- 1二次元好きの匿名さん24/05/11(土) 23:16:57
休日は、彼女たちとの時間。
担当で愛バの、ヴィルシーナ、シュヴァルグラン、ヴィブロス。
いつも世話を焼いてくれて、私生活では頭が上がらない。
3人の実家では、母の日は御夫婦2人だけで水入らずの時間を過ごすのが習慣らしい。
そんなわけで、今週末は4人でトレーナー寮で過ごすことになった。
前日から外泊届を出して、楽しみにしていたようだ。
4人だとちょっと狭めのベッド、そこでみんなで眠るのも修学旅行みたいで楽しい。
朝食、昼食とも3人で作ってくれた料理に舌鼓を打つ。
午前中のうちに、シーナが洗濯、シュヴァルとヴィブロスで掃除をしてくれたのは、本当に助かる。
午後の昼下がり。
彼女たちの皿を洗う音をBGMに、3人掛けのソファを占領して文庫本を繰る。
水音に交じって、鼻歌も聞こえてくるのが心地よい。 - 2二次元好きの匿名さん24/05/11(土) 23:17:23
「だーれだ」
その時だった。
柔らかい手のひらが、視界を遮る。
担当の声がわからないトレーナーなどいない。
「ヴィブロス?」
「正解。でもちょっと待ってね。トレっち、文庫本を置いて、手を横に広げてくれない?」
いきなり、なんだろうか。
とりあえず、言われた通りに目の前のローテーブルに文庫本を閉じて置くと、両手をソファの背もたれに載せる。
と……。
「失礼します、トレーナーさん」
「失礼するね、トレーナーさん」
両腕に、しなやかな素肌の感触。
声の感じからして、右にシュヴァル、左にシーナ。
腕に、それぞれの尻尾が巻き付けられ、彼女たちの腰に固定される。
……おかしい。
一緒にお風呂に入っているので、3人の素肌の感触は知っている。
この肌触りは、服越しじゃない。 - 3二次元好きの匿名さん24/05/11(土) 23:17:48
「お待たせ、トレっち」
ヴィブロスの目隠しが外されたので、ゆっくりと目を開くと。
「うわっ!?」
そこに居たのは、大胆な水着を着たシーナとシュヴァルだった。
シーナが着ているのは、白のマイクロビキニ。
五円玉ほどの大きさの布が、かろうじて胸の先っぽを覆い。
短冊ほどの大きさの布がギリギリ股の辺りを隠している。
それ以外は、今にも切れそうな薄い紐。
シュヴァルが着ているのは、青のスリングショットビキニ。
バストやウエストに紐が回っておらず、太ももの付け根から胸を通って首になけなしの紐が回っている。
背中は、首の留め具から一本の細い紐が通っているだけ。
「ねえ、トレっち。こっちも見て」
いつの間にか、正面に回っていたヴィブロスが、こちらの身体をよじ登ってきた。
膝にまたがり、なまめかしい女の仕草。
さらに、その衣装。
黄色のブラジリアンビキニ。
シーナの着ているマイクロビキニよりは、心持ち覆っている面積が大きいものの、あまり大差ない。
大胆に開いた胸元、限界まで露出しているローライズの鼠径部。
発達した腰骨のせいで、紐と下腹部に隙間ができているのが余計に婀娜っぽい。 - 4二次元好きの匿名さん24/05/11(土) 23:18:08
「どうしたの?」
現状に対して、心臓はドキドキと高鳴っているけれども。
それを悟られては、トレーナーの名折れ。
平静を装って、話しかける。
「先日、妹たちと今年の夏の水着を買ってきたのよ」
「それで、折角だからトレーナーさんを誘惑しようということになって。……僕は反対したんだけど」
「どう? 似合ってる? トレっち」
シーナ、シュヴァル、ヴィブロスの順に答えが返ってくる。
……シュヴァル、結局は流されているのだから、お前も同罪だ。
とは言え、美人で可愛らしい女の子たちの際どい水着姿が見られたのだから、眼福と言う他はない。
「3人とも、似合っているよ」
揺れていた6つの瞳が、パアッと明るくなる。
それから、悪戯っぽい笑みを見せる。
両側から、前方から、身体を押し付ける3人。
……吐息が、かかる距離まで。 - 5二次元好きの匿名さん24/05/11(土) 23:18:28
「ねえ、トレーナーさん、どれくらい似合っているの? 奥さんにしたいくらいよね?」
「そ、その、僕の水着を見て、妻にしたいとか思ってくれたりしますか?」
「トレっち、どう? どう? 今ならお嫁さんになってあげちゃうよ?」
女の子の柔肌が、3倍。
色っぽい息とキラキラした目が、こちらを襲う。
3人が誘惑しながら、自分の水着の紐を、ピンと弾く。
「そ、そこまでは。というか、どうしたの? 今日は積極的だね」
顔を見合わせるシーナ、シュヴァル、ヴィブロス。
「明日は、パパがママにプロポーズした日なのよ」
「だから、僕たちも母さんみたいにプロポーズされたいなあ、って」
「ねぇ~、いいでしょ~? もうトレっちとは家族みたいなものなんだし」
シーナとシュヴァルに腕が固定されて、逃げられない。
足を動かそうにも、ヴィブロスが挟んでいて動けない。
……この娘たち、計算している? - 6二次元好きの匿名さん24/05/11(土) 23:18:50
「あれ、なんで母の日にプロポーズしたの? 誕生日とかじゃなくて?」
その疑問に答えてくれたのは、シーナだった。
「だって、パパとママ、授かり婚だもの。『ママになってくれ』ってプロポーズしたそうよ。……そうね。私たちも授かってしまえば、トレーナーさんも観念するかしら」
物騒なことを言い始める。
シュヴァルもヴィブロスも、それに頷かないで欲しいのだけれど。
慌てて、話題を変えようと試みる。
「で、でも、みんなと俺じゃ年齢に差がありすぎるって」
「問題ないわ。パパとママの年齢差より、トレーナーさんとヴィブロスの年齢差の方が小さいもの」
「だけど、未成年とそういう関係になるのは」
「問題ないよ。婚約していて、真摯な交際をしていれば、無罪だっていう判例も出てる」
「しかし、3人と婚約って言うのは」
「大丈夫だよ~。ドバイは一夫多妻制だもの。ね、安心してできるよ?」
的確に逃げ道を塞いでくるシーナ、シュヴァル、ヴィブロス。
やだ、この娘たち、計画的。
現実逃避しそうになったところで、彼女たちが俺の鎖骨をなぞって意識を引き戻す。 - 7二次元好きの匿名さん24/05/11(土) 23:19:09
「ど、どう、かな。トレーナーさんにとっても悪い話じゃないと思うんだけど」
「……ちなみに、親御さんはこの話は?」
「もちろん知っているよ~。パパはすっごい涙を流していたけど。ママは激励してくれて、いろんなことを教えてくれたんだ~。ママは、パパをこういう水着で誘惑して落としたんだって!」
もはや、逃げ場なし。
「俺が断ったら、どうする?」
それでも、心根はやさしいこの娘たち。
無理矢理なことはしないと思いたい。
すると。
「脱ぐわ。それから、泣くわ」
「へ?」
予想もしないシーナの答えに、間抜けな声を上げてしまう。
「トレーナーさんが、女の子の涙に弱いことは知っているしね」
「トレっち~。寮に帰ってこない女の子が、行った先で何も身に着けずに泣いている状況。どう思われるかな~」 - 8二次元好きの匿名さん24/05/11(土) 23:19:29
……謀られた。
すでに、この状況になった時点で、勝敗は決していたということか。
3人を、見回す。
この3人と結婚したとして、なにか問題があるか。
この3人に、不満があるか。
この3人と自分で、幸せになれるか。
――そう考えたとき、答えは決まっていた。
「わかった。婚約しようか」
その言葉に、嬉しさのあまりこちらの身体をきつく抱き締めてくる3人。
緊張がゆるむと、今まで気が付かなかったものが見えてくる。
例えば、3人の纏う香水は、シャネルのNo.5。
いろいろあって、翌日にささやかな婚約記念パーティーを開いた。
4人だけ、で。 - 9二次元好きの匿名さん24/05/11(土) 23:19:53
これで終わりです。
ありがとうございました。
至らない点もあると思いますが、よろしくお願いいたします。