閲覧注意「繁殖牝バになる為に生まれてきたような体だねw」part.6

  • 1君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/16(木) 19:40:01
  • 2二次元好きの匿名さん24/05/16(木) 19:41:27

    このレスは削除されています

  • 3君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/16(木) 19:42:45
  • 4君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/16(木) 19:47:03

    担当トレーナーが決まり憧れのキラキラトレセン生活を送るキンペイバイ。しかし、彼女の担当トレーナーは過去に担当を何人も嬢バ送りにしてきた悪徳トレーナーであった。
    担当契約の解除を告げに行ったところトレーナーに暴力を振るわれそうになり、すんでのところで生徒会組に助けられたのだった。
    しかしこの事件は彼女の心に深い傷を残し、一時はレースへの情熱が消えかかるほどまでになってしまうほどだった。母の言葉で再起したキンペイバイは再びレースの世界を志す。
    そんな彼女の前にルドルフに紹介されたという老人のトレーナーが現れたのだった。

  • 5君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/16(木) 19:55:30

    「どうするかはお嬢さん次第じゃ、このまま短距離で逃げウマを続けるもよし、長距離で追込をするでもよし、よく悩んで決めなされ」

    正直な話、目先のことを考えるのであれば現状維持が妥当に思える。すでにメイクデビューで勝っているという実績を踏まえればいまさら距離も走り方も変えて勝てなくなりましたでは後悔してもしたりない。
    しかし、先程のじじトレの話は的を得ていると思ったし、何もやらないより先に提案を否定するのは長期的に見て彼女の損失になる可能性もある。
    何より、彼女は勝ちたいのだ。レースに出るのに負けて終わり、楽しく走れればいい、そんなものよりも負けたくない、勝ちたいという意志の方が強かった。

    「やります。私、やります。長距離で追込、やってみたいです!」

  • 6君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/16(木) 20:22:53

    これはこれから勝つための選択であった。そもそもじじトレとキンペイバイでは経験の差が大きすぎる。松かさより年かさ、亀の甲より年の功という言葉もある、自分の素質を判断してくれたこのトレーナーの言葉を信じてみようと思った。


    「相分かった、お嬢さんを立派なステイヤーに育てて見せよう。そうと決まれば、さっそく始めよう」


    そういうとじじトレはキンペイバイを連れてどこかへ向かった。


    1.ときにお嬢さんは泳ぐのは得意かい?

    2.何故か美浦寮の方へ

    dice1d2=2 (2)

  • 7君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/16(木) 20:39:46

    ずんずんと進むじじトレについていくキンペイバイであったが、ある違和感に気づき始めていた。

    「あ、あのこっちって寮しかないですよ?」

    「ええからええから、ついてきんしゃい」

    トレーニングをするというのにグラウンドに向かうそぶりすら見せないじじトレにキンペイバイの中で一抹の不安がよぎる。
    寮の敷地に入るとタイキシャトルが大きなグリルの前に立っていた。

    「タイキちゃん、やっとるかいな」

    「oh!じじトレサン、お久しぶりデース!!」

    「久しぶりってついこの間、君に串を焼いてもらったばかかりじゃろう?」

    「それは1 month agoデース。もっときてくださってイーンデスヨ?」

  • 8君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/16(木) 21:16:29

    かなり親しそうに話すじじトレとタイキシャトルにキンペイバイは驚いていた。まさか自分の周りの人間に親しい繋がりがあるとは思っていなかったのだ。世界は狭いと謳う歌の意味を久々と実感していた。

    「oh!!そこにいるのはペイバイチャン!久しぶりにBBQしまショー!」

    結局、タイキシャトルの押しに負けキンペイバイはBBQに参加することとなった。キンペイバイを席に座らせ目の前に紙皿と割り箸、紙コップを置く手際の良さには目を見張るものがあった。
    よく見ればタイキシャトルの他にも彼女のトレーナーと思しきトレーナーや美浦寮の寮生、数人はどの栗原寮の寮生の姿も見えた。

    「またペイバイチャンと一緒にBBQできて嬉しいデース。今日は沢山食べてくださいネ!」

    「は、はい」

    キンペイバイの指導寮生であるタイキシャトルは休日になると彼女をBBQへと誘う事がよくあった。最初こそ喜んで参加していたが、前担当トレーナーと過ごす時間が増えるとそうも行かなくなり、あの時間があって以降は参加する気力もなく腐っていたためこうしてBBQに参加するのは随分久しぶりになる。

    「タイキ先輩ごめんなさい、私全然来れなくて…」

    「ノープロブレム!また一緒に出来るのだから大丈夫デース!今日は沢山焼きますからいっぱい食べてくだサーイ!」

    そういうと両手いっぱいに野菜やら肉やらを刺した串を持ってグリルで豪快に焼き始めるのであった。

  • 9君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/16(木) 21:45:25

    タイキが串を焼き終えるまでなれるちゃんはどうする


    1.どうしてBBQに連れてきたのかじじトレに聞く

    2.久しぶりの参加なので邪魔にならないように座ってじっとしてる

    3.次の串の仕込みをしているヒシアマ姐さんのお手伝い

    dice1d3=3 (3)

  • 10二次元好きの匿名さん24/05/16(木) 21:46:33

    次スレきとるやんけー!

  • 11君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/16(木) 22:40:32

    「あの、私手伝います!」

    串打ち中、足元から聞こえてきた声にヒシアマゾンは下を向く。そこにはキンペイバイの姿があった。どこかから持ってきたのかエプロンまでつけている。

    「こういうのはアタシに任せて、後輩はお行儀良く座ってな」

    「いえ!飛び込み参加ですから全てやってもらうというのは気が引けてしまいます。何かお手伝いさせてください!」

    言っても引かなそうな強い瞳でキンペイバイはヒシアマゾンを見つめる。つい数週間前まで塞ぎ込んで無気力になっていたのと同一人物とは思えない積極さだ。
    結局、ヒシアマゾンが根負けする形となった。

    「それじゃ何本かペットボトルがからになってるから寮の冷蔵庫から新しいのを持ってきておくれ。ついでに飲み物に入れる用の氷の補充も頼んだよ」

    「はい!」

    勢いよく返事をしちゃっかりテーブルの上のペットボトルを片付けてから寮へと向う。そのの背では特徴的な短い尻尾がフリフリと揺れていた。

  • 12二次元好きの匿名さん24/05/17(金) 07:45:46

    こんないい子がゴミみたいな大人の食い物にされかけてたという事実よ

  • 13二次元好きの匿名さん24/05/17(金) 09:07:34

    >>12

    ごめん……美味しいおかずになりそうだと思っていたよ…

  • 14二次元好きの匿名さん24/05/17(金) 18:55:56

    保守

  • 15君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/17(金) 19:13:47

    その後もお手伝いに奔走していたキンペイバイ食べる時間とお手伝いの時間の割合は…


    お手伝い

    dice1d100=37 (37)


    食べる

    dice1d100=90 (90)

  • 16君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/17(金) 19:39:44

    最終的には食べるの8.5割、お手伝い1.5割程度に収まり今は先輩たちから渡される焼き串両手に持って頬張っていた。


    「じゃんじゃん作るからね、遠慮せずに沢山食べるんだよ!」


    「食べるコと寝るコはよく育つといいマース!沢山食べて大きくなりまショー!」


    そう言ってタイキやヒシアマ達が次から次へと作るものだから積み上げられた料理と食べ終わった皿の塔がキンペイバイの姿を隠してしまうほどであった。


    周りの反応

    1.「あんな小さな体でよくあんな入るわね」

    2.「もしかして取った栄養全て乳と尻と太ももに行ってる?」

    3.「すっごい美味しそうに食べるわねあの子」

    dice1d3=3 (3)

  • 17君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/17(金) 20:38:56

    BBQの片付けを全て終える頃には陽も傾き、辺りをオレンジ色に染めていた。少なくなってきた蝉の鳴き声が哀愁を感じさせ、夏の終わりを実感させる。

    「楽しかったかい?」

    後片付けの手伝いまでこなして少し汗をかいたキンペイバイの元にじじトレがやってきた。軍手をし服が濡れているところを見るとグリルの掃除をしていたのだろうか。

    「はい、久しぶりでしたけど楽しかったです。でも、どうして今日はトレーニングをしなかったんですか?」

    話の流れ的に絶対にトレーニングを開始するものと思っていたキンペイバイにとってはトレーニングではなくBBQに参加した理由がよくわからなかったのだ。

    「それはの………実はあんなことを言っておったがトレーニングメニュー何一つ作っておらんかったんじゃよ!」

    あまりにもあんまりすぎるか理由にキンペイバイは漫画のようにひっくり返った。

  • 18二次元好きの匿名さん24/05/17(金) 23:02:52

    もう6スレ目まできたの!?
    3スレ目の途中あたりから用事が立て込んでて見れてなかったから、凄いビックリ。
    ちょっと暗いトコもあるけど、続きが楽しみ(前スレと前々スレも見なきゃ... ...)。

  • 19二次元好きの匿名さん24/05/18(土) 03:39:23

    いいトレーナーに会えてよかったねキンちゃん…!

  • 20二次元好きの匿名さん24/05/18(土) 07:09:27

    ほほえましいシーンはなんぼあってもいいですからね

  • 21二次元好きの匿名さん24/05/18(土) 09:28:36

    じじトレがほんとうにおじいちゃん感あってええな

  • 22二次元好きの匿名さん24/05/18(土) 09:41:36

    ジジトレはキンペイパイちゃんを娘のように見てる説

    を提唱するととたんに重たくなっちまうか…そうか…

  • 23二次元好きの匿名さん24/05/18(土) 12:16:58

    >>22

    ダイス的には奥さんに先立たれて子供もいないっぽいし奥さん共々教え子達が自分たちの子供みたいな感覚だったのだろうか

  • 24君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/18(土) 13:03:17

    その夜、キンペイバイはルドルフと共に湯船に浸かっていた。背の小ささゆえにステップに軽く腰を掛けお尻が地面についておらず、その大きな胸が浮き輪のようにプカプカと浮力を稼いでいる。頭の上に畳まれて乗せられたハンドタオルが日本的な風情を感じさせる。

    「ルドルフ先輩はどうして私にあのトレーナーさんを紹介したんですか?」

    同じく頭にタオルを乗せているルドルフにずっと気になったことを聞いてみる。

    「単純にメイクデビューを勝っている君がフリーでいるのは勿体無いというのが一つ、ちょうどあの人がフリーになっていたからというのが一つ、それと相部屋の後輩に先輩として何かしてあげたかったのが一つ」

    あの人はいいトレーナーだとルドルフは語る。なんでも重賞ウマ娘を何人も輩出しているのにチームなどは持たずトレーナーが決まらず暇そうにしているウマ娘や少し問題のあるウマ娘を担当する事が多いようだ。
    腕はいいが変わり者という中央ではそれなりにいるタイプのトレーナーらしい。

    「それ故に変な噂を流される事もあってね、トレーナーや私達上級生からはよく思われているんだが、変に残った噂を聞いた下級生なんかは怪しがってしまうというのが毎年の通例なんだ」

    それを聞くとなんだか気の毒な気もする。確かに新入生を含めた下級生はキンペイバイのように中央トレーナーにたいしてパブリックイメージから来る憧れを持ちがちである。そのような子達からは50過ぎのパッとしないおじさんというだけでその人間性などは関係なくマイナスイメージを持たれがちなのだ。

  • 25君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/18(土) 13:48:23

    「そういうわけだ、トレーナーとしては私から見ても信頼できる人間だ。しっかり学んできてくれたまえ。…そろそろ上がろうか」

    「はい!」

    勢いよく立ち上がったキンペイバイの豊満な胸が上方向の加速と水との表面張力で大きく揺れ、谷間に溜まっていたけど水が飛沫をあげて飛び散った。
    ──────────────────────

    「んっ……あっ……」

    脱衣場に二つの影があった。一つはさが小さく凹凸の激しいもの、もう一つの影は長身でボリューミーな髪の持ち主である。

    「大丈夫かい?少し手を緩めた方が…」

    「大丈夫…ですから、もっと…んっ…強く……お願いします……」

    「しかし……」

    二つの影は互いの影を交わせ、肌と肌の重なる音が響く。

    「これはいささか無理があるんじゃないか…?」

    「だってぇ!間違って洗っちゃってもうこれしか残ってなかったんです〜!!」

    キンペイバイの胸には明らかにサイズの合っていないブラジャーが巻かれていた。それを無理やりホックをつけようとしているのだから物理的に不可能である。しかしサイズが合っていないとは言っても店売りの最大サイズよりも大きなものである。

    「部屋に戻るまでの少しの間だけなのだかそこまで気にしなくても…」

    「そ、それでも……は、恥ずかしいです!!」

    キンペイバイは必死にブラジャーを締めようとしたが、脱衣所に新たに人が現れた事でついに諦めがついたのか胸を押さえながらルドルフの背に隠れて部屋へと戻っていった。

  • 26二次元好きの匿名さん24/05/18(土) 15:00:58

    >>25

    >ボリューミーな髪

    別な人を連想した<誰がデカいって?

  • 27二次元好きの匿名さん24/05/18(土) 15:06:34

    >>25

    ?「ルドルフの背…!?ガタッ」

  • 28君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/18(土) 19:23:21

    それから数日、じじトレによるキンペイバイのトレーニング指導が始まった


    じじトレのトレーナーとしての方向性

    1.「閃いた!」タイプ

    2.経験と人脈タイプ

    3.優しいスパルタと人徳タイプ

    dice1d3=2 (2)

  • 29二次元好きの匿名さん24/05/18(土) 20:12:52

    顔めちゃくちゃ広いタイプだっけ?

  • 30二次元好きの匿名さん24/05/18(土) 20:20:26

    才能とか実力じゃなくて今までの経験でトレーナーやってる感じだからすごく解釈一致

  • 31二次元好きの匿名さん24/05/18(土) 20:59:53

    通常の練習の上昇値は低いけど、サポカ10枚選べるとかのタイプだったらゲームでも欲しい

  • 32君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/18(土) 21:06:36

    じじトレのトレーニングは彼の長いトレーナー人生からくる経験と勘、そしてその人生で築いてきた人脈によるものが大きい。
    例えば、とある日キンペイバイの走り方の改善のためトレセン学園始まって以来の鬼才の変人アグネスタキオンの元を訪れた。気難しく友好関係を築くのは難しいともっぱら噂の彼女であるが、「この子でデータ取りお願いできる?」となんだか高そうな紅茶の袋(後で聞いたらムレスナティーというものらしい)を渡して依頼を引き受けてもらった事がある。
    「こんなのを渡されなくてもデータ取りなら喜んでするさ」とキンペイバイにVRゴーグルを被せ、仮想空間内でAIによる体の筋肉と動きの関連性とそれを能動的に学ぶためのプログラムを実践させた。満足のいくデータが取れたようでいつでもおいでと近づけられた顔が少しだけコーヒーの香りがしたのを覚えている。

    またある日は追込のコツを掴むために「追込強化週間」と銘打ってタマモクロスやゴールドシップを始めとした追込が得意なウマ娘達によって朝から晩まで追込の基礎基本から勝負所のタイミングに至るまで技術の全てを叩き込むかのような密度の高い練習でスケージュールがパンパンになった。自身のレースや学業もあるだろうにじじトレが頼んだからと皆快く引き受けている様子だった。
    その中で素直で聞き分けも良く言われた事をよく吸収するキンペイバイは先輩方には好感触だったのかすぐに可愛がられるようになった。ただ、アドマイヤベガは尻尾を触りすぎて少し嫌がられてはいたが。

  • 33君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/18(土) 21:53:33

    このトレーニングによって


    1.走り方が少し改善された

    2.追込に少し自信がついた

    3.尻尾のふわふわ度をアドマイヤベガからお墨付きをもらった

    4.ゴルシちゃん号に乗れるようになった

    5.キンペイバイの友好関係が広がった

    6.全部

    dice1d6=1 (1)

  • 34二次元好きの匿名さん24/05/18(土) 22:30:09

    >>33

    ちょっと謎選択肢も見てみたくなる内容じゃねーか

  • 35君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/18(土) 22:35:43

    この少し変なトレーニングはそれでもキンペイバイにとっては大きな力になっているようで、小さな体で無理をするような走り方はより効率的に調整され体への負担が少ないものへと改善されていた。それにより相対的に体力が増加し、より長距離を走れる体に仕上がってきている。

    「ナンダカ、ペイバイチャンとっても嬉しそうデース!」

    すっかり参加するのが恒例になってきたタイキ主導のBBQは段々と冬が近づく季節になっても絶賛開催中であり、休日の美浦寮の敷地は肉の焼けるいい匂いが尽きる事はない。
    今もキンペイバイがタイキの焼いた串を両手持ちして食べていた。

    「はい!自分でもわかるくらい強くなってる気がしてすっごく調子がいいんです!」

    「それはとってもいいですネ!心の快調は体の好調の証デース!」

  • 36君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/18(土) 23:00:29

    キンペイバイとタイキが仲良くBBQを楽しむ後ろで2人のトレーナーがノンアル缶を片手に談笑していた。
    タイキシャトルのトレーナーは随分若く、じじトレから押し付けられたであろう肉が彼の前に山のように積まれており、2、3枚取っては大口を開けて頬張る。その様子を肴にじじトレはノンアルを煽る。

    「タイキちゃん来年どうすんのさ、次はマイルCSでしょ?」

    「フランスの方のレースに挑戦してみようかという話が出てて、今は調整中です」

    タイキシャトルはゲート試験に2度ほど落ちていた事もあり同期に比べて遅めのデビューとなっていた。それでも彼女の秘める実力は超一級品であり、今のところは6戦5勝の完全連帯と脅威的な戦績を維持している。
    そんな彼女は来年以降海外レースへの挑戦を考えているらしい。元々アメリカからの留学生の彼女には海外の方でも活躍できるのではないかという上の判断だそうだ。

    「フランスかぁ…それなら食事の方は任したとくれ、知り合いが店をやってるんだ」

    「その時が来たらお言葉に甘えて」

    じじトレの人脈は広い。そもそも人生の大半をレースに捧げてきたのだからさもありなんといった感じではあるが、レース関係者のみならずレース場の近くやはたまた全く関係なさそうなところにまで友人がいる。特に海外ではそういった人脈は貴重であり、海外のレースに挑戦するような有望なウマ娘を持つトレーナー達は一度はこのトレーナーの世話になるものである。

  • 37二次元好きの匿名さん24/05/19(日) 00:15:22

    基本はスポ根だが、時々スレタイを思い出させるサービスシーンが入るのがいい塩梅
    キンペイバイちゃんが5スレ使って積み重ねてきたお色気要素の重みを感じる

  • 38二次元好きの匿名さん24/05/19(日) 02:19:53

    >>27

    岡部君

  • 39二次元好きの匿名さん24/05/19(日) 11:02:48

    >>33

    >尻尾のふわふわ度

    ウマ娘というよりバニーちゃんな尻尾なんだよね…

  • 40二次元好きの匿名さん24/05/19(日) 11:11:14

    >>39

    しかも根本には性感帯搭載だ!

  • 41君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/19(日) 17:37:41

    BBQも終わりに近づいてきた頃、何かを思い出したかのようにじじトレが膝を叩いた。

    「そうだ、タイキちゃんの都合がつけばでいいんだけどさ、走ってくんないかい?キンペイバイちゃんとさ」

    「えぇ、あなたの頼みであれば、スケジュールは押さえておきますよ」

    「流石、頼もしい限りだよ。いやー君のような優秀な子が増えるとおじさんピンチだなー」

    「ちょっとじじトレさん、自分なんてまだまだですよー」

    大の男2人の談笑と共にタイキシャトルとキンペイバイの併走が決まりつつあった。

  • 42君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/19(日) 20:23:39

    数日後、グラウンドにはキンペイバイとタイキシャトルの姿があった。


    「今日はよろしくお願いします、タイキ先輩!」


    「ワタシの胸を借りるつもりでバッチコーイデース!!」


    マイルCSに向けて調整中のタイキであったが、指導している寮の後輩からの頼みとあれば断る理由はアリマセーン!と快く引き受けてくれ今回の併走が実現した。

    レース距離は2000mの芝。タイキシャトルがいつも走っている距離よりは長いが、体ができかけのキンペイバイとの併走と考えればいいハンデのようなものである。


    「それじゃぁ、位置についてー!」


    タイキトレの合図と共に2人が発バ機(ウマ娘のレースにおいて全頭を一斉にスタートさせるための設備)へと入る。

    現役最強マイラーと噂されるタイキシャトルとの併走という貴重な機会、なんとしてでもものにするため大きく息を吸う。

    ゲートの開放と同時に体に吹き付ける秋風が髪先を撫でた。


    1.タイキのペースに飲まれぐっちゃぐちゃの走りに

    2.自己ベストは出せたがタイキには圧倒的に届かない

    3.終盤になるにつれタイキが背中に僅かな緊張感を感じていた。だが普通に負けた

    dice1d3=3 (3)

  • 43君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/19(日) 21:13:58

    「ばぁ゙……ばぁ゙…………」

    キンペイバイの奮戦虚しく後一歩届かなかった…という事は当然のようになく、何馬身もつけられて普通に負けた。
    汗でシャツがぴたりと張り付き、その奥の布の色まで見える胸を上下させて必死に息を吸い込む体は仰向けでグラウンドの上に投げ出されていて、全力で走ったウマ娘特有の発汗と体温上昇により白い湯気が彼女の体から立ち昇っていた。
    酸素が足りなくてボーッとしていた脳に酸素が行き渡っていくと、徐々に視界は明瞭さを取り戻し肺に入る冷たい空気の感触に「痛い」と吐息が漏れる

    そんなキンペイバイとは対照的にタイキシャトルはかなり余裕のある様子であった。自身の主戦場であるマイルよりも長い距離であるにもかかわらずペース配分にミスが無いそのレース感覚と豊富なスタミナは流石といったところであろうか。

    「やぁやぁタイキちゃん、お疲れ様。どうだったかねうちのお嬢さんは」

    タオルで汗を拭いでいるとじじトレが声をかけてきた。よく見ればキンペイバイのそばには水筒とタオルが置かれていた。

    「まだまだこれからって感じデース。追いかけるのと、追い抜くのにガンバりすぎて息を入れる事を忘れているようにも見えマシタ。あとー……」

    「最後の方、気のセイかもしれまセンガ、背中越しにキンチョーカンを感じマシタ」

  • 44君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/19(日) 21:46:19

    「ほう、緊張感とな…」

    じじトレには一つだけ思い当たるものがあった。それはウマ娘の持つ得意な力の総称「スキル」と呼ばれるものである。どこのオカルト雑誌が初めに使ったのかゲーム的なものから着想を得たのであろうそれは、ウマ娘の持つレースに作用する能力や因果のようなものを大衆向けに分かりやすく文章化、単語化したものであり、早い話が怪獣図鑑に記載される「必殺技」のようなものである。
    ほとんどの場合、それはレース場でのテクニックだったりで異能などでは無いのだが、ごく稀に素質を持った者達がみせる明らかな異変、それは加速であったりレース展開を急激に泥沼にするようなものであり、その得意かつ固有な才能を持つウマ娘は大抵の場合、名バと呼ばれるに相応しい結果を残すのだ。
    それをキンペイバイも持っているかもしれない、若いトレーナーや未熟なトレーナーは当たりを引いたと喜ぶだろう。だがしかし、じじトレは経験からこの事象の答えに辿り着いていた。

    「"まなざし"かのぉ…」

    まなざし──それはウマ娘のレーステクニックの一つ。レース終盤、極限まで研ぎ澄まされた集中と情動を持った後方を走るウマ娘が前方を走るウマ娘を司会に捉える事で、生物の持つ本能がその気配を感じ緊張感として集中力を削ぐ。追込を得意とするウマ娘が使用することの多いテクニックの一つであるが、キンペイバイは無意識かはたまた意識的にこれを使用していたということになる。

  • 45君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/19(日) 22:03:21

    「…確認がしたい。ターちゃん(タイキトレ)!タイキちゃんもっぺん走ってもらってもいいかい?」


    「あと2走くらいなら、タイキがOK出せばいいですよ」


    「ワタシはいつでも大歓迎デース!でも、キンペイバイチャンがオツカレではないのデスカ?」


    そうでもないさとじじトレが目線を向けた先には、息がだいぶ整ってはいるものの、まだ回復し切っておらず足がガクガクと震えているキンペイバイの姿があった。


    「タイキ先輩…もう一回、お願いしたいです!」



    1.2回走ってまたボコボコにされたが根性で必死に食らいつこうとする

    2.息を入れるタイミングを意識しながら走ったが1回目はタイミングが分からなくなり爆発、2回目は多少良くなったが余計に酸欠に

    3.2回目3回目と回数を重ねるごとに差は広がりボロ負け

    dice1d3=2 (2)

  • 46二次元好きの匿名さん24/05/20(月) 05:11:23

    慣れてないからねしゃーない

  • 47二次元好きの匿名さん24/05/20(月) 13:15:06

    可愛い顔とスケベな体してるのにシナリオがスポ根物すぎるっピ

  • 48君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/20(月) 20:00:08

    その後、2回の併走を行い3回タイキと走ったところでついにキンペイバイが力尽きてしまい、その日はタイキの背におぶられての帰寮となった。

    翌朝、夜明け前の府中の街をキンペイバイが走っていた。入学から半年近くが経ち、毎朝の走り込みのコースも定番のものとなり、すっかりこの街の景色の一部となっていた。今日の朝の走り込みでは昨日の反省を活かして息の入れ方を意識してみる事にした。とはいってもまだ指導を受ける前であり、どうするのが正しいのかもわからないため試行錯誤しつつ自分が1番辛くて1番楽になれるタイミングを探しながらやってみる事にした。
    とはいえ新しい事はすぐには慣れないものであり、息を入れるタイミングを意識すれば意識するほどそれが正解なのか分からず焦ったように空気を求めて呼吸をして余計に息が苦しくなるばかりであった。
    この赤信号が青に変わったらまた頑張ろう、そう自分に喝を入れた時、キンペイバイの横に見慣れた軽トラックが現れた。

    「おはようキンペイバイちゃん、今日も朝練かい?」

    軽トラの老夫婦とは入学当初から朝練の度に出会っており、今では朝の挨拶が一つの日課になっていた。軽トラの後ろには荷物がビニールシートで覆われて固定されている。

    「はい!お婆ちゃんたちは今日も仕入れの帰りですか?」

    「そうなのよ、今日はいいクロダイが入ったの!もしよかったらまた寄ってちょうだい」

    老夫婦はトレセン近くで定食屋を営んでおり、毎朝の挨拶で仲良くなっていたありキンペイバイ自身何度もご飯を食べに行った事がある。

    「はい、ぜひ!」

    と言いつつも頭の中では今月のお小遣いの残りから食べられるメニューを吟味しなくてはという苦学生にありがちな悩みがポワポワと浮かんでいる。
    やがて信号が青へと変わり老夫婦はお店へ、キンペイバイは寮へと再び走り出した。

  • 49二次元好きの匿名さん24/05/20(月) 20:03:19

    >>27

    ステイ、岡部君ステイ。

  • 50二次元好きの匿名さん24/05/20(月) 20:12:43

    いい子なんだよなぁ
    体だけ早熟なのに心がまだ幼いからブルボン的な危うさを感じる

  • 51君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/20(月) 20:42:24

    トレセンの授業は基本的に対応する公立学校のカリキュラムとそう変わりはない。やればやるだけ知識は増えるし、怠惰であればあるほど授業の進行から振り落とされてしまう。通常の座学に当てられるのは公立学校とは違い午前中のみのため圧縮した授業になると思いきやそんな事もなく、総評としては進学校未満という評価が正しいだろうか。

    そもそもレースや練習の疲れで微睡に落ちる者も少なくなく、ぼーっとしている生徒も多いためキンペイバイがそうであっても特に注意はされないのだ。それなりに勉強ができる側のキンペイバイは1〜2時限程度の授業を聞き逃した程度で成績が壊滅的になる事はない。そのためいつ使うのか皆目見当もつかない漢文の授業を聞き流しながら物思いに耽っていた。

    レース中の息の入れるタイミング。今日辺りにじじトレから指導があるだろうがその前に感覚だけでも掴んでおきたかった。知らない事を何も知らない状態で知るよりも、ある程度知識を入れてからの方が理解が深まるとは締め切り4日前の母の言葉である。
    しかし、それを知ろうにも教本通りではキンペイバイには合っていなかったため、参考にできる人のアドバイスが欲しかったが1年生のキンペイバイには頼る伝手は極々限られてしまう。
    いるだろうか、キンペイバイと背が近く、息の入れるタイミングつまりレース感に優れ、追込で走れ、尚且つキンペイバイと親しい・仲良くしてくれそうなそんな都合のいい存在など。いるわけないなとため息をつく。誰か一つが当てはまる知り合いは何人か検討はつくが、それも背が違いすぎたりそこまで親しくなかったりと問題がある。
    せめて隣の友達のように気軽に話せる存在であればと、隣の席で真面目に授業を聞いているマヤノの姿を見る。そういえばマヤノは追込で走れて指導教官達から息の入れ方が上手いと言われていたなと4月のことを思い出す。

    「あっ…!」

    その瞬間、キンペイバイに電流が走った。

  • 52君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/20(月) 21:52:45

    昼食後2人はグラウンドに向かった。
    授業が終わるのと同時にキンペイバイがマヤノに頼み込んでレース中の息の入れ方について教えてもらえる事になった。

    「あんなに必死に頼まなくてもペイバイちゃんの頼みならマヤ断らないよ」

    「ごめんね、なんか熱が入っちゃって」

    恥ずかしそうに頭を掻く。キンペイバイにとってマヤノは友達以上に特別な存在である。親元を離れて初めてな一人暮らし、初めての土地、全員が知らない学校、そんな場所で初めてできた友達であること、それに何よりも前任トレーナーとの別離の決意を固めさせてくれたのもマヤノであった。あの後、前任トレーナーは数々の余罪の証拠が発見された事で禁固刑を言い渡されたらしく、もしあのままあのトレーナーと契約を続けていれば自分が悲惨な目にあっていただけではなく他のウマ娘も毒牙にかけられていたかもしれないと思うと、あの時キンペイバイに勇気を与え、守るように立ってくれたマヤノには感謝しても仕切れないのだ。

  • 53君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/20(月) 22:34:18

    「それじゃ、走りながらおさらいするねー!」

    レースにおける「ひと息入れる」とは様々な意味を持つ。
    例えばレース展開に飲まれ冷静さを欠いてしまいそうになった時。距離が長くなるほど集中力を働かせる時間が増え視野狭窄になりやすく、一旦落ち着くというのはとても大事なファクターの一つである。
    例えば後半に向けてリズムを整えるため。レースには必ず仕掛け時というのが存在している。追込バや差しウマはこの仕掛け時に最大のパフォーマンスを発揮するために息を入れて体力を回復する。
    キンペイバイに足りていないのは後者に当たる。

    さて、マヤノトップガンとの併走は間も無く最終コーナー前の直線へと入る。

    『一息入れるって一息だけでやる必要はないんだよ。むしろ直線全部を使って少しずつやらないと逆に疲れちゃうから』

    マヤノのアドバイスの通り直線に入ったと同時に少しずつ取り入れる空気を意識的に増やし、呼吸の回数を減らして身体中に酸素を行き渡らせる。徐々にではあるが不鮮明だった体の感覚や思考がクリアになっていく。
    今までキンペイバイは息を入れなければと焦るあまり大袈裟に息を吸い込んだり、タイミングを失いコーナーを曲がる食いしばらなければいけないタイミングで息を吸って苦しくなり失速していたが、その苦しさは今は無かった。
    これならばと最終コーナーを曲がり切る直前に速度のギアを一段階上げる。生来の関節の柔らかさと高速のピッチからなるキンペイバイだからこそできるコーナーに強いストライド走法によりぐんぐんと加速していく。
    その隣では負けじとマヤノが末脚を爆発させほぼ横一文字に並び立つ。
    果たして、ゴール板を先に切ったのはわずかな差ではあるがマヤノトップガンであった。

  • 54二次元好きの匿名さん24/05/20(月) 22:54:29

    成長してんなー
    半年たってマヤといい勝負できるくらいまでなったんか

  • 55二次元好きの匿名さん24/05/21(火) 00:51:04

    いい感じの成長物語って感じで好き。

  • 56二次元好きの匿名さん24/05/21(火) 10:59:12

    クズトレがちゃんと刑務所にぶち込まれてるようで何より

  • 57二次元好きの匿名さん24/05/21(火) 16:48:07

    こういうクズって出所後とかに仕返しに来たりしないのかな…

  • 58君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/21(火) 20:18:42

    「好転一息というやつじゃな」

    マヤノとの併走のことについて話すとじじトレがそんな事を言ってきた。

    「やっている事、その理論自体は極めてシンプルじゃがそれを適切に行える才能や技術を持っているものは少ない。息の入れ方、体力の回復のさせ方一つでレースの大きな武器になる。今の若い子はスキルと呼ぶんじゃったかの、年寄りにはちとハイカラすぎるわい」

    確かにマヤノに教えてもらった直線で適切に息を入れて体力を回復させるやり方は理論自体はシンプルだ。だが、それを刻一刻と状況が変化し考えることの多いレース中に適切に行うというのは想像以上に難しい事である。マヤノはそれを持ち前の才能だけでやってのけ、しかもそれを無意識や癖ではなく理解して行なっているのだから彼女がどれだけレースの天才なのかが分かる。その高みへ自分も行けるだろうか。

    「私にもできるでしょうか…」

    「それはお嬢さんの努力次第じゃな」

    そう言うとじじトレは胸ポケットからボールペンを取り出し、右手で器用に回し始めてみせた。

    「技術や理論というのは必ずやり方があるものじゃ。要は再現性があるって事じゃな。じゃから極論を言えば努力すれば誰でも同じ事ができるようになる。この努力の要求量が個人個人で違うから万人ができるとはならないんじゃが、なぁに心配ない、頑張り屋のお嬢さんにならきっと出来るようになる」

  • 59二次元好きの匿名さん24/05/21(火) 20:30:47

    このレスは削除されています

  • 60君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/21(火) 20:31:42

    なれるちゃんが「好転一息(直線回復)」を習得できる確率


    dice1d100=5 (5)


    (50を超えると直線回復の域まで行けるかも、90まで行けば好転一息の域まで行けるかも)

    (ジュニア級の現在の確率につき成長で習得確率上昇可能性あり)

  • 61君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/21(火) 21:29:07

    「ひーっ……ひーっ……ふっ…ぁぁぁ……」

    好転一息の域に足を踏み入れようと何度も走り続けた結果がこれである。回数を重ねるごとに息の上がるタイミングは早くなっていき、それに伴い足の管理も体力調整もしっちゃかめっちゃかになりこうして情けなくターフに倒れ伏すキンペイバイを見ればこの練習がおおよそ彼女のためになっているとは思えないだろう。

    「うーむ、まだちと早かったかのぉ…お嬢さん、大丈夫かいな?」

    ヘロヘロと親指を突き立てるキンペイバイであったがどこをどう切り取っても到底大丈夫とはいえない醜態である。
    マヤノというペースメーカー件、レース中のお手本がいた状態ではそれらしくできていたが一人でとなると途端にガタガタになってしまう。

    「なぁーに、まだ時間はたっぷりある。焦らずゆっくりやればいい」

    「ふぁい……」

    力なく返した挨拶は午後5時のチャイムに掻き消された。

  • 62二次元好きの匿名さん24/05/21(火) 21:37:46

    キンちゃんはクリークに習って円弧のマエストロの方が相性良さそう
    体幹の強さならコーナリングにも活きてくるし…ハッ、この円弧のマエストロ持ちのサポカは…?

  • 63君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/21(火) 22:24:02

    練習も終わり、更衣室備え付けのシャワーで汗を流したキンペイバイはそのままの足で学園から駅の方向に少し歩いたところにある路地へと入っていった。一方通行の車両一台分の路地にあるその店はこの時代には珍しくやたら目立つ電光掲示板に大きなウィンドウにデカデカと陳列された食品サンプルが目を引くノスタルジーに溢れた外観をしている。店先の鉢植えに植えられた花が余計に昭和・平成初期の活気にあふれた定食屋というイメージを見るものに抱かせる。

    「まぁキンペイバイいらっしゃい、よく来てくれたね」

    店に入ると見慣れた老婆が出迎えてくれた。そう、ここはあの軽トラックの老夫婦の営む定食屋なのだ。
    夕ご飯時ということもあり、キンペイバイの他にもたくさんのお客さんがいた。

    「えっと…今日はクロダイがオススメなんですよね?」

    「そうだよ、今日のオススメは日替わり定食Bのクロダイの煮付け、キンペイバイちゃんにはおまけして800円でどうだい?」

    「うーん…じゃぁ今日はそれで!あとご飯大盛りで!」

    「はい、B定食だね。あんた!Bの大盛りひとつ!」

    厨房の奥で店主の爺が、老婆から注文を受けキビキビと動き始める。何十年もここでお店を営んでいる店主の動きには一切の無駄がなく、あっという間にキンペイバイの前に美味しそうな煮付けが置かれた。

  • 64二次元好きの匿名さん24/05/21(火) 22:50:54

    まじでクズトレがお縄になって以降は順当に成長しててほのぼのする
    でもふとした拍子に「でもこの子、やべぇ悩殺ボディなんだよな」って思い出して狂気を保っている

  • 65君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/21(火) 22:57:32

    クロダイの煮付けに鰹節のかかった冷奴、柴漬けとたくあんに味噌汁と大盛りご飯、なんともご機嫌な夕食である。
    パクパクと食べ進めているとお店の扉が開くカラカラという車輪の音が聞こえた。なんとなく気になって入ってきた人間をチラリと見る。誰もが無意識でそうするものであり、キンペイバイもその例には漏れない。

    「ただいまー手伝いにき……た……」

    たった今店に入ってきた少年をキンペイバイはよく知っている。忘れるはずもない、それほど脳裏に鮮明に焼き付いているのだ。
    自分と同じようにポカンと口を開けた少年と見つめあっていた時間はほんの数秒であったが、キンペイバイにとっては永遠とも思える時間だった。

    「キーちゃん……?」

    「──くん……?」

    開いた口から漏れ出るように言葉が溢れた。それは"数年前に故郷を離れた幼馴染の少年"も同じであった。

  • 66二次元好きの匿名さん24/05/22(水) 00:54:26

    あまずっぺぇ話になってきたじゃないか…!!!

  • 67二次元好きの匿名さん24/05/22(水) 12:17:04

    こういうのでいいんだよこういうので

  • 68二次元好きの匿名さん24/05/22(水) 19:45:02

    キンちゃんが煮つけの頭を丸かじりしてる場面に出くわさなくてよかった…

  • 69二次元好きの匿名さん24/05/22(水) 19:47:31

    このレスは削除されています

  • 70君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/22(水) 19:48:17

    「ひ、久しぶり……」

    「うん、ほんと、久しぶりだね…」

    活気と陽気な社会人の愚痴と世間話に溢れる夕暮れ時、定食屋の席の隅に2人はいた。 
    どんな顔をして話せばいいのか、何を話せばいいのか、どんな態度を取ればいいのか、2人の間には数年の時に空いた微妙な距離感があった。12歳の少年少女にとって数年の離別というのはとても大きい。たった3年であっても人生の1/4は会っていないと考えるとその大きさが分かるだろう。
    それに加えて、中学生というのは精神の成熟により自他の境界線の線引きが強くなり、他人との付き合い方が分からなくなってしまう時期でもある。それが男女となれば尚更で、つまるところ今の2人は話したい事があってもそれを上手く言葉にできない状態にあるのだ。
    そんな状態を打破しようと勇気を持って一歩踏み出したのは少年の方であった。

    「その制服、トレセンのやつだよな?入ったんだトレセン」

    「うん、今年の4月から寮から学校行ってる」

    「俺もこの近くの学校通ってる」

    そこで会話が途切れた。話そうと思えば付随する事は沢山あるというのに何処かよそよそしい空気感が久しぶりの再会に水をさしていた。

  • 71君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/22(水) 20:00:47

    その後もぽつりぽつりと会話は始まってはすぐに終わっていった。東京に来て建物がみんな高くて驚いたこと、スーパーの野菜が高いこと、今の趣味、休日はどうしているか、故郷にいた頃ならわざわざ聞かなくても分かった事を知らない顔をして聞かなくてはいけない現状が2人にどうしようもなく時間と距離による壁を感じさせていた。
    そもそもあの頃より随分と大きくなった2人である。キンペイバイが知っている少年の姿からいくらかあどけなさが抜けた今の少年はキンペイバイよりも背が高く、昔とは雰囲気が少し違っていた。

    「キーちゃんってもうレースは走ってるの?」

    時刻が8時を回りそろそろ帰ろうかという時、少年が聞いてきた。

    「うん、実はねもう1回勝ってるんだけど……」

    「えっ!?凄っ!!」

    言葉尻を小さくしながら恥ずかしそうに答えるキンペイバイに少年は目をキラキラさせて驚いていた。

    「普通は1回でも勝てたらすっごい才能なんだってネットの記事で言ってたんだよ!やっぱキーちゃんはすっごいな!」

    そう言って驚きと喜びが半分半分くらいで笑う少年の姿はキンペイバイがよく知っている少年の姿そのものであった。

  • 72君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/22(水) 20:25:28

    やがて帰る時間が訪れキンペイバイは店を後にして行った。帰り際「またね」と少年が言ってくれた事が懐かしさと嬉しさをキンペイバイに感じさせ、少しスキップでもしたいような気持ちで互いの姿が見えなくなるまで手を振り合った。

    さて、少年は店へと戻ると客の食べ終わった皿を集めては厨房のシンクに溜まった水へとつけ置いていく。元々祖父母の手伝いをするためにやって来たのだ、少し遅くはなってしまったがようやく本題開始である。
    とはいえ先ほどのことがあっては集中というのも難しく、頭の中は数年ぶりに再会した幼馴染の事でいっぱいであった。久しぶりの彼女はどこか大人になったように見えた。その昔、いつも少年の背に隠れていた泣き虫で気弱なキンペイバイの姿はどこにもなく、そこにいたのは親元を離れこの街でしっかりと両の脚を踏み締めて生きる、自分なんかとは比べ物にならない強いウマ娘であった。

    「ってか、なんでキーちゃんと知り合いだった言ってくれなかったんだよ!」

    「いやー、まさか同じ人間とは思わんくて、同姓同名の別人かと思っちゃったのよ」

    孫に文句を言われた女将は冗談ぽく笑ってふくれる孫を華麗にスルーしてみせる。少年も文句を言ってもどうにもなるものではなくプンスカとしながらスポンジ片手に食器を洗っている。

    「にしてもキンペイバイちゃん、ほんといい子だわ」

    「……そんな事、俺が1番よくわかってるから」

    スポンジから泡が溢れ出た。

  • 73君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/22(水) 21:48:45

    「え〜!!ペイバイちゃん幼馴染いるの!?」

    「ちょ、声おっきいよマヤノちゃん…」

    翌日、マヤノに話をすると案の定強烈に食いついてきた。元々こう言った話には大変に興味を示す子ではあるが、先ほどから質問の圧が凄まじかった。
    やれどんな子だの、どんな出会い方をしたのだの、どんなところが好きなのかだの、こちらがまともに答える隙すら与えてくれない。

    「そもそも好きとかじゃなくて!多分マヤノちゃんが思ってるような関係じゃ無いよ?」

    「えっ!?幼馴染なのに!?」

    「幼馴染だから」

    思い返せばキンペイバイと少年は極々ありふれた関係だったように思える。

    幼少期のキンパイバイは今以上に背が小さく、足も遅く今とは違い物覚えもそこまで良くなかったため周囲からは格下に見られる、いわゆるいじめられっ子であった。とはいっても田舎の小学生のするイジメなどたかが知れており、おちょくるような物言いや、何か失敗するたびに笑われるとかであり直接害をなすような事は無かった。
    キンペイバイ本人としても生来の性格故に嫌と言うことができず、我慢した方が楽だとどんなに惨めに思っても癇癪一つ起こさずじっと耐えていた。
    そんな時、いつも助けてくれたのが少年であった。悪口を言われたり笑われた時は気にしなくていいと励ましてくれた。一緒に帰る友達がいない時は手を繋いで一緒に帰ってくれた。そんな事が3年生の頃まで続いた。
    歳を重ねるごとにキンペイバイの足は速くなり、勉強も優秀と言われる側に立つようになった。そうなれば今までイジメていた人間達は当然気に食わず、余計にイジメに火をつける事となる。どんな子供であれど歳が上がるほどに悪知恵というものはつくもので、物を投げられる事さえあった。いじめっ子がクラス内で大きな派閥を持ち余計に増長し徐々にイジメが過激になっていってもキンペイバイが声を上げる事はなく、それゆえ先生が気づくこともなかった。

  • 74君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/22(水) 21:49:07

    そんな時でも少年はキンペイバイの味方であった。生来の正義感故か悪事には真正面から立ち向かう彼はその身を持ってキンペイバイを守っていた。靴が隠されれば擦り傷だらけになりながら探し出し、物を投げられれば全力で投げ返す。
    彼が引っ越す直前などイジメグループとたった1人で喧嘩をし、たんこぶだらけのまま故郷を離れていく姿をよく覚えている。
    少年が引っ越してからイジメはパタリと止み、それ以降イジメグループが干渉してくる事は無かった。後日、誰かから聞いた事だが、少年がイジメグループと喧嘩してキンペイバイイジメをやめる事を彼らに約束させたらしい。

    「だからね、私にとってはヒーローみたいなカッコいい人なの」

    その時、マヤノトップガンはこう思っていた。
    『いやそれって絶対その子キンペイバイちゃんが好きなやつじゃん』
    思っていてなお口にする事は無かった。

  • 75君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/22(水) 22:21:55

    はてさてそんなこんなで時は過ぎ季節は……


    1.クリスマス

    2.年末

    3.大晦日


    dice1d3=1 (1)

  • 76二次元好きの匿名さん24/05/23(木) 00:16:24

    幼なじみと出会うのか
    それともトレーナーと仲良くなるのか
    クリスマスイベントはなんぼあってもいいですからね

  • 77君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/23(木) 09:32:28

    キンペイバイはというと…


    1.寮の居残り組とクリスマス会

    2.イルミネーションに包まれた街を散策

    3.年末年始は実家に帰省


    dice1d3=3 (3)

  • 78二次元好きの匿名さん24/05/23(木) 16:15:23

    続き楽しみです

  • 79君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/23(木) 19:41:36

    キンペイバイは年末年始を実家で過ごす事とした。学生の身分ということもあり学校が終わったのがクリスマスの2日前、鳥取に帰ってきたのはその翌日、つい昨日のことである。
    学校に残って年末年始もトレーニングに励む熱心な生徒やトレーナーもいるが、じじトレは年末年始はあまり働きたく無いタイプのようで冬休み明けに元気で会おうねと少し早いお年玉をキンペイバイに渡して彼女を見送った。

    「今年は雪が少なくてほんと助かるわー」

    「そうだねー」

    鳥取にも雪は降る。そんな話をすると東京のウマ娘達はとても驚く。パブリックイメージが青空と砂丘の我が故郷は雪が降るというイメージがほとんどないらしい。実際は中国地方を横に走る山々に冷たい冬の風がぶつかる事でかなりの大雪になる。このご時世で普通に暮らしている分で雪がありがたいなんて事は万に一つもなく、ただ生活のための無駄な重労働を強いられるより、今年のように雪に悩まなくて済む暖冬の方が何億倍も有難いのだ。

  • 80君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/23(木) 19:50:47

    とはいえ暖冬と言っても冬は寒いことには変わりなく、炬燵やストーブといった暖房器具は欠かせない。

    特に炬燵の持つ魔力というのは尋常ではなく、今こうしてキンペイバイもその魔の手にかかり立派なこたつむりとなっていた。


    「そろそろ買い物いかないとねー」


    「そうだねー」


    間延びした親子の会話。買い物に出かけるというのに母親も娘も炬燵から出る気配を全く示していない。そもそもこの会話が最初ではなくかれこれ30分間この会話を定期的に繰り返しては互いにコタツはより侵食されている。


    結局、コタツから抜け出すまでそれから

    dice1d120=19 (19) 分かかった

  • 81二次元好きの匿名さん24/05/23(木) 20:33:45

    鳥取って雪ふるんだ…

    こたつ抜け出すのはえぇ

  • 82君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/23(木) 20:53:08

    「キーちゃん今日は何食べたい?」

    「うーん…ケーキは買うんだよね?だったら…お肉!」

    母娘は揃って近所のイオンを訪れていた。中途半端な街にとって大型のイオンというのは生活のほぼ全てと言っても過言ではない。食材、衣服、家具、娯楽、イオンで手に入らないものを探す方が難しいほどである。
    それ故、東京へ出たキンペイバイは東京のイオンの小ささに驚き、そこかしこに生えているイオンと同じ店数のビル群に驚愕したのである。

    食材を買い込んだ後、昔馴染みのこぢんまりとしたケーキ屋に立ち寄り予約していたケーキを受け取る。幼い頃から誕生日ケーキなどを頼んでいるキンペイバイの家ではイベントごとのお祝いの定番であった。
    今年はキンペイバイが東京へと行ったということでケーキ屋のお婆ちゃんがサービスとしてクッキーを数枚つけてくれた。

  • 83君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/23(木) 21:41:03

    キンペイバイの家は決して裕福ではない。キンペイバイが父親の顔すら知らないという事は当然父方の祖父母のことも知らないという事であり、すでに母方の祖父母が亡くなっており、母の稼ぎに依存している現状では致し方ないものがある。
    それでもクリスマスや誕生日など祝い事には食卓にケーキが並ぶし、少しだけお高い赤札のお肉をステーキにしてその上にガーリックチップまで乗せられる。安っぽいボソボソと硬いバゲットとインスタントのコーンスープ、出来合いのサラダを合わせれば我が家流のフルコースの完成だ。
    それを炬燵の対岸同士で美味しいねと言い合いながら食べる。途中で秘蔵の蟹缶を開けてみたり、クリスマス特集の音楽番組を見たり、そんなこんなをしていると肉の代わりにケーキが置かれる。
    いわゆるホールケーキタイプのクリスマスケーキでは2人で食べるには大きすぎるため、カットされた普通のより少し高いショートケーキが彼女らにとってのクリスマスケーキである。少しレアチーズケーキ感のある生クリームと甘酸っぱいイチゴがとても相性が良く、油でギトギトのステーキを食べた後でも不思議とフォークが止まる事なく全て胃袋に収まってしまった。

  • 84二次元好きの匿名さん24/05/23(木) 21:49:50

    田舎の解像度と母子家庭の解像度が高ぇ
    お母さん急に直木賞でも取って裕福になってくれんか?

  • 85君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/23(木) 21:59:41

    クリスマスといえばサンタからのプレゼントであるが当然13歳になったばかりのキンペイバイもまだまだサンタからプレゼントを貰っていい年頃である。
    しかし、彼女の横に置かれた梱包された箱に手をつけた様子は無かった。もう今日の朝からあったというのにである。それには理由があった。

    「お母さん、開けるね!」

    毎年クリスマスにプレゼントを枕元、あるいはツリーの下に置いて行ってくれるサンタが親だという事に子供が気づくのはいつ頃だろうか。過去に実施されたアンケートによれば6〜8歳ごろが1番多いそうだ。つまり、13歳のキンペイバイはとっくにサンタの正体に気づいているはずである。ならば何故、夕食時までプレゼントを開けず今になって開けるのか。
    その答えは実にシンプルで、プレゼントを開けて喜ぶ自分の姿を見て母が喜んでくれる事を知っているからである。クリスマスプレゼントというのは貰った子供は勿論嬉しいが、それ以上に子供がはしゃいで喜んでくれるところを見る親も嬉しいものなのだ。普段仕事続きで碌に娯楽を楽しむ事も何の後腐れもなく喜ぶ事も少ない母を少しでも喜ばせたいと思ってキンペイバイが毎年やっている恒例行事のようなものである。
    一歩間違えれば普段構ってもらえない子供が親に見て欲しくてとった行動のように見えてしまうが、少なくともそこに込められたキンペイバイの母への善意は本物であり、この団欒の様子を見てこの家族を不幸せだとなじる事は誰にもできないだろう。

  • 86二次元好きの匿名さん24/05/24(金) 00:17:25

    >>81

    山陰、特に鳥取県は県内全域が豪雪地帯だぞ

    豪雪地帯 - Wikipediaja.wikipedia.org
  • 87君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/24(金) 09:28:46

    なれるちゃん宛のクリスマスプレゼント


    1.結構お高いマフラーと手袋

    2.ダッフルコート

    3.化粧品

    4.銀細工のネックレス

    5.最新のミシン


    dice1d5=1 (1)

  • 88二次元好きの匿名さん24/05/24(金) 12:07:48

    涙出るくらいいい子すぎる。クズ男引っ掛けちゃう以外は欠点がなさすぎる

  • 89君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/24(金) 16:50:09

    クリスマスが終われば大掃除や新年の準備に時間を費やすだけであっという間に大晦日がやってくる。とは言ってもやること自体は普段とあまり変わらず、炬燵に入ってダラダラしたり、夜には乾麺の蕎麦を茹でて年越し蕎麦にして食べたりとかその程度である。

    キンペイバイの家では年越し前に見るのは紅白歌合戦ではなく、民放のバラエティ特番である。別に紅白を見ない特別な理由があるわけではないが、紅白を見たいと思う理由も特別ないというだけの理由ではあるが。


    元旦の朝も特別な朝食が出るといったことはなく、いつも通りの菓子パンにインスタントのスープ。朝食を取り終え掃除と化粧を済ませれば暖かくして初詣へと向かう。歩いて5分ほどのところにある小高い丘のこぢんまりとした神社には近所の老人がちらほらと参拝に来ていて、明けましておめでとうございますと形式的な挨拶を返しては少しな会話に足が止まる。

    結局、お参りしたのは家を出てから20分も経ってからで、帰りに何かあったかい物でもコンビニで買おうかと俗的な会話をしながらお願い事をした。


    初詣で何を祈ったか

    1.今年のレースで怪我のないこと

    2.勝てますように勝てますように勝てますように

    3.もっとお母さんみたいに身長が欲しいです

    dice1d3=1 (1)

  • 90二次元好きの匿名さん24/05/24(金) 17:15:34

    >>88

    あえて言おう

    だがそれがいい

  • 91君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/24(金) 19:19:18

    夕方になれば近所のスーパーで惣菜やら食材やらを買い込む。調理のめんどくさい料理は大抵の場合レトルトや出来合いのものがあるのが現代のいいところである。
    調理は簡単なもので済ませる。キンペイバイも料理ができるので仕事を分担すれば2倍の速さで調理が終わる。本当はお重が欲しいところだがないものねだりをしても仕方ないので平皿にお弁当用のアルミホイルカップで区分けしてそれっぽくでっちあげる。
    そうして出来上がったおせちモドキを母と分け合って食べる。普通のおせちとは違い生ハムとチーズの和物なんかのオリジナルがあるのがキンペイバイ家流である。

    「キーちゃん、今年から走り始めるんだよね?」

    出来合いの黒豆を箸で器用に口に放り込みながら母が聞いてきた。

    「うん。クラシック級から…お母さん、私…」

    「出来る!キーちゃんはママの自慢の娘なんだから!きっと!絶対!どんなレースでも勝てる!応援、絶対行くからね!」

    頑張ると言い終わる前に飛んできたのは母からの激励の言葉。昔からキンペイバイのこととなると張り切り過ぎてしまう母親であるが、ことレースとなると元GⅢウマ娘としての血が騒ぐのかテンションが妙に高くなる。
    しかし、たった1人の母からの激励である。これから孤独の戦いへ身を投じていくキンペイバイにとっては有り難い物であった。

  • 92君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/24(金) 19:29:57

    正月の3が日が終わると全国の実家に散らばっていた生徒達がトレセンに続々と戻ってくる。勿論キンペイバイもその1人であり、両手に母からもたされたお土産を持ち、雪のちらつく府中の街を1人歩く。

    もう間も無く、キンペイバイにとって人生2度目のレースがやってくる。期待と不安を心に募らせ少女は灰色の空の下を行く。




    <ジュニア級:終>





    <クラシック級:開幕>

  • 93君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/24(金) 19:59:28

    トリプルティアラ──それは名誉ある3つの宝冠を頂く世代最強の女王に与えられる称号。
    桜花賞・オークス・秋華賞、これらは元々、貴族や王族が自らの嫁に相応しい優秀なウマ娘を見定めるための品評会の性質を持ったレースがその歴史の源流にあり、今では最も強く気高いウマ娘を決めるレースとしてその形を変えている。
    これとは別にクラシック三冠と呼ばれるものもあり、そちらは王を決めるレースとされ、トリプルティアラとは違い権力を持ったウマ娘達の派閥争いをレースで決着させた事を源流としている物である。

    キンペイバイの参加するのは前者のトリプルティアラ路線である。元々、彼女の憧れであるエアグルーヴと同様にこの道に進む事を志しており、こうなることは必然である。
    そのため、クラシック三冠路線を目指すと言うマヤノとはシニア級を迎えるまで走るのはお預けになってしまった。

    現在は桜花賞に出場する権利を獲得するためのトライアルレース勝利のための練習中であり、道はまだまだ遠い。
    そもそもトライアルレースに出る前に1回くらいはOP戦に出ないと去年ほとんど走っていないキンペイバイはファン数が足りるかも怪しいのだ、道のりは決して楽とは言えないだろう。

  • 94君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/24(金) 20:09:28

    という事でOP戦に出る事にしたなれるちゃん

    トライアルレース前の1〜2月の3歳以下限定OP戦に出走するようです


    出走候補

    >>95>>98

  • 95二次元好きの匿名さん24/05/24(金) 20:25:23

    紅梅ステークス

  • 96二次元好きの匿名さん24/05/24(金) 21:01:04

    話逸れるけど「嬢バクラブ」って言い回し好き。最初に考えた人天才だと思う
    安価はすみれステークスで

  • 97君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/24(金) 21:28:42

    (1時間以上が経過したので締め切らせていただきます)


    キンペイバイの第2走は

    1.紅梅ステークス

    2.すみれステークス

    dice1d2=2 (2)

    に決まった

  • 98君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/24(金) 21:38:37

    「すみれステークス…ですか?」

    正月休みが明けて数日後、じじトレがキンペイバイの次走について言い渡した。

    「そうじゃ、距離もお嬢さんの適性から見ると申し分ない。なぁに心配せずのびのびと走ればいいんじゃよ」

    そうは言ってもメイクデビュー以降全く公式戦を走っておらず、もっぱら先輩やマヤノとの併走ばかりだったため、自分のレベルが今どこなのかも分からず心配するなというほうが酷に感じた。

    「しかしまぁ、不安なお嬢さんの気持ちもよう分かる。というわけで助っ人を呼んでおいた。おーい入ってくれぃ!」

    現れた助っ人にキンペイバイは驚愕した。

    「ル…ルドルフ先輩!?」

    こうしてすみれステークスに向けてルドルフとの練習が始まった。

  • 99君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/24(金) 21:56:03

    そんなこんなで時は過ぎ、すみれステークス当日。
    阪神レース場の控え室ではキンペイバイが緊張で小刻みに震えていた。昨日の夜は宿泊先のホテルで眠れるかどうか不安になりながらホットミルクで無理矢理夢の世界に旅立ったおかげでなんとか十分な睡眠は確保できたがそれでも今になっても緊張が解けることはなかった。
    ある程度の緊張はむしろ良いレースのためにも必要と授業で習っていたが、そんな物ただの気休めでしかないと頭を抱える。メイクデビューの時はついにレースに出られるんだとのぼせ上がっていた事もありこの緊張を味わうのは今回が初めてなのだ。
    携帯には少年と母から応援のメッセージが送られており、それを見て少しでも緊張を和らげようとするが、脂汗がじとりと頬を伝うだけであった。

    時間も迫っている。そろそろ覚悟を決める時間だ。
    運営から支給されたゼッケンをつける。番号は9、外側だがキンペイバイの走り方的にはさほど問題ではない。
    背の小ささ故に少しゼッケンが大きく見え過ぎてしまう気もするがそれも仕方ないだろう。
    それよりももっと気にしなければいけないことが一つ。

    「あれっ…またキツくなってる……」

    どうやらまた体操着の更新が必要なようだ。

  • 100君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/24(金) 22:10:06

    発馬機の中に入り胸の高鳴りを抑えるように深く深呼吸。
    この扉が開いたらレースが始まる。早く開けという気持ちと永遠に開かないで欲しいという気持ちが心の中で渦巻く。共に走る他のウマ娘の顔を見る余裕もない。只今はこのレースに今の自分の持っているものをぶつけるだけである。
    ついに開いた鉄扉、キンペイバイは弾かれるように飛び出した。





    レースの流れを作るのは大抵の場合先頭を走る逃げウマ娘である。とはいっても全ての場合でそうとなるわけではなく、わざと速度を遅らせて仕掛ける機会を見失わせたり、先行のウマ娘がわざとペースを上げて逃げウマ娘の自滅を狙ったりとレース展開一つをとってもそこには無数の駆け引きが存在している。そんな駆け引きとはおおよそ関係のなさそうな最後方にキンペイバイは控えていた。
    レースはすでに中盤を超え終盤に差し掛かるあたり、レース展開として凡百なものでタイムも突出しているわけではない。
    キンペイバイはこの半年で中長距離の走り方をみっちりと叩き込まれ体力作りに励んでいたこともあり、疲れはほとんどない。むしろ、心地良ささえ感じていた。足裏から伝わる芝の感触、響く足音に吸排を繰り返す呼吸、スタンドに集まった観客、その全てがキンペイバイの奥底にある"魂"を揺さぶり熱くする。
    間も無く最終コーナー。キンペイバイの口元はかすかに微笑みを浮かべている。

  • 101君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/24(金) 22:25:52

    改めてキンペイバイの武器とはなんだろうか。
    この小さな体で他のウマ娘達と対等以上に渡り合うためには武器が必要である。キンペイバイの関節の柔らかさからくる大きなストライド走法はどうだろうか。しかし彼女の一歩は小さく、ストライド走法で他のウマ娘の一歩と同じかそれより少し長い程度だろう。ならばピッチをあげればいい、そうして生まれた高ピッチのストライド走法は確かに彼女の大きな武器であるが大きな問題があった。それは大きく体力を消耗する事である。
    その弱点を補う特訓こそがルドルフが呼ばれた理由であった。

    「円孤のマエストロ」コーナーを得意とするウマ娘達の中でもごく一部のみが習得している技術であり、コーナーを曲がる時に発生する遠心力など余計な力をできるだけ排除するようにしながら走り、同時に息を入れて体力を回復するという言葉では簡単だがやるのは難しい典型例のような技術である。
    そんな技術をルドルフから1ヶ月に渡り叩き込まれたキンペイバイの脳裏に、ルドルフの言葉が蘇る。

    『コーナーでは力むほど体力を失ってしまうんだ。むしろ余計な力は込めない方がいい。"柔よく剛を制す"力に対抗するのではなく、力を利用するんだ』

    そのアドバイス通り無理な力は込めず、発生する物理的な力にキンペイバイは身を任せる。
    原理としてはバイクがコーナーを曲がる時と同じである。トップスピードで曲がるよりもアクセルを離し、曲がり切ってから再びアクセルを蒸すほうが損失が少ない。力を残せれば最後の直線にその全てを使う事ができる。
    キンペイバイは未だ「円孤のマエストロ」と呼べる領域には達していないが、「コーナー回復」の技能を完璧に使いこなしていた。

  • 102君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/24(金) 22:35:17

    『さぁ先頭集団が最後の直前に入ります!おぉっと!最後方からキンペイバイ!キンペイバイが上がってきたっ!!』

    「(残りの体力…全部ここで出し切るっ!!)」

    キンペイバイが加速していく。一歩、また一歩と踏みしめるたびに回転数が上がっていく。
    周りを走るウマ娘達がゴールを目指し放たれたマグナム弾だとするのなら、キンペイバイはあまりにも小さな弾丸、されどその破壊力はバズーカ級!
    1人、また1人とその歩みに抜き去られていく。誰もこの小さなウマ娘を止めることはできない。9人目を追い抜かした時、そこには誰もいない、体に当たる風の感触とターフの匂い、澄み渡る青空だけの世界が広がっていた。

    『キンペイバイ1着!素晴らしい末脚で最後方からごぼう抜き!』

  • 103二次元好きの匿名さん24/05/25(土) 00:15:48

    なんかやたら規制されるな…
    みてるぜ

  • 104二次元好きの匿名さん24/05/25(土) 01:07:33

    順調に成長できてるようで何より。

  • 105君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/25(土) 07:59:12

    「おめでとー!ペイバイちゃん!」

    「ありがとうマヤノちゃん」

    翌日、トレセンへと戻ってきたキンペイバイは登校早々にマヤノからお祝いの言葉をかけられた。会場に直接来ていた母親や電話越しにお祝いしてくれた少年、同室のルドルフなどを合わせると昨日から祝われっぱなしである。
    だがしかし、昨日のレースはキンペイバイにとって大きな経験となった。勝利の感覚、やりたい事ができた喜び、レース後のライブでの反響、どれをとっても今後、キンペイバイに大きな影響を与えてくれるものばかりである。

    「あ、そうだ。ペイバイちゃん今回でファン増えたんじゃない?調べてみようよ!」

    マヤノに促されウマッターで人生初のエゴサをかけてみる。トップに出てくるのはレース結果やレース分析のツイートばかりである。もっと生の声が聞きたいと最新に切り替える。そして絶句した。

    『【朗報】超エロいウマ娘発見されるwww』
    『ハロン棒がうまだっちした』
    『繁殖牝バになるために生まれてきたような体』

    スクロールすればするほど出てくるキンペイバイに対して情欲を向けるツイートの嵐。

    「え、えーと、その…こういうのはあんまり気にしちゃダメだよ、……ね?」

    「もがっーーーーー!!!」

    こうしてキンペイバイはトランジスターグラマーウマ娘としてそこそこな数のファンを獲得したのであった。

  • 106二次元好きの匿名さん24/05/25(土) 09:29:24

    >>101

    こーなー感じにやるんだ、力の流し方をいちからやってみなさい

  • 107君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/25(土) 19:50:20

    その後、なれるちゃんは


    dice1d3=2 (2)

    1.チューリップ賞でdice1d3=1 (1)

    2.アネモネステークスでdice1d2=1 (1)

    3.フィリーズレビューでdice1d3=2 (2)


    となり桜花賞への優先出走権を獲得した。

  • 108君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/25(土) 20:08:22

    トリプルティアラを目指す上でキンペイバイにとって最も大きな壁となるのが予想されるのが桜花賞である。
    短距離のように全体力を注ぎ込見続けて走れる短距離、得意のコーナーと驚異的な末脚を溜める時間のある中・長距離の間にあるマイルという距離はキンペイバイの強みを活かすことができない。
    であるならばキンペイバイのやる事はひとつである。

    「お世話になります!タイキ先輩!!」

    「ヨロシクお願いしマース!」

    当代最強マイラーと誉高いタイキシャトルとの合同マイルトレーニングでマイルの走り方を体に叩き込むのだ。

  • 109二次元好きの匿名さん24/05/25(土) 20:36:47

    キンペイバイちゃん…めきめき成長中だな
    これはいい繁殖牝バなるでぇ

  • 110君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/25(土) 20:37:49

    「ペイバイチャンはもうショーブフクのデザインは決めましタカ?」

    合同マイルトレーニングが3日目を迎えた頃、給水中の事であった。数あるレースの中でも特に位の高いG1レースでは普段の体操服にゼッケンのスタイルではなく、勝負服と呼ばれる特別な衣服を着用する。数多くのウマ娘の中でもこの勝負服に袖を通せるのはごく一部の限られたウマ娘だけであり、着用する事自体がそのウマ娘の実力と名誉の象徴となる。
    そしてその勝負服は大抵の場合、着用するウマ娘のイメージイラストや要望からデザインが起こされ、1着1着丁寧に作られるまさしくオーナーメイドの一品ものである。

    「はい、カッコいい感じにしたくて…こうサイバーパンクな感じにしてくださいってお願いしちゃいました」

    「きっと最高のショーブフクになりマス!届いたら見せてくださいネ!」

    「はい!ぜひ!」

    ちなみに、勝負服のデザイナーというのはかなりの人数がおり選ぶだけでも大変なのだが、キンペイバイはじじトレが伝手があるからとじじトレの知り合いだというデザイナーに丸投げしてしまっている。

    『安心ちゃんに任せれば大丈夫じゃよ』

    と言っていたのできっと大丈夫だろう。安心という名前のデザイナーをどこかで見聞きした事がある気がするが、ついぞそれが誰なのかは分からずじまいであった。

  • 111君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/25(土) 21:01:04

    桜花賞まであと1週間を切ったある日のこと、キンペイバイの幼馴染の少年は自室で暇に耽っていた。中学2年生など有り余る体力でなんでもできると思われがちであるが、最近の中学生は無駄に精神面で疲労する事が多々あり、割と無気力になることも多い。
    それでも幼馴染がついにG1で走るということで、自分が走るわけでもないのに情報を集めてみたり、天気予報を毎日確認してみたり、まるで自分のことのようにソワソワと尻の浮いた感覚であった。当日兵庫まで行くことができないためテレビ越しの応援となるのでせめて情報だけは逐一追っていたいと始めた事であるが、実際に走るわけではない自分でからなのだからキンペイバイはどんな気分なのだろうかと考えただけで、冷や汗が出るほどであった。
    そこまで心配するのなら電話の一つでもかければいいと後ろ指を刺されそうなものであるが、そこはまだまだ青い13歳の少年である。大きな勝負に臨む同年代の女の子にかける言葉は持ち合わせていないのだ。

    悶々としたまま時刻は22:30ごろ、いい加減宿題に手をつけなければとスマホの電源を切ろうとしたその時であった。

    『勝負服が届きました☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆』

    気づいた時にはLANEを開いていた。
    そこに写っていたのは黒を基調とした衣服に身を包むキンペイバイの姿。髪色よりも少し明るめな水色のラインの縁取りがシルエットを際立たせ、大きく開いた腹部や太ももが眩しい。何よりも、シースルー生地に包まれた大きな胸の存在感、重量感は男子中学生の理性を壊すにはあまりにも破壊力が強すぎた。
    少年が『とっても似合ってると思う』と返信を返すまで実に30分以上の時間がかかった。

  • 112君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/25(土) 21:22:33

    ついに迎えた桜花賞当日、観客席には多くの人々が訪れており、キンペイバイの母の姿もここにあった。

    「おぉ!あなたがお嬢さんのお母様でいらっしゃいますか。お嬢さんの担当トレーナーをしておりますじじトレです」

    「キンペイバイの母です。娘がいつもお世話になっております」

    形式的な大人の挨拶を済ませていると、続々と選手達がゲートへとエントリーしていく。もう間も無くレースに会場の騒音は一層激しくなる。

    「娘は…キンペイバイは大丈夫でしょうか?」

    「あの子なりにやれる事は全てやっていましたよ。あとは天運に身を委ねるのみです」

    そう、レースに向けて多くの人たちの思いを背負っているが、結局のところ勝負の時は常に孤独なのがレースなのだ。故に努力を尽くしたのであればあとは天に祈るしかない、子供の挑戦というのはいつだって側で見ているだけの大人は無力なものなのだ。

  • 113君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/25(土) 21:56:44

    キンペイバイが参加した桜花賞はハッキリと言ってしまえば「壊滅」の一言に尽きた。レース結果が無惨なものになるというのは往往にして起こりうる事であるが、たった1人のウマ娘によってレース内容が滅茶苦茶にされてしまう、そんな事は稀である。だが、今回のレースで起こったことはその稀な例であった。


    レース進行は最初から通常のレースに比べて数段ギアが上のものであった。

    理由は至って単純、先頭のウマ娘が大逃げをかましたのだ。圧倒的脚力の前にレースプランも何もなくなってしまった他の17頭のウマ娘は先頭を走るウマ娘に喰らいつくため予期せぬ増速を余儀なくされたのだ。

    キンペイバイはタイキとの特訓がほとんど通用しないレースに焦りを感じつつも、仕掛けるタイミングを測り、足を溜めていた。確かに壊滅的なレース展開であるが、決して勝てないレースでもない。コーナーいっぱいを使って速度を上げながら最後の直線で勝負を仕掛ける、キンペイバイの黄金パターンに持ち込めば、そう思っていた。


    違和感に気づいたのは最後の直線中程、あまりにも先頭との差が縮まらない状況からだった。これまでの2度のレースではいずれもここで先頭の喉元にくらいつける位置まで上がっていた。しかし今回のレースはどうだ、未だ衰えぬ豪脚でなおも速度を上げ続ける先頭の影を踏むことすらできない。

    これは追いつけない、そう直感的に感じたのはゴール手前100m。あまりにも遅い気づきであった。


    レース結果

    dice1d17=7 (7) +1着

  • 114君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/25(土) 22:09:51

    観客席からの割れんばかりの歓声。しかしそれはキンペイバイではなく一つ目の宝冠を手にしたウマ娘に贈られる万感の喝采である。


    息も絶え絶えのまま1着となったウマ娘の元へとよろよろと向かう。影さえ踏ませてくれず、キンペイバイを圧倒的な速度で置いていったそのウマ娘に健闘を讃えた握手がしたかった。

    汗まみれの手を勝負服で拭って差し伸べる。しかし、その手は弾かれ、代わりに冷たい瞳がキンペイバイを刺す。


    「馴れ馴れしくする気はないから」


    吐き捨てるように言うと、観客席に手を振ることもせずターフを後にする。

    電光掲示板には彼女を称えるように


    「dice1d4=1 (1)


    1.コードヘブン

    2.テマリバナ

    3.シェアトユニカ

    4.プロノオンカラモス


    と、刻まれていた。

  • 115君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/25(土) 22:19:23

    コードヘブン

    耳飾り:ヒダリミミ


    毛色dice1d9=8 (8)

    1.鹿毛 2.黒鹿毛 3.青鹿毛 4.青毛 5.栗毛 

    6.栃栗毛 7.芦毛 8.白毛 9.月毛


    顔(100で綺麗系、1で可愛い系)

    dice1d100=11 (11)


    体型:dice1d4=2 (2)

    1.標準 2.モデル体型 3.最速の機能美 4.グラマー


    身長:150+dice1d25=5 (5) cm


    勝負服メインカラー

    1.赤系 2.黄系 3.ピンク系 4.紫系

    5.青系 6.水色系 7.緑系 8.ベージュ系

    9.白系 10.黒系 11.その他

    dice1d11=5 (5)


    勝負服露出度

    dice1d100=91 (91)

    (0に近いほど肌面積が少ない 参考:ロブロイ)

    (100に近いほど肌面積が多い 参考:タイキ、シチー)

  • 116君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/25(土) 22:20:38

    一応この子がキンペイバイちゃんのライバルになります(既存のネームドウマ娘を絡めるのはちょっと難しいので)

  • 117君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/25(土) 22:28:44

    ダイス結果に少し修正してこれがコードヘブンの基礎データになります


    名前>コードヘブン

    身長>160〜165cm

    体型>モデル体型

    毛色>白毛

    性格>あまり友好的ではない

    お顔>可愛い系だがキリッとしてる

    脚質>大逃げ

    勝負服メインカラー>青

    露出度>タイキより少しマシ(キンペイバイより露出してる)


    イメージは青空でしょうか。可愛い系の顔立ちのクールガールということで

  • 118二次元好きの匿名さん24/05/25(土) 22:29:11

    白毛!?
    のモデル体型で可愛い顔か
    そしてまた露出過多というかなんというか

    この世界のショタの性癖壊れちまうー

  • 119二次元好きの匿名さん24/05/25(土) 22:37:38

    属性正反対になってるのおもろいな

  • 120二次元好きの匿名さん24/05/26(日) 07:52:11

    ライバルちゃんもライバルちゃんで別路線で繁殖牝バになれそうって言われてそうなのがダイスの妙技

  • 121二次元好きの匿名さん24/05/26(日) 16:27:47

    保守

  • 122二次元好きの匿名さん24/05/26(日) 19:31:55

    >>112

    「キンペイバイスレの読者です。息子がいつもお世話になっております」

  • 123二次元好きの匿名さん24/05/26(日) 19:38:55

    >>111

    >30分以上の時間がかかった

    少年よ…

  • 124二次元好きの匿名さん24/05/26(日) 23:01:52

    このレスは削除されています

  • 125二次元好きの匿名さん24/05/26(日) 23:34:29

    >>123

    正直30分くらいで返信できた少年は立派だよ…

  • 126君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/27(月) 08:20:58

    あくる日、キンペイバイはトリプルティアラの2走目オークスに出走するためのトライアルレースへ向けての練習を行なっていた。

    とは言っても、キンペイバイはそれなりの人気があるため仮に出走しなくても出走できそうではあるが、万全をきすに越したことはない。


    キンペイバイの胸中

    1.次のオークスと秋華賞は絶対に勝つぞー!

    2.(私は繁殖牝バじゃない…… 私は繁殖牝バじゃない……)

    3.コードヘブンがどうして握手を拒否したのかずっと考えている

    4.なんか最近、また大きく……買い換えるのだってタダじゃないのに…

    dice1d4=4 (4)

  • 127二次元好きの匿名さん24/05/27(月) 09:21:41

    んもー競技ウマ娘がエゴサなんてしてもいいことないのにー

    >>105


    また大きくなるの?もうブラ売ってる?支えなきゃ…

  • 128君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/27(月) 11:07:18

    桜花賞が終わってからというものの、また一段と体が成長してきていた。背はそこまで伸びていないのにどうして胸や尻や太ももばかりに…と自分の肉体の成長の不均一さに悩むキンペイバイであったが、ここ最近の自身の成長や体の発育でついにアレが来たのではないかと密かに期待していた。
    それは『本格化』である。ウマ娘に訪れる特有の第二次成長みたいなもので、この期間に入ると一気に体が大きくなったり能力が飛躍的に向上する。いわゆる全盛期状態となる。しかし、この期間が来る時期は個人によってかなり差があったり、期間の長さにも差があり、こうしてクラシックの大事な時期にちょうど本格化が来るのも一つの運や才能と言えるのだ。
    自分のそうかもしれないとウキウキでじじトレに相談してみると、少し悩んで難しい顔をするとそのまま保健室へと連れて行かれてしまった。

    「確定ではありませんが、ただの成長期ですね。本格化ではないと思われます」

    「なしてーーー!!」

    悲鳴をあげてのけぞった瞬間、ブチッ!と音が鳴り制服にシワが増えた。今月も金欠確定の瞬間であった。

  • 129君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/27(月) 19:49:09

    「じゃが、"本格化"というのは早く来たからいいというものではないぞ」

    しょげているキンペイバイを元気付けようとして言っているのだろうが、ショックなのはそこではないのだ。

    「だって、今来たらクラシックを最高潮で走れるんですよ?」

    「確かにそうじゃな、しかしのお嬢さん、その本格化がクラシックだけで終わってしまったらお嬢さんはどうする?最高潮で走れなくなってもまだ走りたいかい?」

    それは勿論走りたいです。そう言おうと思ったのに不思議と言葉は出なかった。最高潮で走れないということは他の最高潮で走るウマ娘よりも不利な状況で戦う事を意味している。勝ちたいから走るのに勝てる見込みが薄いレースを果たして本当に走るのか、今のキンペイバイには即答できない。

    「本格化が終わっても走れなくなるわけじゃないんじゃがな、今までの調子がどんどん下火になっていくと大抵の子は自暴自棄になったり、変に悟って無気力になったり、最悪の場合、逆にのめり込みすぎて取り返しがつかなくなったりしてしまうんじゃ。本格化がクラシックの頃に来て、シニアでパタリと勝てなくなってしまうと余計にの」

    今までそんなウマ娘を何人も見てきたのだろう。じじトレの表情はどこか寂しそうに見えた。自分が羨ましいと思っていることが本当はダメなところもあるのかもしれない、そう思うキンペイバイであった。

    話も終わり、そろそろ練習に戻ろうかと言う時になってもキンペイバイは椅子に座って動かない。どうしたものかと保険医とじじトレが顔を合わせた時、ひどく顔を赤くして消え入りそうな声でキンペイバイが呟く。

    「あ、あの…包帯でいいので貸してください……こ、このままだと恥ずかして……とても…歩けないです………」

  • 130二次元好きの匿名さん24/05/27(月) 20:12:27

    【朗報】キンペイバイ、オークスに向け馬体重増加 に対する反応
    ・まだ増えるのかよ
    ・うお……すっごいトモ……
    ・今すぐにでも繁殖牝馬になれる
    ・むしろもう中にいるんじゃないの説

  • 131君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/27(月) 20:20:17

    桜花賞からオークスまでの間は1ヶ月ほどしかなく、その間に1レースを挟むので案外予定がカツカツである。

    次のレースであるはキンペイバイの得意とする中・長距離ではあるものの、流石に短期間で仕上げろとなると多少練習はキツくなるもので、4月半ばの昼下がり、トレセン感謝祭の準備が着々と進められており……


    「あっ!!いけない!」


    何かを思い出したかのように飛び起きると、一目散にグラウンドを後にしようとするキンペイバイをじじトレが呼び止めた。


    「どうしたんじゃい、いきなり。何か急用かいな?」


    「急用というか……感謝祭の準備の手伝いをする約束を忘れてて…すぐに行ってきます!」


    そう言うと、慌てて走っていった。


    ちなみに次のレースは

    1.フローラステークス

    2.スイートピーステークス

    dice1d2=2 (2)

  • 132君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/27(月) 20:27:25

    「ペイバイちゃん!そのダンボール家庭科室に持って行って!」

    「はい!」

    春のトレセン感謝祭は普通の学園でいうところの文化祭のようなものであり、学生による出店だったり、イベントステージなんかが開催される地域の一大イベントである。
    キンペイバイのようなレース予定が直近にある子はある程度の参加が免除されており、キンペイバイ自身も手伝いは練習途中からとなった。
    今は飾り付けの真っ最中であり、倉庫から出した荷物を各教室に運ぶのがキンペイバイの仕事だ。この役割を選んだのはエアグルーヴが係の代表だからというのが大きく、彼女の指示を間接的ながらもこなす現在、少し心が喜んでいるのが事実だ。

    「えーっと…家庭科室は……きゃっ!ご、ごめんなさ……」

    キンペイバイにとってはかなり大きく、視界がほとんど奪われてしまうダンボールを懸命に抱えて家庭科室を目指していると、ドンっ!という音と共に何かにぶつかってしまった。衝撃でダンボールを手放し尻餅をついたキンペイバイが見たのは自身を見下ろすコードヘブンの姿であった。

  • 133二次元好きの匿名さん24/05/27(月) 20:37:03

    このレスは削除されています

  • 134君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/27(月) 20:38:11

    「コードヘブンさん!ご、ごめんなさい前が見えなくて」

    「そういうのはいいから、早く立ちなよ。ここだと迷惑になるでしょ」

    相変わらずコードヘブンは冷たい。キンペイバイに対して心底興味が無いのか、言動に対する圧が他人以下を相手にするときのようだ。

    「この前のレース、凄かったです!私全然追いつけなくて…でも、次こそは私が勝ちます!」

    むふっー!とドヤ顔をするキンペイバイに大きくため息をつく。

    「ウザいよそういうの」

    「えっ…」

    「アタシは他の奴らみたいに馴れ合いがしたくて走ってるんじゃない。何の理由もなくただ勝ちたいからってだけで走る有象無象にアタシは負けない。アンタらは仲良しこよしやってればいい」

    コードヘブンの言葉尻に少しばかり怒気が混じり始めた。

    「次は私が勝つ?その台詞はこの後のレースで勝ってからにしなよ」

  • 135君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/27(月) 20:41:59

    「それは……そうなんですけど…」

    事実すぎて何も言い返せずにいると、コードヘブンがダンボールを持ち上げる。

    「後ろ、邪魔になってるから。そんなことも気づかないわけ?だからドベを走るしかできないんでしょ」

    「アタシは負けるつもりはない。影さえ踏ませやしない。アタシは…アタシは必ず"天国"に行く」

    去り際放ったその言葉の意味を問いただしたかったが、振り返ってもそこには人混みだけで、コードヘブンの姿を見つけることはできなかった。

  • 136君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/27(月) 21:07:45

    感謝祭当日、トレセン学園は大いに盛り上がりを見せており、普段とは違った雰囲気や匂いに学園全体が包まれていた。

    さて、キンペイバイはというと…


    1.クラスの出し物に参加中

    2.飲食店のお手伝い(タイキの串焼き店)

    3.ライブステージのダンサーでお呼ばれ(これでも結構踊れるんです!)

    4.裏方で荷物を運んで東奔西走

    5.競技種目に参加


    dice1d5=1 (1)

  • 137二次元好きの匿名さん24/05/27(月) 21:09:12

    わけありなんか?
    過去スレでこの子の話あったっけ

  • 138君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/27(月) 21:11:09

    出し物の種類


    1.コンセプトカフェ(メイドカフェ的なやつ)

    2.お化け屋敷

    3.バンド(キーボードでの参戦)

    4.屋台


    dice1d4=3 (3)

  • 139君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/27(月) 21:13:01

    >>137

    過去スレでの言及はありませんが、ライバルキャラが欲しかったので出した所存です。訳ありかどうかはお楽しみに

  • 140二次元好きの匿名さん24/05/27(月) 21:14:09

    >>139

    いいね

    正反対なライバルキャラはいいぞ

  • 141君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/27(月) 21:22:40

    キンペイバイのクラスの出し物はバンドであった。元々忙しい2年生組で組んだ即興バンド、しかもキンペイバイは現在トリプルティアラ挑戦中ということもあり、音合わせすら突貫工事であった


    盛り上がり

    dice1d100=82 (82)

  • 142二次元好きの匿名さん24/05/27(月) 21:23:41

    めっちゃ盛り上がってる!
    演奏のよそなのかビジュアルなのか

  • 143君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/27(月) 21:27:34

    不安ながらも始めた演奏であったが、メンバーの予想に反してまさかの大成功!

    さらにはアンコールまできたものでもうそのままノリと勢いだと、やったらこれもまた大盛況であった。

    特にキンペイバイやマヤノの目立つパートになると観客たちの声も大きくなり、G1で戦う彼女たちのアイドル性というのが垣間見えた出し物であった。


    (実際に演奏したかは定かではありませんがスレ主のお勧めです)

    RUANN「There's No Ending」Music Video

    ちなみに野郎どものなれるちゃんへの視線誘導度

    dice1d120=67 (67)

  • 144君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/27(月) 21:46:00

    バンドの衣装は


    1.クラスTシャツ(各々好きな文字が入れられるやつでキンペイバイのには沖ノ鳥島と書かれている)

    2.キンペイバイ自作の衣装(コスプレっぽい)

    3.無難に制服

    4.キンペイバイ自作の衣装(ちょっと露出が多い)

    dice1d4=3 (3)

  • 145二次元好きの匿名さん24/05/27(月) 22:03:45

    >>130

    えっ!?ペイバイちゃんがウインドインハーヘア(隠喩)するですって!

  • 146君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/27(月) 22:20:38

    バンドのライブ終了後、後片付けを済ませたキンペイバイはイベントの中心から外れ人があまりいないダートグラウンドの方までやってきていた。こんなとこまで何をしにきたかといえば、待ち合わせである。

    「お疲れキーちゃん、ライブすっごく良かったよ!」

    「ほんと!ありがとう!!」

    今日は休日ということもあり、少年も感謝祭に遊びにきていた。珍しくキンペイバイの方から誘ってきたので少年としても行かないという選択肢はなかったのだ。

    「今日は来てくれてありがとう。陸上の部活の方練習とかあったよねきっと」

    「いや、まぁ……うん、いいよ別に気にしなくてさ」

    少しはバツの悪そうな表情の少年。恐らく仮病か何かを使って休んだのだろう。昔から練習を休む時には素直に遊びに行くとはいえない性分の少年である。いくらか気後れがあってあまり乗り気になれないのだろう。
    ならば、キンペイバイが幼馴染としてすべきことはひとつである。

    「行こう!」

    「えっ!?ちょ、キーちゃん、手っ……」

    久しぶりにつかんだ少年の手は記憶の中のよりももっと大きくなっていて、じんわりと上がる体温とほんのり湿った水分がキンペイバイの肌と密着して熱を共有しあっている。少年が気が気ではない中、人混みに向かって直進するキンペイバイであった。

  • 147君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/27(月) 22:38:50

    少年はキンペイバイによって様々な場所へ連れて行かれた。
    初めはタイキの出店している串焼きBBQ屋台から始まり

    「oh!アナタがペイバイチャンのボーイフレンドですネ!!」

    「違いますよタイキ先輩、ただの幼馴染ってだけです」

    次はタイキの串焼きを手土産に運営本部にいるルドルフやエアグルーヴの元へ。

    「ほう、彼が…」

    「そうです!私の幼馴染です!小さい頃は私より速かったんですよ!」

    長居してはお邪魔になると外へ出たところで友達に囲まれているマヤノと出会った。

    「初めまして!ペイバイちゃんの彼氏ちゃん!」

    「違うよマヤノちゃん、ただの幼馴染だよ!」

    その後もそれはもう本当に多くのTVで見たことあるような有名なウマ娘ばかりと出会い、声をかけられ、自分の幼馴染ももしかしたら凄い立場なのでは?と疑問になると共に、永遠と「幼馴染です」とバッサリ関係を切られるこの事態に心が砕け散りそうになっていた。

  • 148二次元好きの匿名さん24/05/28(火) 01:16:01

    >>147

    「よく見ておけタイキ…あれが日本の”幼馴染み”というヤツだ

    何をするにもレースに行くときも一緒だ」


    「ナルホド、ケンタッキーには無い文化デース!」

  • 149二次元好きの匿名さん24/05/28(火) 09:11:46

    クズトレと幼なじみが鉢合わせするシチュを想像したら…ふふ…下品なんでやめておきますね…

  • 150二次元好きの匿名さん24/05/28(火) 17:48:34

    鈍感系かぁ…

  • 151二次元好きの匿名さん24/05/28(火) 17:54:20

    幼馴染の少年、サポートカード完遂で「鋼の意志」が手に入るに違いない

  • 152二次元好きの匿名さん24/05/28(火) 18:17:37

    >>151

    今のままでは色んな意味で「お先に失礼っ!」の方が似合う…

  • 153君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/28(火) 20:01:14

    精神をすり減らしきった少年は休憩用の仮設ベンチに座り項垂れていた。その隣では憔悴しきっている少年を見てキンペイバイがオロオロしてごめんとしょげていた。
    もうこんなに体力が落ちたのかと情けない自分に嫌気が差し、空を見上げようと頭を上げたその時であった。少年の瞳が白い髪のウマ娘を捉えたのは。

    「コードヘブンだ……」

    ぽろっと溢れたその名前にキンペイバイが反応する。

    「知ってるの!?」

    「知ってるも何も今年のティアラ路線で最強と謳われてる桜花賞ウマ娘でしょ?歴代最速の快脚だってニュースでもっぱら持ち上げられてたよ。桜花賞だってレコード勝ちだったんだし」

    あの人がそんなに凄い人だと言われていたとは…自身の情報ネットワークの乏しさを実感するキンペイバイであった。

    「あ、私!私は何か言われてた!?」

    もしかしたら自分も期待の注目株みたいなこと言われているかも!と胸の高鳴りを抑えられないキンペイバイであったが、少年はどこか困ったような表情をして頭をかいていた。

    「キーちゃんはその…あんまりTVではその……ウマッターとかだとトレンド入ってるんだけどね……」

    「うわーん!私は繁殖牝バなんかじゃないのにー!!」

    そう言うとキンペイバイは完全に不貞腐れて頬をついてムスッと決め込んでしまった。このままでは帰るまでこのままかもしれないと、不貞腐れるキンペイバイを少年は何とか宥めようと頭を撫でる。幼少期、キンペイバイが泣いた時は少年がこうして宥めていた。普段は思春期特有の気恥ずかしさが前面に出てしまう少年であったが、こうして無意識に手が出るあたりやはり根はあの時の少年から変わってはいなかった。

  • 154君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/28(火) 21:30:37

    ようやくキンペイバイが落ち着いてきた頃、カツカツと靴底を鳴らしながらそれはやって来た。
    いきなり掛かった影の正体を見るべくそこにあったのは、少年とキンペイバイを見下ろすコードヘブンの姿であった。何も発さず、ただ無言で見下ろすだけの彼女に少年は生唾を飲む。

    「あ、あの……どうかし………」

    「さっきから何チラチラ見てんの?言いたい事あるならさっさと言えば?」

    相当怒っているのだろう、発する言葉の節々に怒気がこもっているような気がした。

    「いや、あの"桜花賞ウマ娘"のコードヘブンを見かけたら誰でも目で追ってしまうといいますか……」

    「……………」

    「お気に障るようでしたらスイマセン…」

    無言の圧がそのままウマ娘の姿をとっているようなコードヘブンに少年はすっかり怖気付いてしまっていた。やはり、G1勝利ウマ娘ともなると自分なんかとは住んでいる次元が違うのだと肉食動物に追い込まれた小動物が如く脂汗が額から流れた。

  • 155君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/28(火) 21:46:23

    「あれ?コードヘブンさん?どうしたんですか?」

    少年が固まって動けない中、ショックから立ち直ったキンペイバイがようやくコードヘブンの存在に気づいた。先日の事があったというのにそんなことを一つも気にしていなさそうな、なんとも呑気な態度である。

    「あ、コードヘブンさんには紹介してませんでしたね!こちら私の幼馴染です!ちょっと前に私より先に東京に行ってたんですけど偶然再開したんです!」

    絶対に今言うことではないだろうと心の中でツッコミそうになる少年であったが、この剣呑な雰囲気では無理にでも話題を変えた方が懸命であると考え、キンペイバイに便乗しようとする。だが言葉を発する前に先にコードヘブンが口を開く。

    「それでその彼氏を連れて呑気にデートしていたと…。オメデタイものね、オークスの出走すら決まっていない、次のレースが目前に迫ってる現状で呑気に感謝祭を楽しんで幼馴染とデート?それでアタシに勝つなんてよく言えたね」

    「違います!デートじゃないです!───くんがせっかくの休みに感謝祭に来てくれたからあっちこっち見て回ってただけです!私と彼はただの幼馴染ってだけです!」

    クリティカル!少年は瀕死だ!

    「そ、そうなの……ね、勘違いしてごめん……」

    キンペイバイのあまりにも熱の籠った否定に流石のコードヘブンもたじろいでしまい、反射的に謝罪の言葉が出てきてしまった。

    「まぁ、アンタが何をしようとアタシが勝つのは変わりない。せいぜい後悔しないように全力を尽くしなさい」

    去り際に捨て台詞みたいなのを残してコードヘブンは去っていった。後には闘志に燃えるキンペイバイと心ここに在らずな少年が残された。

  • 156君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/28(火) 22:12:57

    大成功で幕を下ろした春のトレセン感謝祭から2週間後、東京競馬場ではまもなくスイートピーステークスのゲートが開こうとしていた。

    キンペイバイはその中でも注目株の1人であり、彼女目当てにやってくる観客達も大勢おり、このレースで1着になれなくともオークスにはファン投票で出走できそうな程であった。キンペイバイ本人的には不安ではあろうが、ネットでの彼女の人気というのは今後彼女がレースを走っていく上で大きな助けになることは間違いなかった。


    さて、レース結果は……

    dice1d5=3 (3)

  • 157君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/28(火) 22:28:30

    惜しくも3着に敗れたキンペイバイ。

    幸い、ファン投票でオークスには出走自体はできそうであったが、得意距離での敗北というのはそれだけでかなりメンタルに来るものがある。


    キンペイバイの敗北へのショック度

    dice1d100=98 (98)


    ネットの反応

    1.頑張ってるけど、やっぱり小さいからね…

    2.走るたびに爆乳が暴れ回ってうまだっち不可避。ライブでも跳ね回るから辛抱たまらん

    3.体の発育は早いのに本格化がまだ来てないなんてあるんだな←発育と本格化はそこまで関係ない定期


    dice1d3=3 (3)

  • 158君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/28(火) 22:48:13

    「随分ショックじゃったようだのお嬢さん」

    机に顔を突っ伏しているキンペイバイと先ほどから急須のお茶をがぶ飲みしているじじトレ。スイートピーステークスから数日後の事であった。
    得意距離で惜敗したのがよほどショックだったのか練習以外の時にはため息が増えるようになってしまったキンペイバイ。決して無気力という訳ではないが、なにか渇を入れたほうがいいのは明白であった。

    「うーむ…誰に頼もうかのぉ……」

    そうはいうもののじじトレの中ではもう候補は絞られているのであった。



    「なるほどね、要するにアタシが指導もといペイバイに渇を入れてやればいいんだね?」

    後日、グラウンドにはキンペイバイと共にヒシアマゾンの姿があった。

    「済まんねアマちゃん、寮長の仕事で忙しいだろうに」

    「これも仕事のうちさ。それに他ならぬアンタの頼みだ、快く引き受けさせてもらうよ!」

    カラッと笑うヒシアマゾン。いったいじじトレの人脈はどうなっているんだろうかと気になるキンペイバイであったが、一歩前に出たヒシアマゾンへと視線を移す。

    「同じ追込ウマ娘、同じ釜の飯を食べてる仲のよしみだ、ヒシアマ姐さんと全力のタイマンだ!かかってきな!!」

  • 159二次元好きの匿名さん24/05/28(火) 22:54:22

    こまったときのヒシアマ母ちゃん

    ありがてぇ


    >>1も毎度まとまった量投下してくれるから助かる

  • 160君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/28(火) 23:14:04

    普段朝誰よりも早く起床して掃除や朝食作りをこなし、夜はみんながちゃんと寝たかの巡回までする正しく美浦寮の母っぷりに忘れそうになるが、そもそもヒシアマゾンはクラシック期に重賞6勝、最後の一勝に至ってはエリザベス女王杯と超のつく実力者なのである。伊達に「女傑」の二つ名を冠してはいないのだ。

    幾らレースからは引退しているといえど現状G1では掲示板外、勝ったのは最高でもオープン特別までなキンペイバイに負けるような事はなく、何度併走しても先にゴール板を切るのはいつもヒシアマゾンであった。


    「どうしたんだい、もう終わりかい?一回くらいはヒシアマ姐さんから勝ちをもぎ取ってごらん!」


    「その…つもりです!」


    何度叩きのめしてもどんなに息を切らしても諦めずに向かってくるキンペイバイはヒシアマゾンにも好感触なようで、ギアの上がったヒシアマゾンに何度も食い下がろうと歯を食いしばって足を回し続けた。


    1.しかしてやはりG1ウマ娘、女傑の背は遠く、その日は日が暮れるまで走り続けて一勝もできずに終わってしまった。

    2.ほんの僅かなハナ差まで迫ったのが1度だけあったがやはり勝てずじまい

    3.最後の最後に末脚が爆発しなんとか一勝をもぎ取った


    dice1d3=2 (2)

  • 161二次元好きの匿名さん24/05/29(水) 09:35:00

    並み居るレジェンド達に毎回挑んでも勝てないけどいいとこまではいけるって感じが成長系主人公で好き

  • 162君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/29(水) 12:29:09

    「今日はここまで!片付けしたら飯にするよ!」

    「は、はいぃぃ…!」

    そろそろ日も暮れる頃になってようやく今日のトレーニングが終わった。結局、ヒシアマゾンに先着する事はできずハナ差まで迫った事が1度だけあったが、それだけであり自分とG1ウマ娘の差を実感させられるだけであった。



    「強みに特化した方がいい……ですか?」

    今日の夕食のチキンのトマト煮込みを白米にワンバウンドさせながらキンペイバイが不思議そうにヒシアマゾンの言った言葉を反唱する。

    「今のペイバイは勝つために色んな努力をしてるのはアタシも分かってるし、それはいい事だと思うよ。だけどね、一度に覚えられることには限りがあるんだからあれもこれもって欲張るより自分の強みに特化させた方が覚えるのも早いし、すぐに上達できるよ」

    確かにその通りかもしれないとキンペイバイは考える。とにかくG1の大舞台で勝つために様々な先輩や友達の力を借りて技術を習得しようがむしゃらに努力をしていたが、教わった事が多すぎてそれらを全て活かせているかと言われれば正直なところ微妙である。
    持ち前の吸収力と物覚えの良さで形として体は成しているが、それも所詮は付け焼き刃程度のものであり、コードヘブンの圧倒的な逃げを見た後ではその程度では通用しない事は痛いほど身に沁みて分かる。

    「アタシみたいに大外をぶん回すって手もあるね。アンタはお世辞にもバ群で戦えるような体はしてないし、無理に最短距離を目指して突っ込もうとするよりは遠回りした方が逆に近道だったなんて事はレースじゃ往々にしてあるからね」

    「バ群で戦わない走り方ですか……」

  • 163君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/29(水) 16:26:40

    大外を回るレースプラン、確かに今のキンペイバイにならできそうではあった。脚の溜め方も息の入れどころも分かってきて、最終コーナーからゴールまでの直線くらいであれば大外を走っても体力とスピードは持つだろうと確信できる。
    しかし、その程度のことでコードヘブンに勝てるのかと言われれば疑問符が付いてしまう。結局のところ、彼女とキンペイバイの間に確固たる実力差がある現状ではどんな対策を打っても通用しなさそうとなってしまうのである。

    「(本格化したらなぁ……)」

    そんな淡い希望に縋ってしまうほど、コードヘブンに対しての勝ち筋が見つからない。
    コードヘブンに追い縋るほどのスピードがあれば届かなくても影さえ踏む事ができたら、そう考えていると感謝祭の準備の時の会話を思い出す。

    『影さえ踏ませやしない。アタシは…アタシは必ず"天国"に行く』

    そういえば、コードヘブンの言う天国とは何のことなのだろうか。宗教的なもの、あるいは何かのメタファーなのだろうか?確実に分かるのは彼女がその言葉を発した時、強い決意や意志を感じた事、つまり彼女は本気で天国に行こうとしているらしい。
    次のオークスの対策、レースで勝つことと天国に行くことの関連性、自身の走りの改善、悶々と湯船で考え続ける、
    考え続けた結果……

    「きゅ〜ぅぅ………」

    見事にのぼせて、偶然風呂場にいたロブロイやライス達に介抱されたのであった。

  • 164君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/29(水) 19:12:02

    そうしてヒシアマゾンとのタイマントレーニングを続け気づけばオークス当日。

    東京競バ場には今年の「樫の女王」を決めるため選りすぐりのウマ娘達が集まっていた。


    東京競馬場の天気

    1.快晴・良バ場

    2.曇り気味・良バ場

    3.曇り気味・重バ場

    4.雨・不良バ場

    dice1d4=3 (3)

  • 165君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/29(水) 19:39:28

    つい先程まで降っていた雨がようやく止み、濡れたターフの青臭い匂いが漂う。雨の隙間のこの時間、ともすれば空からまた大粒の雨が落ちてきそうな分厚い曇り空の下でキンペイバイやコードヘブン達18人のウマ娘がゲートへと歩みを進める中、観客席には少年の姿があった。
    東京でレースをする時には必ず応援に来ると約束し、先日のスイートピーステークスの時もこの観客席で精一杯の声を張り上げていた。その時に比べるとGⅠということもあり観客席の人の数は多く、なんとか確保した最前列から迂闊に離れられなくなっていた。
    少年の左奥、ゲートの向こうにキンペイバイの姿が見える。小さな体の幼馴染は観客席の声やプレッシャーに負けることなく、堂々としている。今手を振ったら分かるだろうか、迷惑じゃないだろうか、少し大人になって遠慮を覚えてしまった少年は手を引っ込めたり若干出したりを繰り返していた。

    「振ってやってくださいな、その方がお嬢さんが喜ぶ」

    急に後ろから声をかけられて振り向くとそこには少年の祖父母よりは若そうな老人が立っていた。

    「おや、儂とした事が自己紹介を忘れておった。これは失礼。儂はキンペイバイさんのトレーナーを担当しております、じじトレと呼ばれるものじゃ、どうぞ宜しく」

    「あ、えっ、俺はキーちゃんの……キンペイバイの幼馴染……です。よろしくお願いします」

    「おぉなんと!君がお嬢さんがよく話していた子じゃったか。いやーここで会えるとは奇遇じゃの」

    ケタケタと笑うじじトレを見て、これがキーちゃんの言っていたトレーナーかと少年の中では次から次にスパルタ特訓をしてくる鬼ジジイというイメージだったため、想像よりもだいぶ優しそうな好好爺なことに驚いた。

  • 166君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/29(水) 20:06:06

    「どうしたんじゃ?顔色が優れんようじゃが、人混みは苦手かの?」

    「いえ、なんていうかその…あそこに立ってるキーちゃんの気持ちを考えるとなんだかこっちまでお腹痛くなってきちゃって」

    「そういえば君は確か陸上競技をやっているんじゃったな。確かにそんな君ならお嬢さんの緊張も分かるわけじゃな」

    「はは……」

    返事として返した愛想笑いにはほとんど力がこもっておらず、少し笑ってまた重苦しい顔に戻った。

    「ウマ娘達のレースをこうして間近で見ると伝わってくるんじゃよ、彼女達の想い、かける願いの重さ、勝利への執念、画面越しに見るのとでは訳が違うヒリつくようなこの空気もレース観戦の醍醐味じゃな」

    ウマ娘のレース、それもとりわけGⅠレースは多くの人々を魅了し熱狂させる。その世代の超上澄達が互いの信念や情熱でしのぎを削り、命を燃やして走る彼女達の姿に人々は感動し、時に勇気や希望を見出す。そんな大舞台での激走を彼女達は求められる。
    それ故に大体のトレーナーは当人以上に緊張するものであるが、自分の教え子が走るというのに緊張どころかむしろ第三者目線で楽しもうとしているあたり流石は長年トレーナー業を生業としている者であると言える。

    「君──少年はウマ娘のレースは好きかい?」

  • 167君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/29(水) 20:30:01

    その問いに少年はすぐに答える事はしなかった。
    辺りの喧騒が静まる。もう間も無くゲートが開きレースが始まる。

    「俺はレースは…レースから……」

    ゲートの開放とともにウマ娘が一斉に走り出す。観客席の前を重馬場のターフを蹴り、泥や水を跳ねさせながら18人のウマ娘が駆け去っていく。

    「この場所から逃げ出したい……!」

    少年の言葉は人々の叫びとウマ娘の足跡にかき消されじじトレにも誰にも届く事はなかった。

  • 168君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/29(水) 20:59:18

    レースは現在、先頭が第一コーナーを曲がったところ。相変わらず先頭を1人抜きん出て行くのはコードヘブンであるが、直前まで大雨のターフはひどくぬかるみ彼女の持ち味のスピードを鈍らせ結果としてペースは常識的な範疇に収まっていた。それでも一瞬でも気を緩めればあっという間に二桁バ身をつけられてしまいそうなその気迫は健在で、レース序盤ということもあり熾烈なポジション争いで互いの勝負服に泥が跳ねる。

    バ群最後方に位置をつけるキンペイバイはレース全体を俯瞰し、レースプランを立てていた。彼女にとっては初めての重バ場であったが、少し前まで不良バ場で最強のマイラーとトレーニングをしていたのだ。あの時に作られた常軌を逸した不良バ場に比べればへでもない。泥とぬかるみで過度に体力が奪われる様子はなかった。


    中盤以降の方針

    1.このままのペースを保ち体力温存

    2.直線で少しずつバ群との距離を縮めて行く

    3.最終コーナー中盤以降にぬかるみが酷くなっているのを見つける

    dice1d3=3 (3)

  • 169君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/29(水) 21:27:24

    それに気づけたのはまさしく行幸と言えるだろう。最終コーナー終盤、最後の直線に向けての加速どころでバ群が外へと膨らんでいく。それもそのはずで、内側はかなりぬかるみが酷く脚が取られるのは必至であり、そこにスピードをつけて行けば最悪怪我に繋がりかねないからだ。そうして目の前に開かれた空白を前にキンペイバイは二者択一を迫られた。
    一つはバ群に追随し、内側のぬかるみを回避するルート。
    もう一つはこのまま直進しぬかるみを突っ切るルート。
    まともに考えればただでさえ足を取られやすいぬかるみに自ら進んで行くなど愚の骨頂も良いところだろう。しかし、キンペイバイの脳裏にはヒシアマゾンの言葉が蘇っていた。

    『無理に最短距離を目指して突っ込もうとするよりは遠回りした方が逆に近道だったなんて事はレースじゃ往々にしてあるからね』

    この場合、最短距離とは何か。それはぬかるみを回避し安全に速度を高め直線で勝負をかける事である。しかしそれではコードヘブンに追いつける確証はない。ならば遠回りとは何か、それは脚が取られスピードを落とさざるを得ない内側を走る事である。
    多少のぬかるみ、多少の泥ハネがなんだと言うのだ。ここで臆していてはコードヘブンに追いつくことなど出来はしない。
    覚悟を決め少女は泥へとその身を投げ入れた。

  • 170君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/29(水) 21:51:28

    ぬかるみきったターフ、足を一歩踏み出すごとに地面から水が溢れ、溢れた体積分脚が沈み地面を蹴る力が削がれて行く。それでも懸命に足を振り上げど、恨めしく足裏にこびりつく泥がまるで意志を持っているかのように進む意志と体力を奪っていく。
    悪手だったろうか。自身の身軽な体なら泥に脚を取られる事なく進める、そう思っていたが予想以上に歩みは重く、体力は無慈悲にも奪われて行く。
    脚が重い、肺が痛い、飲み込んだ唾が鉄の味がする。
    もう走る事をやめたい。

    『何の理由もなくただ勝ちたいからってだけで走る有象無象にアタシは負けない』

    勝ちたいから走って何が悪い。この世のどこに負けてもいいと勝負をする人間がどこにいる。
    勝つために敗北を経験しなくてはいけないのはキンペイバイにだって分かる。失敗したからこそ多くの人に支えられて今ここに立つ自分がいるのだと理解もしている。
    だからこそ勝ちたいのだ、私の勝利でみんなに恩返しをなんて傲慢な事は一つも考えていない。ただ勝ちたい。コードヘブンに、トリプルティアラという憧れに。

    『だ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙!!』

    ウマ娘は走る。ゴールに向かってひた走る。例え歩いても辿り着けるとしても、走らなくては感じられない分からない物達のために走る。
    キンペイバイは叫ぶ。勝利が欲しいと己を鼓舞する。負けてもいい勝負なんてない。勝負は、レースは勝つためにするものだから!!

  • 171君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/29(水) 22:37:49

    ついにぬかるみを抜け出した時、キンペイバイは上位争いできる位置まで食い込んでいた。しかしてコーナーを得意とするキンペイバイであれど体力の消耗は致命的であり、「強攻策」を通した結果としては上々であるがこの直線で全てを出し切れるか分からなくなっていた。

    だが、もう残りは数百メートルとない。ここで力を出さずしてはなんのために走っているかもわからなくなってしまう。最後の直線、長く苦しい数百メートルを歯を食いしばって走る。


    先頭集団のデットヒート。未だ先頭を行くコードヘブンを捉えようと各々が最後の力を振り絞る。

    そんな後ろの気迫をコードヘブンも感じているようで、迫り来る影に思わず目線が後方を向く。

    もはや勝負服が綺麗なままのウマ娘は誰もいない。最も泥に汚れているキンペイバイなど顔にまで泥がこびりついてしまっている。それでも歩みが止まる事はなく、彼女達の勝利への執念が泥を置き去りにしているようだ。


    ゴール板まであと数十メートル。観客席からは割れんばかり応援、張り上げる雄叫びと振り上げる手。

    ついにその体がゴール板を走り抜ける。


    キンペイバイの順位

    dice1d5=2 (2)

  • 172二次元好きの匿名さん24/05/29(水) 22:58:43

    勝てないかぁ…是非ともいいとこ見せてほしかったが健闘だな

  • 173二次元好きの匿名さん24/05/30(木) 08:07:17

    保守

  • 174二次元好きの匿名さん24/05/30(木) 18:05:01

    保守

  • 175君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/30(木) 20:40:03

    「届かなかった…あと、一歩……」

    掲示板に示された名前の序列は絶対だ。今更1番上の特等席に這い上がる事はできない。キンペイバイにできるのは自分の名前の上に「コードヘブン」の名が刻まれているのを受け入れること事だけである。

    「だから言ったでしょ、ただ走ってるだけのアンタらじゃ私には勝てないって」

    振り返ればそこにいはコードヘブンの姿。キンペイバイ程ではないが彼女も泥に塗れている。それもそうだろう、今回のレースでも一度も先頭を譲る事なく走り切ったのだ、荒れきったターフを誰よりも早く踏み締めなおも勝利を譲らなかった彼女の実力はやはり世代トップなのだろう。

    「でも、影は踏めました。次こそは私が勝ちます!」

    そう言い切ったキンペイバイをコードヘブンは一瞬睨むと踵を返して去って行く。キンペイバイの不敵な笑顔が気に入らないのか、陰を踏まれた事が嫌だったのか、ともかく立ち去ろうとしていたコードヘブンであったが、少し進んで立ち止まるとため息をついて口を開く。

    「影が踏めた?だから次は勝つ?バカも休み休み言って。アンタとアタシじゃレースに掛けてるものが違う、アタシに勝ちたくてレースをするのなら勝手にすればいい。だけど、そんな気持ちでレースをするような奴にアタシは負けない」

    そう言い残すとライブのために控え室へと戻って行くのだった。

  • 176君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/30(木) 21:13:58

    観客席では併設されているライブ会場へと人が移動し始めていた。最前列にいた少年とじじトレは必然的に人の波の最後列を進む事となる。

    「いやはや惜しかったのぉ、あと一歩届かなかったが確かな成長を感じるわい」

    「次……次は秋華賞ですもんね。キーちゃん長距離頑張ってるって言ってたしきっと大丈夫ですよ」

    まるで孫の頑張りを見ているかのようにしみじみとレースを振り返るじじトレ。それに対して少年はどこか一歩引いているような、幼馴染が頑張ったと言うのになんとも味気のない感想ばかりを喋っていた。

    「今日はバ場がかなり悪かったからの、だいぶ体にもガタが来とるはずじゃ、早く迎えに行かんとのぉ」

    「そうですね、雨の日に走るとすっごい疲れますし」

    愛想の良い返し、愛想のいい笑顔、どこを見ても好青年といった感じの少年であったが、長年子供達を見続けてきたじじトレは少年の瞳の奥に隠された本音をなんとなく理解し始めていた。

    「時に少年、走る事は"まだ"好きかい?」

    ライブを楽しみにレースのことであーでもないこーでもないと盛り上がる観衆を探すように、ポツリポツリと雨が降り始めた。遠くからアスファルトが濡れた匂いがする。
    逃げるように速度を上げる集団の中にじじトレと少年の姿が溶け込み消えていった。

  • 177君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/30(木) 21:44:32

    ライブは無事終了し、全員がそれぞれの帰路に着く。ネット上ではライブやレースの感想、レース映像からの分析、妄言に浸る者など様々でありその中には当然キンペイバイについてのものもあった。


    多かった書き込み

    1.(肉感たっぷりの体を見て)ムホホwエッチだねぇw

    2.桜花賞レコード勝ちしてるコードヘブンに喉元まで迫っていたし秋華賞はワンチャンあるのでは?

    3.最終コーナーでわざと内を行く奇策は一見無茶苦茶なようであの場面で順位争いに絡むにはあれをするしかなかったと分析班

    4.レースもライブパフォーマンスも最高だった!

    5.あの泥を行くって体に見合わずパワータイプなのかな?


    dice1d5=4 (4)

  • 178君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/30(木) 21:54:12

    さて、そろそろ季節は夏合宿に突入しますがその前にやって欲しい事とかありますか?良さげなものがあれば簡単にはなりますがやりたいと思います

  • 179二次元好きの匿名さん24/05/30(木) 22:06:53

    >>178

    夏合宿中に肝試しでピーピー言うペイバイちゃん見たい

    コードヘブンちゃんとペアだとなお良い

  • 180二次元好きの匿名さん24/05/31(金) 07:57:31

    しょ、勝負服の感覚でエグい水着を着ちゃうペイちゃんとヘブンちゃん…

  • 181君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/31(金) 11:01:58

    オークスも終わり季節は夏、トレセンのクラシック級以上を走るウマ娘たちの恒例行事が今年も行われる。


    「うわー!!海だー!!」


    そう夏合宿である。

    数時間のバス旅を終えて到着したのは海の見える宿舎。この一夏キンペイバイ達はこの宿舎で寝泊まりしトレーニングに臨むのだ。


    1.トレーニングも楽しみだが友達とトレーニング終わりに遊ぶのも楽しみ

    2.すぐに荷物を置いてこようと思ったが体調が悪そうな子がいたのでそっちの介抱に向かう

    3.秋華賞に向けてのレベルアップのために気合が入りまくっている


    dice1d3=1 (1)

  • 182二次元好きの匿名さん24/05/31(金) 11:04:46

    >>181

    いいぞなれるちゃんはもっと同年代と楽しく遊んでいい歳なんだ…

  • 183二次元好きの匿名さん24/05/31(金) 20:02:49

    このレスは削除されています

  • 184君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/31(金) 20:04:24

    「楽しみだねマヤノちゃん!」


    「だね!スイカ割りとかビーチバレーとか…深夜の恋バナとか!」


    夏合宿のイベントに胸躍らせる2人。彼女たち以外にもほとんどのウマ娘が浮き足だっている。彼女達はまだまだ子供と言われる年齢である、テンションが上がるのはむしろ年相応と言えるだろう。

    そして夏合宿の1番最初のイベントといえばそう、部屋割りである。合宿所は小部屋はなく広間に複数人で寝泊まりする。大体は一部屋6〜8人程度であり、選出はランダムだったり希望性だってりマチマチである。


    さて、マヤノを除くキンペイバイの相部屋は……

    dice6d114=69 57 86 5 29 46 (292)

  • 185君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/31(金) 20:35:00

    張り切りすぎたためかキンペイバイとマヤノが一番乗りで部屋に来てしまった。どうしたらいいかわからずおろおろしていると同じ部屋のメンバーがゾロゾロとやってきた。

    「あら、もういらしていたのですね。これから2ヶ月間ほとよろしくお願いします」

    最初にやってきたのはメジロの深窓の令嬢。「ガラスの脚」と喩えられるほど繊細な脚で高松宮記念を勝利したメジロアルダンである。名家メジロの人間ということもあり後輩のキンペイバイ達が相手であってもとても礼儀が正しい。

    次に入ってきたのはワンダーアキュートとスマートファルコンのダート組。今をときめくウマドルスマートファルコンらしく部屋に入ってきた時にアキュートに話していたのもライブの話なようだ。
    部屋の隅から挨拶をすると「飴ちゃんどうぞ」とアキュートから飴を手渡された。
     
    その後にフジキセキやユキノビジンが大きな荷物と共にやってきて、十何分か遅れてミスターシービーが到着してようやくこの2ヶ月を共に過ごすメンバーが揃った。

  • 186二次元好きの匿名さん24/05/31(金) 20:38:40

    シンプルに精神年齢大人組が多いな
    安心感ある

  • 187君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/31(金) 21:26:33

    次の日よりトレーニングが開始された。
    夏合宿においてもトレーニングの基本は変わらず、専属のトレーナーがいるものはそのトレーナーと、そうでないものは複数人を1人の教官が面倒を見る。ただ少し違うのはいつもよりトレーニングをしているウマ娘同士の距離感が近いことだ。
    自然の環境を使う都合上、トレセンよりも限られた敷地ともなればふだんあまり顔を合わせないウマ娘同士が同じ場所で共に汗を流すということもよくある。そうしたいつもの違う環境というのはウマ娘に良い影響をもたらす事が多く、単純に他のウマ娘とコミュニケーションをとったりすることで仲を深めるというのもその一つである。

    ウマ娘は練習する時のメンバーが深い絆で繋がっている場合、そのトレーニングの効果量が増加しより効率的に肉体を鍛えられるという説もあり、「友情トレーニング」などという気恥ずかしい言葉でそれを呼ぶ人間もいる。

  • 188君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/31(金) 21:42:42

    「あと30往復!ファイトだよペイバイちゃん!」 

    「は、は……はいぃぃぃ!!」

    夏合宿一発目のトレーニングはスマートファルコンによる地獄の砂浜50往復で幕を開けた。
    このトレーニングは普段のターフとは違う砂浜という足裏の圧力が逃げ踏み込みが効きにくい場所でキンペイバイ本来の持ち味であるバランス感覚をさらに磨くと共に、単純に負荷のあるトレーニングをして基礎体力向上も狙いの一つだ。
    しかしこのトレーニングの真にキツいのはそれだけではない。折り返し地点についての休憩など勿論なく、なんとスクワッド腕立て上下運動とビリーズブートキャンプと見紛うばかりのストレッチが待っているのだ。もはや軍隊か何かのそれである。
    それでもキンペイバイの先頭を行くスマートファルコンは辛い顔一つせずにこれらをこなすのだから流石は全宇宙ファン数三兆人と言われるウマドルである。そんな先輩をみてキンペイバイも闘志を燃やす。後輩である自分が諦めては胸を貸してくれた先輩に申し訳が立たない。

    「根性ォォォォォォ!!!」

    もうすでに鉛をつけられたように思い手足を必死に振り、意地でファルコンに喰らい付き続けた。

  • 189君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/31(金) 22:04:27

    ──その日の夜

    「も〜…一歩も…動けましぇん……」

    あの後50往復をやり遂げたキンペイバイは全身の筋肉痛に襲われ、生まれたての子鹿のようになりながら部屋へと辿り着いた。これが2週間、しかも1週間後にはこれに追加のメニューが来ると考えると思考を放棄したくなるが、今は体の痛みで何も考えたく無かった。

    「ようけ頑張ったねぇ。あの鬼メニューに最後までついて行くのは並大抵なことじゃないからねぇ」

    現在筋肉痛につき動けないキンペイバイはワンダーアキュートによって風呂上がりのマッサージを受けていた。最初は先輩にそんなことさせられないと言っていたキンペイバイであったが、体が激痛で動かせないのでされるがままになってしまっていた。

    「いい尻にトモじゃけ、ちゃんと詰まってて飯たくさん食べられてる証拠だべ」

    「そ、そうですか?胸だけじゃなくて尻も太ももも大きくなってるのに身長だけ伸びなくて困ってるんです」

    「そのうちきっと大きくなるさね、体の成長は気長に待つのが1番じゃけんな」

  • 190君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/31(金) 22:10:02

    1.しかし現実は非常、胸と大きさと尻のデカさは部屋で1番なのに身長はドベなキンペイバイであった。

    2.(ウマソウルがメロレンより若干小さいくらいなので高身長は)無理です

    3.マヤノやユキノがキンペイバイの太ももや尻がぷにふわだと触りにくる

    4.アルダンもマッサージに協力しに来ていい匂いがしそうな空間に…

    dice1d4=4 (4)

  • 191君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/31(金) 22:27:58

    「私も手伝います」

    そう言ってアルダンもマッサージに参加する。元々ガラスの脚と呼ばれながら何度も怪我をしつつも現役を走り抜けた彼女はそれ相応に脚のメンテナンスの経験や知識があり、適切な処置でキンペイバイの脚の筋肉を揉みほぐしていく。
    つま先からこりをほぐしていって次は脚の筋肉でも特に大きい大臀筋をほぐそうとした時であった。

    「それでは次に大臀筋をほぐしていきます。痛みを感じたら遠慮なく言ってくださいね?」

    力を込め疲労が溜まり切った筋肉をもみほぐしていたまさにその時であった。力のかけ具合をミスしたアルダンの手がキンペイバイのウサギのような短いしっぽの根本を掴んでしまったのだ。まさに不慮の事故である。しかし、キンペイバイの尻尾の根本には彼女の秘密があり…

    「イッ……!グゥ……」

    掴まれた衝撃で軽く海老反りになったキンペイバイは次の瞬間には全身の力が抜けて頬を赤らめていた。
    そう、キンペイバイはチャームポイントの尻尾、その根元が弱点なのだ。

  • 192二次元好きの匿名さん24/05/31(金) 22:44:01

    これには同室の右耳勢も嘶いていることでしょう。ユキノが頼りだ……

  • 193二次元好きの匿名さん24/05/31(金) 22:54:47

    このレスは削除されています

  • 194二次元好きの匿名さん24/05/31(金) 22:55:53

    このレスは削除されています

  • 195君は繁殖牝馬になれるちゃん24/05/31(金) 22:56:47

    同室の右ミミ達のウマソウル反応度

    dice1d100=49 (49)

    (高いほど反応になり、100に近づくにつれウマソウルが暴れ出し、ラッカ鍋みたいになる)

  • 196二次元好きの匿名さん24/06/01(土) 06:54:54

    >>195

    大きな反応こそ無いものの、内心動揺してる感じか

    いいね……定期的にミギミミちゃん達を惑わしていくんだ……

  • 197君は繁殖牝馬になれるちゃん24/06/01(土) 14:58:29
  • 198二次元好きの匿名さん24/06/01(土) 15:32:33

    >>197

    次スレ乙

  • 199二次元好きの匿名さん24/06/01(土) 16:42:42

    埋め

  • 200二次元好きの匿名さん24/06/01(土) 16:47:32

オススメ

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