私はスモーカーを父と認めない

1二次元好きの匿名さん24/05/02(木) 22:39:33

父だった男が、若い女の尻を追いかけるために家を出て十年が経った。私を育てていた母の目尻には皺が増え、水場仕事のため保湿クリームでは中々手荒れが治らない。そんな働き者の母が再婚相手を連れてきた。

優しい母が選ぶのだ。良い人だとは限らない。良い人でなかった結果が私である。せめて、選ぶなら人畜無害そうな人間がいい。タバコもギャンブルもしない、母を労ってくれるような人間がいい。あの男のように苛立ったらすぐ力に頼るような人間は却下だ。

そんな願いも儚く、母が連れてきたのは海軍だった。確かに正義側の人間であるが、力でねじ伏せるのは一緒である。それどころが葉巻を一度に二本も吸うし、カジノが趣味ときた。ダメだ。母の願いであろうとこんな男は許せない。しかも海軍のくせにまるでヤクザのような面をしている。G-5に所属していると聞いて納得した。あの海兵帽を被っただけのチンピラの集まりにいるなら納得だ。

私はその海兵が父になることを認めなかった。再婚したらあの男の二の舞になると決まっている。認めないと言えば、海兵はただ静かに「そうか」と言った。

意外にも母と海兵の交流は続いている。もとより、海軍の食堂で働いている母だ。そこで交流が始まったのだろう。結婚できないと分かったのに、なぜ続けているのか。

>>16

2二次元好きの匿名さん24/05/02(木) 22:39:46

ある日、家に見慣れない花瓶が置いてあった。ガラスではない、不透明な瓶である。そこに一輪花が挿してあった。買ったのかと聞けば、あの海兵からもらったと母は言っていた。どうやら手作りらしい。驚いた。あんな男がこんな繊細なものを作り出すとは夢にも思わなかった。

また別の日、あの海兵が街を歩いているのを見た。何をしているのかと陰から覗けば、小さい子供に何やら話しかけている。しかし子供は泣いてばかりで答えようとしない。それでも海兵は、怒鳴りつけることはなかった。ただ子供が泣き止むまでそこにいた。

またある日は、私がクレーマーに当たった時だった。バイト先で、当たった客が悪かったのだ。虫の居所の悪い客に誤って水をかけてしまった。その途端、客は風船が割れたように怒鳴り出した。水がかかったくらいで、そんなに怒るのかと思ってしまうくらい叫んでいた。しかし、その客に声をかけた人間がいた。海兵だった。海兵はクレーマーを睨みつけていた。それでもクレーマーは怒りが収まる気配がなくて、ついに海兵に拳を振るった。

振るった拳は海兵の顔を突き抜けた。ただ風にぶつかった煙が歪むように、海兵の顔が欠けた。それに驚いたクレーマーはとっとと店の外に走り出してしまった。他の客も、再び食事へ戻る。海兵が立ち尽くしている私に向かった。「大丈夫か」と問いかけた海兵の顔はどこも欠けていなかった。

改めて海兵の名前を「スモーカー」と知った。そしてスモーカーは、海軍の中々上の立場だと聞いた。このご時世、スモーカーはとても忙しいらしい。最近は食堂に現れないと母が言っていた。

ちなみに私はスモーカーを父と認めていない。あの男とスモーカーは似ても似つかない人間だと分かったが、母を不安にさせるような男には再婚させるには百年早いのだ。

>>16

3二次元好きの匿名さん24/05/02(木) 22:40:12

という幻覚を見たのであとは頼んだ

4二次元好きの匿名さん24/05/02(木) 22:49:41

言い出しっぺ！！！！

5二次元好きの匿名さん24/05/02(木) 22:51:02

いや終わりまで続けろ！

6二次元好きの匿名さん24/05/02(木) 23:10:53

ちょっと待て！？こっちに頼むなよ！いいのか？こっちに頼むとハッピーエンドならいいがバッドエンド·メリーバッドエンド·バームクーヘンエンドに行くかもしれないよ？

>>7

7二次元好きの匿名さん24/05/02(木) 23:12:27

>>6