- 1二次元好きの匿名さん24/05/03(金) 02:39:49
- 2二次元好きの匿名さん24/05/03(金) 02:40:46
くっ、あのダサいロボ早い!
- 3二次元好きの匿名さん24/05/03(金) 02:41:05
リオが自爆スイッチ起動させそうなのがネックだけど逃避行はいいぞ
- 4二次元好きの匿名さん24/05/03(金) 02:44:21
リオが敵に回ったらアリスのレールガンの電源を落としたようにアバンギャルド君も落とされそうだから、一応味方サイドってことで
- 5二次元好きの匿名さん24/05/03(金) 03:02:50
- 6二次元好きの匿名さん24/05/03(金) 03:03:18
やっぱり書きたいから書きます
その日はセミナーでの会議に参加した後、シャーレに帰る途中でミレニアムでの仕事が残っていることに気が付いたため、ゲーム開発部の部室で夜遅くまで作業をさせてもらっていた。作業中風が吹くような、空気が揺れるような気がしていたが、疲れているだけだろう。
"ようやく終わった……。さて、帰り支度を"
荷物をまとめて立ち上がり、部室を出ようとドアを開けたところでドローンと遭遇する。
確かこれはプレナパテスの騒動の際に見たような……。
"もしかして君はリオのドローンかな?"
リオ「ええそうよ。先生、お疲れのところ悪いのだけど少し話があるわ」
"話と言ったらこっちからもね。一応リオの行動は世界を守るためでもあったし、アリスとも話せたんだから。そろそろ戻ってきても"
リオ「それについては後で話しましょう。先生が狙われてる今、時間がないわ」
"私が狙われてる? ここは仮にも科学の最先端のミレニアムで警備は問題なさそうだけど、どういうことか聞かせてもらえるかな"
どうやらゆっくりと話している暇はなさそうだ。 - 7二次元好きの匿名さん24/05/03(金) 03:04:10
そう、ユズが無事なのはロッカーに入ってたからなんですね
- 8二次元好きの匿名さん24/05/03(金) 03:14:23
でも、アヴァンギャルド君味方になると途端に弱くなるじゃん…
- 9二次元好きの匿名さん24/05/03(金) 03:18:37
"それで私が狙われてるっていうのは?"
リオ「何が原因かはわからないのだけど今日の夕方から夜にかけて、ミレニアム全域に謎の薬品が散布されたようなの。効果を発揮するまでにある程度時間はありそうだけど、こうして様子を見に来た先生に異常がないあたり、恐らくそれはキヴォトスの生徒に影響するものでしょう」
"薬品……。ひとつ聞くけど、リオは私に接触してきてるあたり問題ないのかな?"
リオ「そうね、私は行方をくらますにあたってミレニアムからは出ていたから。ともかく、それらの影響で生徒たちはうわごとのように先生先生と、あなたを求め始めているの。まだ薬品が完全に効いていなくて耐えているのだけど、それも時間の問題のようで、先生には無事にミレニアムから脱出してもらう必要があるわ」
"その目的は?"
「今のところはわからないわ。愉快犯かもしれないし、大きな陰謀が動いているのかもしれないけれど、それを議論するのは安全を確保してからね」
つまりは今このミレニアムにいると危ないから、何とか逃げる必要があるようで。
"しかしキヴォトスの生徒と違って、私一人ではこの学園の敷地から抜け出すことも困難、リオの助けに頼ることに……"
リオ「いえ、一人だけその効果を受けていない生徒がいるわ。彼女の助けも借りながら行きましょう。先生、部室に戻ってロッカーを開けて頂戴」
言われるがままに部室内へ引き返しロッカーを開けてみれば、そこにはポータブルゲーム機を片手に驚いて固まっているユズがいた。 - 10二次元好きの匿名さん24/05/03(金) 03:19:02
むしろユズもしっか惚れ薬にかかってて先生を独占するために…って可能性も有りそうだ
- 11二次元好きの匿名さん24/05/03(金) 03:19:36
バリバリの工学系が化学系の奇跡を起こすな
- 12二次元好きの匿名さん24/05/03(金) 03:36:41
ユズ「あの、その……」
"ユズ!? モモイ達と一緒に部室から出たんじゃなかったの?"
ユズ「ゲームがいいところだったから、みんなには先に戻っててもらったんだけど、帰る前に先生がここで仕事を始めちゃったから邪魔するのも悪いかなって……」
"それはなんか悪いことをしちゃったね……"
ユズ「いえ、さっきの話も聞かせてもらいました。むしろ私がロッカーに入っててよかったのかもしれません」
リオ「丸腰の先生と私のドローンだけじゃ戦力はたかが知れてるわ。一人でも生徒がいるだけで大違いよ。取れる戦略の幅が広がるのだから」
リオの話では学園の敷地から抜け出せたとしても、ミレニアムの区域から逃げる必要があるとなれば、学園の外にいる生徒からも逃げなければならない。かなり難しい状況ではあるが、ユズがいてくれるだけでもかなり助かるはず。
"まあこういう自体らしいけど、今頼れるのはユズだけだから頼りにしてるよ"
ユズ「はい。他の皆さんには先生に指一本触れさせません」
リオ「しかし厳しいことに変わりはない、必ずどこかでC&Cが必ず来るはずよ。他の生徒はごまかせても、彼女らを相手するには相応の準備が必要になるわ……」
そう、ミレニアムにはアリスの件でも虚妄のサンクトゥム攻略でも活躍したC&Cがいる。……これはどうすればいいんだろうか。それに対しておずおずと手を挙げるユズ。
ユズ「先生、アバンギャルド君で逃げましょう」
"……今なんて?" - 13二次元好きの匿名さん24/05/03(金) 04:07:36
ユズ「先生、アバンギャルド君で逃げましょう」
ユズ「お世辞にも私はアリスちゃんやC&Cの皆さんみたいに強くはありません。しかしアバンギャルド君が使えるのなら、私はUZQueenとして先生を守り切る自信があります。それに走って逃げるよりも早く脱出できるはずです」
確かにユズは改良されたアバンギャルド君Mk.3を操縦して戦えていたし、その舞台も考えれば火力も申し分ないだろう。これに乗らない手はないか。
"よし、その手で行こう"
リオ「話はまとまったようね。それじゃあまずはアバンギャルド君を回収に向かいましょう。電子ロック等は私の方で解除するから、二人は動きを悟られないようできる限り静かに移動して頂戴」
先行するリオのドローンの案内に従い、こそこそと移動する。
監視カメラなんかもリオに頼り切りではあるが、私にできることは何もないので今はただ進むのみ。
そうして到着したのはエンジニア部の格納庫だった。
その中には端の方に鎮座するアバンギャルド君Mk.3、しばらく使われることもなく物悲しそうにしている。
リオ「さすがにこれを起動したら感づかれそうね……。何かしておくべきことがあったら、今のうちにする必要があるけど、どうかしら」
そこでひとつ気がかりなことを聞く。
"当たり前のことを聞くようで悪いんだけどさ、アバンギャルド君って操縦席とかないよね……"
リオ「その通りよ。あくまで遠隔操作する兵器なのだから、搭乗スペースはないわね」
ユズ「そっか、先生が直接狙われちゃまずいもんね。何か先生を守るもの……」
キヴォトス基準で考えれば私は一番弱いのだから、せめて中に乗る必要がある。そうでなくともC&Cは簡単に走行中でも張り付いてきそうだ。
きょろきょろと辺りを見回すユズがふと格納庫の隅を指さす。 - 14二次元好きの匿名さん24/05/03(金) 04:25:15
ユズ「あれなんてどうでしょうか」
リオ「あれは……ロッカーね」
"ロッカーだね"
指さす先には用具入れのロッカーがあった。
ユズ「今から強固なシェルターを作ってる時間なんてありませんし、他に先生が入るサイズで身を守れそうなものは置いてません。その上私のホームグラウンドでもあります。部室のロッカーじゃないことだけは気になりますけど」
"確かに、その他に使えそうなものはないけど……"
リオ「耐久性に不安が残るわね……」
そもそも身を守るためのシェルターは大きさが必要だから、それ目的でないと作られないだろう。
しかしないものねだりをしてる余裕もない。一刻も早く立ち去る必要があるのなら。
"ここはエンジニア部の格納庫、幸い取り付けるのに必要そうな道具はある。二人とも、手伝ってくれるかい"
ユズ「はい、頑張りましょう」
リオ「もちろんよ」
こうして慣れないながらも力を合わせ、ロッカーの取り付けが終わるころには日が昇り始めていた。 - 15二次元好きの匿名さん24/05/03(金) 05:05:18
そうしてロッカーのついたアバンギャルド君にユズと乗り込み、リオに起動を頼む。
ユズ「先生、近いです……」
"ごめんね。でもこれしかないから、しばらく我慢してね"
ユズ「いえ、大丈夫です」(むしろ嬉しいかも……)
リオ「それじゃあ行くわよ。止まってしまえばそこで終わり、覚悟しなさい」
アバンギャルド君が起動すると同時に、ユズの握るコントローラーにも明かりがつく。接続成功ということだろう。
格納庫のシャッターも上がり、ユズの操縦に従ってアバンギャルド君が速度を上げて前進を始めた。
ちなみにカメラについてはアバンギャルド君のカメラとシッテムの箱をつないでもらい、ロッカーからでもユズが操縦できるようにしてある。
ユズ「先生、どちらへ向かいますか」
"D.U.地区に向かって。あそこならシャーレがあるから、最悪追いかけてきてたとしてもなんとかなると思う"
恐らく私が何もメッセージを残さずに長時間シャーレを空けているため、ミヤコたちが動いているはず。あんまり迷惑はかけたくないが、背に腹は代えられない。
ユズ「先生、来ました。敵襲です」
"私が指示するよりユズの方が感覚的にも慣れてると思うから、好きにやっちゃって"
ユズ「わかりました」
アバンギャルド君の機銃が火を噴き、そこかしこから殺到するミレニアムの生徒をなぎ倒してゆく。
さすがリオの虎の子アバンギャルド君、並大抵の生徒では太刀打ちできないらしい。 - 16二次元好きの匿名さん24/05/03(金) 05:19:41
"しかし見た目はアバンギャルド君なのに、なぜ私が乗っているとわかるんだろうか"
リオ「件の薬品のせいでしょうね。先生の居場所を匂いか何かで感知しているのかもしれないわ」
"嫌な薬だなあ……"
ユズ「先生、この端末にレーダーとかってありますか? あるとさらに戦いやすいのですけど」
"アロナ、レーダーを出せるかい"
アロナ「お任せください! ミレニアムの生徒のみを検出しますね」
アロナに頼むとカメラと繋がるシッテムの箱右上に円形のレーダーが映る。
ユズ「ありがとうございます」
どのルートからどの人数が来るのかが判明しただけでも、アバンギャルド君の動きは明確によくなった。
そしてそのままミレニアム学園の敷地を抜け、その先には誰かが仁王立ちしていた。
ユウカ「先生、無駄な抵抗はやめて止まりなさい! 先生は私たちに、いや私に捕まるべきです! 私が先生を大切に保護してあげますから! だからリオ会長の置き土産から降りてきてください!」
ユズ「あ、あれは!?」
"ユウカ!? いや、いいか。ユズ、そのまま突っ込んじゃって"
ユズ「いいんですか!?」
"ユウカならどうせ避けるし、ろくでもないことになりそうだからスルーで" - 17二次元好きの匿名さん24/05/03(金) 11:16:01
一度は減速しかけたアバンギャルド君は再び最高速度に達し、ユウカに突っ込む。
しかし予想通りユウカは慌てて避けてくれた。
ユウカ「先生! たまには私にもお時間ください!!」
とりあえず薬が切れるまでは無理かなあ……。
叫ぶユウカを尻目に学園を後にして、しばらく走っていると生徒も見当たらなってきた。
ユズ「もう少しでしょうか」
リオ「いいえ、まだよ。本命のC&Cがそろそろ来るはず」
ユズ「!」
私にはわからなかったが、ユズは察知したのだろう。何処かから飛来する銃弾を盾で弾く。恐らくカリンのだろう。
他のC&Cのメンバーも、付近の2階建ての建物の屋上に降り立つ。
アスナ「ご主人様、こんなところで会うなんて偶然だね!」
アカネ「しかしこれもまた運命なのかもしれません」
ネル「さあ先生、諦めて大人しく投降しな。悪いようにはしねえからさ」
しかし何をされるか分かったものではない。C&Cは恐ろしいが、これを降りるわけにもいかず……。 - 18二次元好きの匿名さん24/05/03(金) 11:41:26
このレスは削除されています
- 19二次元好きの匿名さん24/05/03(金) 11:48:10
ユズ「先生、応援してください」
"応援?"
ユズ「頑張ります、今の私はユズではなくUZQueenとしてここにいます。先生が信じてくれるなら、私もっと頑張れますから、だから応援してください」
"わかった。ユズ、頑張って。もしこれが無事に終わったら、何でもひとつ言うことを聞いてあげる"
ユズ「なんでも!」
"例えば毎日ゲームに付き合ってほしいとかでも、なんとか時間を作るよ"
ユズ「二言はありませんね?」
"もう私はユズとリオには頭が上がらないからね、リオも何か考えておいて"
リオ「……わかったわ」
"C&Cを相手にするのに一つアドバイス。言わずもがなネルを一番警戒しつつ、生半可な攻撃は避けてくるアスナを抑える必要がある。正直それだけでも手一杯だろうから、まずいと思った時以外はアカネとカリンに対してはある程度で大丈夫。頑張って"
ユズが少しの間目を閉じて考え、次の瞬間指はコントローラーのボタンとスティックを捌き、三本の兵装を同時に使い分けていた。ネルには常時動きをけん制するべくメイン火力の機銃を、優先度を下げたと思われるアカネには肩のガトリングを、数撃っても避けられそうなアスナにはバズーカの爆風を、カリンに対しては変わらず盾でその銃撃を防ぐ。
薬で正常な思考でないことから動きは鈍っているが、それでもC&Cの名は伊達ではない。今まで無双してきたユズが押されている。武器が3つしかないところでカリンがこの場にいないことは救いか。
ユズ「そういえばC&Cって5人でしたよね。さらに来られたら厳しいです」
"そういえばトキがいない……。いや、恐らく今回は来ないから心配しなくてもいいよ"
きっとシャーレに来ていたせいで薬の影響を受けていないのだろう。今回ばかりはすごい助かっている。さすがにアビ・エシェフまで持ち出されてはすぐに負けていたはず。 - 20二次元好きの匿名さん24/05/03(金) 12:12:47
何も妨害もなしにC&Cから逃げきれるわけもないため、なんとか粘って戦い続けるもののこのままではいずれアバンギャルド君は倒されてしまう。どこかで逆転の手を打たないといけない……。
ユズ「先生、消耗の確認をお願いします」
"わかった。アロナ、現状の報告を"
アロナ「了解です、先生! アバンギャルド君と接続されている今、状態が手に取るようにわかりますよ! C&Cの皆さんと交戦を開始してから20分ほど経過しています。ユズさんの操縦により機体の損傷こそ軽微ですが、消耗している弾がかなり多いです。ネルさんを相手にする機銃が残弾15%、ガトリング砲が残弾35%、バズーカは20%しか残っていません。そろそろ厳しいです、どこかで逃げなければいけませんけど、どうしましょう」
ユズにアロナの報告を伝えて、なんとか逃げる方法を考える。何か使えそうなものはないかと、操縦するユズと共に改めてシッテムの箱のカメラ映像を睨む。
"どうにか逃げる方法がないわけでもないが……。リオ、ひとつ聞きたい"
リオ「何かしら」
"もし私が無事に逃げ切るためだとして、このあたりの建物を、例えばあそこの4つのビルを壊すとかありかな。……ミレニアム的にありじゃないことを聞いてるのはわかってるけど、正直私でもこれ以外のことは思いつかない……"
リオ「それが必要だというのならやるべきね。ちょうどこの辺りはまだ開発途中で人が少ないし、恐らく問題はないはず。私がその損害を補填するわ」
"リオ、別に私に負い目を感じる必要はないからね"
リオ「いいえ、先生がいなければ私はキヴォトスを滅ぼす一因になっていたかもしれないし、結果的にどうにかなって、その上で先生は私に頭が上がらないと言っていたけれど、それは私も同じよ。これからは私が強力する番」
"そっか、ありがとう。リオ" - 21二次元好きの匿名さん24/05/03(金) 12:39:39
道は決まった。ここからはユズの腕とC&Cの薬の効き具合にかかっている。
"ユズ、バズーカを温存して他の3つの武装で対処しつつ、バックであそこのビル群まで向かって。それと機体はまだ持ちそうだから、アカネ以外の3人に集中して"
ユズ「わかりましたけど、地図とかないですか。さすがに私でも地形がわからないとバック走は」
"アロナ、地図を頼む!"
アロナ「お任せください、周辺の詳細な地図データをレーダーに組み込みました。いい感じだと思いませんか、先生」
ユズ「ありがとう、先生。これならなんとかなるかもしれません」
正面から襲い来るネルを機銃ではなく横から盾をぶつけて吹き飛ばし、アカネには突然バズーカを撃ち込んで動きを止め、アスナを邪魔にならない位置に機銃で誘導しつつ、後ろを向いてバックで走り出すアバンギャルド君。
こんな無茶振りにも応えてくれるあたり、ユズには感謝してもしきれないが、それは後だ。今は逃げなければ。
ユズ「先生、次は?」
"レーダーを見て。この通りをそのまま進むと左右に大きなビルが建ってるから、それをバズーカで倒壊させて全速力で行方をくらませてほしい"
ユズ「なるほど、あれですね。でもC&Cに通用するんでしょうか」
"今は薬でどんな影響が出てるのかわからないけど、普段より弱っているのは確かで感覚器官なんかも鈍ってるかもしれない。選択肢が他にないからやってほしい"
ユズ「わかりました」
ビル群へ猛進するアバンギャルド君に追いすがるC&C、しかし大きく動かずに戦っていた先ほどと比べて攻撃の手はいくらか緩んでいるものの、ビル群に近づくにつれ被弾も増えている。アバンギャルド君を追いかけての攻撃に慣れ始めているのか。 - 22二次元好きの匿名さん24/05/03(金) 13:24:04
ユズ「先生、まもなくポイントに差し掛かります。ビルを壊しますか」
"壊すのが遅いと通過される可能性もあるから、盾だけ防御に残して他の武器でやっちゃって"
ユズの操縦に従ってアバンギャルド君の兵装が真新しいビルへと向けられ、一斉に火を噴く。やはりC&Cが規格外なのだと思い知らせるかのように、その攻撃を受けたビルはあっさりと崩れてゆく。それが続けて4回ほど。瓦礫が落ち切る前にその下を潜り抜け、大通りは瓦礫で完全に封鎖され、空高くまで土煙が舞うことで視界も遮り、轟音により音も少しの間遮断されている。
"確認をしてる暇はない。ユズ、とにかく急いで"
ユズ「わかりました」
すぐにC&Cが出てくる様子はなく、煙に包まれたビルの倒壊現場から速やかに離れる。
しばらく走ったところで改めて聞いてみる。
"アロナ、追手は確認できる?"
アロナ「いえ、C&Cの皆さんも先の作戦が上手くいったのか、追ってきてはいませんね。けどD.U.地区も近いですが油断は禁物ですよ。既に全部の武器の残弾数が5%を下回っています。機体もそこそこダメージを受けてしまっています。ここでまた強い生徒さんが来たら……待ってください、前方に誰かいます」
アロナの言葉に従いカメラに注目してみれば、そこにはピンクと緑と青のミレニアムの生徒がいた。
"あれは、まさか"
ユズ「モモイとミドリ、それにアリスも!?」 - 23二次元好きの匿名さん24/05/03(金) 15:37:14
C&Cからもなんとか逃げ切り、あと少しというところで立ちふさがったのはゲーム開発部だった。
モモイ「聞いたよ、ユズ! 先生が好きなのはわかるけど、だからって独り占めするのはキヴォトスでは恥ずかしいことなんだよ!」
ユズ「ちょ、ちょっと、何言ってるの!?」
モモイからの呼びかけにわたわたと慌てるユズ、さすがに問答無用で逃げることはできないか。
他二人もそれに続いて呼び掛けてくる。
ミドリ「先生も大丈夫、悪いようにはしないから。その変なロボから降りてきて」
リオ「やっぱりアバンギャルド君は変なのね……」
アリス「そうです、ユズと先生はアリスのパーティーメンバーですから。出てきて一緒にクエストをしましょう」
ユズ「えっと、先生どうすれば……」
さすがのユズも相手が彼女らとあって、どうすればいいか決めあぐねている様子。
それに相手が相手なだけに、ここを私の一存で決めてしまってはユズの後の関係に響くかもしれない。
"私個人としてはここまで来たから、アリスを昏倒させてこのままゲーム開発部も突破して、安全圏まで逃げたい。けどユズは迷ってるんだよね、友達を傷つけるのを躊躇っているんだよね"
ユズ「はい」
"だからこそ私がそれを決めることはできない。大変だと思うけど、これはユズ自身で決断するべきことだから。これを使うね"
ユズ「私のフリーパス……」
"私よりみんなを優先したとしても、私はその選択を尊重するから" - 24二次元好きの匿名さん24/05/03(金) 16:02:21
ユズ「……」
ユズ「私の選択は……」
ユズは無言でコントローラーを操作し、アバンギャルド君をモモイ達の元へゆっくりと前進させる。
その動きを見てにわかに沸き立つモモイ達。
モモイ「ユズがわかってくれてよかった! さあ、帰って一緒にゲームしよ!」
ミドリ「先生も一緒ですよ、楽しいことをしましょう」
アリス「パンパカパーン! ユズと先生がアリスのパーティメンバーに復帰しました!」
ユズ「私は……!」
アバンギャルド君がモモイ達の目の前で止まったが、ロッカーが開かれることはなく、突然アリスに対して全ての武装で集中砲火を始めた。そして弾幕が晴れたそこには、アリスが倒れていた。
アリス「ア、アリスは火力支援により甚大な被害を受けました! 活動限界です! ユズ、助けてください!」
ミドリ「いや、違うよアリスちゃん。今の攻撃はユズちゃんから。一体どういうこと?」
モモイ「ユズ!? 突然何してるのさ!?」
ユズ「もしここで私が逃げたら先生は悲しむし、多分この先ずっと後悔することになるから。だから私は、今だけはみんなの敵になるね。それも追い付けたらの話だけど」
それだけ言い残して、ユズはアバンギャルド君を改めてモモイ達を避け、D.U.地区へと全速力で走らせた。
もちろんモモイ達が追い付けるはずもなく、既にその姿は見えなくなっていた。 - 25二次元好きの匿名さん24/05/03(金) 16:12:23
そして、なんとかミレニアムの地区を抜けてD.U.に入った後は、何事もなくシャーレに到着した。
シャーレの前にアバンギャルド君が止まったことで、何事かとシャーレからRABBIT小隊とトキが出てくるのが見えた。
そこでアバンギャルド君を降りる前にひとつ聞いてみる。
"私を守ってくれてありがとう。だけどユズ、よかったの?"
ユズ「はい、後悔はしていません。先生が笑顔でいてくれる方が私は嬉しいです。それにアリスちゃんは頑丈ですから、寝て起きればケロッとしてるはずです」
"ユズ……"
ユズ「それと、フリーパスはもっと別の機会に使ってください。先生がしてほしいこと、嬉しくなるようなことで使ってほしいです。こんな悲しいことで受け取れません」
ユズにフリーパスを突き返されてしまった。
しかしそれもそうか、私もある意味では悪い大人なのかもしれない。 - 26二次元好きの匿名さん24/05/03(金) 17:30:38
アバンギャルド君から降りてシャーレに入り、ユズとリオと共に一息つく。
恐らくここまで追ってくることはないだろうけど、念のためミヤコ達には事情を説明して周辺の警戒にあたってもらっている。
"ユズ、リオ、お疲れ様。無事にここまでこれたのは二人の協力のおかげだ。改めてお礼を言わせてほしい"
ユズ「先生にはゲーム開発部のことから色々助けてもらってますから、顔を上げてください。これは私がしたくてやったんです」
リオ「私も同じよ。先生には返しきれないほどの借りがあるから、それを少しでも返せたのならよかったわ」
"それでもありがとうと伝えておくよ。……それはそれとして、今後のことだけど"
リオ「ええ、私の方で原因を探ってみる」
"キヴォトスの科学の最先端にいるミレニアムがやられたのなら、それはミレニアムの生徒にしか解決できないし、他の学園の生徒を頼ることもできない。何とか頑張ってほしい。もちろんリオの情報は秘密のままでも、シャーレからの協力は惜しまないから、必要になったら遠慮なく言ってね"
リオ「わかったわ、先生。それじゃあ私はここで。何かあったらまたこのドローンで連絡するわ」
さて、これで近いうちに大元の問題は解決するはず。
しばらくミレニアムへ出向けないことについては、目をつぶるとしよう。 - 27二次元好きの匿名さん24/05/03(金) 17:41:37
いいぞ…
- 28二次元好きの匿名さん24/05/03(金) 21:48:08
ユズ「先生、ちょっといいですか」
"何かな"
ユズ「『何でもひとつ言うことを聞いてあげる』って言ってましたよね」
"言ったね。でもC&Cも振り切ってここまで来れてるし二言はないよ、ユズは頑張ったから私にできる範囲で何でも言ってね"
ユズ「なら普段は絶対に断られちゃうこと、聞いてもらった方がいいですよね」
"そうだね"
ユズが深呼吸をして、お願いしてくる。
ユズ「私とえっちしてください」
"……そうきたかぁ"
一定数の生徒から好意を持たれていることはなんとなく把握していたが、真剣な表情でいざ言われると微妙な気分になる。もちろん悪い気はしないどころか嬉しさもあるが、先生と生徒であり大人と子供であるのが高いハードルになってるわけで。それと私が誰かひとりを本気で好きになっているわけではない、誠実さに欠けるのではないかという点も引っ掛かる。
"本当に私でいいのかな? 私はまだユズのことを誰よりも好きというわけでもないけど"
ユズ「はい、先生だからいいんです。他の人なんて嫌ですから。それと、先生にはこれから私を好きになってもらいます」
ユズ「それにほら……、口ではそんな先生みたいなこと言ってても、私がお願いしたらちょっと硬くなってるじゃないですか」
ユズが下腹部に手を伸ばし、衣服越しに情けなくも少し期待してしまっているソレを撫でる。 - 29二次元好きの匿名さん24/05/03(金) 22:29:06
閲覧注意付けてなかったので、以降は格納します
何でも言うこと聞くっていっちゃったら、そりゃロクなことにならないからね
でもこういうのは書いたことないから、書ける気がしないことだけが問題
ユズと先生えっち"何でも聞いてあげるって言っちゃったし、約束は約束だ。ベッドに行こっか"ユズ「はい」
ユズと手を繋いで仮眠室へと向かう。こうして握ってみるとその手は小さく、私を守ってくれたそれとは思えないほど、女の子のものだった。
そうしてユズとベッドに並んで座る。
お互いの鼓動が聞こえそうな距離にいて、こうしてみると緊張してくる。
ユズ「……先生の服、脱がせてもいいですか?」
"今回はユズへのお礼だからね、言ってから好きにしちゃっていいよ"
ユズ「ありがとうございます、それでは失礼します」
ユズにされるがまま、あっという間にパンツ一枚に脱がされてしまうが、そこで重要なことに気が付く。
"そうだ、昨日からミレニアムにいたから、先にシャワーを浴びた方がいいよね……"
ユズ「ダメです、先生の濃厚な匂いが落ちちゃいますから」
好きにしていいという言葉の通りシャワーを許さず、ユズはぺたぺたと私の体のあちこちを触り始め、時には匂いを嗅ぎ、時には優しく舐め、嬉しそうな表情を絶えず浮かべていた。
ユズ「先生の耳も指もおいしい、おへそもかわいい。それに先生もカチカチになってますね、嬉しい//」
"……っ"
やっぱ…telegra.ph - 30二次元好きの匿名さん24/05/04(土) 02:15:03
- 31二次元好きの匿名さん24/05/04(土) 03:00:12
これはリオのお願いの内容も気になってしまうな
- 32二次元好きの匿名さん24/05/04(土) 08:57:14
件の薬品事件についてはリオが動いたということもあり、数日でその効果は無事解消され、原因も特定するに至った。
具体的な効果については問題があったとのことで、秘匿されてしまい不明のままではある。
リオ「今回の事件はエンジニア部によるものだったわ。新しい開発をすること自体を否定はしないのだけど、もう少し考えてほしいわね」
"助かったよ、リオ。これで安全にミレニアムを歩ける"
再発防止にあたって、エンジニア部にはセミナーから厳重注意がされたのだとか。
ちなみにアバンギャルド君については、リオにより修繕と補給がなされ、非常時に備えてエンジニア部の格納庫へ戻されている。
リオ「それと、ひとつ言うことを聞いてくれるって話についてだけど、やっぱり私は自分を許せないしミレニアムに戻ることはできないのだけど、私が去ったことでセミナーにも影響が出ているだろうし、罪滅ぼしはしなけばいけないわ。そこで先生にはミレニアムにおける現状の問題等をまとめて、私に定期的に報告してほしいの。私の方で解決できるようであれば、必要なものを先生の元に届けるから、私の存在は伏せてミレニアムに運んでもらえないかしら」
"それくらいなら問題ないよ、ユウカ達も喜びそうだ"
リオもあれから立ち直ってきているようで何よりだ。
そうして平和な日々に戻ったものの、変わったことがひとつだけある。
ユズ「先生、お弁当を作ってきました。一緒に食べましょう」
"いつも悪いね、ユズも大変だろうに"
ユズ「いえ、私がしたいからやってるんです。遠慮なんてしないでください」
約束とはいえ一線を越えてしまった以上、はいさよならなんてできるはずもなく、ユズとこっそり恋人として付き合い始めていた。もちろん責任を取るという考えが最初は強かったものの、一緒に過ごす中でユズがとにかくかわいくて、惹かれていくのも感じていた。
ユズ「先生、これからも一緒にいてくださいね」 - 33二次元好きの匿名さん24/05/04(土) 09:05:59
とりあえず終わりです
ロッカーにいたユズと先生とリオのドローンで逃げようってことだけ浮かんでから、細かいとこは流れで考えてました
書いてから正直どうなのかと思うこともありました
やっぱり何がしか書くには文才と豊富なボキャブラリが必要ということを実感させられる一幕でしたね
まあGWなので大目に見ていただければと - 34二次元好きの匿名さん24/05/04(土) 09:11:56
尊いものを見せてもらった
感謝 - 35二次元好きの匿名さん24/05/04(土) 09:14:37
そうそう、それと最初は原因が謎の怪電波みたいなもの想定していたところに>>5のレスがついたので、せっかくだから採用してみました。最後にアバンギャルド君のロッカーには、先生がロッカー奥に背中がつくように入ったとこでユズも入ってから、ユズが見やすいよう横向きシッテムで持っていた感じでした。表現って難しいね……
- 36二次元好きの匿名さん24/05/04(土) 19:51:15
…邪推ですが実はユズも薬が効いていてこうなることを見越して打算で先生を助けた可能性は?