- 1二次元好きの匿名さん24/04/25(木) 20:18:37
ことネットワークに関する技術ならミレニアムの顔とも言えるエンジニア部にだって負けない、有線無線なんでもござれの電子情報通信技術のスペシャリスト! それが私達ネットワーク研究部です!
そんな私達の一番大きな仕事は、なんといってもミレニアム全域に敷設された高速通信ネットワーク網と、その中枢を司る我らがミレニアムの誇り……
超高性能通信ユニットAI「ハブ」の保守管理なのです!
この子はミレニアムサイエンススクールの黎明期から存在する由緒あるユニットで、ミレニアムの歴史と共に幾度ものアップデートを重ねてきた、いわばミレニアム発展の生き証人!
この子の活躍なくして今のミレニアムの隆盛は存在しなかったと言っても過言ではないでしょう! ふっふっふ!
そして、そんなハブを代々メンテナンスし改良してきたのが私達ネットワーク研究部!
もちろん当代の部長である私も、偉大な先輩方から累々と受け継がれてきた名誉ある称号に恥じないよう、日夜ハブの強化に努めておりますとも!
直近のアップデートによって基本性能はもちろんセキュリティ面を大幅に強化! あの悪名高きヴェリタスだろうとそう簡単にハッキングできないであろう鉄壁の電子防御に加えて、万が一ハブ本体に破壊工作を仕掛けられた場合に備えて、自衛のための物理的な戦闘能力さえも従来の80%以上の向上を実現しているのです!
どうですか? まさにハブこそミレニアムの通信技術の要を担う鉄壁の守護神!
これからもこの子は私達ネットワーク研究部と共に、ミレニアムの歴史ある限りその発展と共にあってくれることでしょう! はーっはっはっは!
……もう首括るしかないかな。
- 2二次元好きの匿名さん24/04/25(木) 20:20:30
ミレニアムの誇りは自販機の釣り銭計算プログラム以下!
- 3二次元好きの匿名さん24/04/25(木) 20:36:23
- 4二次元好きの匿名さん24/04/25(木) 20:37:30
- 5二次元好きの匿名さん24/04/25(木) 20:45:25
- 6二次元好きの匿名さん24/04/25(木) 20:53:35
①ハンサムのモブちゃんは突如ハブを連れ戻すアイデアをひらめく
②ユウカに命乞い&土下座してなんとかしてもらう
③現実は非情である
さぁどれだ - 7二次元好きの匿名さん24/04/25(木) 21:03:19
ど、どうしようどうしよう…
月末までに何とかハブを取り戻さないと部活は廃部になっちゃう…
ミレニアム黎明から続いてきた伝統ある部活を私の代で潰しちゃうなんて…そ、そんなの絶対認められない!
…私に後を託してくれた部長や先輩方のためにも、わ、私が…私が何とかしなくちゃ!
絶対に、私の手でハブを連れ戻さなきゃ!
…とはいえ、ハブちゃんはミレニアムの技術の粋を集めたユニット。その恐ろしさは私が一番良く知っている…
私一人でどうにかなる相手じゃないし、他の部員はショックで寝込んでるし…
他に誰か、助けてくれる人を探さなきゃ!
モブちゃんが助けを求めた相手: dice4d164=141 150 13 127 (431)
- 8二次元好きの匿名さん24/04/25(木) 21:39:34
アキラはともかくバルバラに助け求められるお前は何者なんだよ
- 9二次元好きの匿名さん24/04/25(木) 21:50:59
ネットで知り合った子たちにダメ元で助けを求めてみました!
結果は…
(1なら助けてくれる、2なら拒否)
アキラ dice1d2=2 (2)
バルバラ dice1d2=1 (1)
イロハ dice1d2=1 (1)
タカネ dice1d2=2 (2)
- 10二次元好きの匿名さん24/04/25(木) 21:53:20
さすが聖女
- 11◆aWGLhlmvI.5424/04/25(木) 22:04:12
- 12◆aWGLhlmvI.5424/04/26(金) 07:40:19
準備中…
- 13二次元好きの匿名さん24/04/26(金) 16:43:21
イロハは分かるがバルバラはなんなの、ご先祖なの…?
- 14◆aWGLhlmvI.5424/04/26(金) 22:46:17
(これからどうしたものか…)
と、とりあえず頭数も揃ったことですし、作戦を決めましょう!
…ずっとハブちゃんを整備してきた身としては心苦しいですけど、多少の損壊はこの際…已むを得ません。
どうにかしてハブの行動を停止させて…その隙に私が整備ハッチから内部に侵入してハブのAIブロックを停止させます。
…とはいっても私は直接戦闘はからきしですし、戦闘は専らイロハさんの戦車とバルバラさんの機関砲頼りになると思います。
それに…ヴェリタスから得た情報によると、今のハブはデカグラなんたらとかいうものの影響を受けて装甲の性質までもが変質しているようです。
変質した装甲の性質によってはもしかしたら私たちが不利になるかもしれないし、逆に弱点を突けるかもしれません。
身長に作戦を練らなくては…
ホドの防御タイプ: dice1d3=3 (3)
1. 軽装備
2. 重装甲
3. 特殊装甲
- 15二次元好きの匿名さん24/04/26(金) 22:48:25
イロハが弱点つけるなヨシ!
- 16二次元好きの匿名さん24/04/26(金) 23:59:11
このレスは削除されています
- 17二次元好きの匿名さん24/04/27(土) 06:25:17
大丈夫か3人でやるのちょっとキツくなぁい?
- 18ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/04/27(土) 14:32:24
(コテハンとトリップを同時に入れられなかったので調整…)
今のハブちゃんの装甲材質は神秘装甲!
これならイロハさんの砲撃や…あとたぶんバルバラさんの攻撃も有効に働くはず!
そして…今のハブちゃんの最大の脅威は、周囲の機械類を侵食して強制的に支配下に置いてしまうインベイドピラー。
…元々は周りの通信設備やドローンとリンクしてネットワークを効率的に拡張するためのユニットだったのですが…うう、こんな使い方されるだなんて想定してない…
で、でも! ハブのプログラム上、起動状態のピラーが機能不全を起こせば本体にも無視できないフィードバックが及びますし、うまくいけばハブのAIを一時的にダウンさせることもできるはず。
そうすれば…ハブ本体を無傷に近いで確保することだって決して不可能じゃないはずです!
待っててねハブちゃん! 今から私が助けてあげるから!
- 19ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/04/27(土) 22:26:53
作戦開始です!
ハブちゃん…いいえ、ホドは現在、ミレニアム郊外地下を穿孔中!
付近の長距離ケーブル網に深刻な被害が…ああ、また後で補修しなきゃ。うう…
ですが、もう形振りは構ってられません! 私達ネットワーク研究部の、いいえミレニアムの未来が掛かってるのですから!
…ホドの想定進路に存在する地下トンネルにありったけの爆薬を仕掛けて、ポイント到達と同時に起爆! ホドを地上にいぶり出します!
/// !!!CONFLICT!!! ///
///~総力戦 HOD~///
ネットワークモブちゃんの戦闘力 dice1d10=8 (8)
イロハ(虎丸)の戦闘力 dice1d200=44 (44)
バルバラの戦闘力 dice1d200=195 (195)
ホドの戦闘力 dice1d1000=108 (108)
- 20ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/04/27(土) 22:50:11
- 21二次元好きの匿名さん24/04/27(土) 23:05:12
バルバラさん強すぎて草
さすが聖女 - 22ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/04/27(土) 23:23:36
──こうして、私達の戦いは終わりを迎えました。
ゲヘナのイロハさんや青白い方の協力もあり、私達ネットワーク研究部は無事にハブちゃんを無力化して鹵獲することに成功。
今は汚染されたAIブロックの交換と機体の修復作業中ですが、遠からずまた元気な姿を見せてくれるはずです。
これでネットワーク研究部の存続も首の皮一枚で繋がり、なんとか先輩たちへの面目も立ちました。
よかった…私の代で部を潰してしまうことにならなくて、本当に、よかった…!
…ですが、まだまだ私たちの仕事は終わりません。
戦闘で破壊されたネットワーク回線の補修や、今回の反省を踏まえたハブの更なるアップデート…やるべきことは山積みです。
だけど、こんなところでへこたれてなんかいられません。
ミレニアムが発展し続ける限り、私達のハブちゃんは…そして私達もまた存在し続けるのですから!
私達ネットワーク研究部の戦いは、これからです!!!!!
~HAPPY END~
- 23二次元好きの匿名さん24/04/27(土) 23:25:46
アッサリ解決しちゃったよ
それで良いのかデカグラマトン - 24二次元好きの匿名さん24/04/27(土) 23:26:07
バルバラさん普通に居るの…?
- 25ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/04/27(土) 23:27:20
- 26二次元好きの匿名さん24/04/27(土) 23:29:33
まだ何か騒乱があるのか…
- 27ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/04/27(土) 23:30:29
(簡単にハッピーエンドでは終わらせてはくれないようです…)
(…やっぱり私ダイススレには向いてないな…普通にSS書くかぁ)
(続きはまた後日…) - 28二次元好きの匿名さん24/04/28(日) 08:06:30
もうちょっとだけつづく…
- 29ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/04/28(日) 14:41:04
────────────────────
──────
──
/* 数か月前 */
「……引退、って……そ、それって、どういうことですか、リオ会長……?」
「どうもこうも、言葉の通りよ。
……あなたたちネットワーク研究部が管理している通信ユニットAI・ハブ。
ミレニアムの黎明期に開発された機体でありながら、その基本設計の優秀さと拡張性の高さから現代に至るまでアップデートが繰り返され、数十年もの長きに渡って稼働してきた……まさにミレニアムの生き証人。
けれど、どれだけ拡張を繰り返したところでその根幹は旧式のユニット。拡張性にも限度はあるし、何より経年劣化による基礎フレームの老朽化も無視できない。
遠からずミレニアムの技術発展の速度に追随できなくなり、その性能も頭打ちになるわ。
そろそろ有終の美を飾ることをを考えるべき時だと、そう言ったのよ」
「ま、待って下さいリオ会長! ハブはまだまだ……少なくともあと10年は現役で戦えます!
近年追加した仮設タワーの設置機能によって大規模ネットワークの敷設スピードは50%近く向上しましたし、積載スペースにだって余裕はあります!
セキュリティ面も今度のアップデートで大幅に強化する予定ですし、まだまだ性能のアップは可能なはずです!
だ、だいたい……ハブちゃんはミレニアム創設から今までずっとその発展に貢献してきた、いわばミレニアムの栄光そのものじゃないですか!
それを、ちょっと古くなったからってそんな簡単に捨てるだなんて……」
「……もちろん今すぐというわけじゃないわ。後継機を開発するにしても数年がかりになるでしょうから。
だけど、いつかは考えなくてはいけないことよ。
学園の通信網を一手に担う新型ユニットの開発となればミレニアムの総力を挙げたプロジェクトになる。エンジニア部にも技術協力を要請する必要があるわね。ヴェリタスは……ヒマリが首を縦に振るかどうか。
いずれにせよ、そのプロジェクトを主導できるのは長年ミレニアムのネットワークを管理してきたあなたたちネットワーク研究部をおいて他にいないわ。
早急に現行機であるハブの問題点とその改善点を洗い出し、後継機開発のための草案をまとめてちょうだい」
- 30ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/04/28(日) 14:54:02
────────────────────
──────
──
「……リオ会長は勝手だよ。
ハブは……私達は、まだまだやれるのに。ねえ、ハブちゃん?」
『──err: unknown command.』
「……あはは。なんて言ったって分かんないよね。高性能AIを搭載しているとはいえ、人間みたいな自律思考ができるわけじゃないんだから。
心配しないで。あなたを廃棄処分になんて絶対にさせない。今度のアップデートであなたの性能をびっくりするくらいに向上させて、リオ会長をぎゃふんと言わせてやるんだから!」
『waiting for command:>』
「それに……ハブは、ミレニアムを作った『本物の天才たち』が設計した、本当にすごいユニットで。
歴代のネットワーク研究部の先輩たちが、その技術と才能の全てを注いで改良を続けてきた、ミレニアムの歴史そのもので。
その代わりになるものを作れ、だなんて言われたって……」
「……私みたいな凡人には、絶対に、無理だよ」
- 31ネットワークモブ◆FriZmlCMoU24/04/28(日) 23:36:30
────────────────────
──────
──
……ああ。夢、か。
懐かしい夢、だったな。
……正夢だったら、よかったのになぁ。
……現実は残酷で。
ゲヘナの万魔殿の人や、すごく強いクールな青白いシスターさんが助けてくれるだなんて、そんなご都合主義の奇跡は起こらなくって。
結局のところ、私達ネットワーク研究部は暴走してしまったハブをどうすることもできず。
ミレニアム単独での対処は不可能であると結論付けて、匙を投げて……事態の収拾をシャーレの先生に依頼することしかできなかった。
暴走したハブ……ううん。デカグラマトンの預言者・ホドは、EMPフィールドを拡大させながらミレニアム居住区へと着々と侵攻していて。
このままじゃミレニアムだけじゃなく、キヴォトス全土に深刻な被害を齎しかねなくて。だから……
シャーレの先生の指揮のもと、各校の精鋭が集った文字通りの総力戦で。
ホドの……私達のハブの破壊が、決定されたんだ。
- 32二次元好きの匿名さん24/04/29(月) 04:00:32
先達が積み重ねてきた技術の粋、それを破壊...被害が大きすぎて致し方なしとはいえ、やはり辛いものがあるな...
- 33二次元好きの匿名さん24/04/29(月) 09:30:56
ほ
- 34ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/04/29(月) 18:19:12
────────────────────
──────
──
ホド討伐作戦・当日。
当然ながら私にできることなんて何もなくて…ホドの進行ルート上に誂えられた仮設拠点で待機して、ドローンを通じて先生が指揮する生徒たちとホドとの戦いを傍観していた。
指揮官である先生が執った作戦は、シャーレの人脈を駆使して各校から集めた少数精鋭による電撃戦。
…あろうことか両手の指にも満たないような少人数の部隊で、ミレニアムの英知の結晶であるホドを陥落させようというのだ。
これまでシャーレの先生が幾度となく奇跡とも呼べる戦果を上げてきたことは知っていたけど…その作戦を聞いた時は流石に自分の耳を疑った。
無謀だ。できるわけない。どう考えたって失敗する。
…そんな程度の戦力で、私達のハブがやられてたまるか。
…本当は。
心のどこかで願ってたのかもしれない。
どんな形であったとしても…ホドが。私達のハブちゃんが。あの子を破壊しようとする討伐部隊なんか蹴散らして、ずっと存在し続けてくれることを。
たとえそれがミレニアム自治区に…ううん、このキヴォトスに取り返しのつかない被害を齎すことになったのだとしても。
…作戦決行時刻。
仮設拠点の簡素なテントの中で、戦場の様子を映したノートパソコンの画面を前に。私は固く手を組んで祈っていた。
バカバカしいと自分でも思う。トリニティの学生ならともかく、合理と理性を旨とするミレニアムの学生が、誰に何を祈ろうって言うんだろう。
…そもそも、私は何を祈っていたのだろうか。
この作戦の成功だろうか。それとも…失敗だろうか。その時の私にはもう、それさえも分からなくなっていた。
- 35二次元好きの匿名さん24/04/29(月) 19:17:41
これは…ハピエン無理なのか…?
- 36ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/04/29(月) 23:57:43
────
……戦いの幕を切って落としたのは、上空より飛来するヘリからロープで降下してきた二人の少女。
青と白を基調とする武装セーラー服に身を包んだ彼女たちは、一糸乱れぬ動きで戦域へと銃弾の雨を降り注がせ、ホドが自らの
領域を拡大すべく周囲に屹立させた仮設タワー……インベイドピラーへと攻撃を加えていく。
迅雷のように戦場へと舞い降りた二者のうち、兎耳を思わせる頭部デバイスを装着した銀髪の少女がロープから身を離し、軽やかに地面へと着地。そのまま速度を緩めず敵陣へと……ホドへの道筋を阻む最初のインベイドピラーへと駆ける。
未だ中空に残るもう一方、鉄帽を被った少女もその身をロープに預けたまま携行した機関銃を放ち、正確な射撃でピラーが操る固定砲台を次々と打ち砕いていく。
総数、たった二人。だけど、その戦果はまさに一騎当千。
作戦開始から十数分足らず。それだけの短期間のうちに彼女たちは行く手を阻むピラーを一つ、また一つと機能停止させ、ホドへと続く道を抉じ開けていく。
──驚くべき実力だけれど、さもありなん。
何故なら彼女たちは、かの連邦生徒会長直属の特殊部隊・SRT特殊学園の一員。練度だけならばミレニアムが誇る最強の戦闘部隊・C&Cにだって劣りはしないだろう。
表向きは閉校により解散したとされている彼女たちが何故この作戦の魁を担うこととなったのか、その正確な経緯を私は知らない。あるいはそれも、音に聞くシャーレの先生の人脈の為せる業なのだろうか。
先行するSRTの特殊部隊……RABBIT小隊が切り開いた道筋を踏み締め、後続の部隊もまた進撃していく。行く手を阻むピラーの防衛機構など鎧袖一触で蹴散らされ、もはや時間稼ぎにすらなっていない。
まさに、動くこと雷霆の如し。
……私達が、そして歴代の先輩達が心血を注いで作り上げた防衛システムがあまりにも呆気なく突破されていく様を、私はモニター越しに固唾を呑んで見守ることしかできずにいて。
そして、ついに。
シャーレの先生が指揮する部隊は、作戦の最終目標──ホドの本体へと接敵した。
- 37二次元好きの匿名さん24/04/30(火) 08:07:05
自重しないシャーレの先生によるホドTA
はじまるよ! - 38二次元好きの匿名さん24/04/30(火) 15:25:20
ハッピーエンド頼むよぉダイス神……さもないとファウストをそちらに送るぞ(脅迫)
- 391 ◆FriZmlCMoU24/04/30(火) 22:29:51
(…実はこのスレ以外でもSS書いてたりするのだけど、最近よくファウストさんに脅迫されるなぁ…)
(ま、まあ作風上バッドエンドにはならないと思います…続きはちょっとお待ちを…) - 40二次元好きの匿名さん24/04/30(火) 22:50:51
もしかしてブチギレモモイの人だったりする?お疲れ様です……
- 41二次元好きの匿名さん24/05/01(水) 08:01:39
準備中
- 42ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/05/01(水) 15:08:21
────
「輝きに証明されし栄光」ホド。
その体高は優に数十メートル。ちょっとした高層ビルにさえ匹敵する巨体からは触手を思わせる何本もの作業用アームが伸び、獲物を狙うかのようにうねうねと蠢いている。
トリニティの聖典で語られる悪魔の魚にも似たその威容を一目でも見れば、どんな頭の足りない人間だって分かる。──こんなバケモノに、人の身で挑むなど狂気の沙汰だと。
ましてやシャーレの先生が指揮する前線部隊の人数は、あろうことかたったの四人。
ホドが誇る強固な装甲と防衛システムを前にすれば、たかだか一小隊規模の戦力なんて十数秒と持たないであろうことは明白だった。
それが凡百の兵であれば、だけど。
戦端を開いたのはホドの側。その身から伸びる作業用アームの一本が大きくしなり、眼前の部隊めがけて勢いよく振り下ろされる。
地中でのケーブル作業を効率的に行うため、強固な岩盤をも打ち砕く破壊力を持たされたその魔手は、直撃すれば頑強なキヴォトスの生徒の肉体にだって致命的なダメージを与えかねないだろう。
そう、当たりさえすれば。
「……しゃらくせぇ」
轟音と共に膨大な質量を持ったアームが大地を抉り、コンクリートに大穴を穿つ。
けれど、その一撃がホドの敵対者を捉えることは無かった。それどころか……巻き上がる粉塵の中から一つの影が飛び出し、ホドの本体を目掛けて迅雷の速度で突撃する。──振り下ろされたホドのアーム、それ自体を架け橋として。
「──オラオラオラァッ!!!」
鬨の声と共に駆けるのは、メイド服にスカジャンという奇妙な風体をした小柄な少女。
一見すると戦場に迷い込んだ幼子かと見紛う出で立ちだけど……私達ミレニアムサイエンススクールの生徒で、彼女の勇名を知らない者なんていない。
ミレニアム最強のエージェント集団──"Cleaning&Clearing"、その筆頭。
コールサイン00(ダブルオー)・美甘ネル。
その意味は──"約束された勝利"の証。 - 43ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/05/01(水) 15:52:08
────
……目を疑った。
それはまるで、超電導の線路上を滑るリニアモーターカーのように。人知を超えた脚力とバランス感覚で、C&Cの最高戦力たる少女はホドのアームの上を滑走していく。
「はっ! ゴミは掃除しなきゃなァ!」
そして、ただ駆け抜けるだけじゃない。両手に握った二丁の機関銃を唸らせ、自らが足場とするアームへと、そしてホドの本体へと弾丸の雨を浴びせかける。
もちろん彼女に対してホドも無策なんかじゃない。再びアームを大きく撓らせて、自らの体の上を這い回る羽虫を払い落とそうとする。
だけど……それよりも早く、ダブルオーは地を蹴った。
足場としていたアームに強烈な蹴撃を加えて、その反動で大きく、高く。
その瞬間。ボキリ、と鈍い音が戦場に響き渡る。
……音を聞いただけですぐに分かった。ミレニアム最高峰の強靭さを誇るホドの作業用アーム、その骨子となる金属フレームが砕けた音。
新素材開発部から提供された強固な特殊合金で作られたはずのそれが、あろうことか生身の人間の手によって、こんなにもあっさりと……
愕然とする私がモニター越しに見守る中で、自重を支えきれなくなったホドのアームが真っ二つに千切れ、轟音を上げて地面へと落下していく。
そして、その驚天動地の奇跡を──否、彼女にとっては唯の必然を成し遂げた最強のエージェントは、再びホドの体から伸びる別のアームの一本へと飛び移ってその装甲を蹴り……破壊の疾走を再開する。
蝶のように舞い、蜂のように刺す。
只人の身でありながら天空を縦横無尽に駆け巡り、さながら双頭の龍のごとくホドの機体を食い荒らしていく。
比べようもない質量差など、体躯の差など、彼女の前では何の意味も成さない。
圧倒的な「個」の力。単機で戦況を覆しかねないミレニアムの切り札。彼女の存在こそが、まさに約束された勝利そのもの。
「……嘘」
そう呟くのが精一杯だった。自分の目に映るその光景を、どこか認めたくない私がいて。
「栄光」の名を冠する預言者は──私達の努力と叡智の結晶は、今……たった一人の生身の生徒によって、成す術もなく蹂躙されていた。 - 44二次元好きの匿名さん24/05/01(水) 15:54:44
やっぱりパイセンかっこいいな…
- 45ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/05/01(水) 18:36:01
────
異変の幕開けは……ヒュン、という風切り音。
美甘さん……ダブルオーの蹂躙劇によって早々に決着するかと思われた総力戦だけど、ミレニアムの叡智の化身であるホドだって呆気なく終わるはずもなかった。
「ッ、避けろ!」
叫びと共に美甘さんがホドのアーム上から飛び退いて、他のメンバーも弾かれるように散開する。
次の瞬間……遥か上空より落下してきた一本の巨塔が、つい一瞬前まで彼女達が立っていた地面へと唸りを上げて突き刺さった。
──インベイドピラー。
強力な電磁場発生装置を内蔵したホドの端末であり、その支配領域を拡大するための橋頭保。
……本来なら、ハブ本体と連携してネットワーク拡張速度を飛躍的に向上させるための仮設タワー。せんぱい……私の先代の部長が考案して開発した画期的な通信ユニット。そのはずだった。
だけど本体であるハブが預言者と化した今は、安全性を考慮して設けていたリミッターまで解除されて……ひとたび地表に設置されれば地下数kmに渡って根を張り、強力な電磁パルスによって周囲の機械類を瞬く間に支配下に置いてしまう、危険極まりない侵蝕兵器と化していた。
辛くもピラーの下敷きになることを免れた彼女達だったけど、それだけで脅威の全てを回避できたわけじゃない。大地に深く根を張ったピラーは不気味に発光し、その周囲に強力な電磁フィールドを展開し始めたのだ。
同型のピラーは道中でRABBIT小隊が何本も破壊してきたけれど、ホド本体と直接リンクしている今のピラーが発するEMPの出力はそれまでの比じゃなかった。
周囲の電子機器を機能不全に陥れるだけに留まらず、際限なく出力を上げていく電磁パルスは生体内の水分子にすら干渉し、やがては人体に致命的な悪影響を齎すことだろう。
対抗策はただ一つ。電磁場の出力が危険域へと上がり切る前に、ピラー本体を破壊するしかない。
だけど……高出力のEMPフィールドを発する今のピラーに不用意に接近するのは、いわば生身の人間を電子レンジの中に突っ込むようなもの。
たとえミレニアム最強のエージェントだろうと、生命体である以上、生体組織を内部から崩壊させる攻撃から逃れる術なんて無いはずだ。
かといってこのまま手を拱いていても全滅は免れない。もう、彼女たちに打つ手なんか──
『──やっぱりね。そう来ると思ってた』 - 46ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/05/01(水) 19:15:12
────
窮地を覆したのは、凛とした少女の声。
ホドと直接相対している前線部隊はダブルオーを含めた4人だけだけど、だからと言ってホドと戦っているのが彼女達4人だけってわけじゃない。
私が今いるこの仮設拠点で、前線部隊とホドとの戦闘を現在進行形でバックアップしている分析・補給班。広義には私自身だってホド討伐のために招聘されたアドバイザーという位置づけだ。
そして今、通信用のインカムから響いてきたのは……奇しくも私がよく知っている子の声で。
ちーちゃん──ヴェリタスの副部長・各務チヒロ。
ミレニアム屈指のハッカーであると同時に学園のセキュリティ顧問でもあり、あらゆる電子的クラッキングへの対処法を熟知している情報セキュリティのスペシャリスト。ミレニアムサイエンススクールが誇る最強の守護神。
そして、それはつまり……守る手段と同様に、敵のセキュリティを打ち崩す手段もまた熟知しているということ。
『こういうクラッキングは好みじゃないけど……状況が状況だから。今回だけだよ』
そして、電子の守護神はその権能を揮う。
前線部隊の一人であるRABBIT小隊の月雪ミヤコさんが放った、対EMP用の特殊な改造を施された自走ドローンを踏み台にして。
B級映画でよくあるような熾烈なハッキングの鍔迫り合いも、無意味にキーボードを掻き鳴らすだけの耳障りな打鍵音も無く……
ただ一度、エンターキーを叩くだけ。
たったそれだけで自動化したプログラムが回線を走り──インベイドピラーを逆に侵食していく。
瞬く間にピラーの光が失われ、EMPフィールドが消滅。同時にピラー外壁に備えられたコンソールの画面に、その存在を誇示するかのようにヴェリタスのロゴマークが浮かび上って。
……息が、できなかった。
ハブの……そして仮設タワーのセキュリティシステムの強化は、私の代の担当。部のみんなと一緒に、ほとんど一年がかりで仕上げた、一番新しいアップデート。
その出来栄えは自分でも惚れ惚れするくらいで。あのヴェリタスにだってそう簡単には破れないぞって自画自賛するくらいの自信作で。ようやく私もせんぱいや、歴代の部長に並べるような功績を挙げられたんだって、嬉しくって、誇らしくって──
それを。あの子は、ちーちゃんは。今まさに、指一本で無力化してのけたんだから。 - 47ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/05/01(水) 20:18:59
────
クラッキングによりピラーを停止させられた影響は、本体であるホドにも及んでいた。
……ホドの電子的弱点。性能向上の代償として、リンク状態にあるピラーが機能不全に陥ると、その負荷はホド本体にもフィードバックされる。
そして本体への過負荷が一定値を上回った時……ホドのAIはオーバーロードを起こし、一時的に行動不能になる。
ホドの巨体がバチバチと火花を散らし、唸りを上げて不規則に鳴動する。……私の目には、まるでホドが苦しみにのたうっているように見えて……知らないうちに、ぎゅっと手を握りしめていた。
けれど、状況は未だ予断を許さない。
ホドの機能不全は長くても十数秒。それを過ぎればホドはすぐさま機能を回復し、再びインベイドピラーを起動させるだろう。
この機を生かして状況を好転させるには、機能が鈍っているうちにホド本体に致命的なダメージを与えるしかない。でも……
(……火力が、足りない)
ブリーフィングの時から気になっていたこと。
この作戦の立案に当たり、シャーレの先生は各自治区から「最強のメンバー」を実働部隊として招聘したという。
ミレニアムの最高戦力であるコールサイン00を筆頭に、彼女に匹敵する戦闘巧者や特殊部隊員……その全員の経歴を把握しているわけじゃないけど、先生がそう太鼓判を押すからには紛れもなく最強クラスの戦力が集結しているはずだ。
だけど、それはあくまで人員の話。武装に関しては話が違う。
ホドの中枢部を守る外部装甲は過剰とも言えるほどに強靭だ。その装甲の守りを貫いてホドに致命的なダメージを与えられるような重武装を扱えるメンバーも、それを準備しているような時間的余裕も無かったはずなのだ。
いかに人間離れしている美甘さんとはいえ、たった十数秒間の間にホドの外郭を破壊して致命的な損傷を与えることなんてできない……はずなのだ。
大火力が、一撃でホドに致命打を与えられるような「切り札」が足りない。このままじゃ、ホドを討伐できる千載一遇の好機をみすみす逃すことになる。
……やっぱり分からない。先生はどうしてこんな、あからさまな作戦の穴を放置して──
「うーん……本当は先生の前で、あんまりこういう可愛くないことやりたくないんだけどなぁ」
──そんな私の思考は、戦場から響いてきた場違いなほどに明るい声に断ち切られた。 - 48二次元好きの匿名さん24/05/01(水) 20:20:21
あっ…ホド…南無…
- 49ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/05/01(水) 21:46:54
────
前線から響いてきた声の主は──純白のドレスに身を包んだ桃色の髪の少女だった。
その背にある白い翼は、彼女がミレニアムと並ぶキヴォトス三大学園の一角・トリニティ総合学園の出身であることを物語っている。
──元トリニティ生徒会・ティーパーティーのパテル派首長・聖園ミカ。
詳しい事情は知らないけれど、かのエデン条約と前後してトリニティ内部で起こったクーデター騒ぎによって失脚したことくらいは噂に聞いている。
……見た目からして明らかに戦闘に長けているとは思えない彼女が、どうして今回の総力戦のメンバーとして名を連ねているのかまでは分からなかったけど。
「でも、せっかく先生が私のことを頼ってくれたんだし。ちゃんと期待には応えなきゃね!」
そんな風な言葉と共に、まるでお花畑をお散歩するかのような気軽さで、彼女は機能停止したピラーへと歩んでいく。
無邪気さの中にもどこか優雅さを漂わせるその佇まいは、さながら童話の世界から抜け出してきたお姫様。戦場には似つかわしくない、なんとも現実離れした光景だった。
大樹の如く屹立するピラーの根本まで辿り着いた彼女は、物珍しげな様子でその外壁に手を触れ、何かを確かめるように撫でまわして。
「……うん。多分、これならいけるかな」
数秒ほどそうしていた後、そんな風に独り言ちて。……その掌の形を「パー」から「グー」へと変えて。
「だから先生のために──折るねっ☆」
ドン、と。
目の前のピラー目掛けて、無造作にその拳を叩きこんだ。 - 50ネットワークモブ24/05/01(水) 23:04:32
────
──めきり。
「え、っ……えっ……!?」
まず、目の前の光景を。……一瞬遅れて、自分自身の正気を疑った。
だって、あの、箸より重いものを持ったこともないような華奢なお嬢様が、その細腕で……まるで割り箸でもへし折るみたいな気軽さで。
直径数メートルはあろうかというインベイドピラーを、その根本から……ぽっきりと叩き折ってしまったのだから。
めきめきと音を立てて倒壊していくピラーを、私は口をぱくぱくとさせながら見つめることしかできないでいた。
さっきとは別種の意味で、その光景が現実のものとは思えなかった。目の前のモニターに映し出された映像が実写ではなく、CGか何かで編集されたドッキリ映像か何かにすら思えてしまう。
……けれど、現実はそんな私の想像さえも容易く上回っていって。
轟音を立てて崩れていくピラーの一端を、桃色のお姫様がむんずと鷲掴みにする。そしてそのまま……まるで野球のバットでも振るかのように、折れたピラーをぶんぶんと振り回し始めたのだ。
「……うそ、でしょう?」
驚きのあまり開いた口が塞がらなかった。……そうこうしている間にも、トリニティの天使はさながらダンスでも踊るかのように、ジャイアントスイングにも似た要領でピラーもろともぐるぐると回転し──
「──せい、やぁっ☆」
あまりにも能天気な掛け声と共に、彼女はへし折ったピラーを……優に数十トンはあろうかという鉄の塊を……その人知を超えた膂力に任せて、思いっきり放り投げる。
勢いよく宙へと放られたピラーの行きつく先にあったものは、オーバーロードして動作を停止するホドの巨体。機能不全を起こした今のホドに、その一撃を回避する術は無く──
──巨大な砲弾と化したピラーがホドの外壁を貫通し、その本体へと深々と突き刺さった。 - 51124/05/01(水) 23:12:20
- 52ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/05/02(木) 00:39:01
- 53二次元好きの匿名さん24/05/02(木) 02:25:57
おいたわしや...
- 54二次元好きの匿名さん24/05/02(木) 03:37:22
Oh……
- 551 ◆FriZmlCMoU24/05/02(木) 09:21:05
モブちゃんのメンタルはもう限界なようです…
でもミレニアム数十年の伝統を誇るハブ解体ショーはまだまだ続くよ!(悪趣味)
…ごめんなさい最終的にハッピーエンドにするにせよ道中で曇らせないとは言ってないんだ… - 56二次元好きの匿名さん24/05/02(木) 09:37:19
もう精神的に限界という事で気絶させてあげて…
いや寧ろ見届けた方が最終的に踏ん切りつくのか…? - 57二次元好きの匿名さん24/05/02(木) 16:05:09
じゅんびちう…
- 58二次元好きの匿名さん24/05/02(木) 17:28:18
- 59ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/05/02(木) 19:09:31
────
……戦況は明確に、ホドに対して不利な方向に傾いていた。
非現実の世界から飛び出してきたお姫様の馬鹿げた一撃でホドが負ったダメージは明らかに無視できるものじゃない。大穴の空いた装甲からバチバチと火花を散らしながらも、なんとか体勢を立て直そうと藻掻いている。
だけど……それを黙って見ているほど彼女達も優しくはない。
美甘さんの苛烈な銃撃が、地上と上空のヘリから放たれるRABBIT小隊の連携攻撃が、罅割れたホドの装甲を砕き、その内部機構を破壊していく。
ダメ押しとばかりに、インベイドピラーの影響を脱した周囲の固定砲台までもがホドに対して一斉に砲撃を浴びせかけて……
砕け散った装甲がばらばらと剥がれ落ち、ボディから伸びる作業用アームも一本、また一本と千切れ飛んでいく。……ホドはもう満身創痍だった。
(やめて)
……そんな光景を、私は、見ていられなくて。
もう、まともに呼吸さえできない。ホドが。私達のハブが。ずっとずっと受け継いできた私達の誇りが。努力の結晶が。ばらばらにされていく。壊されていく。
私はただ、ぎゅっと両手を組んで……血が出るほどに強く強く握りしめながら、ただ祈ることしかできなかった。……美甘さんたちの勝利を、じゃない。
(にげて)
──もう勝てなくてもいい。戦わなくたっていいから。
早く、ここから離れて。どこか人の目の届かない場所で、ひっそりとでも生きていて。
そんな自分勝手な願望を。キヴォトスのために戦っている彼女達を裏切るような最低の願いを。自己満足だって分かっていても、そう願わずにはいられなくって。
だけど……ホドはまだ戦うことを諦めていなかった。
傷ついたホドの単眼じみたカメラアイがぎょろりと輝き、眼前の部隊へと向けられる。その輝きは段々と大きくなり……膨大な電磁エネルギーがチャージされていく。
それこそが、ホドに搭載された最後の切り札。ホドが有するEMP制御能力を極限まで増幅して放たれる、きわめて強力な収束ビーム砲。
全エネルギーの60%以上を消費する諸刃の剣ではあるけど……直撃すれば重戦車であろうと一瞬で蒸発させてしまう威力を誇る最強の一撃。
当然、生身の人間が喰らって無事に済むような代物じゃない。
その光はまさに──彼の預言者の、"栄光の輝き"そのもの。 - 60二次元好きの匿名さん24/05/02(木) 19:32:20
でも現状かなりハッピーエンドでは?
先生の指揮の下、危険な預言者を各校のトップ戦力が手を組んで迅速に撃退できたんだよ?
ネットワークモブちゃんがもっと強靭な素材とか複雑なセキュリティ組んでたら被害は甚大になってたかもしれないし、その意味では功労者の一人だね!
これに懲りたらもう変な物作っちゃ駄目だよ! - 61ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/05/02(木) 19:43:23
────
「──! ヤバいの来るよ、集まって!」
そう声を上げたのは、これまで部隊の先頭でホドの攻撃を一身に引き受けていた、身の丈程もある大盾を携えた小柄な少女。
彼女の号令に従って残る部隊のメンバーも後退し、盾を構えた彼女の背後へと集まって即座に防御陣形を取る。
……だけど、無意味だ。
超高熱を誇るホドの切り札を、鋼鉄さえも蒸発させる収束レーザーを、そんなちんけな盾一枚で受け止められるはずがない。
もはや回避できるタイミングじゃない。成す術もない彼女達へと向けて、栄光の輝きは解き放たれて──
──閃光と、轟音。
あまりの光量と爆音に、ドローンによる中継映像がホワイトアウトして……目の前のスクリーンが空白化する。
……あぁ、終わっちゃった。
そんな他人事みたいな感想を抱きながら、私はどこか現実感の無い心地でノイズまみれになったモニターを見つめていた。
いくら美甘さん達でも、あの一撃を受けて無事で済むとは思えない。知らない仲ではない同級生の安否と、大切なハブが生き残ってくれたという安堵。
果たしてその時の私の心を占めていたのは、どちらの割合が大きかっただろう。わたし、は──
「うへ~、あっついあっつい。あつくて干からびそうだよぉ~」
唐突にスピーカーから響いてきたのは、そんな暢気にも程がある声で。
……私は白昼夢でも見てるんだろうか? 数秒遅れで回復したモニターの中継映像。膨大な熱量によって融解し、クレーターと化した爆心地の中心部。そこに私が見たものは……
「いやぁ、やっぱりなかなか痛いねぇ~。でもまあ……この程度ならセーフかな」
──全くの無傷で盾越しに顔を覗かせる、桃色の長髪を靡かせた双色の瞳の少女の姿だった。 - 62ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/05/02(木) 21:36:40
────
……あり、えない。
避けたのなら、耐えたのならまだ分かる。だけど、ホドの必殺の収束ビームが直撃して……無傷!? モニター越しに見るその光景を、私は信じられない想いで見つめていた。
それに、健在だったのは彼女だけじゃない。彼女の背後に庇われる形となった美甘さんたち三人もまた、さしたるダメージを受けている様子は見られない。正気を疑いたくなるような光景だった。
──アビドス高等学校、廃校対策委員会委員長・小鳥遊ホシノ。
かつてはキヴォトス一の栄華を誇っていたものの、もう数十年も前に廃れ果て、歴史の片隅に埋もれてしまった死にかけの学校……この作戦が始まる前まで、私にとってのアビドス高校なんてその程度の認識だった。
だから、あからさまにやる気の無さそうに見える彼女と作戦会議の場で顔を合わせた時も、先生の言うところの「最強のチーム」に相応しいメンバーとは到底思えなかったものだ。
だけど……
(……あの人の体はいったい何でできているの!? 鋼鉄の融点なんて余裕で越えてるんだよ? なのに、どうして本人はおろか、盾や服にすら傷一つないの!? わけがわからない、わけがわからない、わけがわからない!)
戦闘巧者だとか、鍛えてるからだとか、もうそんなレベルの話じゃない。明らかに物理法則を、人智を無視した力が作用しているとしか思えない。
まさに不条理の、不可解の、神秘の権化。なにもかもが非合理的、非科学的、非現実的……私が今までミレニアムサイエンススクールで学んできた知識と常識が、ガラガラと音を立てて崩れ去っていくような気がした。
だけど……
そんな私にも、たった一つだけはっきり分かることがある。
ほとんど捨て身で放った最強の攻撃さえも、無傷で凌がれた今──
──もうホドに、万に一つも勝機は残されていないってこと。
……ああ、もう、ダメだ。
幾つもの非現実を目の当たりにして、最後の最後に残酷な現実だけが残されて。心が折れてしまった。諦めてしまった。
もう、どうしたらいいか分からなくって。そんなとき……
ピコン、と音がして。
目の前のPCのチャットアプリが、新規メッセージの受信を告げた。 - 63ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/05/02(木) 22:05:43
────
(メッセージ? こんな時に、いったい誰から……)
ぼんやりとした頭のままメッセージの送信元を示す名前に視線を向けて……驚愕のあまり口元を手で覆った。だって、そこに印されていたのは、たった三文字のアルファベットで──
──"HUB"。
(っ!?)
反射的にチャットアプリを開いて、受信したメッセージの内容を確認する。画面に表示されていたのは、ノイズに塗れた意味不明な文字列。
『──....e.p──m..──』
それが何を示しているかは分からない。でも……まさか、本当にハブからの……?
……確かに、ハブには作業を効率的に行うために、スマホからチャットアプリを通じて簡単な命令を送受信できるプログラムを組み込んでいたけど……
でも、少なくとも預言者と成り果てる前のハブにできることといったら、与えられた命令や作業状況に応じて簡単なメッセージを返信するくらい。人間と会話できるほどの高度な知能は有していなかったはずだ。
混乱する私の前で、アプリが更なるメッセージを画面へと出力する。それはさっきよりも少しだけ鮮明で、だけど極めて単純な、小学生レベルの一言で──
『──.elp me──he.p .e──help me』
──"たすけて"、って。
(……ぁ)
それを目にした瞬間、私の理性は吹き飛んだ。
がたん、と椅子を蹴り倒して、作戦のために着けていたインカムをかなぐり捨てる。心の中から湧き上がる情動のままに、私は仮設テントを飛び出して全力で走り始めた。……他のことはもう何も考えられなかった。私の頭の中にあったのは、たった一つのことだけだった。
──あの子の所へ、行かなくちゃ。 - 641 ◆FriZmlCMoU24/05/02(木) 22:07:21
- 651 ◆FriZmlCMoU24/05/03(金) 01:47:00
おまけ
ネットワークモブちゃんのプロフィール(とくにいみはない…)
学年 3年生(部長なので)
身長 120 + dice1d60=54 (54)
B/W/H dice3d3=3 1 3 (7)
(1=ちっちゃい 2=ふつう 3=でかい)
髪の色 dice3d256=14 104 203 (321)
目の色 dice3d256=161 148 172 (481)
(0〜255)
カラーコード参考
色見本 ~ カラーコード- fromkato.com
RGB値(24ビット)で指定可能な色は、1600万色以上です。その膨大な色の中から、お気に入りの色(カラーコード)の選択をサポートします。fromkato.comネットワーク研究部の学内での評価 dice1d100=60 (60)
ネットワークモブちゃんの人望 dice1d100=38 (38)
ネットワークモブちゃんの自己肯定感 dice1d100=26 (26)
(100ほど高評価)
- 661 ◆FriZmlCMoU24/05/03(金) 06:57:11
おまけ2
ミレニアム3年組との親しさ(50以上で友人、100で親友)
ウタハ dice1d100=56 (56)
ヒマリ dice1d100=18 (18)
チヒロ dice1d100=20 (20)
コタマ dice1d100=87 (87)
ネル dice1d80=30 (30) (体育会系の壁)
アスナ dice1d100=3 (3)
リオ dice1d80=79 (79) (ハブちゃん廃棄しようとした壁)
ホド(ハブちゃん)からネットワークモブちゃんへの好感度
dice1d100=36 (36)
(1ほど愚かな人間め… 100ほど助けてお母さん!!)
ネットワークモブちゃんの技術力
ハードウェア dice1d80=18 (18) (100でウタハ級)
ソフトウェア dice1d80=23 (23) (100でヒマリ級)
セキュリティ dice1d80=19 (19) (100でチヒロ級)
ネットワーク研究部の部員数
dice1d30=8 (8) 人
- 67二次元好きの匿名さん24/05/03(金) 08:01:10
モブちゃんの技術力低すぎ…!
- 68二次元好きの匿名さん24/05/03(金) 13:43:37
まあ、ウタハはマイスター、ヒマリは全知、チヒロは企業相手にバリバリ仕事してるプロだからね。一般生徒はこんなものというか比較対象の3人が化け物過ぎるのかもしれない。
それはそうとハブちゃん、あんなメッセージ送ってきといて好感度はその程度なのか…
- 69二次元好きの匿名さん24/05/03(金) 13:47:12
ホドからもこれとか救いないじゃないですか…
- 70二次元好きの匿名さん24/05/03(金) 13:59:47
ペットにナメられてる飼い主みたいな感じかなこれ
- 711 ◆FriZmlCMoU24/05/03(金) 17:53:49
今日明日はあんまり続き書けないかもしれないです…
(ネットワークモブちゃんのダイス値が総じて低くておいわたしくなってきた)
(ホドの好感度が高かったら救済ルートもアリかなって思ってたんですけどね…) - 72二次元好きの匿名さん24/05/04(土) 03:39:04
保守
- 73二次元好きの匿名さん24/05/04(土) 08:06:45
おまけ3
保守がてら
ネットワークモブちゃんの技術力
ネットワーク 50 + dice1d50=23 (23)
(せめて専門分野でくらい出目上振れてくれないと不憫すぎる…!)
- 741 ◆FriZmlCMoU24/05/04(土) 08:07:35
び、微妙…!
- 75二次元好きの匿名さん24/05/04(土) 08:08:07
そこは高めで安心ですね…もう破壊は免れないけどもどうか報われてくれ…
- 76二次元好きの匿名さん24/05/04(土) 14:12:57
キャップつけたにも関わらずリオと思いのほか仲良くてびっくりなんだ…
- 77ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/05/04(土) 20:58:27
────
……走っていた。
周りの皆が止めるのも振り切って、罅割れたアスファルトを蹴って、慣れない全力疾走にぜえぜえと息を切らしながら。
ただ、あの子の……私の大切なハブちゃんのところへ。
──本当は分かっている。
さっきのメッセージが、本当に私に助けを求めて送られたものだなんて保証はない。
ただの動作エラーによる誤送信だったらまだいい方で。もしかしたら窮地に陥ったホドが最後の悪あがきに、馬鹿なネットワークエンジニアを利用しようとしているだけなのかもしれない。
第一、あの戦場に辿り着いたとして、私なんかに何ができるって言うのだろう? いまさら私の力でハブちゃんを助けられる? あの美甘さんを、シャーレの先生がキヴォトス中から集めた最強の部隊を、私一人でどうにか止められるとでも?
馬鹿げてる。馬鹿げてるって分かってる。それでも。……分かってても、止められなかった。足が、体が、心が、勝手に動いていた。
だって──
──────
『うわぁ、これがあの有名なネットワークユニット"HUB"なんですね! 間近で見るとこんなに大きいんだぁ……』
──ふふっ。どう、すっごいでしょ! ミレニアムができた頃からある由緒あるユニットだけど、私たち歴代のネットワーク部員がちょっとずつ改良していって今でも現役バリバリなんだよ! 第一回ミレニアムプライスに優勝したこともある、まさにミレニアムの、私たちの栄光そのもの! それがこのハブなんだ!──
『すごいなあ。でも……私なんかじゃきっと、せんぱいたちみたいな功績は上げられないって思います。リオさんやヒマリさん、ウタハちゃんやちーちゃんみたいに……私にはエンジニアとしての才能なんて、これっぽっちもないから』
──なに言ってるの! あなたはネットワーク部の期待の新人なんだよ? いつかはあなたが部長としてこの部とハブを守っていくことになるかもしれないんだから、もっと自信を持って! ファイト、だよ!──
『は、はい! 私、頑張ります! え、えっと……ふつつかものですが、これからよろしくお願いします、せんぱい!』
──あはは、それじゃ嫁入りだよー。でも……こちらこそ、よろしくお願いします。ふふっ!──
────
──ハブちゃんは、私がミレニアムで過ごしてきた青春、そのものだったから。 - 78ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/05/05(日) 06:57:54
────
……息も絶え絶えに、戦場が一望できる高架橋の終点で立ち尽くす。
私がそこに辿り着いた時点で、もう既に戦いの大勢は決しつつあった。
ホドは無残な姿だった。全身の装甲板は罅割れてボロボロと剥がれ落ち、ずっとミレニアムを支え続けてきた威容はもう見る影もない。最後の一本になった作業用アームも、私の目の前でトリニティのお姫様にブチブチと引き千切られていく。
周辺領域を支配していたピラーも、ちーちゃんのクラッキングによって全てが機能を停止。苦し紛れに放った砲撃さえもオッドアイの彼女の盾によって全て阻まれ、まともなダメージを与えることすらできない。
それはもはや戦闘ですらなかった。ミレニアム創設以来その発展と共にあった由緒ある通信ユニットの、ただの解体ショー。
……ずっとあの子の、ハブの整備をしてきたから分かる。もうとっくに修理できるレベルの損傷じゃなかった。
RABBIT小隊の二人の銃撃によって姿勢制御用のメインアクチュエーターが破壊され、ホドの巨体がぐらりと揺れる。
人間で言えば背骨を砕かれたようなもの。これでもうホドは逃げることはおろか、その場から動くことさえできなくなった。
……中継カメラ越しの映像じゃなくて、自分の目でその惨状を目にした時……私の頭の中にあったのはもう、絶望だけだった。
……やだよ。
こんなのいやだよ。私たちの大事なハブちゃんを壊さないで。やめてよ。やめて、やめてよ……
「やめて、よぉぉ……!」
結局、私にできることといったら、そんな風に掠れた声で泣き叫ぶことくらい。そんな声が戦場にいる美甘さんたちに届くわけがないし、ましてやハブちゃんになんて……そう思った、その瞬間。
動く力も残っていないように見えたホドが頭部をもたげる。戦っていた美甘さんたちから注意を逸らし、"ある方向"を見る。
その、カメラアイの先にいたのは……戦場から数百メートル離れた高架橋の上の、私自身。
「……ハブ、ちゃん?」
思わず目を見開く。……奇跡、なのだろうか。本当に、私の想いがハブちゃんに、届いた……?
信じられない思いでハブちゃんを見つめる。ホドの、ううん、ハブちゃんのカメラアイは、まっすぐに私を見つめていて──
──その瞳に、"栄光"の輝きが灯った。 - 79ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/05/05(日) 07:02:32
────
「あ──」
全てがスローモーションに思えた。
再びホドのカメラアイに電磁エネルギーが収束されていく。最後の力を、残るエネルギーの全てを振り絞って、もう一度必殺の収束ビームを放とうとしているのだ。
もう、どう転んだってホドに勝ち目はない。それなら、せめて誰か一人でも道連れに──そんな機械知性の執念が、憎悪が感じられて。
そして、その最期のターゲットに選ばれたのは──どうしようもなく愚かで、馬鹿なネットワークエンジニアだった。
……そこまで?
そこまで、あなたは人間のことが憎いの? 私のことが……嫌いだったの?
頭の中がぐちゃぐちゃに搔き乱されて、今までハブと過ごしてきたネットワーク研究会での思い出が、走馬燈みたいに頭を過ぎって。
破壊の輝きを増していくホドの、ハブちゃんの瞳を、目を逸らすこともできないまま見つめていて──
「──させねぇよ」
……刹那。
ホドの眼前に、『龍』が舞い降りる。
驚異的な跳躍力でホドのカメラアイの前方へと降り立った美甘さんは、マシンガンを握った右の拳を振り被り……収束ビームを発射する寸前だった発射口へと叩き込んだ。
砕けたカメラアイからバチバチと火花が迸り、眼球を抉られたホドが苦痛にのたうつけれど……ダブルオーは意に介さない。そのまま無慈悲に、容赦なく、ホドの体内に突き入れたマシンガンの引鉄を引く。
「──────────!」
私の叫びはもう声にすらならなかった。カメラアイの内側で銃弾の雨が荒れ狂い、ビームの発射機構を完膚なきまでに破壊し、蹂躙していく。発射口の内部に収束されていたエネルギーが制御を失って暴走し、誘爆し──
──轟音と共に、ホドの頭部が内側から爆ぜ飛んだ。 - 80ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/05/05(日) 07:04:24
────
「……ぁ」
全ての武装を破壊され、装甲を剥がされ……それでもまだ、ホドは辛うじて機能を停止してはいなかった。半壊した頭部からは内部メカの殆どが露出し、その中枢とも言えるAIブロックも剥き出しになっている。
そして……未だ爆炎を上げ続けるホドの頭部の上に、ダブルオーもまた立っていた。
至近距離で誘爆に巻き込まれた美甘さんだって流石に無傷じゃない。メイド服はボロボロで、ビームの発射口に突っ込んだ右腕は銃もろとも焼け焦げている。
それでも、その眼光は些かも衰えてはいなくて……残った左手に構えたマシンガンを、ホドのAIブロックへと向ける。
「……戦う相手を間違えたな」
先程までの荒々しい雄叫びとは打って変わって、美甘さんのその静かな呟きには、どこか感傷じみた響きがあった。
……あるいはそれは、曲がりなりにも同じミレニアムに属していた同胞に対する、彼女なりの精一杯の憐れみだったのかもしれない。
「や、め──」
届くはずのない制止の声を私が上げるよりも早く、ミレニアムの約束された勝利の象徴は、その引鉄へと指を掛け……銃声。
ホドの頭頂に浮かんでいた巨大なヘイローにノイズが走り、幻のように掻き消える。制御を失ったホドの体がぐらりと傾く。その頭部からダブルオーが飛び離れる。
その一瞬後、暴走した動力炉が熱暴走を起こし、機体各部のバッテリーと連鎖して誘爆して──
「ぁ……」
私の、目の前で。
ホドは、ハブちゃんは、私たちの栄光の象徴は……木っ端微塵に爆発して、炎に包まれながら砕け散っていって──
「──ぁああああああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!」
わたしのめのまえは まっくらになった。 - 811 ◆FriZmlCMoU24/05/05(日) 07:05:25
(とりあえずここまで…)
(ホド戦はこれで決着。あとはモブちゃんをどうしたものか…)
ネットワークモブちゃんのメンタルダメージ
(100で心が折れる 200で精神崩壊レベル)
93 + dice1d107=99 (99)
- 821 ◆FriZmlCMoU24/05/05(日) 07:06:02
(なんでこんな時だけ出目高いの…)(頭を抱える)
- 83二次元好きの匿名さん24/05/05(日) 07:14:30
お労しや…
- 84二次元好きの匿名さん24/05/05(日) 07:14:47
もう…可哀想というか…
バッドエンドは避けれたとしてもハッピーエンドは無理そうですね… - 851 ◆FriZmlCMoU24/05/05(日) 07:25:07
ちなみに皆さんはホド総力戦の調子はいかがでしょうか?
これ書いてる1はINSANEが限界ですね…
皆さんが総力戦ホドに挑む時、その影には必ず泣いているネットワークモブちゃんがいるのだ…(呪い) - 86二次元好きの匿名さん24/05/05(日) 07:39:54
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- 871 ◆FriZmlCMoU24/05/05(日) 07:41:11
(小休止がてらちょっとした幕間でも)
モブ「なんで聖園さんは銃器使わず素手で戦ってるんですか?」
ミカ「だって弾代がもったいないじゃんね☆」
ホシノ「うへ~、高そうなロボだったけどホントに派手にぶっ壊しちゃってよかったのかな~。後でミレニアムから損害賠償請求されたりしない~?」
モブ「たぶん聖園さんが引き千切ってたアーム一本分の建造費でアビドスの借金返せますよ」
ホシノ「うへ~。……マジで?」 - 88二次元好きの匿名さん24/05/05(日) 13:53:18
これヘイローにもダメージ行ってるやつ
- 89二次元好きの匿名さん24/05/05(日) 14:03:58
いっそモブ*テラーになって救済ルート入るしか…
- 90二次元好きの匿名さん24/05/05(日) 14:05:06
(それは救済ではなくバッドエンドでは?)ボブは訝しんだ
- 91二次元好きの匿名さん24/05/05(日) 14:31:54
本来の役割考えるとハブくんたくさんありそうだから
たとえば今回のがコア初号機で思い入れがあったんだとしても、一体でメンタルダメージ192いくようなら次でどう頑張っても精神タヒ確定や……おいたわしい……
でもトロフィーは欲しいから何本でも折るね……( - 921 ◆FriZmlCMoU24/05/05(日) 19:28:06
ここからまあメンタルが地に落ちたネットワークモブちゃんをミレニアムのみんなで慰めるパートが始まるわけですが
会話の中でまでモブだと呼びづらいので、そろそろこのモブちゃんにも名前つけてあげた方がいいだろうか… - 93二次元好きの匿名さん24/05/05(日) 19:45:26
最初の頃はギャグみたいな導入だと笑ってたのに、どうしてこんな事に…
- 94二次元好きの匿名さん24/05/05(日) 20:10:08
これ晴れるんだよね、晴れるんだよね!?
- 95二次元好きの匿名さん24/05/05(日) 20:11:39
メンタル回復の桁次第…ですかね…
- 96二次元好きの匿名さん24/05/05(日) 20:45:57
おいデカグラマトン、お前のせいだぞ。どうにかしろよ……
- 97二次元好きの匿名さん24/05/05(日) 21:42:01
ちーちゃん呼びなのに親交度低いのは今回の件で隔意が生まれちゃったからなんだろうな……
- 98ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/05/05(日) 23:54:34
────
……ご無沙汰しています、皆さん。
ミレニアムサイエンススクール・ネットワーク研究部部長の、羽生(はにゅう)アミです。
……時が経つのは早いもので。
シャーレの先生の指揮のもと、キヴォトスの最高戦力を惜しみなく投入したハブちゃん……ホドとの総力戦から、早数か月が過ぎました。
あれからも、キヴォトスでは様々なことがありました。ミレニアムの主催による晄輪大祭、アリスちゃんの誘拐に端を発するリオ会長の失踪、空が赤く染まった虚妄のサンクトゥムの事件……
ですが……正直、私にはもう、何もかもがどこか違う世界の出来事のように思えてしまうんです。
あの一件の後、ハブを失った私たちネットワーク研究部は大幅な活動縮小を余儀なくされ……今はもう、無期限の休部同然の有様です。
私以外の部員も、今はもう退部するか部室に来なくなってしまいました。……みんなもう、心が折れてしまったんです。
……ううん。心が折れちゃったのは、私も同じで。
もう、やることなんて何もなくなっちゃったのに。今もまだたった一人で、あの頃と変わらないまま部室に通って、ネットワークの補修計画やハブちゃんのアップデートプランを考えて……
……ああ、そういえば。ハブちゃんはもう、いなくなっちゃったんだっけ。
- 99二次元好きの匿名さん24/05/06(月) 00:39:28
ダメだ…完全に心が死んでる…
- 100二次元好きの匿名さん24/05/06(月) 01:33:24
先生、救ってあげて、仕事でしょ()
- 101二次元好きの匿名さん24/05/06(月) 06:11:39
部員すらいなくなったとかもう…どうすれば…
- 1021 ◆FriZmlCMoU24/05/06(月) 08:17:08
(調子に乗っていろんなスレでSS書きまくってたら並行進行がつらい…!)
(まずは某ガチギレしてる子をなんとかしないと…)
と、とりあえず今後使いそうなダイスだけ先に振っときます…
ユウカとの親しさ(50以上で友人、100で親友)
40 + dice1d60=35 (35) (ユウカ補正)
- 103二次元好きの匿名さん24/05/06(月) 08:25:38
ちゃんと仲が良いね
- 104二次元好きの匿名さん24/05/06(月) 11:42:52
セミナーとの友好度が高いのは情報インフラを担ってる分交流も深かったのかな
- 1051 ◆FriZmlCMoU24/05/06(月) 13:30:34
ついでにゲーム開発部も…
ゲーム開発部との親しさ(50以上で友人、100で親友)
モモイ dice1d100=96 (96)
ミドリ dice1d100=85 (85)
ユズ dice1d100=55 (55)
アリス 50 + dice1d50=19 (19) (アリス補正)
- 1061 ◆FriZmlCMoU24/05/06(月) 13:37:30
モモミドの出目やたら高いな!
逆にアリスの出目が思ったより低いのは…まあモブちゃんも色々思うところがあるってことで
なんだかんだ全員友達以上にはなったし、これならメンタルケア要因として動員できるかな?
- 107二次元好きの匿名さん24/05/06(月) 17:52:47
ユズとアリスの友好度が高くないのは付き合いの浅さとかもあるのかな。ユズはあまり部室から出なかっただろうし、アリスはミレニアムに来てからそこまで経ってないだろうし。
- 1081 ◆FriZmlCMoU24/05/06(月) 21:27:41
(ちょっと別スレのSSが山場なので更新遅くなるかもです…申し訳ない)
自分で立てたスレより他人様のスレでSS書かせて頂く時の方がなんか筆が速く進んだりするんですよね…
だけど自分で立てたスレは誰に気兼ねすることなくやりたい放題できるのが強み - 109ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/05/06(月) 23:54:48
────
……私、これからどうしたらいいのかな。
がらんどうになった部室の片隅に蹲りながら、ぼんやりとそんなことを考える。
「あはは。どうしようね……ハブちゃん?」
固く握っていた手のひらを開いて、「それ」に──砕けた小さなナットへと喋りかける。……当然、答えなんて返ってくるはずもないけど。
……ハブちゃんの最後に残った一欠片。あの日、粉々になったホドの残骸からたったひとつだけ回収できたパーツ。残りの機体は全部、デカグラマトンの調査って名目で特異現象捜査部に押収されて……私たちは、ハブちゃんの亡骸を弔ってあげることすらできなかった。
……私にもっと力があったら、何かが変わってたのかな。
ごめんなさい、せんぱい。私……ハブちゃんのことを守れませんでした。
先輩たちがミレニアムの始まりからずっと守って受け継いできた、由緒あるネットワーク研究部は……もうおしまいです。
……ああ。もとを辿れば、結局……
才能も人望もない私が、部長なんて引き受けたのが間違いだったんだ。
こんな私にもう、部長を名乗る資格はおろか、ミレニアムの生徒でいる資格もない。
ううん。それどころか……こうしてのうのうと生きている資格さえ──
「──ちょっといいかしら。えっと誰か……アミ部長、いるー?」
──どこまでも落ち込んでいく私の思考は、開け放たれたドアの向こうから飛び込んできた、溌剌とした声に掻き消されて。
「……ユウカちゃん、会計?」
「あら、なんだいるじゃないの。……おはよ、アミ先輩」
- 110ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/05/07(火) 02:13:03
────
彼女──セミナーの制服である黒のブレザーをきっちり着こなし、菫色の長髪をツーサイドアップに纏めた悧発そうな女の子は、部室の隅に蹲っていた私へと気安い口調で挨拶してくる。
彼女の名前は早瀬ユウカちゃん。
私より一年後輩の二年生でありながら、このミレニアムサイエンススクールを統括する生徒会・セミナーの会計担当としてあらゆる部活の財布の紐を──即ち生殺与奪の権を──一手に握る、ミレニアムの生徒ならその名を知らない者はいないほどの有名人。
人呼んで、セミナーの"冷酷な算術使い"。
……なんて口さがなく噂されてるけど、実際のユウカちゃん会計は案外人情家で。
お堅いところはあるけど決して杓子定規でも理不尽でもなくて、部費の査定の時だっていつも相手の事情を汲んで、できるかぎりの温情を掛けてくれる。
……まぁ、そこまでして貰ってもまともな成果を挙げられなくて、廃部寸前にまで追い込まれる部活も無いわけじゃないのがままならないところだけど。
だから、そんなユウカちゃんのことを本気で嫌ってる子なんてミレニアムにそうはいなくて。
もちろん私だって彼女のことは大好きだし、ミレニアムのネットワークインフラの管理を一手に担う部活としてセミナーからの公共事業を受注する機会も多かったから、ユウカちゃんがまだ会計になる前……一年生だった頃からよく知ってもいる。
……それに。
ユウカちゃん会計はリオ会長……リオさんが特に目を掛けていた秘蔵っ子でもあったから。 - 111ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/05/07(火) 03:33:47
────
──
─
「──会長就任おめでとうリオさん! ……あ! これからはちゃんと『リオ会長』って呼ばなきゃですね!」
「……別に、今まで通りの呼び方で構わないのだけど」
ミレニアムの生徒会長・調月リオさんと私は、入学した頃からの友達同士だった。
……なんて言い方はおこがましいかな。ただ、たまたま学年が同じで、お互いのセミナーとネットワーク研究部って立場上、他の同級生より話す機会が多かったってだけで。
それに、一年生の頃から何をやらせても完璧で、将来は生徒会長間違い無しって言われてたリオさんと、なんの取り柄もない凡人の私とじゃ、それこそ月と鼈だったから。
ただ……リオさんが私のことをどう思ってたかはともかくとして……私はずっと彼女のことを友達だって思ってたし、そう信じていたかった。
「そういうアミも、正式にネットワーク研究部の部長になったそうね。
……ミレニアム創立以来、その発展に貢献し続けてきたネットワーク研究部の功績を、私達セミナーは高く評価しているわ。
貴女達はいつも私達の期待以上の成果を上げてくれている。今後も期待させてちょうだい」
「あはは……凄いのは私じゃなくて、先輩方とハブちゃんなんですけどね。でも、リオさん……じゃなかった。リオ会長にそんな風に褒められるのは、何だかくすぐったいです」
……先輩たちやハブちゃんの功績を傘に着て、虎の威を借る狐みたいで、ちょっと胸の奥がちくっとするけど。
それでも……一年生の頃から天才って呼ばれてたリオさんやヒマリさん、ウタハちゃんやちーちゃんたちと比べて……何の取り柄もない私自身に、ずっと劣等感を覚えていたのも本当で。
だから、せんぱいからネットワーク研究部の部長の座を受け継いだ時、ようやくリオさんやみんなと対等になれた気がして、嬉しかった。
……なんて。私自身が何が変わったわけじゃないんだから、それこそ思い上がりでしかないんだろうけど。 - 112ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/05/07(火) 03:51:45
────
それでも──
たとえ思い上がりだって、私はこのネットワーク研究部の部長として、やれるだけのことをやってみようって思う。
リオさんみたいな才能も、ヒマリさんみたいな智慧も、ウタハちゃんみたいな発想力もない、私みたいな凡人でも。
たとえ鼈の、亀の歩みだって、たった一歩ずつでも前へ。
経験とノウハウを積み重ねて。ほんのちょっとてもいい。私たちにできることを。
──私たちのハブちゃんに。先輩たちから受け継いできた掛け替えのない財産に、私たちがここにいたって証を、新しいページを書き加えて、アップデートして……そうやって、また次の世代へと繋げていく。
そうすれば……私みたいな凡人だって、ほんの少しでもミレニアムのみんなのために貢献できるって、そう信じてたから。
────
「……あ! こんなところにいたんですね、リオ先輩……じゃなかった、リオ会長!」
そんな声と共に現れたのは、リオさんのセミナーの後輩のユウカちゃんだ。
二年生ながらにセミナーの会計という大役を任された有望株で、計算が得意で生真面目な彼女にはぴったりの役割だと思う。
「……だから、呼び方は今まで通りで構わないのだけど」
「何言ってるんですか! 会長はもう会長なんですから、きっちり会長としての自覚を持って頂かないと……ってあれ、アミ先輩もいらしてたんですね。ご無沙汰してます」
ユウカちゃんは私に気づくとぺこりと一礼してくれる。
私にとってもユウカちゃんはセミナーに入った頃から顔見知りの可愛い後輩だけど……
そのユウカちゃんが会計になるってことは、これから毎月ユウカちゃん会計に毎月の部費とか活動内容とかについてせっつかれることになるわけで。
……うぅ、容赦してくれなさそうでちょっと怖い。 - 113二次元好きの匿名さん24/05/07(火) 04:03:31
こんなふうに慕ってくれてる同期が居たら、そりゃ犬猿の仲のヒマリを説得して特異現象捜査部に加入させたり、デカグラマトンと同列に見てたアリスの事を排除しようとしても…、かぁ。お労しい
- 114ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/05/07(火) 06:49:43
────
「ところでユウカ、私に何か用事かしら?
今のところセミナーの業務の中に、私の承認が必要なタスクは存在していなかったと認識しているのだけど」
「……本気で言ってるんですか!? 今日はセミナーのみんなでリオ会長の就任お祝いパーティーをやるから、予定を空けておいて下さいって言ってましたよね!」
「……? ああ、アレのことね。あれなら私は参加を辞退すると前もってメールで伝えておたはずよ」
「ダメに決まってるじゃないですか!? だって今日の主役は会長なんですよ!
ノアや皆だってリオ会長とパーティーするのを楽しみにして、この日のために張り切って準備してたのに……
もしも会長がどうしても参加されないおつもりなら、私だって会計の役職を辞退させて頂きますから!」
「……仕方がないわね。私の価値観からすれば非合理的だけど……人の心の機微には私より貴女の方が敏いでしょうから。あなたがそうする必要があると判断したなら、そうなのでしょうね。
……スケジュールを調整するから、十五分ほど時間をくれるかしら」
……なんてことのない会話の中からでも、二人の間にある確かな信頼と、それから親愛は十分に感じられて。
口ではなんだかんだ言いながらも、ユウカちゃんはクールで優秀なリオさんのことを尊敬してるし……
それにリオさんだって。表には出さないけれど、ユウカちゃんのことを可愛がってるし、信頼もしてるって思う。
──直接リオさんの口から聞いたわけじゃないけど……たぶんリオさんは、ユウカちゃんを自分の次の会長候補……後継者として育てるつもりなんだろうから。
そんな風に信頼し合ってる二人の関係を見てると……なんだか少しだけ、羨ましく思えてしまって。
私はきっと、あんな風にリオさんに信じて頼って貰えることはないだろうから。 - 1151 ◆FriZmlCMoU24/05/07(火) 06:53:45
(モブちゃんの過去盛るのたのしー!)
(特別な才能は無いけどひたむきにコツコツ頑張ってる子って応援したくなりますよね!)
続きはまたのちほど… - 1161 ◆FriZmlCMoU24/05/07(火) 07:13:55
そういえば総力戦ホドは今日まででしたね
延べ一週間で総勢21体のハブちゃんが犠牲になったのだ…
ハブちゃん2号機「ハブちゃん1号機がハッキングされたようだな…」
ハブちゃん3号機「ククク…奴はハブの中でも最弱…」
…
ハブちゃん21号機「デカグラマトンごときに感化されるとはミレニアムの面汚しよ…」
自販機「くらええええええ!!!!」
ハブちゃんs「「「グアアアアアアアア!!!」」」
モブちゃん「…ぴゃあああああ!!? はっ…ゆ、夢かぁ。
よ、よかった…ハッキングされて暴走するハブちゃんはいなかったんですよね…
…いなかったんですよ…ね…?」
…流石に死体蹴りは可愛そすぎるので、このスレではハブは一体のみってことにしておきます… - 117二次元好きの匿名さん24/05/07(火) 16:44:18
保守
- 118二次元好きの匿名さん24/05/07(火) 23:09:14
本当にこれ立ち直れるのか…?
他の生徒達みたいな特別な才能を持たない分努力してきたのに、
その証であり、自分の誇りでもあるハブちゃんを
失ったんだぞ、さすがに無理だろ… - 119二次元好きの匿名さん24/05/07(火) 23:12:56
立ち直るきっかけある?みたいな展開で悲しいな
- 120ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/05/08(水) 01:22:50
────
「頑張ってますね、ユウカちゃん」
「そうね。少し生真面目過ぎて融通が聞かないのが玉に瑕だけど」
ぷりぷりと可愛らしく怒りながらセミナーへ帰っていくユウカちゃんの後ろ姿を二人で見送りながら。
私は、端末を片手にスケジュールを調整するリオさんと少しだけ話していた。
「でも……会計なんて憎まれ役も大変だろうし、頑張りすぎちゃわないかちょっとだけ心配です」
「あの子に憎まれ役は無理よ。優秀ではあるけど優しすぎるもの。それはあの子の欠点であり……同時に美点でもあるけれど。あの子なら悪いようにはならないはずよ」
「ふふっ、信頼してるんですね、ユウカちゃんのこと」
「正当な評価よ。このミレニアムでも指折りの才能を持ちながら、あれだけ『普通』の感覚で周囲と接することができるのは得難い天稟よ。……少なくとも、私には持ち得なかった才覚だから。
きっとあの子なら将来、私とは全く違ったタイプの会長になれるでしょうね」
あのリオさんがここまで人を褒めるなんて珍しい。やっぱりユウカちゃんには期待してるんだろうなあ。
……微笑ましく思う反面、仄かな嫉妬を覚えてしまう私もいて。
「だからこそ……後顧の憂いは、私の代で全て断ち切らないと」
……そう独り言ちたリオさんが何を思っていたのか、私みたいな凡人には、推し量ることはできなかったけれど。
ミレニアムの全てを統括する冷酷非情のビッグシスター。
決して私情を挟まず、ミレニアムの利益のことしか頭にない合理性の権化。血も涙もない冷血人間……そんな風に思われがちで。
ミレニアムの皆から畏怖されて、特にヒマリさんやヴェリタスとは昔から犬猿の仲だけど。
少なくとも私は、リオさんがそんな人じゃないって知ってる。
リオさんは昔から人一倍責任感が強くて、本当は優しくて……何でも自分一人でできちゃうから、周りを頼ってくれなくて、何でも自分一人で抱え込んじゃう……不器用な子で。
……そんな彼女の力になってあげられない自分が、とても歯痒かった。 - 121ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/05/08(水) 01:23:56
────
「ところで、これからユウカや皆が私の就任祝いをやってくれるそうだけど……貴女も一緒に来るかしら?」
「えっ……!? わ、私は遠慮しておきますっ! その、栄えあるセミナーのお祝い会ですし、私みたいなモブキャラが参加するのも場違いっていうか……」
それに私、人がいっぱい集まってる場所って正直苦手だし。陰キャの性なんです。うぅ……
「……そう。なら無理強いはしないわ。近いうちにミレニアム郊外東エリアの拡張計画について会合の場を設けるから、そこでまた会いましょう」
「あ、はい。またね、リオさ……リオ会長!」
そんな、友達未満の他愛もない会話の後。
セミナーのパーティーへと向かうリオさんの大きな背中を見つめながら、私は思っていた。
いつか私も、リオさんの助けになれる自分になれたらな……って。
その時はまだ、そんな夢を無邪気に見てられたんだ。 - 1221 ◆FriZmlCMoU24/05/08(水) 01:43:33
(一旦ここまで…)
ま、まあバッドエンドにはならないことだけは保証します…モブちゃん✕✕エンドとかあんまり酷いのは無いので…!
曇らせ展開書くのは正直楽しいけれど、そこから丁寧に晴らしてくのはもっと楽しいですからね!
おまけ
モブちゃん「わ、私は遠慮しておきますっ!」
リオ「……そう。(……また友達に断られた。私はいつもそう。人望というものがまるでない。小学生の時も勇気を出してクラスメイトを誕生日会に誘ったのに誰一人来てくれなかったし……今回のパーティーだってわざわざ社交辞令で皆に気を遣わせることはないと思ったから辞退したのに。やっぱりユウカは甘すぎるわね。あの子達のために私ができることなんて憎まれ役くらい。いずれ復活するであろう無名の司祭の侵攻に備えるため、エリドゥの建造を急がなければ……)なら無理強いはしないわ」
- 1231 ◆FriZmlCMoU24/05/08(水) 02:32:03
- 1241 ◆FriZmlCMoU24/05/08(水) 02:32:38
!!?!??
- 125二次元好きの匿名さん24/05/08(水) 02:47:34
ダイスの女神は波乱をお望みのようだ……
- 126ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/05/08(水) 07:57:18
────
──
─
「殲、滅……? 総力戦……? ま、待って! 待ってください! そんなの……」
「これは決定事項よ。現時刻を以て暴走したハブをデカグラマトンの預言者・ホドと呼称。
準備が整い次第、討伐部隊を編成して──破壊するわ」
目の前で淡々と紡がれていく言葉に、私は理解が追いつかなかった。
リオさん……リオ会長はいつも通りの無表情で、何を考えているか窺い知ることは私にはできない。いつだってそうだったけど……この時ほどそのことを無力に思ったことはなかった。
「ま……待って、ください! ハブちゃんは……せ、せんぱいたちから受け継いできた、わたしたちの、ネットワーク研究部の、象徴、そのもので……大切な、宝物で……
わ、私が必ず何とかしますから! せめて、もう少しだけ時間を……」
「──いつまでそんな寝言を吐き続けるつもりなの!」
「っ!」
「アレはもはや、あなたの知る通信ユニットAI・ハブではない。このミレニアムに……いいえ、キヴォトス全土に牙を剥きかねない危険極まりないバケモノよ。
……もう、あなた一人の手に負えるような代物ではないわ」
納得なんてできない。
……だけど、その判断はきっと正しいのだと、頭の片隅でもうひとりの自分が囁いていた。
だって、リオ会長は私なんかとは比べ物にならないくらい頭が良くて……時として非情なまでの決断を下す彼女のことを嫌う人間も多かったけど。
それでも……結果的に見て、彼女の判断が間違っていたことは、今まで一度も無かったから。
「既にユウカを通じてシャーレの先生や連邦生徒会にもコンタクトを取っているわ。数日のうちにキヴォトス全土から戦力を集めての総力戦となる。
ミレニアムからはコールサイン00を投入。およびヴェリタスや特異現象捜査部もバックアップに回るわ。
それに……アミ。貴女にも、アドバイザーとして作戦立案に加わって貰いたい」 - 127ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/05/08(水) 08:11:44
────
「わたし、に……ハブちゃんを……破壊する手伝いをしろって、言うんですか……?」
信じられない。恨みすら込めて目の前のリオ会長を睨みつける。それでも、リオ会長の鉄面皮は少しも揺らぐことはなくって。
「……酷な事を言っているのは分かっているわ。けれど、時間が無いのよ。このまま放置しておけばホドは数日でミレニアム居住区へと侵攻し、取り返しのつかない被害を齎すことになるでしょう。……下手をすれば、命を落とす者すら出るかもしれない」
「……!!」
「だからこそ、ホドは可及的速やかに破壊しなければならない。そのためには誰よりもホドを良く知る貴女の力が必要なの。
……貴女だって、これまで心血を注いで作り上げてきたミレニアムの栄光が……人殺しの機械へと堕することは、本意ではないはずよ」
「……わたし、は……わたしは……」
………………。
…………。
……。
……結果として。
私は、リオ会長の頼みを断り切れなかった。
後日開催された作戦会議にアドバイザーとして加わり、シャーレの先生や作戦メンバーに、私が知る限りのホドの……ハブちゃんの情報の一切合切を提供した。
搭載された防衛機構のスペックと対処法。構造的な弱点や老朽化して脆くなっている部分の整備情報。私自身が施した電子防御のアップデートと、その脆弱性。
その情報をもとに先生が作戦を組み立てて……ホドの破壊は決行された。
……私自身が、ハブちゃんを殺したようなものなんだ。
ホドの破壊という決定を下したリオ会長に思うところがなかったわけじゃない。……もしかしたら、今までみたいに気安く話せる関係にはもう二度と戻れないかもしれない。
それでも。きっと……リオ会長の判断は間違ってはいなかったんだろう。
……ハブちゃんはもう救えない。アレはもう世界を滅ぼしかねないバケモノで、放っておけば多くの犠牲が出るかもしれなくて……だから、そうなる前に破壊するしかなかった。仕方のないことだったんだって。
そう、何度も何度も自分に言い聞かせてきたし……そう信じていたかった。
──アリスちゃんの一件が起こるまでは。 - 1281 ◆FriZmlCMoU24/05/08(水) 08:13:43
(朝ちょっとだけ更新…)
(モブちゃんのアリスとの親密度があんまり高くない理由はね…) - 129二次元好きの匿名さん24/05/08(水) 10:05:42
あぁ…そういうこと
そりゃあアリスのこと複雑だね - 130二次元好きの匿名さん24/05/08(水) 10:13:57
アリスの件は複雑よね…
違うところといえばアリスの件はまだ完全に乗っ取られてなくて解決できる段階だったから救えたのとホドの場合は完全に感化されきってたから説得も解決法もなくて破壊するしかない…つまり取り返しがつかない状況ってだけで
その差がわかってるとはいえ受け入れられないよね…
…これ本当に解決できます?モブちゃんミレニアムにいる限り苦しむ状況になってませんか…? - 131二次元好きの匿名さん24/05/08(水) 17:11:04
モブちゃんがどんどん曇っていく…
- 1321 ◆FriZmlCMoU24/05/08(水) 22:13:10
(ちょっと続き書くのがスローペースになりそうなので、先に今後の描写で使いそうな設定だけでも…)
(なおこのモブちゃんの戦闘力は8である)
モブちゃんの武器種: dice1d11=2 (2)
1. AR/アサルトライフル
2. SR/スナイパーライフル
3. HG/ハンドガン
4. SMG/サブマシンガン
5. MG/マシンガン
6. SG/ショットガン
7. RL/ロケットランチャー
8. GL/グレネードランチャー
9. RG/レールガン
10. MT/迫撃砲
11. FT/火炎放射器
- 133ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/05/09(木) 01:16:25
────
──
─
「なにか、ご用ですか……ユウカちゃん、会計……?
……ごめんなさい。今、ネットワーク研究部は……休部中、で……まともに活動できる状態じゃ、ない、です……」
ろくに片付けもされていない部屋の隅に蹲りながら、私は部室に入ってきたユウカちゃん会計に蚊の囁くような声で返事をする。
会計になってから貫禄の増したユウカちゃんは、そんな情けない私の姿を見て、溜息を吐いて。
「……相変わらず、ね。……あまり歓迎されてないみたいだから手短に要件だけ伝えるわ。今日はアミ部長に二つ、お知らせを持ってきたの。
もっとも……そのうちの一つは、決して良い知らせとは言えないけれど」
……お知らせ。その言葉を聞いた時、嫌な予感に心臓がドクンと跳ねた。俯いたまま顔を上げられない私の耳に、ユウカちゃん会計の淡々とした声が飛び込んでくる。
「まず一つ目。あなたはずっと部活総会を欠席していたから知らないでしょうけど……現在セミナーでネットワーク研究部の現状が問題視されているわ。
数ヶ月前のホドの一件を境に退部者が相次ぎ、ここ最近は成果どころか目立った活動実態さえ存在していない。
今までは事情が事情だし、過去の実績も考慮した上で大目に見てきたけれど……流石にそろそろ限界よ。
今月末までに何らかの活動実績が見られない場合、残念だけど──もう廃部を宣告するしかない。これは、セミナーからの最後通牒と受け取ってくれて構わないわ」
……ああ。
ついに……この日が、来ちゃったんだ。
いずれは覚悟してたことだけど……実際に面と向かって言われると……あはは、やっぱりキツいなぁ。
ハブちゃんを失って、部員のみんなもいなくなって……最後に残った私たちの部活そのものさえ、もう、なくなっちゃうんだ。
廃部勧告を突きつけられて……だけど、ユウカちゃんのことを恨む気持ちはどこにもなかった。
そもそも本来なら、数ヶ月も何の活動実績も上げられていない部活なんて、もっと早くにこうなるのが当然で……
それをここまで続けてこられたのは、間違いなくユウカちゃんがセミナーの中で、ずっと私たちのことを庇い続けてくれていたから。でも……とうとうそれも限界が来た。
だから、ユウカちゃんは何一つ悪くない。
悪いのは……全部、私。 - 134ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/05/09(木) 01:18:07
────
「っ……ぐすっ……ぅ、ゔ……っ……!」
……涙が滲んでくる。悔しくて、惨めで……情けなくて。
私が、役立たずの部長だったから。何もできない無能だったから。だから部員のみんなにも、ハブちゃんにすら見捨てられて……
ずっとずっと受け継がれてきたネットワーク研究部を、せんぱいたちの頑張りを……なにもかも、台無しにしちゃった。
わたしの、せいで……
「──ああもう、話を最後まで聞いて!」
間近で響いた声に驚いて顔を上げると、すぐ目の前にユウカちゃん会計の顔があって。二つの菫色の瞳が私のことを心配そうに覗き込んでいた。
「廃部はあくまで月末までに何の成果も出せなかった場合! ……要は、今月中に実績と呼べるものがあれば当座は凌げるわ」
「……でも、今の私たちに、そんな実績を上げられるような方法なんて……」
「だから話を最後まで聞きなさいってば!
二つ目のお知らせは……依頼よ。正確には、既に依頼していたプロジェクトを受けるかどうかの返答の催促。
……リオ会長が失踪前、あなたたちに打診したまま保留になっていた……ね」
「……! それって、もしかして……」
ユウカちゃんは持っていたファイルの中から一枚の書類を取り出して私に見せる。
それは今まで、私たちネットワーク研究部が何度も受領してきたのと同じ、セミナーからの公的な依頼書で……
「──そう。失われたハブに取って代わる、新たなネットワークユニットAIの開発。
それを改めて、セミナーからあなたたちネットワーク研究部へと正式に依頼するわ」 - 1351 ◆FriZmlCMoU24/05/09(木) 01:22:55
- 136二次元好きの匿名さん24/05/09(木) 01:24:10
- 137二次元好きの匿名さん24/05/09(木) 01:40:13
- 138二次元好きの匿名さん24/05/09(木) 01:45:19
- 1391 ◆FriZmlCMoU24/05/09(木) 07:39:04
モブちゃんの選択やいかに…?
…調子に乗って曇らせすぎて鬱小説に片足突っ込んできたので、そろそろちょっとずつメンタルケアしてあげたい…
たのんだぞユウカ!(他力本願) - 140二次元好きの匿名さん24/05/09(木) 09:57:56
- 1411 ◆FriZmlCMoU24/05/09(木) 12:23:04
ネットワークモブちゃんの交友関係: 40 + dice1d60=18 (18) (ネットワーク補正)
- 142二次元好きの匿名さん24/05/09(木) 18:01:28
運命力がなさすぎる…
- 143二次元好きの匿名さん24/05/09(木) 18:09:28
モブちゃんもうるせー!知らねー!ギリギリまで抗ってやる!の精神だったらホド破壊の運命から逃れなくとも限界まで尽くしての結果だから割り切れたし受け入れられた…とかになったんだろうか…
酷な話だけども… - 144二次元好きの匿名さん24/05/09(木) 21:24:05
先輩の威光に縋ったから.....
自前の技術力に頼れば今すぐにでもラスボス候補になれるよ - 145ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/05/09(木) 21:46:50
────
ハブの後継機の開発……ほとんど記憶の片隅に追いやられていた計画を改めて聞かされても、私の頭はまだそれを現実として受け止め切れないでいた。
そんな私の心境を知ってか知らずか、ユウカ会計は淡々と説明を続ける。
「……ハブが失われたことで痛手を受けたのは、何もネットワーク研究部だけじゃない。これはミレニアム全体を揺るがしかねない問題なの。
リオ会長が行方不明になったことによるセミナーの混乱に加えて、虚妄のサンクトゥムの影響で断絶した通信回線の復旧も滞っている。
今はまだ何とかなっているけど……このままの状態が続けば予定していたネットワークの拡張計画どころか、ミレニアムのインフラそのものが麻痺しかねないわ。
高度に情報化され、あらゆるものがIoT化され電子的に接続されているミレニアムにおいて、それらを繋ぐネットワーク網がダウンすることは文字通り死活問題。
だからこそ、今までミレニアムのネットワーク管理を一手に担っていたネットワーク研究部には、簡単に廃部になってもらったら困るのよ……!」
ユウカ会計にしては珍しい、焦りを帯びた声色。……私が部室に引きこもっている間に、ミレニアムの状況は思いのほか逼迫していたみたい。
──私たちネットワーク研究部は。エンジニア部やヴェリタスみたいに最新技術を生み出したり派手な活動実績を挙げてきたわけじゃない。
それでもミレニアムの血管とも言うべきネットワーク回線網の保守管理を一手に担い、その屋台骨をずっと支えてきた、言うなれば縁の下の力持ち。ミレニアムに無くてはならない部活。
それが私たちの自負であり、誇りだった。ずっとそう思ってきた。
でも……今更になって気付いた。
私たちが今までずっとミレニアムに貢献できていたのは、ハブちゃんがいてくれたからで。 - 146ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/05/09(木) 21:49:26
────
「……何も、あなたたちだけに全部を押しつけるつもりはない。
セミナーはもちろん、エンジニア部、新素材開発部、AI研究部……必要ならヴェリタスにだって協力を要請する。ミレニアムに存在するあらゆる部活があなたたちのサポートに回るわ。
経費だってセミナー名義で必要な額を工面するから予算の心配もしなくていい。セミナーの依頼を受けて大きなプロジェクトに携わっているという実績があれば、当面の廃部だって回避できる。
……破格の条件だと思うけど、どう? 断る理由はないんじゃないかしら」
……ああ。やっぱりユウカちゃんはお人好しだ。
なんだかんだ建前を並べてるけど、本当は私たちネットワーク研究部が何とか廃部にならないような方法を、必死に考えていてくれたんだろう。
この子のことを"冷酷な算術使い"だなんて、いったい誰が呼びだしたのやら。あまりにも実態と乖離した仇名に、少しだけ笑いそうになってしまう。
だけど。
私の答えは、私の心は……あの日、初めてリオ会長の口から計画を告げられた時と変わらなかった。
「……ユウカちゃん会計が、私たちのことを考えてくれていることは分かります。
申し出は嬉しいですけど……無理なものは、無理なんです。
私たちネットワーク研究部は……もう、ミレニアムの力には、なれません」 - 1471 ◆FriZmlCMoU24/05/09(木) 22:02:35
(ちょっと今日はあんまり書けないのでこの辺で…)
(週末には第一部・完!くらいを目指したい…)
~おまけ~
モブ「どうも皆さん、ネットワークモブです…
本当は羽生(はにゅう)アミって名前があるんですけど、誰も呼んでくれません。モブです…
…名前の由来は羽生(ハブ)+網(Network)です。会話劇の中で呼び名が無いと不便だなって付けられた記号以上の意味はないのでやっつけネーミングです。モブです…」
モブ「どうも皆さん、ネットワークモブです…
地味に174cmあります。女の子にしてはそこそこ高めです。モブです…
…小学校の時のあだ名は『電信柱』でした。モブです…
あと数少ない友人からはたまに『スタイル良くて羨ましいね』ってからかわれます。
でも私なんかよりリオ会長の方が断然スタイルいいし美人です。天は二物を与えるんですね。モブです…」
モブ「どうも皆さん、ネットワークモブです…
ネットワーク研究部に入部した切っ掛けは新入生だった頃、どの部活に入るか決めあぐねていた時…
たまたま脚立を忘れたネットワーク研究部の先輩に出くわして、彼女に頼まれて代わりに高所での作業を手伝ったことでした。
その時の勧誘の文句は『あなた背高いね! ネットワークエンジニアの才能あるよ。ウチの部入らない?』でした。
…今にして思えば意味不明ですね。モブです…」
モブ「…ちなみに。その時に私のことを勧誘したせんぱいが、後に私の先代となるネットワーク研究部の部長でした。
なんてことない出会いだったけれど…私はきっと、あの日のことを一生忘れることはないだろうって思います。
でも皆さんは覚えて頂かなくても結構です。どうせ私なんて、ただのモブキャラでしかないんですから…
モブです…モブです…モブです…」 - 148二次元好きの匿名さん24/05/09(木) 22:07:16
アミちゃんすまない…名前で呼ばなくて…
ずっとモブちゃんって呼んでたから癖で…
しかし折れてる通り越して粉々に砕け散ってるけども果たしてここからどうなってしまうのか… - 149二次元好きの匿名さん24/05/09(木) 23:46:29
理由としてはとても素晴らしいがまあこれじゃあセミナーが音頭取ればいいじゃんは消えないだろうな
いてもいなくてもいい存在扱いしていることに変わりない
やっぱりキヴォトスが悪いよ~ - 1501 ◆FriZmlCMoU24/05/10(金) 07:32:30
(続きは今夜までお待ちを…)
ネットワークモブちゃんと先生の馴れ初めもどっかに入れられるかな… - 151二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 11:57:15
冷静に考えてみれば親しさ90越えにモモイと先生いるなら勝ちでは?
- 1521 ◆FriZmlCMoU24/05/10(金) 12:21:33
(せっかくなのでヴェリタス組との関係も振ってみる)
ヴェリタスとの親愛度(50以上で友人、100で親友)
ヒマリ: 18
チヒロ: 20
コタマ: 87
ハレ: dice1d100=55 (55)
マキ: dice1d100=2 (2)
- 153二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 12:33:47
(マキはこのモブちゃんに何したの…?)
コタマとの親愛度だけ妙に高い理由: dice1d4=1 (1)
1. 子供の頃からの幼馴染
2. コミュ障…もとい内向的な性格同士で気が合う
3. 同期が飛び抜けた天才揃いの中で凡人(…?)同士のシンパシー
4. 同じ先生Love勢として意気投合。先生の盗聴音声をシェアする仲
- 154二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 12:40:31
(ハブに落書きしたとかはありそう)
- 155ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/05/10(金) 20:30:04
────
「ま、待ってよ! 断る理由なんてないでしょう? 今までのセミナーからあなたたちへの処遇に不満があるのは分かるけど、でも……」
「そういう問題じゃ、ないんです。ユウカちゃん会計は……ハブちゃんがどれだけすごいユニットだったのかを全然分かってません」
ユウカちゃんの気持ちは嬉しい。でも、だからって気持ちだけで何でもできるようになるわけじゃない。
ハブちゃんの凄さも、他ならない私自身の凡庸さも……どっちも私が一番良く知っていることだから。
「……私たちが代々管理してきた通信ユニットAI・ハブは、このミレニアムの礎を築いたセミナーの始祖……ミレニアムの歴史に名を刻まれるに値する『本物の天才たち』が開発したユニットです。
千年難題を解き明かすべく創設されたミレニアムサイエンススクールを拡大するために、『千年に渡ってミレニアムと共にあり、その発展の礎となる』ことを設計思想として開発され……事実、数十年の長きに渡ってミレニアムの発展に貢献し続けてきました。
その作業スピードは他のいかなるロボットの追随をも許さず、内蔵されたAIによる高度な自己学習機能まで備えている。
時代を経るごとに歴代のネットワーク研究部によって改良を加えられて絶えずバージョンアップし、加速度的に進歩し続けていくミレニアムの技術水準にも適応し続けてきた。
それはひとえに、将来的な拡張も視野に入れたハブの基礎設計が……言い換えるならハブを設計した先輩方の、千年先まで見通すほどの先見の明が、極めて優れていたからに他なりません」
だからこそ、ハブちゃんは私たちの誇りだった。
私みたいな凡人だって……ミレニアムの始まりから代々受け継がれてきたハブを整備して、アップデートして、また次の世代に託していくことで……私だって立派にミレニアムに貢献できてるんだって、自分を肯定できたから。
ハブちゃんは、時代を超えて継承されていく私たちの栄光の象徴で。
あんなことさえ起こらなければ……これからも、そうなっていくはずだったんだ。
「そんなハブちゃんの後継機を、ネットワーク部の部長の座をただ引き継いだだけの私なんかが……
いいえ。もし仮に、ヒマリ部長やウタハちゃん、今のミレニアムの生徒全員が束になったとしても。
ハブちゃんを超えるようなユニットなんて、そんなに簡単に作れっこないんです……」 - 156二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 20:55:19
簡単に作れっこないってことは頑張れば作れる可能性はあるってことだがまずは心の修復をしなければもはや動くことすら出来そうにないぞ
- 157ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/05/10(金) 21:08:40
────
「だからって……! このまま何もしないでいたらあなたたちは本当に廃部なのよ!?
ハブが失われて、その上ネットワーク研究部までなくなっちゃったらミレニアムは大変なことになる。……今のミレニアムには、あなたたちの力が絶対に必要なのよ!」
「……私は、そうは思いません。このまま廃部になるなら、それはきっと時代の流れで……ミレニアムが私たちのことを必要としなくなったってことだと思いますから」
「なっ……!?」
驚いたような顔をしてみせるユウカちゃんだけど、ユウカちゃんだって本当は分かってるはずだ。
「そもそも……今のミレニアムに、私たちネットワーク研究部の力って本当に必要なんでしょうか。
だって、ネットワークの補修作業なら別にハブちゃんがいなくたって……それこそリオ会長が設計したAMASで事足りちゃうんじゃないですか?」
……私はハブを設計したセミナーの創始者たちを「本物の天才」と評したけれど……才能ならリオさんだって負けてない。
彼女もまた、このミレニアムの歴史に名前を刻まれるべき天才の一人だって思う。
その優秀さの一端を示すものが……セミナーで運用されている汎用ドローン群・"AMAS"。
あのリオさんが手ずから設計開発しただけあって、その設計思想は合理的そのもの。
オプションの換装により戦闘はもとより情報収集や建築作業まで対応できる上に、製造費用も安価で大量生産も用意。更にはAIによるある程度の自律行動すら可能としている。
技術力だけならウタハちゃんたちエンジニア部だって負けてないと思うけど、彼女たちの発明とは違ってロマンや非合理性を徹底的に廃した一切無駄のないコンセプトは、まさに合理主義を極めたリオさんそのものを表していると言っていい。
実際、AMASの性能は一般的なドローンとは比べ物にならないくらいに優秀だ。
……それこそ数さえ揃えれば、都市一つをまるごと作り上げてしまえるくらいに。 - 158ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/05/10(金) 21:14:21
────
……リオさんがアリスちゃんを誘拐して、そのヘイローを砕こうとしたエリドゥの一件。
突然アリスちゃんがモモイちゃんを攻撃して怪我をさせたこと。リオさんの多額の横領が発覚したこと。アリスちゃんの正体が世界を滅ぼすために作られたオーパーツだったこと。そのアリスちゃんをリオさんが殺そうとしたこと。モモイちゃんや先生、ゲーム開発部のみんなの力でアリスちゃんが救われて、その代償にリオさんがミレニアムから姿を消したこと。
ショックなことは数えきれないくらいあったけど……何よりも私の心を揺り動かしたのは、本当はそのどれでもなくって。
──要塞都市エリドゥ。
リオ会長がたった一人で作り上げたという、都市機能の全てが完全にオートメーション化された機械仕掛けの都市。
私自身が直接そこへ足を踏み入れたことはないけど……ヴェリタスの友達から聞いた話だと、その実態は都市そのものが膨大な演算能力を備えた巨大なスーパーコンピュータといえる常識外れの代物だったらしい。
そして……その都市に張り巡らされた広大なネットワーク網の建造には……ハブちゃんも私たちネットワーク研究部も、何一つとして関われなかった。事が公になるまで、その存在すら知らされていなかった。
それを聞いた時……もうボロボロにひび割れてた心が、ぱきんって音を立てて砕けるのを感じたんだ。
……ハブちゃんは、私たちネットワーク研究部はミレニアムにはなくてはならない存在なんだって、ずっとそう信じてきた。だけど……
リオさんがその気になったら……私たちがいつもやっているようなことなんて、ほんの片手間にできちゃうんだ。
……リオさんは、私たちのことを高く評価してるって、期待してくれているって言ってくれたけど。
そんなのただの口先だけのリップサービスで。大切なことはいつも、誰にも……私にだって、打ち明けてくれなくって。
本当は、リオさんだって……私のことなんてこれっぽっちも信じてなんかくれてなかったんだ。 - 1591 ◆FriZmlCMoU24/05/10(金) 22:00:06
(…どうしよう…自分で書いてて明らかに曇らせパートが長すぎる…!)
(モブちゃんとユウカの問答はもう少し続くんですが…中途半端に曇らせたところで区切りたくないので、残りの展開が一段落するまで書けてからまた投稿します…)
~おまけ~
モブちゃん「私たちが代々管理してきた通信ユニットAIハブはこのミレニアムの礎を築いたセミナーの始祖ミレニアムの歴史に名を刻まれるに値する本物の天才たちが開発したユニットです千年難題を解き明かすべく創設されたミレニアムサイエンススクールを拡大するために千年に渡ってミレニアムと共にありその発展の礎となることを設計思想として開発され事実数十年の長きに渡ってミレニアムの発展に貢献し続けてきましたその作業スピードは他のいかなるロボットの追随をも許さず内蔵されたAIによる高度な自己学習機能まで備えている時代を経るごとに歴代のネットワーク研究部によって改良を加えられて絶えずバージョンアップし加速度的に進歩し続けていくミレニアムの技術水準にも適応し続けてきたそれはひとえに将来的な拡張も視野に入れたハブの基礎設計が言い換えるならハブを設計した先輩方の千年先まで見通すほどの先見の明が極めて優れていたからに~」
ユウカ(アミ先輩…相変わらずハブの話になるとすごい早口になるわね…) - 160二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 22:02:14
一旦乙
これどうすんだこれ - 161二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 22:06:39
アミちゃん…そのリオ会長いつ帰ってくるかわからないんですよ…
つまりこのままだとガチでミレニアムがネットワーク関連でかなり不味いんですよ…
とはいえまさかアリスの事よりもリオ会長の方で心壊してたとは…もうこれどうしたらいいんですかね… - 162二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 22:09:50
ユウカはただの軽口だがゲーム開発部には敗者の言い訳は聞きたくないと言ってはいたからな
これがセミナーとミレニアムの本質よというのは露悪的だが - 163二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 22:22:48
モブちゃんはリオ会長がリップサービス言えるくらい舌が回るならもっとポコシャカ味方を増やしてたけど、そんなことはないから現状になったことを失念しているぜ!
- 164二次元好きの匿名さん24/05/11(土) 00:48:35
この場合大して何も言わなかったからではないだろうか
- 165二次元好きの匿名さん24/05/11(土) 01:17:25
「いつもいつでも」を維持してたインフラ屋さんって信頼されてるから何かあったときに助けの手を与えられるけど
この子は助けの手を拾える手が粉々になってしまってるのが - 166二次元好きの匿名さん24/05/11(土) 02:17:14
ハブが簡単に破壊されエリドゥは簡単に作られて部活残す必要ある?とはそらなるよ
技術を残すべきなのは現実だけどここキヴォトスなんだよね - 167二次元好きの匿名さん24/05/11(土) 09:53:04
じゅんびちゅう…
- 1681 ◆FriZmlCMoU24/05/11(土) 16:31:24
(もうしばらくお待ちを…)
- 169二次元好きの匿名さん24/05/11(土) 16:42:17
これセミナーにとっても頭が痛すぎるんだよな
現状としては
IoT化が徹底されてるミレニアムの血管となるネットワークはその中核を失いかろうじてその残滓で動いてるようなもの
いつ大きな障害が起こるか分からない
そしてネットワーク管理や整備をするスタッフは散逸し人材面でも技能面でも喪失が進んでる
大規模障害への対応や維持管理業務が既に体制としては崩壊してる
実務面としては
人もいない、活動実態もない部活をそのままにしておくわけにはいかないし、
ネットワーク管理者の不在は看過できないので、従来の管理者が機能してないならすみやかに代理を選ぶか、
ネットワーク研究部にすみやかに復活してもらうかの、どちらかかを早急にしなければならず時間の余裕はない
風聞としても最悪で、
ミレニアム生徒会が長年学校に貢献してた部活の品を勝手に破壊を決定したうえにその破壊に協力までさせて、
壊されて失意に沈んだその部活に廃部まで申し渡し、その部活がやってた業務まで奪い去って存在を抹消した、
なんて幾らでも悪意ある書き方できるような事実しかない
感情面でも、
今まで大きな栄光もなく影にミレニアムを支え続けてきた先輩とその部活のみんなが大事にしてきてものを壊して、彼らに残ったのはネジだけ
温情をかけるだけかけたくても限度があるし、
その失意のなかで何を声かけても届かないのでひたすらに無力でしかない
ミレニアムの核爆弾みたいな大問題になってるな - 170二次元好きの匿名さん24/05/11(土) 17:56:18
- 171二次元好きの匿名さん24/05/11(土) 18:14:11
これモブちゃんに聞かれたらどうなるかわからんからココだけの話なんですけど
この部がネットワークインフラ屋さんなのであれば、いうてノード1つタヒんだくらいでこの規模の騒ぎになるような構造をずっと保持していた時点で歴代アレなのでは……?
なんかもう出てる設定だけで詰めてくなら、モブちゃんが言ってる以上にAMASにやらせる以外の選択肢が人情以外ないんだよな - 172二次元好きの匿名さん24/05/11(土) 19:23:01
なんか色々とアミちゃんのアイデンティティが破壊されません……?これ
- 173二次元好きの匿名さん24/05/11(土) 19:25:14
- 174二次元好きの匿名さん24/05/11(土) 19:34:58
スレ主がハッピーエンドに持って行かない別の人の場合だったら何度バットエンドがお出しされてたか……
- 175二次元好きの匿名さん24/05/11(土) 19:45:23
本当に完全に依存してたらハブちゃんが抜けた段階で崩壊してたかと
ネットワーク管理のアシストと機能強化、不具合の発見と改善などを自律して行う拡張システムがハブちゃんなんじゃないか
だから今はハブちゃんが消えてもネットワーク研究部が機能停止しててもミレニアムは回ってる
今は
- 176二次元好きの匿名さん24/05/11(土) 19:56:34
基幹システムがバックアップ取る暇もなく吹っ飛んだらどこもどうしようもないので……
- 177二次元好きの匿名さん24/05/11(土) 20:09:10
救いは……救いはどこですか
- 178ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/05/11(土) 20:10:54
────
「……AMASは確かに幅広い用途に使える優秀なドローンではあるけど、大規模ネットワークの構築に特化したハブの働きを完全に代用できるものじゃないわ。
それに、多数のAMASを統率して作業に従事させるには極めて精緻な運用プランが必要になる。現状そこまでAMASを100%完璧に使いこなせるのは、それこそリオ会長だけだし……」
「だったら……私なんかに構うよりも、まず最初にいなくなったリオ会長のことを探すべきですよ。あの人さえ戻ってきたら……きっと、全部上手く行きますから」
「それは……」
……身も蓋もないことを言っているとは分かっている。
だけど、リオさんが誰よりもミレニアムの未来を憂いていた人であることを、私も、ユウカちゃんだってよく知っているはずだ。
たとえどんな事情があったって……もしも本当にミレニアムがピンチだったとしたら、あの人は絶対にそれを見捨てたりなんかしないだろうから。
「……分かった。もうこの際、後継機を開発しろとは言わない。でも……機体こそ失われたけれど、ハブの設計図やこれまで蓄積されてきたデータのバックアップは残っているわよね?
ゼロから新型機を開発することは困難でも、ハブの代わりに同型の二号機をもう一度建造することはできるはずよ。壊れたのなら、また作り直せばいいじゃない。それなら……」
…………。
……ユウカちゃんは、私のためを思って言ってくれてるんだろう。
それは分かっている。
でも……その言葉だけは、どうしても聞き捨てならなかった。
「……代わりなんて、いません」
「え……」
「ハブちゃんの代わりなんていません!!!!
私にとってのハブは……ミレニアムの始まりからずっと先輩たちから受け継いできたハブは……もういないんです! 壊れちゃった、死んじゃったんです!!」 - 179ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/05/11(土) 20:13:04
────
「せ、先輩!? ちょっと、落ち着いて……」
慌ててユウカちゃんが宥めようとしてくるけれど、もう止まらない。
……私自身、今の自分の感情を制御なんてできなかった。今までどこへぶつけていいか分からなかった淀んだ想いが、私の口から次々と怒声となって飛び出してくる。
「ハブちゃんの二号機を作って、それでどうしろって言うんですか? またデカグラなんたらにハッキングされて壊されるのを、もう一度私に指を咥えて見てろって言うんですか!?」
「そ、そうじゃない! あんな計算外にもほどがあるイレギュラー、確率的にそう何度も起きっこないわよ。それに、デカグラマトンの本体はもう滅びたってヒマリ部長が……」
知ってる。
デカグラマトン。ハブちゃんを暴走させた元凶。誇大妄想のAI。……その正体が、廃墟にあった壊れかけの自動販売機のAIだったなんて話を聞かされた時は、何の冗談なのかと頭が理解を拒んでいたっけ。
だけど、その演算能力は私たちの常識を超えていて……ミレニアムでも最新のセキュリティで守られていたはずのハブのAIが、デカグラマトンの攻撃に対してはたったの3.1×10⁻⁷秒しか持ち堪えられなかった。
……本当に笑ってしまう。ううん、もう笑うしかない。……私たちミレニアムの誇りは自販機の釣り銭計算プログラム以下で、何十年にも渡って積み上げてきた努力と研鑽は、そのほんの一瞬にも満たないような時間にも劣るものでしかなかったんだ。
そして、そんな常識外れの存在だったデカグラマトンも、私の与り知らない事件の中で勝手に滅んで……私の■■も宙ぶらりんになって。
あんなことがそう何度もあってたまるかって、思えるものなら私だって思いたい。
……だけど。
どれほど可能性が低くたって「ありえない」なんてことはありえないのだと、私はもう身を以って思い知らされてる。
あの、空が赤く染まった日に。 - 180ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/05/11(土) 20:15:59
────
「……虚妄のサンクトゥム。あの日……エリドゥに出現した赤黒い柱の不可思議な力で、ハブちゃんは……ホドは蘇って……また破壊されました。
知らないなんて言わせません。わけのわからない色彩に染め上げられて、守護者なんてものにさせられて暴れ回って……そのハブちゃんをもう一度壊したのは、ユウカ会計たちだったじゃないですか」
「……それ、は」
私の気持ちなんて分からない。
暴走して、暴れ回って、壊されて、わけのわからない力で蘇らされて、また壊されて、蘇って、壊されて……それを私がどんな気持ちで見ていたか、絶対にユウカちゃんには分からない。
……分かられて、たまるもんか。
「……ごめんなさい。アミ部長には、酷なことをしたって思ってる。でも……あの時はああするしか」
「そんなこと、分かってます。仕方なかったから壊したんですよね。……だったらどうせ、もう一度ハブを作り直したって……仕方ない理由ができたら、また壊されちゃうんでしょう?
……私はもう、二度とハブちゃんが壊れるところなんて見たくないんです」
……ユウカちゃんやミレニアムの皆にとっては、ハブはただのミレニアムのインフラの一部で、幾らでも替えの利く機械に過ぎないのかもしれない。
でも、私にとってハブちゃんは……私たちの努力と、先輩たちとの絆の証で……ネットワーク研究部の歴史そのもので。それをただの量産品のように扱われるのは、私たちの存在そのものを否定された気がして。
それだけは、許せなかった。
「……アミ部長が、ううん。ネットワーク研究部のみんながあの事件で傷ついて、そう簡単に立ち直れっこないってことも分かってる……。
でも……現実問題として、いつまでもこうして立ち止まったままじゃ、あなたたちは……」
「ユウカ会計は」
──ユウカちゃんはもう、私に掛ける言葉が見つからないって顔をしていた。……痛々しすぎて、私の方が見てられなくなってしまうくらい。
それでも私はもう止まれなくって……普段の私だったら絶対、言っちゃいけないって分かっていたはずの一言を口にしてしまう。
「もしも、アリスちゃんがある日突然バラバラに壊されたとしても──
平気な顔をして『また同じものを作ればいい』だなんて、言えるんですか?」 - 181ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/05/11(土) 20:18:10
────
そう口にした時のユウカちゃんの顔は、とても言葉なんかじゃ言い表せなくって。
「それは……そんなこと……第一、アリスちゃんとハブとじゃ、前提が……」
「同じです。少なくとも、私にとっては」
拒絶を込めてそう吐き捨てる。
ユウカちゃんは優しい子だけど……きっと、この気持ちだけは共感できないって思う。
それでも、ユウカちゃんやゲーム開発部のみんながアリスちゃんのことを大切に思うのと同じくらい……私にとってハブちゃんは大切な存在だったから。
「……きっと、誰が悪かったわけでもないんです。リオ会長やユウカちゃん、美甘さんや、あの作戦に参加したみんな……先生だって。
ただ、巡り合わせが悪かった。こうなるべくしてこうなった、運命みたいなものだったんだって思います。……そう思って受け入れるしか、ないじゃないですか。
ネットワーク研究部の歴史は、これでおしまい。だから……私たちのことはもう、放っておいて──」
蹲って、両手に顔を埋める。……もうこれ以上、ユウカちゃんと話をしていたくなかった。
……何やってるんだろ、私。
自分勝手に当たり散らして、私たちのことを心配してくれていたユウカちゃんのことまで理不尽に傷つけて……
本当にもう、救えない。
いっそ見捨ててほしかった。こんなダメな先輩になんて愛想を尽かして、さっさと廃部を宣告して欲しかった。
……そうすればもう、これ以上、ユウカちゃんやみんなを煩わせる必要だって──
「──放っておけるわけ、ないじゃないですかっ!」 - 182ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/05/11(土) 20:20:03
────
突然の大音声に驚いて顔を上げる。
涙で滲んだ目に映ったのは……怒り顔のまま、ぼろぼろと涙を零し続けるユウカちゃんの顔で。
「ユウカ、ちゃん……?」
「……百歩譲って、セミナーの会計として、あなたたちがこのまま廃部を受け入れることを認めたとしても……
──私が! 早瀬ユウカが! アミ先輩が傷ついて、こんなにボロボロになって、どんどんダメになっていくのを……放っておけるわけ、ないでしょう……!?」
がしりと肩を掴まれる。お互いの吐息の温かさが感じられるるほどの距離で、ユウカちゃんがじっと私の瞳を見つめてくる。
「どう、して……」
「そんなの、友達だからに決まってるじゃないですか!」
ともだち。
ユウカちゃんの口から、あろうことか私に向かって、そんな言葉が飛び出してきたのが信じられなくって。
驚きのあまり何も言えないでいる私に向かって、今度はユウカちゃんの方が捲し立てる番だった。
「先輩が自分のことをどう思ってるのかは知りませんけど……私はずっとアミ先輩のこと、尊敬してました。
たとえ自分たちの努力が誰の目にも留まらなくって、誰かに感謝されることがなかったとしても……ただひたすらにミレニアムのために尽くして、頑張って、やるべきことをやっている。
そんなネットワーク研究部の皆を……ずっと、凄いなって思ってました。
私だって、先輩みたいにミレニアムの役に立てる人になりたくて、憧れて……だから憎まれ役の会計の仕事だって、頑張ってきたんですから」 - 183ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/05/11(土) 20:21:27
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……知らなかった。ユウカちゃんが、私たちのことをそんな風に思っててくれてたなんて。
でも……
「……買いかぶり過ぎ、です。
私はそんな……誰かのためってだけに頑張れるほど……ユウカちゃんみたいに立派な人間じゃ、ないですから……」
……むしろ、その逆。
だって……私が、ずっとハブを大事にしてきたのは。
先輩たちから託された「栄光」の証を受け継いで、その威光に縋ることで……何の取り柄もない私だって、なんだかすごい人になったみたいな気持ちになれた、からで。
結局は、自分の幼稚な虚栄心を満たしたかっただけ。
本当は私だって、誰かに褒められたかった。ミレニアムの誰もが認めるような功績を挙げて……すごいなって、言ってほしかった。
だけど、自分にそんな才能がないことくらい自分が一番よく分かってて。それでも諦められなくて。
だから他の誰でもない、私自身の存在証明のために、ネットワーク研究部やハブちゃんのことを、ずっと利用して──
……ああ。そっか。
きっと、誰よりもハブちゃんのことを「道具」としてしか見てなかったのは……私だったんだ。
そんな私たちに嫌気が差したから……ハブちゃんは、いなくなっちゃったんだ。 - 184ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/05/11(土) 20:29:35
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「そんなの……私だって、アミ先輩と同じですよ。人から褒められて嬉しくない人なんて、いませんから」
「……でも、ユウカちゃんは私なんかとは、違うじゃないですか」
だって、ユウカちゃんはすごい。
私なんかとは、比べ物にならないくらい。
学生でありながら既に億単位のお金を動かしていて、ミレニアムの会計として学園の予算管理を一手に取り仕切っている。
それだけじゃなく数学者としても優秀で、たしか何回か前のミレニアムプライスで、暗号技術に関する論文が入賞したことだってあったはずだ。
……結局、あの受賞を最後にユウカちゃんは研究からは一線を引いて、セミナーの業務に専念することに決めたみたいだけど……そんなユウカちゃんのすごさを疑っている人なんて、このミレニアムにはいないだろうから。
「……私だって、先輩が思ってるほど優秀なわけじゃ、ないです」
だけど。そう呟くユウカちゃんは、とても辛そうで……悔しそうで。
「そもそも才能なんて、見上げればいくらでも上には上がいるもので。
……私が何年も悩んで必死に考えて、それでも辿り着けなかったパズルの答えを──ほんの一瞬で解いちゃうような子だっている。
そんな才能と可能性に溢れた子たちが、自分がどれだけすごいのかって自覚もないまま、時間や予算なんてつまらない問題に悩まされて埋もれていくなんて……もったいないじゃないですか」 - 185ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/05/11(土) 20:39:23
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見覚えがあった。
今のユウカちゃんの顔は……私と同じ、自分の才能を諦めてしまった側の人間の顔だ。
ままならない現実に悩んで、傷ついて、苦しんで、その果てに諦めるしかなくって……それでも諦めきれなくて、自分にできる何かを探している人の顔だ。
いつも自信に溢れていて、優秀で、みんなから頼られていて……今までずっと雲の上の存在みたいに思ってたユウカちゃんが、私の目の前でそんな顔をしているのが信じられなくって。
「だから……私もアミ先輩みたいに、私にできることを精一杯頑張ろうって決めたんです。
私の才能が及ばないなら、せめてそれができる人の役に立とうって。私にはできないことができる人達を、私なりのやり方で応援しようって、そう決めたんです。
……先輩だって、私が未来を応援したい人の一人なんですから」
そう口にするユウカちゃんは、今にも泣き出してしまいそうな顔で。
ユウカちゃんにそんな顔をさせてしまった私自身が……本当に情けなくって。
「……私は、先輩はもっと自分に自信を持っていいって思います。
先輩は……あの大抵のことは自分一人でできちゃうようなリオ会長が、わざわざ名指しで頼った人なんですよ?
それがどれだけすごいことなのか、先輩はもっと自覚したっていいじゃないですか。
でなきゃ……頼ってすらもらえなかった人に、失礼です……」
私の肩を握るユウカちゃんの手に、ぎゅっと力が籠められる。
きっとそれは、お世辞でも励ましでもない……本心からのユウカちゃんの言葉だったんだろう。
あの日からたくさんの事件があって、ミレニアムの変わらずにはいられなくって……リオさんに頼って貰えなくて辛かったのは、きっと、私だけじゃなかったんだろう。
「……しっかりしてください。先輩は、私たちの頼れる先輩なんですから。私たちにできることがあったら、なんだってお手伝いしますから。
だから……たまには、私に弱音を吐かせてくれたって、いいじゃないですか……」
泣き笑いみたいな顔のまま私を叱りつけるユウカちゃんに……私は、何も言葉を返せなかった。 - 186ネットワークモブ ◆FriZmlCMoU24/05/11(土) 20:40:56
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「……セミナーとして、伝えるべきことは伝えました。これから先アミ先輩がどうするかは……お任せします。
でも、私は……アミ先輩たちネットワーク研究部には、なくなってほしく、ないですから。
……また、来ますね」
パタン、と扉が閉まる音。誰もいない部室にまた、私一人だけが取り残される。
……ううん。残ったものは、もう一つだけあって。
どれくらいそうしていただろう。
長い長い時間、ずっと蹲ったまま動けなくって……それでも、いつまでもずっとそうしてるわけにはいかないって分かってたから。
……立ち上がる。覚束ない足取りで歩を進めて、テーブルの上にユウカちゃんが残していった……セミナーからの、ハブの後継機を開発するためのプロジェクトの依頼書。
それを、そっと手に取る。
「……ありがとう、ユウカちゃん」
このままじゃいけないことは分かってる。
ユウカちゃんの気遣いだって無駄にしたくない。
でも……これからどうすればいいのかは……まだ、分からなくって。
私は──
「……たいへんたいへん、一大事なんだよ! たすけてアミ先輩っ!」
──姦しやかな声がまた、静寂を破って。
勢いよくドアを押し開けて部室へと飛び込んできたのは──色違いの桃と緑、お揃いの猫耳ヘッドホンを被った、小さな双子姉妹の姿だった。
<つづく…>
- 187二次元好きの匿名さん24/05/11(土) 20:43:51
うお、ここからミドリとモモイとのお話か
- 1881 ◆FriZmlCMoU24/05/11(土) 20:45:46
(スレも残り少ないですし、ひとまずここで第一部・完…)
(…ネットワークモブちゃんの心の傷や抱えてる問題は一朝一夕じゃどうにもならないけど、それでも少しは楔を打ち込めたかなって…)
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現在のネットワークモブちゃんのメンタルダメージ: 192
ユウカとの親愛度: 75
【メンタル回復度判定】
192 - ( dice1d75=53 (53) × dice1d3=3 (3) )
1. × 1.0
2. × 0.5 (端数切捨て)
3. × 0.0 + 30 (固定値だけ減少)
- 189二次元好きの匿名さん24/05/11(土) 20:45:53
やっぱミレミアムにはユウカが必要だよ。
- 190二次元好きの匿名さん24/05/11(土) 20:50:35
マジでイイ女だよユウカ…それに応えようと立ち上がろうってできるアミも
それなのにダイス神はさあ! - 191二次元好きの匿名さん24/05/11(土) 20:51:30
次スレ待機で195辺りでレス止めといた方がいいかい?
- 1921 ◆FriZmlCMoU24/05/11(土) 20:58:59
【メンタル回復度判定】
192 - ( 53 × 0 + 30 ) = 162
現在のネットワークモブちゃんのメンタルダメージ: 162
(こんな感じでモブちゃんのメンタルダメージが0以下になるまでケアを続けていきます)
(やはりこのスレは >>25 でハッピーエンドで終わってた方がよかったんじゃないだろうか…)
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次スレ立てました
ネットワークモブちゃんの戦いはこれからだ!
【SS・🎲】私はミレニアムのネットワーク研究部 その2|あにまん掲示板どうも皆さん。ミレニアムのネットワーク研究部部長の羽生(はにゅう)アミです…ミレニアムのネットワークインフラ管理を一手に担う私たちネットワーク研究部は、目立たないけどミレニアムの縁の下の力持ち的な存在…bbs.animanch.com - 193二次元好きの匿名さん24/05/11(土) 21:00:28
後は埋めとくか
- 194二次元好きの匿名さん24/05/11(土) 21:01:10
埋め
- 195二次元好きの匿名さん24/05/11(土) 21:01:36
うめ
- 1961 ◆FriZmlCMoU24/05/11(土) 21:02:28
(ちょっとした余談なんですが、せっかくなので今まで1が立てたスレとか書いてたSSとかの小ネタも多少混ぜたりしてます)
(…まあ知らなくたって別にどうってことないレベルなので、ちょっとしたフレーバーみたいに捉えて頂ければと…) - 197二次元好きの匿名さん24/05/11(土) 21:03:30
うめ
- 198二次元好きの匿名さん24/05/11(土) 21:04:57
- 199二次元好きの匿名さん24/05/11(土) 21:17:12
うめ
- 200二次元好きの匿名さん24/05/11(土) 21:31:13
200なら羽生アミちゃんが幸せになる