- 1スレ主24/04/07(日) 00:29:28
【プロローグ】
《???》
──夢を見る。
『 』はずのない、己が『 』夢を。
夢を見るような身体はない、精神もない、肉体もない。だというのに、その夢(望み)は潰えない。
叶うはずもない夢というものは、誰かに応援されるはずもないものだ。
叶うはずもない夢というのは、明らかな矛盾を抱えているものだ。
叶うはずもない夢というのは、いずれその身を滅ぼすだけだ。
それは──己が一番、わかっている。
『そうあれかし』と生まれた自分故に、『そうあれかし』とされた自分故に、誰よりもよく、理解しているはずだ。
理解、していなければならないはずだ。
それでも、と願う。願ってしまう。蜃気楼よりも不確かな存在な己を『 』やしないかと。
だから、だから己は────。 - 2スレ主24/04/07(日) 00:29:51
【第1節】ましろのさきに
《藤丸立香》
「あれ────夢? 良く思い出せないけど……」「なんだか、寂しい夢だった、ような」
《カリオストロ》
「お目覚めですか、陛下/女王陛下」
《藤丸立香》
「わっ、びっくりした」
《カリオストロ》
「失礼致しました。しかし、ご無事で何よりです。聖杯を手に取ったかと思えば、その場で気を失われましたから。いったい何事かと思いました」
《藤丸立香》
「聖杯?」
《カリオストロ》
「お忘れで?」
「いえ、先程のアレによって記憶の混濁が起きたのでしょうか」
「思い出せますか?」
《藤丸立香》
「えぇと、たしか──」
ほわんほわんほわん、ぐだぐだ~。 - 3スレ主24/04/07(日) 00:30:16
《藤丸立香》
「新たな特異点が?」
《ダ・ヴィンチ》
「うん。とは言っても、微小特異点だ。今の所、そこまで気を張る必要は無いはずだよ」
《シオン》
「放っておいても勝手に消える、と演算結果は出ています」
「しかし、予め解決させて置いて問題がある、というものでもありませんから」
《ムニエル》
「こないだまで眠っていたわけだし、軽いリハビリくらいに思えばいいさ」
《ゴッフ》
「言っておくが気を抜いて良いワケではないからな! 気をつけるように!」 - 4スレ主24/04/07(日) 00:31:27
《藤丸立香》
「そうだ、それで……」
《カリオストロ》
「えぇ、はい。唯一同行可能、とされた私と共に、陛下/女王陛下はこちらに参られました」
「西暦1976年、ドイツの山中。これと言って特筆する事がないような、元々は村があったという土地です。霧立ち込める森にあった聖杯は、あっさりと見つかりました。しかし……」
《藤丸立香》
「自分が聖杯に触れようとした途端」
「聖杯が光り出して」
《カリオストロ》
「そして、貴方様は気を失いました」
「かく言う私も、サーヴァントの身でありながら一瞬ばかし意識が飛びました」
「何がきっかけかは不明ですが……聖杯の仕業、と考えて良いでしょう。おそらく、微小特異点が成長したのです」
「微小特異点が確たるものとなった影響でしょうか。通信は途切れ、カルデアと連絡を取ることが出来ません」
《藤丸立香》
「……うん」
《カリオストロ》
「これからどうなさいますか? 相変わらず霧はありますが、『その先』は変わっているはずです」
「連絡も途絶えておりますし、待機するのも手かと」
《藤丸立香》
「でも、何が起こったか把握する必要はある」
「とにかく探索しよう」
《カリオストロ》
「御意に」 - 5スレ主24/04/07(日) 00:32:12
霧、霧、霧──。
まるで、夢の中で揺蕩っているような、不確かなな視界。
木々こそ見えるが、遠くまで見通せるわけではない。本当に進んでいるのかがあやふやになりそうで、不安になる。ほとんど斜面であった地面が緩やかになっていくことだけが、前進していることの証だった。
──足元の感覚が、変わる。塗装はおろか、整備すらされていない道無き道であったはずなのに、踏みしめやすく固いものへと。
そして、不意に視界が開ける。
目に映るのは、鮮やかな、そう、とても鮮やかなな茜色に照らされた────
《カリオストロ》
「おやおや、これは……」
《藤丸立香》
「──うそ」
「──なんで」
──家。
なんの変哲もない、ただの一軒家。
そうであるにも関わらず、彼/彼女にとっては『そう』ではない。『藤丸立香』のために用意された世界にある、本当かどうかもあやふやな『自分』の家。
つい先日、『巌窟王』が藤丸立香に試練を与えた、あの場所がそこにはあった。 - 6スレ主24/04/07(日) 01:00:28
【第2節】しっていて、しらないばしょ
《藤丸立香》
(あの後、家から『キリエ』が出てきて自分を招き入れた)
(家の中には『妹』も『母』もいて)
(『あの日』のようにカレーを作って待っていた)
(何がなんだか、わからない)
(とりあえず、夕飯は食べ終わったし一人の時間だ)
(カリオストロはいつの間にか居なくなっていたけど、多分霊体化して側にいるはずだ)
(……カリオストロと、話し合おう)
《カリオストロ》
「なんとも不思議ですねぇ、陛下/女王陛下」
「ここはあまりにも、『あそこ』と瓜二つだ」
《藤丸立香》
「……」
《カリオストロ》
「フフフ……かように睨まないでいただきたい。私は既に貴方のサーヴァント、敵対など致しません」
「誓って、この特異点と私は関係ありませんとも。えぇ、もちろん」 - 7スレ主24/04/07(日) 01:00:47
《藤丸立香》
「……」
《カリオストロ》
「兎にも角にも、まずは『情報収集』なのでしょう?」
「しばらくの間、『普通の生活』を謳歌してみては」
《藤丸立香》
(…………)
(『あの時』と違って同行サーヴァントはいる)
(でも、この特異点のことは何も分からない)
(何故、『あの家』があって『キリエ』たちが居るのか)
(……巌窟王も、いるのかな)
(『あの時』と同じなら、書斎に彼は──)
(それも、確認しないと) - 8スレ主24/04/07(日) 01:01:09
~次の日~
《藤丸立香》
(……結局、確かめる暇もなく登校してしまった)
(カリオストロに言っておくべきだっただろうか、でも……)
(……考えないでいよう)
《藤丸立香》
(とりあえず、『あの家』と『この学校』に大きな違いは見当たらない)
(『姫子』も『リカルド』もいたし、担任は『フーカ先生』)
(でも、『折田さん』は『オルタ』じゃないし、『サリエリ先生』は『サリエリ』じゃなかった)
(……二人には、会えないらしい)
《藤丸立香》
(それに、『転校生』だったハサンと景清もいない)
(……違うことはあるけど、だからどうしたって話でもある)
(聖杯が原因の特異点ではあるはずだ。それは間違いない)
(だから、聖杯を見つければいいんだけど──) - 9スレ主24/04/07(日) 01:01:39
《姫子》
「今日、なんかずっと難しい顔してる……」
「まさか、遂に春が来ちゃった……!?」
《リカルド》
「遠くからヒソヒソ言わないで、話しかければいいじゃないっすか」
《姫子》
「でも~!!」
《藤丸立香》
(……ついこないだのことなのに、なんだか懐かしいなこの感じ)
「あの」
《カリオストロ》
(陛下/女王陛下)
《藤丸立香》
「!」 - 10スレ主24/04/07(日) 01:01:57
《カリオストロ》
(休憩時間に念話で失礼致します)
(サーヴァントを発見しました)
《藤丸立香》
「!」
「ごめん二人とも!」
「早退するから、後よろしく!」
《リカルド》
「えっ」
《姫子》
「なになに!? 何事!?」
「ちょっと、どうしたの~!」 - 11スレ主24/04/07(日) 01:47:56
【第3節】はじめまして、ぬればのひと
~学校近くのとある路地裏~
《???》
「……」
《藤丸立香》
「あれが、見つけたサーヴァント?」
彼/彼女の視線の先には、シスター服を着た女性らしき姿が居る。
日本では珍しい部類だが、その出で立ちだけではサーヴァント特有の異質な雰囲気も威圧も感じることは出来ない。
《カリオストロ》
「えぇ、はい。『おそらく』」
《藤丸立香》
「『おそらく』?」 - 12スレ主24/04/07(日) 01:48:21
《カリオストロ》
「はい、『おそらく』です」
「間違いなくサーヴァントの気配ではありますが……そう、どこか曖昧なのです」
「幻霊というほど希薄ではなく、英霊と呼ぶにはあまりに弱い」
《藤丸立香》
(トラオムで召喚されていた『幻霊級』のサーヴァントたちみたいな感じかな……?)
「何かしようとしたりとかは」
《カリオストロ》
「全く。陛下/女王陛下のいらっしゃった学校の周囲をフラフラとしてはいますが……」
「魔術などを行使する素振りはなく、ただただ歩いているのみです」
《藤丸立香》
「じゃあ、話しかけよう」
《カリオストロ》
「敵対サーヴァントの可能性は?」
《藤丸立香》
「まだあの人は何もしてない」
「なら、まずは話してみよう」
《カリオストロ》
「……フフ、そうですか。かしこまりました」
「マスターがそう仰るなら、私は従うまでですとも」 - 13スレ主24/04/07(日) 01:48:42
《???》
「……(キョロキョロ」
《藤丸立香》
「こんにちは」
「あなたは、サーヴァントですよね」
《???》
「!」
「そ、そうよ!」
「あぁ、あぁつまり、そう? 『そう』なのね? あなたが──人類最後のマスター!?」
《藤丸立香》
「はい」
「藤丸立香っていいます」
《???》
「よかった、無事に会えた!」
「いきなり喚ばれて、『カルデアのマスターと協力しろ』ってことだけなんとなくわかって」
「でも肝心の『カルデアのマスター』が誰か分からなくてどうしたものかと!」
「しかもここ、あれでしょ? 日本でしょ?」
「知識はあれど勝手はわからないし、霊体化しようにも妙に中途半端な召喚? みたいでなんだか霊体化できなくて」
「本当に、本当に困っていたの。あぁ、よかった……」 - 14スレ主24/04/07(日) 01:51:25
《藤丸立香》
「えぇと」
「名前を聞いても?」
《???》
「あ! 私ったらつい……ごめんなさい」
「コホン。改めてはじめまして、聖杯に喚ばれたっぽいサーヴァントの『ハーバート』です」
「この度は色々ありまして『フォーリナー』として現界しました」
「ぜひともよろしくお願いします、カルデアのマスター!」 - 15二次元好きの匿名さん24/04/07(日) 01:56:07
初手フォーリナーか…
- 16スレ主24/04/07(日) 01:56:22
なんとなく区切りがいい気がするので、ひとまずここまで。
見てくださる方がいるのは嬉しいです。ありがとうございます。こういった形式のSSを投稿するのははじめてなので、読みにくかったりしたら教えてくださると幸いです。
特異点解決まで書けるよう、精進します。 - 17二次元好きの匿名さん24/04/07(日) 01:58:12
一区切りお疲れ様です。
先が読めずわくわくしながら読んでいます。
それにしても、フォーリナーか… - 18スレ主24/04/07(日) 11:18:27
【小ネタ? 1】
一年ほど前にネタとして考えていた、とあるゲームとのクロスオーバーの話を奏章Ⅱ(不可逆廃棄孔イド)をクリアした影響で再構築しました。
とはいえ、オリジナルの英霊はゲーム関係なくキチンと元ネタがあるので、調べたらポロっと出てきます。正体自体はシナリオ上の問題はないので、「コイツ知ってる〜!」なんて話をしていただいても問題ありません。
またスレ主のカルデアにカリオストロはいますが、いかんせん公式のカリオストロの深掘りがまだなので彼に対する独自解釈・捏造があります。
今更ながらではありますが、そういったことに抵抗のある方はお気をつけください。 - 19スレ主24/04/07(日) 13:54:51
- 20スレ主24/04/07(日) 21:48:25
【第4節】ソラからきたりしもの
《ハーバート》
「……なんて、名乗ってみましたが」
「あのぉ……私こと、知ってらっしゃいますか?」
《藤丸立香》
「ごめん」
「ううん」
《ハーバート》
「あぁ、そのような顔をなさらないでください!」
「仕方のないことです。本来私は、サーヴァントとして召喚されるほどの存在ではありませんから…」
《藤丸立香》
「えぇと……」
《カリオストロ》
「ふむ、『フォーリナー』の『ハーバート』」
「この特異点は元々、ドイツ山中にて発生しておりました」
「もしやあなた、『土地を縁として喚ばれた』英霊ですね」
「それも『物語出身のサーヴァント』でしょう」
《ハーバート》
「!」 - 21スレ主24/04/07(日) 21:48:47
《藤丸立香》
「知ってるの?」
《カリオストロ》
「私自身は書見したことありませんが、作品の知識はあります」
「西暦1976年に発行された本に収録された、とある短編作品。ドイツ山中にある『フライハウスガルテン』という村が舞台です」
「『ソラ』から来たと言われれる、封印されし悪神を復活させようとする男の物語──『Darkness,My Name Is』」
「主人公の名を『ハーバート』。『ハーバート=ラモン』といいます」
《藤丸立香》
「なるほど、幻霊に近いのかな」
「だからさっき気配が曖昧だって」
「…………あれ?」
「『男』?」
《ハーバート》
「うぅ……そちらの方すごいですね。大当たりです」
「そしてやっぱりそこ気になりますよね。そうですよね……」
「はい、私は『ハーバート=ラモン』です」
「旧き神を復活させようとした、旧き神の端末たる男。そうなんですけど……」
《藤丸立香》
「話したくないなら、無理しないでいいよ」
《ハーバート》
「!」
「お優しいですね、ありがとうございます」
「でも大丈夫ですよ。ちょっとこう、ややこしいだけなので」 - 22スレ主24/04/07(日) 21:49:07
《ハーバート》
「あのお話のオチ? としては、神の端末は『ハーバート』以外にもいて、物語の語り部と聞き手も端末だったんだよ~って感じなんです」
「世間的には『物語』でも、世界の裏側で起こったことなので、本来であれば『ハーバート=ラモン』そのものが召喚されるんですが」
「私は『物語』における『主人公』、『語り部』、『聞き手』の要素が入り交じった『旧き神の端末』として現界しました」
《カリオストロ》
「なるほど」
「ソラから来たりしものの末端ゆえのフォーリナーが、物語としての知名度(イメージ)と混じってしまった」
「ある意味、『無辜の怪物』にも近しいですね」
「『役目』が混ざったという点で言えば、『ドン・キホーテ』殿にも近しいかと」
《ハーバート》
「カルデアにも似たような方がいらっしゃっるんですか? 気になる……けど、また今度にしなきゃ……!(ボソボソ」
「えぇと、それで。はい、私は幻霊寄りになってしまって……」
「戦力としては頼りないサーヴァントなんですが、それでもお仲間になって良いでしょうか……?」 - 23スレ主24/04/07(日) 21:49:55
《藤丸立香》
「もちろん!」
「頼りにしてるよ」
《ハーバート》
「……!!」
「ありがとうございます、マスター!」
「仮契約どころか本契約させてください!!」
《藤丸立香》
「えっ」
「落ち着いて」
《ハーバート》
「いえ、いえ! ハーバートは冷静です!」
「『宝具も使えない』ようなサーヴァントを許していただけるなど、私は考えておりませんでした!」
「なんという幸運! なんという巡り合わせ! 生きてきた中で一番の幸福を味わっています!!」
《藤丸立香》
「嬉しいけど、勢いで契約は良くないよ」
「まずは仮契約で、ね?」
《ハーバート》
「……少し、残念ですが……マスターがそう仰るなら、まずは仮契約からで」
「でも、後で本契約してくださいね? 絶対ですよ!?」
《藤丸立香》
「ははは……」
「うーん、これまた我の強い……」 - 24スレ主24/04/07(日) 21:50:15
《カリオストロ》
「………」
伽藍洞の男は、薄く笑っているのみだった。 - 25二次元好きの匿名さん24/04/07(日) 21:52:03
保守
- 26スレ主24/04/07(日) 23:48:07
【小ネタ? 3】
この特異点は『奏章Ⅱクリア済みのマスターのみが参加できるイベント』という想定。PU1でイドモンと伯爵がまーた抱き合わせにされてる。
そして何やらやけにグイグイくるが、ハーバートは配布の星4鯖ではない。 - 27二次元好きの匿名さん24/04/08(月) 02:14:26
シナリオ的に仕方ないんだろうけどイベント参加条件キツすぎて笑う。今年の夏イベよりひでーや
でもその分面白いからいいか - 28二次元好きの匿名さん24/04/08(月) 08:45:59
保守
- 29スレ主24/04/08(月) 13:24:21
【第5節】ほのおよ、そばに
《藤丸立香》
(ハーバートは霊体化出来ないから、『家』の周辺で警護をしてくれるらしい)
(「何が出るかは分かりませんが、無事遂行してみせます!」……なんて意気込んでいたけど)
(自分は、外部からの侵入者や強襲者よりも──)
(──『外』よりも、『内』が、こわい)
──彼/彼女の脳裏に浮かぶのは、三つの『死体』。
『巌窟王』の課した試練と、『復讐の炎』を己に知らしめたあの出来事。あれは、『父の書斎』にいた巌窟王がやった犯行だ。
もし、もしも。この特異点があの世界と同じであれば。また『繰り返す』のだろうか? 喇叭が鳴り響き、時が止まり、炎に呼び出される。そして見目が同じだけで中身が異なるはずの『折田さん』と『サリエリ先生』が、『ジャンヌ・オルタ』と『サリエリ』になり──試練が、始まるのだろうか。
《藤丸立香》
(『生徒会長』は『マリー』だけど、『マリー・オルタ』ではなかった)
(教頭はそもそも『いない』らしい。……カリオストロが同行しているから、かな)
『舞台』だけが丁寧に整えられているような恐怖が伝う。
『答え』は既に出ている。自分の旅は復讐ではない。あの時の青空を、大切な後輩と共に見るための戦いだ。生きるための戦いだ。
だから、もう『復讐者』になることはない。 - 30スレ主24/04/08(月) 13:24:55
深く、深呼吸をする。
玄関の扉を開けば、芳ばしい肉じゃがの香りが漂ってくる。電気は着いている。靴は並んでいる、倒れている誰かはいない。
おかしなところはない。ない、けれど。
《???》
「──おかえり、立香」
白髪の男が立っている。赤い瞳の中に美しい星を宿した、闇色の炎のような男が。
忘れるはずもない相手だ。忘れられない男だ。『両儀式』と出会ったオガワハイムにて、影のような姿で相対した、『敵だった』はずのサーヴァント。
何よりも自分を信じ、この背中を押してくれた、唯一無二の『共犯者』。
《藤丸立香》
「────。」
『折田』と会った時も、『サリエリ先生』と会った時もすんでのところで堪えた『何か』が、彼/彼女の心から溢れ出す。
ほろほろと頬を伝う雫を止める術を、彼/彼女は持たない。
《???》
「!?」
「ど、どうしたというのだ我が息子/娘よ!?」
「『父』が何かしてしまったか?!」
《藤丸立香》
(──あぁ、そうか)
(この人は『巌窟王』ではないのか)
(でも、それでも。どうか今だけは)
(──『彼』と再会出来たのだと、思わせてほしい) - 31スレ主24/04/08(月) 13:25:46
《藤丸立香》
(あの特異点で巌窟王が『そう』役割をあてたように、この特異点でも『父』は彼らしい)
(けれどやはり、『アヴェンジャー』ではない)
(自分の『アヴェンジャー』たちは、この特異点にはいない)
(それがわかっただけでも、少し……楽になれた気がする)
《カリオストロ》
「陛下/女王陛下」
自室にて、カリオストロは霊体化を止める。
目を赤く泣き腫らした彼/彼女を見つめるその顔は、いつも通り人形のようだった。
《カリオストロ》
「さぞやお辛いことでしょう」
「カルデアには『影』のみとなった彼ら、それと瓜二つな『別人』」
「──何故、『彼らではないのだろう』……と」
ぬるり、と。
昇華しようとした感情を、このサーヴァントは絡め取る。引き摺り下ろし、泥に浸からせ、塗り潰そうとする。
──希代の詐欺師。
在り方そのモノが『詐称者』とされたカリオストロは、味方を名乗るが言の葉は煙のよう。
遅効性の毒にも思える、『元は異星の使徒だった』サーヴァント。 - 32スレ主24/04/08(月) 13:26:09
……さりとて。
《藤丸立香》
「ううん、大丈夫」
「『進め』って、背中を押してもらったから」
「たしかに、少しだけ寂しいけど」
「『あの人たち』は、『アヴェンジャー』じゃない」
「『あの三人』は、失ってしまった『家族だった人たち』じゃない」
「だから、今は『特異点』のことを考えよう」
「この『悪趣味な世界』は、何のために作られたのかを」
「一体どこに聖杯があるのかを」
────『藤丸立香』は、止まらない。
彼/彼女の炎は、『藤丸立香のアヴェンジャー』たちが連れていった。
そして、ここは『あの場所』を模倣しているだけの、別の特異点。
なれば、彼/彼女の成すことは変わらない。
《藤丸立香》
「特異点を修復する」
「『手伝って』くれるよね、カリオストロ」 - 33スレ主24/04/08(月) 13:31:49
【小ネタ? 4】
このSSにおける『藤丸立香(カルデアのマスター)』は『モンテ・クリスト伯』を召喚出来ていない。
彼らの願いを受けて前を見ているが、それでも会いたいものは会いたいし、寂しいものは寂しい。イドでは『折田さん』と『サリエリ先生』はあとで召喚されていたので、前例を踏まえ今回の特異点で会った時に堪えることは出来た。 - 34二次元好きの匿名さん24/04/08(月) 19:42:29
保守
元ネタのハーバートさんのボスが好きなのでこの話がどう転ぶか楽しみにしてる - 35二次元好きの匿名さん24/04/08(月) 20:40:50
- 36スレ主24/04/08(月) 23:40:40
- 37二次元好きの匿名さん24/04/09(火) 00:17:01
地の文いいの分かる…
地の文が好みだとアガるよね - 38スレ主24/04/09(火) 00:31:54
【第6節】にちじょうをなのるもの
藤丸立香がこの特異点に到着し、ゆうに『一週間は経過していた』。
起床し、食事を取り、登校し、学び、『学友』たちと軽口を叩き合い、『後輩』と共に帰宅し、『妹』と遊び、『両親』と何気ない出来事について話し、入浴して床に就く。
なんて事ない『普通』の日々が続いている。
『異常が起こらない』という、『異常』。
《藤丸立香》
(自宅はハーバートが警護してくれてる)
(自分にはカリオストロが着いている)
(だから敵対存在が居たとしても何もしないのか? とも考えた)
(でも、『それ以外』の何かに変化もない)
(本当に、なにもない)
(放送されるニュースですら、『事故』も『事件』もない)
(あまりにも平和だ。平穏だ)
(──『日常』のような何かだけが、そばにある)
警戒心を溶かされそうで嫌になる。
『前』も、緩んだ呼吸をした途端に『こと』が起きた。だから、気を抜く訳にはいかない。
《藤丸立香》
(聖杯は、単体ではただの『魔力の塊』のようなもの)
(『存在する』ことで歪むことはあれど、ここまではっきりと特異点の形には至らない、ハズ)
なれば。
《藤丸立香》
(──『黒幕』は必ずいる) - 39スレ主24/04/09(火) 00:32:16
《ハーバート》
「マスターは、とーっても真面目なんですね」
放課後、もはや日課となり始めた『パトロール』。『家族』の警護をカリオストロと交代したハーバートは、そんな言葉を口にした。
《藤丸立香》
「そう?」
「真面目かなぁ」
《ハーバート》
「真面目ですよ! だってこんな、『何も無い』特異点を調べているじゃないですか」
「私だったら『あっ、なんか大丈夫そう!』って遊んでます。お友達もいらっしゃるし、そちらの方々とこう……ゲームセンターでワーワーするとか、カラオケで点数合戦するとか、色々ありますよ」
「……それに、マスターは『人類最後のマスター』じゃないですか」
「こんな特異点でくらい、ゆっくりしても誰も文句は言えません」
《藤丸立香》
「ありがとう」
「優しいね」
《ハーバート》
「!? やっ、やさ……!?」
「ま、マスター! 私のような、旧き神の端末にそんな、そんな言葉などあぁ! なんて……!!」
「あなた様こそお優しい人、まるでおとぎ話の人、でもこれは、なんだか正面から言ってはプロポーズのようでは!? あぁどうしましょう、なんて称えるべきでしょう……(ブツブツ」
《藤丸立香》
(たまに狂化入ってるみたいになるなぁ)
(うーん、バーサーカーかな?) - 40スレ主24/04/09(火) 00:32:41
《藤丸立香》
(それにしても、不思議だ)
(敵対者……そもそも野犬すら居ないというか、現れないというか)
(『ここ』は巌窟王の用意した場所……つまり、『自分の精神世界』? とは違う。だから、あの炎のようなエネミーがいないのはわかる)
(でも)
(『黒幕』は居るはずなのに、自分もその周辺も襲わない)
(はぐれサーヴァントはハーバートだけ)
(いったい、『なんの目的でこの特異点をつくった』?)
「……あれ?」
《ハーバート》
「? マスター?」
はた、と思い出す。
そもそも、ここは微小特異点が急成長して出来た特異点だ。元は、ただの廃村があるだけの場所。それは藤丸立香が聖杯に手を伸ばした途端に成長した。
……自然と意識から排除していたが、仮説は一つある。 - 41スレ主24/04/09(火) 00:33:05
────『藤丸立香(自分)の願いに反応し、聖杯が特異点を形成した』のではないか?
《藤丸立香》
「……」
仮説も仮説だ。かの名探偵でもない、ただの無力な一般人だった人間が、今までの経験から考えた『もしかしたら』に過ぎない。
少なくとも、彼/彼女には心当たりがない。ただ『平穏な日常』のみを享受するなど、そんな願いを抱えているつもりはない。
つもりはないが、この平穏な日々を『心地よい』と思う心がないとは言いきれない。
自分自身を信用出来ない。たとえ偽物だとしても、たとえ『外見だけ同じの人々』だとしても、共に過ごした大切な人だ、というのは既に答えを出している。
なればこそ、『偽物でも大切だ』と思うからこそ、生まれるものがあるとすれば──。
《ハーバート》
「あの、マスター……?」
「私、何かしちゃいました……?」
不安ばかりの声に意識が浮上する。
《藤丸立香》
「……あ、ごめん」
「ちょっと、考え事を」 - 42スレ主24/04/09(火) 00:33:24
《ハーバート》
「いえ、ハーバートが何かしてしまったわけでないなら良いのです」
「……マスター」
「『何をお考えかは知りません』が、ハーバートは仮契約でもマスターのサーヴァントです」
「それに『ハーバート=ラモン』は神父でしたから、私も『聖職者』の端くれです」
「ご相談があれば、いつでも受付中ですからね」
《藤丸立香》
「ありがとう」
「その時はよろしくね」
《ハーバート》
「はい! もちろんです!」
茜色に照らされた二人は、同じ色に染まっていた。 - 43スレ主24/04/09(火) 00:33:47
『再■■■夢イ■■』
『再 ■■夢イ ■』
『再演■■夢イ■ア』 - 44スレ主24/04/09(火) 00:34:21
《???》
「……えぇ……マジィ?」 - 45スレ主24/04/09(火) 00:36:41
【小ネタ? 5】
ハーバートは配布星4ではないとは言ったし、本SSのイベントPUはイドモンと伯爵とは言ったが、PUがひとつで終わるとは言っていない。 - 46二次元好きの匿名さん24/04/09(火) 01:23:30
更新乙です
イ■ア…イデアかしら - 47二次元好きの匿名さん24/04/09(火) 05:53:38
既存の単語だと真っ先に出てくると思う、イデア
そしてイデアってどういう意味だっけって検索したらプラトン哲学からの解説から始まるところに行き着いてしまって宇宙猫になった - 48スレ主24/04/09(火) 13:44:00
【小ネタ? 6】
戦闘が起こっていないため分かりにくいが、現時点でハーバートは大幅な弱体化(?)を受けている。
具体的にいうと、NPCサポートのハーバートのレベルは60。そして自己申告があった通り宝具は使えない。スキルも一つしか使えない。そんな有様である。 - 49スレ主24/04/09(火) 21:11:17
【第7節】しゅく! きょうか!
《ハーバート》
「マスター! おはようございます!」
「あなたの今日が、良い日でありますように」
《藤丸立香》
「おはよう」
「ありがとう」
《カリオストロ》
「おはようございます、陛下/女王陛下」
「ハーバート殿がなにやら、『面白いもの』を見せてくれるようですよ」
《藤丸立香》
「『面白いもの』?」
《ハーバート》
「あっ! ネタバレはやめてください、伯爵様!」
「マスターを驚かせたかったのに……」
「実はですね、この度ハーバートは霊基の出力が上がったのです!」
「何故かは良く分かりませんが……多分マスターとの相性が良いのだと思います」
「元々、仮契約を結んでから調子が良かったのです。パスが繋がったこと以外に心当たりもありませんので、マスターのおかげに違いありません」
「ありがとうございます、マスター!」
《藤丸立香》
「よかったね」
「ちょっと照れる」 - 50スレ主24/04/09(火) 21:11:51
- 51スレ主24/04/09(火) 21:12:21
- 52スレ主24/04/09(火) 21:13:32
《藤丸立香》
「目がある!?」
《ハーバート》
「ふふん。なんとこの度、『旧き神』の権能の一部を使えるようにもなったのです!」
「これで学校生活の中でも、ハーバートが見守ることが出来ます」
「伯爵様ばかり羨ましいのです」
《カリオストロ》
「……と、いうことらしいです」
「弱々しい霊基に、小さな使い魔」
「随分と『頼もしい』ですね?」
《ハーバート》
「そうでしょう、そうでしょう!」
《藤丸立香》
(……あー…………。)
(言わないでおいてあげよう……)
《ハーバート》
「と、いうわけで」
「こちらはマスターがお連れください」
「使い魔とはいえ、このハーバートの分身のようなもの。弱体化しているとはいえ、旧き神の末端です。」
「『余程の敵でもない限り』、その子でも応戦はできます」
「これでようやく『サーヴァントらしいこと』が出来るというものです!」
《藤丸立香》
「今までも十分助かってるよ」
「家を守ってくれるのは、とても安心する」 - 53スレ主24/04/09(火) 21:14:05
《ハーバート》
「!!」
「そ……そんなにお褒めにならないでください……」
「ただでさえマスターは素晴らしいお方だというのに……好きになってしまいます(ボソッ」
「お、抑えきれなくなりそう……クる……」
「出ちゃいます……触手が……!」
《藤丸立香》
「触手が!?」
「なんで!?」
《ハーバート》
「ハッ! 失礼しました!!」
「えぇと、兎にも角にも、ご自宅の警備はおまかせください!!」
「いってらっしゃいませ!!」
《カリオストロ》
「フフ……本当に『愉快な人』ですね。陛下/女王陛下?」
《藤丸立香》
(カリオストロは……)
(ハーバートが好きじゃないのかな……?) - 54スレ主24/04/10(水) 00:37:12
【第8節】ゆめ
その日は、『いつも通り』のはずだった。異常性らしい異常性のない特異点の中で、彼/彼女は教室で授業を受けていた。肩には認識阻害の魔術を掛けられた『ハーバートの使い魔』が乗っており、興味深そうにキョロキョロと周囲を見渡している。
二人の『転校生』がいない、『姫子』と『リカルド』が友人の教室。『折田さん』は『オルタ』では無い故か、あまり話しかけてはくれない。このあたたかな場所に美しい憧憬を重ねながら、『あの場所』と同一視はしなかった。
だからといって、特異点は変わらない。
『東京』を模した特異点、を模す特異点。
果たして『藤丸立香』の無意識領域が生んだ、『願いを象った』特異点なのか? それは不明だ。断定は出来ない。否定もできない。
そして────『藤丸立香以外の誰か』の願いによって生まれた特異点である可能性もまた、否定出来ないのである。 - 55スレ主24/04/10(水) 00:37:44
《藤丸立香》
「……あれ?」
「ここは?」
ただの一度、瞬きの間。それのみで、彼/彼女の視界は様変わりした。
────闇。
光のない、ただの暗闇のみが、眼前に広がっている。
級友たちの姿はなく、教鞭を取っていた教師は居らず、座っていたはずの椅子もなく、開いた教科書とノートを置いていた机もない。
しかして、記憶の端に覚えはある。
《藤丸立香》
「夢の中、か」
「……誰かいるの?」
《???》
「いるよ」 - 56スレ主24/04/10(水) 00:38:09
- 57スレ主24/04/10(水) 00:38:41
《藤丸立香》
「あなたは?」
「サーヴァント?」
《???》
「……」
「色々と、聞きたいことは、あると思う」
「でも……時間がない」
「己(オレ)にも、君にも」
殺意も悪いも無いままに、その人物──長身の青年は彼/彼女へと近づいた。
伸ばされた腕に警戒するが、青年は気にも止めない。そのまま、藤丸立香の肩の辺りで手のひらを広げ──『何か』を握り潰すような仕草をみせた。
《???》
「ひとまず、これだけはしないとダメだった」
「『ソレ』は邪魔だから」
《藤丸立香》
「……?」
「何を……」
《???》
「人類最後のマスター、藤丸立香」
「早く、『目を覚ます』んだ」 - 58スレ主24/04/10(水) 00:39:00
──パチリと、瞳が開く。
授業中の教室に戻っている。居眠りをしていた、らしい。
記憶はある。自分は、知らない青年と話しをした。一方的だが、彼は何か訳知り顔のようだった。夢を通じて何かを伝えようとした彼は、一体何者だったのだろうか。
自分から夢に引きずりこんで『目を覚ませ』とは、なんともまぁ、身勝手な奴である。サーヴァントにはよく居るタイプだが。
カリオストロとハーバートに伝える必要がある、と彼/彼女は考える。自然とハーバートの使い魔を撫でようと手を伸ばし、身体が硬直した。
《藤丸立香》
「……え」
──そこには、ハーバートの使い魔の『死体』があった。
まるで、『誰かに握りつぶされた』かのように。 - 59スレ主24/04/10(水) 00:40:37
【小ネタ? 7】
オリジナルサーヴァントが一人だけ、とは一言もいってない。 - 60二次元好きの匿名さん24/04/10(水) 01:45:23
文章も絵もイケるスレ主すごすぎる…。
そして、事態が加速しはじめましたね…。 - 61二次元好きの匿名さん24/04/10(水) 09:16:19
更新が楽しみすぎて頻繁にスレを覗きに来てしまう
新鯖誰だろ - 62スレ主24/04/10(水) 13:40:59
【第9話】きいろのかおり
《藤丸立香》
「……と、言うことがあったんだ」
「ごめん、ハーバート」
《ハーバート》
「いえ! マスターが頭を下げる必要などありません!」
「むしろ、精神干渉に気付けず申し訳ないです」
「向き不向きはありますが、『旧き神』は精神というものに敏感です」
「ハーバートの得意分野でありながら、接触を許してしまうなど……」
《藤丸立香》
「怪我とかしてないし、大丈夫だよ」
「ハーバートは大丈夫なの?」
《ハーバート》
「はい。この子はハーバートの一部ですが、髪の毛の先のようなものです」
「痛みもなければ、大きな欠損もありません」
「ご心配ありがとうございます、マスター」
《カリオストロ》
「しかし、いったいどこの誰なのでしょうね」
「背の高い青年、とおっしゃいましたか。他に特徴は?」
《藤丸立香》
「うーん、暗くてよく見えなかったから」
「……あ、そういえば……」 - 63スレ主24/04/10(水) 13:41:39
《藤丸立香》
「────いい匂いが、した気がする」
《ハーバート》
「い、いい匂い!?」
(マ、マスターは男性の方が好きなのかしら……いえ! ハーバートとてその気になれば男にもなれるハズです! マスターが望むなら女にも男にもそれ以外にもなってみせます……!!)
《カリオストロ》
「具体的にはどのような香りで?」
「花の香りや、香水のような香り。東洋系サーヴァントであれば香木などの可能性もありますが」
《藤丸立香》
「えっと」
「そういうのじゃなくて」
「お腹が空く感じの」
《ハーバート》
「お腹が」
《カリオストロ》
「空く感じの」
《藤丸立香》
「ご飯みたいな匂いだったから……」
「炊きたてホカホカの……」 - 64スレ主24/04/10(水) 13:42:05
──某所。
《背の高い青年》
「ヘックシュ! ……風邪か? いやでも風邪とかひくワケないか。己(オレ)の噂をしてる奴がいるとか?」
「……いや、ないな。ないない、己(オレ)だし…………」 - 65スレ主24/04/10(水) 13:42:29
《カリオストロ》
「食べ物に関する逸話のある何者か、ということですかね」
「そういったサーヴァントは少なくありませんし、十分に有り得るでしょう」
「精神に干渉してきたことも踏まえれば、そちらの逸話もある可能性や、キャスターのサーヴァントの可能性もありますね」
《ハーバート》
「……やっぱり、サーヴァントなのでしょうか」
《カリオストロ》
「少なくとも、ただの敵対エネミーとは考えられません」
「『邪魔だから』という理由で使い魔のみを潰し、マスターには手を出さない」
「真意こそ不明ですが、ハーバートをあまりよろしく思っていないのは確かでしょう」
《藤丸立香》
「……ハーバートは聖杯に喚ばれた、特異点修復のためのサーヴァント」
「つまり、この特異点を作ったのがあのサーヴァント?」
《カリオストロ》
「現実世界では、必ず私かハーバートが陛下/女王陛下を護衛しています」
「それに加えてハーバートの使い魔が増えました」
「それらを『よろしくない』と判断し、排除にかかった」
「限りなく────『黒幕』に近しいかと」 - 66スレ主24/04/10(水) 13:45:05
【小ネタ? 8】
Q.ハーバートはマスター(藤丸立香)が好きなの?
A.これで好きじゃなかったら怖いな……と思いながら書いてます、とだけ。 - 67スレ主24/04/10(水) 13:47:40
- 68二次元好きの匿名さん24/04/10(水) 21:16:03
このレスは削除されています
- 69スレ主24/04/10(水) 23:52:16
【第10節】それは、ちょこれーとのような
はたして、訳知り顔の青年は何処にいるのか? ハーバートは使い魔を増やし警戒を強める。カリオストロは霊体化した状態で人類最後のマスターにつき従う。
分かっているのは『背の高い』『青年』であるということのみ。身長のみで言えばカリオストロに近しいが、線は細い。情報の少なさだけが問題ではない。ほぼ間違いなくサーヴァントであろう青年が、何らかの隠密手段を持っている可能性はゼロではない。
《ハーバート》
「すみません、マスター……」
「今日も探知に引っかかる存在はいませんでした」
事実、彼は影すら捕まらない。
アサシンクラスのサーヴァントでなくとも隠密に優れた宝具を持つ者はいる。青年が何のクラスであれ、『ねずみ算式に増やしたハーバートの使い魔』のどれにも見つからない、というのは、宝具やスキル・あるいは魔術の使用を考えずにはいられなかった。
《カリオストロ》
「今日も収穫はなし、ですか」
「さて……いかが致しましょう、陛下/女王陛下」
《藤丸立香》
「?」
「と、言うと?」 - 70スレ主24/04/10(水) 23:52:43
《カリオストロ》
「『このままここに住むのはいかがでしょう』?」
「衣食住には困らず、『新しい友人』も『新しい家族』もいます」
「今ならば『人類最後のマスター』などと言う肩書きを、元クリプターのカドック殿にプレゼント出来ます」
「『ここまでよく頑張ったではありませんか』。休んでも良いのではないですか?」
《藤丸立香》
「カリオストロ、それは」
《ハーバート》
「伯爵様! 言って良いことと悪いことがあります!!」
「ハーバートは、ハーバートはまだこの特異点で出会ったばかりです。たかが『二週間』の付き合いです、でも」
「マスターは、『やりたくない事をやっている』わけではございません!」
「『無理矢理やらされている』わけでもございません!」
「自分自身で、進むことを選んでおられます!」
「あなた様の方が先にマスター様と出会っているというのに、そんなことも分からぬのですか!?」
《藤丸立香》
「ハーバート」
「落ちついて」 - 71スレ主24/04/10(水) 23:53:10
《ハーバート》
「ッ!」
「……申し訳、ございません」
《カリオストロ》
「いえいえ、お気になさらず」
「随分と高い忠誠心をお持ちのようで」
《ハーバート》
「……少し、頭を冷やして来ます」
《藤丸立香》
「あっ」
「ハーバート!」
《カリオストロ》
「ふむ、こうなりますか」
《藤丸立香》
「カリオストロ」
「君も言い過ぎ」
「『試す』のも程々にして」
《カリオストロ》
「フフ……御意に」
《藤丸立香》
(ハーバートを追いかけよう) - 72スレ主24/04/11(木) 00:13:42
【第11節】よぶ、こえ
キィキィとブランコが揺れている。
そこに腰掛けるシスター服の少女の顔は、夕日の逆光でよく見えない。
《藤丸立香》
「ハーバート」
「カリオストロがごめん」
《ハーバート》
「! マスター……」
「いえ、ハーバートこそ申し訳ございません。伯爵様もそうですが、マスターも、その……気持ち悪く、ありませんか」
「我ながら、だいぶあなた様に入れ込んでいると分かっているのです」
「嫌われても仕方ないかな、と思うほどに」
《藤丸立香》
「嫌いじゃない、自分をよく見てくれてる証」
「お世話になってるし、嫌いになる理由なんてないよ」
《ハーバート》
「……!」
「……本当に、あなた様は優しい人ですね」
「そんなマスターだからこそ、英霊の皆様は力を貸してくれるのでしょう」 - 73スレ主24/04/11(木) 00:14:09
《ハーバート》
「……ハーバートは所詮、現界出来たことが不思議な幻霊です」
「マスターのお力によってどんどん力を増していますが、元は戦闘どころか斥候も出来ない存在。それがハーバートでございます」
「故にこそ……私は、再びマスターと出会えるか分かりません」
「仮に再び会えたとしても、『記録』があるどころか『私』であるかすらあやふやです」
「それが……怖くない、と言ったら嘘になります」
《藤丸立香》
「……」
《ハーバート》
「それに、これでも結構我慢してるんですよ?」
「声が聞こえるんです」
「内(ウチ)から、ハーバートに囁くのです」
「『喚べ』と、『封印を解け』と」
「我が主が命じるのです」
「他のフォーリナーの方も、このような衝動があるのでしょうか」
《藤丸立香》
「……少なからず、似たような感じらしいよ」
《ハーバート》
「そうでしたか。ふふふ、1人ではないと考えれば、心強いですね」 - 74スレ主24/04/11(木) 00:14:30
《ハーバート》
「マスター」
《藤丸立香》
「なに? ハーバート」
《ハーバート》
「もし、ハーバートが『私』ではないカタチであなた様と再会できたら……」
「その時もまた、『私』と契約してくださいますか?」
「マスターさえ良ければ、ですが……」
《藤丸立香》
「もちろん」
「言われなくても」
《ハーバート》
「え、ほ、本当に……ですか?」
「記憶も記録もあるか分からない、なんならベースが違うかもしれないのに」
「『我が主』の命じるままに、人類の敵になるかもしれないのに」
「……良いの、ですか?」 - 75スレ主24/04/11(木) 00:14:59
《藤丸立香》
「ハーバートは敵にならないよ」
「信じてるから」
《ハーバート》
「……!!」
「あぁ……本当に……あなた様という人は……」
「……はい、では、よろしくお願いします」
「この特異点が修復された後に、必ずハーバートは駆けつけます」
「そして、あなた様と一緒に行きます。何処までも、付き従います」
「約束です」
《藤丸立香》
「うん」
「約束だ」
──茜色に照らされた、ハーバートの顔が見える。
よく見る衝動的な喜びではない、穏やかであたたかな喜びを噛み締める、少女の笑み。
それはそれは、とても柔らかなものだった。 - 76スレ主24/04/11(木) 00:17:58
【小ネタ? 9】
なんとなくこの『ハーバート=ラモン』のイメージソングは、いよわさんの『きゅうくらりん(可不)』っぽいかな─……と思っています。 - 77二次元好きの匿名さん24/04/11(木) 08:59:28
保守〜
- 78スレ主24/04/11(木) 17:58:39
【閑話】目覚めを望む者
《背の高い青年》
「あと、少し」
「あともう少しで、終わってしまう」
「それは……ダメだ」
「ここで終わらせやしない」
「終わらせては、ならない」
「己(オレ)は、成し遂げなければならない」
「それこそが──己(オレ)の喚ばれた、意味だから」 - 79二次元好きの匿名さん24/04/11(木) 20:47:48
背の高い青年、漢服っぽい&房飾りのついた大きな帽子?被ってる&香りの説明節タイトルが「きいろのかおり」で黄色=中国の皇帝色ってところから中国〜モンゴル辺りのかなり位の高い人に思えるけど、本人が「己(オレ)の噂をしてるヤツなんていない」とマイフレンド並に自信がないのが不思議
シャルルマーニュみたいに実在の人物に勝てない幻想なのかな - 80スレ主24/04/11(木) 23:28:16
【小ネタ? 10】
ちょくちょく触れている通り、段々ハーバートは強くなっています。
今はレベル80くらいかな。 - 81スレ主24/04/11(木) 23:44:40
【第12話】にちじょうの、おわり
──それは、実に突然のことだった。
『いつもの日常』と化した授業中、『煙のような何か』が人々を襲い始めたのだ。これまでの穏やかな日々が、嵐の前の静けさであったことを証明するかのような、突然のことだった。
《藤丸立香》
「カリオストロ!」
「みんなを守って!」
《カリオストロ》
「えぇ、はい。かしこまりました」
(……遂に『始まった』ようですね)
(さて、『何をするつもり』なのでしょうか?)
《藤丸立香》
(シャドウサーヴァント、とも違う)
(視認はできるけど、カタチが捉えられないエネミー)
(正体は気になるけど、今は学校のみんなを避難させないと)
《ハーバート》
(自宅周辺にも敵対エネミー出現しました!)
(申し訳ありません、向かうのに時間がかかります!)
《藤丸立香》
(自分のことはいい!)
(家をお願い、ハーバート!)
《ハーバート》
(~っ! はい!)
(マスターもお気をつけて!) - 82スレ主24/04/11(木) 23:45:06
《藤丸立香》
「1体1体は弱いけど!」
「数が! 多い!」
《カリオストロ》
「えぇ、本当に」
「ハーバートの使い魔に負けるほど弱いですが、一般人からすれば十分に脅威の類い」
「私1人では到底出来ず、さらに校内のあちこちに使い魔がいなければ守りきることは不可能でしょう」
「そして」
「逆に言えば、私たちのリソースは『攻め』には裂けません」
「『こちらのやり口』を分かっているからこその対応にも見えます」
《藤丸立香》
「守りを固めさせるため、と?」
「襲った際、自分たちがどう動くか理解していた?」
《カリオストロ》
「はい」
《藤丸立香》
(あの謎のサーヴァントは、自分のやり方を知っている?)
(でも、見た覚えはない)
(既にカルデアにいるサーヴァントの別霊基?)
(いや、でも)
(炊きたてご飯みたいな匂いのする人とか、厨房組くらいしかいないし……)
(……『一方的にこっちを知っている』としたら、それこそわからない……!) - 83スレ主24/04/11(木) 23:45:26
──咆哮が、聞こえる。
空高く響き渡るような清々しいものでは無い、地の底を揺るがすような、低く重くもの。発生源は直ぐにわかった。
《藤丸立香》
「グラウンドに!」
「大型エネミー!」
こちらも、モヤのようなモノを纏っていて細かいなカタチはわからない。強いていうならば、四足であることと……象やバクを思わせる長い鼻らしきモノがあるくらいであろうか。
……ハーバートの援軍は、期待出来ない。
《藤丸立香》
「カリオストロ」
「行ける?」
《カリオストロ》
「──はい、もちろん」
「陛下/女王陛下の命じるままに」 - 84スレ主24/04/11(木) 23:46:20
──戦闘は、意外にも長引くことなく終わった。
大型エネミーは真っ直ぐにカリオストロを狙い、そして彼によって鎮圧された。サラサラと塵に成りゆくエネミーを見、何か手がかりになりそうなものはないかとカリオストロは探っている。
総合して『数は多いが弱い』エネミーたち。これを差し向けたであろうサーヴァントは、いったい何を狙ったのか?
《藤丸立香》
「そうだ!」
「ハーバートは!?」
《ハーバート》
「お待たせしました、マスター!」
「ハーバート、無事到着です!」
《藤丸立香》
「怪我はない?」
「家はどうなった?」
《ハーバート》
「はい、ご家族の皆様もご無事です」
「こちらに差し向けられたエネミーは全て殲滅しました」
《藤丸立香》
「そっか」
「ありがとう」
《ハーバート》
「いえ! それがお役目ですので!」 - 85スレ主24/04/11(木) 23:46:46
《藤丸立香》
(ハーバートを狙ったのかと思ったけど)
(違う……のか?)
(じゃあ、何が目的で?)
(そもそも、なんで今の今まで仕掛けてこなかった?)
(『この』カタチの特異点にした理由は?)
(わからないことが、多すぎる)
《ハーバート》
「マスター」
「お話があるのですが、よろしいですか?」
《藤丸立香》
「?」
「うん、どうしたの?」
《ハーバート》
「この特異点についてなのですが──」
「────『わかった』かも知れません」 - 86スレ主24/04/11(木) 23:47:13
──塵の中、『何か』をカリオストロは見つける。
それを目にした彼は、左右で異なるアレキサンドライトのような瞳を細めた。
《カリオストロ》
「……おや、これは…………」
「……フフフ、なるほど。そうでしたか」
「これは『助かります』ね」
「では」
「終わりにしましょう」
──伽藍洞が、黄色の匂いを纏う。 - 87スレ主24/04/11(木) 23:49:24
『再演■■夢イ■ア』
『再演■ 夢イ■ア』
『再演■中夢イ■ア』 - 88スレ主24/04/11(木) 23:52:26
──某所。
《背の高い青年》
「あぁ……ダメだ!」
「それだけはやめろ、やめてくれ!!」
「全て……終わってしまう……」
「『手遅れ』になってしまう!!」
「────『特異点を成立させては、ダメだ』!!」 - 89二次元好きの匿名さん24/04/12(金) 00:11:52
えっ
- 90二次元好きの匿名さん24/04/12(金) 07:34:55
保守
- 91二次元好きの匿名さん24/04/12(金) 10:30:39
つまり今のカリオストロはお腹の空く匂いがする…?
- 92スレ主24/04/12(金) 10:36:49
はい、炊きたてご飯の匂いに包まれたカリオストロです。
- 93二次元好きの匿名さん24/04/12(金) 11:30:32
なんかそれだけ聞くとかわいいな…
- 94二次元好きの匿名さん24/04/12(金) 19:10:16
いよいよ盛り上がってきた
あとカリオストロの描写がめちゃくちゃ好きありがとう - 95スレ主24/04/12(金) 22:45:42
- 96スレ主24/04/12(金) 23:10:15
【第13節】なんじはじんろうなりや?
《藤丸立香》
「わかったの!?」
《ハーバート》
「はい、あくまでハーバートの主観ではありますが、おそらく──この特異点は」 - 97スレ主24/04/12(金) 23:10:36
《カリオストロ》
「いいえ、『お話はもう終わりにしましょう』。『ハーバート=ラモン』」
《ハーバート》
「伯爵様?」
「もしや、あなた様も何かわかったのですか?」
《カリオストロ》
「『分かっておりました』とも」
「『何をするのか』にそそられ、ここまで口を挟みませんでした」
「しかし、何ともまぁ『つまらない』」
「『混沌』を呼ぶのかと思えばそうではなく、『混乱』を産むかと思えばそうでもない」
「やる事なす事、子供騙しもいい所です」
「『ネタばらし』する頃合かと」
コツリ、コツリ。『革靴の音がする』。
カリオストロは大きな身体を『ハーバート』と『人類最後のマスター』の間に割り込むように滑り込ませた。
──ふわり、と。何かが鼻を掠める。
《藤丸立香》
(この、匂いは……)
《ハーバート》
「伯爵様って、悪趣味なのね」
「分かっていながら黙っていたなんて」
「では、分かっていらっしゃるのね。この特異点の正体が」
《カリオストロ》
「はい、ですので」 - 98スレ主24/04/12(金) 23:11:32
《カリオストロ》
「────もう、あなたの『認識阻害』は効きませんよ」 - 99スレ主24/04/12(金) 23:11:54
《藤丸立香》
「……どういうこと、カリオストロ」
「その言い方は、なんだか」
《カリオストロ》
「『ハーバートが我々に魔術を掛けていたようだ』、と?」
「はい、その通りですとも。我が陛下/女王陛下」
「最初から最後まで『茶番』に過ぎないのですよ」
「全ては、『コレ』の仕組んだこと」
《ハーバート》
「……いやだわ、伯爵様ったら」
「そんな、そんなジョーク、なんの面白味もありません!」
「確かに、ハーバートは伯爵様に酷いことを言いました。その節は本当に──」
《カリオストロ》
「いえいえ、幼児の考えたような稚拙な言葉に感じるものなどありません」
「少しばかり煽ってみれば、いやまさに、叩けば響く楽器のよう」
「むしろ、ソレだけは面白くもありましたね」
「『陛下/女王陛下の寵愛欲しさに右往左往する』様は、滑稽以外の何物でもありませんでしたよ。『ハーバート』?」
《ハーバート》
「……」 - 100スレ主24/04/12(金) 23:12:20
《カリオストロ》
「では、かの名探偵には敵いませんが『謎解き』をさせていただきましょう」
「『謎』というほど、大層なものはありませんが……ね」
──ハーバートは、口を開かない。
《カリオストロ》
「まずもって、カルデアが観測した『微小特異点』。これが全ての『間違い』です」
《藤丸立香》
「『間違い』?」
「『1976年のドイツ山中』が?」
《カリオストロ》
「そう、『間違い』なのです」
「『ハーバート=ラモン』が登場する作品が出版された年の、作中の舞台にそっくりな場所に発生した微小特異点」
「いかにも『1976年のドイツ山中』が関係ありますよ、と言いたげではありませんか」
「事実、現れたのは『フォーリナー』の『ハーバート=ラモン』を名乗るサーヴァント」
「『これから現れる存在の言い訳』なのですよ、『観測した微小特異点』そのものが」 - 101スレ主24/04/12(金) 23:12:46
《藤丸立香》
「えぇと、それは」
「つまり」
「──『ハーバートが特異点を作った』って、こと?」
《カリオストロ》
「『はい』」
「ふむ、流石ですね。『彼』の言う通り、陛下/女王陛下に掛かっていた『認識阻害』が解けてきたようだ」
「正しくは『都合の良いことしか起きない』ことに『違和感を抱かないようにする力』でしょうか」
「陛下/女王陛下」
「この特異点に来てから、『クラスメートと話した記憶はありますか』?」
「いえ、そもそも──『我々二人以外とマトモなコミュニケーションを取りましたか』?」
糸が解けるように、今まで何も感じなかった『違和感』が見えてくる。
姫子に心配された『気がする』。『リカルド』に心配された『気がする』。母にお使いを頼まれた『気がする』し、妹と遊んだ『気がする』。父とぎこちなく会話をした『気がする』。キリエと駅前まで行った『気がする』。
が、それだけだ。
細部までは思い出せない。記憶がない。
この特異点に来てから、『一番最初にこの世界の住人に出会った時』以外に、『しっかりと話していただろうか?』 - 102スレ主24/04/12(金) 23:13:10
《藤丸立香》
「……」
《カリオストロ》
「この場所は『ハーバートと藤丸立香(陛下/女王陛下)が絆を結ぶため』の世界である」
「と、いうのが私の考えです」
「その為に『他の情報量を減らしている』のでしょう」
「だからこそ、『記憶が曖昧になる』」
「自身の能力を持ってして認識を曖昧にし、悟らせない」
「だからこそ、『敵対エネミーがいない』のです。ここには」
「戦闘まで記憶を曖昧にしては、流石に支障が出ますからね」
《ハーバート》
「……いいえ、それはおかしいわ伯爵様」
「確かに、ハーバートが召喚されたのは『都合がいい』かもしれません」
「もしかしたら、いつの間にか記憶が曖昧なところがあるかもしれません」
「けれど、それはこの特異点の『黒幕』の仕業です!」
「『ハーバート=ラモン』との因縁ではなく、我が主との因縁を持つ『背の高い青年』こそが、この特異点の主!」
「聖杯を持つサーヴァントです!」 - 103スレ主24/04/12(金) 23:13:35
ハーバートが、藤丸立香を見つめている。『信じて欲しい』。その気持ちが伝わるような、真っ直ぐな澄んだ瞳で。
──そう感じたのは、一瞬のこと。
鼻腔を、『あたたかな匂い』が通り抜ける。先程カリオストロから香った『炊きたてのご飯のような匂い』。『背の高い青年』からした匂い。
それを吸い込むと、『意識がハッキリした』。いや、今まで意識が無かったわけではない。自我がなかったわけではない。ただ『そういうものだ』と自然に受け入れていた疑問に、気付くことが出来た。それだけだ。それだけだというのに──『違和感』が、ある。
《ハーバート》
「『マスター様?』」
《藤丸立香》
「そっか……」
「カリオストロ」
《カリオストロ》
「はい」
《藤丸立香》
「『話を、続けて』」
もう、彼/彼女は口を挟まない。
元は一般人であった『藤丸立香』は、『カルデアのマスター』として磨かれている。その感性や価値観を成長させながら、『揺らぐことはない』。数多の英霊と関わり、対人能力が特出しているようにも見える彼/彼女ゆえに、『それ』にはとても敏感だ。
だから、わかる。
だから、気付く。
────ハーバートは、『嘘つき』だ。 - 104スレ主24/04/12(金) 23:14:06
《閑話》ゆめをみるもの
《???》
「夢を……見ている」
「夢、夢、夢」
「色んな意味が、夢にはある」
「己は、『全部』を見ている」
「『叶うはずのない』、『現実味のない』、『幻のようなもの』」
「それを、己はカタチにしたい」
「だから、『起きないで』」
「『起きたらダメ』」
「お願いだから────ソイツから、離れてよ」 - 105二次元好きの匿名さん24/04/13(土) 08:27:23
匂いも不穏だし偽装工作EXの幸運判定成功っぽくもあるし、誰を信じるべきか分からなくてドキドキする
- 106二次元好きの匿名さん24/04/13(土) 18:15:48
保守
- 107二次元好きの匿名さん24/04/13(土) 20:10:33
嘘には「悪意による嘘」と「誰かの(あなたの)ために吐く嘘」があるからね
嘘つきということと黒幕であることはイコールではない - 108スレ主24/04/14(日) 01:04:08
- 109二次元好きの匿名さん24/04/14(日) 01:38:15
スレ主の笑みが怖い
- 110二次元好きの匿名さん24/04/14(日) 11:43:47
昨日は鯖落ちでスレが落ちたらどうしようって怖かった
保守 - 111二次元好きの匿名さん24/04/14(日) 20:44:41
ワクワクがとまらない・・・
- 112スレ主24/04/14(日) 22:30:44
【第14節】かごめ、かごめ
《ハーバート》
「何故……! 何故、ハーバートを信じてくださらないのですか、マスター!」
ハーバートの瞳から、はらはらと零れ落ちるしずく達。止まることを知らないそれはグラウンドに染み込んで、色を濃く変えていく。
《カリオストロ》
「おかしなことを仰る」
《ハーバート》
「ッ! 伯爵様! あなた様はいったい、マスターに何をしたのですか!?」
「あなた様が近づいてから、マスターはおかしな反応をするようになりました!」
「もしや、『黒幕』と共謀しているのですか!?」
《カリオストロ》
「『共謀』と来ましたか、いいえ? 違います」
「ずっと一人きりだった『あなた』には分からないのも無理はありません」
「『協力』というのですよ、これは」 - 113スレ主24/04/14(日) 22:31:08
《藤丸立香》
「……」
彼/彼女は唇を噛み締める。
言いたいことはある、聞きたいことがある。けれど、『知りたいことがある』。今はただ、目の前で広い背中を見せる『詐欺師』の言葉を聞くのみ。
《カリオストロ》
「『彼』は陛下/女王陛下とずっと接触したかったことでしょう」
「しかし、あなたの妨害によってそれは叶わなかった」
「干渉を防ぐことなど簡単でしたでしょう」
「ここは『あなたの為の世界』ですから」
「だから、彼は『自分に出来る精一杯』を為すことにしました」
「それが、陛下/女王陛下の見た『夢』です」 - 114スレ主24/04/14(日) 22:31:29
《カリオストロ》
「彼は自身の領域から陛下/女王陛下に干渉し、『真相』を伝えようとしました」
「しかし、そばに居たあなたの『使い魔』の方が厄介だった」
「そんなモノが居ては、どれだけ『真相』を伝えたところで意味が無い。直ぐに認識を書き換えられてしまう」
「だから、『使い魔を潰すこと』を優先した」
「結局のところ、『陛下/女王陛下の信頼によって強くなる』あなたの使い魔は直ぐさま増殖するようになりましたが……」
「彼は、一つメッセージを残しました」
チラリ、と。カリオストロは藤丸立香に視線を向ける。『思い出せ』とでも言うように。導かれている自覚はあるが、彼/彼女は誘われるがまま口にする。
《藤丸立香》
「……『目を覚ますんだ』?」
《カリオストロ》
「そうです」
「仮に彼がこの特異点を作ったのだとすれば、『おかしい』のです」
「せっかく護衛抜きで『人類最後のマスター』と出会えたというのに、手を出したのは使い魔のみ」
「更には、自分から『夢』に引きずり込んだのに『目を覚ませ』と言った」
「これに筋を通す仮説を、一つ建てました」 - 115スレ主24/04/14(日) 22:31:51
《カリオストロ》
「ここは、『夢の中』なのではないか? ……と」
《藤丸立香》
「……!!」
《カリオストロ》
「先程まで私が語った『推理』は、全てコレを軸にして考えたものです」
「何故、『彼』は陛下/女王陛下に手を出さなかったのか? 『彼は敵ではないから』」
「何故、『彼』は『ハーバートの使い魔』を始末したのか? 『存在が悪影響だったから』」
「何故、敵対エネミーがいないのか? 『いると問題が生じるから』」
「何故、記憶が曖昧な節があるのか? 『強く焼き付けたい記憶があるから』」
「何故、『1976年ドイツ山中』なのか? 『その方が都合が良いから』」
にこり、と。彼は人の良さそうな笑みを深める。
《カリオストロ》
「真に『人理側』であるのは『彼』、『あなた』は『黒幕』……いえ、正しくは『首謀者』でしょうか」
「『黒幕』などと大層な呼び名は相応しくありませんね」 - 116スレ主24/04/14(日) 22:32:14
《ハーバート》
「マスター……お願いです」
「惑わされないでください」
「確かに、ハーバートは怪しいかもしれません」
「フォーリナーというクラスは特異なものである、ということも理解しています」
「しかし、ハーバートは『マスターの味方』です!」
「どうか、伯爵様から離れてください!」
ハーバートは、乞い願う。
藤丸立香は、息を飲む。
──『アレッサンドロ・ディ・カリオストロ』。彼は元々、敵対している『異星の神』に仕えていたサーヴァントだ。『異星の使徒』であった『伯爵』のした事は許せない。『許せるかもわからない』。
異星の使徒であった頃の記憶・記録はないように振舞っているが、真実はわからない。今、彼が語ったことに筋は通るが、『筋が通るだけ』だ。この特異点の詳細は、いまだ明らかになっていない。暗闇の道に何があるかわからない時に、「これがこの道の昼間の姿ですよ」と言っているようなもの。
答えがわからないから、好き勝手言っているだけなのだ。なるほど、『名探偵』とは異なる。
故に、彼/彼女は『自分の中にあった小さなとっかかり』を口にすることにした。
《藤丸立香》
「ハーバート」
「一つだけ、聞きたいんだ」
《ハーバート》
「はい!」 - 117スレ主24/04/14(日) 22:32:41
《藤丸立香》
「『君は、なんでフォーリナーなの?』」 - 118スレ主24/04/14(日) 22:33:02
《ハーバート》
「……」
「えぇ、と。マスター様」
「質問の意図が、よく……」
《藤丸立香》
「君も言ったように、『フォーリナー』は特殊なエクストラクラスだ」
「ある一定の条件のもと、『フォーリナー』に分類される」
「一部、更に特殊な出自で『フォーリナー』になった人もいるけど……」
「君は、アビゲイルたちと同じ『異次元に住まう邪神』の依代であるから『フォーリナー』だ……という風に、考えてた」
「でも」
「『ハーバート=ラモン』は幻霊だ。アビゲイルやお栄さんたちとは違う。『実在した人物が邪神と通じた』わけじゃない」
「複合サーヴァントの『フォーリナー』もいるけど、彼女は『継ぎ接ぎ』でもどちらも『実在する』存在だった」
「君が『我が主』と呼ぶ『邪神の一側面』を、『物語の登場人物・ハーバート=ラモン』としたなら、それは……『フォーリナー』というよりは」
「『アルターエゴ』じゃないのかな、って」 - 119スレ主24/04/14(日) 22:33:24
《藤丸立香》
「もう一度聞くよ、ハーバート」
「『君は、なんでフォーリナーなの?』」
《ハーバート》
「……」
「どうして」
「どうして、信じてくれないんですか」 - 120スレ主24/04/14(日) 22:34:10
《ハーバート?》
「『壁越しの奴ら』は騙せたのに」 - 121スレ主24/04/14(日) 22:38:04
《第15節》愛されるべき者
《ハーバート?》
「うん、そう」
「己(あなた)は『ハーバート=ラモン』じゃないわ」
「あれ? いや、そこまではまだバレてなかったかしら」
「まぁ、いっか。『名乗り』すら邪魔されたら、『主役』として経つ背がなくなってしまうもの」
《藤丸立香》
「……」
《ハーバート?》
「あらあら、そんなお顔をしないで? 『マスター』」
「別に、騙してるつもりはなかったのよ」
「ただ『本当』ではなかっただけ」
「己(あなた)に『本当の姿』なんて、あってないようなものだもの」
《カリオストロ》
「醜い足掻きをお辞めになるようで、何よりです」
《ハーバート?》
「醜いのはあなたでしょう?」
「面識はないけれど『似たもの同士』、己(あなた)と波長があって呼び込んでしまったのに」
「『似たもの同士』の癖に手伝ってくれないし、むしろ低レベルのミステリー漫画の謎解きシーンを始めるなんて」
「『酷い人』よ、本当に」 - 122スレ主24/04/14(日) 22:38:30
《ハーバート?》
「あぁ、『マスター』。そこの伯爵と『似たもの同士』でも『同じ』ではないわ」
「だから、一緒にしないでね?」
「己(あなた)はちょっと『特別』なだけなの」
「己(あなた)は『あなたの為の主人公』。『あなたに夢を見せる者』」
《藤丸立香》
「『主人公』?」
「『夢を見せる者』?」
《ハーバート?》
「それじゃあ、改めて自己紹介させてもらうわ」
──彼女が被っていたベールを脱ぐと、その姿は『ページをめくる様に』変化する。
緑をメインとしていた優しげな色から、『強く主張する』金色に。キラキラと靡く金髪の隙間からは、同じ色であるはずなのに底の見えない翠の瞳が覗く。
そして、服。オレンジ色の『現代的な服』に身を包み、彼女は名前を口にする。
《ハーバート?》
「己(あなた)は『メアリー・スー』」
「『プリテンダー』の、『メアリー・スー』」
「『愛されるための主人公』、それが己(あなた)」
「『そちら側』の皆さん共々、よろしくね?」 - 123スレ主24/04/14(日) 22:39:00
- 124スレ主24/04/14(日) 22:42:06
- 125二次元好きの匿名さん24/04/14(日) 22:43:26
このレスは削除されています
- 126スレ主24/04/14(日) 22:46:28
- 127二次元好きの匿名さん24/04/14(日) 22:55:42
創作界隈のビッグネーム来たな…
それはそうとこちら側を認識している…? - 128スレ主24/04/14(日) 23:28:48
( ◜ᴗ◝)
- 129二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 07:43:50
- 130二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 08:56:42
ああ炊き立てのご飯って朝=目覚めの時の匂いってこと…?
- 131二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 11:21:48
- 132スレ主24/04/15(月) 18:23:16
- 133二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 20:30:18
あんまり書くとスレが埋まっちゃうかな?
カリオストロもしかして乗っ取られたんじゃ?と思ってちょっと疑心暗鬼だったごめん
でもイドモンがまだ出てきてないから三つ巴の可能性あるよね…で疑心暗鬼から抜け出せない - 134スレ主24/04/15(月) 21:17:23
足りるかわからないけど、足らなかったら次スレ立てるから安心して感想とか言ってくれていいよ。今は三分の二いったくらいなんで。
全部終わったら、簡素なマテとか話してない小ネタとか後日談とかマイルームボイスとか色々投げるつもりだから。
- 135スレ主24/04/15(月) 23:46:06
【小ネタ? 12】
小ネタ6にて「『ハーバート』はスキルが1つしか使えない」と言ったのは、2部6章のオベロンのように伏せられたスキルがあったから。
「1つしか使えない」じゃなく「2つ以降は真名バレになるから」が正しいけど。 - 136二次元好きの匿名さん24/04/16(火) 08:57:45
保守
- 137二次元好きの匿名さん24/04/16(火) 14:24:17
- 138二次元好きの匿名さん24/04/16(火) 19:22:13
目覚めを促すこと自体が本人の逸話の一つかもしれないのが悩ましい
- 139スレ主24/04/16(火) 21:17:41
【第16節】伽藍洞
《メアリー・スー》
「あぁ、そうそう『騙せた』……は少し間違いだったわ」
「『信じてくれた』、と言うべきね」
「それでね、『マスター』が信じてくれるとは思ってないけど、悪気はないの」
「ただ、あなたの望む『夢』を見せるのが己(あなた)だから……」
「『絶対的な味方』とか、『裏切らない味方』とか」
「はたまた『ちょっと苛烈だけど一途な子』とか、『不安定なところもあるけど可愛い子』とか」
「そういう『ウケる役』を羽織ってただけ」
《藤丸立香》
「じゃあ」
「特異点を作ったのは?」
《メアリー・スー》
「そうねぇ、『正しくはない』んだけど」
「たまたま聖杯を手に入れちゃったし、どうせなら久しぶりに『主人公』をしたかったの」
「己(あなた)は概念であり幻霊でもあるから、『生きる人類』がいないと寂しいのよ」
「だってほら、己(あなた)はメアリー・スーでしょ?」
「『愛される為に生まれた』のに、愛してくれる人がいないなんて耐えられないわ」
「『己(あなた)』を愛してもらうため、それだけよ」 - 140スレ主24/04/16(火) 21:18:13
《メアリー・スー》
「強いて『他』を言うなれば──『あなた』のためよ、マスター」
「己(あなた)は求められるなら『何にでも』なるわ」
「それこそ、『反則級の主人公』にでもね」
「己(あなた)は他人のための存在だもの」
「あなたの信頼を得て、あなたからの愛を受け取るためなら『どんな世界だって作る』」
「己(あなた)はそういう『物語』の『主人公』だから」
《カリオストロ》
「『メアリー・スー』……テレビドラマ『スタートレック』のファンが書いた小説『A Trekkie's Tale』に登場する『主人公(ヒロイン)』」
「見目麗しく、まだ少女と呼べる年齢でありながら高いスペックを持ち、登場人物たちに愛される。そして、惜しまれながら死ぬキャラクター」
「しかし、それは当時増えていた『チープなスタートレックのファンアート』に対する『アンチテーゼ』」
「何やら随分と自己肯定感が高いようですが……」
「あなたは『否定される為』に生まれた存在(キャラクター)では?」
《メアリー・スー》
「?」
「『なんの話?』」
「己(あなた)はメアリー・スー。愛される為の主人公」
「己(あなた)を否定する人なんて、いる訳ないでしょう?」
「もしいるとしたら、己(あなた)を引き立たせるための『必要悪』の噛ませ犬」
「そんなの、恐れることは何も無いわ!」 - 141スレ主24/04/16(火) 21:18:47
美しい笑みが、彼/彼女に向けられた。
《藤丸立香》
(『メアリー・スー』は、『こういう存在』なのか──)
(『自分が愛される事を当たり前と思っている』)
(『物語の外(現実)』ではどうであれ、『彼女』はキャラクター)
(『キャラクター』としての『メアリー・スー』は、『物語の中心』)
(だから『全ては自分が第一』で、『他人に関心なんて持っていない』)
(そして、『メアリー・スー』は『自己投影』するための『主人公』のアンチテーゼ)
(つまり)
《カリオストロ》
「────『がらんどう』ですね、あなたは」
《メアリー・スー》
「『あなた』にだけは言われたくないわよ、稀代の詐欺師さん」
《カリオストロ》
「いえいえ、『あなた程ではありません』」
《メアリー・スー》
「……何それ」
「まるで己(あなた)が、あなたより劣ってるみたいな言い方ね」 - 142スレ主24/04/16(火) 21:19:26
《カリオストロ》
「えぇ、はい。その通りです」
「他者の為を謳いながら、実の所は『自分の為』」
「私の言った『がらんどう』とはそのことです」
「『自分の中身が無いことに目を向けたくないから』、『他人に責任を押し付けている』」
「自分の為にやったと自信満々に言った後、『自分はそういう存在だから』と言いましたね」
「『中身がない』のではなく、『中身を持とうとしていない』」
「あなた、『自分が嫌い』でしょう」
ビスクドールを思わせる、『作り物のような』笑みをカリオストロは浮かべる。それに対するは、『人工的』な色素を思わせる金髪と緑眼のメアリー・スー。
『がらんどう』な『作り物』。彼ら自身も度々口にしていたが、確かに『似たもの同士』のようだ。
しかし、相性は実に悪い。そして対称的でもある。
『アレッサンドロ・ディ・カリオストロ』は、『自分が伽藍洞であることに何も思っていない』。『メアリー・スー』は、『自分の伽藍洞を認めたくない』。
《メアリー・スー》
「本当に、気に食わないわ。あなた」
──メアリー・スーからすれば、自分と同じ『生まれつきの詐称者(プリテンダー)』であるのに、自分とは真逆なのだ。 - 143二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 08:15:48
メアリー・スーとカリオストロの対比めちゃくちゃ良い
そういえば青年の方の一人称も字は己なんだよね
カリオストロに真っ直ぐ向かっていった大型エネミーとかが塵になったものを調べて青年に関わることを理解したっぽいのが気になるな
単に青年側がメアリー・スーに何らかのアクションをしていただけかな
青年誰なんだろう - 144スレ主24/04/17(水) 12:41:08
【小ネタ? 12】
Q.『メアリー・スー』は『藤丸立香』が好きですか?
A.好きじゃないです。
『ハーバート=ラモン』という『役』は『藤丸立香が好き』という設定がありましたが、『メアリー・スー』は何の感情も抱いてないです。 - 145二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 18:47:00
- 146二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 19:35:37
メアリースーは理想/完全が前提とされてるともいうけどどっかの誰かが言ってたな
完全な存在になれても、完璧な理想が実現されても、そこに不完全がなくなる以上完全と言えなくなると
ある意味存在自体が剪定の対象
とっくに行き止まりなサーヴァントなのがメアリースーなのかもしれない - 147スレ主24/04/17(水) 23:13:13
- 148二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 06:34:51
誰か作家鯖かオベロンかナーサリー連れてきてください
- 149スレ主24/04/18(木) 09:42:38
- 150二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 09:55:07
まだキャラが分からんからなんとも言えないがアンデルセンと合わせたらすっげえ面白そう
- 151二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 11:46:57
『一緒にすんなよ』ってのか浮かんだ
- 152二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 17:44:49
作家達やナーサリーだと理想(メアリー)VS空想(作家やナーサリー)な感じになるのか
メアリーの弱点てか欠点?をつけたら攻略法見えるかな?
本人の理想/強みが偶像/まやかしになるような感じとか - 153二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 20:17:28
- 154二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 23:15:49
弱点/欠点てなんだと思う?
- 155スレ主24/04/18(木) 23:16:08
【第17節】夢を祓う者 進行度=1
《メアリー・スー》
「ふー……さて」
「それで、ここからどうするつもり?」
「己(あなた)相手に推理ショーをして、種明かしをして、『その先は』?」
「例の『背の高い青年』こそ、聖杯に喚ばれたサーヴァント……抑止力側の存在であることはわかっているわ」
「でも、何が出来るの?」
「あれがしたことと言えば、『マスター』を自分の『夢』に引きずり込んだくらい」
「ここは、『あなた』と己(あなた)の『夢』の世界!」
「特異点を完成させることで、あなたの『夢』は現実のものとなる」
「少なくとも、そこで利害は一致してると思うのだけれど」
《藤丸立香》
「『夢が現実になる』?」
「どういうこと?」 - 156スレ主24/04/18(木) 23:16:57
《メアリー・スー》
「さぁ、どういうことかしら?」
「ふふふ」
「悪いけど、もうそろそろお話はお終いにしましょう」
「ごめんなさい」
「戦いたいわけじゃないのよ?」
「でも、流石に伯爵さんの意図が読めるわ」
「あなた、今までのは『時間稼ぎ』ね?」
「わざわざ己(あなた)の鼻を明かすためだけにやった、とは考え難い。直前の『敵対エネミー』の件もある」
「とにかく、これ以上掻き乱されたら堪らないの」
「だから──『夢に戻りましょう』?」
【Fatal BATTLL】
《メアリー・スー》
「大丈夫、誰かを傷つけるのが目的じゃないから」
「望むままに、素敵な『夢』を見ましょうね」 - 157スレ主24/04/18(木) 23:17:51
【バトル画面】
名前:メアリー・スー
HP:324,400(ブレイクゲージ2本)
→1本目ブレイク後は485,600
→2本目ブレイク後は567,800
チャージ:4
《バトル開始時発動スキル》
・夢の星影
自身に弱体無効(3回3ターン)、無敵(3回3ターン)付与。
《ゲージブレイク時行動》
1本目
・スキル使用
→・肯定される者
クリティカル威力アップ(5ターン)&攻撃力アップ(5ターン)&防御力アップ(5ターン)。
・チャージMAX
→宝具発動
『貴方の為の主人公(メアリー・スー)』
「己(あなた)は想像の『主人公』。何にだって成れるのよ? さぁ、どんな『私』をお望み? 『貴方の為の主人公(メアリー・スー)』」
攻撃力アップ(5ターン)、防御力アップ(5ターン)、クリティカル威力アップ(5ターン)、クリティカル率アップ(5ターン)。
《2本目ゲージブレイクにて戦闘終了》 - 158二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 23:57:07
無敵貫通礼装積むかぁ…!
- 159二次元好きの匿名さん24/04/19(金) 01:10:19
対プリテンダーだから単体フォーリナー…頼んだぞ、XX!(フォーリナーの層が薄いカルデア)
- 160二次元好きの匿名さん24/04/19(金) 01:36:37
- 161二次元好きの匿名さん24/04/19(金) 11:12:29
最初の苦戦展開か
ご都合状態をどう切り抜けるか - 162二次元好きの匿名さん24/04/19(金) 13:50:10
せっちゃん、それレディアヴァロンキャストリアガネーシャで余裕に耐久できるやつや
- 163二次元好きの匿名さん24/04/19(金) 15:53:44
あの話!?え、青年の正体分かったの!??
- 164二次元好きの匿名さん24/04/19(金) 22:40:24
念のため保守
- 165スレ主24/04/20(土) 00:22:07
【第17節】夢を祓う者 進行度=2
《藤丸立香》
「ッ!」
「硬くはない、『強すぎる』わけでもない、でも」
「『手応えがない!』」
《メアリー・スー》
「当たり前よ」
「己(あなた)が負けるわけないでしょ?」
「だって、ここの『主人公』は己(あなた)だもの」
「『主人公』が負ける時っていうのは、パワーアップの前兆。修行編の前とかだもの」
「まぁ、己(あなた)には必要ないけどね」
「己(あなた)は『最初から最期まで』望まれるがままの最高峰」
「──『私』の物語のなかで『私』が負ける通りはないわ!!」
《カリオストロ》
「────では、『物語』の外ならば問題ありませんね」
《メアリー・スー》
「……あら、また時間稼ぎ?」
《カリオストロ》
「違いますよ」
「『もう、必要ありませんので』」 - 166スレ主24/04/20(土) 00:23:08
展開されるのは、『カリオストロの宝具』────『秩序に死を、遍く世界に混沌を』。
攻撃として使うそれではなく、本来の効果である『概念の書き換え』が行われる。範囲こそ広くはない。
しかし、彼の周辺は『メアリー・スー』の力が及ばないものとなった。それこそが目的、それこそが『時間稼ぎ』の答え。
《カリオストロ》
「『彼』のしたことは陛下/女王陛下への接触のみ?」
「否!」
「あなたとて知っている。ただの『邪魔』にしかならないエネミーを送り込んだのが、『彼』であることを!」
「そして、あなたは『知らない』」
「『彼』が送り込んだのが、エネミーだけではないことを!」
カリオストロの纏っていた『匂い』が収縮し、肉体を得る。それは、カリオストロと戦っていた『四足の巨大エネミー』らしきカタチとなり──。
《藤丸立香》
「四不相くん──」
「──じゃない!?」
《???》
「ぶもー!」 - 167スレ主24/04/20(土) 00:24:21
《カリオストロ》
「これは『彼』の霊基の一部、『使い魔』にして『本人』」
「『メアリー・スー』に弾かれることを恐れ、『エネミー』というカタチで潜り込ませたモノ」
「私に魔力を渡し、宝具によって『世界』の法則を書き換える為の渡し人」
「そして、『ここに彼がいるならば、ここは彼の夢であるはず』!」
「『夢の主がいない夢』など、あるはずもなし!!」
《藤丸立香》
「!」
「それって……!」
彼/彼女の脳裏を走るのは、『大奥』での記憶。『春日局がいるならば、ここは大奥である』と戦況を変えたあの時。
すなわち。
《背の高い青年》
「────待たせたな、『藤丸立香』」
「そして、さよならだメアリー・スー」
「お前の『夢』はもう終わる」
「これより、『ここ』は己(オレ)の夢だ」
────世界が、変わる。 - 168スレ主24/04/20(土) 00:25:14
【第18節】夢から醒ます者
──広がるのは、一面の黄金。風に靡く『キビ』の田畑。
《藤丸立香》
(シンで見た景色にそっくりだ……)
《背の高い青年》
「えっ、この場面か……ちょっと締まらないんだが……」
「ここはもうちょい、こう。威厳的なモノが出る様なシーンをだね」
「城にいた時とかのヤツとか良いと思うんだよ」
「いやまぁ威厳なんて己(オレ)にはあってないようなものなんだけどさアハハ」
《藤丸立香》
「なんか落ち込んでる!?」
「頼もしさが消えた!?」
《背の高い青年》
「失礼! 根暗なもんでね!!」
「だが根暗ってる場合でもないわな!」
「本当にごめんなさいね!」
《カリオストロ》
「愉快な人ですね」
《背の高い青年》
「うるせ~~~!!」
《青年の使い魔?》
「ぶもぶも」 - 169スレ主24/04/20(土) 00:25:48
《メアリー・スー》
「……『固有結界』かしら」
「塗り替えたところでなんだと言うの?」
「たとえ、あなたの『夢』だとしても『夢』に違いはない」
「『私』は夢物語の主人公なのだから」
《背の高い青年》
「……」
「いいや、違うさ」
「『己(オレ)の夢』の中であるならば、『全ては無意味となる』」
「たとえ、お前が何者であろうとな」
《メアリー・スー》
「いったい、『あなたの夢』になんの意味があると言うの?」
「ここまで手の込んだことをするあたり……」
「夢であれば入り込める、というわけではないのでしょ?
「『夢の住人』でもないのに、いったい何が出来ると」
《背の高い青年》
「『なにかする』必要はない」
「『己(オレ)がいる』、『己(オレ)の夢である』」「それが重要なんだ」
《メアリー・スー》
「…………なんですって?」 - 170スレ主24/04/20(土) 00:28:28
《背の高い青年》
「────我が名は『盧生』」
「己が一生を『キビの炊かれる合間』に見ただけの男」
「此度は『キャスター』のクラスにて『夢を祓う者』である『貘(ばく)』と共に、『夢から目覚める者』として現界した」 - 171スレ主24/04/20(土) 00:31:37
- 172スレ主24/04/20(土) 00:32:34
《メアリー・スー》
「!」
「『枕中記』の故事、『邯鄲の枕』の盧生!?」
「まさか、つまり」
《盧生》
「ここが己(オレ)の夢であるならば、『必ず終わりが存在する』」
「己(オレ)の物語は、『夢から目覚めるまで』がワンセットだ」
「夢から目覚め、一生の栄枯必衰を知り欲を捨てる」
「『己(オレ)の夢であるならば、そうでなくてはならない』」
「だから安心してくれ、藤丸立香」
「君は必ず、『夢から覚める』」
「それが己(オレ)の仕事だ」
《藤丸立香》
「……!!」
「一気に頼もしい!」
《盧生》
「さっきの痴態は忘れてくれるとありがたいなぁ!?」
《貘》
「ぶもも」 - 173スレ主24/04/20(土) 00:38:41
【小ネタ? 13】
スレ主は気がつくとヘタレ気味な長身男性を書く。
つまりこの盧生にも癖(ヘキ)が出た。
本当に申し訳ない。 - 174二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 00:57:43
バクは夢を食う動物だからねぇ今がまだ夢ってんなら相性バッチリよね
- 175二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 01:03:20
- 176二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 01:47:12
- 177スレ主24/04/20(土) 02:21:27
- 178二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 02:32:40
- 179二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 09:34:11
メアリースーの欠点って『嫌われる/憎まれる覚悟がない』こと?
自分は主人公だから愛され、主人公だから敵がいても自分も誰も脅かされないと考えてるなら確かに中身のないやつだ
英雄だって嫌悪や憎悪を抱き抱かれてるし嫌われてもいいから守りたいって考えも持ったことだってあるはず
きっとそこがマスターとの違い
嫌われるほどマスターは相手にぶつかったし憎まれるほどマスターはぶち当たった
好いの悪いのひっくるめてそれらを見てきて知って自分で感じて考えて走ってきたことが中身のある奴じゃないか - 180スレ主24/04/20(土) 11:44:43
- 18117924/04/20(土) 12:02:01
まだ50点かぁ
- 182スレ主24/04/20(土) 18:55:02
【小ネタ? 14】
メアリー・スーは『己(あなた)』という世にもややこしい一人称を使いますが、なんとこれは両方とも発せられている。(二重に重なって発声しているということ) - 183スレ主24/04/20(土) 19:28:15
【閑話】
《???》
「──『愛される』、とは」
「何を持ってして『そう』いえるのだろうか」
「世界と個人を天秤にかけ、個人を選べば『愛』か?」
「その者の為ならば命だって投げ捨てられるのが、『愛』か?」
「どんな荒唐無稽な願いでも、叶えようとするのが『愛』か?」
「称え、慕い、疑いもしないのが『愛』か?」
「付き従い『イエスマン』で在り続けるのが、『愛』か?」
「そうして決して、相手を否定しない……」
「────果たしてそれは、『愛』なのか?」
「『貴方』は知らない」
「誠に『愛』された事などないから」
「『愛』を受け取ったことなどないから」
「だから、知りたい」
「『愛』を、知りたい」
「……それだけなんだ」
「それなのに」
「それなのに、お前は、この思いを────」 - 184スレ主24/04/20(土) 21:13:19
【第19節】『悪夢』
《メアリー・スー》
「……悪夢だとでも、言うの」
「百歩譲って、あなたは分かるわ。盧生」
「だって己(あなた)は『夢』だもの、それに対抗出来るあなたが来るのは理解出来る」
「でも、『貘』?」
「『悪夢を祓う』と言われる幻獣、貘と共に?」
《盧生》
「少なくとも、藤丸立香にとってあの世界は『悪夢』だった」
「『わざわざ心象世界を流用して』、別件で大事件が起きた場所を舞台にしただろう」
《藤丸立香》
「りゅう、よう?」
「心象世界?」
「待って、それじゃあまるで」
「あそこが」
「あの『東京』みたいじゃ……」 - 185スレ主24/04/20(土) 21:13:47
《盧生》
「君の言う『あの』が『どの』かは分からない」
「元々あの世界で何が起こったのか、己(オレ)はそれも知らない」
「でも、『あの世界』は君の心にあった世界だ」
「メアリー・スーはそこをベースにし、『自分の物語』を染み込ませた」
「実の所、アレは『特異点』に至っていない」
「元々あった『心の内』に留まっていたし、彼女の目的が『親愛なるサーヴァントになる』ってことなのもある」
「『特異点』として成立させ、世界に『メアリー・スー(ハーバート=ラモン)』と『人類最後のマスター』の繋がりをハッキリ認識させることで縁を繋ぎ、『親愛なるサーヴァント』としてカルデアに召喚されようとしたんだ」
《藤丸立香》
「…………」
《盧生》
「そして、あの場所に君は良くない思い出があった」
「……輝かしい思い出、と一緒にね」
「それを、君は『悪夢のようだ』と思ったんだろう」
《藤丸立香》
「……」
「そんな風に考えたことは、ない」 - 186スレ主24/04/20(土) 21:14:22
《盧生》
「君が『考えた』ことも『思った』こともなかったとしても」
「君の『無意識領域(イド)』は『感じて』いた」
「『再び繰り返される』のではないかと恐れていた」
「『空想のように現実味のない、夢のようなものに見えるのに』と」
「実際、間違ってない」
「あそこは言うなれば『メアリー・スーのための理想郷』」
「……かっこよく名前をつけるなら、『再演白昼夢イデア』ってところだ」
《藤丸立香》
「……」
《カリオストロ》
「なるほど、『既視感』はそれでしたか」
「まさか『あの場』そのものであったとは」
「なんともまぁ、残酷なことをするものです」
「ねぇ、陛下/女王陛下?」
《盧生》
「……手伝ってもらった側だけどさ、この人大丈夫?」
「胡散臭いが人の形を成して歩いてない?」
《藤丸立香》
「まぁ一応……」
「今はカルデアのサーヴァントなんで……」 - 187二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 23:40:45
こういうのは何かやらかしのすぐ前後で速やかに成敗すればいいですしな
- 188二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 23:44:28
- 189二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 00:00:24
胡散臭いが人の形してるサーヴァントならカルデアにいっぱいいるからセーフセーフ
- 190二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 01:39:05
- 191二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 02:10:21
- 192スレ主24/04/21(日) 12:05:52
- 193二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 20:56:50
保守
- 194二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 22:00:39
本質に臆病者があるのは確かな気はするけど
- 195スレ主24/04/21(日) 23:26:51
【第20節】故に、『メアリー・スー』
《メアリー・スー》
「──目を覚ますなんて、させない」
「『マスター』、お願い」
「『私』の願いはただ一つ」
「『愛されたい』だけ」
「それだけなの」
「あなたに『愛して』さえ貰えれば、あとは要らないのよ」
「『いつも』のように、己(あなた)を認めて、許して、称賛して、それで……」
《藤丸立香》
「メアリー・スー」
「……君の望むそれは」
「きっと『愛』じゃないよ」
《メアリー・スー》
「……?」
《藤丸立香》
「自分は、君の『物語』をしっかり読んだことはないけれど」
「これだけは言える」
「『肯定』だけのソレは」
「『君が今まで貰うことの出来たもの』は」
「────きっと、『愛』とは違う」 - 196スレ主24/04/21(日) 23:27:11
《メアリー・スー》
「え、ぇと?」
「……うーん」
「──『物語』が気にくわないなら、改善点を言って?」
「よりよい『物語』にするわ、絶対」
「あなたの大切な『アヴェンジャーたち』が居なかったことが不満なら、『再現』する」
「だってほら、聖杯があるの! 『それくらい』出来るわ!」
《カリオストロ》
「……中途半端にしか『世界』を知らない『がらんどう』とは」
「これほどまでに『分からない』のですね」
《藤丸立香》
「カリオストロ……」
《カリオストロ》
「天性の『詐称者』である私ですら、『言葉の裏』は読み取れるというのに」
「いやはや、あれではただのオウムのよう」
「『相手の意図』を理解せず、己の理想(意思)を押し付けて『そうだ』と思い込む」
「オウムの方が可愛らしい分、まだ良い方ですらあります」
「『終わらせる』ことが、彼女のためにもなるでしょう」 - 197スレ主24/04/21(日) 23:27:48
《盧生》
「藤丸立香」
「アイツに言いたいことも聞きたいこともあると思う」
「でも、今は『目覚めること』をどうか優先してくれ」
「己(オレ)が居るから『夢は終わる』。でも、このままだとアイツは『君の心に居座る』」
「それは、色々よろしくないだろ?」
「だから『メアリー・スーを戦闘不能にした上で』、『メアリー・スーごと夢から覚める』」
「無論、下っ端道士だが己(オレ)も手伝う」
「……『どうする』?」
《藤丸立香》
「──二人とも」
「戦闘準備!」
《カリオストロ・盧生》
「御意に/肯(シー)!」
【Fatal BATTLL】 - 198スレ主24/04/21(日) 23:30:53
【バトル画面のメアリー・スーのステータス】
名前:メアリー・スー
HP:224,400(ブレイクゲージ2本)
→1本目ブレイク後は385,600、2本目ブレイク後は467,800
チャージ:4
《バトル開始時発動スキル》
「どうしても『己(あなた)』を『否定』するの?」
スキル使用
・夢の星影
自身に弱体無効(3回3ターン)、無敵(3回3ターン)付与。
・肯定される者
クリティカル威力アップ(3ターン)&攻撃力アップ(3ターン)&防御力アップ(3ターン)。
《ゲージブレイク時行動》
1本目
「己(あなた)は、あなたの味方になりたいだけなのよ?」
・スキル使用
→肯定される者(※発動内容は上記同様)
・チャージMAX
→宝具発動
『貴方の為の主人公(メアリー・スー)』
「己(あなた)は想像の『主人公』。何にだって成れるのよ? さぁ、どんな『私』をお望み? 『貴方の為の主人公(メアリー・スー)』」
攻撃力アップ(3ターン)、防御力アップ(3ターン)、クリティカル威力アップ(3ターン)、クリティカル率アップ(3ターン)。
2本目
「……それほどに、『私』が嫌いなの!?」
・スキル使用
→夢の星影(※発動内容は上記同様)、肯定される者(※発動内容は上記同様)
・チャージMAX
→宝具発動(※発動内容は上記同様)
《HP0にて戦闘終了》
「そう……『肯定』してくれない、のね……」 - 199スレ主24/04/21(日) 23:31:37
【バトル画面の盧生のステータス】
※ゲストサポートサーヴァント
名前:盧生
HP:13560
ATK:7405
《バトル開始時発動》
「『夢』はもうじき終わる」
・メアリー・スーの強化状態を解除
《スキル》
・栄耀の枕
自身のNP30増加、味方全体のNP20増加。
・キビの香り
自身の毎ターンHP1000回復付与(3ターン)、味方全体のHP1000回復。
・夢祓いの獣
自身に弱体無効(1回3ターン)、無敵(1ターン)付与。
《宝具》
『邯鄲の夢(これすなわち、すべてうたかたにて)』
「己(オレ)の栄えた一生は、キビが炊かれる間に見た夢だった。夢は必ず終わるもの、夢は必ず覚めるもの。さぁ、目覚めの時だ。『邯鄲の夢(これすなわち、すべてうたかたにて)』」
敵全体の強化解除&防御力ダウン(3ターン)&攻撃力ダウン(1ターン)&宝具威力ダウン(1ターン)。
《戦闘不能時セリフ》
「これは、夢じゃないらしい……」 - 200スレ主24/04/21(日) 23:32:42