【SS】チケット「見てみて!可愛い人形拾ったんだ!」

  • 1二次元好きの匿名さん22/02/01(火) 23:04:49

    「タイシンタイシンタイシーン!これ見てー!!」
    「なんだようるさいな⋯って人形?」
    チケットの腕に抱かれていた古びた人形、汚れていて所々綻びもしている。
    「そう!用具入れの端っこに置いてあったんだ!誰かの落とし物かな⋯?」
    「私の知ってる限りじゃいつも人形抱いてるウマ娘なんて知らないけど⋯」
    二人で首を傾げていると大きな影が私たちを包んだ。
    「どうしたんだ二人とも、こんな所で立ち尽くして」
    「あ、ハヤヒデ!良いところに来た!」
    カクカクしかじかとチケットが落し物の人形の事を話す。
    「すまないが、私の知る限りでもその人形の持ち主は分からないな⋯」
    「そっかー⋯ならアタシが引き取っててあげよう!」
    お人好しめ⋯と思いながらその場はそれ切りになり、その後は三人で遊びに行ったのだった。

  • 2二次元好きの匿名さん22/02/01(火) 23:05:29

    ──数日後
    「チケット、この間の人形どうなった?」
    「綺麗に洗ってあげたよ!綻んでる所も頑張って縫ったんだ!」
    鞄から取り出された人形を見ると確かに古臭さはある物の汚れが落ちて綺麗になっていた。
    綻びの方は⋯まぁチケットらしい縫い口になってる。
    「私やハヤヒデに頼めばよかったのに」
    「アタシが引き取るって言ったんだし迷惑かけられないよ!」
    チケットらしい⋯とはいえその縫い口ではまたすぐ綻んでしまいそうだ。
    「少し貸して、そこまで上手いわけじゃないけどソーイングセットもあるから手直ししたげる」
    「え!良いの!!うわぁああああん!!ありがとううううう!!!」
    いつもの大泣きが始まる。
    「ああもう、良いから貸して!」
    半ば強引にチケットの手から人形を取りソーイングセットで手直ししていく、元は良い人形だったのだろうか、綻び以外は綺麗な物で造形も良い。
    暫く集中して、ふと顔を上げる。
    目の前に見える大きな瞳。
    「うわあ!!チケットそんなに近くに!」
    「うん!タイシンが集中して直してくれてる姿が嬉しくて!」
    無意識にこう言う事を言うからコイツは⋯!
    「ほら!出来た!」
    顔を隠すように人形をチケットに渡すと、人形と共に手を握られる。
    「ありがとう!タイシン!!」
    真正面から見る笑顔、キラキラしたそれを見るとやった甲斐がある。

  • 3二次元好きの匿名さん22/02/01(火) 23:06:07

    ───夢を見た。
    私は人形でチケットがニコニコと私を飾り立てる。
    まるで子供のような笑顔を見せて花をつけたり周りを飾っていく。
    嗚呼、コイツの笑顔はどこまでも吸い込まれそうで⋯
    部屋に誰かが入ってきた。
    ハヤヒデだ、ハヤヒデも人形になった私を見て微笑む。
    軽く私を撫でるとチケットと話し込む。
    二人とももっと私を見て⋯
    もっと⋯

    もっと⋯

  • 4二次元好きの匿名さん22/02/01(火) 23:06:49

    「⋯っ!!」
    目が覚めるとびっしょりと汗をかいていた。
    「自己顕示欲の塊かよ⋯」
    独り言を言うのは多分自分が喋ることができる事を確かめたかったからだ⋯
    洗面所で顔を洗い水を飲む、怖い夢で眠れなくなるなんてチケットに言ったらいつまでもネタにされるなと、目が覚めたついでに夜風に当たる為に外に出る事にした。
    薄着で出たからか肌寒い風が肌を刺す。
    「あの⋯」
    後ろから急に話しかけられて飛び上がる。
    「っ⋯⋯マンハッタンカフェ⋯さん⋯?」
    「はい⋯最近人形を拾いませんでしたか⋯?」
    「私じゃないけど⋯人形を拾った奴は知っています」
    経緯を話し、カフェさんは少し考え込むと頷いた。
    「そうですか⋯大切にされてよかった⋯」
    そう言って彼女はふらふらと戻っていった⋯なんだったんだろう。
    身体が冷えるのを感じ、私も急いで寮に戻る。

  • 5二次元好きの匿名さん22/02/01(火) 23:07:01

    ──次の日
    「チケットさ⋯人形の事なんだけど⋯」
    人形を探していたカフェさんの事を考えチケットに話しを振る。
    「人形?何のこと?」
    「いや、アンタこの間人形拾ったって⋯私も手直ししたじゃん!」
    「うーん⋯覚えてないなぁ⋯」
    嘘⋯本当に忘れている⋯それどころか痕跡すらない⋯
    そうだ!カフェさん⋯!彼女なら何か知っているかも⋯!
    急いで彼女がよくいると言う個室に向かう。
    「昨日⋯ですか?」
    不思議そうな顔で私を見る。
    「私は昨日は外には出ていません⋯⋯その人は本当に私でしたか⋯?」
    もう嫌だ、これ以上私を怖がらせるのはやめて欲しい。
    「⋯⋯ですが、あなたが出会ったのは悪い子ではないと思います⋯⋯安心してください⋯⋯」
    包み込むように言われ、出されたコーヒーを啜る。
    暖かいその液体が喉を通ると、昂っていた気持ちは少し落ち着いた。
    「⋯昨日あなたは夢を見ていただけです⋯⋯ですが少し悪い夢⋯⋯昨日出会った私はその夢から覚まそうとしただけだと思います⋯⋯」
    もうめちゃくちゃだけど信じるしかない、こんな事で体調崩してもられないし。
    お礼を言い部屋から出る。
    ま、昨日までの事は忘れよう、今日は久々にゲーセンでも行こう。
    そうして少し私は前向きになったのだった。



    「そういえばタイシン、すっごく大切そうに人形抱えてたけど⋯あれは違うのかな⋯?」

  • 6二次元好きの匿名さん22/02/01(火) 23:08:07

    ヒエッ…いや悪い子ではないんだろうけど…

  • 7二次元好きの匿名さん22/02/01(火) 23:21:09

    カフェ?はチケットからは人気を引き離せました。
    そこで力を使ったのでタイシンから見えなくするまでしか出来ませんでした。
    まぁ認識されてなければ大丈夫だと思います

  • 8二次元好きの匿名さん22/02/01(火) 23:21:33

    >>7

    人気×

    人形○

  • 9二次元好きの匿名さん22/02/01(火) 23:27:17

    なんか憑かれてる…この世界怪異が多すぎる…

  • 10二次元好きの匿名さん22/02/01(火) 23:36:10

    ヒェッ……

  • 11二次元好きの匿名さん22/02/02(水) 00:58:28

    俺悪魔、怖いSSだから夜中にあげてやる

  • 12二次元好きの匿名さん22/02/02(水) 09:00:29

    ホラーかと思ったらガチホラーだった

  • 13二次元好きの匿名さん22/02/02(水) 20:30:00

    クオリティ高くて楽しませてもらった

  • 14二次元好きの匿名さん22/02/03(木) 08:02:58

    保守

  • 15二次元好きの匿名さん22/02/03(木) 16:27:47

    こっわ…

オススメ

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています