- 1二次元好きの匿名さん24/05/07(火) 23:49:05
ある日の昼下がり、ソファでうたた寝をしていたオレは左手に違和感を覚え目を覚ました。『誰かが左手に何かをしている』、誰かはすぐに分かった、アイツだ。この家にはオレとアイツしかいない。
アイツとはオレの元トレーナーで、今はオレの…恋人だ。
現役引退後、学園を卒業し、二十歳を過ぎたオレはアイツの熱烈なアプローチを受け、それに応えてやった。
契約終了後もちょくちょく連絡を取り合いたまに食事やらしていくうちにオレに異性として惹かれていったらしい。
…オレも、何とも想ってない奴からの告白を受け入れるほど軽薄なつもりじゃねェ。
…まァつまりそういうこった。
付き合いだしてからもオレ達の距離感は一般的なカップルと比べてかなり変わってるンだろう。人混みや喧騒を嫌うオレの性格を考慮して、デートは専ら家で過ごしていた。
…所謂『イチャイチャする』ってのも少なかった。…無論、ゼロってわけでもねェがな。 - 2二次元好きの匿名さん24/05/07(火) 23:49:28
- 3二次元好きの匿名さん24/05/07(火) 23:49:48
- 4二次元好きの匿名さん24/05/07(火) 23:50:11
何もこンな測りずれェ姿勢の時に測るこたねェだろ…
しゃーねェな…
相変わらず非効率的で、ロジカルじゃねェ
コイツに助け船を出してやることにした。
「ン…うぅん…」
オレは寝返りを打ちながら、左手で目を擦った。
ガタン!という音が響くが、気にせず目を擦る。チラッと覗いてみると、机の足にくるぶしを打ちつけたであろうアイツが声を殺して悶絶している姿が見えた。
吹き出しそうになるのをなんとか耐え、仰向けの姿勢になり、左手をソファから投げ出す。すると、なんと左手は『偶然』にも机の上に乗っかった。更にさっきよりも指が開かれている。
オラ、これで測り易くなっただろ?
少し待ってみたが近くに気配が感じられない。気になってまた瞼を開いてみると、部屋の隅で人見知りの猫みたいな目でこちらの様子を伺っているアイツがいた。
- 5二次元好きの匿名さん24/05/07(火) 23:50:43
- 6二次元好きの匿名さん24/05/07(火) 23:51:07
- 7二次元好きの匿名さん24/05/07(火) 23:54:55
- 8二次元好きの匿名さん24/05/08(水) 00:02:44
最高です…。お家デートで空間を共有出来る程丸くなったシャーたんと奥手だけど時に大胆なシャカトレが微笑ましい…。
- 9二次元好きの匿名さん24/05/08(水) 00:35:35
シャカトレを接種すると健康になるし試験にも受かる
- 10二次元好きの匿名さん24/05/08(水) 00:36:54
応援スレに推薦しておいた
- 11二次元好きの匿名さん24/05/08(水) 00:49:07
皆さんこんな遅い時間にありがとうございます。
もっとボロカスに言われてるのかと思っていたらなんと温かいお言葉…
シャカールは勿論好きなんですが、育成したらシャカトレのことも好きになってしまいまして。
大好きな二人にいつまでも幸せでいてほしいなと、
シャカトレならグダグダになりながらもサプライズの準備してそうだし、シャカールならそんかシャカトレを「仕方ねェな」思いながら気付かないフリしてそうだなと思いながら書きました。 - 12二次元好きの匿名さん24/05/08(水) 00:51:09
- 13二次元好きの匿名さん24/05/08(水) 01:12:20
ニヤニヤさせてもらった
- 14二次元好きの匿名さん24/05/08(水) 02:05:33
- 15二次元好きの匿名さん24/05/08(水) 06:13:31
- 16二次元好きの匿名さん24/05/08(水) 17:40:24
なんか思いついたんで、今おまけ書いてます。
- 17二次元好きの匿名さん24/05/08(水) 18:18:56
今日の夕飯は回鍋肉だった。うま味たっぷりの豚バラ肉とシャキシャキで甘いキャベツに甘辛い味噌味のタレがよく絡み、ご飯がすすむ。
うまいうまいと食べ進めていると、向かいに座っている俺の恋人、エアシャカールが不思議そうな顔をして俺を見ていた。
何を隠そう今日の夕飯は彼女が作ったのだ。
「旨いとは思うけどよ、そンな大騒ぎするほどか?市販の料理の素で具材炒めただけだぞ?」
「美味しいよ?自分でも作ったこと何回もあるけど、その時よりずっと美味しい!シャカールが作ってくれたからかな?」
「ハイハイ…そりゃドーモ…」
呆れた様子を見せながら、彼女も、ご飯やおかずを口に運んでいく。
(思えば、随分変わったなぁ…)
ウマ娘なだけあって、沢山食べる彼女を見ながらふと、彼女の現役時代を思い出す。 - 18二次元好きの匿名さん24/05/08(水) 18:19:36
当時の彼女は何をおいても効率を重視していた。それ故食事は最低限、栄養さえ摂れれば良いとゼリー飲料やエナジーバー等で済ませてしまう事も多かった。
また彼女は一人で食事をすることも多かった。たまにファインモーションや、タップダンスシチーといった友人達と嫌々食事をしているところを見掛けたが、トレーナーである俺と食事をする事はなかった。
だからこそ、彼女が卒業する際に「たまには連絡してほしいな」という俺の願いに素直に応えてくれた時は心底驚いた。
「ンだよ、おめーが連絡寄越せっていったンだろうが。嫌なら切るぞ。」と電話を切られそうになりながらもなんとか会う約束を取り付けたのを良く覚えている。
それから定期的に会うようになった。
食事をしたり、互いの近況報告をしたり、今の俺の担当の子のトレーニングの相談に乗ってもらったりした。
彼女の二十歳の誕生日には一緒にお酒を飲んだりもした。 - 19二次元好きの匿名さん24/05/08(水) 18:19:59
それからだろうか、俺の心の中に『大事な元担当』であるという、それ以上の感情が芽生えだしたのは。
学園での友人達と、そして社会人になってから様々な人達との交流を経て、少しずつ、大人になっていった彼女。最悪な運命にたった一人で立ち向かい続けた芯の強さ、決して諦めない美しい心、不器用ながらも相手を慮る優しさ。
気が付けば俺は、彼女に恋をしていた。
始めは伝えないつもりだった。この関係が壊れてしまいそうで。
けれども、この思いを隠しきれなそうで、思いきって伝えた。
「これからは、もっと近くで君を理解し続けたい、付き合ってほしい」と。
下げた頭を上げられなかった。彼女の顔が見れなくて。
なんて言われるだろう、「キモ」とか、「もう会うのをやめる」だろか。
恐る恐る顔を上げると彼女はいつものクールな表情で
「…ン、まァいいンじゃね…別に…付き合ってやるよ」
と言った。
この時、彼女の白い頬がほんのり桃色に染まっていたのは、決して俺の自惚れじゃないはずだ。
こうして俺達は晴れて恋人同士になったのだが
(あの時の、シャカールの担当だった俺に今の状況を言っても信じないだろうなぁ)
(まさか数年後にシャカールと恋人になって、とても幸せな毎日をすごしているよ、だなんて)
「…おい、なにニヤニヤしてンだ」
「いや、なんか…幸せだなぁって」
「…そりゃよかったな…」
あんまりにも見つめていたからか、シャカールに睨まれてしまった。
けれどもその眼差しに敵意や、攻撃性がないのは分かっている。彼女に微笑み返し再び箸を動かす。うん、やっぱり美味しい。 - 20二次元好きの匿名さん24/05/08(水) 18:20:28
「…そういえばよ」
「うん?」
特に会話も無く食事を続けていると、彼女が語りかけてきた。
「オレの左手の薬指に油性ペンでなンか書いたの…お前だよなァ?」
「んぐっ!?」
突然のことに驚き、危うくご飯を詰まらせてしまうところだった。慌てお茶で流し込む。
「な、なんのこと?」
「とぼけんじゃねェ、オレがソファで昼寝してる時にお前がなンかしたんだろ?ほら見ろこれ、薬指の根元のとこ。なンだこれ、なにしてたンだ?」
「え、ええっと…それは…そのぉ…」
言える訳がない。シャカールにとある『モノ』を渡したくて、その為にはどうしても左手の薬指の正確なサイズが必要で、彼女に知られずに測る必要があるなんて。
今日の昼下がり、担当の子のスケジュール作成が一段落し、
(コーヒーでも淹れようかな…シャカールも飲むかな…)と
仕事部屋からキッチンに行く際、リビングのソファで眠っている彼女を見つけた。
近寄ってみると、どうやら熟睡しているようだった。
(こ、これはチャンスなのでは!?)
急いで仕事部屋に戻り、事前に調べ、準備していた計測用の道具を持ってきて、悪戦苦闘しながらもなんとか測ることに成功したのだ。それも彼女にバレることなく。
途中、彼女が寝返りを打つというハプニングがあったものの(この時逃げる際に机の足にくるぶしをおもいっ切りぶつけて、青タンになってしまった)、そのお陰で彼女の左手が偶然机の上に乗り、むしろ測りやすくなったのだ。 - 21二次元好きの匿名さん24/05/08(水) 18:21:00
折角無事に測り終えたのだ、なんとか誤魔化さなければ。
しかし感の良い彼女に下手な小細工は通用しない。
(どうする?どうする!?)
絶体絶命のピンチに先に口を開いたのは彼女だった。
「お前さぁ、もしかして…」
(マズイ!バレたか!?)
心臓をバクバクといわせがら彼女の次の台詞を待つ。
「イタズラのつもりか?」
「…へ?」
予想外の言葉に思わず間抜けな声が漏れた。
「いっつもオレにからかわれてるもんなァ。その仕返しのつもりか?」
「あ…えと、そ、そう…です…」
なにはともあれバレてはいないようだった。
心の中でほっと胸を撫で下ろす。
「ハッ、仕返しにしてはつまんねぇ事すンな、お前。」
「そ、そうだね…あはは…」
バレていないならこのまま彼女の話に合わせておこう。そう思ったその時。 - 22二次元好きの匿名さん24/05/08(水) 18:23:13
「どうせイタズラすンならよ…」
既に食べ終えた食器を横にずらし、こちらに身を乗り出し頬杖をつくシャカール。
「もっとイヤらしいイタズラでもよかったンじゃねぇの…?相手は恋人なンだぜ…?」
「!?」
綺麗なイエローの瞳が妖しく光る
ニィッと吊り上がる血色の良い唇
透き通るような白い肌
目元に影を落とすほど長い睫毛
銀色に輝くアイブロウピアスと学園卒業後に開けた、泣きぼくろのようなアンチアイブロウピアス
驚くほど美形な彼女の顔に胸が高鳴る。
「そ、そそそ、そんなことするわけないだろ!?寝てる相手に!合意も無しに!?」
思わず立ち上がり、後ずさりしてしまう。
「プッ、クククッ」
そんな俺を見て彼女はイタズラっぽく笑っていた。
「まっ、お前にンな度胸がねェのは知ってるよ。」
「度胸というか、その、俺はシャカールが大事だから…その…」
「分かった分かった、ほら、とっとと食っちまえよ。皿洗わなきゃなンねェんだから」
結局、またからかわれてしまった。
まぁ薬指の件はバレずに有耶無耶になったし、何より、彼女が楽しそうにニヤリと笑っているので良しとしようかな…
「ククッ、バァカ…」 - 23二次元好きの匿名さん24/05/08(水) 18:29:11
ありがとう
- 24二次元好きの匿名さん24/05/08(水) 18:31:09
はい、というわけで見てる人いないかもしれませんが本編より長いおまけです。
作家気取りとかではなく、ただ思いついたから書きました。
アンチアイブロウはシャカールがお出かけイベントかなんかで「いつか開けてやる」と言っていたので設定にいれてみました。あと、ピアスが泣きぼくろみたいになってるシャカールってセクシーだろうなぁと…
ちょっとセンシティブっぽい台詞はこれくらいなら大丈夫ですよね…?
- 25二次元好きの匿名さん24/05/08(水) 18:40:53
初めてのSS、投稿する時滅茶苦茶緊張しましたが、こんな稚拙な文章を読んでなおかつ感想やらハートやら下さって本当にありがとうございます。
更にはSS応援スレに推薦していただいたり、なんと自分の書いた文を好きと言ってイラストまで書いてくださったりもして、本当に感謝しかありません。
トレシャカというカップリングは作品数が少なかったり、やれ「ありえない」だの言われがちですが、ありえないカップリングなんてないと思いますし、少ないなら増やせばいいじゃない。
というわけでこれからも頑張って書いていこうと思います。投稿頻度はめちゃ低いと思いますが。
読んで下さった方々改めて感謝申しあげます。 - 26二次元好きの匿名さん24/05/08(水) 18:57:16
ありがとうございます
これを抱えて生きていきます - 27二次元好きの匿名さん24/05/08(水) 19:05:22
よかったよ
お疲れ様 - 28二次元好きの匿名さん24/05/08(水) 23:25:50
良いと思うぜ
公式アプリでだって、育成中にレースに勝ったり負けたり、イベント完走したりしなかったりするんだ
世界線、可能性は無限大
書き手の自由よ
そして素晴らしいSSでした
ごちそうさま!