- 1フウハル感情共有ss(1/4)24/03/23(土) 10:06:20
思いついて書きました
初書き込み・初ssなので駄文やミスはお目こぼしください。
また、キャラスト・イベストは流し読み気味なので口調の乱れがございます。
以上のことが許容できる方はお読みください。
「はぁ、またハルナのせいで明日の仕込みができなかった。」
「もう少し私の気持ちも考えてほしいわ。」
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初めて違和感に気づいたのはその日訪れる予定のレストランを吟味していた時でした、普段なら心躍る時間であるはずがなぜか気分がのらなかったのです。
「どうしたのでしょうか?」
この時は、疑問に思っている間にその心のしこりは消え、そんなこともあるかと日常へと戻っていきました。
二度目は授業を終え帰路についている時でした、
「今日は機嫌がいいですね、なにかありましたか?」
いつの間にかハミングをしていたことを共に帰宅していたアカリさんに指摘されて気が付きました。ですが、その時は特に良いことがあったわけでもなく、その場では当たり障りのない返答を返したものの内心は疑問符で埋め尽くされていました。
決定的だったのは三度目、
「あ~、お客様一見さんですか?ウチではしっかりとメニューにある通りの手順で注文をお願いしますね。じゃないと対応できないので。」
「ええ、わかりま…えっ?」
訪れたレストランで横柄な接客をされた時、それを気にも留めずに返答をした自身に気が付いた瞬間背筋が凍り付きました。この数秒間の私は美食に対する熱意を失っていたのです。その後は食事に集中することもできず、淡々と流れ作業のようにその店を爆破し帰宅しましたが、その日は一睡もできませんでした。
それから感情が流れ込んでくる間隔はだんだんと短くなり、私の心は少しずつ塗りつぶされていきました。あれだけ心血を注いでいた美食も満足に楽しめない、そんな自身に対して恐怖や嫌悪すら感じることのできない毎日、私の精神は限界を迎えていました。
ある日、昼食をとるために食堂を訪れた時に厨房から叫び声が聞こえてきました。
「どうしよう‼このままじゃ十分な量の給食が作れない‼」
それと同時に強い焦りが私に流れ込んでくる。
「えっ」
あまりにタイミングが合いすぎている。そう思いつつ厨房を覗いてみるとフウカさんがスマホを片手に慌てていました。 - 2フウハル感情共有ss(2/4)24/03/23(土) 10:06:52
「どうしましたの?」
「げっ、ハルナ。今忙しいからちょっかいをかけないでよ。」
「いえ、お困りのようなので何かお手伝いできないかと思いまして。私も昼食が取れないと困りますし。」
「実は、温泉開発部が道をふさいでいるせいで、食材を運んでいるトラックが立ち往生しちゃっているの。」
「それなら、簡単ですわね。美食の邪魔となるものは吹き飛ばすだけですわ。道を教えていただけますか?」
「うう、あんたを頼りたくはないけど仕方ないか。今モモトークで送るわね。」
返事と共に感じる抵抗感と少しの安心から確信します、この感情はフウカさんのものであると。しかし、それがわかったからと言って何か変わるわけでもありません。フウカさんの様子からして彼女は何も知らないことでしょう。そんなことを考えながら温泉開発部のバリケードを吹き飛ばしトラックと共に学園へと戻りました。
「ただいま戻りま…。」
「よかった、間に合った‼ありがとうハルナ‼」
その時に私の胸に湧き上がった喜びはとても心地よいもので、久方ぶりに感じる行動と結びついた感情は私に強く焼き付きました。それと同時に理解したのです、私が矛盾した思いを抱えないためにはもうこの方法しかないのだと。
その日から、私は頻繁にフウカさんへの差し入れや手伝いをするようになりました。彼女を喜ばせるために、彼女が感じる喜びを得るために。
「フウカさん、評判のスイーツを買って来ましたわ。よろしければどうぞ。」
「フウカさん、食堂の清掃はお任せください。」
「フウカさん、良い仕入れ先が…」
「フウカさん…」
ですが、そのようなことを続けているうちにフウカさんから受け取る感情は喜びよりも困惑が強くなっていきました。考えてみれば当然のことです、彼女からしたら理由なき無償の善意ですから。
ですが真実を伝えることはできません、彼女にしていた行いは全て私が快楽を得るためのもの、それを知って彼女が私を拒絶すれば私は再び地獄のような日々を繰り返すことになってしまいます。それはあまりにも受け入れがたいこと、ですから私はこの歪んでしまった日常を続けていくしかないのです。 - 3フウハル感情共有ss(3/4)24/03/23(土) 10:07:19
それから数日たったある日、
「ちょっとハルナ、あんた最近どうしたの?」
いつものように差し入れをもって食堂を訪れた時、フウカさんは私を物陰に引き込んで問いかけてきました。
「ここのところ毎日私に付きまとってご機嫌取りばかり。あんたらしくないわよ。」
「そんなことありませんわ、私はただ今までフウカさんのことをないがしろにしすぎていたと反省しただけです。」
「それだけの理由であんたが美食の探求をやめるはずないじゃない‼それくらい私にだってわかるわよ‼」
フウカさんから流れ込んできたのは私への純粋な心配です、それを感じてしまえば私にはもうごまかすことはできません、だって、フウカさんの思いは私の思いですもの。私は彼女に彼女の感情を私が共有していること、そして喜びを感じるためにフウカさんを利用していたこと、それら全てを打ち明けました。
「…というわけでしたの。」
「そういうことだったのね。」
「あの、フウカさんは怒っていませんの?」
「怒っているかは本当ならわかるでしょ?」
「ええ、今は困惑していますわね、それにちょっと楽しんでいません?」
「ハルナがここまで弱っているのは珍しいからね、それにその様子だと嘘をついているってわけでもないみたいね。」
「あの、フウカさん図々しいことはわかっていますがこれからも続けていって構わないでしょうか?」
「別に構わないわよ、実害があるわけでもないし。」
「ありがとうございますわ!というかフウカさん少し照れていません?」
「うるさいわね‼でもハルナが食事を楽しめないなんてね。」
「味の良し悪しはわかるのですが、そこに付随する喜びが感じられず…。」
「私の気持ちが伝わっているなら私が隣で食べれば、いや私はそこまで食事に情熱をかけているわけじゃ…。そうだ‼ちょっと待っていて‼」
そう言うとフウカさんは厨房へ走っていき、しばらくして一皿の料理をもって戻ってきました。 - 4フウハル感情共有ss(4/4)24/03/23(土) 10:07:50
「ちょっとこれ食べてみて‼」
「わ、わかりましたわ。」
その勢いに押されるまま料理を口に運ぶ。美味しい、やはりフウカさんの料理は絶品だ。そう考えたところで気づく。私は今料理を楽しめていると。
「…っ‼」
箸を動かして食べ続ける。目からは涙がこぼれてきた。
「美味しい…‼美味しいですわ‼」
あっという間に完食してしまった。涙はまだ止まらない。
「よかった、私も自分が作った料理をおいしく食べてくれるのはうれしいもの。」
目元をぬぐって隣を見るとフウカさんがそう言ってほほ笑んだ。
「ありがとう…ございます。」
「そんなかしこまらなくてもいいわよ。」
「だって私はこれまでフウカさんに‼」
「それにこの数日間ハルナがしてくれたことが嬉しかったのは本当だから。」
「フウカさん…。」
「これからも気にせず料理を食べに来てね。必要ならまた横で美味しそうに食べているとこ眺めていてあげるから。」
それからしばらくしてぱたりと異常はなくなりました。けれども、
「フウカさん、今日は新発売のチョコをもってきましたわ。」
「ありがとう‼こっちがひと段落するまでもうちょっとかかるから待っていて‼」
「今日の食事も楽しみにしています、もちろんいつものでお願いしますわね。」
「ふふっ、わかっているわよ。」
まだこの関係は続いています。
fin - 5二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 10:09:02
ありがとうございます最高です
- 6二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 10:10:00
以上でssは完結です。読んでいた方はありがとうございます。
残りは皆さんで自由に感情共有について語ってください。
感情共有はいいぞ。 - 7二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 10:10:28
感情共有ってそういうことかよ。めっちゃええやん続きはセルフサービスですか?
- 8二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 10:13:29
ご祝儀送りたい🙏✨
- 9二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 10:15:35
ストックがつきました。
この後は考えていないので妄想はセルフでお願いします。