- 1二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 01:17:09
「たまの休みに私なんかと会話してていいのか?
普段はラクスと一緒にイチャついてるくせに」
「なんか悪意あるね」
「そりゃあな。アスランはあんなだし、お前とラクスは四六時中いちゃついてるし」
「アスランねぇ……貞操観念すごいよねぇ」
「お前はゆるゆるだけどな」
「えっ僕カガリの中でそんなキャラなの?」
「ああ。私は知ってるからな、お前の女関係」
「……アークエンジェルの時のことは忘れてというか忘れないでほしいというか。
ラクスも気づいている節はあるんだけど、むしろ話さないでほしい感があふれてるんだよね」
「まああいつも普通に女の子だからな……昔の女のこといちいち引きずりだされても困るだけだろ
で、なんだ?悩み事か?お姉ちゃんが聞いてやろう」
「ううん、雑談」
「はぁ?」
「いや、いいじゃないたまには」
「……まあいいか。で、なんだ?」
「たとえ話なんだけどさ。僕が普通の学生やってたらどうなってたのかな、って」
「また唐突に来たな。というかお前普通の学生やってくせにいきなり戦争に参加してきたんじゃなかったか……?」 - 2二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 01:22:40
「いやそんなんじゃなくてさ。
アークエンジェルに乗らなかったらどうなってたのかなって」
「……うーん?いやでも、お前どっかで絶対首突っ込んでただろ。
初対面の私にしたこと覚えてるか?」
「あー」
「シェルターに私突っ込んで自分だけ避難もできないのにどうにかしようとしてたじゃないか」
「あれはなりゆきだし、そもそも女の子一人だけ残して避難は無理かなぁ」
「だからそんなことする奴はいつか戦場に首突っ込むって言ってるんだ。
この時代、割とどこでも戦争起こってるしな。なんだったらテロに巻き込まれる可能性もお前の場合高いんじゃないか?」
「うーん、そうかなぁ。じゃあ戦争がなかったら、ってことで」
「戦争がなかったら?それはナチュラルとかコーディネイターとか、そんな概念がない世界ってことか?」
「あー……そうなるかな」
「うーん……アスラン的に言うならだが」
「ああ、うん。特にオブラートに包まないで言って言って」
「お前生まれてこないんじゃないか?」
「うわぁ正論」 - 3二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 01:24:02
ゆるゆる会話する双子いいな
- 4二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 01:28:12
「そもそもお前コーディネイターの中のコーディネイターみたいなやつだろ。
コーディネイターがなかったらお前生まれてきてないぞ」
「そう考えてみると、僕大概だね……」
「呑気にお前がそう言えるようになったのも大概進歩だと思うけどな。
その事実突き付けられて昔はめそめそ泣いてたくせに」
「あー……ラクスから聞いたんだ、それ」
「ああ。色々聞いてるぞ、色々」
「恋人と妹が仲いいってのも問題だよねぇ」
「姉だけどな。しかもお前の友達は私のアレだ」
「アレかぁ」
「私相手に隠し事はできないってことだ」
「そうだね、僕もできないと思うよ。ラクスにもできないけど。アスランには隠せるかな……?」
「あいつはお前が隠してると思ってるのを見抜いてあきれてるぞ」
「あーそうだね。そんな感じする。なんか釈然としないけど……」
「アスランだしな……」
「脱線しちゃったね。ほら、だから僕が戦争?というかフリーダムのパイロット?にならなかったらどうなってたかって話」
「この世界では無理な話なんじゃないか……?」
「あーじゃあ別の世界で、とか」 - 5二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 01:33:23
普通の学生生活から一番遠い存在じゃないかカガリ
- 6二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 01:36:20
「別の世界……?また変なこと言い出すな、お前」
「変かなぁ?わりと普通だと思うけど。
今ここにいる僕が、別の世界ではどうしてたかってわりと妄想しない?」
「そんな妄想する暇と余裕があればな」
「いきなりシリアスになるね。いや本当にそうなんだけどさ」
「お前本当にぽやぽやしてるな……いや最近はそうでもなかったか?
でも考えてみたら、こんなアホな話できるのはお前とぐらいか。
アスランはこんなバカな話してたらそんな話をする必要あるのか?ぐらい言ってきそうだし」
「カガリ相手には言わないでしょ。僕相手には言うけど」
「いやあまり変わらないと思うぞ」
「そうかなあ」
「しかし、別の世界か。コーディネイターでもない、お前……?
根暗な学生でもやってたんじゃないか?」
「わあ辛辣。でもそんな感じだよね多分。カガリは普通にいいところのお嬢様やってそうかなぁ」
「あのなあ。一応私はお前の双子の姉だぞ」
「一応じゃないよ、双子の妹だよ。家族だよ」
「だからそんなやつがどうして根暗な学生の片割れでいいところのお嬢様やってるんだ」
「あー……ほらそこは生き別れってことで。
なんかそれっぽくない?」
「それっぽくない?どころか私たちの関係まさにそれだろ。
生き別れの姉弟が再会したら、姉を男と間違えるボケボケ男だったんだ」
「あってるけど言い方」 - 7二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 01:37:14
1位と2位の双子からしか摂取できないものが確実にある
- 8二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 02:03:30
「根暗な学生かぁ……わりと人付き合いちゃんとしてたつもりだったんだけど」
「サイとミリアリアから色々聞いてるからな」
「二人に言われちゃうとね……。
サイはわりとみんなの中心にいる人だったし」
「で?お前はそんな根暗な学生だった、という仮定で何を言いたいんだ?」
「そんな学生だったら、カガリとかラクスとかとは会わなかったかなって」
「……なるほど?何かラクスに言われたか、お前」
「……うんそんな感じ」
「ま、聞かないでおいてやろう。私はお姉ちゃんだからな」
「助かるよ、お姉ちゃん」
「本当にお前はいつも都合のいい時だけ姉扱いするな」
「カガリはカガリだしどっちでもいいかなって思う時はあるんだけど」
「じゃあ常に姉扱いしろ」
「でも妹っぽく見える時もあるし」
「なに?」
「あとアスランをお義兄さんって呼びたくない」
「そう呼べるようになるよう祈っとけ」 - 9二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 02:04:27
「ラクスに何を言われたかはともかく、そうか。
お前がただの学生やってたら……私には会ってたな。いや、うん……」
「ああ……僕ら初めて会ったのそもそもカレッジの研究室の中だったね……」
「そう考えると、お前の人間関係って割と学生だろうが今の立場だろうが変わらないんじゃないか?」
「うーん……でも、ラクスとか、ムウさんとか、マリューさんとか。シンとかにもあってないよ、多分」
「それ全部職場の人間関係じゃないか、ラクスを含めて。友人関係はアスラン筆頭に変わらない気がするぞ」
「あれ……?あ、本当だ」
「というかそうか。お前とラクスの初めての接点って職場だったんだな」
「言われてみるとそうだね。全然考えたことなかったけど、アークエンジェルって僕の職場だったんだ」
「軍人だからな、お前。全然自覚ないけど」
「よく怒られるんだよね、それ。アスランとかにも結構言われる」 - 10二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 02:05:47
「しかしそうすると、お前がアークエンジェルに乗らないまま普通の学生やってたなら、というか別の世界で普通の学生やってたら、確かにラクスには会わない気がするな」
「だよね」
「……あれか。ラクスに聞かれたのか。
学生やってて、それでも私に会えたとキラは思いますのー、とか」
「それそれ」
「で、会えないんじゃない?って言ったか」
「ううん?そんな仮定は意味ないよね。今ここにいる僕は君と会えたんだしって言った」
「あー。展開が予想できた。
ラクスの方は大満足したが、お前の方が気になり始めたんだな」
「うん。そういうこと」
「ただよく考えると、アスランの元婚約者なんだし、あいつとお前に接点あるんじゃないか、そういう意味では」
「でも友達に婚約者紹介するかな」
「でもアスランだぞ」
「アスランだけどさあ」 - 11二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 02:11:00
「えーアスランでもさすがにラクスに僕を紹介するかなぁ」
「紹介するような気がするぞ」
「カガリが言うならそうかなぁ。じゃあ会う可能性結構あるね」
「そうだな?ラクスにそう言って機嫌でも取ってきたらどうだ」
「え?ラクスの機嫌なんて取る必要ある?」
「アスランがそれを言ったらぶん殴るけど、お前の場合はなぁ……」
「どういうこと?」
「なんでもない。で、話は終わりか?」
「でも僕、そんな状況だと接点はあっても、ラクスとそういう関係にはならないと思うんだよね」
「お前、実は結構面倒くさい感情を今抱えてないか?」
「うん。その自覚はあるんだよね……」
「なるほど。だから私に話しに来たのか」
「ありがとう。察しがよくて助かるよカガリ。持つべきものは頼れるお姉ちゃんだよね」
「本当にお前はこんな時ばかりお姉ちゃん扱いするな……」 - 12二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 02:18:18
「普通に考えてさ、友達の婚約者と仲良くなろうとは考えないよ。
人付き合いぐらいはしようと思うけど」
「お前の場合、その人付き合いが問題なんだがな」
「えぇ……?」
「ああ自覚がないならいいというか絶対そこは自覚ないと思ってた。
どうせお前、私と会った時もそんな親しくなろうとか絶対考えてなかっただろ」
「うん、それはそう」
「なんだったらアスランと会った時も」
「……あれ?そうだね……?」
「お前はそういうやつだな」
「えぇ?そうかなぁ」
「周囲がそういう風にならなきゃ、お前はろくに関係深めようともしないからな。
その癖、他人に面倒焼かせるのが上手いからどんどん周囲に人が集まる」
「でも学生の時はそうでもなかったよ?」
「……なるほどな?だから学生のときか。
でもアスランはお前の世話を焼きまくってただろ」
「うん……?あれ?そうだね、確かに」
「弟属性だからなお前は」
「えぇ……カガリも妹属性っぽいところはあると思う」
「なんだと」 - 13二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 02:25:15
「話は戻るが、ラクスはどうだろうな。あいつ結構見る目厳しいからなあ」
「だよねぇ。正直ただの学生だったら僕なんて見向きもされないような気がする。
それこそ、他の人に甘えがちだったし」
「過去形で言うな。今もだぞ。今もお前大概甘えん坊だからな」
「えぇ……」
「でもそうだなぁ。アスランとラクスが上手くいくか、というと……うーん。
私はお前と会った後のラクスしか知らないからなぁ」
「そりゃそうだよね。というかごめんねカガリ。ラクスとアスランのそういう話とか、あんまり気分よくないんじゃない?」
「そんなこと気にしてたらあいつとは付き合えないぞ。お前と一緒にするな」
「度量が大きいよカガリ」
「もっと褒めろ。ちょっと前ラクスから聞いた話思い出すから。
うん。うーん………………いや。いやいやいや」
「どうしたの?」
「いや、お前と初めて会ったときの話は結構散々聞かされたんだが」
「散々聞かされた」
「砂糖を吐きそうだったんだが。というか思い出しながら今でも口の中が甘いんだが」
「甘い」
「あいつお前のことに関してはちょっとフィルターかかりすぎてないか?」 - 14二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 02:33:11
「……うーん?他人の前で僕のこと話すラクスはあんまり記憶ないかなぁ」
「ああそうか。ラクスはそういう奴かもしれないが」
「うん、ほとんど記憶にないね」
「まあ、自分の先入観が他人に影響を与えることを気にしてるんだろうな。素で政治家らしいというかなんというか」
「立派な政治家になったカガリが言うと違うね」
「お前はぽんこつ軍人のままだけどな」
「ぽんこつ。……えっとなんだっけ。僕についてフィルター?それこそラクスはありのままの相手を見ようとする人じゃない?」
「いや、絶対フィルターがかかってる。お前と初めて会ったときのこと20回はもう聞かされたんだが」
「……ねえそれ僕に言っていいやつ?ラクス、カガリにだけってことで言った秘密の話とかじゃない?」
「じゃない。他の女子もいる場でめちゃくちゃ話しまくってる」
「えぇ……?」
「浮かれまくってるあいつを甘く見るなよ。お前の愚痴を1言った後、お前との惚気を10話してくるぞあいつは」
「うそぉ」
「嘘じゃない。だからお前とのなれそめなんて経緯の全てを多分話せる」
「怖いよ……むしろ僕、その経緯全部思い出せる自信ないんだけど」
「そりゃそうだろ、ただの学生が戦艦叩き込まれて必死で生きるために足掻いてた時期だぞ」
「全部覚えてるラクスはなんなの……?」 - 15二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 02:36:22
貴方の恋人ですわ
- 16二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 02:39:50
「それはそれとして、明らかにラクスの目に当時映ってたお前はなんというか……そこそこ顔のいいぐらいだが行動はほぼ100点満点というかそれ以上の理想の王子様だった」
「待って。おかしいってそれ。なんか間違ってない?」
「間違ってない。が……うーん。それも結局、命の危機ってことがあったからだろうしな」
「あれ?どんな話だっけ」
「お前が普通の学生だったとして、ラクスと仲良くなれたかって話だな」
「ああうん……そうだったそうだった」
「で、アスランの婚約者だし、多分会っただろうな、という話で」
「うん、アスランなら紹介するかもだよねって」
「そして会ったなら、まあお前的な人付き合いぐらいはするよな、という話で」
「まあするよね」
「そしてそれをやったら間違いなくラクスはお前とそういう関係になるな、という話だ」
「えっ」
「話は終わりだな。というか、こうなるの予測しててラクスはお前にその話振ったんじゃないのか」
「えっちょっと待って。理論に今飛躍がなかった?」 - 17二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 02:48:18
「いや、少し考えてみたら割とどう考えてもそうなる気がした」
「えぇ?なんで?さっきまではシチュエーションが重要とか言ってた気が」
「それも含めての話だな。
結局なにやってもラクスがラクスでお前がお前なら大体何やってもあいつはお前に向かってくるぞ」
「え?ラクスの方から?どういうこと?」
「そこからか。そこから話しないとダメなのかお前」
「えっ?」
「よし、整理するか。
まず大前提としてだ、仮定は抜きにして、ラクスはお前に初めて会ってから1週間経たないうちにかなり好きになっている」
「んん!?待って、待って待って。それまだアスランがラクスの婚約者だった時期の話だよね!?」
「でもそれはあいつの意志で決まったことじゃないからな。ラクスにとって重要なのはあいつ自身の、それとあいつの相手をしているやつ自身の意志だ」
「えぇ……?なんか色々とこう……なんか間違ってない?」
「いやあってる。というかお前がお前の頭のラクスにこだわりすぎだ。前にいるときはそうでもないのに、側にいないとなんでそうなるのか私にもよくわからん」
「えぇ……」
「で、お前を好きになったあいつは割と直球でお前に好きだ好きだということを伝えてきている」
「……うん、今ならそれはなんとなくわかる。そりゃ好きじゃないとああいうこと言えないよね」
「つまりあいつは惚れたやつには一直線でガンガン向かって自分からものにするタイプだ。アスランと同じでな」
「僕もそうだよ?」
「どの口で言ってるんだ。今の発言はさすがにラクスの代わりに私がぶん殴ってもいいぞ?」
「あれ?おかしい、双子の妹の僕に対する理解がおかしい」
「おかしくない……というか、そうか。お前そういうことなかったもんな……」
「あれ?おかしい。カガリの目が急においたわしいものを見るような目になっちゃった」 - 18二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 02:59:16
「何はともあれ、最終的に誘い受けになるにしても、ラクスは大体惚れたやつには真正面、まっすぐに向かう。
その上であんな意志の強さがあるものだから……ん?」
「どうしたのカガリ」
「いや……そこまで行っても、最後の一歩は押し切らないのか……?」
「えっどういうこと?」
「……よしわかった。結論が出たぞ」
「うん?」
「だからあの仮定の話だよ。お前が普通の学生やってたら、って話」
「ああそうそう、それそれ」
「お前次第だ」
「えっ」
「だからお前次第だって言ってるんだ。多分、お前はただの学生だとしてもラクスと知り合うだろうし、なんだったら、ラクスの方がお前を憎からずお前を思うようにはなるだろうな。
ただ。ラクスはまっすぐ真正面からくるけど、結局は相手の意志に任せる。そうなると、最終的にその相手が動かなきゃどうにもならない」
「あれ?今お説教されてるのかな、僕」
「そうだぞ?お姉ちゃんのお説教だ」
「そうなんだ……」
「なので、その思いをぶつけられたお前がどうするかってわけだ。
実際、それはぐらかしたことあるだろ、お前」
「……それはさすがにカガリに言わないよね、ラクス。まあ、うん……」 - 19二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 03:02:32
「そういうことだ。ただ、まあ。普通の学生のお前が、あいつを好きになるか、というのは大分ハードル高いな……」
「えぇ?あんなきれいでかわいい人がいたら誰でも好きになるでしょ」
「その好きと今のお前の好きが一緒だったらさすがにラクスにぶん殴られろ」
「あっうん、なんかすごい失言した気がする」
「よし、解決!
じゃあ私の相談に付き合ってもらうな」
「えっ」
「あの唐変木にいかにして道を誤らせるかの相談だ。
私の兄貴でそういったことは経験豊富な准将閣下なら色々示唆してくれるんだろうな?」
「ああうん……いいけどね。経験豊富じゃないけど。でもどうするの?なまじっかな方法じゃ一度決めたアスランの決意は翻せないと思うけど」 - 20二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 03:06:04
- 21二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 03:07:45
乙乙
凄まじい熱量を見た - 22二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 03:18:38
アスランに関しては閉じた扉は梃子でも開かないけど
開けて欲しい気は満々なのでさっさとアスラン本人にも協力させて開錠条件を満たした方が手っ取り早い
カガリ本人の意思でもカガリを致命的に傷つける可能性がある道をアスランが許容する訳ないもの - 23二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 03:29:02
おお、ブラボー
素晴らしい読み物だった - 24124/03/27(水) 04:16:43
「おいキラ」
「どうしたのカガリ。
忙しいんじゃないの?わざわざモルゲンレーテまで来て」
「お前こそ、コンパスの仕事の合間にこんなところで何やってんだ」
「うん、ちょっとエリカさんから頼まれちゃってさ」
「ただでさえ忙しいんだから、休みの日ぐらいラクスの相手をしてやれよ」
「……そんなラクスをないがしろにしてるかな、僕」
「言葉の綾だよ……そんな落ち込むなって。悪かった」
「ごめん。僕も、たまに思うんだ。あんなかわいい人に側にいてもらっていいのかなって」
「その言い方、やめろよな……いや、お前はあいつの前では絶対そんなこと言わないか」
「うん?なんか言った、カガリ?」
「なんにも」
「カガリこそ忙しいのに何やってるの?」
「お前に会うのに理由がいるのか?」
「なんかアスランとかラクスみたいなこと言うね……」
「そりゃあいつらの真似だからな」 - 25二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 04:23:22
「雑談だよ、雑談。お前が前やったやつ」
「え?相談?カガリが僕に?」
「雑談だって言ってるだろ!ったく……」
「ごめんごめん。怒らないでよ、カガリ」
「それで許されるのお前だけだからな。いや私は許さないが」
「厳しいなぁ」
「で、雑談なんだが」
「はいはい雑談雑談」
「昔の女が忘れられない男の心境ってどんなんなんだろうな」
「……いきなり厳しい話が来たね」
「アスランにもそういうやつがいたんじゃないかなってちょっと思ったんだ。
肉体関係にある、とかじゃなく」
「それこそラクスじゃないかなあ」
「あー……そうか。そうなるよな。あいつ、コーディネイターだし」
「コーディネイターも恋愛関係にある人も結構いるみたいだけどね。
それはそれとして、アスラン、真面目だから……でも、僕に相談したのは正解だったかも。
他の人だったらいらぬ勘ぐり受けてたよ、それ。ああ、だから僕に?」
「そうだな」
「認めるんだ……うん、頼りにされて嬉しいけどさ」 - 26二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 04:28:34
「でもアスランなら、要らない心配じゃないかな。
ラクス以前だと、僕がまだコペルニクスにいたときの話だけど……、うん、まあモテてはいたよね。
でもそんな、そういう関係になりそうな人なんていなかったけど」
「そうか?本当か?」
「ぐいぐい来るね……カガリってそういうの気にするタイプだっけ?」
「普段は気にしないが、それはそれとしてあいつとの駆け引きのネタにはする」
「強いなあカガリは……」
「お前は知りたくないのか?ラクスにそういうやつがいたとして」
「……積極的に、ってこと?」
「ああ」
「知りたいか、知りたくないかで言えば、知りたい。
僕は彼女の全てを知りたいし、愛したいから」
「すっとそういうセリフがよく出てくるな」
「そう?ただ……」
「ただ、なんだよ」
「知っても、嫌な自分になっちゃうのがわかるから。
昔彼女が憎からず思ってた人のこと知って、嫉妬して……それでラクスに幻滅されたくないかな」
「ああ、お前ならそうなるよなぁ」
「カガリは辛辣だよね」
「ラクスもアスランもお前に甘すぎるんだよ」 - 27二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 04:32:48
一緒にいる期間短いはずなのに互いの理解度高くて遠慮のない双子ちゃん好き
- 28二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 04:34:42
「で、目をつぶるか?」
「無理やりにそのことをほじくり返すのは、嫌かなあ。
だってラクスが話したいなら僕に話してくれるだろうし」
「まあそれはそうか」
「僕は今のラクスがいればそれでいいから……っていうのは言い訳かな。
言い訳になるんだろうね」
「じゃ、お前はラクスが昔のお前のこと知りたいって言ったら、全部話すか?」
「…………厳しいなあ。フレイのこと、だよね」
「あっ……すまん、遠慮がなさすぎたよな」
「僕とカガリの間で遠慮なんていらないって。
うん、それに……フレイのことを話せるのは、嬉しいんだ」
「え?なんでだよ」
「思い出さないと、忘れちゃうからさ」
「……なに?」
「今が幸せすぎるとさ、人間って、嫌なこと忘れちゃうんだ。
だから、本当に大切な思い出なはずなのに、僕はすぐ忘れちゃう」
「お前はそんなやつじゃ……」
「そんなやつだよ、僕は。昔は、たまにフレイのことが頭をよぎってたのに。
最近、意識して思い出さないと、一か月も考えないままになる。僕は、僕だけは、彼女のことを忘れちゃいけないのに」 - 29二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 04:44:42
「もうフレイのことをしゃべれる相手もほとんどいないしね。
マリューさんも、ムウさんも、フレイのことはあんまり知らなかったし。サイは優しくしてくれるけど、フレイのことを持ち出したくはあまり、ないんだ。ミリアリアも、トールのこと思い出しちゃうだろうし、ね。うん、もうカガリぐらいしか、彼女について話せる相手がいない。
……ありがとう」
「大丈夫か、お前……顔、真っ青だぞ」
「大丈夫。大丈夫だから……うん。でも、ラクスが彼女のことを、知りたがったら、かぁ……。
うん、話さなきゃいけないよね」
「義務感でか?」
「それがないと言ったら嘘になっちゃうかな。でも多分、ラクスは色々気づいていると思うし。
そうなると、もっと踏み込んだこと、話さなきゃいけないよね……」
「それはやめといた方がいいと思うぞ。というか、やめとけ」
「そう、かな」
「お前、今の自分の顔鏡で見るか?そんな顔で話されても、ラクスが話を打ち切るに決まってる」
「……そうかぁ」
「あのな……お前もラクスも、自分と相手の幸せのために、もっとお前のこと知りたいってだけだろ。
なら、そんな幸せの邪魔になるようなことは、いちいち話すな」
「でも、絶対いつかは話さなきゃいけないと思うんだよね」
「じゃあお前が平気な顔してしゃべれるようになってからにしろ」
「……そんな時は、絶対来ないよ、カガリ。そんな僕になったら、僕自身がもう、僕を許せない」 - 30二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 04:53:26
「じゃあ話すな。この話はやめやめ」
「……気を使わせてごめん。でも、ちょっと話続けさせてもらってもいいかな?」
「お前さあ……あーもう、わかったよ。
どうせそんな我儘聞けるのも私ぐらいだ。ったく、お前いつまでたっても変わんないなあ」
「カガリは強くなったよね……。
結局、僕とフレイはそういう関係にはあったけど、まあ、うん……きっと間違った関係だったんだよね。
フレイにはそう言って、怒られちゃったけど」
「言ったのかよ、お前」
「言っちゃったなぁ……後悔しているけど、それじゃ駄目だよね。その上、それっきり、だし」
「……そうなのか」
「一般的に言うなら、僕がふった、んだろうね。帰ってきてから、もう一度話そう、とは言ったけど」
「そっか」
「うん……だから、僕はなるべく、僕が好きな人には色々話したいんだ。
ああ、それを怠ったツケがファウンデーションの一件だったわけなのかな。忙しさにかまけて、ラクスと1か月話さなくなって、全部おかしくなっちゃった。因果なのかなあ、これも」
「その癖、お前追い詰められるとすーぐ会話打ち切るからな。
なんだったら、ラクスやアスラン相手にもやってるだろ。
悪い癖だぞ」
「本当にね……」 - 31二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 05:03:37
「そんな感じだから。でも、結局。僕は彼女に守ってもらってばっかりで、守れなかったんだよね。
僕だけは、彼女を守らなきゃいけなかったのに」
「だーからそれやめろって。僕だけは―とか。
そうやって背負いこむばっかりしすぎだ」
「ごめん」
「あーもう。なんだよ、こんな話になるなら、ラクスの頼みなんて聞くんじゃなかった」
「ん?どうしたのさ、カガリ」
「独り言だよ!で?」
「結局、最初に戻るけど、全部話すか、って言ったら全部話すよ。
だってそれも僕だから」
「うん……お前、覚悟があるのはいいけど、ちゃんとそれがどんな影響与えるか考えてから動けよな。
私が言えた義理じゃないけど」
「カガリかアスランが言ってくれないと無理かなあ。ラクスはそういうこと、僕に言わないしね」
「まあそうだな、あいつ、お前の意志中心みたいなところあるし」
「僕もラクスの意志は尊重したいからね。
ラクスが僕を知りたいって言ったら、ちゃんと言うよ。ありがとう、カガリ」
「なんで礼を言われるんだか、よくわからないんだが」
「さっきも言ったでしょ?
フレイのこと、他の人に話したのは、本当に久しぶりなんだ……」
「お前、なんかいたるところに地雷が埋まってる地雷原みたいなやつだな」
「なにそれ?」
「今回は私が思いっきり地雷原に突っ込んだんだけどな」
「大丈夫。カガリじゃないとこんな話しないよ?」
「された側も困るぞこんなん」 - 32二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 05:12:15
「……最初の話題なんだっけ」
「昔の女を忘れられない男の心境、だな。今盛大にお前が自爆してくれたが」
「昔の彼女、なのかな……そういう関係の手前で止まっちゃったんだと思うんだけど」
「一般的にはそうは思われないぞ」
「カガリが一般的な男女関係わかってるとは思えないんだけど」
「お前のも一般的じゃないだろ」
「まあ、そうかもしれないけどさ……うん、でも、忘れられないのはしょうがないんじゃないかな」
「女の私の前でそれ言うか普通。私からラクスに筒抜けだぞ」
「別にいいよ。カガリが僕が言ったことをラクスに話すとしたら、それはラクスや僕のためになるからでしょ?」
「あのなあ……信頼しすぎるなよ、お前」
「カガリを信頼してなかったら僕は誰を信頼すればいいんだろうね……」
「だから信頼はしても妄信するなってことだよ」
「はい……ごめんなさいお姉ちゃん」
「そうやって都合のいい時だけ姉扱いするな、本当にお前……」 - 33二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 05:21:45
「結局、忘れられない、のはしょうがないんじゃない?
そういう関係になったのなら、普通は幸せなことが多かったと思うよ。
最後にそういうの全部ぶち壊すような酷いことが起きない限り、あるいは起こってしまったとしても、そう簡単に昔付き合った人のことなんか忘れられないんじゃない?」
「今幸せだとしても、か。その幸せが壊れるきっかけになったとしても、か?」
「……ああ、それは辛いね」
「なら忘れた方がいいだろ」
「でも、その関係は、過去に付き合っていた人同士のものだから。
その幸いだった記憶を捨てろ、っていうのは悲しすぎるよ……。
そう、だね。だから、僕はラクスに前に付き合ってた人がいて、その人との間に幸せな記憶があったんだとしたら。
それを羨ましがったり、嫉妬することはあっても、捨てろとは言えないかな……」
「だから隠す、と。まあそのあたりが落としどころか」
「そうだね。カガリの言う通り、見てみないふりする人の方がいいんじゃないのかな。
実際人間の記憶なんて自由に忘れたりするものができるものでもないし」
「逆に、今付き合っている人に忘れろ、と言われたらどうする?」
「それは……無理だね」
「……無理か。たとえ、捨てなければ別れる、と言われても」
「うん……無理だね」 - 34二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 05:31:31
「今の幸せより、過去の幸せが大事、ということか?」
「ううん……それは全く別のものだよ。
過去の幸せや、過去の記憶があるから今がある。今の幸せのために、過去を捨てようとしても、捨てられるもんじゃない」
「だが、捨てて欲しい、とそう思うやつも少なくないと思うぞ」
「……そうだね。そうだよね、やっぱり」
「百歩譲って、辛い記憶しかなかったとしても、捨てられないか?」
「まあね……うん……無理だね、こればっかりは」
「頑なだな」
「結局、それが僕だから、なんだろうね。
自分を形作る一部だから、忘れたくない。
これを捨てたら、僕が僕じゃなくなっちゃう。ああ、そうだね。
昔の女性を忘れたくないんじゃないんだ。薄情だけど、結局僕は、自分が、って人間なのかもしれない。
だから、他の人の今の幸せより、今の自分をとっちゃう。
昔自分がたどってきた道のりをどうにかして覚えていたいと思っちゃうのかも」
「それ女がどうとか関係なくないか?」
「でもそんなもんじゃない?」 - 35二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 05:39:34
「だけど、辛い記憶を忘れかけてるのに。幸せの中で忘れまいとする気持ちってなんだろうな」
「単純じゃない」
「は?」
「だって辛い記憶だって忘れちゃうんだよ?それすら忘れちゃったら、今の幸いな記憶だってすぐ忘れる」
「……今酷い掌返しされた気がするんだが?」
「そう?そうかなぁ」
「あーでも、なんとなくわかった気がする。お前は絶対昔の女のこと忘れないタイプだな」
「でも男の人ってみんなそんな感じじゃないかな」
「じゃあせめて、寝起きにラクスのことフレイって呼ぶのはやめとけ」
「っ……!?嘘、僕」
「ラクスにそう相談されたのが今回の雑談の発端だぞ。私の貴重な時間を費やしたんだ。ちゃんと釈明しとけ」
「うわ……え、この会話、なんの解決にもなってなくない……?下手したらラクスに僕愛想尽かされるんじゃない、これ」
「かもな。どうにかしろ。開き直ったら私がぶん殴るからな」
「えぇ……」 - 36二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 05:47:54
「隊長!!隊長!!……ねぇ、隊長!!」
「あ、シン……悪いね。起こしてもらって」
「もう、やめましょうよ。みんな、心配してますって……。こんな風に待機しなくても」
「こうすると、昔のことを思い出せるんだ。どうしても、忘れちゃいがちでさ、昔のこと。
大事な思い出なのに、思い出せなくなるんだ。少しずつ、少しずつ……」
「……ごめんなさい」
「なんでシンが謝るのさ?」
「いえ、俺も……覚えがあるんで」
「……そっか。うん、こっちこそ、ごめんね。
ああ、うん。段々、思い出せてきたから、そろそろやめるよ。コノエ艦長からも言われちゃったしね」
「なにやってんすか、もう……」
「うん、お疲れ」
「はい……え?」
「あっ……」
「隊長!?」 - 37二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 05:50:53
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- 38二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 05:53:20
- 39二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 06:10:16
よく見たら休日にラクスよりカガリとの会話とかモルゲンレーテの仕事明確に優先してるじゃんこの准将
最初の話もキララクの幸せな話かと思ったらキラが「他の世界なら僕とラクスはそういう関係にならないよね」って言ってるようで怖くなってきた - 40二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 08:35:23
すごく……重いです……