- 1二次元好きの匿名さん24/04/04(木) 17:49:25
- 2二次元好きの匿名さん24/04/04(木) 17:50:11
「それで先程鑑定結果が出ました。どうやら世界に個人が設定したテクスチャを貼り付ける機械みたいですね」
「あー……もっと簡単に言って?」
「はぁ…要は使用者の好きに世界を変えることができる機械です。ヒナ委員長が私のことを大好きで仕方ない世界にも簡単に変えることができると言うことです。」
「めちゃくちゃ危険じゃん!!」
「……理解していただけたようで何より、それでイオリにお願いなのですが…」
「処分すれば良いんでしょ?任せて、すぐに外で木っ端微塵に」
「違います。一度使ってみて欲しいんです。」
「は?」
「現実の改変。どこまでの精度で行えるかわかりませんがかなり強力かつ実用的な機能なのは間違いありません。この前の虚妄のサンクトゥムの一件もありますし、持てる手札は確保しておきたいのです。」
- 3二次元好きの匿名さん24/04/04(木) 17:50:52
- 4二次元好きの匿名さん24/04/04(木) 17:53:36
その鑑定士ペラこいとる…本質は本世界から条件付けされ分離した別時空間の発見と接続、または創造…
- 5二次元好きの匿名さん24/04/04(木) 17:56:10
「わ、わかったって。押さないでもやるから…」
「はぁ、もう。えと、どんな世界にしようかな…うーん…」
「『も、もしも…先生が変態じゃない世界だったら……?』」
ジリリリリリリリリリリリリリリ
「うわぁ!いきなり鳴るな!びっくりしたなぁもう…」
「ていうか、これで本当に変わったのか?」
「ねぇアコちゃん、そっちどんな感じ
…っていない…?」
電話ボックスから出ると委員長室は静まり返っていた。……いやこんな静かなことがあるか?ここはゲヘナだぞ?普段委員長室にいる時も建物外では不良生徒達がドンパチやっているせいで静かな時なんてない…。
「まぁ良いか、何か変なことあればすぐに戻せるし。とりあえず先生について改変したから先生に会わないとだな…」
ピコン、と携帯の通知音。噂をすればなんとやら、先生から招集のメッセージだ。そう言えば今日のシャーレ当番は私だった。ちょうど良い。当番中に先生と話してこの公衆電話の効力を確かめたら元の世界に戻そうか。
- 6二次元好きの匿名さん24/04/04(木) 17:56:58
あっ……
- 7二次元好きの匿名さん24/04/04(木) 17:59:32
変態でなくなった世界…どうなっちゃうんだ
- 8二次元好きの匿名さん24/04/04(木) 18:01:33
–−連邦捜査部シャーレ
"やぁ『銀鏡』さん。風紀委員会で忙しいところ申し訳ないね"
「…………」
"ど、どうしたの?具合悪い?"
「い、いやなんでもない!」
(ちゃ…ちゃんと変わってる……!?)
(なんかもう…雰囲気から違うなコレ。なんか……なんというか……)
"無理しないで、具合悪いなら今日は帰ってもらっても大丈夫だよ"
「いや、本当に大丈夫。それで?今日の仕事は何?」
"そっか、じゃあ今月の転校生名簿の確認と編集をやってもらおうかな"
目の前に書類の山が置かれる。全て転校申請の届書のようだ。
「こ、こんなに!?」
"そ、今月はいろいろあったからね。この書類の内容を専用のエクセルファイルに入力してもらって…あ、全部じゃなくて出来る限りで構わないよ。申請自体は終わってるし特に急ぎの仕事じゃないから"
「う、うん」
- 9二次元好きの匿名さん24/04/04(木) 18:04:45
うわ~なんかじっとり不穏
- 10二次元好きの匿名さん24/04/04(木) 18:06:10
言われるがまま、先生から渡された仕事をしていく。
(◾️◾️ ◾️◾️◾️……知らない名前……まぁ当然か……って!いけないいけない。先生がどう変わってるのか確かめないと…。)
「なぁ先生」
"ん?どうかした銀鏡さん?"
「(苗字呼び……なんかヤだな……)あ、あの…ええと…最近調子どう?」
"随分なキラーパスだね?そうだなぁ。少し前に閉校が決まった学校があったんだけど、そこの生徒の一部が中々転校に応じなくてね、それの説得には骨が折れたよ。"
「(…なんだ?)じゃあこの書類もその子達の?」
"ああ、一部はそうだけど大部分は別の所だよ?ははっ、おかしなこと言うなぁ銀鏡さんは"
「(…なんか…冷たくないか?)そっ…そうなんだ…」
違和感。なんだかいつもの先生と違う方向に気持ち悪い。胡散臭い?機械的?わからない…わからないけど
- 11二次元好きの匿名さん24/04/04(木) 18:09:00
人間味が無くなったのか
- 12二次元好きの匿名さん24/04/04(木) 18:09:49
(この世界の先生なんか嫌だ)
(調査はまだ不十分だけどなんかもう良いや。もう少しやったら体調不良を理由にゲヘナに戻って元に戻してしまおう…)
さすがにすぐに早退するのは気が引けた。
(次の書類…ええと…砂おおか……ッ!?)
「先生!この子って!」
"?あぁ、砂狼さん。ようやく転校先決まったんだ。よかったねぇ"
「いやそうじゃなくて!こいつがアビドスが捨てるわけないだろう!?」
"銀鏡さん本当に大丈夫?アビドスは半年前にカイザーグループに買収されて閉校になったよ?"
「なっ!そんなわけ…」
"流石に学生の身で9億以上の借金を返すなんて無謀だったし、私も残ってた子達を説得できた時はホッとしたよ"
「説得って!何言ってるんだ先生!あんな、あんなにアビドスの奴らの意思を尊重して協力してたじゃないか!」
- 13二次元好きの匿名さん24/04/04(木) 18:13:29
"……銀鏡さん、やっぱり帰った方がいい。ゆっくり寮で休むんだ。いくら学校が大事でも生徒が借金返済の覚悟をしてたとしてもその意思を尊重して協力するなんて特定の『変態』しかやらないよ。何か変な夢でもみたんじゃないかな。"
「なっ!」
"やっぱり先日の一件が応えたんだね。まぁそりゃそうか、いくら問題児の巣窟だったからってマンモス校のゲヘナがエデン条約の余波で解体になるなんて予想できないよ。"
「……は?」
"? もしかしてそこも忘れてる?だってさっきまで銀鏡さんが整理してた書類、ほとんどが元ゲヘナの生徒の奴だよ?"
"あ、そう言えばそろそろ解体作業の時間か。"
「ッッ!!」
気づけばシャーレを飛び出してゲヘナに向かって走り出していた。頭の中がぐちゃぐちゃだ。アビドスが閉校してゲヘナも解体?いや、そんなことは今は考えてられない。解体作業であの公衆電話まで巻き込まれたら元の世界に戻れなくなる。それだけは…それだけはなんとかしなくては…。こんな世界、もう一秒だっていたくない!
走る。解体作業の影響でゲヘナ行きの交通機関は全て停止していた。私がシャーレに行くときに乗った電車は最終避難の電車だったらしい。
走る。走る。走る。絶対に間に合わせなければ。
- 14二次元好きの匿名さん24/04/04(木) 18:15:53
変態って変だと思われたところはすべて消失するのか…
- 15二次元好きの匿名さん24/04/04(木) 18:17:43
ゲヘナ学園 校門
立ち尽くす。爆発音が至る所で鳴っている。
「待って…」
風紀委員会の拠点があったタワーが崩壊していく様子が見えた。
「…待ってってば!!」
作業員達の間を縫って韋駄天の如く走り抜ける。もう手遅れだ。心は既に折れている。
「ハァッ…ハァッ…」
目の前には残骸。あの公衆電話を探す。破片で服が切れる。皮膚が切れる。泣きそうになりながら必死で瓦礫を掻き分け探す。
「ッ!あったッ!!」
ガラスは割れ、フレームもぐちゃぐちゃの電話ボックス。中に入って受話器を取る
「元の世界に戻して!!」
何も起こらない。けたたましい『ジリリリリ』と言う音も聞こえない。
「動いて!動け!!動けってば!!」
ダイヤル部分を殴る。意味のないことはわかっている。わかってはいるが感情が追いつかない。
「動いてよぉ…」
- 16二次元好きの匿名さん24/04/04(木) 18:18:25
「普通」の先生はそこまで生徒の為に身を粉にして動いたりしないよな
- 17二次元好きの匿名さん24/04/04(木) 18:33:22
崩れ落ちる。もうダメだ。帰れない。母校にも、仲間にも、先生にも…もう会えない。
膝を抱えてうずくまる。こんな得体の知れない世界で私はこれから…そんなことを考えるだけで吐きそうだ。どうしよう、どうしよう、どうしよう。
___________________________
【大人のカードを使う】
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公衆電話ボックスが目の前にあった。あの電話ボックスだった。急な出来事に面食らう。状況が飲み込めない。だけどそんなことはどうでも良かった。
中に入って受話器を取る
「私のいた世界に戻して!!」
ジリリリリリリリリリリリリリリ
次の瞬間、電話ボックスの周りは見慣れた風紀委員長室の風景に切り替わっていた。徐に外に飛び出す。
「イオリ?もしかして調査終わりました?って酷い怪我じゃないですか!何があったんです?」
「アコちゃん…いる…」
「ずっといますけど!?」
- 18二次元好きの匿名さん24/04/04(木) 18:34:20
まぁ普通の「先生」なら連邦生徒会長に呼ばれないからありえないんだが……イオリはそれも知らないし、今回はオーパーツ案件になるからなぁ
- 19二次元好きの匿名さん24/04/04(木) 18:34:29
- 20二次元好きの匿名さん24/04/04(木) 18:36:08
イオリから連絡もらえるだけで喜んでるのキモく……いやもうキモいとかいえな……いやキモいなオイ!
どんな生徒から連絡もらっても喜ぶド変態で良かった…… - 21二次元好きの匿名さん24/04/04(木) 18:39:24
風紀委員会 委員長室
「はあ、イオリの様子見る限り、どうやらこの機械はかなりの精度みたいですね…後で調査レポートを書かせなければ」
「それにしても」
「鑑定結果にはこれまでに数度の使用痕跡ありとありましたがこれはつまり…?」
風紀委員会行政官緊急特務命令
〜もしももしものもしもボックス〜 完
- 22二次元好きの匿名さん24/04/04(木) 18:39:26
先生一人が変わっただけでここまで変わるとは…
それにしても一人残されたアコはこの後もしもボックスを使うのだろうか
ヒナがゲヘナのトップになった世界とか - 23二次元好きの匿名さん24/04/04(木) 18:42:24
SCPみたいな終わり方しやがって…
- 24二次元好きの匿名さん24/04/04(木) 18:43:19
これさ……大人のカードを切ったのって……
- 25二次元好きの匿名さん24/04/04(木) 19:03:30
- 26二次元好きの匿名さん24/04/04(木) 19:12:53
流石俺たちの先生だ!
それはそうとして、もしもボックスは『指定した条件を満たす世界線へと移動する』ひみつ道具であって現実改変器ではない(魔界大冒険で説明あり)
これがもしもボックスそのものだとしても、調べた人がそこまで気付けないのは仕方ない - 27二次元好きの匿名さん24/04/04(木) 19:42:48
むしろ変態の上位存在から人間っぽくなったよ
- 28二次元好きの匿名さん24/04/04(木) 20:38:49
もしもボックスってそんな凄かったのか…てっきりパラレルワールドを1から生み出す道具かと