【🎲オリキャラSS】私はミレニアム言語研究部！

1古井音コトハ24/04/21(日) 19:52:19

こんにちは！私はミレニアムで言語研究部という部活の部長をやっている、2年の古井音（こいね）コトハと申します！

能力値はこんな感じです！

【ステータス】

戦闘　dice1d100=47 (47)

事務　dice1d100=75 (75)

医療　dice1d100=86 (86)

知性　dice1d100=49 (49)

運動　dice1d100=89 (89)

技術　dice1d100=57 (57)

交渉　dice1d100=13 (13)

倫理　dice1d100=24 (24)

神秘　dice1d100=82 (82)

（80でホシノ並）

>>8

2古井音コトハ24/04/21(日) 19:52:47

見た目は

髪色　dice1d7=4 (4)

1.黒 2.茶 3.金 4.銀 5.白 6.ピンク

7. RGB値　dice1d256=144 (144)　dice1d256=191 (191)　dice1d256=250 (250)

髪の長さ　dice1d100=27 (27)　

（1で肩につかないくらい、100でアリス並）

身長　140+dice1d50=12 (12)　cm

胸　dice1d5=4 (4)　

1.無　3.並　5.特大

腹　dice1d5=3 (3)　

1.痩せ　3.並　5.もちもち

尻　dice1d5=3 (3)　

1.小　3.並　5.特大

普段使う武器は　dice1d9=3 (3)

1.AR 2.SR 3.HG 4.SMG 5.MG 6.SG 7.GL 8.MT 9.RL

って感じです！

よろしくお願いしますね？

3古井音コトハ24/04/21(日) 19:55:34

私達の部活、言語研究部というのは、理系のミレニアムでは珍しく、「ことば」に関する学問──言語学を広く扱っています。

まあ、自然言語処理やらAIの開発やらにも関わる分野ではあるので、全く無関係ではないのですが。この辺りが未だに予算が降りる理由なのかな？

ただ、今の私達は廃部寸前で……というのも、この春に先代の部長を含めた3年生の先輩方が失踪してしまい、残されたのは私と後輩の子が1人。2人だけでは規定の部員の数を下回るので、つい昨日、セミナーからの廃部勧告が……

おっと、悩んでいても仕方ありません！

部員が足りないなら入れるまで！部員を勧誘しに行きましょう！

さて、どこに向かったものか……

dice1d4=4 (4)

1.適当に学園内を歩く

2.ヴェリタスに言語に向いてそうな生徒の情報を抜き出してもらおう

3.実はもうアテがあるんです！

4.部室で向こうから来るのを待ちましょう。

4二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 19:56:18

Kotoha0507ちゃん！
テイルズサガクロニクル２のレビューをしてたKotoha0507ちゃんじゃないか！

5二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 19:56:32

廃墟に行けばワンチャン？

6二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 20:06:51

このレスは削除されています

7古井音コトハ24/04/21(日) 20:08:24

果報は寝て待て。待てば海路の日和あり。焦ったとて良いことはありません。

ここは、部室で待つことにしましょう。

「あの、先輩……もしそれで待っても人が来なかった場合、本当に廃部になっちゃうんじゃ……」

後輩のツカサちゃんが何か言ってますね。

ここで私の唯一の後輩を紹介しておきます！

渋家（しぶいえ）ツカサちゃん、1年生です。

見た目は

髪色　dice1d7=1 (1)

1.黒 2.茶 3.金 4.銀 5.白 6.ピンク

7. RGB値　dice1d256=84 (84)　dice1d256=108 (108)　dice1d256=18 (18)

髪の長さ　dice1d100=32 (32)

身長　140+dice1d50=5 (5)　cm

胸　dice1d5=5 (5)

1.無　3.並　5.特大

腹　dice1d5=3 (3)

1.痩せ　3.並　5.もちもち

尻　dice1d5=3 (3)

1.小　3.並　5.特大

って感じの子です！

8二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 20:09:57

>>1

待て待て、80でホシノ並って事はこいつの神秘ヤバくね？

9古井音コトハ24/04/21(日) 20:12:15

ついでにツカサちゃんのステータスです！

【ステータス】

戦闘　dice1d100=100 (100)

事務　dice1d100=70 (70)

医療　dice1d100=39 (39)

知性　dice1d100=96 (96)

運動　dice1d100=52 (52)

技術　dice1d100=19 (19)

交渉　dice1d100=95 (95)

倫理　dice1d100=40 (40)

神秘　dice1d100=2 (2)

（80でホシノ並）

武器はいつも dice1d9=6 (6)　を使ってるみたいですね。

1.AR 2.SR 3.HG 4.SMG 5.MG 6.SG 7.GL 8.MT 9.RL

頼りになる後輩ちゃんです！

10二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 20:13:06

そりゃ戦闘力100は頼りになるでしょうよ

11二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 20:21:10

ツカサの戦闘100を支えるかのようなコトハの医療86。
知性とか交渉とかはツカサちゃんのが高めだけど、先輩はその分神秘力がある。
実にいいコンビだ

12古井音コトハ24/04/21(日) 20:28:43

こうしてみると、私よりもツカサちゃんの方がリーダー向きなんじゃないかって思いますね……

「で、先輩が待つことを選んでからだいたい dice1d14=3 (3)　日経つわけですが……一人も新人来ないじゃないですか！」

う～ん、そう言われると確かに……やり方を変えてみる他ないかな？

じゃあ、dice1d4=3 (3)

1.学園内でスカウトだ！

2.活動実績をSNSや動画サイトでアピールしてみよう

3.ツカサちゃん、誰か入ってくれそうな人知らない？

4.「廃墟」で生徒を拾ったという噂に賭けてみるか……

13古井音コトハ24/04/21(日) 20:39:29

ツカサちゃん、誰か知り合いに言語研究部に興味がありそうな人知らない？

「えっ、そんな急に振られても……あ、そうだ」

そういってツカサちゃんはスマホをいじり始めましたね。心当たりがあるっぽいです！

「あ、あった。このアカウントなんですけど、投稿とか見る限りどうやらミレニアムの生徒っぽくて、趣味で dice1d4=3 (3)　の研究をしてるみたいなんですよね」

1.人工知能チャットボット 2.キヴォトスの語彙調査 3.キヴォトス標準語の文法 4.人工言語を作る

そういって見せてくれたのは”text123”というアカウント。

色々と言葉に関する面白いことをやってるみたい

……でも、これどうやって本人にたどり着くの？

14古井音コトハ24/04/21(日) 20:53:23

「一度、DMでコンタクト取ってみます」

なるほど。私はあんまり交渉とかアポ取るのとか得意じゃないから、その子とのコンタクトはツカサちゃんに任せていいかな？

「はい、分かりました。何か進展があったらお伝えしますね」

うん、頼りになるねぇ！

じゃあ、その子とコンタクトが取れるまで、私は…… dice1d4=4 (4)

1.キヴォトス言語学会の論文を読む

2.課題やらなきゃ……

3.部室の大掃除

4.帰る

15二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 21:06:22

C言語とかはやっているんかね？

>>18

16古井音コトハ24/04/21(日) 21:11:38

そんなこんなで家に帰ってきたわけだけど……
やっぱり心配事が多くて、あまり休めないや。

先輩が失踪してしまって、なし崩し的に私が部長を引き継いだわけだけど、仕事のこととかほとんど教わってなかったから、セミナーに出す書類とかも分からなくって、そもそも部員も規定の人数に足りてないからどうにか増やさないとだし、そんな状況でも投稿論文の締め切りは容赦なくやってくるし、そのためには研究を進めないとなあ……あ、あの本もまだ読めてない……

そんな思いが脳内でグルグルしてる。
私は悩みを反芻しながら、ソファに倒れ込んで、そのまま目を閉じた。

17スレ主24/04/21(日) 21:13:10

本日の更新はここまでにします。
続きはまた明日になるかと思います。

18古井音コトハ24/04/21(日) 21:16:12

>>15

プログラミング言語よりは、ヒトの話す言葉が私たちの扱う範囲です！

私自身はからっきしなのですが、ツカサちゃんがある程度は扱えると言ってました！

>>22

19二次元好きの匿名さん24/04/22(月) 08:16:17

保守

20二次元好きの匿名さん24/04/22(月) 15:17:09

保守

21二次元好きの匿名さん24/04/22(月) 15:38:15

Was yea ra chs hymmnos mea.

22古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/04/22(月) 21:03:35

>>18

Wee yea ra yart reyvateil, den wee nyasri ga na cexm Ar tonelico.

こんにちは、古井音コトハです。

昨日はなんか悩みが頭の中を渦巻いててあんまり眠れなかったなあ……

「あ、コトハ先輩。おはようございます。昨日言っていた新入部員候補の方がいらっしゃいましたよ」

えっ、そんな早くに！？

「あ……えっと、あの……text123、の楠戸（くすと）フミです……よろしくお願いします……」

「彼女は dice1d3=2 (2)　年生で、昨日も言った通り、キヴォトス標準語の文法を研究しているそうです」

「うぅ、そ、その、具体的には dice2d8=7 5 (12) とか、その辺りのことをやってます……す、すいません、人見知りなんです…………」

1.動詞

2.形容詞

3.助動詞、副詞

4.語の意味の拡張

5.構文論

6.意味論

7.語の形成

8.アクセント、音韻

よろしくお願いします！

>>27

23古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/04/22(月) 21:06:57

えーっと、フミさんは何か得意なことってある？

「あわ、は、はい……こんな感じです……！」

【ステータス】

戦闘　dice1d100=68 (68)

事務　dice1d100=100 (100)

医療　dice1d100=87 (87)

知性　dice1d100=10 (10)

運動　dice1d100=28 (28)

技術　dice1d100=85 (85)

交渉　dice1d100=47 (47)

倫理　dice1d100=79 (79)

神秘　dice1d100=42 (42)

※ついでにフミの見た目

髪色　dice1d7=7 (7)

1.黒 2.茶 3.金 4.銀 5.白 6.ピンク

7. RGB値　dice1d256=81 (81)　dice1d256=31 (31)　dice1d256=198 (198)

髪の長さ　dice1d100=68 (68)

身長　140+dice1d50=35 (35)　cm

胸　dice1d5=2 (2)

1.無　3.並　5.特大

腹　dice1d5=3 (3)

1.痩せ　3.並　5.もちもち

尻　dice1d5=1 (1)

1.小　3.並　5.特大

普段使う武器は　dice1d9=5 (5)

1.AR 2.SR 3.HG 4.SMG 5.MG 6.SG 7.GL 8.MT 9.RL

24古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/04/22(月) 21:16:11

今日はわざわざ来ていただいて嬉しいです！

私は部長のコトハです！

フミちゃんは言語研究部のことって今まで知ってました？

「あ、こちらのことは dice1d4=3 (3) 」

1.知らなかった

2.知ってたけど人見知りで……

3.知ってたけど他の部活に興味があって……

4.知ってたけど研究は自分ひとりでもできるから……

ふんふん、そういうことなんですね。

「ただ、お話を聞いて、 dice1d4=1 (1) ので、入部……しようかな、って思います……！」

1.この部室の資料が無くなってしまうのは勿体ない

2.他のメンバーの人柄が良い

3.意見交換の場が欲しかった

4.他に居場所がない

25古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/04/22(月) 21:20:12

そ、それ本当！？入ってくれるの！？
そうだよね、自分で言うのもなんだけど、ここの言葉関連の資料はミレニアムだと一番充実してるもん！
良かった〜〜！！これで少なくとも来年までは部が存続できるよ！！

「とりあえず、一番の課題は終わりましたね、部長！」

よし、ミレニアム言語研究部、やっと再始動できる！
みんな、頑張って行きましょう！

26二次元好きの匿名さん24/04/22(月) 21:22:57

医療と神秘の部長
戦闘の後輩
事務の新入生
特化組が揃ってきたぞ

27二次元好きの匿名さん24/04/22(月) 21:24:19

>>22

返信先ミスった……

28二次元好きの匿名さん24/04/22(月) 21:36:34

このレスは削除されています

29古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/04/22(月) 21:37:08

活動再始動……といっても、うちの部活の活動は各々で研究テーマ決めて、時々意見交換するのと論文をミレニアムプライズに出すくらいで、これをやるぞって感じの活動はあんまりないんだけどね。

それに、フミちゃんは研究テーマが既にあるみたいだし、そうなっちゃうとこれまでとほとんど変わらないなあ……

そんなことを考えていると、不意にスマホが震える。

モモトーク？

えーと、送ってきたのは…… dice1d4=1 (1)

1.ユウカ　2.モモイ　3.ハレ　4.差出人不明……？

30古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/04/22(月) 21:44:27

げっ、ユウカじゃん……また会計担当からの意見（という名の廃部勧告）？
いや、今は部員が3人いる。既定の数をそろえてある！
何を言われても怖くない！

『コトハ　どうやら新入部員が入ったらしいわね』

……情報早すぎない？

『3人の部員が揃ったなら、廃部にはしなくていいけど、それはそれとして部室使用権の更新届は出してもらうからね。忘れないよう早めに出してくれると助かるわ』

ああ、完全に忘れてた……

31古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/04/22(月) 22:06:02

「あ、あの、コトハ……さん。私、やりましょうか……？」

フミちゃんが口を開きました。

いやいや、入部してまだ1日も経ってないのに仕事任せるのは良心が痛むというか……だからこれは私がやるよ。

「あ、雑用でしたら私がやりますよ、先輩？」

えっ、ツカサちゃんまで？

普通、事務仕事でこんな風になることある？

じゃあ、公平にジャンケンで決めよう！

勝ったのは…… dice1d3

1.コトハ 2.ツカサ 3.フミ

>>32

32古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/04/22(月) 22:09:10

>>31

ダイスミス

dice1d3=2 (2)

33二次元好きの匿名さん24/04/23(火) 06:57:12

保守

34二次元好きの匿名さん24/04/23(火) 17:01:07

ツカサ

35渋家ツカサ ◆8kXeI1ONP624/04/23(火) 19:18:54

というわけで、部室使用権の更新届の作成担当になった、渋家ツカサです。
正直言って事務はそこまで得意ではないのですが、なんとなくあの状況で黙ってるのは心苦しかったので、つい言ってしまったんですよね……

まあ公正なるジャンケンで決まったので、私はそれに従うだけです。
やるぞ、おー。

36渋家ツカサ ◆8kXeI1ONP624/04/23(火) 19:20:30

……完成しました。

ユウカ先輩のところに出しに行きましょう。

事務書類の完成度 dice1d100=92 (92)

（70以下で再提出）

37渋家ツカサ ◆8kXeI1ONP624/04/23(火) 19:22:15

「ふむふむ……うん、特に大きなミスはなさそうね。オーケー、受理したわ。お疲れ様。」

大きなミスもなく、無事に提出できたみたいです。

「あ、ちょっと待って。セミナーに届いた郵便物の中に、これが混じっていたのだけれど……この名前って言語研究部の3年生よね？」

ユウカさんに手渡された1枚の封筒。そこに書かれていた名前は──

38渋家ツカサ ◆8kXeI1ONP624/04/23(火) 19:23:16

睦月ノム。
言語研究部の3年生で、今年の春に失踪した先輩の1人。
入れ違いになる形で私が入部したので、私自身は会ったことはないのですが、それでもコトハ先輩からお話は聞いたことがあります。

これは、早く先輩にお伝えしないと……！

39渋家ツカサ ◆8kXeI1ONP624/04/23(火) 19:26:26

「ねえねえ、隣のクラスのツカサさんだよね？言語研究部だったんだね！」

封筒を見つめていた私の思考は、横からの朗らかな声で現実に引き戻されました。

「言語研究部ってことはさ、言語を創ることもできたりする？ちょっと私達のゲーム開発に意見をもらいたいの！」

この人は確か、同学年の才羽モモイさんです。
ゲーム開発をしてたら謎の生徒を拾って一個の都市と陰謀をぶっ潰したとかいう噂の……

でも、ゲーム開発に……私達を？

「そう！実は次のゲームが行き詰まっててさあ、言葉をテーマにしようと思ってるんだけど、うちの部活は誰も詳しくなくて……」

めっちゃ喋りますねモモイさん。
まあ、私も部室に戻るところでしたし、先輩に相談しましょうか。

40渋家ツカサ ◆8kXeI1ONP624/04/23(火) 19:36:32

「ツカサちゃん、おかえり！無事に書類出せたみたいだね！」

先輩の明るい挨拶を聞くとなんかホッとしますね。

「後ろの子は……新しい見学希望？」

「お邪魔しまーす……あ、私は見学じゃなくて、言語研究部さんに依頼というか、手伝ってほしいことがあるというか……」

こちら、1年の才羽モモイさんです。

「ふむ、どんな依頼でしょう？私たちにできることであれば協力しますよ！」

41古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/04/23(火) 19:47:20

「言語を、作ってくれないですか！？」

モモイさんの依頼はシンプルなものでした。

「全く分からない言葉や架空の言葉を解読していくゲームって色々あって、それらの醍醐味はやっぱり『全く分からない言葉を話す人と手探りで試行錯誤して、次第にことばと心が通じ合っていく』ところなんだよね！だから、次のゲームもそういう『ことば』を扱ったものにしようと思っているんだけど、うちの部活は全員そういうのは分からなくって……あと、それ以外にもゲーム内の国で話されてる言葉の設定とかが細かく決まってると、作り込みの深さにグッとくるというか……だから、私たちもそういうゲームが作りたいんです！」

なるほど、そういうゲームだったら私もプレイしたことあります！
いいですよね、言語を読み解いて意思疎通ができるまでの物語……

「でしょ！だから、言語研究部さんに協力してほしいの！お願いします！」

モモイさんは頭を下げて私のことを拝んでしまった。
まあ……特に断る理由もないですし、ここは協力しましょう！

42古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/04/23(火) 19:53:07

言語を作る、かあ……やったことないから、どんな感じでやってみようか……

「あ、そうだ、先輩？ユウカさんからこれを預かったんですけど……」

ツカサちゃんが封筒をこちらに差しだしてきた。
何だろう？

差出人は……睦月ノム……ノム先輩！？

私は急いで封筒を開く。だって、消えてしまった先輩の手がかりが向こうからやってきたんだから。
先輩方は部室に来ないどころかモモトークも電話も不通で、お家を訪ねてもずっと留守で電気もつきませんでした。
失踪、蒸発としか言いようのない状況で始めて見つけた手がかり。絶対に何かあるはずです。

手紙は次の言葉で始まっていました。

『親愛なる後輩へ』

43親愛なる後輩へ ◆8kXeI1ONP624/04/23(火) 19:53:36

これを読んでるということは、今は私達が失踪した後だと思います。
まずは、何も言わずに消えてしまったことを謝罪させてください。

春になって新入生は入りましたか？
……私達の後輩はコトハちゃん1人だけでしたから、私達がいなくなったら言語研究部は一人ぼっちになってしまうかもしれませんね……とても、心苦しいです。

私達は今は姿を見せることはできませんが、多分近い内にまた会うことになるかと思います。
その時まで、寂しさに負けず、元気に部活動を続けてくれたら、私としても嬉しいです。

私はコトハちゃんの味方です。

睦月ノム

44古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/04/23(火) 20:04:14

私は絶句しました。
睦月ノムさん。失踪した先輩の1人で、先代副部長。
優しくて、のんびりした雰囲気のある先輩。

その先輩が残したメッセージが、今目の前にあります。

「先輩？大丈夫ですか？」
「コトハ……さん？ど、どうしました……？」
「えっ、なんか急にシリアスなんだけど！？これ私がいていいやつ！？」

部員が肩を叩いて声をかけてようやく、私は我に返りました。

この手紙は、きっと先輩が失踪する前に書かれていたものです。それが今になって……
そして『近い内にまた会うことになる』の部分。これは多分、真実なんでしょう。先輩は嘘をつくような方ではありませんから。
ですが……とても嫌な予感がします。なんとも言えないような……気づいたら後ろから羽交い絞めにされるような……
でも。

『私はコトハちゃんの味方です』

今は、この言葉を信じるしかありません。グライスの『質の定理』みたいなものです。そう信じないと、私たちは前に進めませんから。

45古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/04/23(火) 20:13:07

すみません、モモイさん。こちらの事情で一気に場がシリアスになっちゃいましたね……

「だ、大丈夫？私はまた今度出直してもいいけど……」

いえ、問題ないです。言語研究部一同、ゲーム制作に協力します！

「ホント！？じゃあもっと詳しく相談したいから、明日私たちの部室に来てくれると嬉しいな！」

そういって、モモイさんは帰っていきました。にぎやかな人ですね。

とはいえ、ノム先輩の手紙のことが頭から離れないな……言語制作の傍ら、いくつかの部活に頼んで調査をしてもらった方がいいのかな……

46スレ主 ◆8kXeI1ONP624/04/23(火) 20:18:00

本日の更新はここまでにします。
明日も更新したい……

47二次元好きの匿名さん24/04/24(水) 00:06:14

保守

48二次元好きの匿名さん24/04/24(水) 07:53:09

保守

49二次元好きの匿名さん24/04/24(水) 15:21:00

保守

50古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/04/24(水) 19:11:59

おはようございます！

今日はモモイさんに頼まれた架空言語の制作の打ち合わせに、ゲーム開発部の部室を訪ねてきました。

可愛く飾られた看板のドアをノックしようとしたとき、中から声が聞こえました。

「えっ、お姉ちゃんその話聞いてない……」

「あっ、ごめん、ツカサちゃんにばったり会ったときに勢いで依頼しちゃったから相談する暇がなかった……」

「ゲーム内の言葉に凝ったとして、お姉ちゃんはそれを活かしたシナリオ書けるの？持て余してシナリオが迷走する未来が見えるんだけど……」

「うっ、それは……」

あのー、言語研究部ですけど……

「ああもう！言ってる間に来ちゃったじゃん！とりあえずさ、相談だけでもしてみようよ！それを聞いて、もしかしたら方針変えるかもしれないし！」

勢いよく開いたドアの向こうから、モモイさんが顔を出しました。

その後ろからモモイさんとそっくりな緑の子……妹のミドリさんですかね、が顔をのぞかせています。

「いらっしゃい、コトハさん、ツカサちゃん、フミさん！今日はよろしく！」

部内でも意見が固まってないのかな……とりあえず、依頼されたことについて話を詰めないと始まりません！

モモイさんは今どういうゲームを考えているのか、教えてもらえますか？

「えっと、端的に言うと dice1d5=2 (2) だよ！」

1.異世界に迷い込んだ主人公が現地の人と交流を深めるノベルゲーム

2.アクションに謎解き要素をプラスして魔王を倒すオープンワールドRPG

3.未知の言語で出される指示を、何度もゲームオーバーを繰り返していくことで聞きとれるようになるFPS

4.謎の言語を話すマスコットの言葉を理解する育成シミュレーション

5.実はほとんど何も決まってなくて……

51古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/04/24(水) 19:13:49

なるほど……
ということは、実際に話したりするわけではない、エッセンス的な要素として架空言語をつくればいいわけですね。それで、謎解きにその言葉が関わってくることもある、と……

「だからこの方向は難しくなるって言ったじゃん、お姉ちゃん……」
「アリスはモモイに賛成です！暗号やパズルゲーみたいで面白そうです！」
「そりゃアリスはチラッと出ただけの単語すら全部覚えられそうだし、そもそもちょっとズルじゃない……？」

うーん、ゲームの方針とか難易度とかマーケティングとかは私たちの専門じゃないから何も言えないな……

とりあえず、解読を目的にするなら、あまりにも文法が難しいものは避けた方がいいよね？

「そうですね。そもそもあんまり難しいのは私たちとしても管理できないので……」

「あ……じゃ、じゃあ、古代語みたいな屈折語はやめた方がいい、ですね……キヴォトス標準語話者をプレイヤーとして想定してるなら…………」
「ただ、語の変化がほぼない伝統的な山海経語も語彙だけの問題になり、ゲームとしては歯ごたえのないものになってしまいませんかね？」

ふむ、だとするとキヴォトス標準語や百鬼夜行方言、あるいはミレニアム地域の固有言語みたいに、ある程度の語形変化があるけど、それで全てを表さない、くらいのものがバランス取れてるかな？

「あ、私たちの分からない領域に入っちゃった……」
「いや、でもこの専門性のある感じは信用できる！私の目に狂いはなかった！」

52豊見コトリ ◆8kXeI1ONP624/04/24(水) 19:14:43

解説が必要な気配を察知しましたよ！
解説を欲するところに私あり！エンジニア部の豊見コトリです！

今、言語研究部の皆さんが話しているのは、格表示に基づいた言語の類型の分類ですね！
格表示というのは、その言語がどのように格関係を表すか、ということなのですが、そもそも格とは何か？
文には述語がほぼ必ず存在し、その述語が動作や状態などを表すことでその文章が示す意味の主要部を形成します。
例を挙げるとすると、「アリスはモモイを殴ります！」の意味的に重要な部分は「殴る」です。このとき、文脈によっては「モモイを殴ります」でも「アリスは殴ります」でも、なんなら「殴ります」だけでも文として何をしたいかは通じますが、「アリスはモモイを」だけでは話者の意図した意味が全く伝わらないことを理解していただけるでしょうか？これが文の主要部です！
主要部を形成する動詞は多くの場合、他の要素を必要とします。先ほど「殴ります」だけでも通じると言いましたが、これは例えばアリスさんとモモイさんがケンカをしていて……という文脈が必要です。そういった文脈なしに意味を伝えるには、「殴ります」だけでは不十分です。ここで、「アリスは」「モモイを」などの要素がくっつくことで、「誰が」「何を」という情報が足されて十分な文になります。「アリスは」は「殴る」の動作主を、「モモイを」は動作の対象を表します。「殴る」は「アリス」によって実行される。「殴る」は「モモイ」を対象に取る。この関係が動詞の格関係と呼ばれるものです！
この格関係の表示の仕方はいくつかあるのですが、今話題に上がったのはそれぞれ「屈折語」「孤立語」「膠着語」と呼ばれるものです！
屈折語は単語の形を規則的に変化させることで格を示します。これに該当するのは、ラテン語やフランス語などが代表的でしょうか。
孤立語は中国語や現代の英語が該当します。語形変化などがなく、語順によって格を示します。英語の授業でSVOなど習った記憶はないでしょうか？現代英語は三単現のsなどに屈折語の名残がありますね！
膠着語は「にかわ」の文字が示すように、単語に特定の要素をくっつけて格を示します。日本語がこのタイプで「が」「を」「に」のような格助詞がこの「特定の要素」です。
他にも抱合語と呼ばれるものがあるのですが、あまりメジャーではないタイプなのでいったん割愛しますね！

53豊見コトリ ◆8kXeI1ONP624/04/24(水) 19:15:10

要約すると、言語研究部の皆さんは「ラテン語みたいに形がコロコロ変わるものは向いてないよね」「中国語みたいに語順だけのやつも歯ごたえがなくない？」「じゃあ日本語や現代英語みたいに、少し語形変化を持ちつつもそれに依存しすぎないものがいい」という話をしているということですね！

以上、解説はエンジニア部豊見コトリでした！

54古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/04/24(水) 19:15:57

「嵐のような解説が来て、帰っていった……」

はっ、つい私たちだけで盛り上がって、ゲーム開発部を置き去りにしてしまいました！
すみません、退屈ですよね……

「いや、分かる！私たちもゲームの話になるとこうなっちゃうときあるし！そしてこの『何言ってるか分からない』感がイイ！この感じが強いほど、言葉が通じたときの達成感も高まるってもんでしょ！」
「ちょっ、お姉ちゃん！？」
「ミドリ、アリス、あとロッカーの中のユズ！路線変更はナシ！今のプランのままで行くよ！」
「こうなると聞かないんだから……」
「パンパカパーン！次のマップが決定しました！」
「は、早めにシナリオ書いてね……」

なんかまとまったみたいです？
ゲームとしてはこの方針に決まったようなので、私たち言語研究部も引き続き協力します！

「よろしくね！ツカサちゃん、コトハさん、フミさん！」

55古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/04/24(水) 19:17:08

で。

言語全体のコンセプトとしてはどうしようか。

自然言語だと、周辺の環境とか話者コミュニティの構造とか辿った歴史とかで形成されてくるものなんだけど、その言葉の背景情報って何かある？

「えーと、今考えているのは dice1d4=1 (1) で……」

1.王道RPGみたいな剣と魔法の世界

2.遥か未来のキヴォトスのどこか

3.歴史の中に埋もれてしまった古代の言葉

4.めちゃくちゃ遠くからやってきた宇宙人の言語

モモイさんは今あるアイデアを楽しそうに語り始めました。

そしてそれを、私たちはどんな言語を作ればその世界を再現できるかを考えながら聞きました。

56古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/04/24(水) 19:17:22

「……で、最後はラスボスを倒して大団円のハッピーエンドになるの！」

おぉ……面白いです！

このシナリオを活かすには……

dice1d3=3 (3)　で

1.屈折語　2.孤立語　3.膠着語

dice1d6=3 (3)　の語順を持つ

1.SVO 2.SOV 3.VSO 4.VOS 5.OSV 6.OVS

主要部 dice1d3=2 (2) 型の言語とかどうかな？

1.前置 2.後置 3.中心

「……？うん、良いと思う！」

「絶対分かってないよね……」

>>61

57古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/04/24(水) 19:17:59

今決まったのは文の基本的な構造の話だから、この他に細かい文法を決めないとだし、何より語彙に時間かけないと必要な分が揃わない！

その前に音韻だけど、基本の音節構造は dice1d2=2 (2)　で、

1.子音+母音+子音 2.子音+母音

アクセントは dice1d3=2 (2)

1.高低 2.強弱 3.声調

この言葉の文字は dice1d2=1 (1) 文字でどうかな？

1.表音 2.表意

「え、これ今から全部ダイスで決めるの……？」

ダイス？なんのこと？

58古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/04/24(水) 19:19:01

それからも作業は続き……

「で、できたぁ……」
「できましたね……」

「私たちが口をはさむ余裕もなく、爆速で進行していった……」
「すごい、すごいよ！」

疲れたぁ……めちゃくちゃ頭使った……

「アリスはパーティメンバーにアイテム『ブドウ糖タブレット』を使用します！」

甘酸っぱくて沁みる……

「先輩たち、ありがとうございます！これでシナリオにとりかかれるよ！」

いや、まだだよ？

「え゛」

今作ったのは基本的な文法と構文で、語彙がまだ全然できてないよ？
もちろん、構文を考えるために基礎の基礎的な単語はいくつか作ったけど、これじゃトキポナにも満たないよ。

「そ、それじゃあ……」

うん、作業はまだまだここから！
あ、作った文法と構文の一覧はまた整理してメールで送るから、しばらくはそれを見ながら、どんなことが言えそうかを考えておくとスムーズにいくと思う！
語彙もある程度できたら表計算ソフトで送るね！
あ、もちろんこの言語が関わってこない、標準語パートは書き進めてもらって大丈夫です！

59古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/04/24(水) 19:19:29

「何から何まですみません……謝礼はまたお姉ちゃんのお小遣いからお支払いしますね……」
「えっ、ちょっとミドリ！何勝手に私のお小遣い使うことにしてるの！部費があるでしょ！」
「新しいゲームエンジンの契約はともかく、プレミア付きゲームを買うために部費を使い込んだのはお姉ちゃんでしょ！」

あはは……仲のいい双子ですね……
それでは、とりあえず今日のところはこれで！
お疲れ様でした。

「お疲れ様でしたー！」
「ありがとうございます」
「エモート『ねぎらい』です！」
「あぅ、ほ、本当にありがとうございました……！」

さて、じゃあ帰ろうか。

60二次元好きの匿名さん24/04/24(水) 19:21:21

表音文字っていうけど、かな文字のようや、（ほぼ）1音節１文字なのか、ハングルみたいな音素表す記号を組み合わせる感じのやつか、あるいはアブギダかで解読の難易度変わりそうわね

61スレ主 ◆8kXeI1ONP624/04/24(水) 19:35:17

>>56

主要部後置型でVSOってありえるのか……？？（今気づいた）

>>62

62二次元好きの匿名さん24/04/24(水) 19:40:38

>>61

意味的なところで、Oにある程度V的な要素が含まれてて一番前にあるVでその詳細な意味（相やらなんやら）が決まる…みたいな…？

63二次元好きの匿名さん24/04/24(水) 22:20:10

一応保守

64二次元好きの匿名さん24/04/25(木) 06:15:45

これ画面の前の皆さんに向けて解説とかじゃなくて、実際にゲ開部に突然現れて解説だけして去ってってるのかコトリ……

65二次元好きの匿名さん24/04/25(木) 16:21:50

保守

66古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/04/25(木) 21:33:28

それ以降、しばらく私たちは普段の活動に加え、最低限使いそうな単語を考えては人工言語のリストに追加していく日々を送っていましたが、3人がかりでやったこともあり、1週間もすると必要な単語はあらかた完成しました。

『うん、最終版の単語リストは受け取ったよ！本当にありがとう！絶対にミレニアムプライズとるからね！！』
『P.S. もし作ってて足りない要素があったらまた連絡します』

およそ3000語に及ぶ単語リストへの返信の文面を読み、私たちは一気に息を吐きました。

「お、終わった……」
「うう……最近ずっと文字とにらめっこしてて……もう何も読みたくないです……」

みんな、お疲れ様です！
1つの山を越えたので、打ち上げがてら今日はみんなでレストランにでも行きましょうか！

「「賛成～！」」

そうだ、フミちゃんとツカサちゃんの歓迎会もまだでしたね！
じゃあ、今日は私が奢りますよ！

67古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/04/25(木) 21:34:12

意気揚々と部室を出た私たちは、学校から一番近いファミレスに向かいました。

皆さん、何にしますか？
遠慮しないで大丈夫ですよ！

「じゃ、じゃあ……チキンステーキに、しようかな……」
「そうですね……あ、私グラタンにします」

私は……パスタ！

68古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/04/25(木) 21:34:34

「あ、今のってウナギ文……いや、今はパスタ文、だね……ふふ」

本当だ、無意識で……

「それを名付けた例と同じようなシチュで、ってのはちょっと面白いですね。やっぱ言いやすいフレーズなんですかね？」
「あ、こ、この前見たアニメで、『休日はどう過ごした？』っていうのに『私はショッピングです』って答えてたシーンがあった……アレもまさに、だよね……ネットでネタにされてたし」

ああ、それでいうとスマホのCMで「だから私は〜」っていうやつもそうだよね。タレントさんはスマホじゃないもん。
あれはその後に「このスマホを使っています」が省略されて、あの形になってると思うんだけど、皆はどう思う？

「『だから私（が使っているの）はエクスピクセルだ』と『だから私はエクスピクセル（を使っている）』でどちらが文法的か、みたいな話ですか？」

そうそう、個人的には前者は少し言いづらいと思うんだよね。理由を示す「だから」と共起するなら名詞述語文は……いや、どうなんだろ……コピュラが「ダ」じゃなくて「ナノダ」なら比較的言える気がするなあ……

「難しいところですね。それこそさっきのショッピングの例だったら、『私（が過ごしたの）はショッピングだ』は不適で、『私はショッピング（をして過ごした）』が適当なので、これに関しては述語の代用と見るのがしっくり来ると思いますけど」

「……そ、それ、変じゃない……？わ、『私（が過ごしたの）はショッピングだ』はそりゃおかしいけど、『私（が休日にしたの）はショッピングだ』だったら適当だと思う……」

「ア、アニメの中だと、正確には質問が『楽しい週末を過ごされたようですね』に対する『そういう君は？』だから、これも文脈にすごく依存した聞き方だとは思う……た、ただ、ショッピングはそもそも過ごさなくて、『ショッピングをして過ごす』のテ形で接続される形だから、分裂文として見るならその形で補う必要が、あ、あるんじゃないかな……」

「ふむ、確かにそれはそうかも。なるほど……」

ふとしたことから一気に議論モードに入ってしまいましたが、こういうのもうちの部活らしくて良いでしょう！なにせ、いつでもどこでも内省すれば、議論のネタは尽きませんから！
おっと、料理が冷めちゃいますよ！議論しながら食べましょう！

69スレ主 ◆8kXeI1ONP624/04/25(木) 22:06:43

今日は疲れたので短めですが今日分の更新は以上です、すみません！

70二次元好きの匿名さん24/04/26(金) 06:28:37

保守

71二次元好きの匿名さん24/04/26(金) 16:18:05

このレスは削除されています

72古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/04/26(金) 19:59:22

新歓を兼ねた食事を終えて部室に戻ると、ドアの前にヴェリタスのハレちゃんが立っていました。

「あ、コトハ。外出してたんだね、ノックしても返事がなかったから」

うちの部に何か用事？あ、もしかしてずっと待ってた？

「いや、2,3回ノックしただけだからそんなに待ってないよ。それより、ちょっと部のPC見せてもらっていいかな」

？
別にいいけど？

ドアを開けてハレちゃん（と後輩たち）を部室に案内する。
ハレちゃんは早速PCのあるデスクに座り、慣れた手つきでキーボードを操ってるけど、正直何が起きてるか分からない。

5分ほどその状態が続いたあと、ハレちゃんは口を開いた。

「……なるほど」

73古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/04/26(金) 20:00:25

「このPCって最近操作した？」

うーん、部室更新届を書くときに多少使ったけど、それ以外はほぼ使ってないかも。先輩方がいきなり消えちゃってからはバタバタしてたから。

「そう。このPCにはヴェリタスが開発したキヴォトス横断超大規模ウェブテキストデータクローリング&自動コーパス作成プログラムが入ってるんだけど、それが不具合の原因だね」

え？キヴォトス横断超大規模……？？

「キヴォトス横断超大規模ウェブテキストデータクローリング&自動コーパス作成プログラム。要するにキヴォトスのウェブ上にあるテキストデータを自動で拾って勝手に形態素解析をしてコーパスのデータベースとして登録するbotとその検索エンジン。……その反応からすると、コトハもベルさんから聞いてないみたいだね」

あー……去年の入部当初になんかチラッと言ってたような……
ごめん、ぶっちゃけよく知らないです。

「引継ぎが上手くいってない組織はシステムの保守がおろそかになる典型例だね。簡単に説明すると、さっきこの子はウェブ上のテキストデータを自動で拾ってくる、と言ったけど、キヴォトスドメインのウェブサイトってどれだけの規模か想像してみて。すぐにデータ量が大変なことになるのは予想がつくと思う」

キヴォトスのウェブサイトのテキスト全部かあ……ということは、もしかしてSNSなんかも……

「そう。それだけでまともな容量の記憶装置ならすぐ埋まる。一応、ヴェリタスの部室のサーバーの1個をそれに割いて、このPCはただの検索端末なんだけど、定期的に整理しないと容量がパンクしてマトモな動作をしなくなるんだ」

そりゃそうだよねえ……

74古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/04/26(金) 20:01:02

というかうちの部ってそんなすごいもの持ってたんだ……全自動で全部取ってくるウェブコーパス……

「ベルさんの依頼で作ったらしいんだけど、先輩って何考えてるか分からない人だったしね。引継ぎをあんまりしないのもあの人らしいという気はするよ……定期的に必要な業務を伝えないでこっちの仕事増やすのは勘弁してほしいけど……はあ」

鳥羽ベル先輩。先代の言語研究部長。
いつも冷静で、いろいろなことを知っていて、謎の多い人だった。
飛び級でいくつもの学校を転々としてミレニアムに来た、若く見えるが実は何世代も前の元連邦生徒会幹部でキヴォトス標準語を制定して広めた、などの怪しげな噂が絶えなかったけど、言葉への探求心だけは並々ならぬものがあった。分からないことを分からないままにすることをよしとせず、暇さえあれば探求と観察をする姿勢はずっと私の憧れだ。
あの人のことだから、確かに超莫大な言語データベースの構築くらいはしてそうだなあ……

「……一応、さっきの作業で一時的な対応はしておいたんだけど、そんなのは結局イタチごっこになるだけだから、この機会に何をしたらいいか教えておくよ。コトハ、こっち来て」

75古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/04/26(金) 20:16:15

それから、メモを片手にPCと格闘すること数十分……
全然わからん！

「そっか……じゃあ、来月から私が定期的に見に来るようにするよ。5分もあればできる作業だし。アテナ3号、来月以降のスケジュールに『言語研究部』を追加して」

それに応えてハレちゃんのドローンが軽快な音を立てる。
ありがとう、ハレちゃん！

「うん、そっちもいろいろあると思うけど頑張ってね。それじゃこれで」

そういってハレちゃんは帰って行きました。

76二次元好きの匿名さん24/04/27(土) 01:23:58

保守

77二次元好きの匿名さん24/04/27(土) 11:20:49

保守

78古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/04/27(土) 21:15:28

……せっかくコーパスがあるんだし、ちょっと使ってみようかな。
私はPCの前に座り、キーボードに手を伸ばした。

うーんと、例えば検索条件を「ナ形容詞の語幹+コピュラ」、そしてこの組み合わせで文が終止すること……と。

検索ボタンをクリックし、数秒の沈黙の後……

うわうわ、めっちゃ出てきた。そりゃそうだよ。叙述用法なんて使わない日ないレベルだろうし。

「コーパスって使うの初めてですね。中学のときは存在すら知りませんでした……にしても流石のデータ量ですね」

ツカサちゃんが画面を覗き込んできた。
……今の言葉、ちょっと気になるな。

79古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/04/27(土) 21:15:59

私はコーパスに「流石」と入れて検索をかける。

流石に、流石に、流石の、流石だ、流石に…………

「今の言葉、もしかして間違ってましたか？即検索されると恥ずかしいです……」

いや、大丈夫だよ。私に「それは間違っている」って断ずる権限はないからさ。

『言葉を研究する人は、積極的に言葉に介入するべきではない。他人の言葉も自分の言葉もただ客観的に観察し、その生きた言語を考察するだけに留めるべきだ』
……さっき話してた、ベル先輩の受け売りなんだけどね。

「コトハ先輩は、ベルさんをとても慕っているようですね」

もちろん！
あのストイックさとそれを支える膨大な知識は私の一番の憧れだもん！

ああ、良い機会だし、今日の活動はベル先輩の論文を読む会にしようか！
勉強になるよ、絶対！

80二次元好きの匿名さん24/04/28(日) 00:57:13

保守

81二次元好きの匿名さん24/04/28(日) 10:38:57

保守

82古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/04/28(日) 20:08:56

「それにしても、すごい数の論文ですね。失踪前の2年間でこれだけの数とは……」
「それに……ど、どれもデータの数と、観察の技術が優れてるのがよく分かります……！」

でしょ？特にデータはどれも指摘を裏付けるのにぴったりの事例ばかりで、やっぱりベル先輩は天才だなぁって思うよね！
あ、いや、なんで私が誇らしげなんだって感じだけど。

コホン。
用例のデータに関しては、先輩は普段から何度も言ってたポリシー？みたいなのがあったみたいで。

『言葉は生きていないと意味がないんだ。作例でも実例でも、その向こうには必ずその言葉をリアルタイムで話し、聞き、読み、書く人間がいないといけない』

だって。
カッコいいよね。「言葉を使う人がいて、はじめてその言葉が生きたものになる」ってのも口癖だったなあ。

生きた言葉。使う人の存在。ベル先輩はこの2つに拘っていたみたいで、私もよく指導されたよ、「貴方のデータは自分で観察して得たものなのか？」って。

先輩、今、どこで何をしてるんだろうな……この前の手紙はノム先輩からだったし、セミナーに頼んでミレニアム中の監視カメラをチェックさせてもらっても見つからなかったし……はあ。

あっと、ごめんね。1人だけでしんみりしちゃった！

「いえ、先輩がベルさんのことを大切に思っているのは伝わりましたから」

83古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/04/28(日) 20:26:51

コンコン。
そんな話を断ち切るように、部室のドアがノックされました。

「コトハ、いる？言語研究部にトリニティからお客さんが来てるのだけど」

ト、トリニティ？？
ドアの向こうから聞こえたユウカさんの声は確かにそう言っていました。

「先輩、私が出ます」

ツカサちゃんがそういってドアを開けたとき──

84古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/04/28(日) 20:27:09

「あ、あなたたちですか！！うちの本を切り抜いたのは！！」

──烈火のごとく怒るトリニティ生徒が入ってきました。

き、切り抜き！？本を切り抜くなんて絶対にしないんだけど！？

「いいえ、あのミレニアムの制服は忘れもしません！禁帯出ですが貸出帳にもしっかり名前を記入してもらっています！こちらの生徒さんだということも分かっています！」

通じてない！ユウカさん、止めて！

「何をしたのよアンタ……」

dice1d4=1 (1)

1.仕方ないから戦闘

2.ツカサが即鎮圧

3.穏便に対話

4.ユウカがチョークスリーパー

85古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/04/28(日) 20:30:17

対応メンバー dice4d2=2 1 2 1 (6)

右からコトハ、ツカサ、フミ、ユウカが（1.出る 2.出ない）

86古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/04/28(日) 20:34:00

「ユウカ先輩！」

「危険人物を入れてしまった責任ね……」

ツカサ dice1d100=84 (84) +50

ユウカ dice1d100=13 (13)

トリニティ生徒のタフネス dice1d200=102 (102)

（タフネス以上で制圧）

87古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/04/28(日) 20:52:02

「ぐっ……！？というか強い！？」

ツカサちゃんが一瞬で制圧しちゃった……しかも銃なしで……

「貴方をここに連れてきた責任として一応聞くけど……シミコ、何があったの？」

ユウカさんは、地面に組伏されてるトリニティの生徒……シミコさんに向かって尋ねました。元から面識があるみたいですね。

「ミレニアムの生徒さんが、私たちの図書館が所蔵している稀少本『テキストの零落』の一部を切り取ったんです！貸し台帳の名前は『蘇州ティナ』さんで、調べたところこの部活の所属だと分かったので……」

ティナ先輩！？

「え、蘇州ティナって……」

はい、失踪した3年生の1人で、ノム先輩とベル先輩、ティナ先輩の3人でうちの部の3年生は全員です……

「失踪というと……今ここにはいらっしゃらない、ということですか？」

はい……うちの先輩がご迷惑をおかけしたようですみません……

「そうですか……そうとは知らず、襲撃を仕掛けてしまって、こちらこそお詫びするべきですね……こちらの部室の本に被害はありませんか？」

そ、そうきたか。私たちより本の方が脆いとはいえ。

88古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/04/28(日) 21:26:13

見たところ、部室の資料に被害はなさそうだから安心してください、シミコさん。

そして……こっちもお尋ねしたいことがあるんですけど。

「ええ、質問に答えるのも司書の務めなので！」

ティナ先輩、つまりその本を切り抜いた犯人がトリニティの図書館に現れたのはいつ頃ですか？
そして、その切り抜いた箇所に何が書かれていたのか分かりますか？
先輩方を探す手がかりになるかもしれないんです。

「えっと……確か、3日くらい前の昼すぎでした。図書館では他校の生徒を見かけることが珍しいのでよく覚えています。そして内容ですが……本全体のテーマはテクストという言語と批評に関わる概念についてのものでした。ただ、切り抜かれた箇所に具体的にどういった内容が書かれていたかについては分かりません。これでお役に立てるでしょうか？」

丁寧なシミコさんの対応に関心しつつ、私はティナ先輩の真意を探りかねていた。
テクストは、記号論や言語哲学にまたがる概念だったはず。でもティナ先輩の専門はそこじゃない。そして、トリニティに現れたのが3日前ということは、雲隠れしている最中に人目に触れてでもその部分が必要だったということで……

あれこれ考えていると、昔のティナ先輩のことを思い出した。

いつも部室のソファで寝ていて、たまに起き上がっては何かをメモして、書いたらまた寝転がって……の繰り返し。そんな人だった。
いつもニコニコしてて、悪く言えばやる気がなさそう、よく言えば場を和ませる人。それが私の知るティナ先輩だ。

本を読むイメージはないけど、さりとて本を粗雑に扱うような人でもない。それが、なんで……？？

89古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/04/28(日) 21:36:07

「あ、すいません、電話失礼しますね……」

私が思い出に浸っていると、シミコさんが小声でそう告げて部屋の外に出た。やっぱり電話の対応に敏感なのは司書の癖なのだろうか。

5分後、シミコさんが部室に戻ってきた。

「朗報です！切り抜かれた部分の内容が分かりました！希少本ではありますが、トリニティ図書館の書庫でもう一冊所蔵してたみたいです！」

ほ、本当！？
今すぐ確かめてもいいですか！？

「ただ、今のところ委員長からの信用がゼロなのは変わりないので、禁帯出を厳守かつ図書委員の監視下で閲覧してくださいとのことです」

う、それは、はい……

90スレ主 ◆8kXeI1ONP624/04/28(日) 21:37:43

今日の更新はここまでです！

91二次元好きの匿名さん24/04/29(月) 07:59:20

シミコも怪力なのに即鎮圧できるあたり流石は戦闘100だな……

92二次元好きの匿名さん24/04/29(月) 15:59:48

保守

93二次元好きの匿名さん24/04/29(月) 17:19:19

テクストってマエストロの…?
それともそういうものなのか…

94古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/04/29(月) 18:05:22

それから、私たちはトリニティ行きの電車に乗り、トリニティ図書館までやってきました。

「では、今回は私の監視下で閲覧していただくということで……」

シミコさんは小声でそう言い、カウンターの奥から1冊の本を持ってきました。これが例の『テキストの零落』なのでしょう。

「切られたページは147ページから足掛け5ページ分……酷い話です。トリニティ図書館はミレニアムのように全てを電子データとして閲覧可能に……とまでは行きませんが、ルールの範囲内であれば複写にも対応しているというのに……」

シミコさんの言い方は静かでしたが、その奥には憤りが見て取れました。先輩方が見つかったら部員総出で謝罪と弁償に来ましょう……

「147ページ……139、145、147。先輩、ありました」
「こ、この節は……げ、『言語の断絶と共通語』……？」

先輩が切り取ったという箇所には、キヴォトスと言葉に関する、ある伝承が記されていました。
難解な文体、普段と意味合いの違う単語の用法、耳慣れないテーマで書かれたそれは、要約すると以下の通りでした。

95『テキストの零落』 ◆8kXeI1ONP624/04/29(月) 18:06:18

キヴォトスに「忘れられた神々」と「名も無き神」が存在し、まだ名も無き神々がキヴォトスを支配していた頃、世界の全ての人は同じ言葉を話し、書き、交流していた。
しかしあるとき、人は愚かにも、天までそびえ神以外の誰も頂点を見たことのないような塔を建てようと考えた。
そうして人は塔を建て、ついに雲にまで届こうかというとき、神はその傲慢さに怒り、塔を崩し、人々の言葉をバラバラにして戒めとした。

筆者がキヴォトス全土から集めた碑文や伝承には、地域や言語を問わずこのような内容のものが度々見られた。
ここまで類似した内容を示したとなると、もしかしたら実際にあった出来事が記されている可能性がある。

また、各地の遺跡調査で度々出てくる「色彩」の記述とも類似性を持ち、今現在トリニティとゲヘナの間の不和に関わるエピソードにも関連があるかもしれない。

96古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/04/29(月) 18:06:58

……荒唐無稽というか、人文科学にしてもやや論拠に欠けるような内容の話です。
言語がバラバラになったと言われても、今キヴォトスで話されてるのはどこも同じ言語ですし、忘れられた神々とかもよく分かりません。歴史研究会なら分かるのかな……？というレベルです。この話の一体どこに先輩方は惹かれたのでしょうか……

そう思いながら周辺のページに他の手がかりがないかとめくっていると、あるページの間から小さな紙切れがヒラリと落ちてきました。
正方形の紙で文字はなく、QRコードが1つ印刷されています。この状況で現れた謎のリンク、めちゃくちゃ意味ありげです！

「えっ、う、ウイルスとかあるかもしれないのに、こ、コトハちゃん読むの……？」

まあミレニアム製のスマホはセキュリティも万全ですし大丈夫でしょう！それよりも今は何かヒントが欲しいんです！

私はスマホを取り出してその紙を読み込みました。

97親愛なる後輩たちへ ◆8kXeI1ONP624/04/29(月) 18:07:34

コトハちゃん、元気？
レンラクできなくてごめんね〜

はっきり言って、今はちょっと顔を出せないの！

わたし達もめちゃくちゃ頑張って
ないしょのプロジェクトを進めてるん
だけど、近々発表できるから、楽しみにしててね！

P.S. 最近サンクトゥムタワーのそびえる空が赤くなったり、言葉が通じないような不良がうろついてて物騒だから、1人で歩かないようにね！あと新人の子ともみんなで協力しあってね！

ティナ

98古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/04/29(月) 18:07:58

この軽いノリは間違いなくティナ先輩だ……
ただ、他校の本を切り取って、別の本にQRコードを仕込んで、リンクを読ませるっていうまだるっこしい謎解きゲームみたいなことをさせた割には内容が薄すぎないかな……
この前の手紙もそうだけど、やっぱり先輩方は何かに巻き込まれてる。そして、監視をくぐり抜けてこっそりと私達に何かを伝えようとしているんだ。文面も変だし、何か暗号的なのが含まれて……

といって気づいた。
スマホ画面の左端。仕込み文章の王道、縦読みだ！

『コレはわなだ』

……それだけ！？
それ以降は変な改行や変換ミスもないから、きっとそうなんだけど……それにしてはやっぱりまだ足りない気がする。

あ、そうか。罠と伝える文章のあとの追伸で、「一人で歩かないようにね」と言ってくれているのは、多分、先輩方が巻き込まれてる事件の黒幕は、他のメンバーも狙ってるんだ。それも、私たち全員を。そして先輩はそれに気をつけるように回りくどく警告を……

知らず知らずのうちに、私はQRコードの紙を握り潰していた。

99古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/04/29(月) 18:08:13

こんな大きな事件が近くにあったのに、私は、何も知らなかった。
その悔しさが一気に込み上げてくる。

「先輩、泣かないでください。これから先輩方を連れ戻しましょう。私も戦闘には自信がありますし、フミ先輩だって私たちを助けながら自衛するくらいの力はあります」
「こ、これからはさ、しばらく部室で寝泊まり、し、しようよ……ひ、1人で家に帰るよりも、多分セキュリティも安心感も違うよ……？」

ツカサちゃんがハンカチを差し出してくれた。
……2人とも、ありがとう。
うん、私は戦闘はあんまり自信ないけど、逃げ足なら多分負けないし、怪我をしても応急処置は得意だから。みんなで助け合おう。そして、先輩方を見つけて連れ戻そう。
これが、今の私たちの、目下の活動方針。いいよね？

「はい、頑張りましょう！」
「わ、わかった……！」

よし、それじゃ、言語研究部、がんばr──

「図書館では　お　静　か　に」

そこからの記憶はない。その場にいたトリニティ図書委員に全員気絶させられたからだ。

100スレ主 ◆8kXeI1ONP624/04/29(月) 18:35:13

本日の更新は以上です！

101二次元好きの匿名さん24/04/30(火) 01:32:25

保守

102二次元好きの匿名さん24/04/30(火) 01:58:33

言語学って奥が深い⋯。あとバベルの塔に関する神秘が恐怖か崇高がこの事件に関わってるのか？ゲマトリアも絡んできそうで先が気になる⋯。

>>104

103二次元好きの匿名さん24/04/30(火) 11:33:41

保守

104スレ主 ◆8kXeI1ONP624/04/30(火) 11:34:11

>>102

そう言って頂けると励みになります！

105古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/04/30(火) 19:27:00

う……うぅ……

「目が覚めたようですね。ここはトリニティの救護騎士団です。図書館で大声を出そうとする貴女方を沈静化させるため、貴女方はシミコさんたちによって気絶させられ、ここに運び込まれました。幸い、外傷はないので、目眩などがなければ皆さんお帰りになっても大丈夫です。全く、図書委員の方々も他にやり方はあるでしょうに……」

凛とした雰囲気の青髪の生徒さんが私にそう言った。最後の言葉には私も同感だけど、放置せずに処置をしてくれただけ温情……なのかな？

横のベッドを見ると、ツカサちゃんもフミちゃんも気がついてるみたい。
最後はひどい目にあったけど、大きなヒントはあった。この成果を部室に持ち帰って、さらなる手がかりを探そう！

「お大事になさってください」

ありがとうございます、救護騎士団さん！

106古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/04/30(火) 19:27:30

外はすっかり暗く、ミレニアムの最寄り駅に着いたのは夜の9時前だった。

「あ、私達が狙われているかもしれない以上、よ、夜道を歩くよりは、タクシーを使ったほうが安全……じゃないかな……」

なるほど、それもそうか。

「いえ、最近は駅前のロータリーに不良集団の闇タクシーが混じっていて、下手をするとそのまま攫われて……という事例があるようなので、下手に不確定要素を使うよりは自前で防衛しながら帰るほうが安全な場合もあると聞きました」

えっ、そうなの？
でももう疲れたしなあ……

107古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/04/30(火) 19:29:27

まあ、よりによってそんな運悪く闇タクシーを拾うわけ無いだろうし、タクシーで帰ろうか！

「あ、そ、それフラグじゃ……」

え？

「……この度はどうもご利用ありがとなァ！察しが良い嬢ちゃんは嫌いじゃねえぜ！ハハハハハ！！」

全員乗ったところでドアがバタンと閉まり、運転手はガラ悪く笑いながら車を発進させました。
車内が一気に緊迫した空気に変わったと同時に、助手席のツカサちゃんが素早く拳銃を出して運転手に向けました。

「ハッハハハァ！別に今アタシを撃ってくれても全然良いけど、このまま運転手がいなくなって困るのはお前じゃねえのかァ！？渋家ツカサさんよォ！！」
「グッ……」

ツカサちゃんは悔しそうな息を吐いた。
そうか、確かツカサちゃんはシャーレの先生並の神秘の低さ……！事故っても死にはしないだろうけど、私やフミちゃんみたいに無傷やアザでは済まない……！

「…………私たちの身辺調査まで済んでるということは、間違いなくベル先輩達が失踪した事件絡みの連中ですね」

だ、誰の指示でこんなことを！？ベル先輩たちは今どこ！？

「言うわけねェだろ、バーカ！言葉なんかの前に常識を研究したほうが良いんじゃねェか！？」

そう言われ、私はカチンときた。
何が常識だ。常識だろうが学術知識だろうが、それを支えるのは言葉じゃないか！
もう我慢できない。私は愛用の拳銃を取り出して構えた。

「アタシを撃つと車が事故って隣のコイツが怪我するってさっき言ったろ！？マジもんのバカだな！」

あなたは撃たない。私が撃つのは……

108古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/04/30(火) 19:29:54

発射された弾丸は前の席の2人の間を抜け──

フロントガラスを突き破った。

「なんだ、とんだクソエイムじゃ……うわぁ！？」

車内にめちゃくちゃな風が入ってくる。
運転手は目を瞑る間もなく、制限速度オーバーで走っていた分の風速に晒される。多分、今頃まともに息もできてないはずだ。それに驚いた運転手は、咄嗟にブレーキを踏み、速度を落とす。

そこからは一瞬だった。
車のスピードが落ちた隙を見て、ツカサちゃんが運転手の手首を掴んで関節を固める。そのまま車の速度はどんどん落ち……

繁華街から少し外れた道で車は止まった。

109古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/04/30(火) 19:30:29

「し、死ぬかと……」
「先輩、コイツは取り押さえておくのでヴァルキューレを呼んでください」

あっ、そうだね！

しかし、世の中そう上手くはいかないもので。

「お前ら！！やっちまえ！！」

運転手のその指示を皮切りに、近くの路地から続々と不良生徒が現れ、私たちは包囲されてしまった。

「ひ、ひぇぇ……」

怯えるフミちゃん。私だって怖い。
そして何より、私たちの中で一番腕のたつツカサちゃんは運転手を取り押さえているから手が離せない。

「ざっと20人弱……たった3人に対して多勢に無勢ですね……」

流石ツカサちゃん、自信の表れなのか冷静だ。

「お前、アタシを取り押さえる手を離しても1人ずつシバけば勝てるとか思ってんだろ？ナメやがってよ……」

地面に抑え込まれたままの運転手がニヤリと笑った。
マズい予感がする。

110古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/04/30(火) 19:30:41

「オイ！！アタシはいいから『アレ』を使え！！絶対逃がすなよ！！」

私たちを取り囲む不良の円陣のどこかから、手榴弾が投げ込まれるのが見えた。
次の瞬間、その手榴弾は勢いよく白煙を吹き出して……あ、れ？意識、が…………

ごめん、先、ぱ────

111スレ主 ◆8kXeI1ONP624/04/30(火) 19:33:42

本日の更新は以上です！

112古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/04/30(火) 23:31:34

今日の更新は終わり……なんだけど、前にみんなで撮った写真が出てきたので、皆さんにお見せしますね！私たちはこんな見た目です！

113二次元好きの匿名さん24/05/01(水) 07:20:05

保守

114二次元好きの匿名さん24/05/01(水) 17:29:32

保守

115古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/05/01(水) 19:03:53

「コトハちゃん、起きた？」

ぅ、ここ、は……？
頭がズキズキする…………
あ、先、輩……？

「……ごめんね、コトハちゃん。私たちもこうするのはとても心苦しいのだけど……」

目を開けると、申し訳無さそうな顔でこちらを覗き込むノム先輩がいた。

え、ノム先輩がなんで？
意味が分からない。
周囲を見渡すと、まだ気を失ってるフミちゃんがいて、その奥にはティナ先輩が壁にもたれて立っていた。

ここは、もしかして私達を襲った奴らのアジト？先輩たちも拉致されてここでずっと……？

「よっ、コトハちゃん。何ヶ月ぶり？元気してた？って麻酔ガス明けなのに元気も何もないか！」

ティナ先輩、全然危機感がない……
先輩たちも逃げましょう！2人では無理でも今なら4人いるので……！誰か一人でも脱出して、ヴァルキューレでもシャーレでも駆け込めばきっと……！

「ああ、ごめん、それ無理」

は？

「私ら、別に拉致されてるわけじゃないし」

え……？じゃ、じゃあなんでこんなとこに……

116古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/05/01(水) 19:04:03

「そりゃあ、ベルっちの指示だしねぇ。後輩ちゃんたちを生きたまま連れてきて、その後も監視しとけ、ってさ」

え……ティナ先輩、何言ってるんですか……？
拉致が、ベル先輩の指示…………？
ノム先輩も何か言ってくださいよ！悪い冗談ですよね？エイプリルフールもとっくに過ぎてるんですよ！？

ノム先輩の唇は固く噛み締められ、俯いたまま何も言おうとしない。否定の意思が読み取れない。

そんな、嘘、ですよね？

117古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/05/01(水) 19:04:18

「コトハ、ティナの言葉は事実だ」

通路の奥から現れたのは、ベル先輩だった。

「もっと分かりやすく言ってやろう」

「私が、この一連の事件の首謀者だ」

118古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/05/01(水) 19:04:54

ベル先輩！先輩は何言ってるか分かってますか！？
誰かに脅されてるとか、弱みを握られてるとか、そうなんですよね！？そいつらに濡れ衣を着せられて……

「そんなものはいない。全て私の計画だ」

わ、私たちの、言語研究部のことを、ベル先輩は、本当に裏切ったんですか……？

「裏切る……まあ、そうだな。コトハの側に共感度を置くとすればそうなるだろう」

嘘、ですよね、そんなこと……

視界がどんどん暗くなる。心拍が上がる。呼吸をしているのに、酸素が肺に入ってこない。
なのに、ベル先輩は、私を無視して話を続ける。

「ふむ、そうだな、実験協力者に実験概要と同意を取らないのは研究倫理に欠けるか……では、特別にコトハと新顔には説明してやろうじゃないか」

119鳥羽ベル ◆8kXeI1ONP624/05/01(水) 19:07:30

まず、私の実験の主眼は、キヴォトスの言語をバラバラに分断することだ。

ここまでたどり着いたのなら、ノムの手紙やティナの仕込んだ工作は読んだのだろう。

「え！ベルっち気づいてたの？」

当然。気づいた上で餌として利用するために泳がせておいた。

「マジかよ……」

話を戻す。
彼女たちが撒いた餌の1つ、『テキストの零落』。あれに記された、言語を分断した神話。この伝承の再現実験こそが私の目下の課題だ。

私は元々辺鄙な辺境の学校の生まれでな。幼い日の私はそこの全ての資料を読み尽くし、それからは各地を放浪して言葉と歴史資料の研究をする毎日だった。
その中で気づいたのが、古代語のバリエーションの多さだった。方言レベルでは説明のできない、未知の言語が数多く存在した。しかし、古代の言語はその多くが失われ、話者も今は存在しない、文字通り死んだ言語と成り果てた。
そして、『テキストの零落』に出会い、確信したのだ。

何者かが世界に介入し、世界はかつての言語多様性　を失った。

私はコトハに常々言っていたな。言語学はあくまでも客観的に言葉を観察しなければならず、言葉は何者の介入も受けるべきではない、と。

たとえ相手が世界そのものを変えられる存在だとしても、言語は自由であるべきだ。社会が進歩し、言葉が統一されるとしても、それはヒトの手で合意が形成されなければいけない。
言語の多様性を再びこのキヴォトスに。

──そうして、私はこの言語分断計画に着手した。

120鳥羽ベル ◆8kXeI1ONP624/05/01(水) 19:08:33

先行研究──例の伝承だが──には、天までそびえる塔が言語分断のトリガーとなった旨が書かれていた。
そして、もう一つ重要なファクターが、その分断は「色彩」あるいは「名もなき神」の力によって引き起こされたということ。

先日起きた虚妄のサンクトゥム出現に端を発する一連の事件は記憶に新しいだろうが、あの中で「色彩」が生徒に干渉する事例が発生したと聞いている。その生徒は恐怖に墜ち、元々持っていた神秘が反転したらしい。つまり、色彩は生徒の特性を「反転」させる。私は、言語分断にはこの特性が利用されたと考えている。言葉が互いに通じる状態が「色彩」によって反転し、言葉が通じない状態になった、ということだ。

これを踏まえた上で、私の実験の概要を述べようか。
まず必要なのが天まで届く塔。それこそが私達が今いる場所にしてキヴォトスを支える柱とも言うべき建物、サンクトゥムタワー。

そして、色彩の影響を媒介するための人材には、ミレニアムサイエンススクール2年、古井音コトハと楠戸フミ。この2名が必要なのだ。

……なぜ私達が、という顔をしているな。それにはまず君たちの持つ「神秘」を理解せねばなるまい。

結論から言うと、コトハの持つ神秘は「共通語（コイネー）」、フミの神秘の本質は「テキスト」それ自体だ。

コトハ、君はとても訛りのきつい人と喋ったことはあるか。あるいは、手話を用いて話す人は。古代語の文献を読んだことは？
そのとき、相手の言葉を知らないはずなのに、何故か意思疎通がスムーズに進んだのではないか？
それはお前が言語の天才だからなどではない。共通語の持つ「誰とでも普遍的に意思疎通ができる」という特性が現れたにすぎない。

──君が言語研究部を訪れたときは驚いたのをよく覚えている。なんせ、私が探し求めていた「共通語」の神秘を持つ生徒が、キヴォトス最高クラスの強度で向こうからやってきたのだから。

コトハ、君がいたから、私はこの野望を実行に移すことができた。改めて礼を言わせてもらおう。

121鳥羽ベル ◆8kXeI1ONP624/05/01(水) 19:08:46

そして、楠戸フミ。
君のことは昔から知っていた。ある神秘研究者組織からのツテでね。「テクスト」という概念それ自体を神秘に持つ生徒なんているとは思わなかった。

それが、私が去ったあとに新入生として我が部に入るなんて、鴨が葱を背負って来るようなものだと思ったよ。

……もう1人の後輩の渋家ツカサだが、彼女は特筆すべきことはなく、特に神秘に関しては驚くくらいに無力だったため、実験に使う価値はないと判断したため、この塔にはいないことを補足しておこう。

122鳥羽ベル ◆8kXeI1ONP624/05/01(水) 19:09:23

サンクトゥムタワー。古井音コトハ。楠戸フミ。私は今、実験に必要なこの三要素を揃えたわけだ。

何、やることはシンプルだ。これから君たち2人にはこの塔を登ってもらう。どうやらサンクトゥムタワーの200階まではエレベーターがあるんだが、それより先は階段しかなくてね。ひたすらに上を目指すだけでいい。伝承によれば、高い塔の上を目指していたときに色彩の怒りに触れたらしい。となると、上を目指し続ければ、どこかのタイミングで必ず色彩は接触してくるだろう。それを以て君たちの神秘を反転させ、キヴォトスを覆うテクストを書き換える。

さて、ここまでが私から言えることだ。これ以上は私にも想像がつかない。

──何か、質問は？

123古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/05/01(水) 19:10:24

何を、言っているんですか……？
言語を分断する？私の神秘を反転させる？
意味が分からない。
混乱が収まらないなか、ノム先輩が口を開いた。

「あの……ベルちゃん？この計画が仮に成功したとして、本当にコトハちゃんたちは無事なのよね？私とティナちゃんが協力してる間も、理屈とか、そういう話はずっと話してくれなかったし……」
「一体どうだろうな。神秘の反転現象自体に致死性はない。しかし、キヴォトス全土に影響を広げるとなると、その先は未知数だ。神秘だけが分離してただのヒトとなるか、自我が拡散して抜け殻になるか、あるいは耐えきれずに発狂するか……」

ノム先輩は、目を丸く見開き、一瞬だけ顔を曇らせた。
そして。

「ベルちゃん、ごめん……私は、貴女を止めないと、いけない……」

涙を浮かべた目で、ノム先輩はSMGをベル先輩に向けるが、その手は震えている。

「そうか。だが、私は既に必要な準備を全て終えてある。もとより離反されても影響のない段階だ。残念だよ、ノム」

あれだけ仲の良かった同級生から銃を向けられているというのに、まるで意に介していないようだ。

「じゃあ、ノムちの相手はわたしがするからさ、ベルっちはさっさとコトハちゃんたちを連れて上に向かったら？」
「そうだな」

ティナ先輩がベル先輩の側についた。私たち2年生は連れてこられたときに武器を取り上げられているから、なす術がない。

124古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/05/01(水) 19:10:40

ベル先輩がこちらに来る。私たちを塔の上まで連れていくつもりなのだろうか。反抗しようにも手が縛られてるし、噛みついてやるくらいしか……

すかっ。
噛みつくために振った頭はベル先輩に避けられて虚しく空を切った。

「……実験に必要な存在とはいえ、何度も研究の指導をした相手だ。私にも申し訳ない気持ちはある」

え、えぇ？
だ、だったら止めてくださいよ！私たちの命を何だと思って……！

「……だから、私の研究の礎として存在し続けることで、最大の詫びとしてくれないか」

一瞬抱いた希望は、ガラス窓よりも脆く崩れ去っていった。
この人は、言葉の研究しか見えていない……そのためには何があっても構わない……そう、だったんです、ね…………

絶望して項垂れた私は、ベル先輩に無理やり立たせられ、後ろから銃で脅されながら、塔の上へ向かうエレベーターへと連行された。

125睦月ノム ◆8kXeI1ONP624/05/01(水) 19:13:37

私には、どうすることもできなかった。
暴走するベルちゃんを止めることも、独りよがりな実験に消費されようとする後輩を助けることも、目の前で銃を構えてる大事な友達を説得することも。
言葉を研究しているくせに、こんな状況では言葉は無力ということをずっと無視し続けてきた。認めたくなかった。きっと、話せば分かり合えるんだって信じてたのに……

コトハちゃんとベルが乗り込んだエレベーターの扉が閉まる。こらえていた涙が溢れ、私は銃を下ろした。
もう、私はどうもできない。そして、全てを知っている私はこのまま……

「……はぁ～～、ベルっちがやっといなくなったぁ～～！隙を見せないようにするの疲れた～～！」

へ？
銃声ではなく、気の抜けたようなティナちゃんの声が聞こえてきたので私は思わず顔をあげた。
ティナちゃん、私を撃たないの……？

「え～？なんでそんなことする必要があるの？親友を撃つなんて一番楽しくないことじゃん？……まあそりゃ言語がバラバラになったら面白いものが見れるかもしんないけど～、かわいいかわいい後輩ちゃんを犠牲にしてまで見たくないし？罪悪感なく毎日エンジョイできたらそれでいいっていうか～」

こ、このゆるい口調は、間違いなく本音のティナちゃんだ。

「なにより、こんな状況で裏切ったらさ、ドラマチックでめっちゃ面白くない？」

ティナちゃん。何よりもその場の楽しさを基準に動く人生エンジョイ勢。これは、本当のティナちゃんだ！
私はティナちゃんに駆け寄って抱き着いた。

「うお！？……驚かしてごめんね、ノム」

私の頭をなでてくれるティナちゃん。17歳になってこれは少し恥ずかしい、かも……
呼吸を整えてから、私はティナちゃんから離れた。
……これからやるべきことはお互い分かってる。

「じゃあ、行こうか。私たちの大事な後輩を取り返しに！」

126スレ主 ◆8kXeI1ONP624/05/01(水) 19:15:01

本日の更新は以上です！

127二次元好きの匿名さん24/05/02(木) 01:01:15

保守

128二次元好きの匿名さん24/05/02(木) 12:33:10

保守。話のスケールが飛んでも無くなってきた...

129古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/05/02(木) 19:19:09

重苦しい空気。
エレベーターの中は沈黙と絶望で満たされていた。

「……引き継ぎも何もなく、すべてをコトハに押し付けて申し訳なかった」

沈黙を決め込む。
隣のフミちゃんは今にも泣き出しそうなほど不安げな顔をしている。

そのまま、エレベーターの静かなモーター音だけが響く時間が続き。

チン、という音と共にエレベーターの扉が開いた。

「さて、ここからは階段になる。どれほどかかるかは分からないが、脚を動かし続ければやがて『その高さ』までたどり着くだろう」

足取りがとても重い。この階段を登り続けることは、「私」の死と同義。しかし、逃げ道も対抗手段もない。処刑台の階段と同じ道を、歩くしかない。

私は、脚を踏み出すしかなかった。

130渋家ツカサ ◆8kXeI1ONP624/05/02(木) 19:20:29

"ツカサ、聞こえる？"

ぅく……誰かが、起こしてくれてる……？
確か、私は不良集団に襲われて……

目を開くと、そこにいたのはユウカさんと、優しそうな顔の大人……？

"良かった、気がついた"
"私はシャーレの先生だよ"

先生……！

「コトハとフミが昨日の夜から連絡が取れないの。3人が襲撃を受けてるのを見た、っていう目撃情報があったから、絶対に何かが起きたと思って……」

先輩が音信不通……！？
で、でも私と先輩は昨日の夜は一緒にいて……

そう言って気がついた。
私が倒れてたのは昨日襲撃を受けた裏路地のままで、先輩達だけがいない。
つまり、用があったのは2年生の先輩達だけ。

"それで、GPSの情報からツカサだけでも保護しようと思って"
"行方不明のふたりはGPS情報すら無いんだけど……"

"でも、その情報から逆に分かることがある"

どこにいるか分かるんですか！？皆さんは一体どこに……

"現代のテクノロジーを邪魔するほどの力を持つ場所……"
"サンクトゥムタワーだよ"

131渋家ツカサ ◆8kXeI1ONP624/05/02(木) 19:21:23

『先生！なんとかタワー内の監視カメラのログにアクセスすることに成功しました！ですが、どうやら何か未知の力で映像が粗く……！』

先生のタブレットを覗く。確かに画像は荒いが、それでも間違いない。
砂嵐だらけの映像に映る、短い銀髪と青い長髪のペア。
コトハ先輩とフミ先輩だ。

"確定だね。コトハたちはサンクトゥムタワーに連れ去られた"
"シャーレのプロテクトを掻い潜ってタワーを占拠する技術……ゲマトリアが関与しているかもしれない"
"みんな、助けに行くよ！"

はい！

132渋家ツカサ ◆8kXeI1ONP624/05/02(木) 19:23:51

そして、私たちはサンクトゥムタワーから少し離れた高層ビルのヘリポートにたどり着きました。
先生、ここからヘリに乗るんですか？

"内部のエレベーターが200階まで上がった記録が残っていてね"
"話を聞く限り、きっと彼女らはその上にいる"

じゃあ、ヘリで外から突撃を？外壁はどうするんです？

「それは私達に任せて」
「アリスたちもパーティに参加します！」

振り返ると、ゲーム開発部とエンジニア部、ヴェリタスの方々が勢揃いしていました。

「ツカサ、君にはこれに乗ってもらう」

ウタハ先輩が指さしたのは、大玉転がしで使うような大きな球体。

「これは衝撃を極限まで吸収する素材でできた、一人乗り用のカプセルでね、ツカサをこれに乗せてタワーの外壁まで撃ち出すんだ。その推進力はアリスのスーパーノヴァだよ」
「アリスの光の剣もアプデして上方修正をもらいました！これでサンクトゥムタワーのバリアを貫通できます！」

……え。いやいやいやいや、無理です！！
私めちゃくちゃ紙装甲なんで、Gで死にます！！

「ご安心ください！ミレニアムの技術を結集した、大気圏外から落下する衝撃すら無効化する新素材なので、内部には一切ダメージはありません！」

安心できないですって！絶叫系無理なんです！！

そのまま私は無理やりカプセルに詰め込まれ、玉ごとヘリに積み込まれた。

嫌だーーー！！！

133古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/05/02(木) 19:25:14

──カツン、カツンと冷たい階段を登る音だけが響く。
もうどれだけ登っただろうか。視界がグラグラと揺らぐのは、強いストレスがかかっているからかな。

酸欠の魚みたいに、口をパクパクと動かす。目が光を取り入れてくれない。見えているはずなのに、脳が光として認識してくれない。

これは、光？暗い光だ。ギラギラと眩しいはずなのに、暗い。光を呑み込むような明るさ。カラフルなモノクロ。これが、色彩──？

「ふむ、思ったよりも早く干渉し始めたか。何が隕九∴繧九°謨吶∴縺ｦ縺上ｌ？」

何を言ってるか分からない。伝わらない。

「コトハちゃe38293efbc9fe381a0e38081e5a4a7e4b888e5a4abefbc9f」

フミちゃんまで何を……？
分からない。通じない。怖い。どうしたらいいのか分からない。誰も私を理解してもらえない。助けて。怖い。私は、孤独だ──。

身を耐え難い苦痛が襲う。
これ、は、ヘイロー、の、痛み……？
ヘイローを捩じ切られるような苦しさ。このままだと、ヒビが…………

134鳥羽ベル ◆8kXeI1ONP624/05/02(木) 19:26:21

思ったよりも「色彩」の干渉が早かった。

虚ろな目をしたコトハは意味不明な言葉を口走り、ヘイローがどんどん歪み、ヒビが入っていく。

反転。
かの組織から聞いた情報によると、まさにこの状況こそが生徒の「反転」だろう。

すなわち、今の彼女はコトハ*テラーとでもいうべき存在となった。

今は彼女の中にしかない「言葉が通じない」という恐怖を、キヴォトス全土に広げて、私の野望は果たされる。

私は楠戸フミの方を向き直り──。

135渋家ツカサ ◆8kXeI1ONP624/05/02(木) 19:28:21

ツカサです。
私とカプセルと先生とその他の面々を乗せたヘリは無慈悲にも発進していきました。
カプセルが透明な分、外の状況が分かって余計に怖い！

「そろそろかな。アリス、対サンクトゥム特製弾を装填してもらえる？」
「はい！対サンクトゥム特製弾、装填しました！狙いはどこですか？」
「この辺を狙ってくれ。弾丸とカプセルの連結は……うん、大丈夫そうだね」
「ウタハ、タワーを包む神秘の様子がおかしい。虚妄のサンクトゥムの前兆に似てる……このままだと、5分もすればあの弾丸では貫通できなくなるよ」
「アリス、わかりました！タイムリミットありのステージということですね！」

私を差し置いて話を進めないでーー！！

136渋家ツカサ ◆8kXeI1ONP624/05/02(木) 19:28:55

「おや、怖いのかい？……ピンチの先輩を颯爽と助けにくる後輩なんて、とてもロマンがある展開だと思わないか？君は、この胸が熱くなる展開の主人公になれるんだ！」

ウタハさんが優しく声をかけてくれた。
……そうですね。今、先輩達を助けられるのは私しかいない。それは、他の誰もできない。
私は覚悟を決めました。アリスちゃん、私は発射の覚悟ができたよ。

「わかりました！では、10カウントで発射しますね！10……9……」

カウントスタートが早すぎる！
もう後には退けない！

8……7……6……

5……4……

3。

2。

1。

「バランス崩壊……光よ！！」

光の剣から発射された弾丸はワイヤーで繋がれたカプセルを引っ張ってカッ飛んでいき……

一瞬でサンクトゥムタワーの外壁を突き破った。

137スレ主 ◆8kXeI1ONP624/05/02(木) 19:33:19

本日の更新は以上です！

138二次元好きの匿名さん24/05/03(金) 07:18:58

このレスは削除されています

139スレ主 ◆8kXeI1ONP624/05/03(金) 09:01:30

保守してくださった方に頭が上がらねえ……

140二次元好きの匿名さん24/05/03(金) 18:21:10

保守

141コトハ*テラー ◆8kXeI1ONP624/05/03(金) 22:06:29

私は……コトハ？もはや自我すらも曖昧だ。

曖昧な意識とギラギラ歪む視界の中、ベル先輩がフミちゃんの方に歩み寄るのが見えた。
ダメ。これ以上、私たちを利用しないで。
そう言おうとしても、言葉が詰まる。何を言えば良いんだろう。何を言えば通じるんだろう。

フミちゃんの腕が掴まれる寸前。

ドォン。

大砲が直撃したかのような大きな音とともに、地面が揺れた。少し上の階かららしい。
何か緊迫して叫ぶ声が聞こえる。この声は、ツカサちゃん？

「繧ｳ繝医ワ蜈郁ｼｩ?√ヵ繝溷?霈ｩ?∫┌莠九〒縺吶°??ｼ」

相変わらず、何を言っているか分からない。
けど、私のことを心配している、ような気がする。

142コトハ*テラー ◆8kXeI1ONP624/05/03(金) 22:06:57

そして、その声はどんどん近づいてきて。

「蠢??縺励∪縺励◇窶ｦ窶ｦ縺ｾ縺?逕溘″縺ｦ縺ｦ濶ｯ縺九▲縺溪?ｦ窶ｦ?」

後ろ手に縛られていた縄が解ける感触があった。ツカサちゃんが、解いてくれた……？

そして。
不意に、抱きしめられた。
温かい。
言葉は何も分からないけど、これだけは分かる。

ツカサちゃんは、私のことを本当に心の底から心配してくれている。

言葉が通じなくても、これは確かに伝わった。
生きた人間がここにはいる。私のことを分かろうとしてくれている。

何かを伝えたい。相手を理解したい。
その気持ちさえあれば、言葉の壁は超えられる。
言語を読み解くことだって、楽しむことができればゲームになる。

そう気づいた途端、フッと体が軽くなった。
身を苛む痛みも、心を蝕む恐怖も、もう気にならない。

私は言語研究部。言葉が通じないくらいで怖気づくほどヤワじゃない！

143古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/05/03(金) 22:07:42

「色彩の反転が……！？」
「先輩！私が分かりますか！？」
「コトハちゃん……！良かった……！」

ベル先輩の狼狽も、ツカサちゃんの言葉も、フミちゃんの言ってることも、今は理解できる。

「……ハァ……ハァ……やっと、追いついた……！」
「無事みたいで良かった……！ホッとした……！」

ノム先輩！ティナ先輩！
階段の下から登ってきた2人は、走ってきたからか息がずいぶんと上がっていた。

「ティナ、お前も裏切ったか……！」
「いやあ、こっちのほうが絶対楽しいからねぇ？」

「あ、コトハちゃん、フミちゃん！これ、返すね」

ノム先輩が私たちの武器を返してくれた。
うん、異常はなさそう。
それを確認し、私はベル先輩の方を向いた。

144古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/05/03(金) 22:08:01

……ベル先輩、今までお世話になりました。
ですが、今回のことは流石に水に流せません。
他の皆も同じ気持ちだと思います。
ここに逃げ場はありません。一本道の階段の上にはツカサちゃん、下には先輩方、そして私とフミちゃんが左右を塞いでいます。

──大人しく、投降してください。お願いします。

私の憧れだったベル先輩。去年まで唯一の後輩だった私を指導し、導いてくれたベル先輩。

今まで、ありがとうございました。

145古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/05/03(金) 22:08:14

ベル先輩は武器を置き、両手を上げてその場に座り込んだ。
私は近づいてその手をとり、さっきまで私を縛っていた縄を先輩の手首にかけた。

「……こちらこそありがとう、コトハ。そして、ノム、ティナ、コトハ、ツカサ、フミ。これからも、言葉への探究心は忘れないでほしい」

それっきり、ベル先輩は黙り込んでしまった。

146古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/05/03(金) 22:10:50

皆でエレベーターに乗ってタワーの下まで降りると、ミレニアムの友達とシャーレの先生、そしてヴァルキューレの護送車がいた。

"みんな、無事でよかった"

「先生、鳥羽ベルの身柄はこちらで拘束させていただきます。国家転覆に匹敵するレベルの計画ですからね……七囚人並の判決は確実でしょう」

"わかった" "少し待ってて"

先生はベル先輩に近寄り、優しく語りかけた。

"言葉は生きたもの。それは間違いないし、研究に邁進するベルの気持ちは理解する"
"だけど、そのやり方だけは先生として見過ごせない"
"だから、今は罪を償っておいで。その後でもきっと、まだ言葉は生きているから"

ベル先輩は目を閉じ、小さく頷いた。
そして、ヴァルキューレの生徒に手を引かれるまま、護送車に乗り込んでいった。

147スレ主 ◆8kXeI1ONP624/05/03(金) 22:12:02

本日の更新は以上です！
あと2，3日中には完結しそう……！

148二次元好きの匿名さん24/05/04(土) 08:33:40

保守

149二次元好きの匿名さん24/05/04(土) 15:17:14

保守

150二次元好きの匿名さん24/05/04(土) 16:10:38

テラー化したのか……
これ割とまずいことになってないか？

151二次元好きの匿名さん24/05/05(日) 01:56:53

ヤバイことになったな

152古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/05/05(日) 07:21:32

車を見送ったあと、ヴァルキューレの生徒が思い出したように口を開く。

「ああ、そうだ先生。そこの睦月ノムと蘇州ティナも身柄を確保する対象です。計画協力の経緯や最終的にベルを裏切ったことから、ある程度刑期は軽くなるとは思いますが」

「……はぁ〜〜、やっぱそうか〜！ま、覚悟してたけどねぇ」
「悲しいけど、仕方ないよね……でもやっぱり、ミレニアムから除籍されちゃうのは寂しいかな……」

そう言いつつもどこか晴れやかな先輩達の顔に、私は少しホッとした。

「でもさ、こういうときにずっと脳内だけでも研究できるのって私らの分野の特権だよね？内省で正しいか間違ってるか判断できるわけだからさ」
「ティナちゃん、それ今言うことじゃない……」

先輩。
そう声をかけたかったのに、喉が動かない。
今言わないと、もう言えなくなってしまう。
勇気を振り絞って、私は言った。

153古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/05/05(日) 07:22:43

……先輩！
今までありがとうございました。
先輩方から教えて頂いた言葉の楽しさが、今の私を育ててくれました。

そして、言語研究部の後輩ももう私だけじゃありません。フミちゃんとツカサちゃんがいます。先輩のくれた探求心の炎は、私達が絶やしません。
なので。
今は安心して罪を精算してきてください。
私が卒業しても、言葉が生きている限り、きっとまた会えます！
だから、行ってきてください。

護送車に向かう背中に、そう声をかける。

154古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/05/05(日) 07:23:13

ノム先輩は会釈を返してくれた。その目には涙が浮かんでいるのが見えた。
ティナ先輩はこちらのことを振り返ってくれなかったけど、代わりに手をヒラヒラと振った。

どちらも、とても先輩方らしい反応で。
つられて私も涙が溢れてしまった。

「……心情お察しします」

ツカサちゃんはそう言ってハンカチを差し出した。
フミちゃんは無言で私の背中をさすっている。
先生は私が泣き止むまで優しく見守ってくれていた。

ありがとう、みんな。

155古井音コトハ ◆8kXeI1ONP624/05/05(日) 07:24:17

そうして、ベル先輩の野望は幕を閉じました。
しばらくの間は事情聴取とか部室の捜査とかで落ち着かない日々が続いたけど、私たち後輩が全く無関係だということが分かると、次第に生活はいつも通りに戻っていきました。
そして──

「おはようございます、先輩」
「ぁえ……フミちゃん、おはよう」

「あ、おはよッス、先輩！」
「良い朝ですね、コトハ様」

我が部の知名度が良くも悪くも上がった結果、新入生が2人ほど増えました！
これでますます活動が活発になりそうです！

それじゃ、ミレニアムサイエンススクール言語研究部一同、今日の活動を始めましょうか！

Fin.

156スレ主 ◆8kXeI1ONP624/05/05(日) 07:25:08

本SSはこれにてひとまず完結です！
お読みいただいてありがとうございました！

あと、いくつかオマケの小ネタがあるので、今日の夜にでも投稿しようかと思います！

157二次元好きの匿名さん24/05/05(日) 16:45:59

俺達の研究はまだまだこれからだ！

158スレ主 ◆8kXeI1ONP624/05/05(日) 18:22:48

小ネタ①

【ピックアップ募集・予告】
まもなく、ピックアップ募集「空と歩む私のリンガ・フランカ」&「空の青さを描くシニフィアン」&「空も凍る零度のエクリチュール」が開催されません。

限定の生徒さんを入手できないチャンスをお見逃しなく！

🔹ピックアップ生徒
★3 コトハ
★3 ツカサ
★3 フミ

159スレ主 ◆8kXeI1ONP624/05/05(日) 18:23:30

画像を複数上げられないので

160スレ主 ◆8kXeI1ONP624/05/05(日) 18:23:53

フミ

161スレ主 ◆8kXeI1ONP624/05/05(日) 18:34:59

小ネタ②
全員分のPUガチャタイトルの妄想

コトハPU募集「空と歩む私のリンガ・フランカ」
ツカサPU募集「空の青さを描くシニフィアン」
フミPU募集「空も凍る零度のエクリチュール」
ベルPU募集「空に昇る貴方に口紅を」
ノムPU募集「空を見上げた人生の物語」
ティナPU募集「空の向こうの1984年」

162スレ主 ◆8kXeI1ONP624/05/05(日) 18:35:53

小ネタ③
固有武器の名前とフレーバーテキストの妄想

・コトハ固有武器「対話の本質02」
コトハの愛用するハンドガン。対話の本質01は「どれだけ対話を試みても通じない相手はいるという事実」とは本人の談。
・ツカサ固有武器「ゴンベン」
ツカサが常に持ち歩いているショットガン。ツカサの側に寄り添い、詞を紡ぐように手に馴染むらしい。
・フミ固有武器「ラウドトーカー」
フミが普段使用するマシンガン。人見知りで口数少ない使用者とは異なり、銃の方は非常に雄弁だ。
・ベル固有武器「タワーオブバベル」
ベルの使用するサブマシンガン。相手に向けて撃つよりも、天に掲げて威嚇するために使われる方が多い。
・ティナ固有武器「Enjoy！」
ティナの所有するスナイパーライフル。人生を楽しむことを至上命題とする彼女は、その引き金の重さを誰よりも知っている。
・ノム固有武器「婉曲表現」
ノムが愛用するサブマシンガン。捻くれた名前だが、ところどころの金属パーツにクッション素材が貼られたカスタムに、彼女の心優しさが表れている。

163スレ主 ◆8kXeI1ONP624/05/05(日) 18:38:08

とりあえず、用意した小ネタは以上になります！

重ね重ね、読んでいただいてありがとうございました！

164二次元好きの匿名さん24/05/06(月) 00:31:20

もうちょっとだけ保守しとくか……

165二次元好きの匿名さん24/05/06(月) 11:29:19

保守

166二次元好きの匿名さん24/05/06(月) 22:17:31

保守