- 1二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 17:22:59
- 2二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 17:23:34
いくらか酒の残った頭を何とか回しながら、午前の仕事を乗り切った。
身体は、爽やかな風と、底冷えした、アルコールを流してくれそうな水を求めている。まるでゾンビみたいに、ターフの観客席に這い出てきた。
駆け出しの自分が見れば幻滅するだろうな、なんて、短い芝を孕んだ風に、心地よく身を打たれていた時だった。
冷たい感覚が頰を襲う。思わず声を上げてしまった。
「わ、っ…!お、お姉さま…ごめんなさい…」
我が愛バ、ライスシャワーだった。
自主トレーニングの後だろうか。ジャージを着て、汗を拭う彼女の手には、二つのボトルが握られている。
二日酔いには、何より優しさが身に染みるものである。有り難く、それを受け取って一気に喉へと流し込んでいく。
「お姉さまは、今何してたの…?」
………ちょっと、頭を冷やしにかな
「そうなんだ……昨日は、すごくて…ライス、びっくりしちゃったから………気をつけようね…!」
ふふ、ありがとう…ライス
………
…………
何か、近いような気がする。
意外なところで、強引な彼女ではあるが…少し身体が触れ合うほどに近付いてくることは滅多に無いのに……今日は、洗濯したばかりであろうジャージの、ふわふわとした感触までが分かってしまう。 - 3二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 17:24:01
……やっぱり、近いな。
何があったのかと脳を辿れば、自然、記憶のないあの夜の事へと辿り着く。何をした?と自分に問いかけても、酒で痺れた脳は答えを持たない。
何か、あった……?
そう、聞くしかないのである。
きっと、そういうことはないとは思いながらも、この間柄に溢れるインモラルが、不自然なほどに心臓を揺らす。
「………ううん、何もなかったよ…?」
どっ、と身体を強張らせていた力が抜ける。
だよね、だよね、そうだよねと、彼女の言葉を刷り込むようにして自分を納得させる。
ただ。
「でも………」
ぽすり。ライスシャワーの、豊かに跳ね回る黒髪が私と彼女の間で一際強く挟まれて、ふわっと…お日様の匂いが鼻腔をくすぐった。
「ライス…まだまだ、子どもだから………守っておかないと、って……思ったんだ」
そう言うと彼女は、私の肩を支えにして、そのまま午睡に入ってしまった。
何がなんだか分からぬまま、未だ影の伸びないターフを、私はただただ見つめ続けていた。 - 4二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 18:09:35
お姉さまは健康に良い
- 5二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 20:02:11
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