メジロアルダン、いざ、参ります!

  • 1◆y6O8WzjYAE24/04/29(月) 03:16:15

     ファン感謝祭名物『チャンバラ陣取り合戦』。
     競技種目となった由来は時は戦国時代。多くの兵が鎬を削り、領地の拡大を図っていた戦乱の世。
     その中でも一際貴重な戦力とされたのがウマ娘だ。
     迅雷の如く駆け抜け、刃を持って瞬く間に兵を切り捨てていく様はまさに鬼神のようだったとか。
     それを体育祭などの競技種目として再現したのが、チャンバラ陣取り合戦という訳だ。
     さて。なぜ今このような事を考えているのかというと──。

    「メジロアルダン、いざ、参ります!」

     VR空間内にて、担当ウマ娘と刃を隔てて相対しているからだ。

  • 2◆y6O8WzjYAE24/04/29(月) 03:16:26

     今年の春のファン感謝祭も大盛況だった。
     秋のファン感謝祭が文化祭的なものに対して、春のものは体育祭の様相を呈している。
     ヒトと違って身体能力が遥かに高いウマ娘たちの競技はとにかく派手で、視覚的にも分かりやすく人気が高い。
     もちろんヒトだけで行う競技は技術が極限まで研ぎ澄まされたものが多く、別の魅力があって人気なのだが。
     それはそれとして、今日はそんなファン感謝祭からの休日を挟んで最初の登校日だ。

    「アルダン、先日はファン感謝祭お疲れ様」
    「ふふっ、ありがとうございます。午後からはあまり姿をお見掛けしませんでしたが、どこかまわられていたのですか?」

     ファン感謝祭の日、俺はあまりアルダンと行動を共にしていなかった。
     というよりも折角ファンがウマ娘たちと交流できるイベントなのだ。いつも一緒に居る俺がその時間を奪ってしまうのはよくないだろう。
     なので一般参加者のように、普通に催し物を楽しんでいた訳だ。

    「ああ、チャンバラ陣取り合戦は観に行ったよ。いや、凄かったね、最後の大将同士の一騎討ち。アクション映画でも見てるんじゃないか、って思っちゃった」

     何気ない、俺の発言にアルダンの耳がぴくりと反応する。この反応はアルダンも別の場所で見てたのだろうか?

    「アルダンも見に行ってたの? 一緒に見られればよかっ──」
    「私も立候補したんです」
    「ん? でも競技には」
    「はい。ですから、くじ引きで外れたのです」

     あ~、なるほど。自分でも経験はあるから分かる。
     体育祭となると出場する競技には出られる人数が限られている。人気種目ともなれば当然その中でくじ引きになったり。
     クラス対抗になったりするとより勝てそうな人に任せたりなど。出たい競技に希望通り出られるとも限らない。
     となるとアルダンの第一希望の種目はチャンバラ陣取り合戦で。実際に出た競技は第二なり第三希望だったという訳だ。

  • 3◆y6O8WzjYAE24/04/29(月) 03:16:39

    「あ~、それは残念だったね」
    「はい」

     ……あー。
     案外この子は分かりやすい。くじ引きという公平な結果だから受け入れてはいるものの。
     実際には自分も出たかったし、なんなら出られずに燻ったままの心は収まりがついていないのだろう。
     こういうところはかなり年相応……というより若干幼い。
     どうしようか。ファン感謝祭は既に終わってしまったし、正直これに関しては誰が悪いという話でもない。
     その辺りを分かってるが故のアルダンの態度だろうが、不満を発散できるものならさせてあげたい。
     そう思って思案していると、ひとつ解決策が思い当たった。

    「ねえアルダン。今でもやりたいと思ってる?」
    「何をでしょうか?」
    「チャンバラ陣取り合戦」
    「ですがファン感謝祭は既に終わりましたから」
    「うん。だから」

     穏やかな表情は崩していないものの、私もやりたかったという少女染みた願望は隠せていない。
     そんな彼女に対して、ひとつの案を持ちかける。

    「陣取りは無理でも、最後の一騎打ちをするだけなら出来るかもしれないよ?」

  • 4◆y6O8WzjYAE24/04/29(月) 03:16:50

     VRウマレーター。
     レースシミュレーションの為のVR装置だが、提携しているオンラインゲームもプレイ出来る優れた代物だ。
     その中にはなんと、チャンバラ陣取り合戦も含まれている。
     理由は生徒たちの練習のために……という訳ではなく。
     かなり単純な理由で、ウマ娘たちだけでなく自分たちヒトも体験してみたい、という声が多かったのだ。
     トレセン学園以外の一般の学校だと、クラスのウマ娘たちが強制的に参加するケースも多く、ヒトが入り込む隙はない。
     何故なら凄まじい速度で迫ってくるウマ娘を相手に、ヒトが模造刀で相対するなど身体能力的に不可能だからだ。
     だからこそウマ娘専用種目となっている競技なのだが、VR空間ならばこれを解決できる。
     自分たちヒトの身体能力をウマ娘と同等レベルまで引き上げ、互角に渡り合う事が出来るからだ。
     そういう理由もあってか、VRゲームの中でチャンバラ陣取り合戦は人気が高い。
     人数が揃えば陣取り形式で出来るし、人数が少なければ一対一の真剣勝負だって出来る。

    「よし、用意はいい?」
    「はい!」

     今日は運よくウマレーターを借りることが出来た。早速ポッドの中に入り込み、バーチャル空間に飛び込む。

    「へぇ~、色々あるんだな」

     いわゆるキャラクター選択画面なのだろうが、そこで飛び込んできたのは想像を遥かに超える選択肢の多さだ。
     てっきり刀か薙刀か、はたまた弓を選ぶかなど大雑把に武器の種類を選んで出陣するものかと思ったのだが、刀ひとつ取っても種類が多い。
     自分ですら知ってる名刀を模したものや、バーチャル空間らしいサイバーなもの。どこぞの宇宙戦争的な光の刃まで。
     大まかにどんな特徴があるか説明はあるものの、正直違いなんてよく分からない。

    「アルダンは決まった?」
    「す、すみません。もう少し時間をいただいてもいいでしょうか? どれも素晴らしい再現度をしていて……」
    「ああ、うん。ゆっくり選んで。俺も時間がかかりそうだし」

  • 5◆y6O8WzjYAE24/04/29(月) 03:17:03

     そういえばアルダンは歴史が好きだった。だからVR空間内とは言え、名刀が目の前にあるとなると昂るのは無理もないのだろう。
     特に詳しいとは言えない俺ですら少し興奮するのだから。
     そうしてある程度どんなものがあるのか見終わったところで選び終える。

    「……おっ、と」

     選択を終えたところで画面は切り替わり、周りにススキの生い茂る野原へと呼び出される。
     服装も甲冑のような格好に変わっており、まるで今から果し合いでもするかのようだ。いやまあ、するのだが。
     しかしアルダンの姿はまだ見えない。恐らくまだどの刀にするか選んでいるのだろう。
     ならば待ち時間を有効利用させてもらうべく、腰に差された鞘から刃を抜く。

    「へぇ~……凄いな」

     選んだのはオーソドックスな打刀だ。剣道などの経験もないし、完全に漫画などの知識だけで振るう事になる。
     ならば下手に癖のあるものを選ぶよりかは無難なものがいいだろう。
     実戦へと至る前に、軽く斜めに振り下ろしてみる。

    「あんまり重くないな」

     VR空間内で身体能力がウマ娘に近いから、という事もあるだろうが恐らく現実の刀よりも重さが軽く設定されている。
     実際チャンバラ陣取り合戦では模造刀が使われる訳で、そちらの再現という意味では正しいのだろう。
     そして刀だけでなく、引き上げられた身体能力も確かめる為、軽く地を蹴る。

    「本当に凄いんだな。ウマ娘の力、って」

     ヒトの身では不可能なスピードまで、軽く一蹴りしただけで到達する。
     きっとこのまま走り続ければさらなるスピードへと達するのだろう。この感覚を現実でも味わえるウマ娘たちは少し羨ましいかもしれない。
     そして、この感覚を知っているからこそ、走る事を諦めたくなかったアルダンの気持ちもよく分かる。

  • 6◆y6O8WzjYAE24/04/29(月) 03:17:13

    「お待たせしました、トレーナーさん」

     ひとしきり身体をVR空間に慣らしたところで、ちょうどよくアルダンも刀を選び終えたようだ。
     空間に現れたアルダンは長い髪を後ろで一つに結び、甲冑の上に陣羽織を着た、まさに総大将とでも言うべき出で立ちだ。
     そして腰に佩いているのはアルダンの身長の半分以上はありそうな太刀。……実際に振るうのは初めてだろうに、扱えるのか?
     アルダンが入って来た事により、HPゲージのようなものが視界の左上に表示される。
     なるほど、陣取りじゃないからこれを削り合う形になるのか。
     互いに刀を抜き、数歩距離を取って、構え合って。

    「準備はいい?」
    「はい、いつでも」

     宙に表示されたパネルを操作して、試合開始のボタンを押す。

    「それじゃあ、お手柔らかにね?」
    「はい、よろしくお願いいたします」

     格闘ゲームよろしくカウントが表示され、いよいよ戦いの火蓋が切って落とされる──!

    「メジロアルダン、いざ、参ります!」
    「っ、いきなりだねっ!?」

     試合が始まるなり、脚の負担が心配になる勢いでこちらに距離を詰めてくる。
     そのまま下からの逆袈裟斬り……をすんでのところで受け止めた。

    「思い切りが良すぎない!?」
    「その……実はファン感謝祭での合戦にとても参加してみたくて。ずっとうずうずしていたんです」

  • 7◆y6O8WzjYAE24/04/29(月) 03:17:24

     言ってる事は可愛いがやってる事は可愛くない。一度切り結んだところでアルダンが飛び退く。
     アルダンが使っているのは刃渡りの長い太刀だ。
     本来ならそのリーチを生かすべきなのだから、開幕突っ込んできたのは本当に楽しみで仕方がなかっただけという事になる。
     互いに刀を中段で構え、距離を置いたまましばらく睨み合う。
     ……いや、睨んでないな。アルダンは望みが叶って嬉しいのか、喜色満面としか言いようがない。

    「トレーナーさんからは打って来ないのですか?」
    「策もなしに突っ込んだら君の思う壺だろうからね」

     驚愕のあまりみすみす後退を許したが、勝つためならば自身の刀が有効に振るえる範囲まで詰め続けるべきだっただろう。
     一度距離を置いてしまった以上、彼女の持つ刀の範囲より先に切り込むのは一苦労だ。
     ……いや、なんでこんなに真剣なんだろうな!?

    「では、私から参りますね♪」

     どう切り崩すべきか。考えている間にも先にアルダンが動いた。距離を詰めてきて軽い上段からの斬り下ろし。
     それを自身の刀で下に受け流す。しかし受け流される事を読んでいたのか、そのまま胴を薙ぐような横一閃が襲って来る。
     これを刃で受ける事は間に合わないだろう。さっ、と刀の範囲外へと飛び退いた。そして、俺がいたはずの場所に刃が通り抜ける。
     待ってくれ!? アルダンは経験者か何かなのか!?

    「トレーナーさん、剣道などのご経験が?」
    「ないよ! というかアルダンはどうしてこんなに慣れてるんだ!?」
    「いえ、その。歴史書を読んでいる際に空想に耽る事もありまして。私がこの戦乱の世を生き抜くならどうするだろう、と」

  • 8◆y6O8WzjYAE24/04/29(月) 03:17:34

     考えた事があるので実践してみたら出来ました、というのは些か無法ではないだろうか。
     そんな事が出来れば苦労はしない。俺だってそういう漫画は読んだ事があるし、だからと言って今実際に出来るかと言われたら出来ていない。
     ただ文句を言っていてもこのままだとアルダンに切り刻まれるだけだ。どうにか打開策を……いや、なんで勝つのに必死なんだろうな、俺は。
     まあいい。取り合えず一回斬られただけでHPがいきなり0になるような事はないだろう。
     駄目で元々。仕掛けられてばかりでも仕方ないから、こちらからも打って出る!

    「ふっ!」

     軽く袈裟斬りを仕掛けるも、当然アルダンが迎え撃つため刀を合わせてくる。
     このまま切り結んで鍔迫り合いへと持ち込み、距離を詰めるのもやぶさかではない。
     ……が、アルダンがそんな事をさせてくれるだろうか。
     ただただ念願が叶って楽しいだけなのかもしれないが、あの子はあれで結構な頑固者かつ負けず嫌いだ。
     やるからには絶対に勝ちに来るに違いない。
     ただ今の姿勢から動作を変えることは出来ないだろう。
     だから不意の攻撃に備えるべく、打ち合う瞬間に備え神経を研ぎ澄ませる。

    「今です!」
    「なっ!?」

     しかし──刃が交わる前にアルダンの刀が消えた。
     いや、沈んだ。膝を沈め身体を折りたたみ、踏み込む俺の身体に刀の軌道を合わせつつ横に斬り抜けていく。
     振り向いた時には楽しそうに──既に脇に刀を構えるアルダンの姿があった。

    「ふふっ、上手く出来ました♪」
    「上手く出来た、って……考えてた事がそうやすやすと実践出来たら堪ったものじゃないんだけど……」

  • 9◆y6O8WzjYAE24/04/29(月) 03:17:45

     今の一閃で左上のHPゲージが1/3ほど減っていた。なるほど。致命傷でも2回は受けられるのかもしれない。
     もっとも俺は一回受けてしまった為、猶予は残り一回だ。
     さて、と。こちらからの攻撃は失敗に終わった。しかしリーチでの不利を背負っている以上、このままでは埒が明かないだろう。
     アルダンが長刀に慣れていない可能性もあるにはあったが、先の動きでそれが望めないことはよく分かった。
     となるとこちらから攻め込むのは不利か……と打開策を考えていたのも束の間、アルダンが腋構えからの一閃を放ってくる──!

    「ぼうっ、としていたら危ないですよ? トレーナーさん」
    「だったら、手を止めて欲しいものだけどね!?」

     間一髪足を引き攻撃を躱したものの、そのまま返す刀で逆袈裟。そこからの斬り下ろしと攻撃は続く。
     とても初体験とは思えない、鮮やかな太刀捌きだ。願わくば外野で見ていたかった。
     さらに刃の嵐は降り注ぐ。刺突、切り払い。躱すだけで精一杯だ。なんならヒトの身で躱せているだけでも凄いとすら思える。

    (いや、今はヒトよりも優れているじゃないか)

     意識をしていないと忘れそうになる身体能力の上昇。そうだ、そもそも本来なら切り結べば打ち負かされるだけなんだから。
     普段の自分よりも無茶が出来ると思うと選択肢は自ずと増える。アルダンの刃をいなしつつ、反撃の好機を伺う。

    (やるなら……今!)

     繰り出された刺突に対して刃とは反対側に避ける。
     対するアルダンは一歩下がり刀を引き、今度は真上から振り下ろす真っ向斬りに合わせるように、こちらは大地を踏み鳴らし、震脚の力を刃に乗せる──!

    「きゃっ」
    「そこ!」

     本来なら力で勝る訳のない俺に力負けしたのもあるのだろう。しかしここはVR空間だ。そのあり得ないことが起こる。
     打ち合った勢いで刀を握った両手がかち上げられ、無防備になった胴を横に薙ぐ。

  • 10◆y6O8WzjYAE24/04/29(月) 03:18:00

    「驚いた?」
    「はい。身体能力がウマ娘と同等になるとは知っていたのですが、実際に目の当たりにしてみないと分からないものですね」

     俺に斬られたにも関わらずアルダンは楽しそうだ。俺に力負けするなんて、普段ならば絶対に出来ない体験だからだろうか。
     ……アルダンのHPが残りどの程度かは分からないが、先の一撃は致命傷だったに違いない。
     ならば俺と並んだと見てもいいだろう。これで勝負は振り出しに戻った。

    「……そうですね。試してみるのは一考かも」
    「どうかした?」
    「いいえ、なんでもありません」

     俺に斬られた後、なにかを考えていたようだがまあいい。
     上昇した身体能力に頭が慣れてきたおかげで、さっきまでのようにはいかないだろうから。
     今度はこちらから打って出る。アルダンと違ってこちらは普通の打刀だ。小回りは効く分、手数で押すのみ!
     インファイト気味に接近する俺に対して、堪らずアルダンは距離を取ろうとする。
     しかしこちらも逃がせばどうなるかなんて今までの打ち合いで分かり切ってる。
     反撃の隙を与えないように、猛然と食らいつく。

    「トレーナーさん、いじわるです」
    「そりゃあ意地が悪くなくちゃ、勝てそうにもないからね!」

     最初はアルダンに付き合うだけのつもりだったのが、気付けばこちらも勝ちたくて必死だ。
     なるほど、この種目がVRゲームで実装されている理由がよく分かる。

  • 11◆y6O8WzjYAE24/04/29(月) 03:18:11

    (それにしても……楽しそうだな、アルダン……)

     いじわると言う割に、やりたい事が出来なくて不満そうという訳でもない。
     ただただ本来なら参加したかった競技が出来ているという喜びと。戦国の時代の一端に触れている好奇心がそうさせているのだろう。
     そして何分経っただろうか。勝負は唐突についた。
     このVR空間では体力というものまでリアルに再現しているようで、段々と息も切れてきた。
     だからだろう。袈裟斬りが弾かれた時、大きく隙が出来てしまい──。

    「しまっ──!?」

     両の腕が上がり、構え直そうとするもその隙を逃すアルダンではない。がら空きになった胴に対して刃が閃く──!

    「いきます! 燕返し!」

     そんな事が出来るのか!? と問いかける前に。
     本来なら斬り抜けた先にある場所に刀はなく、振るう前の位置に戻っていて。
     残り一回は致命傷を耐えられそうだったHPは確かに削り取られていた──。

  • 12◆y6O8WzjYAE24/04/29(月) 03:18:21

    「……アルダン、満足はした?」
    「はい、とても♪」

     勝敗も着いたところでVR空間から現実へと戻ってきた。VRの中では身体能力が上がっていた為か、若干身体が重く感じる。
     一種のVR酔いみたいなものかもしれない。
     ポッドの中から外に出てアルダンの顔を見ると、まさにご満悦といった表情だ。この顔を見れたなら付き合った価値がある。

    「先の時代の偉人たちはあのように戦われていたのですね……」

     今回は一対一ゆえあまり活かせていなかったが、本来ならウマ娘の俊敏性を持って刃を振るっているのが脅威だったんだ。
     実際に行われていた戦とはまた違うだろう。
     とはいえ満足しているアルダンに対して水を差す必要もない。ここは何も言わないでおこう。

    「しかし燕返しって本当に出来るんだね。漫画か何かの中だけだと思ってた」
    「いえ、現実ですと私も出来ないと思います。ただ……VRの中でしたから。トレーナーさんに力負けした時に、私にも現実よりも上乗せされている部分があるのでは、と思いまして」

     なるほど。俺はウマ娘がどの程度の力を持っているのかを知らないから、VRで上昇した身体能力がそうなのだと思い込んでいたが。
     実際にはウマ娘が持っている力よりちょっとだけ上で合わせていたらしい。
     まあそこはウマ娘全員が同じだけ力持ちな訳ではないし、下駄が履ける子もいるという話だった訳だ。
     しかしながらドッと疲れた。肉体的な疲労はないはずだが、精神的な疲労が身体にも影響しているような気がする。
     これを体育祭でやっているウマ娘たちの子には尊敬しかない。
     まあ要するに。

    「トレーナーさん。いつかまた、もう一度手合わせをお願いしても?」
    「いや、もう一回はいいかな……」
    「そう、ですか……」

     もう一度は勘弁願いたい。そう思った。

  • 13◆y6O8WzjYAE24/04/29(月) 03:18:36

    自分で言うのもなんですけど、なんで書いたんですか?

  • 14二次元好きの匿名さん24/04/29(月) 03:26:36

    エエヤン

  • 15二次元好きの匿名さん24/04/29(月) 06:17:24

    タキオンシナリオでトレーナーが似たようなことやってて、翌日凄いグロッキーになってたから、アルトレも倒れてるんでしょうね

  • 16二次元好きの匿名さん24/04/29(月) 06:30:41

    世の中衝動的に書いたものが心に響く例もあるしいいと思います!!
    確かにウマ娘の身体能力でチャンバラしたらどうなるんだろうなとなりますね。人のそれとは勝手が変わるのかな…?

    普段とは一風変わった良いものをありがとうございます。次も期待して待ってます!
    あとサインください

  • 17二次元好きの匿名さん24/04/29(月) 06:38:21

    傑作やん

    ありがとう

  • 18◆y6O8WzjYAE24/04/29(月) 14:28:40

    これをウマ娘のSSと言い張る勇気

    次のイベストチャンバラかぁ

    多分騎馬戦のウマ娘ver.なんだろうな

    という事はウマ娘の世界では騎兵ではなくウマ娘が戦場を支配していたのでは?

    アルダン歴史好きだしやりたがりそうだよね

    この間5分足らず
    という訳でパッと思いついてイベストでチャンバラ陣取り合戦の詳細が出たら許されない捏造に捏造を重ねた内容なので出しました
    なんで書いたんだ(二回目)
    読んでいただいた方はありがとうございました
    本当になんで書いたし書けたんだ……

  • 19二次元好きの匿名さん24/04/30(火) 01:19:28

    書きてぇなって思ったことをすいすい出力出来るのは才能だよ
    これからも頑張っておくれ
    アルダンいいよね…サポカイベントで歌舞伎の構えしたり結構アクティブよね

オススメ

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