ウマ娘名作文学『注文の多い料理店』

  • 1読み手24/05/12(日) 12:07:39

    ある日のこと、2人の若い紳士が大きな鉄砲を担いで山奥で猟を嗜んでいました。


    若い紳士A dice1d114=70 (70)

    若い紳士B dice1d114=18 (18)

  • 2二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 12:08:55

    チヨグルが狩りを……

  • 3二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 12:09:14

    待ってました!

  • 4二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 12:09:54

    どっちかというと犬側の人が居るんですけど…

  • 5読み手24/05/12(日) 12:10:36

    2人の猟師はそれぞれに2匹の犬と、山の案内人を連れて猟に出ていました。


    犬A dice1d114=96 (96)

    犬B dice1d114=28 (28)

    案内人 dice1d114=66 (66)

  • 6読み手24/05/12(日) 12:15:32

    「ターボね!この先に動物いーっぱい居るとこ知ってるんだ!ふふーん!ターボについてこーい!」

    案内人はそういうと1人で突っ走ってしまって紳士たちとはぐれてしまいました。

  • 7二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 12:18:18

    ずいぶんおおきな犬だ……

  • 8読み手24/05/12(日) 12:18:27

    「全く…なんなんだあの案内人は…!1人で勝手に…!」
    「まぁまぁエアグルーヴさん!まだ私たちにはこの麓で買ったワンちゃんたちがついてますから!頼りにしてますよ〜。」

    サクラチヨノオーがそう言いながら犬たちの頭を撫でて案内をしてもらおうと思ったのも束の間、犬たちも迷ってしまったようです。

  • 9読み手24/05/12(日) 12:24:11

    犬たちは迷う内に目まぐるしく変わる山の景色に疲れてしまったようで、そのまま2匹共に舌を出して突っ伏してしまいました。

    「あぁっ!ど、どうしましょう…。」
    「…片方はなんとかなりそうだが…こっちの白熊みたいな犬を抱えて歩くワケにもいかん。可哀想ではあるが、ここに置いていくしか無いだろう。」
    「えぇ〜っ!ワンちゃんたち可哀想ですよ!」
    「山奥で我々が生き残る方が大切だ!急ぐぞ!」
    「は、はい…。ごめんねワンちゃんたち…!」

    紳士たちは疲れた犬たちを置いて更に山奥へと進みました。

  • 10読み手24/05/12(日) 12:29:07

    「はぁ…お腹が空きましたね…。」

    「シカの1匹も狩れていないからな。今日はそう言う日だ。無事に帰れたら鳥でも買っていこう。」


    2人が食べ物の話をしながら歩いていると、突然山の中に立派な建物が建っているのに気付きました。


    「これは…?」


    玄関には『西洋料理店 dice1d114=76 (76) 亭』と書かれていました。

  • 11二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 12:31:49

    喰われるとはまた別の
    恐ろしい何かが起こりそう

  • 12読み手24/05/12(日) 12:32:01

    「『西洋料理店 マーチャン亭』…?」
    「レストランってことですか!?良かったですねエアグルーヴさん!お腹も減ってましたし丁度いいですよ!」
    「あ、あぁ…。でも、さっきまでこんな建物あっただろうか…?」
    「私たちが見落としてただけですよー!ささっ!入っちゃいましょう!」

    2人は店の中へ入って行きました。

  • 13読み手24/05/12(日) 12:36:42

    2人が店の玄関を開けると、その先には扉がありました。
    扉の横には看板が立てかけてあり、金文字でこう書いてありました。

    [どなたもどうかお入りください。決してご遠慮はありませんので。]

    「どうやら歓迎してくれてるみたいです!書き方的に、ここのお店は無料でお料理を出してくれるんでしょうか!?」
    「そ、そうだな…。無償店というのも今時珍しいが…。」

    2人は扉を開けました。

  • 14読み手24/05/12(日) 12:45:43

    扉を開けるとその先は長い廊下でした。
    2人は扉の裏側にも文字が書いてあるのに気付いたので、読んでみました。

    [ことに脚の速いお方や花の好きなお方は、大歓迎いたしますよ。]

    「エアグルーヴさん!どうやら私たち、大歓迎されているようですよ!」
    「確かに、どちらも私たちの特徴だな。」

    2人が廊下をずんずん進むと、今度は水色のペンキで塗られた扉がありました。

    「変な店だ。こんなに扉が無くてもいいだろうに。」
    「きっとロシア式ですよ!寒いところだと何重にも扉を置いて寒さをしのぐと聞いた事があります!」
    「そういうものか…。」

    2人が扉を開けようとした時、扉の上にまた字が書いてありました。

    [当軒は注文の多い料理店ですから、どうかそこはご承知くださいね。]

    「繁盛しているんですねこのお店!」
    「こんな山奥でか…?」

    2人はまた扉を開けました。

  • 15読み手24/05/12(日) 12:56:53

    また扉の裏側に文字がありました。

    [注文はずいぶんと多いかもですが、どうか一々こらえて下さいね。]

    「なんだかさっきから日本語の怪しい店だな…。」
    「きっとレストランですから、外国人の方しか居ないんですよ!」
    「この文字の意味は結局なんなんだろうか…。」
    「きっと注文が多いので手間取ります!ごめんなさい!って意味かと!」
    「そうか…。そろそろ私は席に着きたいんだが…。」

    扉の裏から視線を外すと、後ろにはまた扉がありました。真っ赤な扉です。
    その横にはクシとワックスと長いブラシが置いてありました。

    [お客さまがた、ここで髪をきちんとして、それから履き物の泥どろを落してください。]

    「作法の厳しい店だな。」
    「貴族の方が御用達にしてるとかですかね…!?」
    「そのハネた毛を見て笑われても困るからな。ちゃんとして行った方が良いのは確かだ。」
    「むぅ!これは私のアイデンティティです!」

    2人は髪をクシでとかしてワックスで綺麗にぺたっとセットし、靴の泥をブラシで落としました。

    「そろそろですかね〜?」

    2人は扉を開けました。

  • 16読み手24/05/12(日) 13:08:58

    扉の内側にまた変なことが書いていました。

    [鉄砲さんと弾丸をここへ置いてください。]

    「確かに、お料理を食べる時に鉄砲は要らないですよね!」

    また扉がありました。

    [どうか髪飾りと上着と靴をお取り下さい。]

    「と、取るか…?」
    「仕方ないでしょう。よっぽど偉い人がよく来るんですよ。」

    扉を開けると、また裏側に文字が書いていました。

    [ネクタイピン、カフスボタン、眼鏡、お財布、その他金物類、ことに尖ったものは、みんなここに置いてください。]

    「財布を置いていっていいのか…?」
    「やっぱりタダなんですよー!凄いなぁ〜!」
    「貴金属を置いていくのは…?」
    「きっとお料理に電気を使うんですよ!金属が近くにあると危ないですからね!」

    2人は金属類をあらかた外して、置いてあった金庫に入れて扉を開けました。

  • 17二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 13:10:29

    チヨちゃん無邪気すぎる

  • 18読み手24/05/12(日) 13:18:15

    「室内が暖かいとはいえ、こうも薄着になると恥ずかしいな…。本当に料理を食べれるのか…?」
    「あ!何かありますよ!」

    [壺の中のクリームを顔や手足にすっかり塗ってくださいね。]

    匂いを嗅いでみると確かに牛乳のクリームでした。

    「何故…?」
    「きっと、外は寒いでしょう?そしてここは暖かいでしょう?寒暖差でヒビが出来ちゃうのを防止するためですよ!」
    「そういうものなのか…?」

    2人は顔と手足にクリームを塗り込むと、扉を開けました。
    するとそこにはまた扉と、小さい壺がありました。

    [耳にも塗りましたか?]

    「あーっ!忘れちゃってました!お耳はワックスでもどうにもなりませんからね!」
    「う、うむ…。」

    2人は耳にもクリームを塗り込むと、扉を開けました。

  • 19読み手24/05/12(日) 13:31:43

    扉の先にはまた扉と、小さな瓶が2つ置いてありました。

    [料理はもうすぐできますよ。十五分とお待たせはいたしませんので。すぐたべられます。早くあなたの頭に瓶の中の香水をよく振りかけてくださいね。]

    2人は文字の言う通りに瓶を頭から振りかけましたが、どうにも香水はお酢の匂いがしました。

    「うっ…!これは酢か…!?」
    「き、きっと店員さんが間違えちゃったんですよ!後で言っておきましょ!」

    2人が扉を開けると、扉の裏側に大きな文字が書いてありました。

    [いろいろ注文が多くてうるさかったですよね。お気の毒でした。もうこれだけです。どうかお洋服を脱いで、身体中に壺の中のお塩をたくさん、よくもみ込んでください。]

    「………やはり、おかしい。」
    「えっ?お塩塗りましょうよ。きっと美肌効果に…。」
    「そうだ…分かったぞ!これは『お店に注文が多い』ではなく、『お店からの注文が多い』んだ!そして西洋料理を食べさせてくれるのではなく、私たちを西洋料理にして食べてしまうんだ…!ようやく納得出来たぞ!」
    「え!?え?ええっ!?!?!?」
    「早く引き返すぞ!…なにっ!?くっ…開かない…!」

    入ってきた扉はどれだけ頑張っても開きません。

    「た、食べられちゃうんですか…?私たち…!?」

    サクラチヨノオーが怯えていると、奥の扉が1人でに開きました。
    扉の先には月夜に照らされた海が見え、砂浜に誰かが立っていました。
    誰かは遠くから喋りかけてきました。

    「わざわざご苦労でした。たいへん結構にできました。さあさあ、おなかにお入りください。」

  • 20読み手24/05/12(日) 13:41:35

    「ふ、ふえぇ……。」

    サクラチヨノオーは泣き出してしまいました。

    「こ、こら!泣くな!」
    「そうです。泣いちゃメッですよ。折角塗ったクリームが落ちてしまいますから。さぁさぁお2人とも、そのお清めのお塩を身体に付けて、こちらへどうぞ。海を渡ってみましょう。怖くはないですよ。わたしたちも横で歩いてあげますので。みんなみーんな、とっても歓迎していますよ。」

  • 21二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 13:46:04

    海…
    食うよりやばい事しようとしてますやん

  • 22読み手24/05/12(日) 14:11:32

    「さぁ…さぁ…!」
    「ひ、ひぃぃぃ!」
    「チ、チヨノオーには手は出させん…!」

    砂浜の人影はどんどんこちらへ迫ってきます。
    2人の紳士がすっかり震え上がってしまいました。

  • 23読み手24/05/12(日) 14:14:52

    その時でした。
    開かない扉を突き破って、さっき置いて行った犬たちが料理店に入ってきたのです。

    「ワン!ワン!」
    「ボノ!ボノ!」
    「あわわわっ…!」

    扉の先の人影が怯むと、犬たちが扉の奥へ入っていきました。

    「や、やめてください…!やめ…て…!」

    凄い物音が扉の奥から聞こえてきます。
    2人の紳士は呆気に取られるしかありませんでした。

  • 24二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 14:20:28

    ぼくもマーチャン亭にいきたいです

  • 25二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 14:21:34

    お前もちゃんこ鍋にしてやろうか!!!!

  • 26読み手24/05/12(日) 14:25:23

    「忘れ…ないで……」

    しばらく経って、部屋は霧のように消えてしまいました。
    周りの木の枝にお店に置いていったものが引っかかっていました。

    「おい!チヨノオー!出れたぞ!」
    「う、ううううう…エアグルーヴさぁぁぁぁん…!」
    「よしよし、泣くな泣くな。」

    2人が服を着ると、茂みの奥から犬たちがワフワフ、ボノボノと帰って来ました。

    「お前たち、お手柄だったな。…ん?これは…。」

    帽子を被った犬が可愛らしい人形を咥えていました。

  • 27読み手24/05/12(日) 14:30:37

    「…持って帰るとするか。おーい、いつまで震えてるんだチヨノオー。帰るぞ。」
    「うううう…。」
    「全く…。」
    「おーーーい!」

    案内人が息を切らしながらやって来ました。

    「お前ら遅いぞー!ターボ、一人ぼっちになってたー!」
    「お前が早いんだたわけ!もう帰るぞ。」
    「えー!?まだ何も狩ってないのにー!?」
    「あぁ…色々と、お腹いっぱいだからな。」

  • 28読み手24/05/12(日) 14:37:08

    東京に帰る頃にはサクラチヨノオーの震えも治っていました。
    2人は案内人や友達に注文の多い料理店の話をしましたが、誰も信じてはくれませんでした。
    ですが、犬たちが拾ってきた『マーチャン亭』とタグが付いた人形は確かに存在していましたし、海を見ると無性に怖くなるようになってしまいました。
    そして、エアグルーヴは時々人形が語りかけて来るような気分にもなりました。

    「覚えてくださって…ありがとう。」

    部屋に飾っていると時折そう聞こえる気がしました。

    おしまい

  • 29読み手24/05/12(日) 14:40:20

    お疲れ様でした。
    短いですが、今日は『注文の多い料理店』をお送りしました。
    しかしマーちゃんはよく出ますね。お話に深みを与えてくれるので確かに嬉しいは嬉しいですが、どことなく方向性が似か寄ってしまうのも確かですね。
    他に色々な方向性で書けるように頑張ってみたいところです。
    それでは改めてお疲れ様でした。

  • 30二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 14:45:54

    乙!警戒心が薄そうなチヨちゃんがメインの片割れに来たおかげで話を回しやすい&キャラ的に無理がない形になって良かったですねえ
    白熊みたいな犬、で笑ったけど意外にも原作準拠だし原作で死んでしまうのを疲れて倒れる→放置→打開の一手とする展開の構成には感服しました

  • 31二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 14:47:04

    乙です。(流石に若い乙女に顔シワだらけはキツイか)

  • 32二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 14:48:33

    犬、犬、犬っぽいウマ娘で結局犬三匹なのでは?

  • 33二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 14:50:56

    なんかクトゥルフ神話感凄い内容だったな…好き…

  • 34二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 15:03:31

    SANチェック失敗して新たな恐怖症が増えとるw

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