルポケットに近づく。
彼女を慕っている子達が掛けたのであろうブランケットがずり落ちている。
「……君は」
奥底にある、どろりとした得体の知れない欲望をテイエムオペラオーはよく理解していた。褒められたものではないことも。
しかし、世紀末覇王は酷く強欲でもあった。 - 71二次元好きの匿名さん24/03/25(月) 19:56:39
ブランケットをそっと肩まで引き上げる。傍から見れば、ライバルがうっかり身体を冷やさないよう気遣っている優しいウマ娘だろう。
しかし、果たしてこの顔は、気遣う優しい顔なのか。否、否。もう二度と、あの渇望を味わうものかと、我武者羅にしがみついていた。
同じ光を見た。
背格好も、性格も、走る姿も、何もかも。ひとつも似通うところはなく、唯一共通点といえば、ダービーウマ娘ということだけのはずなのに。
テイエムオペラオーは、ジャングルポケットの中にアドマイヤベガの光を見た。
堕ちてくれるなと、名前をつけてはいけない感情を、抱いていた。 - 72二次元好きの匿名さん24/03/25(月) 20:13:33
99世代と01世代は各々くんずほぐれつすればすれば良いし、ポケオペもポケトプもタキアヤもカフェオペもカフェトプだってある
- 73二次元好きの匿名さん24/03/25(月) 20:15:05
- 74124/03/25(月) 21:23:18
- 7570&7124/03/25(月) 23:12:06
- 76124/03/25(月) 23:28:31
- 77二次元好きの匿名さん24/03/25(月) 23:32:35
アヤベさんとオペ、タキオンとポッケの間には恋だけでなく確かに友情もあるんだけど、オペとポッケはどこまで行っても王者と挑戦者でしかないからどうしようもないヒリヒリ感が付き纏ってて良い
- 78二次元好きの匿名さん24/03/25(月) 23:48:21
しゅんごい捗る神スレ
- 79二次元好きの匿名さん24/03/25(月) 23:57:18
2周年CMの手ぱしーんを見て可能性を感じていた
素晴らしいSSをありがとう - 805424/03/26(火) 00:38:35
「ちょっと遠いが行ってみてぇ店があってな!」
意外な人物からの急なお誘いや、タキオンと名を間違えられたことにオペラオーは全く動じず快諾し、話が進む。静寂な空間咆哮者と歌劇王の楽しそうな声が教室の隅にまで、一つの曲を作り上げていくように響いていく。この2人はこんなに親しかっただろうか。こんなに距離が近かっただろうか。いろんな疑問が沸いてくる。ただ、一つだけ間違いないことがあるとすればあの桃色の勇者がいれば狂喜乱舞するであろう光景が広がっている、ということだけだ。
「サンキュータキオン!!じゃあ20分後正門集合な!俺着替えてくるから!」
混乱の渦にいるクラスメイト達をおいて事の発端ジャングルポケットは嵐のような速さで去っていき、荷物をまとめ数分の差でオペラオーもこの教室を出ていった。
- 815424/03/26(火) 01:01:38
二歩目、踏み出してみました…!
自分の想像を言葉にするのって難しいですね…1さんや70&71さんみたいにうまく言語化出来るようになりたいです!!
三歩目は…上手いこと続きが言語化出来たら書く出来るように努力します!習うより慣れろだ自分!! - 82124/03/26(火) 06:55:36
- 83二次元好きの匿名さん24/03/26(火) 09:13:48
どちらも(ポケはまだ未実装だが恐らく)根が心底明るい性格してるからこそ、この湿度の高さが映えるんだなと噛み締めている
ポケオペに目覚めました - 84二次元好きの匿名さん24/03/26(火) 19:04:07
タキオンの眼中には入れず、オペラオーはドトウに持って行かれたポッケの二重NTRってあり?
- 8570&7124/03/26(火) 20:01:38
- 86124/03/26(火) 20:27:58
絵も見れて最高じゃねえか!!
- 87二次元好きの匿名さん24/03/26(火) 20:32:32
ポケオペのポッケからは薔薇の香りがふんわりしてしまうんやろなぁ
そしてそれをただの興味本位で成分名で言い当てるタキオンや、99年世代かつポッケのルームメイトだからこそ「似てる香り」と思うトプロもいると思うと味わいが深い - 88二次元好きの匿名さん24/03/26(火) 20:52:02
>>85待ってるぞーい
- 89二次元好きの匿名さん24/03/26(火) 23:07:29
- 90二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 07:52:48
- 91二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 18:56:36
ほー
- 92二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 19:36:57
普通にいちゃつかなそうなのがいいな
- 93二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 21:07:41
ひょんなとこから不仲だと噂されるポケオペ。
ある日トプロが寮部屋に帰ってくると、部屋の相方であるポッケのベッドの下になにか光る物が。手に取りよく見てみると、どこか見覚えのある緑色の飾りだった。
みたいなシチュが私性合。ただパッと出た思いつきだからその後のことは特に考えてない - 94二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 21:10:15
- 95二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 21:46:11
普段は相手のことをそれぞれタキオン・アドマイヤベガだと思い込んでいるので、普通のウマ娘カップルのような甘い雰囲気を漂わせながら、傍から見るとどこか噛み合わない会話を繰り広げる2人。
定期的に正気に戻ると、相手に想い人の幻想を押し付けていることに気付いて罪悪感に押しつぶされそうになりながらも幻想に囚われていた間の幸せな時間を忘れられなくて、謝りながらも必死に相手の胸に縋りついていたりする。
正気に戻るタイミングが同じだと互いに縋り合って謝罪し続けるし、片方だけが正気に戻ると「大好きな人が何故か泣きそうな顔で必死に誤ってくる」ので優しい顔でその頭を撫でてあげることになる - 96二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 21:48:17
ウマcpでは珍しい殺伐さと痛々しさが同居してて目覚めた
- 97二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 21:52:12
二人ともプライド高そうだから相手から自分ではない誰かを求められるのめちゃくちゃ嫌いそう
でもお互い様だから何も言えないんだよね… - 98二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 21:52:35
- 99二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 22:16:21
RTTTで救済があったアヤベがその地続きである映画で影も形もなく鬼が宿った覇王オペがいて、タキオンはタキオンで史実通り皐月後は走らなくなる展開っぽいの、このCP的に美味しいと言えばいいのかどうか戸惑われるなあ
でもこの関係性が生み出す閉塞感がたまらない… - 100二次元好きの匿名さん24/03/28(木) 02:37:01
保守
- 101124/03/28(木) 05:28:22
何重にも混ざり合うお喋りの隙間に食器の音が混ざるカフェテリア。
「…相席、いいかしら」
ジャングルポケットは了承して顔を上げると、丸く目を開いた。
「ありがとう。使わせてもらうわ」
静かにトレイを置き、正面に座ったのがアドマイヤベガだったからだ。ジャングルポケットの箸と茶碗が音を立てた。
手を合わせて黙々とアドマイヤベガは食事を始めた。所作は丁寧で育ちの良さを伺わせるが、それに反して気まずい様子ではあったものの正面の相手をちらちらと伺っていた。
「何見てんだよ」
対するジャングルポケットは胸中に不穏当な熾火が燻り始めているのを感じていた。アドマイヤベガ。自身の二つ上の“ダービーウマ娘”。菊花賞を最後にトゥインクル・シリーズを去った、テイエムオペラオーの同期。ダブルティアラウマ娘を母に持ちクラシック期までは誰よりも嘱望を浴びていた──そして菊花賞以来、レースには出走していない。 - 102124/03/28(木) 05:29:01
確かに彼女はテイエムオペラオーにとっては、自身にとってのアグネスタキオンと同じなのだろう、とジャングルポケットは辛うじての良識で顔は歪めずに思う。そして、だからこそ彼女達二人はあの形に実を結び、熟れていつかは腐り落ちる。
その責任をアドマイヤベガとアグネスタキオンは当然、当人以外に問うことはできないがしかしジャングルポケットにとって、態々アドマイヤベガが聞きにくるだろうことはそれ以外に思いつかず、そして彼女にはなおのこと、二人の逢瀬に立ち入られたくなかった。
「…………その」
やはりアドマイヤベガは話しづらそうにしていたが、それは単に言いづらいだけに収まらず、面倒臭いという含みがあるように見える。
「変な噂はさっさと否定した方がいいわ。あなたとオペラオー、付き合ってることになってるから」
心底面倒臭い、そんな様子で言い終えたアドマイヤベガは空になった食器を乗せたトレイを持って立ち去ろうとした。その手をジャングルポケットが掴む。 - 103124/03/28(木) 05:29:31
「…何言ってんだよテメェ」
逃すな、と直感が言っていた。的外れでありながら事実の一端を掴んだ噂話を、逃してはならない。レース中の駆け引きのように、神経が張り詰める。
がしゃんと食器が鳴った。
「…だから言いたくなかったのに」
予想していたことだったのだろう。アドマイヤベガは再び座って、話し始めた。
「だから、そういう…あなたとオペラオーが恋人だって噂が立ってるから。学園の外に漏れたりしたらどうするつもり?」
アドマイヤベガにとって面倒な説明に変わりなく、若干険のある物言いになっていた。
「あいつに言えよ」
だが、それがもたらしたのは奇妙な興奮だった。まるで、レース展開を読み切った瞬間のような。
「もう言ったわ。まるで聞いてなかったからあなたにも言っているの」
面倒臭い、以外の色は一切伺えない挙措に音は無い。にも関わらず、府中を満たした大歓声がそこにある。
そのあとは何か、生返事をした気がするがジャングルポケットは覚えていない。
ただその後にテイエムオペラオーからの呼び出しがあったことだけが重要だった。 - 104124/03/28(木) 05:31:36
夜半、栗東寮裏手。外出届を求める者は寮の外、それ以外は夢の中。その空隙に二人はいた。
「やあ、“ポッケさん”。夜にすまないね」
澄んだ冷たい空気が茂みの中でだけ沈んでいる。温もりがわかるほど側に寄ったジャングルポケットに、テイエムオペラオーはそうつげて向き直った。
「──敢えて単刀直入に言おう。もうこうして会うのはやめだ」
紫の瞳が揺れている。
「噂は聞いただろう?ああいうのは今後に障る」
昼間の面倒そうな姿を思い出す。
どこまでもそれ以上のもののない態度を。
「気が引けなかったんだろ」
「違う!──元々駆け引きのつもりはないが、こんなのはただ──」
語気が荒れ、耳が絞られる。言葉を躊躇って浅い呼吸が溢れた。
「ただ──見苦しい、じゃないか」
悲鳴のように絞り出された言葉はそのまま涙を引き摺り出そうとしていた。
あの忠告を聞いた瞬間、その声音の中に嫉妬を探した自分自身にテイエムオペラオーは気がついた。その浅ましさにも。
更にはその逆の妄想をジャングルポケットに押し付けていることが一気に悍ましく見えた。
「もうたくさんだ、もう疲れた、こんな醜い真似がこれ以上できるわけないだろう!?」 - 105124/03/28(木) 05:32:02
テイエムオペラオーはジャングルポケットを見つめ、歪みそうな視界の中鏡像のように彼女は映る。
「言いてぇのはそれだけか?」
「あぁ、悪くなかったとお互い言えるうちに辞めるのが身のためだ」
上擦りかかった声で続けるテイエムオペラオーを、ジャングルポケットは笑った。直情な節のある彼女らしくないとテイエムオペラオーが訝しんだ時には、勝敗は決していた。
「じゃあコレはなんだよ?」
下を向く。
瞬間、指さす先に蒼ざめる。
「──違ッ、」
追い縋って袖を引くように、尻尾がのびていた。動揺のままぐらりと体が揺れる。正面に広がった暗黒の夜に、ジャングルポケットの寂しげな目がまるで星のように光っていた。
「なぁ──タキオンは心配もしなかった」
かっと心臓が燃え立つ。
憐憫よりも困惑よりも、憎悪が勝った。ジャングルポケットが憎らしい。彼女にアドマイヤベガを求めていながら、アグネスタキオンばかり求められるのが憎らしい──
──なんと、陋劣な。浅ましい、卑しい。
「離せ!」
睨めあげ、体勢を覆そうともがく姿はとんでもない絶景だった。あのマッチレースの叩き合いとは違う愉悦がやっと、ジャングルポケットの何かを満たした。
「っはは、やっとこっち見たよなぁ!?」
獰猛な黄金色の目は星影の清浄さとは程遠く、持ち込まれた駆け引きに負けたことをテイエムオペラオーは悟る。だがその敗戦に歓喜している自分自身に身震いした。ジャングルポケットが笑っている。他ならぬテイエムオペラオーの首級を掲げて悦んでいる、そうして顔を掴まれ交わす口付けが爛熟した果実のように甘い。
もうこれでいいと投げ出しそうになる思考を必死に繋ぎ止めて、空の星を探していた。 - 106124/03/28(木) 05:33:28
両思いにならねーかなと思ったけど難しいな
- 107二次元好きの匿名さん24/03/28(木) 08:29:27
悪いポッケと可哀想可愛いなオペとてもいい…
天才の巣窟
もっとくれください - 108二次元好きの匿名さん24/03/28(木) 13:02:28
オペとタキオンって全然似てないと思ってたけど、オペかタキオンかクイズが出来るぐらいには似てるんだね。これは色々と捗る
- 109二次元好きの匿名さん24/03/28(木) 14:59:44
関係をずっと続けてきたのに初めてお互いの好きなものとか癖を知って愛が芽生えるのもいいし結局終わらない倒錯がまた始まってもいいですね
- 110二次元好きの匿名さん24/03/28(木) 20:09:47
もっとたくさんポケオペみたい
- 111二次元好きの匿名さん24/03/28(木) 20:18:26
- 112二次元好きの匿名さん24/03/28(木) 20:40:00
幼子みたいに泣きじゃくるオペからしか取れない栄養はあると思う
- 113二次元好きの匿名さん24/03/29(金) 04:13:06
- 114二次元好きの匿名さん24/03/29(金) 12:15:08
ポケオペほんと癖に刺さる。書きたい
- 115124/03/29(金) 19:28:15
- 116二次元好きの匿名さん24/03/29(金) 19:43:41
- 117二次元好きの匿名さん24/03/29(金) 19:51:07
トプアヤの結婚式後のオペに出会ってあまりの意気消沈ぶりに思わず飲みに誘ってしまったポッケと、途中までは持ち前の演技力で取り繕ってるけど思ったより酔いが回るのが早くて知らずのうちに泣き始めるオペか…
いいね
- 118二次元好きの匿名さん24/03/29(金) 20:30:36
ポケオペは健康に良い
万病に効く - 11911424/03/30(土) 00:07:24
練習を終えた帰り道、中庭から臨む校舎の窓に映った跳ねた栗色の髪と漆黒嫋やかな長髪が視界の端を連れ立って通り過ぎていく。見間違える事など、出来ようものか。密林の奥に潜む力強い瞳に、炎が宿る。アグネスタキオン。皐月賞以来再戦を願って止まない、ジャングルポケットの未練そのもの。だが、何度も渡した果たし状が実を結ぶ事は無く、つまらなそうに目を細めるだけの反応しか返さない彼女に、ジャングルポケットは幾度も拳を握り締めてきた。
彼女が勝負を受けない理由は、分かっている。だからこそ、身の中に残る種火は未だ燻り続けているのだ。
既に彼女達の尻尾の影すら遠ざかって見えない中、その場から動けずにいる背にコツリと足音が響く。
「あ……」
思いがけず漏れたであろう声を耳にし、驚きでピンと立った両耳と共に弾けるように振り向いては先の人影を捉えたジャングルポケットは、ひゅ……と息を呑んだ。
「あんたは……」
「どうも……」
普段の生活では恐らく全く噛み合わない性格の者同士だと理解しているからか、歯切れ悪く挨拶したアドマイヤベガは、視線を彷徨わせながら歩み寄る。尻尾と同じく流れ動く長い髪が美しい軌跡を描いた。 - 12011424/03/30(土) 00:08:13
「珍しいな。アヤベさんが話しかけてくるなんてよ。俺になにか用でもあんのか?」
表向きは軽妙に、けれども遠回しに牽制したジャングルポケットの問いかけ。愁いを帯びた瞳を瞬かせた少女はその棘に気づきもせず、俯き加減に緩く首を横に振った。
「ないわ。ないけど……そういう気迫は、もう少し抑えておいた方が良いと思う。他の娘達が怯えてしまうわよ」
今は私しかいないから、いいけど。そう付け足したアドマイヤベガの言葉に、二度三度目を瞬かせる。
「…………へぇ」
長らく休養していると言えども、クラシック戦線で鎬を削りG1を制した実力は伊達では無いのだろう。自身が発する張り詰めたオーラを感じ取った目前のウマ娘に、ジャングルポケットはやれやれと肩を竦めた。
「あんた、俺の事苦手なんだと思ってたぜ。それとも、意外と面倒見がいいのか?」
そういえば同室はウマスタで有名なカレンだったか。彼女を毎日相手にしているのであれば成る程納得だと軽やかな笑みを浮かべたジャングルポケットに、少女はムッと眉根を寄せる。 - 12111424/03/30(土) 00:08:59
「失礼ね。騒がしいのがあまり得意じゃないだけよ。でもそうね……声をかけたのは"同じダービーウマ娘"のよしみ。って言うと、なんだか不思議だけど……うん。それが一番近いかも知れない」
「――――」
呆れを滲ませながらも小さくはにかむアドマイヤベガの語る言葉に、一瞬思考が停止する。ドクリと心臓が大きく跳ねた。同じ、ダービーウマ娘。脳内で反芻する度頬は強張り、指先がどんどんと冷たくなる痺れるような感覚に、思わず奥歯を強く強く噛み締める。
これが同室であるトップロードや、同世代であるカフェからの言葉であれば、ジャングルポケットは己の器の小ささを恥じただろう。他のダービーウマ娘からなら尚更、自身の弱さを突きつけられたと感じた筈だ。だが、彼女は違う。彼女だけは……アドマイヤベガからだけは、到底見過ごす事など出来ない。ジャングルポケットの肩からスクールバッグがドサリと落ちる。同じ、ダービーを勝ち取った者。その言葉が心に深くのし掛かる。
(ああ、他の誰でもないあんたが……お前がそれを言うのか)
頭で考えるより先に足が、腕が動く。ジャングルポケットのただならぬ変化に気付いたアドマイヤベガだったが、一歩遅い。瞬く間に壁へと追いやられた少女を逃がすまいと、ジャングルポケットは掌を勢いよく壁面に押しつけ退路を封じる。
「俺は、勝ちてぇだけだ。あの春、俺を蹴散らしたあいつに。届かなかったタキオンに。それとも、あんたが俺と走ってくれんのか?」
あいつと走ってやらない、あんたが。
その言葉だけはなんとか飲み込んで、代わりに下唇を噛んだジャングルポケットは唸るように威嚇した。呼吸を忘れ、ただ一点を見据える獰猛な光が一等星を射貫く。殺気とすら呼べる程に研ぎ澄まされた気配に気圧されたアドマイヤベガの耳が、僅かに下がった。 - 12211424/03/30(土) 00:10:01
「わ、私は……」
言い淀み、言葉を紡ごうとも形にならない唇を戦慄かせた長い鹿毛色の髪に影が落ちる。獲物を狙うジャガーの如き真っ直ぐな視線に耐えられないと自らの左肘を掴んだアドマイヤベガの右手に力が込められた。落ちた視線の先にある手の震えを目にしたジャングルポケットに、暫くぶりの呼吸が戻る。
「――悪ぃ、アヤベさん。言い過ぎた」
取り繕った謝罪の言葉と共にするりと離れ、落としたスクールバッグを拾い上げたジャングルポケットは振り返りもせずに踵を鳴らした。
「あんたからのアドバイス、肝に銘じとくぜ」
ヒラヒラと手を振り足早に去って行くウェーブがかった髪に一言もかけられないまま、取り残されたアドマイヤベガはその背中を呆然と見つめ続けていた。 - 12311424/03/30(土) 00:11:32
彼女から逃げるように去り、漸く一人となったジャングルポケットの口から後悔の溜息が滑り落ちる。
「なにやってんだよ……」
彼女が走れない理由など、知らない訳がないのだ。療養中に無茶をすればどうなるか。そんなもの、ウマ娘ならば誰もが分かっている。自分も、あいつも。だというのに、昂ぶった感情を制御出来ぬまま、見苦しい嫉妬に駆られた姿を曝け出してしまった自身に苛立ちがおさまらない。
「――くそっ。だっせぇな……俺」
ぐしゃりと頭を掻き、自己嫌悪でむしゃくしゃしてしまう己を叱る。未だ激情冷めやらぬ動悸を落ち着かせる為に、大きく息を吸い込む。何度目かの深呼吸の後、ふと視線を上げた。
時間は夕方。いわゆる、黄昏時。この時間だからこそ、その輪郭すらはっきりと捉える事が出来る太陽を、ジャングルポケットは目に焼き付ける。真昼であれば目が潰れてしまう輝きを放つそれは既に翳り、夕闇に連れ去られる最中であってもなお鮮烈な色をたたえていた。そんな落陽によく似た、夕日色の髪がジャングルポケットの脳裏に過る。
今はただ、どうしようもなく。
会いたい。オペラオーに。
突き動かされる衝動のまま、足が自然と動いた。 - 124二次元好きの匿名さん24/03/30(土) 08:08:54
- 125124/03/30(土) 09:17:00
- 126二次元好きの匿名さん24/03/30(土) 10:26:47
- 127二次元好きの匿名さん24/03/30(土) 21:01:18
保守
- 128二次元好きの匿名さん24/03/30(土) 21:02:07
オペもポッケもライバルが自分を見てくれなかったことが発端だからお互い自分を代わりにする相手に同情しつつも憎らしく思ってると良いよね…
- 12970&71&8524/03/31(日) 00:34:45
ジャングルポケットは走っていた。
一心不乱に、ひたすらに、しかし決して盲目的ではなく、我を忘れることもなく。
思い描くのはただ1つ。東京芝2400m左回り。
最終コーナーを回って、ラストスパート。呼吸すら置き去りにして、自慢の末脚を轟かせて。
ヒュウ、と頬を切る風は、またひとつ無責任な予感を芽生えさせた。
「……っあぁ!」
走りきって、勢いそのままターフに倒れ込む。冬の準備を着々と進める空気は澄み渡り、火照った身体をじわりと冷やす。すっかり日が落ちたこの時間帯ならばと思ったが、無駄だった。胸の奥底の火花は、いつまで経っても消えやしない。
酸素が足りない。視界が不愉快に薄れて、せめてもと瞼を下ろせば、ああ、しまったと後悔する。隙を見せれば、あの日の景色が思考を蝕んで止まないのだ。
『"最強"はオレだ』
『お前を倒して証明してみせる』
気づいたら、宣戦布告をしていた。
一途で、高慢で、やたらとターフのその先を見ている姿勢が、気に食わなかった。
アグネスタキオンに重なって、胸焼けがした。
勝利の先を当たり前のように見つめているのが気に食わねぇ。"次"を見ているのが、気に食わねぇ。テメェが今立っているのは、未知数の未来じゃねぇ。"今"だろうが。そんな未来、オレが勝って粉々に砕いてやる。
ある種、八つ当たりだった。よりにもよって、歴戦練磨の覇王に。しかし、しかし……それほど、無我夢中だったのだ。
……目が、合った。ゆらりと、色が変わって。
『ああ、喜んで受けて立とう』
胸の奥で、ガチリと耳障りな音を立てて、歪に噛み合った。
テイエムオペラオーは、ジャングルポケットの飢えを満たした。満たしてしまった。欲しかった"それ"を、溢れんばかりに与えてしまった。
ジャングルポケットは、未来永劫、求めることすら許されない宿願を、身勝手に重ねて、酔い痴れた。 - 13070&71&8524/03/31(日) 00:35:16
ジャングルポケットは夢想する。
あの走りをねじ伏せたのなら、どんな顔をするのだろうか。
あの喉元を噛みちぎったら、どんな味なのだろうか。
他を喰らい尽くさんとするあのギラつきを呑み込んでやったら、この眼にはどんな景色が映るのだろうか。
それは、果たしてかつての宿願の答えになり得るのだろうか。
おもむろに瞼を上げる。幾分か冴えた視界は、己の愚かさを窘めているようで、ずしりと重くのしかかった。
「ハッ……」
図らずも、乾いた笑いが零れる。
テイエムオペラオーは非常に聡い。こちらをどこまで見通しているのか、あの瞳にどこまで暴かれているのか、分からない。
どうか、気づいてくれるな。手遅れならば、1度だけ見逃してほしい。
この飢えには、どうあっても抗えない。
「……クソッ」
その日を夢見て、ジャングルポケットは走り出す。
思い描くのはただ1つ。東京芝2400m左回り。全てを抜き去り、喰らい尽くして、真に満たされるその日まで。 - 131二次元好きの匿名さん24/03/31(日) 11:34:03
素晴らしい01JC前日譚…
もうこちらを見ることはないと思っていた宿敵の視線が重なって"叶った"時の高揚と喪失を思うと、とても、いい - 132二次元好きの匿名さん24/03/31(日) 18:34:11
この鬱屈感最高。先にその苦しさに耐えられなくなるのはポッケで、その時オペ自身に執着している自分に気づいて欲しい
オペは元々演技の合間に人生やってるから幻影を見る事に苦しみを感じないけど、だからこそ覇王らしからぬ感情への折り合いがつけられなくてポッケに依存してて欲しい。覇王でも歌劇王でもない姿をポッケだけに見せるオペはとても美味しい
- 133129&13024/03/31(日) 23:24:54
- 134二次元好きの匿名さん24/04/01(月) 00:05:41
- 135二次元好きの匿名さん24/04/01(月) 00:25:14
- 136二次元好きの匿名さん24/04/01(月) 08:26:36
あ~いいっすね
- 137二次元好きの匿名さん24/04/01(月) 16:19:59
保守
- 138二次元好きの匿名さん24/04/01(月) 23:51:03
保守
- 139二次元好きの匿名さん24/04/02(火) 00:03:48
- 1401(125)24/04/02(火) 07:59:58
色とりどりのフラワーシャワーの下を、純白の二人が潜り抜ける。
テイエムオペラオーは笑いながら花を投げていた。
ただその隙のない朗らかな表情が、きっとジャングルポケットにだけはいつか見た泣きそうな顔に映っていた。だから彼女を一人だけ連れ出して、家の座卓に出せるだけ酒を並べた。或いは何か、同情ならざるものを載せていたのだろうか。それは彼女にも判らないまま、直感だけが呼んでいた。
缶を開けていくほど、仮面の堅牢さを保つためか口数が減っていくことが普段以上に喉を渇かす。ジャングルポケットの知らない歳月が一線を引かせていた。それでも彼女が席を立たないでいることが、嬉しかった。二人の間にあの秘密を介さない話題は少なくて、対岸の祝宴とは比べるべくもない静寂が広がっているのだろう。
自分から話を切り出すつもりはなかった。酔って散乱する脳ははっきりした理由を述べないが、とにかく彼女自身に曝け出して欲しかった。もしかしたら、過去に交わした逢瀬のように。
呑んで、片付けて、つまみになりそうなものを出す。繰り返す。座卓の向こう側で真っ赤な顔がゆらゆら揺れる。飲ませすぎたと判断した時、ぐらりと横倒しになった。
「大丈夫か!?」
咄嗟に出た大声が堪えたらしく彼女は目を瞑って耳を掴んでいた。沈黙を選んだ姿を見て、ごくりと喉が鳴った。
「……ぁ、」
それが獲物に飢えた獣の息だと気づく。
「悪、い、飲ませ、すぎた」
謝りながら、勝手に落胆している自分に呆然とする。いつか慰めあったようにと都合のいいところを思い出しながら、結局は卒業の日に出て行った彼女の腕を掴んで、傷を抉りあった日々に帰ろうとしていた。
テイエムオペラオーは悟っていたのかもしれない。きっとそれで何も話そうとはしなかったのだろう。 - 1411(125)24/04/02(火) 08:00:30
こころよい酩酊はすでに吹き飛んで、頭痛の気配がするが、彼女の方が酷そうだ。こんなことをするべきではなかったと罪悪感に従って水を取って来ようと立ち上がった足が、掴まれた。
「──……」
全く呂律が回っておらず、聞き取れない。手を払って水を取って来た方がいいのだと理解していた。
「あんたの話を聞かせてくれよ」
今聞かなくては、また自分たちは引き返せない場所に行くのだろうと、そんな気がして彼女をそっと抱き起こした。重たげな体が縋るように、凭れ掛かって、そうしてむずかるように。
「…ぅ、ぐす、ぅぇ、ああ──────!!」
テイエムオペラオーが泣いていた。胸元に縋りついて、子供の癇癪のように泣いていた。固まったジャングルポケットを抱きしめて、叩いて、ひたすらに泣いている。
「ばか、ばか、アヤベさんろばかぁ、こんらにうつくひいボクをほっろいて」
「えっ、は?」
「そーおもふらろぽっけしゃん」
頭のどこかが奇妙な冷静さを持って、ばかばかと理不尽な文句を聞いていた。思えばいつも二人きりでいた時、彼女の口は重かった──かつて過ごした、ひどく苦い時間が蘇る。
思えば最初は歪で、それでも同情し合っていたはずだった。
いつからだろうか、“アヤベさん“と呼ばれることを許せないまま“タキオン”と呼び続けていて。
『ボクはターフを去るのだから、君のリヴァルの役も終わるのは当然だろう?』
──妄執の牙で喰いあった日々は、彼女に逃げ切られたと歯噛みして終わった。
聞いていない、置いていくな。怒鳴ろうと襟首を掴もうと覇王は普段の不遜な表情を崩さず、何の未練も見せなかった。彼女の中でこの関係はもう価値がないと、まるでアグネスタキオンの幻影のようにすり抜けた。
それからもジャングルポケットは独りで走り続けたが、飢餓はもう一つ影を負い増して、ターフの上を去ってなおも満たされなかった。
それでも今度こそ、正解を選んだとわかった。決別の瞬間、仮面の下に隠し切られた傷が確かにあったのだと伝わったから。
「タキオンのバカやろ──!!!!勝手にどっかいきやがって!カフェと幸せになぁ!!」
二人でありったけ泣いて叫んで、朝まで眠れば今度こそ、いつの間にか愛しくなっていた片割れと見つめ合えるのだろう。
脱ぎ捨てられて重なった黄色のパーティードレスは、二人で揃いの色だった。 - 1421(125)24/04/02(火) 08:02:50
>>115で借りたネタで書いた、遅かったかもしれないが待ってくれた>>126に感謝
入れ損ねたネタ
・ドレスの色がトプアヤのお色直しと重ならないようになっていたこと。私服の系統が青、勝負服のメインカラーだと白かピンクになるため黄色は99世代で揃った時じゃないと着ない気がする。逆にポケットは世代で揃えると黄色がタキカフェと被りそうで着ない気がするのすごくいい
・ポケットは自分だけわかると思っていたがドトウにもなんとなくわかっちゃったので嫉妬心を感じている瞬間。ドトウが強すぎてドトオペになりかけた。
・過去回想で最後までポケット自身を見なかったり引退の時もドトウを隣に置いてたことへの恨み節。じっとり味に書けたはいいが共依存おかわりになった。追いつけなかったポケットは傷も喜びも欲しい独占欲が芽生えてたら美味しいし、振り向いてもらえなかったオペラオーは全部見られる被虐欲に目覚めてたら私性合
失った挑戦権を再び得る夢に抗えないポケットをありがとう…最高
- 143二次元好きの匿名さん24/04/02(火) 11:15:47
- 144二次元好きの匿名さん24/04/02(火) 12:31:22
- 145二次元好きの匿名さん24/04/02(火) 18:31:35
さっさとけじめつけて幸せになってほしい気持ちとずっと泥沼で酸欠になっててほしい気持ちが混同している
それはそうと例えくっついたとしてもふとした時に昔の癖が抜けなくて違う名前を読んでギスるポケオペはいる - 146二次元好きの匿名さん24/04/02(火) 19:56:33
- 147二次元好きの匿名さん24/04/02(火) 21:30:33
- 148二次元好きの匿名さん24/04/02(火) 23:31:02
オペが夜遅くなったポッケを半分寝ながら待ってて、いざ帰ってきた時に誤ってあやべさんって言ってしまってすぐ気づいて謝るけど、疲れもあって幻視の抜け切らないオペにいらついてわざとタキオンって呼びながらキスするけど傷付いた目をしながら何も言えないオペを見て我に返って「悪い…」って言うポッケまで見えt
- 149124/04/03(水) 00:57:04
- 150二次元好きの匿名さん24/04/03(水) 07:31:01
- 151二次元好きの匿名さん24/04/03(水) 18:13:34
どっち側でもめちゃくちゃ似合う事間違いなしだからこの二人のドロワ見てみたい
- 152二次元好きの匿名さん24/04/03(水) 18:27:14
- 153124/04/03(水) 20:37:36
- 154二次元好きの匿名さん24/04/03(水) 23:43:12
- 155二次元好きの匿名さん24/04/04(木) 07:37:40
ほ
- 1565424/04/04(木) 18:28:46
- 157二次元好きの匿名さん24/04/05(金) 00:08:59
ポケオペをいちゃいちゃさせたいけどどう頑張っても殺伐か病んでる感じにしかならなくて困る
そこがこの二人の良いところでもあるんだが - 158124/04/05(金) 01:44:56
- 159二次元好きの匿名さん24/04/05(金) 12:29:00
ポケオペは推定高1と中3ってのがいい
身長は2cm、BWは1cmオペのが小さいのもいい - 160二次元好きの匿名さん24/04/05(金) 21:00:58
- 161二次元好きの匿名さん24/04/05(金) 21:53:25
- 162二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 07:46:39
ほ
- 1631(141)24/04/06(土) 12:16:48
- 164二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 14:31:34
勉強×…
- 165二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 22:24:58
- 166二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 22:36:55
すいません
その概念持ち込むと
オペラじゃないと頭に入らないオペラオーのために公式をオペラで解説する姉貴とフジ先輩のモノマネをしながらポッケに勉強を教えようとするトプロというお笑い空間に話が変わってしまうんです
- 167二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 23:15:25
157だけど、オペは我が道を行く性格してるけど包容力も半端ないからポッケが素直になったら確かに受け入れてくれそう…!
反対に恥ずかしがるオペすっごい可愛いんだけど、同時に湿度が高すぎるドドウが脳内に乱入してきて収拾がつかなくなってしまう。ドトウ、ステイ
- 168124/04/06(土) 23:16:57
後悔するには遅かった。飲ませ過ぎたし飲み過ぎた。安定を失った視界の中、床の上に彼女が突っ伏している。地獄の釜に落ちたように赤い顔が髪の隙間から覗いて、瞼をぴたりと閉じていた。
ぐる、と喉の奥が唸ったことにジャングルポケット自身も気づくことができないまま、ふらふらと彼女の方へ寄っていく。目的は知らない。卓を挟んで僅か2400分の1を抜ける間に考える。水を持ってこよう。
「ぅん……アヤベ、さん……」
胡乱な理性の働きは、呼ばれ慣れてしまった名前に叩き落とされた。
ひたりと何かが、先を駆ける影ににじり寄る。
「──お前も──なぁ、まだ、そうだったんだよな?」
笑った。不思議なほど穏やかな気分だった。よく知った夢のせいで滲んだ、まだ温かい涙を拭う。やはり未練はそこに抱え込まれている。そうであって欲しかった。ずっと呪っていた。別れ際まで“ポッケさん”とは呼ばなかったくせに二人の過去を感傷で済ませてくれるなと、ジャングルポケットがもう満たされないようにテイエムオペラオーも傷ついていろと、心のどこかでずっと呪っていた。その呪いは成就していたのだ。祝福のように回るアルコールが身を焼いて、何かが少しずつ酩酊の中に溶けていく。
ジャングルポケットはあの日を思い出す──引退セレモニーだ。観衆達は一時代を築いた王者を喝采で送り出す。伝説の幕引きに興奮と寂寥を添えて。だが誰も知らないだろう、知られているものか。ジャングルポケットと絡めた手でメイショウドトウを隣に立たせた、我が無二の騎士よと呼ばわるその口は倒錯したキスを重ねていた、演目を終えて満足げな瞳は遠い星を見ようと揺れていた。その密事はただ二人だけのものだ。アドマイヤベガでもメイショウドトウでもない──俺だけが、あの甘い温もりを勝ち取った。それを払い落とした手を観衆に振っている姿をただ見ているしかできずに、飢餓の奈落に、独りのターフに、また置いていかれた──!
──その下手人が今、同じ奈落で泣いていた。だから息を切らすほど笑って、優しくしてやりたくなった。 - 169124/04/06(土) 23:17:48
飲み残しを干し、彼女を抱えて立つ。ぼやけて揺れる部屋は足元もろくに見えない上に、泥酔した体を急に動かしたら吐くかもしれない。だが、もう汚れてもいいか。茹った頭にはそんな性急さだけが残っていて、アルコールのもたらす頭痛が煩わしい。だって飢えて仕方ないのだから、どうしようもない。一度は得た温もりを失ったせいでより酷く堪えるのだ。そのまま、ふらふらと歩いてベッドに片割れを横たえた。酔夢の中でも泣き続けたのか涙滴が彼女の頬を落ちていく。ごくんと唾を飲み込んだ。舐めたらきっと、また温かく喉を潤してくれる。肌理細かい頬にかぶりつけば甘い果汁が滴ろう。整った鼻筋は歯応えよく砕けるだろう。
「………ん、」
なにより、遥かな夜空の星を透かし見る瞳はぷちりと弾けて喉を潤してくれるはずだ。
「■■■■、起きたか?」
唇を重ねた。それが深くなるほど火照りも悪寒も混濁して、ついさっき誰を呼んだのかも判らないまま背中に回された温もりで満たされていた。 - 1701(168)24/04/06(土) 23:43:04
- 171二次元好きの匿名さん24/04/07(日) 00:38:22
- 172二次元好きの匿名さん24/04/07(日) 01:09:37
共依存は良いねぇリリンの産み出した文化の極みだよ
劇場版新予告の赤いタキオンを見て旧劇場版EVAかな?ってなったスレ違いオタクが一般通過しますね(ただの旧劇好き) - 173二次元好きの匿名さん24/04/07(日) 08:32:26
- 174二次元好きの匿名さん24/04/07(日) 16:35:53
保守
- 17515024/04/07(日) 19:16:12
『悪い、遅くなる』
無造作にメッセージを送ったのが、およそ2時間前。
すっかり出来上がったダチたちを送ったあと、月明かりの濃くなった夜道を急ぐ。
別に、急ぐ必要はない。ただ家に帰るだけだ。約束を取り付けているわけでもなければ、催促があったわけでもない。ただ。
『待っているよ』
長丁場になりそうな席の空気に、遅くまで起きていられない同居人に気を遣って、『先寝てろ』なんて無愛想なメッセージを送ろうとして開いた液晶画面に。既読を待ちわびるように現れたその文字に。柄にもなく、口角をあげてしまったものだから。
「…久々に、一緒に飲むか」
明日はお互い、オフだったはずだ。たまにはいいだろうと緑ネオンの店先に足を向けた。その時だった。
「ポッケさん…?」
「おやぁ!誰かと思えば、久しぶりだねぇ」
音が。色が。明滅して、消えた。
どくん、と音がなった。ウマ娘の聴覚は、夜目の効く視覚は、ひとつも取りこぼしてなどくれなかった。
ふらつかないでください、と窘める声。いいじゃないかといつになく弾んだ声。
それは、再会だった。宿敵と言うにはあまりにも儚くて、好敵手と言うにはあまりにも殺伐としていた。そんな、嘗て三冠を分け合った二人が今、目の前にいる。
「…カフェ、それに──タキオン」
ひさしぶりだな、と。口に出した音は、震えてはいなかったか。汗ばんだ掌は、きっと酔だけのせいではなかった。
「今からお帰りですか?」
「ああ、さっきまでダチと飲んでてな」
「いいねぇ、暇ならもう一軒付き合わないかい?」
「…これ以上酔い潰れたら置いて帰りますけど」
「い〜じゃないか!つれないねぇ。ポッケくんも飲み足りないだろう?」
不思議だった。あれだけ焦がれた姿も。アメジストの奥に探したガーネットも、今ここにあるというのに。
脳裏に浮かぶのは、『待っているよ』と告げる、映し鏡の相手だった。
「…悪いな。明日予定があるんだ。…また今度誘ってくれ」
「…ふぅん?」
不思議そうに首を傾げるその瞳が疑惑に揺れている。それは研究者たる純然な好奇心の色をしていた。勘違いなど、してはいけない。
「そういや、直接言ってなかったな」
顎に手を当てた左手。酔っ払ってふらつく身体を支える左手。お揃いのシルバーリングに込められた意味など、ひとつしかない。
「…二人ともおめでとう、な」
ただ今は、あいつに会いたい。それだけを考えていた。 - 176二次元好きの匿名さん24/04/07(日) 19:16:44
1天才過ぎる。お互いドロドロとした感情を抱え込んだままだった事実に歓喜するポッケの独占欲と執着が非常に私性合
この流れだと、もうポッケは後戻り出来なさそう。二人で幸せな夢()を見て欲しい - 17715024/04/07(日) 19:19:14
気がつけば、玄関の前に立ち尽くしていた。
あれからどうやって帰ってきたかは覚えていない。手ぶらなところを見るに、何食わぬ顔で酒を買って帰る余裕は、なかったようだが。
「…意外と言えるもんだな」
祝福の言葉なんて、一生言うことがないと思っていた。式は挙げないといった二人に安堵した昔の自分なら、きっと逃げ帰っていた。
酔っぱらいのせいか普段見せないような笑みを浮かべたタキオンも、時折牽制するように視線を送ってきていたカフェが僅かに目を瞠った後にはにかんだのも、きっと、思い出になる。思い出に、しなくてはいけない。
「…ただいま」
家にいても鍵はかけとけと釘を刺したおかげで、毎回律儀に閉められている鍵を回して中に入る。
キッチン奥の部屋の明るさに、張り詰めていた緊張が解れていくのを感じた。
汗ばんだままの手のひらを拭って、そっと扉を開ける。
玄関を開けた際物音が聞こえてこなかった時点で、凡そ察しはついていた。
パジャマ姿の同居人が、ソファの上で横になっている。手のひらの下敷きになったスマホは──待って、くれていたのだろう。
王冠も耳飾りも取っ払った寝顔は、いつもよりも幼く見える。あの日見た消え入りそうに憔悴しきった影は、そこにはない。
ああ、そうだ。
俺はこいつに、会いたいと思ったのだ。
「…オペラオー」
近づいて、名前を呼ぶ。なぜだか酷く、新鮮な響きだった。
風邪を引くぞと起こしてやるつもりだった。肩に触れようと手を伸ばした瞬間、伏せられた睫毛が震える。ゆっくりと姿を見せたアメジストが宙を彷徨う。何かを探すようにこちらを見上げた瞳の色に──息を呑んだ。
「”あやべ、さん”……」
それは、夜の星を写していた。
過去に葬ったはずだった、星屑の残骸だった。
「ッ……」
眼前を覆ったのは、炎だった。赤黒く燃え盛る炎が視界を有耶無耶にした。
- 17815024/04/07(日) 19:21:41
気がつけば、その細腕を捕まえてソファに押し付けていた。
見開いたこぼれ落ちそうなアメジストが、こちらを見ている。そこには既に星はいなかった。夜に沈んでもいなかった。驚きと、"しまった"という焦りが、その中に顕在していた。ちがう。すまない。ポッケさん。寝ぼけていたんだ。もういわないから。言い訳を並べ立てる声が、右へ左へと流れていく。
知っていた。その傷が浅くはないことを。癒えてなどいないことを。諦めても、吹っ切れても、前に進んでも、過去に抉るように舐めあった傷は、簡単に消えてはくれない。そう知っているのは、同じだからだ。
知っていた。知っていながら、視界を焼き尽くすほどの炎に、抗えなかった。
「"タキオン"」
時が、止まった。
言葉を紡いでいた唇が開かれたままぴたりと固まる。
その唇が再び何かを言う前に、震えたそれに喰らいついた。
「っ…!?」
暴れる体を押さえつけて、もう一度名前を呼ぶ。何度も、何度も、当てつけの様に烙印を押す。次第に大人しくなっていく様に、いいようのない高揚を感じた。
覗き混んだアメジストの瞳は、こちらを映していた。他の誰でもない、ジャングルポケットを見ていた。
ああ、そうだ。そうやって見ていればいいんだ。
星なんて映さなくていい。俺を、俺だけを──
「…ぇ……」
じわりと。射抜いた瞳が溺れていく様に、息を呑んだ。傷ついたように揺れた瞳が、断罪を受け入れるようにぎゅっと閉じられて、目尻からころりと雫が落ちる。
勢い良く火花を散らしていた炎が、一気に冷えていくのを感じた。
泣かせた。違う。そんなつもりじゃなかった。
俺は、何を。
「わ…悪い……」
我に返って、身を起こす。
相手も、自分が泣いていることに気づいていないのか、呆けたように開かれた潤んだ瞳と目が合って──逃げるように、背を向けた。
「…頭、冷やしてくる」
名前を呼ぶ声を振り切るように、夜の街へ逃げ出した。
- 17915024/04/07(日) 19:24:51
ジャングルポケットは頭を抱えていた。
「…最悪だ」
夜風が僅かに火照った頬を撫でる。胃の中がぐるぐると不快なのは、酒のせいか。
あんなのは、ただの当てつけだ。
癒えない傷を抉られて、お前も同じだろうと、相手の傷を眼前に突きつけた。それが鎖になることを知っていた。湛えた湖の先に、己が映ることに、高揚を覚えた。痺れは麻薬のように血液を巡って、バカの一つ覚えのように幻影の名を口にした。
まるで、呪いだ。一種の病のようでもあった。
過去を過去にするには、夢に溺れた時間が、あまりにも長過ぎた。
だって、知らないのだ。
ジャングルポケットは、テイエムオペラオーを、あまりにも知らなすぎる。
相手の瞳がこちらを映す手段など、嘗ての成功体験の中でしか存在しなかった。
原因はわかっている。なのに抜け出せない。
得られた充足感は甘い毒のように、乾いた心を満たしてしまった。──じくりと傷んだ喪失感に、名前はつけられなかった。
テイエムオペラオーは天井を見上げていた。
「…最低だな」
いなくなった獰猛な光を幻視して、目を瞑る。
あの時。ジャングルポケットは確かに、己を見ていた。赤色の原子を探していなかった。炎のように揺れた激情を、一心に、テイエムオペラオーへ叩きつけていた。夢に溺れて歪だったあの頃とは違う、確かに交わった視線に抱いたものは──歓喜だ。
口では幻影の名前を呼んで、そのくせ瞳は現実を求めていた。
ボクを、求めていた。
視線が交わった途端身体を満たしたそれに、気づくなと願った。最初に罪を犯しておいて、求められることに喜びを覚えているだなんて。
歪だ。歪んで、ちぐはくで、どうしようもない。
わざとでは、なかった。
夢を見ていた。砂浜の海岸で、夜明けを待つ夢だった。そこにいた焦がれた一等星は光を探していた。けれどその隣にいるのは、いつだって、淡く照らす月だった。
そんな記憶、どこにもないはずなのに。
忘れられない弱さが憎かった。星と太陽は交わらないと、最初からわかっていたのに。
だから、名前を呼ばれて。
夢だとわかって、手を伸ばした。それが現実だなんて、思いもしなかった。
「…ボクの名前なんて、今まで一度も、呼ばなかったじゃないか」
拗ねたように転がった言葉に耳を塞ぐように、テイエムオペラオーはソファに身を埋めた。
- 18015024/04/07(日) 19:32:33
- 181124/04/07(日) 21:36:03
- 182124/04/07(日) 22:31:57
- 183二次元好きの匿名さん24/04/07(日) 22:45:16
- 184二次元好きの匿名さん24/04/07(日) 23:24:52
このレスは削除されています
- 185二次元好きの匿名さん24/04/07(日) 23:45:22
自分もpart2欲しい。もっと見たい
- 18615024/04/07(日) 23:49:07
(間違えたのでスレ消し)
ありがとう!伝わった!
次スレあればお供する
こういうの?(できてるかわからん)
見た目改行で間開くの好きじゃないけど簡単かも
pokepoe_ss(150)『悪い、遅くなる』無造作にメッセージを送ったのが、およそ2時間前。
すっかり出来上がったダチたちを送ったあと、月明かりの濃くなった夜道を急ぐ。
別に、急ぐ必要はない。ただ家に帰るだけだ。約束を取り付けているわけでもなければ、催促があったわけでもない。ただ。
『待っているよ』
長丁場になりそうな席の空気に、どこぞのおとぎ話のお姫様の如く0時まで起きていられない同居人に気を遣って、『先寝てろ』なんて無愛想なメッセージを送ろうとして開いた液晶画面に。既読を待ちわびるように現れたその文字に。柄にもなく、口角をあげてしまったものだから。
「…久々に、一緒に飲むか」
明日はお互い、オフだったはずだ。たまにはいいだろうと緑ネオンの店先に足を向けた。その時だった。
「ポッケさん…?」
「おやぁ!誰かと思えば、久しぶりだねぇ」
音が。色が。一瞬。明滅して、消えた。
どくん、と音がなった。ウマ娘聴覚は、夜目の効く視覚は、ひとつも取りこぼしてなどくれなかった。
ふらつかないでください、と窘める声。いいじゃないかといつになく弾んだ声。
それはたしかに、感動の再会だった。宿敵と言うにはあまりにも儚くて、好敵手と言うにはあまりにも殺…telegra.ph - 187124/04/07(日) 23:58:34
- 188129&130(70&71)24/04/08(月) 00:10:38
- 18915024/04/08(月) 00:22:14
次スレ感謝!
- 190二次元好きの匿名さん24/04/08(月) 00:29:15
- 191124/04/08(月) 00:34:24
とりあえずこっちが埋まるor落ちるまではこっちで語っていこう
- 192二次元好きの匿名さん24/04/08(月) 00:46:52
ちゃんと向き合うためにがんばって、お互い全然似てないなって一つづつ気付いていったらいい
コーヒー飲んでるオペ見てあいつは紅茶派だったなぁとか、意外と小さいよなぁとか
対応が辛辣なところも何だかんだ優しいところも似てるけど、パフェの前では目をキラキラさせるとこ見て意外と子どもっぽいんだなとか
思ってほしい - 193二次元好きの匿名さん24/04/08(月) 01:10:26
- 194二次元好きの匿名さん24/04/08(月) 07:30:13
オペの妹感なんなんだろうな…全く他意のない純然たる言動にめちゃくちゃ振り回されててほしいわ
- 195二次元好きの匿名さん24/04/08(月) 08:29:57
この概念だとくっつくまで長そうなのがいい
うだうだするのに焦れて勝負服のJC指輪差し出すオペがいてもいいし、ガラじゃねぇって言いつつどぎまぎ告るポッケがいてもいい - 196二次元好きの匿名さん24/04/08(月) 12:08:33
埋めちゃう?
- 197二次元好きの匿名さん24/04/08(月) 12:17:20
同じようなノリでポッケの頭をナデナデするオペラオーってのもどうだろうか
- 198二次元好きの匿名さん24/04/08(月) 12:24:37
逆バージョンもいいぞ…
ポケットに頭を撫でられて恥ずかしがるオペラオー… - 199二次元好きの匿名さん24/04/08(月) 12:25:44
映画が楽しみすぎる
- 200二次元好きの匿名さん24/04/08(月) 12:28:09
そういや年下なんだって再認識するんだよね…うん、良き!