- 1二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 23:31:08
誕生日という年に一度のイベントに、どうしたら良いか行き詰まった。
なにせ、フジキセキはトレセン栗東寮の寮長で慕う後輩も多く、学園内にもファンクラブが存在する超がつく程の人気者だ。
その振る舞いで堕とした「ポニーちゃん」は数知れず、自分もその内の1人である。
もちろん、彼女に惚れ込んだ理由は、その脚に秘めたるスピードが主ではあるが、共に過ごす時間が長くなるにつれて、人を感動させたいという、彼女の器の大きさに裏打ちされた欲求が振る舞いなどに表れているのだと気づき、惹かれていった。
は、良いのだが。
彼女を支え導く立場であるトレーナーの自分が、いつも立派な彼女に支えられ、助けられているばかりである。
ついでに驚かされる。
情けないことこの上ないため、ことあるごとに彼女にサプライズをしてみようとするも、イマイチ決まらないのがオチだ。
今年のバースデーサプライズこそは...!と意気込んでいたが、ふと気づいてしまった。
誕生日なんだから彼女の周りみんながサプライズを考えるだろうと。 - 2二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 23:31:57
日頃フジがサプライズを仕掛けてるのは自分にだけじゃない。ありとあらゆるポニーちゃんをいつでもどこでも驚かせるからこそのエンターテイナーだ。
そんな彼女の特別な日に、何か一つ仕掛けようと画策するのは何もおかしくない。そう、不思議じゃないのだ。
故に。その日に特別なことをしたところで、彼女が驚くかというとそうではない。寧ろ、一日で何度も仕掛けられて飽きてしまうまであるだろう。
で、どうしよう。
流石に誕生日すっぽかすのはトレーナーとしても大人としてもアレだし、かと言って何をしようか決めかねる。
彼女に何をすれば、喜んでくれるだろうか。
彼女の顔を思い浮かべる。
───ああ。
彼女はいつもこうやって、人の喜ぶ顔が見たいと、動いているんだ。
なら、それに倣うべきだ。 - 3二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 23:33:01
「トレーナーさん!御用はなんだい?」
栗東量のパーティを抜けてきたフジキセキとの約束の時間。
様々なサプライズ、プレゼントを受け取っても、彼女には慣れや疲労など一切ない。
普段から全力で輝く彼女だから、周りも心からのプレゼントを用意してくれているのだろう。
「誕生日おめでとう、フジキセキ!」
祝福の言葉と、薔薇の花束。彼女に渡したい1番の物を、真っ直ぐに渡す。
その花束は、差し出した瞬間、自分の手から溢れ、目の前が見えなくなるほどに増えていった。
「え、ちょ、待って待って待って!?なんでぇ!?!?」
「フフ、アッハッハッハ!!」
───やられた。まさかこの日にやられる側になるとは、思っても見なかった。
「いや〜良い顔だったよトレーナーさん!最高の誕生日プレゼント、頂きました!はい、どうぞ。」
どっちが誕生日かわからなくなるけど花束を受け取る。
「絶対今日は感動させる側だと思ったのに......」
「感動したさ!
トレーナーさんが真っ直ぐ私のことをお祝いしてくれるの、凄い嬉しいよ。」
サラッとまたドキドキするようなことを言ってくる。心がもたない。
「また、貴方を感動させたい。いいかな。」
「良くないなんて言わないよ。良い年になるように、一緒に頑張りたい。」
今年もまた、先を走られる一年になりそうだ。
仕方ない。惚れるほど、眩しくて速いから。 - 4二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 23:33:51
おしまい
映画どれだけ出てくるのか楽しみです - 5二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 23:45:14
良き
- 6二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 23:49:27
担当に振り回されるトレーナーのトレウマからしか得られない栄養はある
- 7二次元好きの匿名さん24/04/16(火) 00:35:05