- 1君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/12(日) 13:13:37
設定
キンペイバイ 詳細キャッチコピー誕生日>12月21日
身長>131cm
体重>片方で大玉スイカ1玉分
スリーサイズ>B103・W52・H86
靴のサイズ>
学年>中等部
所属寮>美浦寮
得意なこと>体幹が強くかなり柔らかい・家事(特に掃除)
苦手なこと>同性との付き合い・お菓子作り
耳のこと>左右で大きさが違う
尻尾のこと>短めだがブワッと広がっており、触り心地がいい。とても敏感であり、どうなるかは教えてくれなかったが、尻尾の根本は決して触れてはいけないらしい
家族のこと>一人っ子で母子家庭。家族仲は普通
ヒミツ①>人に頼られるととても嬉しい
ヒミツ②>寝言がうるさいタイプ
脚質>追込
得意距離>中・長距離
CV>能登麻美子
<概要>
性格はネガティブ気味だが人付き合いは良く、学力も平均以上、また母性も非常に高い。ただその母性の高さ故よろしくない男性に惹かれる事も多い。
基本穏やかだが、人並み以上のSっ気とそれを大きく上回るほどのドM適性を小さな体に秘めている。
学園で特に仲のいい友人はタイキシャトル、次いでヒシアマゾン、マヤノトップガン、ワンダーアキュートが続く。
勝負服・私服共に露出が多い男受けのいい服を好んで着用し…telegra.ph - 2君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/12(日) 13:14:37
前
「繁殖牝バになる為に生まれてきたような体だねw」|あにまん掲示板そう言われた私だけど大きなレースに勝って絶対に見返してやるんだ!bbs.animanch.com「繁殖牝バになる為に生まれてきたような体だねw」part.2|あにまん掲示板前スレhttps://bbs.animanch.com/board/3268441/bbs.animanch.com「繁殖牝バになる為に生まれてきたような体だねw」part.3|あにまん掲示板前スレhttps://bbs.animanch.com/board/3268441/https://bbs.animanch.com/board/3306241/設定https://telegra.p…bbs.animanch.com閲覧注意「繁殖牝バになる為に生まれてきたような体だねw」part.4|あにまん掲示板前https://bbs.animanch.com/board/3268441/https://bbs.animanch.com/board/3306241/https://bbs.animanch.…bbs.animanch.com - 3君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/12(日) 13:18:38
あらすじ
トレセン学園へと入学したキンペイバイ。入学式早々に憧れのウマ娘エアグルーヴを目撃し気分は絶好調。
クラスの顔合わせで隣の席のマヤノトップガンと仲良くなり、ペイバイちゃんというあだ名まで付けられた。
寮長であるヒシアマゾンがいい人そうなのに安堵したのも束の間、指導寮生であるタイキシャトルに連れられて向かった自室はなんと生徒会長シンボリルドルフとの相部屋だった。遥かに目上の先輩との相部屋に緊張が走りかけるがルドルフの小粋なギャグでそれは無事回避されたのだった - 4二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 13:33:06
立て乙
とうとうストーリーが始まってしまった
これからクズトレに引っ掛けられちゃうのか……もしかしてテレグラフ必要? - 5君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/12(日) 13:36:12
─入寮2日目
自宅の見慣れた天井とは違う寮の天井を見上げて目覚めた朝5時半。部屋の中央に設けられた窓とカーテンの隙間から差し込む朝日が薄暗い灯りを灯す。
キンペイバイは朝の目覚めはいい方である。夜遅くまで原稿と格闘している母をできるだけ長く寝させてあげるため、朝の支度は基本的には彼女の仕事になっていた。
しかし、寮に来ると途端にその仕事量は激減する。強いて言えば共用スペースのゴミ出しは下級生の仕事であるが、キンペイバイにとっては仕事のうちにも入らない些細な事である。
自分のことは自分でやる。親に甘えて暮らしてきた12歳の子供にとっては大抵の場合大変な事であるが自分と母親の事、どちらもこなして生きてきた彼女にとって、自分1人の仕事で済むというのはこの上なく楽であった。
1.自分のベットメイキングを終え、つい癖でルドルフのベッドメイキングも初めてしまいそうになる
2.朝の走り込みへ
3.すでに起きて顔を洗いに行っていたルドルフが部屋に戻ってきた
dice1d3=1 (1)
- 6君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/12(日) 13:36:54
極力そうならないようにはするよ
- 7君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/12(日) 13:45:47
自身のベッドメイキングを終え、惰性でルドルフのベッドに手を伸ばそうとしたところで理性が働き手を止めた。いかにルドルフが気さくで良い人だとしてもキンペイバイは昨日きたばかりの新参者である。他人に自分の領域を踏み荒らされる事の嫌悪感を鑑みれば、他人のベッドメイキングをしようなどというのは余計なお世話にも程がある。
『ありがと〜!さっすがママの娘!』
もし、これが母の布団ならば整えればきっと喜んでくれただろうなと、そう思いかけたところで立ち上がってジャージに着替える。たった1日でホームシックになっていてはこの先が思いやられる。とにかくまずは自分のこと、そう思って扉を閉じた時、少しシワのあるベッドがやはり目に残った
朝のランニング距離
dice1d10=5 (5) km
- 8君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/12(日) 13:59:39
朝のランニングに出たはいいもののそこはキンペイバイにとっては見知らぬ未知の世界。行きつけのパン屋も母と買い物に来た商店街も商業施設の詰まった大型スーパーもない、全てが知らないもので出来上がっている街ではどこをどう走ればいいのかも分からず、とりあえずと車道に隣接しているウマ娘専用帯を走り、ある程度のところで引き返す事にした。
流石都会という事もあって早朝でも人通りは多く、車道はトラックを始め多くの車やバイクが行き交い、排気ガスの匂いが少しだけ目に染みた。
1.少し行ったところに川があるらしいから明日はそこまで行ってみよう
2.トラックの隙間を縫って追い抜かそうとするバイクと当たりそうになって都会の怖さを実感
3.軽トラの老夫婦に声をかけられた
dice1d3=3 (3)
- 9二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 14:14:10
そういえば今日は母の日だから実質名繁殖牝馬のペイバイちゃんの日か
- 10二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 14:15:33
いくらでもレスしたいけど今日仕事なんだよなぁ
見てるからな! - 11二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 15:14:52
このレスは削除されています
- 12君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/12(日) 15:16:18
「あんた、トレセン学園の子かい?」
走り始めて少し経った頃、軽トラックに乗る老夫婦に声をかけられた。助手席に座るお婆ちゃんが顔を出し、運転席では同じ年くらいのおじいちゃんがハンドルを握っていた。
地元でもこういうことはよくあって、農作業に行く老人達に頑張れと声援を贈られたものである。だからだろう、母から言われた「都会では知らない大人と話しちゃいけない」という言いつけもアッサリ破ってしまった。
「はい、昨日入学してきたばかりです」
「あれま!新入生だったのかい、道理で見たことない顔なわけだ。今日は交通量の多い日だからねこれからもっと増えるから、あんたも気をつけて走るんだよ!」
幸い、老夫婦がキンペイバイに何かしてくることはなく、お婆ちゃんの言った通りだんだんと交通量が増えて行ったため学園から3キロほど進んだところで今日は引き返した。 - 13辻絵描き24/05/12(日) 19:24:56
- 14君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/12(日) 19:26:45
寮に戻る頃には薄暗かった空もすっかり明るくなり、街が賑わい出してきた。
朝ご飯まではまだ少し時間があるのでシャワーで汗を流す。各階にシャワー室が完備されているその設備の充実ぶりに驚くばかりであるがここは全国一のウマ娘のための学校である、こんな事で驚いていては驚き疲れてしまう事は明白だが、驚かずにはいられないのだ。
朝ごはんは
1.タイキと一緒
2.ルドルフと一緒
3.他の寮生といっしょ
dice1d3=3 (3)
- 15君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/12(日) 19:29:56
一緒にご飯を食べたのは
1dice1d15=11 (11)
の
dice1d2=1 (1)
1.右 2.左
美浦寮の同室一覧 | U-toolsウマ娘に登場しているキャラクターの部屋割り(美浦寮)をまとめたページです。同室キャラと共に学年や寮の違いも一目瞭然!独自に管理している相性データから生成しているので、常に最新です。二次創作の参考にどうぞ。xn--gck1f423k.xn--1bvt37a.tools - 16君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/12(日) 19:40:21
朝食を配膳トレーに取り分け手頃な席を確保する。
今日の朝食はご飯に味噌汁、焼き魚にサラダ、デザートにヨーグルト。バランスの取れた朝食が作りたて、しかもなんの苦労もせず受け取るだけで食べられる。寮というシステムのありがたさをキンペイバイは脂の乗ったアジの干物と共に噛み締めていた。
「ここ、ご一緒してもよろしいかしら?」
もりもりと朝食を食べていると誰かに声をかけられた。上を向いて見れば艶やかな黒髪の美人が立っていた。
「ど、どうぞ…」
綺麗な人だと思わず声に出したくなるような美貌の彼女はもう一つの朝食のフレンチトーストをナイフで器用に切り分けていた。
「貴方がルドルフの相部屋の新入生の子ね?」
「は、はい、キンペイバイと言います」
「そう、いい名前ね」 - 17二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 19:41:44
めちゃ上手い…
- 18君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/12(日) 19:52:17
それより先の会話は無かった。元々もう朝食の残りもなかったし、どこからどうみても先輩な彼女と対面して食事をするのはまだ入学したばかりのキンペイバイには耐え難くそそくさと逃げるように食堂を後にした。
「彼女はメジロラモーヌだ」
部屋に戻りちょうど学校へ向かおうとしていたルドルフに食堂で出会った美女の話をするとすぐにその答えが返ってきた。
メジロといえば確か数々の名ウマ娘を輩出した名家である。なるほどそれならばあの人の纏う一般人とは違うオーラにも納得である、となると同時にそんな凄い人と食事をしてしまったのかと少し恐ろしくなるキンペイバイであった。 - 19君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/12(日) 20:02:06
トレセン学園はレースを走るウマ娘のための学校である。だが、大方のイメージにあるような春夏秋冬朝昼晩暑い日も寒い日も練習漬けの日々というわけではなく、普通の中学生・高校生のように勉強があるし、成績が悪ければ補修だってある。この学校はウマ娘がレースをするためだけの育成施設ではなく、ウマ娘の進路の手伝いをする場所でもあるのだ。
午前中をレクリエーションや授業説明に時間を費やし、昼休み終わりのチャイムと共に新入生達はグラウンドへと集まった。毎年恒例の新入生の能力測定の時間である。
これは単純に能力の度合いを測り、大所帯を受け持つ専属のトレーナーのところに一旦配属されるか決めるものであり、この後に待つ選抜レースによって担当トレーナーが決まる。無論、ここで非凡な才能を示すと早いうちからトレーナー契約を持ちかけられたりするのだが、それは極々一部の話である。 - 20二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 20:03:41
なんでかレジェンド級たちとばかり知り合うペイバイちゃん
- 21君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/12(日) 20:09:46
だんだんとキンペイバイの順番が近づいてくる。今回走るのは王道の中距離の2000mである。この距離の走り方の違いで各々の適正を測るのだ。
なれるちゃんの今回の結果
タイム(高いほど好タイム)
dice1d100=12 (12)
注目度
dice1d100=82 (82)
- 22君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/12(日) 20:14:31
結果として散々であった。思ったようなタイムは出せず順位も下から数えた方が早いだろう。だがしかし、レース内容の酷さにも関わらず多くの人間の注目を引いていた。
理由は述べるまでもないだろう。彼女の小さな体に詰め込まれた暴力的なまでの凹凸に富んだ肉体は走るたびにブルンブルンと揺れ思わず目で追ってしまう。汗でピッタリと張り付いた体操着越しに見えるブラジャーは大人顔負けのレースの入ったもので、見るものにとって見れば凶器に他ならない。
本人としてはなんとも不本意な結果で終わった能力測定であったが、グラウンドの木の影でほくそ笑む者がいる事に誰も気づいていなかった - 23二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 20:15:10
それはまあ注目されるよな!
- 24二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 20:18:20
誰だって注目する
俺だってそうする - 25二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 20:19:52
大丈夫? 右耳ちゃんたちのウマソウル嘶いてない?
- 26二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 20:20:00
キンパイパイちゃんはレース自体も優秀なんだっけ?
- 27二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 20:26:42
- 28二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 20:30:50
このレスは削除されています
- 29君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/12(日) 20:32:12
- 30二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 20:33:51
- 31君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/12(日) 20:36:15
- 32辻絵描き24/05/12(日) 20:39:41
- 33二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 20:43:46
これにはトレーナー兼歌手の人もニッコリ
- 34君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/12(日) 20:47:37
「マヤノちゃん凄い!」
圧倒的とも言える結果を叩き出し戻ってきた友人をキンペイバイは大興奮で出迎えた。隣の席の友達がこんなに凄いウマ娘だったなんて、母の小説で読んだような物語的展開である。
対して周囲はざわついていた。当たり前だ、こんなにも強烈な結果を出したウマ娘は中々いない。是が非でもスカウトしたいと言ってくるトレーナーはいるだろう。もうグラウンドとその周辺は入学したての天才少女のことばかりで、先程のキンペイバイの事を口に出すものはいなかった。
そんな外野の様子をマヤノトップガン本人は我関せずとしていた。ここでクールに決めるのが"オトナ"であるという彼女のイメージからくる行動だろう。
「マヤノちゃん、ほっぺた汚れてるよ」
だがしかし格好よく決めてもキンペイバイに頬についた泥をハンカチで取ってもらいくすぐったいと笑う姿は12歳の少女そのものである。 - 35君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/12(日) 20:59:22
能力測定の全員分のレースが終わった後、指導教官によって解散の号が出されその日は解散となった。
美しい東京の夕焼けである。茜色に照らされる校内の道を歩いていると、前方から1人の男がやってきた。長身で顔立ちは非常に整っている所謂イケメンというやつでキンペイバイのストライクゾーンど真ん中の顔である。
そんな彼女好みの男が口を開く。
「俺と担当契約を結んでくれませんか?」
この時のキンペイバイにはこれが危険な道である事を理解する事はできなかった。 - 36二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 21:00:06
- 37辻絵描き24/05/12(日) 21:20:12
- 38君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/12(日) 21:25:11
─その日の夜
「でねでね!私スカウトされちゃったんだ〜」
電話越しに今日1番のニュースを嬉しそうに伝える。電話の相手は幼少期から特別仲のいい同い年の男の子だ。
「その人すっごくイケメンなの!もう本当にドラマの中の主人公になったみたいだよー😆」
はしゃぐキンペイバイであったが対照的に電話越しの少年は冷めていた。無理もない、幼馴染の少女が遠い土地で見ず知らずのイケメンにメロメロになっているのだ、これで明るく振る舞えというのも12歳の少年には酷な話である。
「都会だと優しそうな人ほど危ないっていうんだからさ気をつけろよ?特にお前は騙され安いんだからさ」
「大丈夫大丈夫!あの人すっごく優しいしオトナな感じだったから絶対大丈夫だよ!」
少年がせめてできる心配も彼女に届く事はなかった。 - 39君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/12(日) 21:25:48
- 40二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 21:26:07
完全にNTR同人誌の導入じゃねーか
- 41辻絵描き24/05/12(日) 21:30:42
- 42二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 21:31:54
何がどう合ってもセンシティブ方向に進む運命である
原初の一般人セクハラおじさんの発言がココまで食い込んでくるのはすげーよ - 43君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/12(日) 21:32:05
次の日の放課後、キンペイバイは昨日彼女をスカウトした男のトレーナー室へと向かった。スカウトの話を聞いたルドルフやタイキはあまりいい顔をしていなかったが、イケメンにスカウトされて舞い上がっていた彼女がそれに気づく事はなかった。
「よく来たね、さぁそこのソファーにでも座って?」
出迎えた男は昨日と変わらず爽やかなスマイルで、整えられたヒゲも相まって男らしいイケメンという言葉が似合う男である。
男のトレーナー室はとにかく高そうな家具で埋め尽くされていて、ソファーの後ろの壁には高そうな絵まで飾ってあった。
高級そうなの柔らかさに戸惑っていると、向かいの席に男が座った
「それじゃぁ早速で悪いけど、体操着を脱いでもらえるかな?」 - 44二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 21:33:00
話の進みが早い!R18同人かな?
- 45二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 21:36:17
絵の額縁とかにカメラ仕込んでそう
- 46君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/12(日) 21:39:21
「えっ?」
流石の彼女もこれには驚いた。部屋に入ってすぐに服を脱ぐ事を命じられた、これはどう考えても犯罪やそれに該当する行為である。だがしかし目の前にいるのは自分を見込んでスカウトしてくれたトレーナーである。彼女の中のトレーナー像というのは「一見トレーニングとは思えないようなことでも実はそのウマ娘に適したトレーニングになっている少し変わった凄腕」という主な小説やドラマで作られたものであり、この行為にも何か意味があるのではないかと必死に自分を説得していた。
「あ、ごめんねいきなり脱いでだなんて、言葉不足だった。……入学前に身体データを書いて送ってもらったと思うんだけど覚えているかな?」
トレセン入学前に出す書類の中には身体データについて記入する用紙があったはずである。夜ご飯を食べる前に母親に手伝って貰って測ったのを覚えている。
「君たちの年齢は育ち盛りだからね、1ヶ月前のデータだと参考にならないところもあるんだ。それで詳細な練習メニューを組むにはそのデータがどうしても必要なんだ。少し後の身体測定を待ってもいいんだけど、善は急げというし。勿論、嫌なら構わないよ」
男の人の前で下着になるという経験などほとんどないキンペイバイは判断に困ってしまった。しかし……
「わかりました…」
彼女は流されてしまった - 47二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 21:44:46
いいぞもっとやれ
いやこれ以上やると爆破されるな…
…もっとやれ! - 48二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 21:45:05
このレスは削除されています
- 49君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/12(日) 21:45:36
「バストは……100……104」
下着になったキンペイバイはトレーナーによって体の詳細なデータを取られていた。身長・体重・スリーサイズから太ももの太さ、脚の長さ、関節の可動域まで隅々まで測られた。測定中は鍵を閉めカーテンも閉じていたが、もし何かの間違いで誰かが部屋に入ってきたら…そんな事を考えると頭が沸騰しそうだった
「じゃぁ次はヒップを測るよ」
「はい。あ、尻尾の根本は触らないでください…」
「どうして?」
「その……敏感なので……」
すまないと顔を赤らめ目を逸らすトレーナーにキンペイバイは既視感を感じていた。そうこれはドラマでよくあるヒロインと主人公のちょっとエッチなシーン!トレーナーのウブな反応は幼い頃から母の影響でそのような作品群に触れてきたキンペイバイの琴線を刺激しまくっていた。
そんな彼女の様子を絵画のモナリザが凝視していた - 50二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 21:47:10
母性くすぐっちゃったかぁ
- 51二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 21:50:23
(今はともかくこれ以上行くと割とギリギリのラインな気もするしTelegraphとかでワンクッション入れた方がええかもわからんね)
- 52君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/12(日) 21:52:20
それからの日々はキンペイバイにとっては正しく理想の日々であった。基礎的な走り込みでまずは体を作り、天気が悪い日には屋内でレースの勉強。オフの日にはトレーナーとお出かけをしてリフレッシュ。
テレビや本の向こう側、幼い頃に夢見た"理想のトレセン生活"そのものであった。
その日は少し高い洋服屋さんに行った時の事だった。君はもっといい服を着た方がいいというトレーナーの助言により、様々な服を試着していく。その中でも特にトレーナーの反応が良かったのが背中側がガッツリと開いたセーターであった。素材も上質なもので素肌にきてもチクチクとする痛みはない。
何よりもこれを着た時にトレーナーが大変喜んで写真をたくさん撮ってくれた事が嬉しかった。 - 53二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 21:53:52
このレスは削除されています
- 54辻絵描き24/05/12(日) 21:57:53
- 55二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 21:58:30
♀部分に直撃してるだけあって相性良いなほんと
ただこのままだと破滅一直線なんだけどな!ガハハ! - 56君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/12(日) 21:59:32
その服はそのまま持ち帰りとなり、トレーナーの黒いカードで決済を済ませ外に出れば辺りは薄暗く、夕食を食べに来た人達で繁華街は溢れていた。
この様子では今からお店に行ってもしばらくかかるだろう。そうすれば門限が危うい。今日はもうおしまいかとキンペイバイが型を落としかけた時、トレーナーが彼女の腰を掴んで引き寄せた。尻尾の根元に手が触れ艶かしい声が漏れてしまうが、辺りを行き交う人々の喧騒がそれを掻き消してくれた。
「実は今日、ディナーを予約しているんだ」
ディナー。なんと素晴らしい響きだろう。ディナー。それはオトナ達の園。ドラマでも小説であってもそれは見どころのシーンになる事が多い場所。そんな場所にこんな素敵な服を着てイケメンなトレーナーと共に行けるなど、12歳の少女にとっては劇物に等しいものであった。
腰を抱かれて店へと向かう彼女の顔は幸せで満ち足りていた。 - 57二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 22:01:53
マヤがお友達で皇帝が同室じゃなかったらガチで危なかったかもなこの娘
- 58二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 22:02:25
早くマヤわかって…
- 59君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/12(日) 22:07:29
「君のトレーナーの事なのだが、何か変な事はされていないか?」
部屋に帰るなりルドルフが聞いてきた。時刻は門限ギリギリの21:50。正直なところ早くシャワーを浴びて寝たい気持ちでいっぱいであったが、相部屋兼生徒会長のルドルフを無視することはできなかった。
「何もされてないです。私のために練習メニューを組んでくれて、毎日の体の変化も記録してくれて、それにこの服もトレーナーさんが買ってくれたんですよ!」
「体に…その服を…か…」
嬉しそうに跳ね回るキンペイバイを見てルドルフは額のシワをさらに深くした。このままではいけないと生徒会長としての経験、何よりも生物としての本能が告げていた。
「単刀直入に言おう、そのトレーナーとは契約を解除した方がいい」 - 60君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/12(日) 22:08:00
- 61辻絵描き24/05/12(日) 22:09:32
なるべく引っかからないような表現にしますね
- 62君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/12(日) 22:17:03
ルドルフが何を言っているのかキンペイバイには理解できなかった。契約を解除…?何を馬鹿げた事をと本気で思っていた。こんなにも自分1人のために頑張ってくれる人などトレーナー以外では母親と幼馴染以外キンペイバイは知らない。だからこそトレーナーは信用に足り得る人物であると思っているし、好意だって寄せていた。
「なんでですか……なんでそんな酷い事言うんですか先輩…トレーナーさんは私のために頑張ってくれてるし、優しくもしてくれているんですよ!」
当然、口から出た言葉はルドルフの言葉への否定であった。元々家族意識の強いキンペイバイに彼女に親身になり彼女の高い母性を刺激するトレーナーが現れたのだ、これが運命だと勘違いしてしまうのも無理はないだろう。勿論彼女はトレーナーのその行動全てが演技だと言う事を知らない。
「今の君は専属トレーナーが決まってさぞ嬉しい事だろう。だがな、トレーナーというのはみだりに担当の体に触れたりしないし、自身の欲求のために担当を連れ回すような事はしないんだ」
「でも………でも…」
「担当のために頑張るなんていうのはトレーナーにとっては当たり前のことなんだ。それが彼らの仕事だからな。だが、その権限をつかって悪い事をしようとする者もいる。君はそういう人間に騙されているんだ」
勤めて優しく諭すルドルフの言葉にキンペイバイは何か言い返したくて言葉を探した。自分のトレーナーを悪く言わないでほしい、あの人は悪い人じゃないと言いたかった。だが、そのための言葉が不思議と思い浮かばなかった。 - 63君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/12(日) 22:27:51
その日の夜はその後泣き出してしまったキンペイバイをルドルフが宥めて終わった。泣き疲れた彼女を介抱し、せめてパジャマに着替えさせ布団に寝かしつける頃にはすでに24:00を回っていた。
翌朝目覚めたキンペイバイは這々の体でシャワー室まで行くと涙を洗い流した。気持ちは暗く、とても走る気にはなれなかったので朝ごはんの時間までベッドに籠る事にした。
『単刀直入に言おう、そのトレーナーとは契約を解除した方がいい』
『トレーナーというのはみだりに担当の体に触れたりしないし、自身の欲求のために担当を連れ回すような事はしないんだ』
『その権限をつかって悪い事をしようとする者もいる。君はそういう人間に騙されているんだ』
ウマ娘としてもこの世界に関わる人間としても先輩なルドルフの言葉は全て正しく聞こえる。いや、本当に全て正しいのだろう。だが、その正しさを認めてしまっては今まで自分が感じていた幸せや幸福感が全て偽物であったと認めてしまう事になる。そう思うと悲しくてたまらない。
人より苦労してきたのだからその分だけ幸せになりたい、彼女の奥底の『本音』が口から漏れ出そうになっていた。足元の学習机、その上に綺麗に畳まれた服が自分の愚かさの象徴のように朝日に照らされ輝いていた。 - 64辻絵描き24/05/12(日) 22:35:19
夢から覚めたくないのに見たくない現実を突きつけられた金瓶梅ちゃんが、この人生の壁をいかに乗り越えていくか楽しみにしてます
スレ主さんの執筆応援してます! - 65君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/12(日) 22:41:43
結局浮かない気持ちのまま始業のチャイムが鳴ってしまった。勉強には身が入らない。ただ黒板をノートに写すだけの作業。理解なんてものはなく、ただただ無心で手を動かしていた
「ペイバイちゃん大丈夫?」
そんなキンペイバイの様子を見かねてマヤノが声をかけてきた。
「あ、うん、全然大丈夫…じゃないかも」
取り繕おうと思えば取り繕うこともできた。だが、今は誰でもいいから優しくしてくれる人に頼りたい気分だった。ここは自分でなんでもしなくてはいけない世界なのに、自分勝手すぎる自分が恥ずかしくなる。
「実はね、昨日ルドルフ先輩に…」
ぽつりぽつりと今までの事を話し始めた。ディナーの話題なんかには食いつくマヤノであったが、トレーナーがキンペイバイの体のデータを測定した話やセクハラ紛いの事を彼女が何気ないエピソードの一つとして語っていくうちに口を閉じていった。
「それで私どうしていいか分からなくて…マヤノちゃん、私どうしたらいいかな」 - 66君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/12(日) 22:48:59
本気の回答など求めていなかった。ただ、「そのままでいいんじゃない?」と現状維持でいる事を誰かに肯定して欲しかっただけでしかない。そのためにマヤノという友達に縋っているに過ぎないのだ。
「マヤ、よく分かんないけど」
少し悩んでから、マヤノは答え始めた。
「ペイバイちゃんとトレーナーさんのお話、マヤはとっても楽しそうだなって思った。ディナーの話やお買い物の話、キラキラしててオトナの世界みたいだって思った。でも、それってきっとよくない事じゃ無いかなってマヤ思う」
「なんで……」
「だってペイバイちゃん、ずっと苦しそうに話すんだもん」
気づかなかった。自分は楽しい思い出を語っていたはずなのにマヤノにとってはそれが苦しそうな語りに聞こえていたなんて彼女は思いもしていなかった。
「ペイバイちゃん、本当はペイバイちゃんは自分がどうしたいのかわかってるんじゃない?でも、それを直接の口に出すのが怖いからマヤに言ってくれたんでしょ?」
「マヤだって早くカッコいいオトナになりたい。でも、オトナになるって苦しみながらなっちゃきっとダメだよ」 - 67二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 22:52:48
マヤちん大人だなぁ…
- 68辻絵描き24/05/12(日) 22:58:28
すごくいい......ストーリーがいいから叡智なシーンは白昼夢みたいなダイジェストにしようかな...
作画はストレートに成長物語をメインにネームを組んでみます - 69二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 23:04:00
>>1のストーリーもすごくいい感じに好きだ
- 70二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 23:57:43
- 71二次元好きの匿名さん24/05/13(月) 00:02:17
このレスは削除されています
- 72二次元好きの匿名さん24/05/13(月) 08:28:27
- 73辻絵描き24/05/13(月) 08:45:38
- 74二次元好きの匿名さん24/05/13(月) 08:50:57
- 75辻絵描き24/05/13(月) 08:54:00
- 76二次元好きの匿名さん24/05/13(月) 14:11:26
キンちゃんは俺が保守る!
- 77辻絵描き24/05/13(月) 15:05:07
- 78二次元好きの匿名さん24/05/13(月) 15:06:15
このレスは削除されています
- 79辻絵描き24/05/13(月) 15:06:58
- 80辻絵描き24/05/13(月) 15:08:37
- 81二次元好きの匿名さん24/05/13(月) 15:35:48
マジで漫画生えてきたったよ…
- 82二次元好きの匿名さん24/05/13(月) 16:03:01
パイがデカすぎる
- 83二次元好きの匿名さん24/05/13(月) 16:42:08
コレどーすんのや、余計ドツボにハマりそうで怖い。
カイチョーがストレートに「そのトレーナーは危ういから離れろ」と言って、マヤノが遠回しに「それでいいの?」と諭して、説得のバランスとしてはいいように思うんだけど... ...。 - 84二次元好きの匿名さん24/05/13(月) 16:43:18
- 85辻絵描き24/05/13(月) 16:57:53
- 86二次元好きの匿名さん24/05/13(月) 17:03:08
- 87二次元好きの匿名さん24/05/13(月) 17:03:10
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- 88辻絵描き24/05/13(月) 17:06:12
- 89君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/13(月) 17:31:12
どんなものでも「辞める」「終わる」というのは勇気のいる事である。例えば勤めていた仕事場を辞める時、例えば大好きなゲームから離れる時、人は1度居着いた場所から離れる事に大きな躊躇いを感じるものだ。
それはウマ娘であるキンペイバイも同じであり、全力で後ろ髪を引かれるような思いと、これから自分のする事でトレーナーに何を言われるのかを想像しただけで震えていた。
「ごめんねマヤノちゃん、本当は私1人で言わなくちゃいけないのに」
「ぜーんぜん平気だよ。マヤも1人で怒られるのは苦手だもん、一緒に怒られよ?」
こんな情けなく震える彼女について来てくれるマヤノは相変わらず心配を解きほぐそうとする言葉をかけ続けており、彼女の芯の強さと友達思いなところが窺える。力強く握られた手が暖かかった。
鉛のように重い足を引きずってトレーナー室の前に来た時には先ほどまで空のてっぺんにあった太陽が少し傾いていた。 - 90君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/13(月) 18:49:59
「トレーナーさん、私です。キンペイバイです」
コンコンとドアをノックしてトレーナーを呼ぶ。彼女のトレーナーがルールとしてトレーナーの許可なくトレーナー室へ入る事を禁じていた。これまで彼女はそれになんの疑問も持っていなかったが、マヤノの「扉の前で待たなくちゃダメなんて変なトレーナーさんだね」という言葉にこれもまた自分が当たり前だと思っていた異常なのだという事を思い知らされた。
「どうしたんだ?今日は随分と遅かったじゃないか」
扉を開けて出て来たトレーナーはやはりあの爽やかな笑顔で出迎えてくれて、この人が悪い人だなんて思う気持ちが薄れてしまいそうだった。
「ところで、そちらの子は誰かな?君のお友達?」
「えっと…この子はマヤちゃ…マヤノトップガンさんです…」
「マヤノ…………?」
トレーナーさんはマヤノの事をよく知らないようであった。 - 91二次元好きの匿名さん24/05/13(月) 19:57:31
このレスは削除されています
- 92君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/13(月) 19:59:40
「ところでどうしたんだい、早く部屋に入りなよ。今日は次回のレースに向けて…」
「あ、あの……お話が…」
キンペイバイが部屋に入らない様子を見たトレーナーは彼女の手を取って部屋はと連れ込もうとする。だがしかし、その手が届く前にキンペイバイが声を上げた。
それにトレーナーは一瞬驚いた様子を見せつつも、笑顔を作る。
「お話?それは重要な話なのかい?」
「はい、あの、その……トレーナーさんとの契約を……解除したいなって……」
トレーナーの眉がピクリと動いた。
これは怒っている、キンペイバイにはそう感じた。貼り付けたような笑顔の裏に怒気が膨れ上がっていることが容易に感じ取れた。
「契約を解除?どうしたんだいいきなりそんな突拍子もない話、君らしくないじゃないか」
あくまで優しいトレーナーを演じるつもりなのだろうか男は声の調子こそ変えていなかったが、そこには先ほどまでにはない「圧」のようなものが混じっていた。
「誰かに契約を解除するよう唆されたのかい?」 - 93君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/13(月) 20:11:22
詰め寄るような物言いにキンペイバイは震えながら答える。
「ルドルフ……先輩が…ト、トレーナーさんが指導の範囲を逸脱しているから…だから、担当を変えた方がいいって……」
「ルドルフ?あぁ、シンボリルドルフか。そういえばアイツは君の相部屋だったね。はぁ…確かに相部屋の先輩、それも生徒会長の話なら鵜呑みにもしたくなるよな」
大きなため息をつくと、トレーナーはキンペイバイの肩に手を乗せる。恐怖で震えるキンペイバイに、自分は君の理解者だと言わんばかりの胡散くらい態度と身振り手振りで、彼女に動揺しているかのような振る舞いを見せる。
「確かに彼女は君の先輩だ。だが彼女だってまだ子供だ、根も歯もない噂に惑わされて間違った行動をとる事だってある。それに、俺と君はメイクデビューだって勝ったんだ、俺たちはこれから始まるんだ、そうだろ?」
キンペイバイがトレーナーを疑いきれない理由がここにある。彼女はこのトレーナーと一緒にメイクデビュー(新バ戦)を勝ってしまっているのだ。フラフラになりながらもつかんだ勝利の高揚感、ライブのセンターで歌って踊り多くの人に注目される快感、キンペイバイ1人では得られないものをすでにこの男から貰ってしまっているのだ。
キンペイバイは思考する。きっとルドルフ先輩の勘違いだったのだと。ルドルフ先輩が違和感や嫌悪を感じたものはあくまでコミュニケーションの一つで、自分とトレーナーの間にはなんの問題もないのだと。男を裏切れない心がそう都合よく事実を理解しようとしていた。
「す、すみません…私の間違いでした、やっぱり契約は……」 - 94辻絵描き24/05/13(月) 20:21:49
- 95君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/13(月) 20:23:32
「ねー、おにーさん。おにーさんはペイバイちゃんをどこで知ったの?」
契約はやっぱり継続で。そうキンペイバイが口に出そうとした時、それを遮るようにマヤノが口を開いた。
「キンペイバイを初めて見たのは入学式の次の日の能力測定の時かな。そこで彼女の走りを見てぜひ担当したいと思ったんだ」
「ふーん。他の子には目もくれなかったんだ。おにーさんはペイバイちゃん一筋なんだね」
マヤノは何か思うことがあるのだろうか、いつものように話しているようだが何かがいつもと違うような感じがした。しばらく話しているとマヤノは急に黙り、キンペイバイの方へと向き直った。
「ねぇ、ペイバイちゃん。このオジサンとは契約してちゃダメだよ」 - 96君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/13(月) 20:24:35
- 97二次元好きの匿名さん24/05/13(月) 20:28:54
マジでこの役にマヤはハマりすぎて奇跡
- 98二次元好きの匿名さん24/05/13(月) 20:37:28
ストーリーも絵も楽しませてもらってる!
出先でレス難しいけどめちゃくちゃ楽しんでますんで!がんばって! - 99君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/13(月) 20:39:48
「君、いったい何を言って……!」
「マヤ、トレーナーちゃん達の仕事はよく分かんないけど、沢山のウマ娘を見て研究するのも仕事の一つだってトレーナーちゃんの事を見てたら分かるよ」
「でもそれは体の動かし方や走り方を見てて、オジサンみたいに"体"を見てるわけじゃないと思うんだよね」
いつもの元気いっぱいなマヤノとは違う、怒りすら感じるマヤノの凄みにキンペイバイは少し気後れしていた。それでもこの怒りが自分のために怒ってくれているという事はちゃんと分かっていた。
「オジサンが他に名前を挙げてた同級生ってみーんな男の人が好きそうな子達ばっかりだもん。その癖に足の速い子や結果の良かった子は全然覚えてない。マヤのこと知らないなんて言ったのはこの学園のトレーナーさん達の中でオジサンが初めてだよ」
「トレーナーが全員入学したばかりのウマ娘を知ってるわけないだろう?大人だって知らない事があるんだ、君のことを知らなかったとしても…」
「マヤ、あの能力測定でトップ5にいたよ?それなのに知らないの?お仕事なのに?」
トレーナーは押し黙った。 - 100辻絵描き24/05/13(月) 20:40:24
- 101君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/13(月) 20:54:01
「パパが言ってた。『仕事をする人間は皆その仕事に誇りを持っている』って。その誇りって自分の仕事で必要な事を知らない事を言い訳する事じゃないってマヤ思う」
マヤノ言葉を聞いた時、キンペイバイはある事を思い出していた。それは幼き日に聞いた母の言葉である。売れない小説家である母は勉強のためにありとあらゆる本を読み漁っていた。それはキンペイバイが好きだった絵本からよく分からない文字が書かれた辞書のように分厚い本まで様々。そんなにたくさんの本を読む母を不思議に思い聞いたことがあるのだ。
「ママはほんをよむのじゃなくてかくのがおしごとなんじゃないの?」
幼いキンペイバイの無邪気な質問に母は彼女を膝の上に招き、執筆風景を見せながら語った。
「ママのお仕事は勉強することもお仕事なの。たくさん本を読んでたくさん勉強をして、知らない言葉や知らない物語をたくさん知ってもっといい作品を書きたい!って思いながらお仕事をしてるの。きーちゃんもお勉強たくさんしたらママみたいに絵本も描けるようになれるぞ〜」
「え〜おべんきょうやだ〜」
母も誇りを持って仕事をしていた。自分の知らないものをいつになっても勉強しようとし、自分の殻に困らず探究し続ける人だった。決して目が出なくとも努力を怠った母の姿を彼女は見たことがない。
ならばもう、迷う必要はないだろう。 - 102君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/13(月) 21:20:43
「あ、あの……わ、私の競争人生は1回しかありません。だから、本気でやりたいです、勝ちたいです!だから…ちゃんと考えた上でトレーナーさんとの担当契約を解じ……」
「ふざけるなァ !!」
勇気を振り絞ってあげたキンペイバイの声をトレーナーの怒声が掻き消した。
「本気でやりたい?勝ちたい?ならばなぜ契約を解除する必要がある!?事実としてお前は俺の指導で勝っているだろうが!まるで俺が無能のように言いやがって!お前なんて努力しても未勝利か1勝がいいところなのを俺が!俺が勝たせてやったんだぞ!服を買い!高い店で飯も食べさせてやって!金を使ってやったのにその物言いはなんだァ !!」
理性的な物言いで言いくるめる事を諦めた男は暴力に出た。男は跡が見つかりにくい場所を熟知している。どうせ一生勝負服など縁のないようなウマ娘だ。体操着で見えにくくなるところを掴めば…そう思い手を振り上げた。 - 103二次元好きの匿名さん24/05/13(月) 21:49:03
- 104二次元好きの匿名さん24/05/13(月) 22:00:18
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- 105君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/13(月) 22:01:48
キンペイバイは幼い頃より理不尽な暴力を受けた事がない。母も躾はするが暴力を用いる事はなかったし、暴力を振るわれそうな時に守ってくれる人もいた。だから、暴力に対する耐性のない彼女は振り下ろされる男の腕をただ黙って見ていることしかできなかった。
しかして、その暴力が彼女の手に届く事は無かった。
口に昭和の野球漫画に出てくるような葉っぱを咥えたウマ娘が男の手を掴んで抑えていた。
「お前達、怪我はないか?」
キンペイバイとマヤノを心配する声をかけ男から離れるように促すのは髪を短めに切り揃えたウマ娘。キンペイバイにとっては憧れのウマ娘であるエアグルーヴであった。
「クッッッソ!離せナリタブライアン!生徒がトレーナーに逆らってんじゃねぇよ!」
「悪いが、アンタを掴んで離すなというのが私の仕事だ」
男が声を張り上げブライアンの拘束を振り払おうとするが、悲しいかなたとえ男女であってもウマ娘と人間、大の男であってもウマ娘に力で勝てる事はないのだ。
そしてそのウマ娘の力の象徴のような存在が、「皇帝」シンボリルドルフがゆっくりとローファーの靴底を鳴らし現れた。
「君がキンペイバイのトレーナーだな。私と話をしようじゃないか」 - 106君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/13(月) 22:14:06
エアグルーヴに促され生徒会室へと招かれたマヤノとキンペイバイは2人してソファに座って事が終わるのを待っていた
1.憧れの人が目の前にいるが今はそれについて一喜一憂できるほど心の余裕がない
2.エアグルーヴが出してくれたお茶を一口飲んで落ち着いたのかどっと疲労が襲って来た
3.少し経って状況を飲み込めたのか恐怖が今更限界に達して泣き出してしまった
dice1d3=3 (3)
- 107君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/13(月) 22:48:16
少し落ち着いて状況が飲み込めて来た。
あの時、ルドルフ達生徒会が来てくれたのはキンペイバイのトレーナーの悪意ある指導に対しての事情聴取のためであったが、偶然にもトレーナーが暴力を振るう場面に遭遇したために"お話"をするためキンペイバイとマヤノの2人はエアグルーヴに生徒会室へと連れられてこられた。
やはり、トレーナーは悪い人だったらしい。
キンペイバイに罵声を浴びせ暴力を振るおうとしたあの瞬間を彼女は鮮明に覚えていた。その瞬間がループするたびに心が麻痺して感じていなかった恐怖が首をつたって脳まで伝わり、ついに泣き出してしまった。
無理もないまだ12歳の少女なのだ。四十路の男に暴力を振るわれそうになった、しかもそれが一応信頼していたトレーナーとなればショックは計り知れないものがあった。
そんな彼女をマヤノとエアグルーヴの2人が慰めていた。マヤノもキンペイバイと同じように怖かったはずなのにである。それなのに涙を流してわんわんと泣くキンペイバイの手をぎゅっと握り続けていた。
そんな2人の様子を見て、エアグルーヴは今年の新入生が存外にしっかりしているのだと感心したのだった。 - 108二次元好きの匿名さん24/05/14(火) 06:39:20
こんなやつをトレーナーに採用したとか学園側の落ち度だろ
- 109二次元好きの匿名さん24/05/14(火) 06:44:43
要領のいいヤンキーとかもいるしな
色恋やりまくって逃げてきたホスト上がりなのかもしれん… - 110二次元好きの匿名さん24/05/14(火) 07:00:28
シナリオのラインが決まっていたとはいえ来るものがあるな
どこにって? 皆まで言うなよ - 111辻絵描き24/05/14(火) 08:35:11
- 112二次元好きの匿名さん24/05/14(火) 08:37:03
これは光のクズトレーナーバージョンも見たくなる…
母のコラムが載ってる雑誌集めて「ククク…お前の人格形成の大元になった人物だ…研究するのは当然だろう(ニチャア」とかキンちゃんのボディラインを隠しつつ年頃の少女が許容できるおしゃれさのファッションを模索して鬼龍院に教えを乞うたりしてそう - 113二次元好きの匿名さん24/05/14(火) 14:48:24
ペイバイちゃん何してもえっちなのでそれはもう…
- 114二次元好きの匿名さん24/05/14(火) 15:31:46
殴り倒されそうな迫力の胸部
- 115二次元好きの匿名さん24/05/14(火) 16:44:19
- 116君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/14(火) 19:43:37
その日は泣き疲れて眠ってしまったキンペイバイを生徒会室へ戻って来たルドルフが部屋まで連れて行き解散ということになった。
ルドルフからトレーナーの事について聞かされたのはそれから数日が経ってからの事だった。
単刀直入に言えばキンペイバイのトレーナーだった男は解雇された。
キンペイバイに対してのセクハラ行為だけならず過去に彼が担当していたウマ娘達のセクハラ動画のデータが彼の自宅から発見された。彼のトレーナー室からは無数の隠しカメラが仕込まれていた事も分かり、彼が無垢なウマ娘を己が城へと招き入れ辱めを行う悪徳トレーナーである事が白日の元に晒された。
だが、事態はそれで収まることはなかった。男が撮影した動画は非合法なルートを通り、嗜好品としてその手の趣味の持ち主達に購入されていたのだ。さらに、映像をお出しに用い過去に担当したウマ娘数人を"嬢バ"送りにしたという事実も判明したため、事実確認のため男は警察に拘束される事となった。
ルドルフによれば男は確実に禁固刑になるらしい。そもそも禁固刑にならずとも高度にネットが発展しすぎた社会である。情報は拡散され男の顔と名前はその悪事と共に世界中にばら撒かれた。未来あるウマ娘に手を出し、あまつさえその未来を歪めたとなればもう男がこの世界で陽の光を浴びて生きることは不可能だろう。
だから君がこれから何かを心配する事はない。ルドルフの話はそう締められた。 - 117君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/14(火) 20:15:39
さて、この件を受けてキンペイバイはというと学園側からしばらくはレースへの出走は控えた方がいいと忠告を受けた。今回の件は世間でもかなりの話題となっており、男の担当バであるキンペイバイがレースに参加するとなった場合、彼女に記者や野次馬が集まるのは火を見るよりも明らかであり、過去に似たような事件が地方トレセンで発生した際、なんの罪もないウマ娘が罵声を浴びせられレースの道を諦めたという前例もあり学園側も必要以上に警戒しての事であった。
その代わりとしてレース出走権の凍結といつでもその凍結を解除し、クラシック級からの再会を行える特例処置が言い渡されたが、正直なところ今彼女はとても走る気にはなれなかった。
信頼していたトレーナーが自分の体目当てでしかなった事への絶望、トレーナーとの個人の専属契約という華々しいしい肩書きに舞い上がりのぼせ上がっていた自分への羞恥、何よりもトレーナーが吐き捨てた言葉が胸に刺さっていた。
『お前なんて努力しても未勝利か1勝がいいところなのを俺が!俺が勝たせてやったんだぞ!』
その言葉が例え激昂した末に出たなんの考えもない感情の吐露である暴言だとしても、能力測定での不甲斐なさ過ぎる結果、怯えて何もできなかった自分が競技者としてこの先やっていけないと否定の言葉をぶつけられる事は齢12の彼女が無気力になるには十分過ぎた。 - 118君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/14(火) 20:20:15
なれるちゃんの中に残ってるレース意欲
dice1d100=26 (26)
(高いほどまだ走れる)(※現時点の数値)
- 119二次元好きの匿名さん24/05/14(火) 20:26:43
ここからアガっていけ…俺のウマだっち棒の様に…
- 120二次元好きの匿名さん24/05/14(火) 20:32:24
全てダイスで出た通りの流れなのに、心に・・・心にダメージが・・・!
流れ全部知ってたはずなのに実際読み物になると心が痛い! - 121二次元好きの匿名さん24/05/14(火) 20:33:29
そのハロン棒しまえよ
- 122二次元好きの匿名さん24/05/14(火) 20:35:32
俺は闇のウマ娘ファン
キンペイバイちゃんの嬢バ行きに期待 - 123辻絵描き24/05/14(火) 20:39:13
自家発電して君のHDDの中に寝かせるんだ....それは表に出したらスレが爆破されてしまう()
- 124君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/14(火) 20:51:51
この事件を受けてのなれるちゃんの生活の変化
1.毎日の日課だった朝の走り込みも自主練も何もかもが惰性になり、勉強や趣味も手をつけなくなってしまった
2.表面上は明るく振る舞っているが練習の成果は全く出ないし、側から見れば無理しているのがバレバレ
3.母親や幼馴染には大丈夫だと言っているが、入学当初に持っていたレースの世界への憧れもイメージしていた理想のトレセン生活も何もかもが壊れて無気力
dice1d3=1 (1)
- 125二次元好きの匿名さん24/05/14(火) 20:55:55
俺がキンバイちゃんのペイちゃんを支えてやらないと…
- 126君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/14(火) 21:05:13
いつからだろうか、朝走っている時、自分の将来への不満や走る事から逃げるための理由を考えるようになったのは
いつからだろうか、練習中に見ている景色が高速で流れていくコースよりも白い雲が気だるげに流れていく青空の方が多くなったのは
いつからだろうか、好きだったピアノの前に座らなくなり、コスプレのための素材集めにネットショップを回らなくなったのは
いつからだろうか、こんなにもつまらない自分になったのは……
あれから1ヶ月ほど経ち、キンペイバイは無気力になっていた。レースに関心を向けることもなく、趣味のために時間を使うこともない、ただ集団に取り残されないように惰性的な日々を送る日々。
友人や周りの人間は彼女を心配していたが、彼女を救う事はできていなかった。レースでの挫折であれば彼女を励ませる先輩もいただろう。学業での不安なら解消しようと尽力してくれる人間はいただろう。恋の悩みなら相談に乗ってくれる友人がいただろう。しかし、彼女の無気力の原因はそのどれよりも複雑かつ難儀なもので、その境遇に同情する事はできても、同じ境遇からアドバイスできる者はいなかった。 - 127二次元好きの匿名さん24/05/14(火) 21:07:20
いい子が自分と関係ないことで曇るのはきつい
けでダイス的にはハッピーエンドが待ってるから耐えられる - 128二次元好きの匿名さん24/05/14(火) 21:09:17
いいよね……曇っていた子供が年季の入った年寄りに励まされて立ち直る展開
- 129辻絵描き24/05/14(火) 21:12:41
現状が抑うつ状態っぽいからゆっくり休むんやで、ペイバイちゃん
- 130君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/14(火) 21:17:47
人間は無気力に押しつぶされそうになることが往々としてある。
そもそも、無気力というのは何もしない事ではあっても何も考えない事ではない。大抵の場合、無気力でいると人は自分を責め始める。なんで情けないんだ、他の人間は頑張っているのに、自分はどうして何もしていないんだ、行き場のないぐちゃぐちゃの感情が心の中で罵倒になって反響し続ける。
吐き出すことができればいいが、それができない人間も多い。無気力でいると人に頼ることも烏滸がましく、億劫になり余計に自分を追い詰めてしまう。歳を重ねれば重ねるほどその傾向は強くなる。
逆を言えば、頼ることが当たり前の年齢であればそうならない事も多い。
「お母さん、あのね、私……帰りたい」
キンペイバイは久しぶりに正しい選択をした。 - 131君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/14(火) 21:21:08
- 132辻絵描き24/05/14(火) 21:44:37
- 133君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/14(火) 21:46:32
府中駅から3回ほど乗り換えてのべ6時間と少し、相変わらずアクセスの悪い故郷への帰郷は随分と早いものとなった。帰ってくる時にはトロフィー持ってくるよなんて調子のいい事を言ったのが、つい昨日のように思えてしまう。
低い建物、見慣れた店、人の住んでいない廃墟、賑やかさとは真反対の地元の駅から続く家までの道をキンペイバイは1人歩いていた。
15分ほど歩いてついたのは鉄筋造りの3階建てのアパート。その1階の奥から2番目、103と書かれた扉の部屋が彼女の我が家であった。
「ただいま…」
ドアノブを捻り、扉を開けると数ヶ月ぶりの我が家の匂い。寮の匂いに慣れてたからなのかどこか新鮮に感じる。
「キーちゃんおかえり!長旅で疲れたでしょ?今日はキーちゃんの好きなものたくさん用意してるからね!」
いつも電話越しで、久方ぶりに面と向かって会った母は記憶の中の母と全く変わっていなかった。 - 134二次元好きの匿名さん24/05/14(火) 21:49:51
ナイス配慮と言わざるを得ない!
- 135君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/14(火) 22:08:45
母の作ってくれた夕食を食べ、入り慣れた風呂に入り、使い慣れたベッドで横になり見慣れた天井を見つめる。数ヶ月前まではこれが普通だった。
その普通がどこか特別で長旅の疲れもあるのだろうかどこかふわふわした感覚のまますぐに微睡の中へと堕ちてしまった。
次の日の朝、出てきた朝食は家にいた頃よく出ていたハムエッグとトーストに前日の夜の味噌汁。可もなく不可もない実家の味。
朝食を食べ終えてしばらくしたら母と一緒に馴染みのスーパーに買い物に出る。買い物中、同級生の母親と出会い気まずくなって母の影に隠れた自分が恥ずかしかった。
お昼は手頃に流水麺にカット野菜、それにドレッシングをかけたサラダ麺。トレセン学園で出るような栄養バランスが計算され尽くしたメニューとは違い、ズボラで労力をとにかく抑えた粗暴とも言えるご飯がたまらなく懐かしかった。 - 136二次元好きの匿名さん24/05/14(火) 22:19:25
マッマの見た目どんな感じなんやろ…
- 137君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/14(火) 22:27:34
「お母さんはさ、私を妊娠したって分かった時どう思った…?」
昼食の片付けをしている時、娘が急に投げかけてきた質問に母は驚いた。娘には父親のことを多少誤魔化しているとはいえ本当の事を言ってある。キンペイバイは自分の父親がどうしていないのかも、GⅢを勝った母がこんな片田舎で売れない小説家をしている理由も分かっていた。
だからこそ驚いた。自分が語った事以上のことを深く詮索しようとしなかった娘が母が妊娠した時のことを聞いてきたのだ。しかも、帰ってきてからというもの笑顔ひとつ見せなかった娘がである。母として、答えるべき内容を考える必要があった。
「あなたがお母さんのところに来てくれた時、色んな人に産むのを反対されたの。学生じゃ子供を育てられない、父親のいない子供がどうなると思っているんだって。でも、お母さんは堕ろそうだなんて一度も考えた事はなかったわ」
「確かに、お母さんは男の人に酷いことをされたけどそれはあくまで途中経過でしかないもの。例えあの人と愛し合っていてもお母さんは変わらずキーちゃんのこと大好きなはずよ」
「お母さんにとって大事なのはあの人と愛を育てたという途中経過ではなくて、あなたがお母さんのところに来てくれたっていう結果だもの」 - 138君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/14(火) 22:37:40
「キーちゃんが悩んでいるのはきっとその途端経過のところじゃないかしら?……キーちゃんに悪いことを言ったあの人の言葉を気にしちゃダメなんて無責任な事お母さんは言わないわ。忘れたくても忘れられないから辛いんだもの、それはお母さんもよくわかる。でもねキーちゃんよく覚えておいて、例えどんなに酷いことを言われても、才能がないと馬鹿にされても、キーちゃんが頑張った努力は嘘にはならないの」
「それはちゃんと結果としてメイクデビューに勝っちゃったんですもの。馬鹿にしてくる奴はその分頑張ったキーちゃんには届かない、あなたが出した結果こそがあなたの正しさの証明なのよ」
不思議と涙が溢れた。言われた言葉なんて事はない「あなたは悪くない」「あなたは間違ってない」トレセンでもたくさん投げかけられた慰めの言葉だ。だがどこか他人行儀に感じたその言葉と同じはずの言葉は彼女の心に深く突き刺さっていた。
"同じ境遇"の人間の言葉だけでしか救えない人間がいる。その同じ境遇が母である事がキンペイバイにとって幸か不幸かであるかは断言する事はできない。だが、事この瞬間では、それで良かったと言えるのだろう。 - 139二次元好きの匿名さん24/05/14(火) 22:51:39
これは名牝ですわ…
- 140君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/14(火) 22:58:59
キンペイバイの実家帰省は約1週間程となった。暫く部屋を空ける旨の話をルドルフにした時、寮の持ち回りの掃除等をすっぽかす事になるため多少なりとも厳しい言葉が飛んでくるものだと思っていたが、しっかりと体を休めて安全に気をつけて帰ってきてくれと逆にこちらを心配する言葉をかけられてしまった。
LANEでマヤノやタイキにも1週間ほどお休みする旨の連絡を入れ、帰りにお土産をたくさん持っていくことを約束した。
1週間の実家帰省の間、母は仕事を休んでキンペイバイをいろんな所へ連れて行った。海に山に公園に、美味しいお店や遊園地、久しぶりのお出かけに母も年甲斐もなくはしゃいでいた。
ここ数年は忙しく碌に遊びにも行けなかったので、その補填という意味もあるのだろう。キンペイバイにとっては久しぶりの母とのお出かけが楽しくて仕方がなかった。 - 141二次元好きの匿名さん24/05/14(火) 23:19:10
母は強しだなぁ
しかし文と絵の相乗効果で、知っていたはずの曇らせ展開が心に刺さる - 142二次元好きの匿名さん24/05/15(水) 00:04:43
- 143二次元好きの匿名さん24/05/15(水) 00:22:44
- 144二次元好きの匿名さん24/05/15(水) 00:36:11
- 145二次元好きの匿名さん24/05/15(水) 00:42:10
- 146二次元好きの匿名さん24/05/15(水) 00:57:15
- 147二次元好きの匿名さん24/05/15(水) 01:07:06
そういやおじいちゃんトレーナーがお母さんの元トレとかあるんだろうか
- 148君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/15(水) 07:29:40
楽しい時は瞬く間に過ぎるものであっという間にトレセン学園へと戻る日がやってきた。
「忘れ物はない?お土産はちゃんと持った?電車で飲む飲み物買わなくても大丈夫?」
最寄り駅まで見送りに来てくれた母は相変わらずの心配性であり、一つの心配にキンペイバイがハイハイと答える問答が約5分ほど続いていた。
最後にもう大丈夫だからとキンペイバイが母をなんとか宥める事でなんとか改札口を抜ける事ができた。
「次はいつ帰ってくるの?」
「たぶん…夏休みかな?」
「あら、意外と早いのね」
人気のないホームでたわいもない会話を繰り返していると、電車の到着を告げるチャイムが鳴り響く。もう出発の時だ。
「もう行かなくちゃ、電車来ちゃう」
「そっか…もう行っちゃうのね。お母さん寂しいわ。気をつけて行くのよ」
「うん!行ってきます!」
帰ってきた時とは違い、足取りは軽く、朗らかな気持ちに包まれていた。
やがて車掌のホイッスルと共に電車の扉は閉じ、小さな彼女を東京へと送り出した。 - 149二次元好きの匿名さん24/05/15(水) 10:01:45
- 150二次元好きの匿名さん24/05/15(水) 14:53:06
- 151二次元好きの匿名さん24/05/15(水) 15:28:46
ちゃんと設定通りパジャマがクソダサTシャツで良き
- 152君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/15(水) 15:36:17
- 153二次元好きの匿名さん24/05/15(水) 15:50:06
- 154二次元好きの匿名さん24/05/15(水) 16:20:37
この絵はむしろ髪を束ねたカイチョーがえっちっち
- 155辻絵描き24/05/15(水) 16:26:50
- 156辻絵描き24/05/15(水) 16:27:37
楽しみにしてますね〜
- 157二次元好きの匿名さん24/05/15(水) 18:16:19
- 158辻絵描き24/05/15(水) 18:37:20
- 159辻絵描き24/05/15(水) 18:37:55
- 160二次元好きの匿名さん24/05/15(水) 19:21:57
- 161君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/15(水) 19:48:15
学園に戻ってから数週間、キンペイバイは徐々に入学当初の明るさを取り戻していた。すぐに元に戻るというわけではないが以前よりも授業に集中できるようになったし、練習にも意欲的に参加できるようになった。そして何よりも
「奈良の公園で鹿にせんべいをあげていた男がふと目を離した隙に持っていた鹿せんべいを全て食べられてしまいこう言った、奈良の鹿なら仕方がない」
「あははははは!」
以前のように笑えるようになり、眠る前にルドルフが考えたダジャレでひと笑いするのが最近の習慣の一つになっていた。なんでもこれのおかげでルドルフの肌艶が良くなったらしい。
しかし、未だレースに出る気にはなれなかった。学園から暫く休んだ方がいいと言われてはいるが、ここはトレセン学園、走る事が本分の学生達の中で走らずにいるというのはそれだけで人の心に劣等感や置いて行かれてしまうのではないかという焦燥感を抱かせるものなのだ。
とはいえ、今から大人数を抱えるチームトレーナーに指導をこいても既に形成されている空気感に割り込む勇気もなく、有望な個人担当のトレーナーはすでに先客で埋まっており、ゲスに騙された田舎者の騙されやすい碌な実力もない少女を担当したがる物好きはいなかった。 - 162辻絵描き24/05/15(水) 20:08:18
ちと自分の絵柄見ていたら古くね?と思ったので、改稿しますね〜
最近の漫画の絵ってツヤベタしないのかとネットで調べて気づきました - 163二次元好きの匿名さん24/05/15(水) 20:08:49
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- 164君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/15(水) 20:18:24
「というわけで、ルドルフちゃんのお願いで儂が君の担当になりました、まぁ気安くおじさんとかじじトレって呼んでええよ」
前言撤回、トレーナーになってくれる人間がいた。
歳は50代くらいだろうか顔はお世辞にも整っているとは言い難いが、シワの感じからいい歳の取り方をしている事がよく分かる。背は170センチくらい、歳の割に腰は曲がっておらずおじいさんというよりはおじさんという言葉が確かによく似合う。
「あ、あのぉ…えーっと…じじトレさん?でいいですか?」
「ええよええよ、儂はこれでも色んな名前で呼ばれとってのぉ、若い頃は"期待の新星"!中年時代は"勝利の水先案内人"!そしてある時には"府中の種ウマ"!……まぁ最後のは置いておいてくれてかまわん、今の儂はしがないただのジジイじゃ。もう10年もすれば定年なんじゃが、どうしても見てほしいという子がおってのぉ、いやはやこんなめんこい美人さんだとは思わなかったわい」
ケタケタと笑うじじトレはなんとも俗っぽく、キンペイバイが憧れていた有能でイケメンな若手トレーナーとは似ても似つかないが、手痛い傷を負ったばかりの彼女ならむしろ学校の面白い先生のようなじじトレが傷を抉ることもなく理想的な後任トレーナーと言えた。
それはそれとして逸話がなんとも嘘くさく感じてしまうキンペイバイであった。 - 165二次元好きの匿名さん24/05/15(水) 20:22:54
- 166君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/15(水) 20:33:09
さて、このじじトレ、ルドルフから直接お願いされる程度には信頼されている人物のようであるがトレーナーとしての腕や指導方針はどうであろうか。
前トレーナーを最終的には勝ちたいという理由で拒絶したキンペイバイにとっては勝たせる指導をしてくれるトレーナーであるとありがたいのだが…
1.とりあえずは何事も体力作りからだよ
2.とりあえず儂はここで休んどるからこのグラウンドで好きに走ってごらんなさい
3.時にお嬢さん、アイスキャンデーはお好きかな?
dice1d3=2 (2)
- 167二次元好きの匿名さん24/05/15(水) 20:36:01
- 168辻絵描き24/05/15(水) 20:37:01
12才からみると30以降は親御さんと同じだろうからおっさんだろうな......
- 169君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/15(水) 20:53:13
「好きに…ですか?」
「そうじゃ、お嬢さんの好きなように好きなだけ走ってくれてかまわんよ。勿論、無理と怪我だけはしちゃダメだよ」
困惑しながらも靴紐を結び直しグラウンドへと降りた。土手では宣言通りじじトレが座り込んで休んでいて、こちらに手を振っていた。キンペイバイはますます困惑した。トレーナーというの本来ストップウォッチなり記録用の紙なり、タブレットなりを持っているものである。だというのにじじトレは何も持たず土手で座って休んでいるだけなのだ。本当にトレーナーなのかという疑問すら湧いてくる。
「(とりあえず今は言われた通りにしないと…)」
キンペイバイはいわゆる逃げウマである。体の小さい彼女はバ群の中で順位争いはできない為、前任のトレーナーの指示により逃げウマとして練習を積み重ねていた。本人としては憧れのエアグルーヴのように先行や差しで走ってみたかったのだが、身体的問題故にそうも行かなかった。
「(でもなんで自由に走れなんて言ったんだろう…)」
キンペイバイはバカなウマ娘ではない。練習一つ一つそれがどんな意図でどんな意味があってやるのかを考えながら練習する事で効率的に多くのことを吸収できるタイプであった。それ故、この指示の意味を考えていた。考えられるものとしては今のキンペイバイの実力を推し測るためであろうか。今のキンペイバイは練習が不安定で安定した実力を出せていない。そんな現状を把握する為にしているのではないだろうか。それならば、今自分ができる最大限のパフォーマンスを行うのがこの指示の"正解"だろう。 - 170君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/15(水) 21:19:23
いかにウマ娘が人間よりも優れた身体機能を持っていたとしても限界というものはある。1周400mのトラックを全力で4、5周もすれば徐々にペースは落ち、息も上がってくる。それでも今の全力を出し切る為、最後にもう一息踏み込み6周走ったところで体力が底をついた。
「お疲れさん、ええ走りっぷりじゃったよ」
ターフの上で青空を見上げるキンペイバイにじじトレが手提げ袋からタオルや水筒を手渡す。濃いめに出した麦茶が喉を通る感覚がなんとも気持ちいい。荒れる息を整え汗を拭うとじじトレが木陰へと手招きをした。
「お嬢さん、確か逃げウマでやっているんだったね」
「は、はい!その、前の……私、体が小さいからバ群の中じゃ勝負できないから逃げの方がいいって。本当は先行とか差しで走りたいんですけど…」
それを聞いたじじトレは顎に手を当て何か考えているようで、しばらくすると急に立ち上がり、今日の練習はお開きだと言った。
「もう少しで雨が降る、濡れないうちに早く帰りなさい」
その言葉通り、15分後には滝のような雨が府中の街へ降り注いだ。 - 171二次元好きの匿名さん24/05/15(水) 21:20:42
変更後のトレーナー
性別dice1d2=1 (1)
1.男性 2.女性
年齢dice1d38=30 (30) +22歳
実力dice1d100=39 (39)
顔面偏差値dice1d100=26 (26)
陰陽(100に近いほどポジティブ)
dice1d100=92 (92)
人格dice1d100=72 (72)
(高いほど人格者)
生徒人気dice1d100=42 (42)
(高いほど人気
人脈dice1d100=77 (77)
(高いほど広い)
最初のスレの161から持ってきた
52歳ってまだ若いじゃねぇか!
10台から見たらじじいだろ
それもそう…か…
- 172辻絵描き24/05/15(水) 21:29:15
- 173君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/15(水) 21:32:01
- 174二次元好きの匿名さん24/05/15(水) 21:57:18
そう言われると前のほうは髪の毛の情報量が多すぎたような気がするなぁ…?
- 175二次元好きの匿名さん24/05/15(水) 22:17:20
このレスは削除されています
- 176二次元好きの匿名さん24/05/15(水) 22:45:02
142です。
まだ過去スレは2スレ目の途中までしか読めていませんが、少なくともバッドエンドになる事はなさそうなので、続きを期待して待ちます。
そもそもバッドエンドになる可能性があったら、ここまでスレが続いていないでしょうし。
- 177辻絵描き24/05/15(水) 23:43:44
- 178二次元好きの匿名さん24/05/15(水) 23:46:02
これはスイカ
- 179二次元好きの匿名さん24/05/15(水) 23:59:52
うおっでっかぁ…
変更点かぁ…個人的には乳袋ではなく乳カーテンになってるほうが好みだけどってレベルの物しか思いつかん - 180二次元好きの匿名さん24/05/16(木) 00:34:04
このレスは削除されています
- 181二次元好きの匿名さん24/05/16(木) 01:42:12
- 182二次元好きの匿名さん24/05/16(木) 07:21:14
- 183君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/16(木) 07:42:20
翌日、グラウンドには再びキンペイバイとじじトレの姿があった。朝方まで降り続いた雨であったが、かんかん照りの太陽に照らされてほとんど乾いてしまっていた。
そんな洗い立ての芝生の上にどかっと座り込んだじじトレはキンペイバイも座るように手でジェスチゃーを送る。
「あの、今日は一体どんなトレーニングをするんですか?」
「そうじゃなぁ…まぁ、詳しい話をする前に少し老人の提案を聞いてはくれんか?」
ご老人のこういった話は大抵長くなるという社会の定説を思い返したキンペイバイは自らが正座で座ったことを少し後悔しながらじじトレの話に耳を傾けた。
「まずは昨日見せてもらった走りじゃが…うん、歳の割にようできとる体の軸もブレとらんし足もよう回せとる。小さな体で現状あそこまでできているならメイクデビューを勝っているのにも納得がいくわい」
「ありがとうございます」
「じゃがのぉお嬢さん、儂には走る時、だいぶ無理しているように見えたがアレは気のせいかの?」
「無理してる……ですか?」
「常にトップスピードで走り抜けられるのは大事な才能じゃ、それを現状でも2000を超えるか超えないかまで維持できるのは大したもんじゃ。しかしの、あまりに力みすぎ、力を出しすぎじゃ。お前さんならもっと長い距離でも戦える、むしろ長距離を追込で走る方が向いているんじゃないかと儂は思うんじゃ」 - 184君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/16(木) 08:00:44
「長距離で追込…それを私が…?」
あまりにも想定の範囲外の事を言われてキンペイバイはかなり困惑した。メイクデビューを勝ったのは短距離、しかも逃げでなのにいきなりその真反対のことをやれと言われれば誰でも困惑するだろう。
「勿論理由はちゃんとある。まず一つはお嬢さんの体幹が強い事。体の軸のブレはその分体力・速度的にロスを生んでしまうものじゃがお嬢さんにはこれがほとんどない、スタミナを上手く残せているのはこれのおかげじゃな」
確かに以前短距離の練習をしていた時も全力を出して体力が底をついた事はあったが、それでも平均的な本数よりもかなり多く練習を積めていると言われていた。その時は能力測定の不甲斐ない結果から誰よりも練習しなければと思い特に気にしていなかった。
「次に一歩の距離じゃ。時にお嬢さん、体は柔らかい方かね?」
「えっと…それなりには…あ、長座体前屈とかはクラスで1番でした!」
「なるほどなるほど。ではお嬢さん、ピッチ走法とストライド走法の違いは分かるかね?」
ピッチ走法・ストライド走法は名前の通りそれぞれ走り方の違いを表すものである。ピッチ走法とは主に長距離レースで用いられ、足の回転数(ピッチ)を上げて速度を出す走り方の事である。加速力に優れ小回りも効きやすい。ストライド走法は歩幅(ストライド)を大きくとる走り方の事で、安定した速度に優れピッチ走法と比べると足の回転数自体は劣る為体力の消耗も少なくて済む。 - 185君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/16(木) 08:18:58
「お嬢さんは一歩の距離が長い上にピッチも平均的なストライド走法で走る娘達よりもかなり上と見える。前にこの走り方をする娘を見た事があるがどれも良いウマ娘達じゃった」
言われるまで全く気づかなかった。走っている時は確かにレース展開とか速度の維持とかを気にした事はあったが、自分が周りと比べてどうなのかは考えたこともなかった。考えても小さな体の自分では活かせる事もないとも思っていた。
「儂が思うにお嬢さんの小さな体ではレースの速度についていくために無意識にそうなってしまっているのじゃろうが、逆に言えば無意識レベルでできているとも言える。いずれにしろやろうと思ってもなかなかできないものじゃ、これはお嬢さんの大きな武器になるぞ」
「私の…武器…」
他人にはできない私だけの走り方、その響きはまだまだ子供のキンペイバイには深く刺さった。
「最後じゃが…お嬢さん、昨日の最後に見せてくれた追い込みの事は覚えておるかな?」
「はい、でも最後はもうほとんど力が出なくて…」
昨日の追い込み最後の一周はもうほとんど体力がなく気力だけで走り抜いていた。走り終わって見上げた青空の青さに今の自分の限界だと痛感させられた。
「何を言う、理想はアレじゃよ」
「えっ!?」
「最後の一周は余計な力が入らなくなってそれ以前に比べれば自然に走れておった。体の軸のブレが体力のロスに繋がると言ったが、力みすぎもロスに繋がる。体力が少なくなって温存気味に走ったのが良かったんじゃな、それなりにいいタイムもでておった」
たった一度見ただけでここまで分かるものなのか、キンペイバイはじじトレの観察眼に驚くばかりであった。 - 186二次元好きの匿名さん24/05/16(木) 10:51:00
- 187二次元好きの匿名さん24/05/16(木) 11:04:48
最初は絵本のお馬さんって感じで今は月刊誌のヒロインって感じ
- 188二次元好きの匿名さん24/05/16(木) 11:07:29
- 189二次元好きの匿名さん24/05/16(木) 11:24:39
このレスは削除されています
- 190二次元好きの匿名さん24/05/16(木) 14:06:47
なんかじじトレ勤めてジジイしてる感あるな
- 191二次元好きの匿名さん24/05/16(木) 14:10:13
確🦀52歳は自分のこと儂なんて言わないよな
- 192二次元好きの匿名さん24/05/16(木) 15:23:13
実は奥さんに先立たれて老け込んでるとか?
- 193辻絵描き24/05/16(木) 15:43:54
イラスト連荘で描いて結構疲れたのでしばらくROM専します
スレ主さん応援しています! - 194二次元好きの匿名さん24/05/16(木) 16:57:55
52歳も若いっちゃわかいけど人によっては老人ムーブする人もいるよな
昔の上司が55くらいの恰幅のいいおっちゃんで以下にも年寄りなんですわガハハみたいなやり方だったわ
仕事めちゃくちゃ出来てた有能な人やった - 195君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/16(木) 18:38:10
お疲れ様です。頑張らせていただきます
- 196二次元好きの匿名さん24/05/16(木) 19:25:28
ジジイだが実力はしっかりあるジジイ好き
- 197二次元好きの匿名さん24/05/16(木) 19:40:54
- 198二次元好きの匿名さん24/05/16(木) 20:05:08
次スレ乙
ふと思ったけど、ウマ娘世界における「繁殖牝バ」もそうだけど「種ウマ」の存在はどうなんだ……? - 199君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/16(木) 20:25:01
自分の中では古代から中世に至るまでウマ娘を大量に囲んでいた力を持った男性を指す言葉が現代でウマ娘に好かれやすい、多くのウマ娘に好かれている人間を指す言葉へと変わったと解釈しています
- 200二次元好きの匿名さん24/05/16(木) 20:36:39
一番下まで落ちたんだ、後は上がるだけよ!