- 1二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 19:54:19
私、ライスシャワーがトレセン学園を卒業してしばらくが経ったかな。今現在は絵本作家としてデビューするため毎日絵と文のお勉強。
「ライス、そろそろ休憩したらどう?」
私に声をかけてくれるのはトレセン学園に在学中トゥインクル・シリーズで私を支えてくれたお兄さまこと元トレーナー。今は学園から一駅くらいのところの賃貸で同棲をしているの。
「お兄さま。もう少しだけ待って。もうちょっとでキリがよくなるから」
同棲を始めて早数年、お付き合い自体は卒業後すぐだったからもうちょっと長いかな。ライスが本気で絵本作家になりたいって言って文学系の大学にも通って、卒業して今になるの。とは言ってもまだ世間に出せるほどのものはできていなくて、何度も担当さんに見てもらってはボツを食らうことばっかり。
「わかった。先にご飯の用意しておくね」
「ありがとう、お兄さま」
お兄さまは今もトレセン学園でトレーナーとして働いてる。私もたまにOGとして後輩さんたちのトレーニングを見たりしてるけど、お兄さまの手腕は相変わらず。むしろ、私をURAファイナルズで優勝させてくれた実績もあって一つのチームを見ているの。併走すると負けそうになることも多くて・・・・・・現役ってすごいなぁって思う。 - 2二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 19:54:59
後輩「ライスさん、やばいよね」
後輩「一回も勝ったことないんだけど」
後輩「何で全距離走ってるの?」
後輩「短距離だとなんかバクシーンって叫びながら大逃げかましてくるし」
後輩「私の彼氏に手を出すな感がすごい」
後輩「たまに鬼が宿ってるよね」
後輩「なんで引退してるのに長距離走れるの?なんで3400でこっちは息も絶え絶えなのに平気な顔してるの?」
後輩「でも差し入れのコロッケおいしい」
後輩「レース1週間前に絶対きてくれてカツ丼作ってくれるの嬉しい」
後輩「レース前日はおじや。お腹に優しくて次の日に響かないからって」
後輩「験担ぎもしてくれるし体のことも考えてくれるし。超優しい。あれはいいお母さんになる」
後輩「あとちっちゃくてかわいい」
後輩「あれがあの黒の刺客だとか信じられない」
後輩「でも併走すると信じられる。不思議」 - 3二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 19:55:41
現役といえばウララちゃん。彼女は卒業後も高知を拠点に地方のいろんなところで走ってるの。聞いたところによると高知レース場は経営難の危機にあったらしいんだけど、それを聞いたウララちゃんがトレーナーさんと一緒に高知に行って立て直したんだって。
ウララちゃんは他のレースがない時は高知レース場で案内のお姉さんとして立ってるんだけど、日によってはレースにも出るからウララちゃんが走るときは収入が何倍にもなるとか。私の部屋にもウララちゃんグッズはいっぱいあるよ。
一回だけ高知で一緒に走ったんだけどダートでうまく走れなくてウララちゃんに差しきられちゃった。ウララちゃんも強くなったなぁ。今度また連絡してみようかな。
「そういえば、ウララちゃんとウララちゃんのトレーナー、結婚するんだって」
「ええっ!?」
お兄さまから衝撃の話が!私そんなの聞いてないよ!
「まあトレーナーの方からプロポーズしたらしいけどな。プロポーズ成功ぜよ!ってツーショットが送られてきた」
うう、ついにウララちゃんまで・・・・・・私の周りの娘たち、結婚早いなぁ・・・・・・。 - 4二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 19:56:10
ウララ「んー、今度のお仕事は・・・・・・お散歩ロケのゲストかー」
トレーナー「いいじゃないか。高知の魅力を伝えるんだろ?」
ウララ「地方局でやっても地元にしか放送されないじゃん!それにこういうのって大抵いろんなもの食べることになるから体重管理が・・・」
トレーナー「あのオグリキャップは今も笠松でグルメリポをしてるけど」
ウララ「オグリさんとかスペちゃんと比べないで!もー、体重が変わるとドレス合わせるのとか大変なんだからね!」
トレーナー「ごめんごめん。でもそうやってちゃんとやってくれる奥さんのこと、俺は大好きだよ」
ウララ「わたしもそうやって言葉に出して褒めてくれる旦那さんが大好き!」
トレーナー「お揃いだな」
ウララ「だから結婚したんだよ」 - 5二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 19:57:05
「ロブロイさんはまだ大学生なのにもう子供までいるし、ブルボンさんは去年結婚したし、バクシンオーさんは卒業と結婚が同時でバクシンしてたし・・・・・・」
ロブロイさん、意外と積極的だったんだよね。そういえば中等部の時から日常的にあのおっぱいで誘惑してた気がするし、実はしたたかだったんだよね。
ブルボンさんはなんと専業主婦。あのロボットみたいな喋り方ももう卒業して、あのときのことを話すと黒歴史みたいでやめてーってなるのが楽しいんだよね。
バクシンオーさんはほんとに卒業と同時、正確には年度明けに「トレーナーさんと結婚しました!!!」って報告もらって・・・・・・逆プロポーズみたいな感じだったかな?「私を騙した責任は取ってくれますよね?じゃないと私、悪い人に騙されてしまうかも」みたいな感じで・・・・・・。
「結婚、かぁ」
お兄さまと結婚をしたいかしたくないかでいえばしたい。でも、ライスの方から待ったをかけさせてもらってる。せめて作家としてデビューするまでって話だけど・・・・・・。
「このままじゃ何年かかるかな・・・・・・」
あんまりお兄さまを待たせすぎちゃうとお兄さまもほとほと愛想が尽きちゃうかもしれない。実際稼ぎ自体はお兄さまの分だけで十分だし、ライスも未だにグッズが売れてたりたまにイベントで走ったり講演したりでそこそこ収入はあるから大丈夫と言えば大丈夫なんだけど。
(でも、やっぱり気持ちの区切りとしてデビューはしたい!)
そう思ってから早数年・・・・・・あうう、ライスもこのままじゃ乾ききって干し飯になっちゃうかも・・・・・・。 - 6二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 19:57:45
ブルボン「子どもは授かりものとは言いますが、自然にできるのを待つだけではなく妊活はすべきだと考えています。参考までにどんな感じでやりましたか?」
ロブロイ「私はえっと、盛り上がってたらできちゃったので・・・・・・」
バクシンオー「1ヶ月毎日すればどこかで当たります!」
ブルボン「マス、私の夫は多分毎日できるほどの体力はないです」
ロブロイ「ないならないで自分が動けばいいんですよ。お酒で熟睡してる時とかおすすめです」
バクシンオー「ロブロイさん、あなたまさか逆・・・・・・」
ロブロイ「ふふ、英雄色を好むんですよ」
ブルボン「わかりました。今週末あたり秘蔵のバーボンで酔わせてみます」
バクシンオー「おお、元委員長としてこれは止めるべきなんでしょうか・・・しかし大人として、夫婦としてはありな気も・・・・・・うーん」 - 7二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 19:58:33
お兄さまはいつまでもライスを待つよって言ってくれてるけど、お兄さまは本当に待っちゃう人だからこそ待たせちゃいけないと思ってる。焦ったからといっていいものが出来上がるわけじゃないから困ってるんだけど・・・・・・。
「あまり思い詰めすぎてもいいものは書けないんじゃないかな?」
そう言ってお兄さまがコーヒーを淹れてくれる。ミルクと砂糖がたっぷり入ったライスでも飲めるコーヒー。豆はカフェさんの喫茶店で分けてもらったんだよね。たまに一緒に登山に行ったりするけど、寒い日の朝から飲む温かいコーヒーは本当に絶品。・・・・・・って話をマックイーンさんにしたら紅茶もいいものですわよ、っていろんな種類の紅茶を送られてきたのを思い出しちゃった。ちょっとずつだけど飲んでます。
「スランプ・・・・・・っていうなら最初からスランプなのかな・・・・・・」
未だにデビューできてないからスランプなんて話じゃないよね。渾身の出来だ!って思ったのでも遠慮なくボツって言われちゃうから・・・・・・。そういう日はゴルシさんに愚痴ってはちゃめちゃに振り回されると落ち込んでるのも忘れちゃうの。
改めて考えなくてもライス、たくさんのお友だちに恵まれてるなぁ。いろいろと辛いことも苦しいこともあったけど、トレセン学園に通っててよかった。
「学生の頃が懐かしいなぁ」
ウララちゃんとかくれんぼをしたりホラー小説を読んだロブロイさんと同じベッドで寝たりドトウさんと雨上がりのグラウンドで一緒にこけて泥んこになったりバクシンオーさんとブルボンさん、フラワーさんとキャンプをしに行ったり・・・・・・。 - 8二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 19:59:06
マックイーン「ふんぬぬぬぬぬ!」
ライアン「・・・マックイーン?」
マックイーン「勝負服が、入らな・・・・・・ら、ライアン?」
ライアン「なんで今頃になって勝負服を」
マックイーン「それはその、ですね」
アルダン「勝負服ぴょいは盛り上がりますからね」
マックイーン「ほわぁ!?な、なんのことでしょうか!?」
アルダン「あら、違いましたか?我が家はそれで子供が増えていってますので」
ライアン「やめてよそういう生々しいの・・・」
アルダン「あら、でもライアンも先日」
ライアン「わー!わー!わー!終わり!この話終わり!」
ドーベル(勝負服ぴょい、そういうのもあるのね!) - 9二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 19:59:57
「学生の頃といえば。昔、ライスの担当をしてた頃に見せてくれた絵本、あれはどうなんだ?」
お兄さまが言ってくれたのは私がお兄さまに見せた自作の絵本。当時はお兄さまといっしょにがんばってたことをなんとか他の人にも伝えたくて、絵本にして残したのが・・・・・・
「あっ!」
「どうしたの?」
そう、そうだよ!書こうと思って絵本を書くからダメなんだ!担当さんにも「優しい内容だけどメッセージがわからない」って言われたんだよ!私が伝えたいことを絵本にして届けなきゃいけないんだ!
それに気づくと手がどんどん動いて止まらなくなって、休むのも忘れて書き続けちゃった。私が、ライスが今までいろんな人からもらった物を、たくさんの人に伝えたくて。その気持ちが溢れ出して止まらなくなっちゃった。
私が好きな絵本、幸せの青いバラ。どうしてあの絵本が好きだったのかを忘れちゃってた。ライスはあの青いバラみたいに皆んなを幸せにしたいからあの絵本が大好きになったんだよ。結婚式で新郎新婦をお祝いする、ライスシャワーのように。
「・・・・・・できた!」
気がついたら私の伝えたいことを詰め込んだ、私だけの絵本が目の前にあった。読み返して誤字脱字とか文章校正とか、絵の塗り忘れとかを確認して担当さんに連絡だ! - 10二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 20:00:55
ロブロイ「ちなみに私は人妻兼一児の母兼大学生兼作家です」
ファイン「日本国親善大使兼人妻兼3児の母です」
ファル子「ウマドル一本だよ!だってだって!引退するまで付き合うのとか結婚とかは無しってトレーナーさんに言っちゃったんだもん!」
ロブロイ「ちなみにみなさんのお相手は・・・・・・」
ファイン「トレーナーにたくさんお勉強してもらったかな」
ファル子「つまりファインさんのトレーナーさんは王族になるの?」
ファイン「日本語だと王婿かな。まあ私の場合お姉様もいるからそこまで気負わなくてもいいよとは言われたけれど」
ロブロイ「トレーナーさんがトレーナーを続けてるとなんだかんだ不安なので、ファインさんみたいに手元に置いておけると心配事が減りそうです」
ファイン「トレーナーは今王室直属のトレーナーなの。正確にはアイルランド国王朝直属祭儀ウマ娘専属トレーナー。国のイベントで走ったりするときのためにトレーニングを見てくれるんだ。私に日本で優秀な成績を収めさせた功績だってお父様がわざわざ役職を作ってくれたの」
ファル子「すごいね、アイルランド」
ロブロイ「事実は小説よりも奇なりと言いますが・・・・・・もう少しお話伺ってもいいですか?」
ファル子(あっ、取材モードに入った) - 11二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 20:01:23
やった、ライスやったよ!ついに作家デビューだ!担当さんにも「温かい気持ちになるいい作品ですね」って褒められちゃった!やっと、夢に向かっての一歩目を踏み出せたんだ!
「まずはおめでとう、ライス」
「ありがとう、お兄さま」
そして今日はデビューのお祝いにちょっとお洒落なレストラン。お兄さまがわざわざ予約してくれて夜景が綺麗な席で食べてるの。ドレスコードのあるお店なんてマックイーンさんに連れられて以来だからちょっと緊張しちゃってる。
「紆余曲折はあったけど、ライスが夢を叶えられてよかったよ」
「うん、うん。お兄さまも、ずっと支えてくれてありがとう」
一回集中しちゃうと時間を忘れることも多くて、そういう時はお兄さまが身の回りのことを全部やってくれて・・・・・・。ライス、本当にお兄さまに頼りきりだなぁ。
「それじゃあライス、聞いて欲しいことがあるんだけど」
「う、うん」
どうしたんだろ、何か言わなきゃいけないこと・・・・・・チームの遠征とかかな?それだったらライスもいろいろ手伝ってあげないと。またカツ丼作ろうかな?ライスも奮発しないとね! - 12二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 20:01:53
「俺、そろそろお兄さまを卒業させてほしいんだ」
「・・・・・・えっ?」
お兄さまが、お兄さまを卒業って・・・・・・どういう、こと?まさか、これって別れ話・・・・・・
「これからは、君のお兄さまじゃなくて君の旦那さまになりたい」
「ふぇっ?」 - 13二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 20:02:13
「ライス。俺といっしょに、祝福のライスシャワーを浴びよう」
- 14二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 20:03:01
そう言ってお兄さまが手に出してくれたのは青い薔薇を象った指輪。これは、正真正銘の・・・・・・プロポーズ。
「ふぇぇぇぇっ!?」
そ、そんな!まだそんな心の準備できてなかったのに!で、でもたしかにデビューしたら結婚しようねとか言ってたけど、こんな改ってプロポーズされるなんて思ってもみなくて、もう頭がいっぱいいっぱいでライス混ぜごはんになっちゃうよぉ!
「どうかな、ライス」
「ふ、ふぇぇぇ・・・・・・」
どうしよう、返事をしないといけないのに涙が止まらない。嬉しくて、嬉しくて。幸せで、そんな気持ちが溢れて溢れ出して。でも、お兄さまは勇気を出してプロポーズしてくれたんだから、ライスもちゃんと答えないと。もう子どもじゃない、ダメじゃないライスなんだから。
「わた、しも・・・・・・ライスも!お兄さまと結婚したい!」
菊花賞を走った時だってこんなに気持ちを振り絞ることはなかった。ただ、自分の思いを大好きな人に伝えたくて。目の前に出された幸せの青い薔薇に誓いたくて。こんなにも待たせてしまったのは私のわがままだったから。ライスも、あなたといっしょに咲いてみたかったから。泣きたくなる声を押し殺して喉を振り絞ったの。 - 15二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 20:03:48
スズカ「また結婚式の招待状・・・・・・毎月やってないかしら」
フク「いやー、流石に毎月はないですよ」
スズカ「ちなみに先月はあなただからね、フクキタル」
フク「はい!新婚ほやほやマチカネフクキタルです!」
スズカ「その前はドーベル、もっと前にタイキ」
フク「そしてそのもっと前にスズカさん」
スズカ「結婚も私が一番早いです」
フク「まさかそれが言いたいがために?」
スズカ「まさか。まぁ時期的に考えると一番早かったのは卒業式と結婚式を同時にやった・・・・・・」
カレン「なになに?カレンのこと呼んだー?」
スズカ「呼んではないけど話題には出した」
フク「スピード婚にも限度がありますよ!バクシンオーさんも相当でしたけど」
カレン「バクシンオー先輩の結婚を見てカレンは卒業式に籍を入れるのと結婚式するのとやったんだよね♡」
スズカ「そんなことで競わないで」 - 16二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 20:05:00
お兄さまのプロポーズを受けてから一年。今日はお兄さまとの結婚式。場所は京都の、レース場を貸し切って。菊花賞、春の天皇賞、そして開催が危うかった宝塚記念を開催してくれたあの京都レース場。
お兄さまが盛大なお祝いにしたいからって色んな人に声をかけてくれて、京都レース場のスタッフさんたちも快く貸してくれたの。トレセン学園の人たちや、まだ残ってたライスのファンクラブの人たち、宝塚記念の阪神レース場の人たちも、たくさんの人が集まってくれた。
「人がこんなにいっぱい・・・・・・」
「それだけライスさんたちをお祝いしたい人がいたんですよ」
「ロブロイさん!ウララちゃんも!」
「ライスちゃん!結婚おめでとう!」
かつて同室だったロブロイさん、いつも私に元気をくれたウララちゃん。こうして揃うとよくいっしょに遊んでた日のことを思い出すなぁ。今日みたいに晴れた日はかくれんぼしたり・・・・・・。
「今日は絶好のかくれんぼ日和だね!」
「ウララちゃん!?」
「えへへ、なーんてね。どうどう?懐かしかったでしょ?」
「ウララさんは本当にしそうだから・・・・・・と言っても、今はそうでもないですよね」
「実はちょっとやりたかったり」
「もう、ウララちゃんったら」
たくさんの人に囲まれて、ちょっと緊張してたけど。2人のおかげでほぐれちゃった。いつまでも変わらない、私の親友。 - 17二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 20:05:37
「旦那様より先に花嫁さんの姿を見るのは、とは思いますが!見たい気持ちは抑えられないのです!ライスさん、ご結婚おめでとうございます!」
「ライスさん、結婚おめでとうございます」
「ブルボンさん、バクシンオーさん」
「バラ・ロボ・委員長のR・R・Iも私が委員長を卒業してしまったので解散してしまいましたが・・・・・・これからはバラ・ロボ・バクシンのR・R・Bでいきましょう!」
「バクシンなのは変わらずですね。ですが私はロボを卒業しました」
「むむっ?ではバラ・主婦・バクシンのR・S・Bでしょうか?」
ふふっ、バクシンオーさんは相変わらずバクシンしてる。ブルボンさんは大人っぽくなったなぁ。友達でもあったし、ライバルでもあった2人。私が最後の結婚式になったから三着でまたついてくしないとダメかな。 - 18二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 20:06:13
いよいよお兄さま、ううん、旦那さまとの顔合わせ。ライスのドレスは漆黒のステイヤーって呼ばれてたのと、勝負服にも似ていたから黒のウェディングドレス。旦那さまも黒いスーツを着てるはずだけど・・・・・・
「ライス、綺麗だよ」
不意に優しい声がかけられる。そこにいたのは、私の愛しい人。これから共に愛を誓う人。黒いスーツがよく似合う格好いい旦那さま。
「お兄さま、じゃなくて・・・・・・旦那さまもかっこいいよ!」
いつもの優しい顔の中にちょっと緊張した顔が、格好良さを際立たせてくれる。
私のドレスは特別仕様。本来のウェディングドレスはすごく長くてヒールも履いて、だけど今日はウマ娘のライスシャワーとしてもここに来ているから。走りやすいようにしてあるの。
「それじゃあ、ゴールで待ってるよ」
「・・・・・・うん!」
一度旦那さまと分かれて、私はゲートに向かう。みんなが待っているゲートに。 - 19二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 20:06:40
「来た来た!こっちだよー!」
「勝負服、久々に引っ張り出しましたけど・・・・・・胸がちょっとキツいです」
「まだ成長してるのですか!?とはいえ、私もバクシン魂は忘れていませんよ!」
「データの再インストール完了。ミホノブルボン、再起動します」
『晴れ渡る空の京都レース場。始まりましたお米記念、三番人気は高知のご当地ウマ娘、ハルウララ!』
『二番人気を紹介します。蘇る機動戦士、ミホノブルボン!』
『この評価はやや不満か、五番人気は生涯驀進サクラバクシンオー』
『現役大学生は伊達じゃない!四番人気は文学賞ウマ娘、ゼンノロブロイ!』
『ここは負けられない、一番人気は新婚ほやほや新婦のライスシャワー』
『好レースが期待できそうですね。私も楽しみです』 - 20二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 20:07:59
まっすぐ、まっすぐ走る。2200m先のあの人の元へ。決して誰にも追い抜かれないように。
『先頭争いはミホノブルボン、サクラバクシンオー!四番手の位置で様子を伺うのはゼンノロブロイ、ハルウララ、外で脚をためている!』
『ライスシャワー、冷静に進めております』
結婚式だからって手加減してくれるみんなじゃないから。
『最終コーナーを曲がって、最初に抜け出すのは誰か!』
誓います。大好きな人と、左手の青いバラに。
他のみんなはきれいに咲いた。
ライスだって、咲いてみせる! - 21二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 20:08:44
『ライスシャワー!ここで抜け出した!追い縋るハルウララ!リードは3バ身、ミホノブルボン、苦しいけど粘っている!ゼンノロブロイ、前を狙っているぞ!サクラバクシンオー、粘りを見せる!残り200を通過!』
「ライス、がんばれ!」
お兄さま、待ってて。今行くから!
『ハルウララ、並んできた!ライスシャワーこのままいけるか!今、ゴールイン!お米記念を制したのは、新婦ライスシャワー!着差以上の実力を見せました!』
ワァァァァァァァァ!!!!
レース場に歓声が響き渡る。紙吹雪じゃなくて、祝福のライスシャワーが舞い散る空。『ライスシャワー結婚おめでとう』と書かれたバルーンが空に浮かぶ。
「おめでとう、ライス」
「お兄さま、ありがとう!あっ、えっと、旦那さま!」
「呼びやすい方でいいよ」
「えっと、じゃあお兄さま!ライスやったよ!」
「行こう、ステージへ。みんなが待ってる」
「きゃっ!」
突然お兄さまにお姫様抱っこをされて、そのままウイニングライブのステージへ。優しい顔をした神父さんが私たちを待っていた。 - 22二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 20:09:39
「───あなたはこの者を妻とし、生涯愛し続けることを誓いますか?」
「はい、誓います」
つ、ついにライスの番だ。ちゃんとこの日のために練習したもん!大丈夫!
「ライスシャワー、あなたはこの者を夫とし、生涯愛し続けることを誓いますか?」
「はいっ!誓いまひゅっ!」
あうぅ、噛んじゃった・・・・・・この大切な場面で・・・・・・。
「やっぱりライス、ダメな子だ・・・」
「大丈夫」
そう言ってお兄さまが促されるよりも先に口付けをする。
「気持ちが先行してるのは俺もいっしょだから」
「そして」
「君が自分を不幸だというのならそれ以上に幸せにしてみせる」
その言葉に会場の歓声がピークになる。なんだか黄色い声も上がってる気がする。でも仕方ないよ。だって私の旦那さま、今世界一格好いいから。 - 23二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 20:10:07
「ライスちゃーん!おめでとー!」
「ライスさん!お幸せに!」
「これからもウイニングロードを走り続けてください!」
「おめでとう、ライスさん」
「トレーナーもおめでとうございます!」
「ライス先輩!おめでとう!」
たくさんの人から祝福の声が聞こえる。ライスは、幸せの青いバラになれたかな。ここにいる人たちにも幸せをお裾分けできたかな。
「大丈夫。君の名前がそれを示しているよ、ライスシャワー」
そしてもう一度、祝福のライスシャワーが会場中に撒かれる。私を、私たちの幸せを願って。 - 24二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 20:10:49
「私ね、将来はお母さまみたいなウマ娘になりたい!」
「私みたいな?」
「うん。いろんな人を幸せにできる、そんなウマ娘!」
「そうだね。あなたは私の娘だから、きっとなれるよ」
「ただいまー」
「あっ、お父さま!!おかえりなさい!」
「おかえりなさい、お父さま」
「ただいま、お母さん。娘もいい子にしてたか?」
「うん!あのねあのね、私おっきくなったらトレセンに入るの!それでねそれでね、お父さまにトレーナーしてもらうの!」
「おっ、それじゃあ頑張らないとだな。お父さんがスカウトしたくなるように」
「お母さんもお父さんにスカウトしてもらったから、がんばってね」
「うん!」
こうして、ライスシャワーはみんなの祝福をもらって幸せな家庭を築き、いろんな人にその幸せを伝えるために今日も絵本を書くのでした。めでたしめでたし。 - 25二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 20:11:23
【おまけ】
テイオー「マックイーンも走る予定じゃなかった?」
ゴルシ「マックちゃんはな、結婚後の幸せ太りで昔の勝負服が入らなかったんだよ」
マックイーン「お黙りなさい!ウエストは大丈夫だったのです!ただ丈が短すぎただけで!」
テイオー「ほんとにー?」
マックイーン「ほんとです!」
ゴルシ「前日に勝負服着てみたら盛り上がって汚したとかそんなんじゃねーの?」
マックイーン「な、なんでそれを!?」
テイオー「・・・・・・あー」
ゴルシ「え、マジで?」
マックイーン「あっ」
テイオー「・・・・・・お盛んだねー」
ゴルシ「三人目ももうすぐだな、こりゃ」
マックイーン「もう!余計なことは言わなくてよろしい!」 - 26二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 20:12:36
ライスと結婚式の組み合わせはまさに王道よね
すばらしい - 27二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 20:12:54
- 28二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 20:13:34
- 29二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 20:29:19
ℋ𝒶𝓅𝓅𝓎 ℰ𝓃𝒹
素晴らしい…👏 - 30二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 20:36:32
👏👏👏
- 31二次元好きの匿名さん22/01/23(日) 22:54:41
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- 32二次元好きの匿名さん22/01/24(月) 01:11:39
このシリーズもこれで一段落かな?
お疲れ様でした。
お気に入りの子達が繰り広げる、ほんわかで可愛らしくてクスッと出来てたまにちょっぴりシリアスで時折ほんのりえっちなお話達に大変満たされました!
また気が向いた時にでも素敵なお話を拝見させてくださいね。 - 33二次元好きの匿名さん22/01/24(月) 12:37:08
素晴らしいssに感謝!
欲を言えば、グラスとトレーナーのその後も知りたかったですね~。 - 34二次元好きの匿名さん22/01/24(月) 21:13:17
- 35二次元好きの匿名さん22/01/25(火) 07:46:21
そうです。
そのグラスとトレーナーがその後どうしているのか、どんな風にいちゃいちゃしているのかが知りたかったなあ、と…!