- 1二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 22:13:29
- 2二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 22:14:42
あたしは、特にこれといった特徴のない、どこにでもいる平均的なウマ娘!
それでも、ウマ娘に生まれたからにはレースの世界に飛び込んでみたい!
輝いてみたい!
その念願がかなって、トレセン学園に入学できました! - 3二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 22:15:57
そんなあたしですが、生まれも育ちも北海道の道産子です。
とは言え、北海道と一口に言っても広いです。
具体的に出身地がどこかと言うとですね…
道内179市町村/50音別 - 北海道のホームページwww.pref.hokkaido.lg.jpdice1d179=44 (44)
です。
- 4二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 22:19:03
上ノ国町かな?
- 5二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 22:21:02
北海道南西部は檜山振興局管内最南端にある町
上ノ国町(かみのくにちょう)
です! - 6二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 22:25:55
北海道と言うと、雪が多いとか寒いとか思われがちですが、上ノ国町は温かいのが特徴です!
人口は少ないですけど、良いところですよ - 7二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 22:31:17
西は日本海、東は山に囲まれて、町の周りは野草の宝庫です
雄大な大自然に包まれた、あたし自慢の地元です
まぁ問題は、道内だとだいたいどこでもその「雄大な大自然」って売り文句が使えるって事でしょうか - 8二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 22:36:55
そんな愛しい地元を離れたあたしですが…
ルックス
dice1d100=59 (59)
(100に近いほど美形。1に近いほど可愛い)
雰囲気
dice1d100=9 (9)
(100に近いほどボーイッシュ。1に近いほどガーリー)
- 9二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 22:43:51
自分で言うのもなんですが、あたしは飛びぬけて綺麗でも可愛くもないです
いわゆる、フツー
まさに、これといった特徴のない、どこにでもいる感じです
自分で言っててちょっと悲しいですけど
でも、すごく女の子っぽいとかはよく言われますね~。フワフワしたスカートとか、リボンとか好きでよく付けてるからでしょうか - 10二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 22:47:02
さてさて、そんなあたしですが、今とても重大な事実に直面しています。
それはですね。
なんと、学園に提出する予定の書類を無くしちゃったんですよね~。
とほほ……いきなり先が思いやられます。 - 11二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 22:50:26
「えーっと、書類丸ごと紛失したっていう子は、貴女かしら?」
事務服に身を包んだ女性が話しかけてきました。
「はい!あたしです!
おお、あなたがあたしのトレーナーさんですか?!」
「私はただの事務員ですよ。入学したばかりの生徒にいきなり専属トレーナーがつく訳がないでしょう」
「たはは、ごもっともです」
「はい、これが新しい書類。
事務室まで案内しますので、そこで書いていってください」
「お手数をおかけします」
あたしは封筒に入れられた真新しい書類を受け取り、そのまま事務員さんの後に付いていきます。 - 12二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 22:52:31
「すでに一度書いていますので説明は不要かと思いますが、各欄の説明を見ながら間違えずに記入してください」
事務室の机の上に広げられた書類のあちこちを、事務員さんの指が滑り回ります。
まず書いていくのは、と…。 - 13二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 22:54:33
耳飾りは…
1.右耳 2.左耳
dice1d2=2 (2)
です。
毛色は…
1.鹿毛 2.黒鹿毛 3.青鹿毛 4.青毛 5.栗毛 6.栃栗毛 7.芦毛 8.白毛 9.尾花栗毛
dice1d9=4 (4)
ですね。
- 14二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 22:56:31
次は、と…。
「入学前に行った身体測定のデータを、覚えている範囲で書いてください」
「はい」
えーっと、たしか能力検定試験の時の結果は…
スピード dice1d7=1 (1)
パワー dice1d7=1 (1)
根性 dice1d7=2 (2)
スタミナ dice1d7=6 (6)
賢さ dice1d7=6 (6)
でしたね。
――いずれもダイス結果の1~7が各パラメータ補正となり、1~7に対応してランクG~Aとする。
- 15二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 23:00:40
脚質は…
1.逃げ 2.先行 3.差し 4.追い込み
dice1d4=2 (2)
です、と。
――脚質は、それぞれが得意とするレーススタイルを表す。レース時の作戦とあわせて判定に補正が入る。
「距離適性とバ場適性は書くとこないんですよね」
「そうですね。書く意味がありませんので」
- 16二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 23:02:56
地頭とスタミナだけで通ってる……
- 17二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 23:05:04
「制服や体操服などの手配は既に済んでいます。
ただ、いずれ勝負服の手配も必要になってくるかもしれません。
ですので、現在の数値をこちらの欄に記入してください」
身長
180 + dice1d50=11 (11) cm
スリーサイズ
B dice1d100=31 (31)
(出目が大きいほど大)
W dice1d100=9 (9)
(出目が大きいほど大)
H dice1d100=50 (50)
(出目が大きいほど大)
「あのぅ…体重も書かなきゃダメでしょうか?」
「それは今は不要です。いずれにせよレースごとに計量しますので」
ちょっと安心しました。
入学を前にして、緊張して食べる量が減っててウェイト落ちてるとか言えませんからね。
体調の維持管理もできないと入学早々に思われるのは勘弁です。
- 18二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 23:08:52
- 19二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 23:11:22
トリップ付けた方が良くない?
- 20二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 23:11:34
ちょっと待った
身長191cm??? - 21二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 23:12:51
お前頭...
- 22二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 23:12:56
このレスは削除されています
- 23二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 23:13:58
- 24二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 23:14:50
シーニーグローム
- 25二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 23:15:16
モンキーマジック
- 26二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 23:16:12
カローラ
- 27二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 23:16:19
カミノクニスノウ
- 28二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 23:16:30
マネーマーケット
- 29二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 23:16:47
ビッグアイアン
- 30二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 23:17:59
そのデカすぎる身長固定値はなんなんだ
- 31二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 23:19:27
北海道はでっかいどう
- 32二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 23:20:23
このレスは削除されています
- 33二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 23:20:25
その身長で普通キャラはムリがあるでしょ…
- 34◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/10(金) 23:21:55
あたしの名前は…
dice1d6=3 (3)
- 35◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/10(金) 23:25:12
- 36二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 23:25:54
何気に気になるのが距離適性とバ場適性を書く意味がないという話
話の流れ的に測定はしているはずなんだがあくまで本人とトレーナーの領分ということだろうか - 37二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 23:27:32
まぁ流石にカローラはクソダサいししゃーない
- 38◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/10(金) 23:27:34
あたしの名前は、カミノクニスノウですよ…と。
- 39◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/10(金) 23:29:45
「はい!書き終わりました」
「確認しますね……はい、大丈夫です。
ひとまず必要な項目は記入し終わりました。残りは、必要になった際に追々で大丈夫です」
事務員さんは書類を隅々まで確認して、トントンとまとめた後で封筒に納めました。
あたしは安堵の溜め息をつきました。
無くした時は本当にどうなる事かと思いましたが、これでなんとかなりました。
「では改めまして、カミノクニスノウさん。入学おめでとうございます。
ようこそ、北海道ウマ娘帯広トレーニングセンター学園へ。
我々は貴女の入学を歓迎し、本校での活躍を期待します」 - 40◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/10(金) 23:34:53
切りが良いので、本日の進行はここまでといたします
なにか決めたい事柄や質問などあれば書いてもらえると助かります - 41二次元好きの匿名さん24/05/11(土) 08:51:43
- 42◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/11(土) 10:41:06
お察しの通り、カミノクニスノウちゃんは、重種のばんえいウマ娘です
ただ、ばんえいウマ娘にしては背が低く、胸は小ぶり、腰は細くて、お尻は標準と痩せています
パワーが無いのも頷ける体形です
フィジカル弱めなのに何故レースを目指したの…
- 43◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/11(土) 10:50:32
さて、書類を出し直した後で、再び先ほどの事務員さんが追いかけてきました。
どうも書き直した入学書類に、あたしの写真が貼られていなかったので、どこかで撮って欲しいとのことでした。
無いのは仕方ないです。
書類ごと無くしてますから。
手近な証明写真機に連れていかれて、撮影することとなりました。
狭いブースの中で身を縮こまらせて撮影し、待つことしばし。
ペッと、ちっこい写真が吐き出されました。
なんでこういう証明写真はどう撮っても愛想がなく見えるんでしょうか。 - 44◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/11(土) 10:53:04
写真の中のあたしの髪の毛の長さですが…
dice1d100=32 (32)
(100に近いほど長い/100で腰以上。1に近いほどショート/1でシャカール並み)
髪の癖
dice1d100=91 (91)
(100に近いほど直毛/ストレート。1に近いほど癖っ毛/ウェービー)
- 45◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/11(土) 10:58:58
だいたい肩までの長さで揃えた髪ですが、さらっさらのストレートです。
特に朝は手入れが簡単に済むので、とても便利です。
……ちょっと毛先がバラついてきたので、そのうち整えましょう。 - 46◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/11(土) 10:59:59
写真の中からあたしを見ている、あたしの目ですけれど…
dice1d10=2 (2)
1-9.両目とも同色
10.オッドアイ
瞳(虹彩)に特徴が…
dice1d2=1 (1)
1.特にない
2.ある
- 47◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/11(土) 11:00:54
- 48◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/11(土) 11:07:30
目の色は、濃い青灰色です。
そんなに目立たない色かなと思ってます。 - 49二次元好きの匿名さん24/05/11(土) 16:00:47
この身体付きは、食が細いのか、本格化前なのか
- 50二次元好きの匿名さん24/05/11(土) 19:16:48
大丈夫かな
- 51二次元好きの匿名さん24/05/11(土) 21:25:35
うん
- 52◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/11(土) 22:11:44
さて、ちょっとドタバタしましたが首尾よく入学手続きも終わりました。
入学式も無事に終わり、あれから数日。
学内のオリエンテーションなども終わり、新しい生活の始まりに浮付いてドタバタしていた校内の雰囲気も徐々に静かに、普段通りといった感じになってきました。
授業も始まっています。
今や晴れて、あたしも帯広トレセン学園の生徒です。
さて、生徒となったらやる事は一つ。トレセン学園生のウマ娘たるものレースでしょう。
レースしましょう!
その前にどこかでトレーナーを拾ってきましょうか。
レースに出走するにしても、チームに所属するか、専属のトレーナーがいないといけません。 - 53◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/11(土) 22:14:02
授業の終わった教室で、どうやってトレーナーを拾ってくればいいものかと思案にくれていたら、教室に一人の中年男性が入ってきました。
「あー、ちょっと、君!カミノクニスノウ君!」
「はい!あたしです!
おお、あなたがあたしのトレーナーさんですか?!
「僕はただの指導教官だよ。入学したばかりの生徒にいきなり専属トレーナーがつく訳がないでしょう。
クラス担任から元気なのがいると聞いてね。
君、やる気十分なのは良い事だけど、レースでどうすればいいのか分かっているのかな?」
「はい!ゲートに入って、よーいどん!でゴールまでびゃーッと走ります!」
教官は、肩をすくめて溜息をつきました。
「やれやれ。君の熱意は買うが、実技の前に座学が必要なようだな。どうせ授業でやるだろうが、この際だ。
席につきなさい。ばんえい競バのレースについて説明していこう」
あたしは教官に言われるままに、さっき立ったばかりの自分の席に再び着席しました。 - 54◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/11(土) 22:16:50
教官は、黒板に白チョークで簡単な図を描いていきます。
水平の線は地面で、そこに立っている棒人間がウマ娘でしょう。棒人間なのに、ウマミミと尻尾のようなものがしっかり描いてあるのが可愛いですね。
「余計なことは言わんでよろしい」
「はい」
「まず、ばんえい競バで使用されるコースだが、これは直線200メートルのダートのみ。
そして、スタートからゴールまで走るレーンが決まっているセパレートコースとなる」
「短いですね。それですと、あっという間に走り切ってしまうのでは?」
「距離だけ見ればそうだな。人間が走ったところで1分とかからないだろう。
さて、ここから先がばんえい競バ最大の特徴にして、世界中のどこに行っても見られない唯一無二の点となる」
黒板に描かれた棒人間が向いている方向とは逆側に、箱っぽいものが増えました。
その箱と棒人間が、太い線で結ばれます。
「ばんえい競バのばんえいとは、漢字で書くと『輓曳』となる。どちらの字も、荷物などを曳くことを意味する。
つまり、君らには重量物を積んだ橇を曳いて、コース上に設置された障害と呼ばれる二箇所の小山を越えて、ゴールを目指してもらう」
「小山を越える?すごいハード極まっていませんか?!」
「君ら重種のウマ娘であれば、小さい頃から似たような遊びやお手伝いをしていたと思うがね。
あるいは地元の祭りなどで見ているかもしれない。
ばんえい競バ自体、もともとは農閑期のお祭りや遊びなどが発祥だ」
教官は、そう言いながらチョークで黒板をカツカツと小突きます。
「レース自体に慣れてはいなくとも、今までの君の経験として、あるいは重種ウマ娘の本能として、やるべき事はなんとなく掴めている筈だ」
ふむふむ、そう言われてみれば確かに。
いきなり言われたにしては、すとんと腑に落ちるというか、教官の言葉はあたしの中で違和感を生みません。
地元とはちょっとルールが違いますが、実質的には、正式のレースは記憶の中の遊びとあまり変わりがありませんでした。 - 55◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/11(土) 22:22:44
教官の話は続きます。
「ばんえい競バで使用されるコースだが、その直線200メートルは、五つのエリアから成り立っている」
あたしがふむふむと頷いているのを見て、教官は黒板にカリカリと書き込みます。
「まずは、スタートから第1障害の約35メートルの直線。
正式名称が無いため、便宜的にこのエリアを『第1直線』と呼称する」
「続いて、『第1障害』。高さは1メートルになる」
黒板の絵に小さめの三角形が増えました。
橇を曳いて越えるのがどれくらいきついのか、ちょっと想像つきません。
「降りた後の直線が、第1障害から第2障害間で約77メートルになる。
正式名称が無いため、便宜的にこのエリアを『第2直線』と呼称する」
「その次が、『第2障害』。ここは先ほどよりも大きい。高さが1.6メートルになる」
黒板の絵に、一つ目よりも大きい三角形が増えました。
これがどれくらいきついのか、もう全く想像がつきません。
「最後の直線が、第2障害からゴールまでの約62メートル。
ゴール手前40メートル地点には、上り勾配5パーセントになる10メートルの坂がある。こいつは、第3の障害とも言えるな。
ここが地獄の一本道になるか花道になるかは、君らの鍛え方次第だろう。
正式名称が無いため、便宜的にこのエリアを『最終直線』と呼称する」 - 56◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/11(土) 22:27:06
「なお、スタートしてからゴールするまでの速さを競うこと自体は、他の競バと変わらない。
ただしゴールのタイミングが他とは異なり、ゴールしたと認められるのはゴールラインを橇の最後端が通過した時だ」
「仕事は最後までやり切ったらゴール、という事ですね」
あたしの言葉に、教官は感心したような表情を浮かべてから頷きました。
「そういう事だ。
先ほども言ったように、ばんえい競バは仕事を神事や遊びの道具に転化したことが発祥だ。
きつい仕事の合間に遊んでいようとしても、仕事は仕事だ。そこの精神は失われなかったのだろう」
あたしは、ふぅ、と息を吐きました。
これは大変そうです。
いや、どんなジャンルでもトップ目指そうとするのが大変だというのは分かっていましたけど。
「さて、簡単ではあるが、説明は以上とする。
これより先は教科書を参考にするか、実際に走ってもらった方が理解が早いだろう」
チョークを置くと、教官は黒板消しで絵を消し始めました。
「いずれ本年度の入学生と、それ以外にもチーム未所属でデビュー前の生徒を対象とした選抜レースが開催されるだろう。
君がデビューするに足る素質の持ち主であるかは、その時に明らかになるだろう。
君のやる気が良い方に転がる事を期待するよ」
【公式】ばんえい十勝/馬の一発逆転ライブショー世界で唯一の競馬【ばんえい十勝】オフィシャルホームページ。馬券購入、ライブ映像、騎手情報、馬券購入方法、レース協賛等、ばんえい競馬に関する情報が満載!banei-keiba.or.jp - 57◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/11(土) 22:38:34
とうとう、その日が来ました。
今日は選抜レースの開催日です。
教官の課外授業を受けてからもう何日も経っていますので、クラスのぎくしゃくした感じも抜けて、仲の良い友達もでき始めました。
とは言っても、基本的に重種のウマ娘はそろって温厚ですからね。ほとんど全員と仲が良い、と言ってもいいくらいです。よっぽどのことがない限り、喧嘩腰になったりはしません。
授業にもだいぶ慣れてきましたし、授業でのトレーニングも始まっています。
走り込みなんかはへっちゃらですが、ウェイトトレーニングなどのパワー勝負はちょっと……すいません、正直になります。かなり苦手です。
さて、その選抜レースですが、あたしの期待度は…
dice1d100=71 (71)
(100に近いほど期待大。50で普通)
- 58◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/11(土) 22:45:53
あれ?あたし、結構期待されてます?
調子乗っちゃってもいいやつですか?
体操服の上からハーネスを着用。
ゲートに入ります。
トゥインクルシリーズみたいな平地競争ですと内枠外枠で走る距離に大きな差が出ますが、ばんえい競バは直線コースな上に、走路が決まっているので距離の差は出ません。
大昔にはU字型したコースもあったみたいですけど、色々あったみたいで、今は直線になってます。
(ピーッ ピーッ ピーッ)
重機が、それぞれが曳く橇を持ってきて所定の位置に置きます。
係員さんが、あたしのハーネスの左右の腰部分に、橇に繋がるかじ棒と、胴引きと呼ばれる強化繊維ベルトをシャックルで繋いでいきます。
一つ繋ぐ毎に、そこの近くをパンパンとダブルタップされます。仮にも嫁入り前の乙女の身体ですけど、いやらしい意味はありません。狭いゲート内では自分で見て確認することが出来ないので、こうするのが一番確実です。
全て繋ぎ終えた係員さんが、あたしの前にある開閉扉を締めて、指差し呼称して安全確認。最後に、両方の親指を胸の前で立てて、コース外に離れていきます。
橇と連結されるとこちらも身じろぎ出来ないので、あたしも同じようにサムアップで感謝と了解の意を伝えます。
今日のあたしのばんえい重量は、2000kg。
『ばんえい重量補正』 = 4
になります。
ばんえい重量と言うのは、字の如く、曳く重量そのもののことです。
橇と、弁当箱と通称される錘で総重量を調整しますが、これでも本当のメイクデビュー戦の条件より500kgほど軽いです。
――ばんえい重量500kgごとに、各エリアのダイス判定を行う際の基準値に対して補正(+1~+10)を受ける。
――未勝利戦で重量2500kg、G1クラスは重量5000kgとなる。 - 59◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/11(土) 22:48:01
あたしの、やる気は!『絶好調』です!
何と言っても、この一戦でスカウトの声がかかるかもしれません。
期待もされてるっぽいですし、やってやりますよ!
――やる気(絶不調~絶好調)に応じて、最終着順ダイス判定への補正値(-2~+2)を受ける。 - 60◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/11(土) 22:50:44
今日のあたしの作戦は『先行』です。
なにしろ、あたしの脚質が『先行』ですからね。
脚質とマッチしない作戦を取る意味がないです。
――作戦は、そのレースで取る作戦となる。
――脚質と作戦が一致しないと、下記の脚質補正は得られない。なお現状でスキル未実装なので脚質と作戦を変える意味は今のところ無い。
――脚質により得意範囲が決まる。脚質ごとに全5エリア中の2エリアを対象とする。
――対象エリアでのダイス判定への補正値+1を受ける。
――逃げ → スタート-第1障害~△第1障害 =『第1直線』+『第1障害』
――先行 → △第1障害~第1障害-第2障害 =『第1障害』+『第2直線』
――差し → 第1障害-第2障害~△第2障害 =『第2直線』+『第2障害』
――追込 → △第2障害~第2障害-ゴール =『第2障害』+『最終直線』 - 61◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/11(土) 22:52:11
さぁ、そろそろ出走です。
教官に教えてもらったコース上の五つのエリアそれぞれを、いかに上手くクリアしていくかで勝負は決まりますよー!
頑張ります!
――対象エリアごとに2d6を振る。
――対象エリアは、それぞれ難易度に応じた基準値を持つ。これに『ばんえい重量補正』を加えた値が、その対象エリアの最終的な基準値となる。
――各エリアでは使用するパラメータが決められており、( 2d6の出目 + パラメータ補正 + 根性補正 + 脚質補正 ) が、そのエリアでの自分の走りの値となる。
――( 2d6の出目 + 各種補正) - ( 基準値 + 『ばんえい重量補正』 ) = 成功量となる。
――成功量が大きいと、そのエリアでの走りが良かったことになり、小さいと悪かったことになる。 - 62◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/11(土) 22:57:46
そうやって、ゴールまでたどり着いたら、順位が決まります!
ちょっと曳き損ねた走りでも、他の子がへばってるところをスタミナでカバーして走り続ければ逆転できるかもしれません。
頑張ります!
――5エリア分の成功量を出したら、最終着順ダイス1d10を振る。
――1d10の出目 - ( スタミナ補正 + やる気補正 + 天候/馬場補正 + 5エリア分の総成功量) = 最終着順となる。
――各エリアをスムーズにクリアしている(総成功量が大きい)と最終着順ダイスの出目が悪くても勝利となる。
――いずれかのエリアで成功量がマイナスになってスタミナ補正でカバーしきれなくなると、そこがスタミナ切れの表現となる。
――天候/馬場補正は、スキルの天候/馬場○×とレース状況にあわせて最終着順ダイスに補正値(-1~+1)を受ける。が、スキル未実装なので0となる。 - 63◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/11(土) 23:00:44
旗を持った係員さんが、位置につきました。
(ドクン ドクン ドクン)
緊張から心臓がテンポよく脈打ちます。
さぁ、頑張ってくださいよ、あたしの身体!
赤い旗がゆっくりと真上に掲げられ……。
振り下ろされました。 - 64◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/11(土) 23:02:27
「しゃおらぁぁぁ!!」
「てめぇら、ッろしますわよぉぉっ!」
「よいしょぉお!!」
「ッブス……ツブス……ツブス!」
「いきまぁすッッ!!」
一斉に気合と共に力強く橇を曳いて、ゲートを飛び出します!
あたしも負けていられません。
『第1直線』
使用パラメータ:スピード
基準値:4
ばんえい重量補正 = 4
判定 dice2d6=5 2 (7)
- 65◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/11(土) 23:04:35
『第1直線』の成功量 = 出目(7) + パラメータ補正(1) + 根性補正(0) + 脚質補正(0) - (4 + 4) = 0
出遅れも無し!
まずまず、です。 - 66◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/11(土) 23:06:11
第1直線での勢いそのままに、『第1障害』に直行します。
こんなところで止まっていては勝利はおぼつきません!
『第1障害』
使用パラメータ:パワー
基準値:6
ばんえい重量補正 = 4
判定 dice2d6=5 6 (11)
- 67二次元好きの匿名さん24/05/11(土) 23:07:12
このレスは削除されています
- 68◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/11(土) 23:08:59
※数値入れる場所を間違えました
『第1障害』の成功量 = 出目(11) + パラメータ補正(1) + 根性補正(0) + 脚質補正(1) - (6 + 4) = 3
ぐっ……おいっしょおッ!
ここも止まらずに乗り越えました。
……下り坂で後ろから荷重で速度の乗った橇が襲い掛かってくるのは予想外でした。背中を押されるのを抑え込むのに力を使う羽目になるとは……。 - 69◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/11(土) 23:10:42
第1障害を下りたら『第2直線』です!
一番長い直線を出来るだけスタミナを削らずに行きたいところですが、上手くいくかどうか。
…いえ、上手くいかせるんです!
『第2直線』
使用パラメータ:スピード
基準値:8
ばんえい重量補正 = 4
判定 dice2d6=3 2 (5)
- 70◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/11(土) 23:12:43
『第2直線』の成功量 = 出目(5) + パラメータ補正(1) + 根性補正(0) + 脚質補正(1) - (8 + 4) = -5
はぁ、はぁ……。
きっつい……。 - 71◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/11(土) 23:14:18
さぁ!ばんえい競バの見せ場ですよ!さっきよりも高い『第2障害』です。
ここをいかに超えるかで勝負が分かれると言っても過言ではありません。
手前でちょっと減速して息を整えて……すー…はー…行きます!
『第2障害』
使用パラメータ:パワー + 根性*1/2
基準値:10
ばんえい重量補正 = 4
判定 dice2d6=4 3 (7)
- 72◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/11(土) 23:16:14
『第2障害』の成功量 = 出目(7) + パラメータ補正(1) + 根性補正(1) + 脚質補正(0) - (10 + 4) = -5
ぶっ……はぁぁぁ!
なんとか乗り越えました。
正直、他の皆がどの位置にいるのかなんて、さっぱり分かりません。
ただ、かなり『悪い』というのだけは、自分の足が教えてくれています。
目の前が暗い……。
酸欠で視界が狭いです……。
胸を突き破って飛び出そうな勢いで心臓が鼓動してます。 - 73◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/11(土) 23:18:00
「――――ッッ!!」
あたしの口から叫び声が迸りますが、もう自分ですら何を言っているのか分かりません。
第2障害を越えたらゴールまでもう少しです。でも、短いのに果てしなく長く感じます!
もう体を動かすものは気合だけです。
ここがあたし達の!花道!ですよぉぉぉ!!
『最終直線』
使用パラメータ:スピード + 根性*1/2
基準値:8
ばんえい重量補正 = 4
判定 dice2d6=2 5 (7)
- 74◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/11(土) 23:20:01
『最終直線』の成功量 = 出目(7) + パラメータ補正(1) + 根性補正(1) + 脚質補正(0) - (8 + 4) = -3
橇の最後がゴールラインを超えると同時に、あたしは膝をつきました。 - 75◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/11(土) 23:22:27
両手両膝を砂につけたままで空気をむさぼって、何とか頭が回るようになってきました。
喉はカラカラ。
目はグラグラ。
頭はズキズキ。
そうです、順位……順位は?
あたしがぼやける目を掲示板に向ければ、ランプがチカチカと瞬いて順位を確定させるところでした。
最終着順ダイス dice1d10=7 (7)
- 76◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/11(土) 23:25:53
- 77◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/11(土) 23:35:38
ばんえい競バは、フルゲートで10人立てです。
今回の選抜レースも、10人立てで行われました。
つまり……あたしは、ほとんど最下位でした。
両膝をついたままの砂の上に、いくつもの水滴がしたたり落ちては、あっという間に吸い込まれて消えていきます。
あたしの身体から、あるいはあたしの両目からしたたり落ちる水滴が。
でも、砂は無情にも、そんなあたしの感傷を一瞬たりとも留めてはくれませんでした。 - 78◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/11(土) 23:42:19
本日の進行はここまでといたします
今のところスキルがないですし、フィジカル弱いとどうにも厳しいですねー
スレ主は旅行でばんえい競馬を生で見て感動のあまり、なんとか障害を越えていく迫力を再現できないかとこんなの作ってしまいました - 79二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 03:09:45
ばんえいのスレは自分は初めて見た
普通の中央とは全く違う流れになるのがめっちゃ面白そうだ - 80二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 11:49:22
ばんえい関係なく、スペック底辺な現状からどう勝ちにいくかだなぁ
- 81二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 21:07:20
保守
- 82二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 21:08:19
このレスは削除されています
- 83◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/12(日) 21:10:17
- 84二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 21:13:22
おばあちゃんがめちゃくちゃ強かった
- 85二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 22:46:55
トレセン入学前の一時期が残念な環境だっただけで幼少期の実績はある
- 86二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 23:31:03
実は怪我からの復帰直後
- 87二次元好きの匿名さん24/05/13(月) 07:58:17
実はすごい寂しがり屋
- 88二次元好きの匿名さん24/05/13(月) 12:19:02
保守っておこう
どうせなら全部乗せ - 89◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/13(月) 21:16:18
無惨な結果に終わった選抜レースから、しばらく経ちました。
あれ以来、ぼーっとしては寮の同室には心配されますし、教室でも上の空になって先生に何度も注意されました。
あたしの中で『9位』と言う結果が、ずっと尾を引いています。
悔いているだけでは何の意味もありませんし、自分なりに何度もレースを振り返っていますが、それが放心しているように見えているようで。
本音を言えば振り返るどころか、見なかったことにしたいですし、いっそ時間が巻き戻ってくれればとまで思いますけど、世の中にそんな便利なアイテムなんて存在しません。アニメの道羅衛門じゃありませんし。 - 90◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/13(月) 21:23:07
レース前、どうしてあたしの期待度はあんなに高かったのでしょうか?
それは、あたしのおばあちゃんのお陰だと思います。
おばあちゃんもばんえいウマ娘で、この帯広競馬場で戦っていました。
おばあちゃんの現役時代の成績は、
100 + dice1d100=9 (9) 戦して、30 + dice1d20=20 (20) 勝
でした。
その成績と豪快な性格が相まって、当時は”上ノ国の女傑”の二つ名で呼ばれていたそうです。
あたしの実家はコメ農家なのですが、デビュー前からして既に20俵を積んだ荷車をはるばる函館まで曳いて行ったこともあるとか。
今でも実家で元気にお米を作っていますが『この米俵を担げなくなったら私も死ぬのね』と言って笑っています。ちなみに1俵は60kgです。
あとは上ノ国町でやってたレースと違ったから、というのもあるでしょうか。
上ノ国町は海からすぐに山塊が立ち上がっていて、ここ十勝のような平地が少ないです。
ですので、何人もが並んでレースが出来るような場所がありません。ちょっとでも開けていれば、畑や田んぼに使ってしまいます。
あたしも小さい頃から参加していた地元の草ばんえい競バは、山から切り出してきたぶっとい丸太にチェーンを打ち込んで、一人ずつ引っ張ってタイムを競う方式でした。今思えば、神社の参道をコースに使っていたので、完全なダートコースよりも摩擦が少なくってそんなにパワーを使わずに引っ張れたんでしょう。
地元では何度も良いタイムを出していたのですが、流石に公式のばんえい競バとは勝手が違いすぎました。
- 91◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/13(月) 21:28:54
で、そんな井の中の蛙も、良い結果を出していると自然に天狗になるもので。
トレセン学園の入学試験前に参加したレースではとても快調でしたが、そこで調子に乗ったのは悪かったです。
あまりの快調さで勝利を確信して浮かれたあたしは、ゴールしたと同時に、dice1d114=88 (88) さんの勝利ポーズを真似たんです。
今の今まで曳いていた丸太を止めるのを、すっかり忘れて。
後ろから勢いが付いたまま滑ってきた丸太に、あたしは吹っ飛ばされました。
その時にぽっきりいきました。
肋骨を。
骨折がギプスで固定して治すものだと思っていましたけど、肋骨って、他に大した影響がない部分を折ると放置するしかないという事実を知ったのは、その時でした。
ちょっと深く息をするたびに『お”っ!』って叫ぶ羽目になって、叫ぶと更に痛みが襲ってくるから気合で耐えるしかないのですが力むと痛いので、脱力したまま激痛に身を任せどうかする以外に手がない。
涙目で痛みを訴えるあたしに、『頑張って!』と返すお医者さんのあんなにいい笑顔は、後にも先にもあれっきりでしたよ。
調子に乗るな、という三女神様のツッコミかもしれません。
今でも治り切っていない脇腹が疼くたびに、思い出します。
- 92◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/13(月) 21:32:38
- 93二次元好きの匿名さん24/05/13(月) 21:33:50
待っておばあちゃん強ない?
- 94二次元好きの匿名さん24/05/13(月) 21:37:24
ばーちゃん勝利数最大値叩き出してて草
そのくせ出走が低く出てるという - 95二次元好きの匿名さん24/05/13(月) 21:38:57
というか設定全部乗せの修羅の道を自分から行くのか……
- 96二次元好きの匿名さん24/05/13(月) 21:41:08
タイシンのどきゅーとか……
- 97◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/13(月) 21:42:09
※秘密全部乗せにしたら、スノウちゃんのおばあちゃんが、スーパーおばあちゃんになりました
これは孫も期待されようというもので
とりあえずスノウちゃんにはフィジカルのリハビリと、メンタルケアを進めてもらいましょう - 98二次元好きの匿名さん24/05/13(月) 23:01:29
このレスは削除されています
- 99◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/13(月) 23:03:47
はぁ……。
「ん~、どしたん?」
寮の机に座って溜息をつくあたしに、ダンベルを上げ下げしながら同室の子が声をかけました。
前にもちょっと話したじゃないですか。
「ああ、スノウが実家に置いてきたつってた、どきゅーとタイシン?」
ええ、あなたに代わりを頼んで迷惑をかけてしまいましたが、結局解決にはならずで。
「ぜんぜん迷惑じゃねーし?なんだったら、今夜また試してみる?上手くいくかもよ?」
いえいえ、そう何度も頼むわけにはいきませんよ。
相変わらず、彼女はすごく良い子です。出会ってから少ししか経っていないにも関わらず、こんなにも親身になってくれるなんて。レースは散々なスタートでしたが、学園生活の方は良いお友達を持てて好スタートです。
とは言え、寝づらい夜を何とかしないとなりません。
あたしは、顎に手をあて、天井を眺めながら思案します。
実家にあるどきゅーとタイシンを送ってもらうのが一番手っ取り早いのですが、すると今度は実家に帰った時にいないという事です。それでは帰った時に寂しいです。
となれば、もう一体、学園にお迎えするのが筋でしょう。
解決手段に光が見えたところで…
現在のお小遣い
dice5d9999=3705 7324 1483 187 4027 (16726) 円
- 100◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/13(月) 23:20:21
我が方の総戦力16726円!
圧倒的に足りません!
毎月のお小遣いをそのまま投入したとして、買えるのはいつになることやら。
とほほ……どうしましょう。
「ん~、カネ足らんかった?」
鋭いですね。
「財布の中身ひっくり返して頭抱えてんの見りゃ、アホでもわかるっしょ」
まぁ確かに。
「金が無いならさぁ、バイトすりゃいいんじゃない?
スノウはまだマジでトレーニング出来んみたいだし、ちょうどいいんじゃね?」
アルバイトですか。それは思いつきませんでした。
地元にいた時は、家の田んぼの手伝いをするのは当たり前すぎて、お金をもらう為に働くというのは今一つ実感が薄いです。
「学生課にいきゃ求人いっぱい貼ってあっし、明日見にいこっか」 - 101◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/13(月) 23:44:10
あたし達ばんえいウマ娘の歴史は、そのまま北海道の開拓の歴史です。
ばんえいウマ娘は明治時代から、時に田畑を耕し、時に木を切り出し、時に道を拓き、時に物を運んできました。
常に人と共に在り続け、常に人と共に働き続けてきました。
ばんえい競バは、その根本の部分に『仕事を競技化したもの』という面があります。
つまり、あたし達ばんえいウマ娘にとって、ばんえい競バのレースに出る事は働く事と近い関係にあると言っても言い過ぎではありません。
そんな歴史から、帯広トレセン学園の教育方針はレースばかりに偏重していません。
帯広トレセン学園の他にはない特色としては、主に一次産業において即戦力となるウマ娘の人材を育成するための教育機関としての一面があります。
ばんえい競バの売り文句の一つに『世界で唯一無二』というものがあります。しかしこれは、他所では興行的に成り立たない、という意味でもあります。
ぶっちゃけトゥインクルシリーズなどに比べれば、ばんえい競バはあまりにもマイナーなんです。
帯広トレセン学園だって、興行的に上手くいかず、一時期は廃止目前の存続の危機にまで追い込まれました。
当時の学園経営陣のなりふり構わない生き残り策の一つが、自分たちの教育機関としての付加価値を高めることでした。
そう言った経緯もあって、帯広トレセン学園では、アルバイトもトレーニングの一環として奨励されています。
学園の隠れたモットーは『働かざるもの食うべからず』です。 - 102◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/13(月) 23:50:06
とは言ってもですよ。
あまり慣れていないお仕事をしても、満足にやれる気はしません。
そんなあたしの適性ですが…
道路 dice1d7=5 (5)
建設 dice1d7=4 (4)
農業 dice1d7=6 (6) + 4(実家補正)
林業 dice1d7=6 (6)
畜産 dice1d7=3 (3)
水産 dice1d7=7 (7)
その他 dice1d7=6 (6)
(いずれもダイス結果の1~7に対応してランクG~Aとする)
畑仕事なら慣れてるんで、求人があれば嬉しいですね!
- 103二次元好きの匿名さん24/05/14(火) 02:14:47
「あの子レース出るより普通に仕事してるほうが稼げるんじゃないかな……」とか言われてそうだな
農業に至っては6(B)に固定値4でA/S/SSと来てもはやUGじゃんかよ
それ以外も土木と畜産以外ふっつーに戦力じゃん - 104二次元好きの匿名さん24/05/14(火) 09:19:47
トレセン経由しなくてもそのままバイトから正規に引っ張られるレベルじゃないかなこれ
- 105二次元好きの匿名さん24/05/14(火) 10:12:51
レースに必要なパラメータを職業適性に突っ込んでしまった、おっちょこちょいなスノウちゃん
子供に夢を追わせてあげるけど、それはそれとして都会で婿捕まえて帰ってこいって家族に思われてないかい - 106二次元好きの匿名さん24/05/14(火) 18:00:12
このスタミナは田んぼ仕事のお手伝いで鍛えられたのかな
- 107◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/14(火) 20:50:07
※フレーバー程度のつもりで振ったらスノウちゃんの適性が色々とひどいことに
そして十勝周辺の産業構造と各種作物のスケジュールの勉強をする羽目に
放課後、さっそく学生課にきました。
大きな掲示板にはペタペタと求人票が貼られています。
その中から、あたしは無作為に一枚を、ペリリと剥がしました。業務内容から勤務時間に時給、一言コメントまで一通りのことは書かれています。目を通したら戻します。また一枚、別のを手に取ります。
ほほぅ、色々なお仕事が来ているのですね。
さて、今はどんなジャンルのアルバイト募集が来ているのでしょうか…
dice7d2=2 2 2 2 1 2 1 (12)
1.ある
2.ない
1.道路 2.建設 3.農業 4.林業 5.畜産 6.水産 7.その他
- 108◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/14(火) 21:00:17
あたしは、無数の求人票の中から一枚を剥がしました。そのまま学生課のカウンターまで持っていきます。
あたしと相性の良さそうな、引っ越し業者(7.その他)でいきましょうか。
特に今回は一般住宅ではなく、どこかの会社のお引越しの臨時募集のようです。普通のお宅ですと、あたしが動き回るにはちょっと狭いので助かりますね。
工場ではなく会社オフィスなので、フォークリフトなんかは入れられないですが、人だけで運び出すには手間のかかる重量物が多い。
そういう場所こそ、ばんえいウマ娘の出番という訳です。 - 109◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/14(火) 21:03:33
今回のお給料(適性の分だけ振るダイスが増える。まだプロではないのでランクAがカンスト)
dice6d2=2 1 2 2 1 1 (9) × \1,000
わーい、お給料を頂きました!
まだまだ足りませんが、一歩前進です。レースも貯金も一歩ずつ進んでいけば、いずれはゴールにたどり着くのです。
「おーい、スノウ~。一緒に肉でも食べいかーん?」
「おや、同室さん。あなたもバイト上がりですか。
ご飯を食べに行くのは賛成ですが、お肉ですと……豚丼ですか?」
「いやぁ、せっかくまとまったお金入ったんだし、ここはやっぱりお店でジンギスカンっしょ。
寮の裏で肉焼こうとすると、みんな嗅ぎつけてくるからさー。こういう時じゃないと腹いっぱい食えんし」
お店の中には、肉が焼けるかぐわしい香りが立ち込めています。
艶々した肉から上がる煙と音が、食べ盛りの乙女の食欲を刺激します。
はふはふ。
「ジンギスカンっつったらシンプルに塩コショウがうめーよなー」
「いやいや、タレこそ王道にして至高でしょう」
ギシ、と空気が凍ります。
「……は?」
「……は?」
一瞬、戦争の気配がしましたが、焼けた肉を交換してそれぞれの味付けの良さを称え合う事で一層お箸が進む結果となりました。
でりしゃす!
でもやっぱりジンギスカンと言ったらタレですよね。
食事代 dice1d4000=3213 (3213) + \4,000
- 110二次元好きの匿名さん24/05/14(火) 21:08:05
あやうく悲惨な場面になりかけてるの草
- 111二次元好きの匿名さん24/05/14(火) 21:29:25
このレスは削除されています
- 112◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/14(火) 21:31:46
カミノクニスノウの本来のパラメータ
スピード dice1d6=5 (5) + 1
パワー dice1d6=2 (2) + 1
- 113二次元好きの匿名さん24/05/14(火) 21:37:47
このレスは削除されています
- 114◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/14(火) 21:39:15
※ダイス設定を間違えました
美味しいお肉をたらふく食べたおかげで怪我の直りは…
dice1d2=1 (1)
1.回復スピードが上がった!
2.変化なし
回復チェック
dice2d2=1 1 (2)
1.治りが進んだ
2.変化なし
1.スピード 2.パワー
(治れば対応するパラメータに+1される。回復スピードが上がった状態ならば、さらに+1)
- 115◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/14(火) 21:41:40
カミノクニスノウの本来のパラメータ
スピード B
パワー E
回復チェックにより
スピード G → E (Max:B)
パワー G → E (Max:E)
(以降、パワーの回復チェックは無くなります)
スノウちゃんのお財布の中身 \16,726 → \25,726 → \18,513 - 116二次元好きの匿名さん24/05/14(火) 22:06:01
- 117◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/14(火) 22:44:34
ウェイトを動かすペースは乱さないように、関節は延ばし切らないように、ゆっくりと筋肉を伸縮させるのがここでのたしなみ。
もちろん、過負荷に耐え切れずウェイトを一気に下ろして音を立ててしまうなどといった、はしたない生徒など存在していようはずもない。
(…チャ…)
「くっ……ぶっ!はあぁぁ……!」
あたしはゆっくりを膝を曲げ、ウェイトがぶつかり合って音をたてないように、そっとフットプレートを初期位置まで戻しました。
全身から噴き出した玉のような汗が身体を伝い落ち、発熱した筋肉からはブワッと白いオーラのように蒸気が立ち上ります。
朝早く起きてトレセン学園の圃場で実習。
朝ご飯をかっこんで身支度を済ませて、授業。
放課後には、晴れていればトラックで基礎的な走り込みと練習用橇での牽引トレーニング、雨が降っていれば屋内でマシントレーニングにトレーニング理論の勉強。
寮に帰る前にまた圃場で実習。
週末には先輩達やメイクデビューを果たした同期の子らのレースの手伝い(橇は重機で動かしますが弁当箱を積むのは手作業なのです)。
規則正しい生活と、教官達のトレーニング指導。
あくまでウェイトトレーニングでの話ですが、入学した当初よりも負荷を重くできています。ダートでのダッシュ走のタイムも速くなっています。あたしの身体は着実にリハビリが進んでいる、鍛えられていっているという実感はあります。
これならば……。
「失礼します!」
スパーンと、勢いよく教官室のドアを滑らせて、あたしは入室しました。
「教官!練習コースと練習用レース設備の使用申請を出しに来ました。許可をお願いします!」
「ふむ……明日でよければ、15時から17時までは2番が空いている。それで良ければ使用を許可する。
ナイター設備の使用はないな?使った用具は自分達で片付けておくように」
「ありがとうございます!」
会釈して教官室から出ると、あたしはグループLANEで同級生たちを誘うと、我も我もと集まりました……あっという間にフルゲート埋まりましたよ。 - 118◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/14(火) 22:47:17
本当は一人ずつ曳くつもりで借りたのですが、人数が増えたので模擬とは言えレース形式になりました。
やたら増えてしまった機材は手分けしてえっちらおっちら運んでいたのですが、手隙にしていた先輩が見かねて重機を操って運んでくれました……私有地内なので免許とかは大丈夫な筈です!たぶん!
今日のあたしのばんえい重量は、2000kg。前回の選抜レースと同じです。
『ばんえい重量補正』 = 4
やる気は『絶好調』です!
『第1直線』 ばんえい重量補正基準値=8 判定 dice2d6=6 2 (8)
『第1障害』 ばんえい重量補正基準値=10 判定 dice2d6=5 3 (8)
『第2直線』 ばんえい重量補正基準値=12 判定 dice2d6=3 2 (5)
『第2障害』 ばんえい重量補正基準値=14 判定 dice2d6=1 6 (7)
『最終直線』ばんえい重量補正基準値=12 判定 dice2d6=2 1 (3)
最終着順ダイス dice1d10=5 (5)
- 119◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/14(火) 23:08:13
『第1直線』の成功量 = 出目(8) + パラメータ補正(3) + 根性補正(0) + 脚質補正(0) - (4 + 4) = 3
『第1障害』の成功量 = 出目(8) + パラメータ補正(3) + 根性補正(0) + 脚質補正(1) - (6 + 4) = 2
『第2直線』の成功量 = 出目(5) + パラメータ補正(3) + 根性補正(0) + 脚質補正(1) - (8 + 4) = -3
『第2障害』の成功量 = 出目(7) + パラメータ補正(3) + 根性補正(1) + 脚質補正(0) - (10 + 4) = -3
『最終直線』の成功量 = 出目(3) + パラメータ補正(3) + 根性補正(1) + 脚質補正(0) - (8 + 4) = -5
総成功量 = -6
最終着順 = 出目(5) - (スタミナ補正(6) + やる気補正(2) + 天候/馬場補正(0) + 総成功量(-6)) = 3
順位は……3位!
ゴールと同時に、あたしは膝だけを地面につきました。
両膝を砂につけた膝立ちのままで天を仰ぎ、肺に大量の空気を送り込みます。
喉はカラカラ。
頭はクラクラ。
一気に噴き出した滝のような汗で体操服はびしょびしょです。
さすがに1位とはいきませんでした。
ですが、悪くない気分です。
なにせ今回は曳いていても、ある程度は周りが見えていましたから。それはつまり、あたしに余裕が出来てきたという事でしょう。
今回は、最終直線で足を取られて失速してしまい、スタミナを使い切ってしまったのが敗因でしょうか。
まだ回復し切っていない今の状態であれば、及第点といったところではないでしょうか。
その解釈であっています
ただ、トレーニングやレースによる成長チェックをどのくらいの頻度で行えばいいのかは、まだ見込めていません
- 120二次元好きの匿名さん24/05/14(火) 23:51:30
トゥインクルシリーズならゲームのターン進行に合わせて半月1ターンベースでいいかなと思うけど、根本的にモノが違うからなぁ
- 121二次元好きの匿名さん24/05/15(水) 09:35:33
保守
- 122二次元好きの匿名さん24/05/15(水) 10:22:09
肉体労働系のバイトしまくってたらパワー上がったりしねーかな...
- 123二次元好きの匿名さん24/05/15(水) 12:01:55
ばんバは温厚とか言いながら、ジンギスカンで即ギスりかけるのが
それぞれの実家から支援物資(はねだし品詰め合わせ)が送られてくるたびに寮の裏でBBQやっては調理法や味付けで揉めるんだろうな - 124二次元好きの匿名さん24/05/15(水) 19:00:01
ミシェルマイベイビーやシーフクロー級のガタイが群れをなしてると考えると、見た目の圧がヤバい
- 125◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/15(水) 21:33:31
※同室の子が都度都度出てくるようになったので、ちょっとキャラを固めておこうと思います
出身地
道内179市町村/50音別 - 北海道のホームページwww.pref.hokkaido.lg.jpdice1d179=77 (77)
身長
180 + dice1d50=28 (28) cm
スリーサイズ(いずれも100に近いほど大)
B dice1d100=95 (95)
W dice1d100=5 (5)
H dice1d100=42 (42)
耳飾り
1.右耳 2.左耳 3.なし
dice1d3=2 (2)
毛色は
1.鹿毛 2.黒鹿毛 3.青鹿毛 4.青毛 5.栗毛 6.栃栗毛 7.芦毛 8.白毛 9.尾花栗毛
dice1d9=7 (7)
毛の長さ
dice1d100=4 (4)
(100に近いほど長い/100で腰まで。1に近いほどショート/1でシャカール並み)
毛の癖
dice1d100=15 (15)
(100に近いほど癖っ毛/ウェービー。1に近いほど直毛/ストレート)
- 126◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/15(水) 21:37:05
ルックス
dice1d100=18 (18)
(100に近いほど美形。1に近いほど可愛い)
目の色
dice1d10=6 (6)
1-9.両目とも同色
10.オッドアイ
R:dice1d255=58 (58)
G:dice1d255=66 (66)
B:dice1d255=57 (57)
瞳(虹彩)の特徴
dice1d2=1 (1)
1.ない
2.ある
- 127二次元好きの匿名さん24/05/15(水) 21:43:17
なんつーえげつないスタイルしてんだ同室ちゃん
- 128◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/15(水) 21:45:55
- 129二次元好きの匿名さん24/05/16(木) 08:01:47
保守
シャコー冠でシャコたん呼ばせるのが浮かんでしまって他のが出てこない! - 130二次元好きの匿名さん24/05/16(木) 15:48:50
保守
身長208cmで最大級のバストだと、B130くらいはいってるんだろうか? - 131二次元好きの匿名さん24/05/16(木) 16:17:39
リグシャッコー
- 132二次元好きの匿名さん24/05/16(木) 17:54:21
シャコータングラム
しかし上ノ国町も積丹町も、帯広からすごい遠いんだな - 133二次元好きの匿名さん24/05/16(木) 19:06:06
- 134二次元好きの匿名さん24/05/16(木) 21:24:49
このレスは削除されています
- 135二次元好きの匿名さん24/05/16(木) 21:25:27
このレスは削除されています
- 136二次元好きの匿名さん24/05/16(木) 21:26:57
このレスは削除されています
- 137二次元好きの匿名さん24/05/16(木) 21:29:31
- 138◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/16(木) 21:35:24
※またトリ入れ忘れてますし、もうね…
あたしは、寮の自室のベッドに寝転がりながら、手にしたスマホに表示されているカレンダーを眺めました。
ばんえい競バは平地競争に比べると重賞がかなり少なく、ジュニアやクラシックなどの各クラスでの三冠くらいしか重賞がありません。
ばんえい競バの本番と言われるシニア級になっても、ほとんど増えません。数が少ないのはバ場とコースが一択ですし、あとは、まぁ予算の問題でしょうか。
ジュニア三冠は、GⅢのナナカマド賞、GⅡのヤングチャンピオンシップ、GⅠのイレネー記念。
その中でもヤングチャンピオンシップには、トライアルレースがあります。
トライアルレースは、全道を五つの地区に分け、その地区を出身地とするウマ娘だけで争う特別競走。あたしの場合、上ノ国町は檜山振興局管内なので南北海道特別だけにエントリーできます。
そうして各トライアルレースの上位二人がGⅡのヤングチャンピオンシップの出走権を得られることから「ばんえい甲子園」なんて呼ばれています。
ジュニア三冠の開催時期は、秋から冬にかけて。
まだ焦る時期ではない、と言いたいところですが。
ばんえい競バはトゥインクルシリーズに比べると重賞の数が少ないわりに、出走ペースは異様に早いのです。回復の早いばんえいウマ娘なら二週間に1回はレースに出ますし、一ヶ月に1回の出走はごく普通です。
重賞が少ない、つまりは大きいレースだけを狙うという事が出来ないのでコンスタントに出走して、同格戦を繰り返してはこまめに勝ち星と賞金を集めてランクを上げます。レースに出走すること自体をトレーニングの一環と見たりもします。 - 139◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/16(木) 21:37:24
早くレースに出て獲得賞金を積まないと、出走条件に届かなくなるかもしれない。
焦ってはいけないと思えば思うほどに、心は言う事を聞かず。
どうしたって、焦りは募ります。
「はぁ……」
思わず溜息がこぼれます。
そんな焦る心を誤魔化そうとしているのか、身体が勝手に尻尾を梳いていました。
「スノウさぁ、なんでヒトの尻尾いじってるのさ」
同じベッドの中で、あたしに背を向けて寝転がっているシャコータングラムさんの声が、彼女の頭越しに聞こえます。
そう、ここはあたしのではなく、シャコータングラムさん――通称グラムさん――のベッドです。
我ながら子供っぽいにも程があると思うのですが、気分が落ち込むとどうしても寂しくなってしまい、どきゅーとタイシンが居ない今はついつい彼女の身体を求めてしまうのです。むろん、そこには性的な意味はありません。
「イヤでしたか?」
「いいいイヤってわけじゃないし?誰だって落ち込むのはあるっしょ?だから、スノウの気がそれで晴れてくれれば別に問題ないっつーか?」
あたしはグラムさんの背中に、ぴとっと額をくっつけます。
そうして、ひたすらに彼女の尻尾に指をいれては梳いてを、無心に繰り返していました。 - 140◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/16(木) 21:38:43
あたしの心とは裏腹に、毎日は淡々と過ぎていきます。
学園生活にトレーニングにアルバイトに精を出し、友達と遊びに行ったりと、けして無為ではないですが、本当にやりたい結果は出せない日々。
学園に来ていたアルバイト募集ですが…
dice7d2=2 1 2 1 2 1 2 (11)
1.ある
2.ない
1.道路 2.建設 3.農業 4.林業 5.畜産 6.水産 7.その他
- 141◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/16(木) 21:43:50
畑仕事が一番慣れてるんですが、なかなか求人がありません。
同じように実家が農家のばんえいウマ娘は多いですから、需要が多くて取り合いになっているのかもしれません。
アルバイトは、去年の台風で倒れたままになっている倒木の撤去(4.林業)をしてきました。
これをやっとかないと、林道が使えなくなったままになってしまいますからね。
今回のお給料(適性の分だけ振るダイスが増える。まだプロではないのでランクAがカンスト)
dice6d2=2 2 1 1 2 1 (9) × \1,000
回復チェック
dice1d2=1 (1)
1.治りが進んだ
2.変化なし
- 142◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/16(木) 21:46:15
カミノクニスノウの現在のパラメータ
回復チェックにより
スピード E → D (Max:B)
スノウちゃんのお財布の中身 \18,513 → \27,513 - 143◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/16(木) 22:52:27
そんな、ある日のことです。
教室備え付けのスピーカーが終業のベルを鳴らします。
さて今日の放課後はたしか、チーム未所属やトレーナーがいない子達が集まっての集団トレーニングです。自主トレではなく、きちんと教官が付いてくれます。
と、スピーカーが今度はチャイムを鳴らしました。
なにかの事務連絡でしょう。
そう思って適当に聞き流そうとしていたら、聞き逃せない言葉がスピーカーから流れてきました。
『……組のカミノクニスノウ。至急、教官室まで来るように』
唐突に始まったアナウンスは、唐突に終わりました。
あたし、なんかやっちゃいましたかぁ?
知りません!知りませんよぉ?!
いや、皆さん、肩に手を置くのは止めてください。
あたしは無実です。
本当に知らないですってばぁ!
「失礼します……カミノクニスノウ、入りまぁす」
そろりそろりと言った感じで教官室のドアを開けて、あたしは入室しました。
「ああ、来たか。カミノクニスノウ君、こっちだ!」
あたしの声に応じて手を上げているのは、見慣れた教官の姿。
そして、その隣。
見慣れない方が、あたしに顔を向けていました。
なんとも言いようのない居心地の悪さを感じながら、教官室を突っ切って教官の前まで行きます。
「君もこの後の予定があるだろうから、手短にいこうか。
カミノクニスノウ君、紹介しよう。こちらの方が君に会いたいと言ってくれている」 - 144◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/16(木) 22:54:16
それが、あたしとトレーナーさんの出会いでした。
トレーナーさんがあたしを訪ねてきた経緯ですが…
dice1d3=1 (1)
1.たまたま模擬レースを見て、磨けば光るものを感じた。
2.あの”上ノ国の女傑”の孫と聞いて興味が沸いた。
3.指導教官から面白そうな生徒がいると聞いて。
- 145◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/16(木) 22:55:49
トレーナーさんは…
dice1d3=1 (1)
1.男性
2.女性
3.ウマ娘
実力
dice1d100=55 (55)
(100に近いほどハイスペック)
ルックス
dice1d100=32 (32)
(100に近いほど美形。1に近いほど地味)
体形
dice1d100=69 (69)
(100に近いほどグラマー/デブ。50で標準。1に近いほどスレンダー/痩せ)
- 146◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/16(木) 22:57:05
年齢
dice1d38=5 (5) +22歳
性格
dice1d100=46 (46)
(100に近いほど明るい/ポジティブ。1に近いほど厳格/物静か)
人格
dice1d100=83 (83)
(100に近いほど人格者)
人脈・コネ
dice1d100=41 (41)
(高いほど広い)
- 147◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/16(木) 23:44:08
- 148◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/16(木) 23:57:23
- 149二次元好きの匿名さん24/05/16(木) 23:59:40
シンプルにへーってなること多くていいな
- 150二次元好きの匿名さん24/05/17(金) 07:59:53
保守
- 151二次元好きの匿名さん24/05/17(金) 17:45:00
トレーナーが無難オブ無難な感じ
アプリトレーナー勢に比べると狂気が足りないと言うか - 152二次元好きの匿名さん24/05/17(金) 18:57:37
トレーナー業務と関係なさそうな横道情報とか余裕があるときに振ってみたらいいかもね
ダイス神の気まぐれでなんであんたトレーナーやってんだ?みたいな設定生えたりするし - 153◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/17(金) 21:54:56
- 154◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/17(金) 22:36:47
「こんにちは。カミノクニスノウ君、だね。よろしく」
教官の隣で椅子に座っていた男性が、立ち上がって握手を求めてきました。
そこで初めて、あたしは掌がじっとり汗ばんでいることに気が付きました。自分で知らないうちに、内心の動揺がばっちり出ていたようです。教官室に呼び出し喰らうとか、基本的にろくでもない場合しか考えられませんから。
慌ててスカートの裾で掌を拭うと、差し出された手を取り、握手を返しました。
む。
ばんえいウマ娘であるあたしよりも小さな手なのは当然ですが、予想外に硬くがっちりした手でした。アスリートとして、思わず反応してしまいます。太くはないですが、密度の高い肉が詰まっている感触です。
「こ、こんにちは。きゃ、カミノクニスノウです。よろしくお願いします」
そんなどうでもいい観察眼は働くのに、声に動揺が出てしまうのは抑えられませんでした。
「あまり時間を取らせてしまうのも悪いからね。単刀直入に言おうか。
僕を君のトレーナーにして欲しいんだ」
真っ直ぐに、あたしを見つめる瞳。
どくん。
「前に、君が同級生たちと自主トレで模擬レースをしているのを見てね。それ以来、ずっと君の走りが気になっていたんだ」
どくん。
どくん。
「君が目指すものを、今の僕は知らない。だから、一緒に何かを目指そうとは言わないし、言えない。
ただ、君の走りは磨けばもっともっと良くなれるとは確信している」
どくん。
どくん。
どくん。 - 155◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/17(金) 22:39:14
「僕が君を上手く磨けるかどうかは分からないが、これでも少しは経験がある。
僕の手で君を磨いてみたいんだ。
どうだろう、トレーナー契約をしてくれないかな?」
あたしの耳には、目の前の男性の言葉なんて半分くらい届いていません。
人生経験の浅い学生なんか、適当に言いくるめようと思えば、いくらでもできる筈です。甘い言葉に乗らない自信も、そもそもそれが甘言であるかすらも見極める目がないですから。
それをせずに、自身が知らないことを知らないと伝えた上で、勧誘するのはかなりフェアであり、誠実でしょう。
後から思えばそうでしたが、この時のあたしにはそんな事を考えてる余裕なんて、これっぽっちもありませんでした。
勧誘!
トレーナー!
まさに待ち望んでいたものが降ってわいた歓喜と、若い男性にこの身を請われる興奮。それはうら若き乙女にとって劇物に等しいものでした。
「無論、君からすれば突然の話だし、今ここで返事がもらえるとは思っていない。
ちょっと僕の言葉を考えてみてもらえると助かる。良い返事を期待しているよ」
そう言って握手を解こうとする彼の手を、あたしはギュッと握りしめました。
あたしに手を掴まれた彼の表情が、ぎょっとしたものに変わります。
「契約、しましょう!
決めました。あなたがあたしのトレーナーさんです!」
「え?!もう少し考えてからでも大丈夫だけど……」
「おいおい、カミノクニスノウ君。相変わらずせっかちだな。
彼もこう言っている事だし、もうちょっと検討してからでも遅くはないよ」
「いえ、教官、決めました。あたしはトレーナーが欲しくて、彼はあたしのトレーナーになりたい。
これぞまさにベストマッチングでしょう!
という訳で、これからよろしくお願いします!あたしのトレーナーさん!」 - 156◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/17(金) 22:43:36
「という事があったんですよ、グラムさん!」
自室でベッドに腰掛けながら、シャコータングラムさんに報告します。
「あー、はいはい。てか、もう何回目よソレ」
あの後、予定していたトレーニングは中止にしました。
そのまま教官室でトレーナー契約の書類を交わし、学園に提出し終わった頃には日が暮れかけていました。
「トレーナーですよ、あたしにトレーナーさんが、うふふ」
「はぁ……」
ウマミミはせわしなくピコピコ動きます。
尻尾はぶんぶん振られます。
「ふふぅ、うへへへへ」
「聞いちゃいねーし。もう仕方ないなー」
すっと、シャコータングラムさんがあたしの前に立ちます。
それすらも、あたしの目には入っていません。
「おらぁ!トレーナー契約は告白じゃねーぞ!正気に戻れ!!」
真正面からチョップを喰らいました。
「お”っ!」
「……お手数をおかけしました」
「まったくっしょ」 - 157◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/17(金) 22:50:00
「そのオデコはどうしたんだい?」
「いえ、なんでもありません。お気になさらず……」
トレーナーさんは怪訝な顔をしていましたが、それ以上は追及してきませんでした。
今思い起こせば、ちょっと浮かれ過ぎていたのは確かですし、それを正直に話すのは苦行というか拷問でしかありませんので聞かれないのは助かります。
昨日のあたしの浮かれ具合を目撃していた友人達からは「浮かれてるんじゃなくてイカレてる」「反重力実装済み?あんなに地に足が付いてないヤツ初めて見た」「キモかった」と、それはストレートな感想を頂きました。
さて、あたしの身体も順調に回復していっていますし、選抜レースを経なくてもトレーナー契約も結べました。
いよいよ、メイクデビューの条件が整いました。
普段のトレーニングの合間を縫って、トレーナーさんと今後についての作戦会議です。
「メイクデビュー戦でのばんえい重量だけど、今までの模擬レースや選抜レースよりも重くなる。
具体的には選抜レースでは2000kgだったのが、2500kgに増量される」
「プラス500kg。橇一個分ですか」
「これはスタート地点ではあるけれど、GⅢのナナカマド賞でも同じ程度のばんえい重量になる。
これが無理なくいけるようになれば、重賞、ひいてはジュニア三冠路線へのエントリーが現実味を帯びてくるね」
手の届かない位置にいたきらびやかな星々が、急激に手の届く現実に降りてきた幻覚に捕らわれそうになります。
ごくり。
あたしが唾を飲む音が、やけに大きく聞こえます。
「ただ、僕が思うに……」
そんなあたしの妄想をぶち壊す為か、トレーナーさんは、そこでわざと言葉を切りました。
「今のスノウ君の実力であれば、メイクデビュー戦の勝敗は半々といったところだと見ている」
トレーナーさんの目は本気でした。
そこに『信じてる』とか『君なら出来る』とかの余計な装飾は一切無く。
「そこでメイクデビュー戦までのトレーニングに、いくつかの選択肢が出てくる。
しかしながら、選択肢全てを、とはできない。
やろうとしても時間的に厳しいだろうし、なによりオーバーワークで疲労を残しながらのトレーニングになってしまうだろう」
ばんえいウマ娘は総じて平地競争のウマ娘よりもかなり頑丈頑健ですが、それだって無敵という訳ではありません。
無理は必ず体に表れます。 - 158◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/17(金) 23:04:39
メイクデビュー戦までのトレーニング方針としては…
dice1d3=2 (2)
1.基礎トレーニングを重点的に行い、身体の回復に努める(次だけ回復チェックが2回になる)。
2.スピードを活かして序盤で優位に立つためにスタート練習を重点的にする(スタートスキルの獲得)。
3.パワーが無いので障害でスタミナを減らさないように「刻み」の練習をする(スタミナアップスキルの獲得)。
- 159◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/17(金) 23:09:01
2.スピードを活かして序盤で優位に立つためにスタート練習を重点的にする(スタートスキルの獲得)。
「そうだね……スタート練習を重点的に行う線でトレーニングプランを組んでみよう。
これが吉と出ても凶と出ても、少なくとも得るものはあるだろう」
あたしは頷きました。
「ただ、ちょっとの間だけどトレーニングは現状維持でいこう」
「それはどうしてですか?」
「プランに合わせて練習場や設備を確保しないといけないからね。他の子達だっていろいろ使う。
こっちのやりたい事が出来るように、彼女らのトレーナーと譲り合いと分捕り合いさ」
トレーナーさんは肩をすくめました。
「特に僕みたいな新人同然で顔が利かないとなると、なかなかスムーズには進まなくってね」
「大変なんですね」
「なに、トレーナーの仕事なんて実際は地味な裏方さ。どんな仕事も段取り七割だよ」
どうせなら空いている時間を有効に使う為、学生課に来ました。
現在、学園に来ているアルバイト募集ですが…
dice7d2=1 2 1 1 1 1 1 (8)
1.ある
2.ない
1.道路 2.建設 3.農業 4.林業 5.畜産 6.水産 7.その他
- 160二次元好きの匿名さん24/05/17(金) 23:11:47
わーおバイト大豊作
- 161◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/17(金) 23:22:55
畑仕事が一番慣れてるので、農場のアルバイトがあるのは助かります。
この時期ならではの、アスパラガスの収穫手伝い(3.農業)をしてきました。
専用のアスパラ収穫鋏で青々としたアスパラガスの根本付近をパチンと切っては回収。パチンと切っては回収。それを圃場の端から端まで延々と繰り返します。
立って使えるアスパラ収穫鋏はそこそこ重いのですが、あたしにとっては羽毛も当然です。
今回のお給料(適性の分だけ振るダイスが増える。まだプロではないのでランクAがカンスト)
dice7d2=2 2 1 2 1 1 1 (10) × \1,000
オマケで規格外品をたくさん頂きましたよ!
寮の裏で七輪を出して、バターで炒めて美味しく頂きましょう。
回復チェック
dice1d2=2 (2)
1.治りが進んだ
2.変化なし
- 162◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/17(金) 23:32:04
カミノクニスノウの現在のパラメータ
回復チェックにより
スピード D → D (Max:B)
スノウちゃんのお財布の中身 \27,513 → \37,513 - 163◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/17(金) 23:44:13
本日の進行はここまでといたします。スキルの説明を書かないと…
フレーバーとして、カミノクニスノウの兄弟姉妹を決めてみようと思います
兄弟の数
dice1d10=4 (4) + 1(カミノクニスノウ本人)
- 164◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/17(金) 23:46:40
カミノクニスノウは長女としますので、弟妹たちですが…
dice4d3=3 2 2 3 (10)
1.男の子
2.女の子
3.ウマ娘
- 165二次元好きの匿名さん24/05/17(金) 23:47:40
見事に女系やなぁ
- 166◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/17(金) 23:50:45
カミノクニスノウの妹達は、ヒトミミの女の子二人、ウマ娘二人です
これは長女が婿とっ捕まえてこいと思われてるでしょうね - 167◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/18(土) 00:09:47
気性の荒さは色々な形でレースに影響します
常日頃から闘争心剥き出しは困りますが、レース中に無いのはそれはそれで困ります
なお、基本的にばんえいウマ娘は温厚でおっとりしているので、荒いとしてもレース中のみです
カミノクニスノウの気性の荒さですが…
dice1d100=75 (75)
(100に近いほど気性難/レースで荒ぶる。50で普通)
- 168二次元好きの匿名さん24/05/18(土) 02:05:24
ikzeが必要なほどではないけどコントロールの努力はいるかな?
- 169二次元好きの匿名さん24/05/18(土) 10:58:32
たぶん、普段は大人しくて真面目なのに、ゲートが開くとかスイッチ入った途端にブチ切れるタイプ
- 170二次元好きの匿名さん24/05/18(土) 11:06:04
保守
- 171二次元好きの匿名さん24/05/18(土) 16:53:40
- 172二次元好きの匿名さん24/05/18(土) 18:25:58
輓曳ウマ娘がやる
曳、曳、むん!
はすごくすごそう - 173◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/18(土) 21:37:55
放課後、練習コースに設置してあるゲート前に集合しました。
今日から、トレーニングメニューにスタート練習が追加されます。
トレーナーさんからは事前に指示があって、アップ済みです。
「トレーナーさん、一つ思ったのですが、どうしてスタート練習なのですか?」
「スノウ君の模擬レースや今までのトレーニングを見ていて、気が付いたことがあってね。
早いうちに改善しておいた方がいいと思ったんだ」
あたしは首を捻りました。
自分では、そんなにスタートが下手な気はしていないのですが。
「その辺は、後で見ればよく分かると思う。まずは現状把握から始めよう」
トレーナーさんは、ビデオカメラを取り付けた三脚を設置しながら、スターター台まで移動していきました。
おお、それっぽい!
今まではこういうのは、仲間同士でスマホ使って撮影し合うしかありませんでしたからね。
トレーナーさんがスターター台の上から、赤旗を振り回して合図をします。スターター台と言っても実際のレースで使うような箱タイプではなく、練習用設備なので細い頼りない梯子の上にバケツを置いたような簡素なものです。
あたしはゲートの中で、スタート態勢をとりました。
今日はスタート練習だけに集中するために、曳くものは無しです。
大きく息を吸って、ゆっくりと吐きだします。息を整えていくにつれ、胸の奥底からやる気がゆっくりと頭をもたげます。視界が端の方から、じわりじわりと赤く染まっていきます。
スターター台で赤旗が振り下ろされました。
同時に、ゲートオープン。
あたしは全速で駆けだしました。
「っしゃぉりゃあぁぁあっっ!!」 - 174◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/18(土) 21:41:13
あたしは途中から画面が見れませんでした。
恥ずかしさで紅く染まった顔を少しでも隠したくて、両手で顔面を覆います。
「……あたし、こんなに激しく乱れてたんですか?」
「……全く気が付いてなかったのか?」
ビデオカメラの小さい液晶ディスプレイの中のあたしは、それはもう酷いものでした。眦は吊り上がり目は血走って、口から飛び出すのは気合というよりも罵声でした。
「今さら言うまでもないだろうが、レースで闘争心が無いのは困りものだ。
例えば、他と競り合った時に闘争心が旺盛な方が、より前に前にとフィジカルを最大限まで絞り出して進むだろう」
トレーナーさんはビデオを巻き戻して、また再生し始めました。
「でも、闘争心があり過ぎるか、上手く制御できていないと言うのもまた困りものだな。
この君のように」
やめてください……それ以上は見せないでください……。
「まずは現状把握からと言ったろう?今どうなっているのかを把握するのはとても大切だ。
ほら、しっかり見ないと」
はい……ああ、激しく乱れてます……重心が右に左にブレブレです。
「だろう?こうしてゆっくり再生するとよく分かる。
ほら、気合が入りすぎているあまり上半身が上を向いている。出掛かりの一瞬だけ加速が緩い」
こうして、あたしはたっぷりと現状把握させられました。 - 175◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/18(土) 21:46:31
「と言う訳で、スタートの瞬間への集中力を鍛えよう。先行が向いているスノウ君が序盤で出遅れるのは、かなりの不利を被ってしまう。
スノウ君の場合、フォームそのものの問題ではない。
自らのやる気が高すぎて逆にプレッシャーになってしまい、反応のズレやフォームの乱れに繋がってしまっているのが問題だ」
そこでトレーナーさんはいったん言葉を切りました。
「まずは外周を5kmほど走ってくるように」
「ええっ?!」
「まずは適度に体を疲れさせて気合を抜く。それからゲートを使って、最適のスタートタイミングを体に叩き込む。
質問は?ないかい?では、駆け足はじめ!」
スキル獲得チェック
dice1d4=1 (1)
1-3.スキル『集中力』を獲得した!
4.得るものなし
――レース中に行われる各種動作は、自分だけではなく他人も行っている(例えば、刻んだりする等)。
――本システムにおいては、他者よりも上手く「その動作を行える」と言うことがスキルの表現となる。
- 176二次元好きの匿名さん24/05/18(土) 21:50:11
ヒューッ!
- 177◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/18(土) 21:52:13
スキル『集中力』
スタートが得意になり 出遅れる時間がわずかに少なくなる。
発動エリア:第一直線
基準値:8
効果:発動成功時に、第一直線での判定ダイスの出目に+1される。
――スキルごとに、発動するエリアや条件、発動するための基準値、効果がそれぞれ決められている。
――レース中に発動条件が一致すると自動的に発動判定となる。発動判定の際は、賢さの補正値がダイスの出目にプラスされる。
――( 2d6の出目 + 賢さ補正) ≧ スキルの基準値 で発動成功となる。 - 178◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/18(土) 23:12:31
その日は、へとへとになるまでスタートダッシュの繰り返しでした。
ダッシュしてはビデオ映像のチェック。
ダッシュしてはビデオ映像のチェック。
次の日も、その次の日も、同じメニューでした。
もちろん基礎的なトレーニングも行っていますが、トレーナーさんのプランでは、それらも現状維持ができるだけの最低限に留めていました。
思えば、こんな風に特定のポイントにターゲットを絞って重点的にトレーニングする事は今までにありませんでした。
ウェイトトレーニングなどのメニューに少しずつ差は出るものの、だいたい一通り決まっているメニューをルーチンワークのようにこなすだけ。
いくら教官たちに指導されているとは言え、がっちりとマンツーマンで見て貰ってはいません。
自然、ところどころは自己判断になりがちです。
しないように、とは注意していながらも、どうしたって自分自身に甘えてしまうのはどうしようもないことでした。
誰にも頼らず、修行僧さながらに甘さも弱さも一切見せずに、自分を鍛えるウマ娘もいるにはいます。
ただ、そういうのは天才とか呼ばれる一部のウマ娘だけです。
あたしは、あくまで普通。
そこまでストイックになり切れませんでした。
それをトレーナーさんは許してくれませんでした。
他人だからこそ出来る甘さの排除。何を得て、何を妥協するかの取捨選択。
「そうだ!スノウ君!今のタイミングだ!頭の中で何を見つめて、何を追い出したか分かったな?
身体に叩き込むぞ、もう10本!!」
「はい、トレーナーさん!」
こうして、あたしはゲート内で集中するべき事柄を整理することで滾る心を抑えて、上手くスタートを切れるようになってきました。
メイクデビュー戦への準備は、着々と進んでいきます。 - 179◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/18(土) 23:14:46
「スノウ君、君のメイクデビュー戦のスケジュールが決まったよ」
それは唐突でした。
「一週間後、ですか。早いですね」
「この時期は大きいレースもないし、メイクデビュー戦ばっかりだからね。
空いている枠さえあれば、すぐだよ」
「と言う訳なので、グラムさん」
「あにさ」
「トレーナーさんから三日先まで軽いトレーニングにして、体を休めるように言われました!
時間が出来ましたので、せっかくですし、甘いものでも食べに行きませんか?」
「いーよ?どうせだし、他のヤツらも誘って六花亭いこうよ」
「おお、それはナイスアイディア!あたし、帯広本店のリコッタパンケーキ大好きです!」
やる気 絶好調 → 絶好調
スイーツ代 dice1d2000=1544 (1544) + \2,000
なお、お店のスイーツは喰い尽くされた模様。
- 180◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/18(土) 23:28:27
- 181二次元好きの匿名さん24/05/19(日) 03:26:05
夜更かし保守
- 182二次元好きの匿名さん24/05/19(日) 13:39:28
保守
- 183◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/19(日) 22:57:43
一週間後。
とうとう、あたしのメイクデビュー戦です。
勝っても負けても、これがあたしのばんえい競バの始まりです。
トレーナーさんからは一言「楽しんでおいで」と。
ズジャ、とアルミ製の蹄鉄がバ場の砂を踏みしめ、重い音を立てます。
ずしゃ、ずしゃと踏みながらパドックに向かいます。
先輩達のレースを通じて横からは何度も見ていましたが、正式のレースが初めてならお客さんが見守る中でパドックに立つのも初めてです。
緊張の面持ちで立つ、お立ち台の上。
深呼吸を一回。
あたしは羽織っていたジャージを一息に放り投げました。
先輩方のように綺麗には広がりませんでしたが、バッとジャージが宙を舞います。
(ワァァ……)
細波のような歓声が降り注ぎます。
それに手を振って応えました。
皆さん、見ていて下さいね!
今日のあたしのウマ番は…
dice1d10=7 (7)
です。
(セパレートコースで走路が交わることがないので枠番やウマ番による有利不利は無い)
あたしの期待度は…
dice1d100=99 (99)
(出目が大きいほど大。50で普通)
で、dice1d10=10 (10) 番人気です。
- 184◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/19(日) 23:02:32
『10番人気は 7番カミノクニスノウ。あの通算成績50勝をあげた”上ノ国の女傑”のお孫さんとなりますが、どうでしょうか?』
『トレーニング中は目立ったところは無いとの話ですが、入学前に負った怪我が治り切っていないとの情報も入っています。
ただ快方に向かっているとのことですので、好走は期待できるのではないでしょうか』
快方に向かっていますが、まだ完全復活とは言えませんけどね!
とは言え、期待のされ具合に、心が沸き立ちます。
でも人気と期待のされ方に妙な食い違いがあるんですよね……引っかき回しそうで面白い、とか思われてませんか?
パドックからスタート位置まで、レースコースとスタンドの間にある走路で移動します。
歩いていく時にも、ぱらりぱらりと声援が投げかけられます。
それに両手を振って応えます。カミノクニスノウは頑張りますよー!
一緒に走る子のご家族でしょうか。直に名前を呼んでの応援も。
あたしの家族は来ていません。さすがに実家から車で片道6時間以上かかる上に、田んぼが忙しいので来てもらう訳にはいきませんので、それは承知の上です。
でも、少しだけ、あの子が、羨ましい。
「スノウ!けっぱれよー!!」
耳に届いたそれは、グラムさんの声。
声のした方に、今日一番の笑顔を向けました。
「はい!頑張りまぁす!!」 - 185◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/19(日) 23:04:30
いつもの体操服の上からハーネスを着用してから、ゲートに入ります。
重機がディーゼルエンジンを唸らせながら、橇を所定の位置に置きます。
係員さんがハーネスの左右の腰部分に橇に繋がるかじ棒、ベルトを手際よく繋いでいきます。
体のあちこちをパンパンと叩かれ、装着確認も完了です。
あたしの前にある開閉扉を締めて、係員さんがピッと両方の親指を立てます。崩れた敬礼をしながら、コース外に離れていきます。
「ありがとうございます!」
気合十分!
あたしは握った左右の拳で、自分の太腿をトントンと軽く叩きます。下手なヒトミミ女性のウエストよりもなお太い、あたしの鍛錬の成果。
アップが終わってしっとりと湿っている太腿は今か今かと出番を待ち望み、十分に血流が回って膨らんでいて、がっちり締った肉の感触を返します。
「日本の米はぁ……」
そのまま右拳で左肩、左拳で右肩を。
パァン!
最後に両手が頬を張った乾いた音が、辺りに響きます。
「世界一ぃ!!」
『7番カミノクニスノウ。気合充分!いい顔してますね!』
実家のお米と田んぼを思うと懐かしい気持ちになると共に、スーッと心が落ち着いていきます。
気合の抜き方も十分!
周りがどう見ようが、気になりません。これが、トレーナーさんと一緒に決めた、あたしのルーティーンです。
今日のあたしのばんえい重量は、2500kg。
『ばんえい重量補正』 = 5
やる気は『絶好調』です! - 186二次元好きの匿名さん24/05/19(日) 23:07:10
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- 187◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/19(日) 23:08:47
『各ウマ娘、ゲートに入って体勢整いました』
スターター台の上で、赤い旗が天を指します。
誰が指示した訳でもないのに、場内が、スーッと潮が引くように静かになっていきます。
静寂。
ゲートが開きました!
橇とウマ娘をつなぐ装具が一斉に、じゃりんじゃらんと盛大に鳴ります。
赤鼻のルドルフが引っ張るサンタクロースの橇の如く、辺りに鳴り響く特大の鈴の音の合奏に、歓声が添えられます。
『第1直線』 ばんえい重量補正基準値=8 判定 dice2d6=5 3 (8)
→スキル『集中力』 基準値=8 判定 dice2d6=6 6 (12)
『第1障害』 ばんえい重量補正基準値=10 判定 dice2d6=6 2 (8)
『第2直線』 ばんえい重量補正基準値=12 判定 dice2d6=4 5 (9)
『第2障害』 ばんえい重量補正基準値=14 判定 dice2d6=4 1 (5)
『最終直線』ばんえい重量補正基準値=12 判定 dice2d6=5 4 (9)
最終着順ダイス dice1d10=2 (2)
- 188◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/19(日) 23:13:21
『第1直線』の成功量 = 出目(8) + パラメータ補正(4) + 根性補正(0) + 脚質補正(0) + スキル補正(1) - (4 + 5) = 4
→スキル『集中力』発動成功!
『第1障害』の成功量 = 出目(8) + パラメータ補正(3) + 根性補正(0) + 脚質補正(1) - (6 + 5) = 1
『第2直線』の成功量 = 出目(9) + パラメータ補正(4) + 根性補正(0) + 脚質補正(1) - (8 + 5) = 1
『第2障害』の成功量 = 出目(5) + パラメータ補正(3) + 根性補正(1) + 脚質補正(0) - (10 + 5) = -6
『最終直線』の成功量 = 出目(9) + パラメータ補正(4) + 根性補正(1) + 脚質補正(0) - (8 + 5) = 1
総成功量 = 1
最終着順 = 出目(2) - (スタミナ補正(6) + やる気補正(2) + 天候/馬場補正(0) + スキル補正(0) + 総成功量(1)) = -7
順位は……2位に8バ身つけての、1位! - 189二次元好きの匿名さん24/05/19(日) 23:15:51
圧勝じゃんよすげーな
- 190◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/19(日) 23:24:33
- 191二次元好きの匿名さん24/05/20(月) 08:43:02
保守
- 192◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/20(月) 17:35:51
『各ウマ娘、ゲートに入って体勢整いました』
スターター台の上で、赤い旗が天を指します。
誰が指示した訳でもないのに、場内が、スーッと潮が引くように静かになっていきます。
静寂。
ゲートが開きました!
『各ウマ娘、一斉にスタートしました』
ガッジャァン!!
橇とウマ娘をつなぐ装具が一斉に鳴ります。
これが、ばんえい競バ特有のスタートです。ばんえい競バ以外でこんな音がすることはあり得ません。
鎖、シャックル、かじ棒、橇のフレーム、ハーネスの金具。色々ものが押し合い、引っ張り合い、ぶつかり合って、まるでウマ娘が全身に鈴をつけているかのようです。
赤鼻のルドルフが引っ張るサンタクロースの橇の如く、辺りに鳴り響く特大の鈴の音の合奏に、歓声が添えられます。
ジュニア級でまだ身体が出来ていないとは言え、大音声を立てるばんえいウマ娘の巨体が並んで走る迫力に、少ないとは言えお客さんの歓声に空気が震えます。
一部のお客さんは一緒にスタートを切って、ラチの向こうで併走しています。
全身に喰い込んだハーネス越しに橇の重みと、砂の抵抗を全身に感じます。
重い!
ですが、いける!
トレーナーさんとの練習の成果はバッチリでした。狂ったように叫びだしたい心を必死に宥めて、扉が開く瞬間を狙いすましたお陰でスムーズにゲートを出れました。
じゃらん!じゃらん!じゃらん!と盛大に、リズミカルに、装具を鳴らしながら第1障害に向けて駆けます。
せっかく得たスピードを殺さずに、そのまま第1障害に突き進みます。
残念ながら、あたしのパワーでは後半に競り合いとなった場合、負ける方が多いでしょう。出来れば序盤でペースを握っておきたい。と言うトレーナーさんの判断でした。
幸いなことにスタミナには、それなりに自信があります。
小さい頃から田んぼの泥で鍛えた足腰は伊達じゃないですよ。
第1障害直前で大きく吸気し、筋肉を出来るだけ緊張させて、
「ふん……!ぬ!りゃぁああ!」
そのまま一気に第1障害天辺まで駆け上がりました。
「ぶっはぁぁ!」
緊張が抜けた全身の筋肉がもうもうと熱を発します。でも、これでお終いではありません。橇の重量を利用して、障害を駆けおります。 - 193◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/20(月) 17:38:44
第1障害を駆けおりたスピードは無理に制御しようとしないで、そのまま背を押されるようにして進み……あたしは第2直線の半ばで脚を緩ました。
別にトラブルではありません。
レース中のウマ娘がコース内で止まるのなんて、ばんえい競バの常です。これもばんえい競バ以外ではあり得ない光景です。
『カミノクニスノウ、ここで脚を止めました。第2障害に向けて早めに刻んでいくか』
刻み、と呼ばれるばんえい競バ特有のテクニックです。
格に合わせて適性なばんえい重量を曳いたばんえいウマ娘が、スタートからゴールまで止まらずに進むなんてことは、まず無理です。ばんえい競バは由来として、仕事の延長線上にあります。仕事は最終的に果たせればいいので、途中で休んでもいいのです。
レース中に脚を止めて休憩と息入れを行うのことを”刻む”と言います。
ちょっと進んでは休み、休んでは進みます。
腰に手を当て、天を仰ぎ、ハッハッと荒く浅い呼吸を繰り返します。
力を籠め続けていた全身が急に緩んだせいか、耳鳴りがします。
『カミノクニスノウ、第2障害を遠めに見て再び刻んでいます。これは重いか?』
併走するお客さんからの、頑張ってーという声がやけに遠く聞こえます。
大丈夫です。
頑張りますよ。
そうですよ。
頑張る為に、あたしは!ここにいますよ!!
『カミノクニスノウ、進みました。また刻む……いや、刻まない!刻みません、そのまま第2障害に挑戦します!』
パワー不足なのでしたら、スピードで補います。
遠めに刻み始めたのは、助走をつける距離を作るするためです。 - 194◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/20(月) 17:42:47
障害の手前から一度も止まらずに、障害の上まで一気に登りきることを”一腰”と言います。
ただ、これは相応のパワーが無いと出来ません。
トレーナーさんとの打ち合わせでも、あたしは一腰で越えられないだろうとの想定で進めていましたが、やはり無理でした。
第2障害の途中、坂のど真ん中で、足が止まってしまいました。
前傾して体重をかけて橇ごとずり下がるのを防ぎます。
ハーネスを通して、重さが全身に喰い込みます。
これが2500kgの痛み。
あたしも藻掻きます。不意に上体を起こされてしまったら、次に動くときに力が入らない。必死です。
奥歯がギリギリと軋みます。
傾斜と砂に足が取られて踏ん張れず、蹄鉄はまともに地面を捕らえられない。
ヒュッと息を吸いながら一瞬、上体を起こす。
次の瞬間にはガバッと前のめりになって体重を前進力に変えて、そのリズムを合わせて足を出す。
それを一歩、また一歩。
ゆっくりと、少しずつ前に、ひたすら前にと輓曳します。
辛いのは分かってはいました。
キツいです。
吐きそうです。
それでも、前に。前に。
障害の天辺に、足が、かかりました。
「っりゃああああっっ!!」
踏ん張りさえ効くようになれば、後はあたしの力でもなんとか。そのまま橇を上げきりました。
あとは一気に滑り降りるだけ。 - 195◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/20(月) 17:45:30
『カミノクニスノウ、越えた!苦戦しましたが第2障害を越えました!しかしこの隙に後続も必死に追い付いてくる!』
「ふっ!はぁっ…ふっ!はぁっ…」
まだ足は残っています。
ちんたらしてられませんよ!
滑り降りる橇のスピードを殺さないよう、自分を前に前にと進めます。
第2障害を越えたらゴールまでもう少し。
「――――ッッ!!」
ハロン棒があと2本。
あと1本。
ゴールまで、あと一足。
橇の最後端がゴールラインを過ぎると同時に、あたしは膝を折りました。
でも、屈しません。
バンッと両の手で膝頭を押さえて、崩れかける身体を無理やり支えます。
全身からは汗がブワッと吹き出し、まるで水蒸気がそのまま噴き出しているかのような熱感。
練習で何度も経験して、いい加減慣れそうなものですがいまだに慣れない、あの感触。酸欠と疲労で視界がぐにゃぁと歪んでいます。
荒い呼吸を繰り返して、酸素を脳味噌と全身に送ります。
順位は?
視界はグニャグニャ。
喉の奥はなんだか酸っぱいです。
なんとか頭をあげて見まわそうとすると、トレーナーさんが駆け寄ってくるのが目に入りました。
ぼやける目を掲示板に向ければ、まだ二番手の子はまさにゴール板に差し掛かるところでした。
二番手が後ろにいる。
そう。
『カミノクニスノウ、事前人気をひっくり返しました!堂々の一着でゴールイン!勝ったのはカミノクニスノウです!』
気が付いてみれば、二着を大きく引き離し、8バ身差をつけての堂々の一着。
こうして、あたしはメイクデビュー戦を勝利で飾りました。 - 196◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/20(月) 17:48:26
※カミノクニスノウちゃんは無事にメイクデビュー戦に勝利できました
なお色々な理由から「ばんえい競バにウイニングライブは無い」という設定の元で進めています
2m超えの巨体が地響きを轟かせてダンスするか、あるいはフィットネスビキニみたいにするかは別として、月によっては気温-20℃前後になる中でのライブを見たいかとなると…
ばんえい競馬の重量感を出せたらと思って始めた本スレですが、あまり反応もないことですし次スレはどうしようか考え中です - 197二次元好きの匿名さん24/05/20(月) 18:38:50
保守
- 198二次元好きの匿名さん24/05/20(月) 19:07:44
自分はもっと見てみたい
せっかくキャラクター固まってきたところでもあるし
ただ、最終的に決めるのは主だからねぇ - 199二次元好きの匿名さん24/05/20(月) 20:52:19
スレ主のために一つ残しとくか
- 200◆Lj.vT9ErJJ7R24/05/20(月) 21:02:41